札幌テレビ放送株式会社

情報・通信業放送

売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E04412 Japan GAAP


3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 ①財政状態及び経営成績の状況

 当中間連結会計期間の日本経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により緊急事態宣言の発出が度重なるなど、

依然として厳しい状況にあるが、ワクチンの普及などにより、感染抑制と消費活動の両立が進むもとで、経済全体は

持ち直しの動きが続いている。このような状況のなか、当中間連結会計期間の当社グループの売上高は84億61百万円

と前年同期と比べ8億7百万円(10.5%)の増収となった。また、営業利益は4億41百万円と前年同期と比べ3億41百万

円(341.8%)の増益、経常利益は5億67百万円と前年同期と比べ3億31百万円(140.2%)の増益となった。前年度大

きく落ち込んだ広告収入が回復し放送事業収入が増収となったことが大きな要因である。

 なお、当中間連結会計期間より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適

用しているが、影響が軽微なため、収益認識に関する会計基準等の適用による影響額は記載していない。

 セグメントごとの経営成績は次のとおりである。

 ○放送事業部門

 テレビ部門では、2021年度上期の視聴率で、「全日(6~24時)」、「ゴールデン(19~22時)」、「プライム(

19~23時)」の3部門において、世帯では14年連続で3冠を達成、コア(男女13~49歳)でも2年連続の3冠を達成した。

朝夕の「どさんこワイド朝」「どさんこワイド179」を柱とした自社制作番組が高視聴率を得たことに加え、日本テレ

ビのレギュラー番組等も好調に推移した。営業面では、前年度に大きく落ち込んだ広告需要が反動で増加し、売上の

主軸であるスポットセールスでは北海道地区への広告投下額が前年同期比128%となった。これを受け、スポット収入

は、35億22百万円と前年同期と比べ6億75百万円(23.7%)の増収となり、道内5局トップの売上とシェアを維持した。

一方、事業収入は、新型コロナウイルス感染症の影響で事業イベントが中止や延期を余儀なくされたうえ、感染症リ

スクの懸念などから来場者が伸びず、94百万円と前年同期と比べ36百万円(△27.9%)の減収となった。

 コンテンツ部門では、通販(ショッピング)が、前年度のいわゆる「巣ごもり需要」が一段落したことで、食品・

雑貨系が伸び悩み目標を大きく下回る結果となった。また、新しい通販管理システムの稼動やコールセンターの再編

など通販インフラの整備を進めたことで、これまでのような複雑な企画販売ができなかったことなどで販売方法が制

限されたことも響いた。売上高は、前年同期と比べ94百万円(△20.7%)減の3億60百万円となった。

 ラジオ部門は、2021年度上期の北海道地区への広告投下額が前年同期比2.9%増となったが、新型コロナウイルス感

染症の影響を受けた広告主からの出稿は回復しなかった。事業収入も主要なイベントやキャンペーンがほとんど中止に

なり、この結果、売上高は6億45百万円と前年同期と比べ9百万円(△1.3%)の減収、23百万円の営業損失となった。

 放送事業全体における当中間連結会計期間の売上高は、74億75百万円で前年同期と比べ6億73百万円(9.9%)の増

収となり、セグメント利益は前年同期と比べ3億8百万円増(前年同期は81百万円のセグメント損失)の2億26百万円

となった。

 〇ビル賃貸管理部門

 中核となるビル・駐車場部門では、「北2条ビル」「時計台通ビル」の一部飲食テナントに対し賃料減額や支払い

猶予を実施したが、両ビルの他テナントの賃料引上げが実現したため収入面に支障は出なかった。「中央ビル」は減

額措置を回避でき売上は順調に推移した。住宅部門は、非接触型営業ツールを活用して営業推進に取り組み、新築住

宅は目標の4棟を引き渡した。リフォーム事業も店舗改装など大口工事を取り込み、前年の売上高を大きく上回った。

人材サービス部門は、契約打ち切りなど新型コロナウイルス感染症の影響を受けることなく、新たな人材紹介案件を

獲得できたこともあり前期実績を上回った。この結果、部門全体の売上高は前年同期と比べ1億19百万円(13.3%)

増の10億19百万円、セグメント利益は前年同期と比べ9百万円(4.7%)増の2億6百万円となった。

 

 ○制作プロダクション部門

 「どさんこワイド朝」「どさんこワイド179」をはじめ、番組や中継などでの演出・撮影・編集の制作全般を担い、

STVの放送事業活動を支えた。2021年度上期は、緊急事態宣言の発出やまん延防止等重点措置の地域拡大と期間延

長が繰り返され、総じて撮影、中継案件は低調に推移した。しかし、「ANAオープンゴルフ」や予定通りの開催と

なったスポーツ中継業務などを受注できたこと、東京オリンピック関連では、女子マラソンの競技前に行われた「ア

イヌ舞踊」中継をはじめ、各種競技の編集やEVS業務を受注できたことで、上期としては過去2番目の売上高を達

成した。この結果、部門全体の売上高は、前年同期と比べ70百万円(11.2%)増の6億91百万円、セグメント利益は

前年同期と比べ34百万円増(前年同期は24百万円のセグメント損失)の11百万円となった。

 〇通信販売部門

 通販事業は、STVの通販(ショッピング)の不調に伴い手数料収入が大幅減となった。コンテンツ部門も、新型

コロナウイルス感染症によるカラオケやコンサートの自粛で、音楽権利収入が減少し前年実績を大きく下回った。

一方、広告部門は一部レギュラースポンサーの出稿がなくなったが、カタログ同梱チラシ広告が増えたことや、新商

品の大型出稿などにより大幅な増収となった。この結果、部門全体の売上高は前年同期と比べ16百万円(△14.0%)

減の97百万円、2百万円のセグメント損失(前年同期は8百万円のセグメント利益)となった。

 

 ②キャッシュ・フローの状況

 当中間連結会計期間における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比

べ11億10百万円減少し92億76百万円となった。当中間連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの

要因は、次のとおりである。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動で得られた資金は、11億32百万円(前年同期は7億5百万円の収入)となった。これは主に、売上債権の回

収3億31百万円、税金等調整前中間純利益5億39百万円、減価償却費6億67百万円を計上した一方で、法人税等の支払い

4億88百万円などがあったことによる。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は、18億53百万円(前年同期は20億28百万円の収入)となった。これは主に、投資有

価証券の売却及び償還による収入1億円を計上した一方で、有形固定資産の取得による支出13億60百万円、投資有価

証券の取得による支出4億87百万円を計上したことによる。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は、3億89百万円(前年同期は3億54百万円の支出)となった。これは主に、長期借入

金の返済による支出1億11百万円と配当金の支払い2億64百万円である。

 

③生産、受注及び販売の実績

当中間連結会計期間の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。

販売実績

セグメントの名称

 

当中間連結会計期間

(自 2021年4月1日

  至 2021年9月30日)

前年同期比(%)

放送事業部門

(百万円)

7,434

109.9

ビル賃貸管理部門

(百万円)

896

114.5

制作プロダクション部門

(百万円)

71

138.3

通信販売部門

(百万円)

61

105.2

合 計

(百万円)

8,461

110.5

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去している。

2.前中間連結会計期間及び当中間連結会計期間における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は

 次のとおりである。

相手先

前中間連結会計期間

(自 2020年4月1日

  至 2020年9月30日)

当中間連結会計期間

(自 2021年4月1日

  至 2021年9月30日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

㈱電通

1,161

15.2

1,488

17.6

日本テレビ放送網㈱

1,116

14.6

1,126

13.3

㈱博報堂DYメディアパートナーズ

772

10.1

948

11.2

 

 

(2) 経営者の視点による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。

なお、文中の将来に関する事項は、当中間連結会計期間の末日現在において判断したものである。

 

①経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 新型コロナウイルスの感染者数の減少やワクチンの普及に伴い、消費・経済活動が回復傾向となるなか、当中間連

結会計期間において、放送事業収入の主となるスポット広告の北海道地区投下額は前年同期比128.6%となり、北海道

の広告市況は大きく落ち込んだ前年度の反動増となった。こうしたなかにあって当社グループは、スポット収入で北

海道内民放トップとなり、北海道内民放4局シェアも29.8%を獲得した。また、視聴率は個人視聴率のうち男女13歳か

ら49歳までのいわゆる「コア層」において2年連続の上期「視聴率3冠」を達成、従前から調査している「世帯視聴率」

においても14年連続の「視聴率3冠」となり、売上と視聴率の2つの指標で北海道エリアの首座をしっかりと確保した。

 一方で、新型コロナウイルス感染症の影響を受け、事業部門はイベントの中止や延期を余儀なくされたほか、感染

症拡大の懸念から集客を伸ばすことができなかった。また、コンテンツ部門は「巣ごもり需要」が一段落したことな

どから前年実績を下回った。長期的スパンではテレビ・ラジオの視聴者数の漸減が懸念されることや、新型コロナウ

イルス感染症の収束が現時点で見通せない状況にあるが、北海道エリア№1放送局グループとしての力を最大限に活か

し、放送収入を軸としつつも、全社を挙げて収益源の多角化を図っていく。

 

②資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 資本の財源及び資金の流動性については、当社グループは、当中間連結会計期間に営業活動によるキャッシュ・フ

ローで11億32百万円を確保した。厳しい状況のなか各セグメント一丸となり営業利益を確保したことが要因である。

また投資活動では設備投資を適正に管理した。グループ各社ともに必要以上に借入金に依存することなく与信状況も

良好であることから、今後も資金の高い流動性を保ちながら経営を継続することが可能と判断している。

 

③経営者の問題認識と今後の方針について

 懸念される新型コロナウイルス感染症「第6波」が到来した場合、当社グループにおいても、広告出稿の減少、事業

やスポーツイベントの中止等で、再び事業活動及び収益確保に影響を受ける可能性がある。そうしたなかにあっても

当社グループが事業を継続、成長させて、地域に密着した情報発信と地域社会文化の発展を担う役割を果たしていく

ためには、周辺環境の変化に柔軟に対応していく必要がある。

 2022年度から2024年度までの新しい「中期経営計画」では、現在の中期経営計画で取り組んでいる、放送事業を

“右手”、新規事業を“左手”としてバランス良く取り組んでいく「両利きの経営」を踏まえ、当社グループの事業

の目的を再定義する経営理念と、決意を示す経営ビジョンを設定し、エリアのリーディングカンパニーとして、今後

も変わらず、視聴者やスポンサーニーズに高いレベルで応える番組、情報、商品、事業イベントを提供していく。