E00185 Japan GAAP
前期
532.3億 円
前期比
101.0%
株価
1,369 (03/29)
発行済株式数
25,617,717
EPS(実績)
83.42 円
PER(実績)
16.41 倍
前期
677.3万 円
前期比
94.0%
平均年齢(勤続年数)
43.6歳(15.3年)
従業員数
1,149人(連結:1,553人)
当社グループは、当社、子会社8社及び関連会社3社(2023年3月31日現在)で構成され、電気設備工事業(鉄道電気設備工事、道路設備工事、屋内外電気設備工事、送電線設備工事)、兼業事業及び不動産賃貸事業を主な内容として事業活動を展開している。
当社及び当社の関係会社の事業における当社及び関係会社の位置付け及びセグメントとの関連は、次のとおりである。なお、セグメントと同一の区分である。
事業の系統図は次のとおりである。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりである。
当連結会計年度におけるわが国経済は、行動制限の緩和をはじめとする各種政策の進展等により、個人消費や企業活動に持ち直しが見られるなど、社会経済活動の正常化に向けた動きは新たな局面に入った。これにより景気は緩やかな回復基調で推移したが、長引くロシア・ウクライナ情勢を背景とするエネルギーや原材料価格の高騰、欧米諸国でのインフレ・金融引締め政策による世界経済の減速懸念など、引き続き景気の下振れ要因の注視が必要な状況となっている。
建設業界においては、国土強靭化工事をはじめとした関連予算の執行により、公共投資は底堅く推移しており、民間設備投資も企業収益の改善傾向を背景として徐々に持ち直しの動きが見られたものの、建設資材の高騰や人手不足等によるコスト増加が顕著となっており、厳しい収益構造となっている。
当連結会計年度の受注高は、前年度に受注した大型プロジェクト工事の反動減影響等により、年度前半は対前年同月比で低調に推移したものの、景気が回復基調で推移する中、年度後半から主要顧客を中心に受注高が伸長し、業績については受注高が586億9千6百万円(前連結会計年度は485億6百万円)、売上高が537億4千5百万円(前連結会計年度は532億3千1百万円)と前連結会計年度を上回った。
利益については営業利益が26億8千8百万円(前連結会計年度は30億6千8百万円)、経常利益が30億8千1百万円(前連結会計年度は33億4百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益が21億3千7百万円(前連結会計年度は24億3百万円)となった。
セグメントごとの経営成績は次のとおりである。
( 電気設備工事業 )
電気設備工事業については、受注工事高が586億9千6百万円(前連結会計年度は485億6百万円)、完成工事高が505億2千5百万円(前連結会計年度は503億8千万円)、営業利益が54億9千1百万円(前連結会計年度は57億6千6百万円)となった
鉄道電気設備工事については、東日本旅客鉄道株式会社の安全・安定輸送に伴う設備更新工事、独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構の新幹線建設工事等により、受注工事高が326億2千5百万円(前連結会計年度は265億3千3百万円)、完成工事高が318億3千2百万円(前連結会計年度は299億6千3百万円)となった。
道路設備工事については、高速道路会社各社の標識工事、電気通信工事、警視庁及び各警察本部の交通信号機工事等により、受注工事高が103億4千6百万円(前連結会計年度は89億5千8百万円)、完成工事高が90億2千8百万円(前連結会計年度は94億7千2百万円)となった。
屋内外電気設備工事については、官公庁・民間事業者の電気設備工事、太陽光発電設備工事等により、受注工事高が64億3百万円(前連結会計年度は59億4千8百万円)、完成工事高が32億5千4百万円(前連結会計年度は44億6千3百万円)となった。
送電線設備工事については、電力会社各社の架空送電線路工事等により、受注工事高が93億2千1百万円(前連結会計年度は70億6千6百万円)、完成工事高が64億9百万円(前連結会計年度は64億8千1百万円)となった。
( 兼 業 事 業 )
兼業事業については、主に交通施設の標識及び交通安全用品の製造・販売等により、売上高が28億2千4百万円(前連結会計年度は24億6千1百万円)、営業利益が9千5百万円(前連結会計年度は2千3百万円の営業損失)となった。
( 不動産賃貸事業 )
不動産賃貸事業については、土地、建物等の賃貸により、売上高が3億9千5百万円(前連結会計年度は3億8千9百万円)、営業利益が2億円(前連結会計年度は1億9千7百万円)となった。
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は、465億3千万円(前連結会計年度末は441億4百万円)となり、24億2千5百万円増加した。主な要因は、受取手形・完成工事未収入金等の増加(350億5千2百万円から372億3千8百万円へ21億8千6百万円の増)、未成工事支出金の増加(6億6千7百万円から7億2千5百万円へ5千8百万円の増)、その他の増加(1億9千9百万円から3億3千7百万円へ1億3千7百万円の増)である。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は、363億2千3百万円(前連結会計年度末は357億5千2百万円)となり、5億7千万円増加した。主な要因は、リース資産の増加(16億5千8百万円から20億3百万円へ3億4千4百万円の増)、投資有価証券の増加(143億9千7百万円から146億6千4百万円へ2億6千6百万円の増)、建物・構築物の減少(94億2千1百万円から93億1千8百万円へ1億3百万円の減)である。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は、183億5千万円(前連結会計年度末は171億3千3百万円)となり、12億1千7百万円増加した。主な要因は、支払手形・工事未払金等の増加(67億5千万円から73億6千5百万円へ6億1千4百万円の増)、未払法人税等の増加(8億2千5百万円から10億8千1百万円へ2億5千6百万円の増)、賞与引当金の増加(12億5百万円から14億2千3百万円へ2億1千8百万円の増)である。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は、77億1千9百万円(前連結会計年度末は72億1千9百万円)となり、4億9千9百万円増加した。主な要因は、リース債務の増加(14億8千9百万円から17億8千8百万円へ2億9千9百万円の増)、退職給付に係る負債の増加(53億1千7百万円から55億2千6百万円へ2億8百万円の増)である。
(純資産)
当連結会期年度末における純資産の残高は、567億8千3百万円(前連結会計年度末は555億4百万円)となり、12億7千9百万円増加した。主な要因は、利益剰余金の増加(495億6千7百万円から510億2千5百万円へ14億5千8百万円の増)、その他有価証券評価差額金の増加(16億6千万円から17億2千1百万円へ6千万円の増)である。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の期末残高は、営業活動による資金の流入、財務活動及び投資活動による資金の流出により前連結会計年度末より9百万円増加し、78億3千8百万円となった。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローの流入額は、21億6千8百万円(前連結会計年度は26億2千5百万円の流入)となった。これは主に、税金等調整前当期純利益の計上による資金の流入、売上債権の増加及び法人税等の支払による資金の流出によるものである。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローの流出額は、8億3千万円(前連結会計年度は4億5千5百万円の流出)となった。これは主に、静岡営業所建替え、総合研修センター実習設備建設等の有形固定資産及び社内基幹システム構築等の無形固定資産の取得による資金の流出によるものである。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローの流出額は、13億2千7百万円(前連結会計年度は10億8千8百万円の流出)となった。これは主に、ファイナンス・リース債務の返済及び配当金の支払による資金の流出によるものである。
なお、機動的な資金調達手段を確保し、財務の安定化及び資金効率の向上を図ることを目的として、主要銀行と総額50億円のコミットメントライン契約を締結しているが、当連結会計年度末において、コミットメントライン契約に基づく借入はない。
(注) 1.当連結グループでは生産実績を定義することが困難であるため「生産の状況」は記載していない。
2.セグメント間取引については、相殺消去している。
3.売上実績に対する割合が100分の10以上の相手先別の売上高及びその割合は、次のとおりである。
なお、参考のため提出会社個別の事業の状況は次のとおりである。
電気設備工事業における受注工事高及び完成工事高の状況
(ⅰ) 受注工事高、完成工事高及び次期繰越工事高
(注) 前期以前に受注した工事で、契約の更改により請負金額に変更があるものについては、当期受注工事高にその増減額を含む。したがって、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれる。
(ⅱ) 受注工事高の受注方法別比率
工事受注方法は、特命と競争に大別される。
(注) 百分比は請負金額比である。
(ⅲ) 完成工事高
(注) 1.完成工事のうち主なものは、次のとおりである。
第13期の完成工事のうち主なもの
第14期の完成工事のうち主なもの
(注) 2.完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりである。
(ⅳ) 次期繰越工事高
(注) 次期繰越工事のうち主なものは、次のとおりである。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものである。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されている。この連結財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる見積りの部分があり、見積り特有の不確実性により、実際の結果が異なる場合があるため、連結財務諸表に影響を及ぼすものと考えられる。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載している。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績
当社グループを取り巻く受注環境は、景気の回復基調に支えられ、主要顧客を中心に徐々に改善傾向が見え始めており、前連結会計年度と比較して受注高は101億9千万円(21.0%)の増加、繰越工事高も81億7千1百万円(28.2%)の増加となるなど堅調に推移し始めている。しかしながら、前連結会計年度からの繰越工事をはじめ手持工事の多くは、ここ数年のコロナ禍による影響を受けた採算の厳しい工事であることから、利益率の回復には至っていない。
このような状況の中、2022年度を初年度とする中期経営計画「Change and Innovation RIETEC 2024」をスタートさせ、サステナビリティを巡る新たな社会ニーズへの貢献やデジタル技術の導入による生産性向上に努めるなど、経営成績の回復に向けた各種施策を推進している。
当連結会計年度の売上高については、半導体や鋼材といった資機材不足等により、一部プロジェクト工事において発注時期の繰り下げや着工遅延が発生したことで、期首から計画に対して進捗の遅れが生じる状況が続いたが、年度末にかけて完成引渡しとなった大型プロジェクト工事を中心に設計変更の増額が獲得できたことに加え、年度後半に伸長した受注工事の進捗等が回復の要因となり、537億4千5百万円(前年度は532億3千1百万円)となった。利益については、売上高の伸長に加え、原材料価格高騰分の価格転嫁が一部工事で認められたこと等により、営業利益が26億8千8百万円(前年度は30億6千8百万円)、経常利益が30億8千1百万円(前年度は33億4百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益が21億3千7百万円(前年度は24億3百万円)となった。
なお、部門別の経営成績に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりである。
(鉄道電気設備部門)
受注工事高は、主な顧客である東日本旅客鉄道㈱の中央線グリーン車導入に伴う関連工事や盛岡駅の信号設備改良工事等を受注した結果、326億2千5百万円(前連結会計年度は265億3千3百万円)となった。
完成工事高は、前連結会計年度からの北陸新幹線敦賀延伸工事の他、渋谷駅をはじめとした駅改良工事など各大型工事が順調に進捗・竣工した結果、318億3千2百万円(前連結会計年度は299億6千3百万円)となった。
(道路設備部門)
受注工事高は、高速道路会社の通信設備工事や構造物改良工事、警視庁及び各警察本部の交通信号機改良等の工事を受注した結果、103億4千6百万円(前連結会計年度は89億5千8百万円)となった。
完成工事高は、首都高速道路の標識補修工事や東名阪自動車道の照明設備工事の他、全国の交通信号機工事が順調に進捗・竣工した結果、90億2千8百万円(前連結会計年度は94億7千2百万円)となった。
(屋内外電気設備部門)
受注工事高は、官公庁や商業施設等からの受注獲得に尽力し、高輪ゲートウェイ駅周辺開発工事などの大型プロジェクト工事を受注した結果、64億3百万円(前連結会計年度は59億4千8百万円)となった。
完成工事高は、駅ビルや商業施設、金融機関の電気設備工事などの大型工事が順調に進捗・竣工したことにより、32億5千4百万円(前連結会計年度は44億6千3百万円)となった。
(送電線設備部門)
受注工事高は、各電力会社からの送電線鉄塔建替工事や電線張替工事、地域間連系線工事等、複数の大型工事を受注した結果、93億2千1百万円(前連結会計年度は70億6千6百万円)となった。
完成工事高は、各地区における大型送電線建設・改修工事が順調に進捗・竣工したことにより、64億9百万円(前連結会計年度は64億8千1百万円)となった。
b.財政状態
当連結会計年度末における資産合計の残高については、828億5千3百万円(前連結会計年度末は798億5千7百万円)となり29億9千6百万円増加した。主な要因は受取手形・完成工事未収入金等の増加、建物・構築物の減少、リース資産の増加、投資有価証券の増加である。
負債合計の残高については、260億7千万円(前連結会計年度末は243億5千3百万円)となり17億1千6百万円増加した。主な要因は、支払手形・工事未払金等の増加、未払法人税等の増加、リース債務の増加である。
純資産合計の残高については、567億8千3百万円(前連結会計年度末は555億4百万円)となり12億7千9百万円増加した。主な要因は利益剰余金の増加である。
以上の結果、自己資本比率は68.5%(前連結会計年度末は69.5%)となり前連結会計年度末より1.0%減少したが、安定的な財政状態を維持している。
c.キャッシュ・フロー並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度末におけるフリーキャッシュ・フローについては、新基幹システムの構築、静岡営業所建替え、総合研修センター実習設備建設等による資金の流出があったものの、営業活動による資金の流入により、黒字となった。当連結会計年度の現金及び現金同等物の期末残高は78億3千8百万円(前連結会計年度末は78億2千8百万円)となり当社グループの連結売上高を勘案すると、適正な水準を維持している。
また、当社グループの資金需要は、事業を行う上で必要となる運転資金、持続的成長のための成長投資及び配当金がある。
これらの資金は営業キャッシュ・フローを主とした内部資金を基本としているが、当社が営業活動から得られるキャッシュ・フローは季節的変動があり短期的に資金が不足した場合には金融機関からの借入にて資金調達を行っている。
借入金は安定的なキャッシュポジションを見極めながら営業活動から得られるキャッシュ・フローで返済しており、今後においても適切に調達することが可能であり、コミットメントライン契約(主要銀行と総額50億円)を含め十分な流動性を確保していると考えている。
なお、当連結会計年度末においては短期借入金の残高は無く、現時点においては長期借入金の調達は想定していない。
当社キャッシュ・フロー指標のトレンドについては下記のとおりである。
(注) 1.各指標の算出方法は以下のとおりである。
2.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出している。
3.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出している。
4.営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用している。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、リース債務を除く利子を支払っている負債を対象としている。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用している。
d.経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営に影響を与える大きな要因は、3「事業等のリスク」に記載している。