E00146 Japan GAAP
前期
3,765.6億 円
前期比
105.1%
株価
6,927 (04/22)
発行済株式数
70,864,961
EPS(実績)
371.82 円
PER(実績)
18.63 倍
前期
677.9万 円
前期比
101.0%
平均年齢(勤続年数)
38.7歳(16.5年)
従業員数
6,472人(連結:10,504人)
当社グループは、当社、その他の関係会社1社、子会社69社及び関連会社51社で構成され、設備工事業として、主に配電線工事・屋内配線工事・電気通信工事等の電気工事及び空気調和・冷暖房・給排水衛生設備・水処理工事等の空調管工事の設計・施工を行っている。
また、その他の事業として、電気工事及び空調管工事に関連する材料及び機器の販売事業、不動産販売事業、ソフト開発事業、人材派遣事業、再生可能エネルギー発電事業、環境分析・測定事業、医療関連事業、印刷事業、ビジネスホテル経営、ゴルフ場経営、商業施設の企画・運営等を行っている。
当社グループの事業に係わる位置付け及びセグメントとの関連は次のとおりである。なお、セグメントと同一の区分である。
※2022年4月1日に、鹿児島県に所在する霧島木質発電㈱の株式の一部を取得し、その子会社である霧島木質燃
料㈱とともに連結子会社としている。
※2022年6月29日に、持分法適用会社であった渥美グリーンパワー㈱が自己株式を取得したことにより持分比率
が上昇したため、連結子会社としている。
※2022年11月9日に、海外連結子会社であったKYUDENKO SOUTH EAST ASIA PTE. LTD.の清算が完了したため、連
結の範囲から除いている。
事業の系統図は次のとおりである。
(1) 経営成績
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりである。
当連結会計年度の経済情勢は、地政学的リスクの高まりにより、エネルギーをはじめとしたさまざまな財・サービスの価格が上昇する一方で、製造業を中心に国内での設備投資が増加し、景気を下支えする中で推移した。また、新型コロナウイルス感染症が事業活動に与える影響は、夏場の拡大期以降、収束しつつある。
当社グループにおいても、資材・労務価格の値上がりが顕在化するなか、複数の大型プロジェクトが発注され、施工戦力の確保や価格の交渉など難しい受注戦略が求められた。また、主に新型コロナウイルス感染症の影響により、遅れている大型メガソーラー案件の本格着工がさらに延期された。
このような経営環境のもと当社グループは、中期経営計画(2020年度~2024年度:5カ年計画)の3年目である2022年度のテーマを2021年度の総括を踏まえたうえで「環境変化に適合した業務改革の実践」と位置付け、特に大型プロジェクトの受注・施工や材料費・人件費の高騰といった、直面する最大の課題を解決するため、「業務改革の実践による生産性の向上」「材料費・人件費の高騰を反映した価格交渉の推進」に全社を挙げて注力した。
このような事業運営の結果、当連結会計年度の業績は、以下のとおりとなった。
〔連結業績〕
営業利益は、前年同期から1,054百万円減少し、32,083百万円、経常利益は、1,365百万円減少し、35,462百万円となった。
親会社株主に帰属する当期純利益は、保有していた投資有価証券の売却に伴う特別利益を計上したことなどにより前年同期から132百万円増加し、26,349百万円となった。
事業の種類別セグメントの業績は、次のとおりである。
工事受注高は、九州を中心に製造業の設備投資やデータセンターの増設などに対応しつつ、再開発に伴う大型案件や、コロナ禍の影響で発注が延期された案件の受注に向け、営業・技術部門が一体となった営業活動を展開した結果、前連結会計年度と比べ65,032百万円増加(17.3%増)し、440,507百万円となった。
売上高は、大型太陽光工事の着工遅れなどにより伸び悩んだものの、好調な受注を背景に15,914百万円増加(4.4%増)し、380,355百万円となった。
また、セグメント利益(営業利益)については、売上高は増加したものの、前年度以前に受注した比較的利益率が低い新設大型案件のウエイトの増加と、新規連結子会社の増加やDX投資、脱コロナに伴う固定費の増加により、前連結会計年度と比べ1,619百万円減少(5.3%減)し、28,908百万円となった。
売上高は、発電事業や施設運営事業が増加したことなどから、前連結会計年度と比べ3,305百万円増加(27.3%増)し、15,428百万円となった。
また、セグメント利益(営業利益)については、売上高の増加に伴い、前連結会計年度と比べ513百万円増加(20.5%増)し、3,015百万円となった。
流動資産は、現金・預金の増加などにより、前連結会計年度末と比べ61,241百万円増加し、278,220百万円となった。
固定資産は、退職給付に係る資産の増加などにより、前連結会計年度末と比べ6,773百万円増加し、168,189百万円となった。
これらの結果、資産合計は前連結会計年度末と比べ68,014百万円増加し、446,410百万円となった。
流動負債は、未成工事受入金の増加などにより、前連結会計年度末と比べ18,244百万円増加し、141,691百万円となった。
固定負債は、長期借入金の増加などにより、前連結会計年度末と比べ27,947百万円増加し、41,702百万円となった。
これらの結果、負債合計は、前連結会計年度末と比べ46,192百万円増加し、183,393百万円となった。
純資産合計は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上などにより、前連結会計年度末と比べ21,822百万円増加し、263,017百万円となった。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ26,060百万円増加し、63,851百万円となった。
営業活動の結果増加した資金は、17,386百万円(前連結会計年度比12,134百万円の収入額の増加)となった。
これは、主に売上債権の増加や棚卸資産の増加、消費税の支払いを、税金等調整前当期純利益の計上や未成工事受入金の増加が上回ったことによるものである。
投資活動の結果支出した資金は、3,113百万円(前連結会計年度比4,423百万円の支出額の減少)となった。
これは、主に投資有価証券の売却による収入を、投資有価証券の取得及び有形固定資産の取得による支出が上回ったことによるものである。
財務活動の結果増加した資金は、11,615百万円(前連結会計年度比21,807百万円の収入額の増加)となった。
これは、主に配当金の支払や長期借入金の返済による支出を、長期借入金の調達による収入が上回ったことによるものである。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。
大型プロジェクトの受注・施工と材料費・人件費の高騰といった局面にあたり、当社グループは、目標案件を確実に受注し、その工事進捗をしっかりと管理し、利益を確保することが最も重要であると判断し、当連結会計年度における最重要取り組みを「業務改革の実践による生産性の向上」「材料費・人件費の高騰を反映した価格交渉の推進」と定め、課題の解決に注力した。
また、最重要取り組み事項以外の中期経営計画の重点課題については、「新たな取り組み課題」として「環境経営の推進」を加え、環境経営やCSV経営を経営戦略に取り入れつつ、経営環境の変化に適応すべく取り組んだ。
まず、最重要取り組みとして掲げた「材料費・人件費の高騰を反映した価格交渉の推進」は、営業・技術部門が一体となり、折衝に取り組んだ結果、概ね成果が得られていると評価している。また、重点課題である、「国内設備工事の受注・収益基盤の強化・拡充」についても天神ビッグバンや首都圏再開発、半導体工場などの大型プロジェクトを順調に受注することで、受注・仕掛工事量が大きく増加しており、その成果が表れている。
一方で、最重要取り組みの一つである「業務改革の実践による生産性改革」については、仕掛工事量が大きく増加する中、時間外労働に対する働き方改革の推進が道半ばであると評価している。加えて、技術者の採用数確保や若年技術者の離職率改善、時間外労働規制への対応など、新たな課題を見据えたうえで、これまで以上に抜本的な業務改革(生産性改革)を強力に進めていく必要があると考えている。
経営環境の変化に対しては、サステナビリティ経営を推進するため、新たな取り組み課題として「環境経営の推進」を掲げ、「サステナビリティ推進委員会」及び「環境経営推進室」を設置し、当社グループの基本方針や11項目からなるマテリアリティを定めるなどの取り組みを行った。
また、「ガバナンス体制強化とコンプライアンス遵守の徹底」については、改定コーポレートガバナンスコードへの対応や「監査等委員会設置会社への移行」を実施するなど強化を図った
当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度に比べ売上高が増加したものの、減益となった。
設備工事業の売上高の増加は、好調な受注実績に伴い、仕掛工事量が大きく増加したことが要因である。
一方で、設備工事業の利益率悪化については、売上高の構成の中で、リニューアルや保守メンテナンスを中心とする中小型案件に比べ比較的利益率が低い新規大型案件のウエイトが増加したことが主な要因であると分析している。なお、新規大型案件の受注時点での想定利益率については、当連結会計年度の重点項目である「材料費・人件費の高騰を反映した価格交渉の推進」により、一定程度の水準を維持している。また、材料費高騰の影響を極小化するため、早期の資材発注を行うなど利益の圧迫抑制に努めている。加えて、新規大型案件の利益率を改善するための対策として大型案件利益向上プロジェクトを立ち上げ、利益率の改善を実現するための施策・対策を実施している。
販売管理費や工事原価に含まれる固定費の増加については、新規連結子会社の増加やDX投資、脱コロナに伴う固定費の増加によるものである。
総売上実績に対する割合が100分の10以上の相手先別の売上実績及びその割合は、次のとおりである。
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去している。
2 当社グループでは設備工事業以外は受注生産を行っていない。
3 当社グループでは生産実績を定義することが困難であるため「生産の状況」は記載していない。
なお、参考のため提出会社個別の事業の状況は次のとおりである。
設備工事業における受注工事高及び完成工事高の状況
〇 受注工事高、完成工事高及び次期繰越工事高
(注) 1 前事業年度以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注工事高にその増減額を含む。
2 次期繰越工事高は(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)である。
工事の受注方法は、特命と競争並びに九州電力送配電㈱との委託契約によるものに大別される。
(注) 百分比は請負金額比である。
(注) 1 九州電力グループとは、九州電力㈱、九州電力送配電㈱及び㈱九電送配サービスのことである。
2 完成工事のうち主なものは、次のとおりである。
前事業年度 請負金額 10億円以上の主なもの
当事業年度 請負金額 10億円以上の主なもの
3 完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりである。
〇 次期繰越工事高(2023年3月31日現在)
次期繰越工事のうち請負金額 10億円以上の主なものは、次のとおりである。
営業活動によるキャッシュ・フローについて
当連結会計年度における営業キャッシュ・フローは、17,386百万円となり、前連結会計年度に比べ、12,134百万円の収入額の増加となった。事業規模の拡大及び施工案件の大型化に伴い、運転資本は増加する傾向にあるが、日頃よりこまめな出来高請求を行うことに加え、毎月末に長期未収金の確認を行うなど貸倒れリスクの低減に努めている。また、全社で集金に取り組む集金強調期間を年2回設けるなど、キャッシュ・フロー経営の浸透を図っている。
投資活動によるキャッシュ・フローについて
当社グループは、中期経営計画の経営指標としてROICを採用し、加重平均資本コストを意識した投資を行っている。当連結会計年度における設備投資等の概要については「第3 設備の状況 1 設備投資等の概要」に、設備の新設、除却等の計画については「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載している。なお、設備工事業に係る通常の維持更新投資については、年間50億円程度を想定している。
また、再生可能エネルギー発電事業を行うSPCへの出資を行っている。
財務活動によるキャッシュ・フローについて
設備工事業に関する運転資金は、300億円程度を想定していたが、仕掛工事量の増加に伴い、増加傾向にある。一方で、ウクライナ情勢など不確実性の増大に備えるため、手元流動性の確保に努めている。
当連結会計年度において、借入金の満期返済及び仕掛工事量の増加に伴う運転資金の増加に対応するため、金融機関より資金調達を行っている。
加えて、再生可能エネルギーや脱炭素などESGへの取り組みをはじめとした投融資を主な使途とした社債発行登録を行っている。今後も、調達コストを勘案しながら、機動的に資金使途に応じた資金調達を遂行していく。
業容拡大やリスク対応に伴う棚卸資産や運転資金の回転率の低下に対しては、営業債権の回収率改善や事業外資産の見直しを行うことで対処し、営業活動及び投資活動のキャッシュ・フローを通じたROICの改善を図っていく。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に準拠して作成されている。この連結財務諸表作成に際し、当社グループ経営陣は、決算日における資産・負債の数値及び報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える様々な要因・仮定に対し、継続して可能な限り正確な見積りと適正な評価を行っている。
なお、見積り、判断及び評価は、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っているが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる可能性がある。
当社グループの会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 4 会計方針に関する事項」に記載している。個別の取引や経済事象に会計方針を適用するに当たり、現在及び将来の財政状態及び経営成績に大きな影響を与えると想定される事項は以下のとおりである。
宇久島メガソーラーについては、顧客と工事請負契約を締結しているが、当社グループは、当該契約を、財又はサービスの支配を一定期間にわたって顧客に移転するものと判断し、当連結会計年度末における見積総原価(工事原価総額)に対する発生原価の割合を、履行義務の充足に係る進捗度とし、その収益を認識している。ただし、履行義務の充足に係る進捗度を合理的に見積もることができなくなった場合において、発生する費用を回収することが見込まれるとき、あるいは、「3 事業等のリスク」に記載のとおり、コストの上昇や予期しない工事進捗の遅れにより工事原価総額が増加した場合において、不可抗力条項や保険の付保にもかかわらずその影響を工事請負契約に十分に反映できないときは、採算性が低下するリスクがある。