E00146 Japan GAAP
前期
3,957.8億 円
前期比
118.5%
株価
5,739 (07/12)
発行済株式数
70,864,961
EPS(実績)
395.36 円
PER(実績)
14.52 倍
前期
684.8万 円
前期比
102.2%
平均年齢(勤続年数)
39.0歳(16.7年)
従業員数
6,487人(連結:10,572人)
当社グループは、当社、その他の関係会社1社、子会社60社及び関連会社52社で構成され、設備工事業として、主に配電線工事・屋内配線工事・電気通信工事等の電気工事及び空気調和・冷暖房・給排水衛生設備・水処理工事等の空調管工事の設計・施工を行っている。
また、その他の事業として、電気工事及び空調管工事に関連する材料及び機器の販売事業、不動産販売事業、ソフト開発事業、人材派遣事業、再生可能エネルギー発電事業、環境分析・測定事業、医療関連事業、印刷事業、ビジネスホテル経営、ゴルフ場経営、商業施設の企画・運営等を行っている。
当社グループの事業に係わる位置付け及びセグメントとの関連は次のとおりである。なお、セグメントと同一の区分である。
(注) 1 2023年4月1日付で、霧島木質発電㈱を存続会社、霧島木質燃料㈱を消滅会社とする吸収合併を行っている。
2 2023年4月1日付で、中央理化工業㈱を存続会社、中央消防機工㈱、東京中央理化工業㈱、東京西中央理化工業㈱、埼玉中央理化工業㈱、栃木中央理化工業㈱、中央理化工業㈱(仙台)、三重中央理化工業㈱、浜松中央理化工業㈱を消滅会社とする吸収合併を行っている。
3 2023年9月27日に、㈲伊藤管工社の全株式を取得したため、連結子会社としている。
4 2023年10月1日付で、㈱鹿児島ソーラーファームを存続会社、㈱志布志メガソーラー発電を消滅会社とする吸収合併を行っている。
事業の系統図は次のとおりである。
(1) 経営成績
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりである。
当連結会計年度の建設業界は、民間の都市再開発や半導体工場建設など、旺盛な大型設備投資に支えられた堅調な需要が継続する一方で、物価の上昇、とりわけ人件費の高騰に加え、2024年度からの時間外労働上限規制に向けた労働環境整備など、施工戦力の不足が懸念される中で推移した。
当社グループにおいても、過去最大の仕掛工事量を抱えるなかで、施工面では、最適な要員体制の確立や、時間外労働の削減を進めつつ、受注面では、必要な施工戦力の確保に加え、顕在化するコスト上昇の工事価格への適正な転嫁など、難しい対応が求められた。
このような環境認識を踏まえ当社グループは、これまでの手法や考え方、仕組みなどを抜本的に見直し、グループを挙げて働き方改革を実現し、生産性を向上させることが必須であると判断し、中期経営計画4年目となる2023年度の経営基本方針のテーマを「新しい時代に向けた生産性の向上」としたうえで、働き方改革を加速させてきた。
このような事業運営の結果、当連結会計年度の業績は、以下のとおりとなった。
〔連結業績〕
営業利益は、前年同期から5,933百万円増加し、38,016百万円、経常利益は、6,899百万円増加し、42,362百万円となった。
親会社株主に帰属する当期純利益についても、持分法非適用関連会社の財務支援に関する引当金の計上や投資有価証券売却益の減少があったものの、前年同期から1,667百万円増加し、28,017百万円となった。
事業の種類別セグメントの業績は、次のとおりである。
工事受注高は、都市再開発や半導体工場、物流施設、データセンターなどの旺盛な設備投資に裏打ちされた堅調な需要に対処すべく、営業・技術の連携による要員調整を徹底し、最適要員配置を踏まえた計画的な受注活動を進めた結果、前連結会計年度と比べ357百万円増加(0.1%増)し、440,864百万円となった。
売上高は、過去最大の仕掛工事量と堅調な受注実績を背景に72,268百万円増加(19.0%増)し、452,623百万円となった。宇久島太陽光事業に関しては、事業主体である宇久島みらいエネルギー合同会社を中心に、自治体等のご意見・ご指導を仰ぎながら、漁業協同組合様を含む利害関係者の皆さまのご理解を得られるよう真摯に取り組みつつ、適切に工事の進捗管理を行ってきた。
また、セグメント利益(営業利益)については、売上高の増加に伴い、前連結会計年度と比べ5,798百万円増加(20.1%増)し、34,707百万円となった。
売上高は、不動産販売事業が増加したことなどから、前連結会計年度と比べ1,005百万円増加(6.5%増)し、16,433百万円となった。
また、セグメント利益(営業利益)については、売上高の増加に伴い、前連結会計年度と比べ224百万円増加(7.4%増)し、3,240百万円となった。
流動資産は、現金・預金の増加などにより、前連結会計年度末と比べ46,197百万円増加し、324,418百万円となった。
固定資産は、投資有価証券の時価評価による増加などにより、前連結会計年度末と比べ10,675百万円増加し、178,865百万円となった。
これらの結果、資産合計は前連結会計年度末と比べ56,873百万円増加し、503,284百万円となった。
流動負債は、一年内返済予定長期借入金の固定負債からの振替えや電子記録債務の増加などにより、前連結会計年度末と比べ53,836百万円増加し、195,527百万円となった。
固定負債は、持分法非適用関連会社の財務支援を前提とした引当金を計上したものの、長期借入金の振替えに伴う減少により、前連結会計年度末と比べ25,071百万円減少し、16,630百万円となった。
これらの結果、負債合計は、前連結会計年度末と比べ28,764百万円増加し、212,158百万円となった。
純資産合計は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上などにより、前連結会計年度末と比べ28,108百万円増加し、291,125百万円となった。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ、30,736百万円増加し、94,588百万円となった。
営業活動の結果増加した資金は、43,969百万円(前連結会計年度比26,583百万円の収入額の増加)となった。
これは、主に売上債権の増加や棚卸資産の増加、消費税の支払いを、税金等調整前当期純利益の計上や仕入債務の増加が上回ったことによるものである。
投資活動の結果支出した資金は、2,314百万円(前連結会計年度比798百万円の支出額の減少)となった。
これは、主に投資有価証券の売却による収入を、投資有価証券の取得及び有形固定資産の取得による支出が上回ったことによるものである。
財務活動の結果支出した資金は、11,032百万円(前連結会計年度比22,647百万円の支出額の増加)となった。
これは、主に配当金の支払や長期借入金の返済によるものである。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものである。
過去最大の仕掛工事量、最適要員体制の確立、時間外労働上限規制といった直面する重要課題を解決すべく、経営基本方針のテーマと最重要取り組みを「新しい時代に向けた生産性の向上(働き方改革の加速)」と定め、グループを挙げて取り組んできた。
また、かつてないスピードで変化する環境に対応していくためには、中期経営計画のロードマップで定めた再生可能エネルギー事業やDXを始めとした取り組みを進捗させつつ、環境経営やCSV経営を経営戦略として浸透させる必要があると認識し、中期経営計画に掲げる改革・課題に、「人的資本経営の推進」を追加し、これらの課題のうち、2023年度に特に注力すべき内容を、「生産性改革の実践」「人的資本経営の推進」「新たな事業領域の開拓」「サステナビリティ経営の推進」「ガバナンス体制の強化・コンプライアンスの徹底」「重要災害の撲滅」と定め、それぞれ具体的な施策を定め実行した。
具体的には、働き方改革推進室を設置し、現場従業員を中心に、長時間労働に対する意識改革を図るとともに、事務職を大型現場や事業所の技術部門に配置することで、施工管理者の業務負担を低減するための体制構築を進めた。加えて、DX推進プロジェクトの加速や施工関連業務の間接部門への業務移管を実施した。
この他にも、サステナビリティ経営を推進するため、サステナビリティ経営の重要性について全従業員に啓発活動を展開し、浸透を図るとともに、人的資本経営の実現に向けた検討に着手し、将来の経営戦略と人財戦略の在り方について議論を深めた。また、経営環境の激しい変化に伴うリスクの多様化・複雑化に対応するため、想定できるリスクを事前に把握・管理し、対策を講じ、リスク発生の未然防止と顕在化した場合の損失の最小化を図るため、全社的リスク管理の整備を行った。
一方で、技術職従業員の採用数の確保や、若年技術職従業員の離職率については、奨学金返還支援制度の導入や、個別面談を通じた悩みや課題の共有スキームの構築など様々な取り組みを講じているものの、大幅な改善までには至っていない。時間外労働についても、働き方改革推進室を中心に、上記のような具体的な対策を進めている。過去最大の仕掛工事量の影響もあり、2024年度に控える時間外労働の上限規制に対し、更なる業務改革を押し進めていく。
当連結会計年度の営業利益は、売上高の増加に伴い、増益となった。
設備工事業の売上高の増加は、堅調な受注環境を反映した高水準の受注実績と過去最大の仕掛工事量が主な要因である。
一方で、設備工事業の利益率低下については、過年度に受注した一部の低採算大型再エネ案件の影響や完成工事原価に含まれる間接人件費や物件費の増加などが主な要因であると分析している。材料費の価格上昇に対しては、㈱Q-mastと連携し早期に資材発注を行うなどその影響の抑制に努めている。また、営業・技術が一体となったフロントローディングの実施やタイムリーな追加工事の交渉に加え、コストダウン専門部隊である技術管理部による図面や原価見積りの検討など利益率改善のための施策を実施している。なお、足元の大型案件の受注時点での想定利益率については、材料費・人件費の高騰を反映した価格交渉の推進により、一定程度の水準を維持している。
販売管理費の増加は、主に、DX投資や脱コロナに伴うものである。
総売上実績に対する割合が100分の10以上の相手先別の売上実績及びその割合は、次のとおりである。
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去している。
2 当社グループでは設備工事業以外は受注生産を行っていない。
3 当社グループでは生産実績を定義することが困難であるため「生産の状況」は記載していない。
なお、参考のため提出会社個別の事業の状況は次のとおりである。
設備工事業における受注工事高及び完成工事高の状況
〇 受注工事高、完成工事高及び次期繰越工事高
(注) 1 前事業年度以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注工事高にその増減額を含む。
2 次期繰越工事高は(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)である。
工事の受注方法は、特命と競争並びに九州電力送配電㈱との委託契約によるものに大別される。
(注) 百分比は請負金額比である。
(注) 1 九州電力グループとは、九州電力㈱、九州電力送配電㈱及び㈱九電送配サービスのことである。
2 完成工事のうち主なものは、次のとおりである。
前事業年度 請負金額 10億円以上の主なもの
当事業年度 請負金額 10億円以上の主なもの
3 完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりである。
〇 次期繰越工事高(2024年3月31日現在)
次期繰越工事のうち請負金額 10億円以上の主なものは、次のとおりである。
営業活動によるキャッシュ・フローについて
当連結会計年度における営業キャッシュ・フローは、43,969百万円となり、前連結会計年度に比べ、26,583百万円の収入額の増加となった。事業規模の拡大及び施工案件の大型化に伴い、運転資本は増加する傾向にあるが、日頃よりこまめな出来高請求を行うことに加え、毎月末に長期未収金の確認を行うなど貸倒れリスクの低減に努めている。また、全社で集金に取り組む集金強調期間を年2回設けるなど、キャッシュ・フロー経営の浸透を図っている。
投資活動によるキャッシュ・フローについて
当社グループは、中期経営計画の経営指標としてROICを採用し、加重平均資本コストを意識した投資を行っている。当連結会計年度における設備投資等の概要については「第3 設備の状況 1 設備投資等の概要」に、設備の新設、除却等の計画については「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載している。なお、設備工事業に係る通常の維持更新投資については、年間50億円程度を想定している。
また、再生可能エネルギー発電事業を行うSPCへの出資を行っている。
財務活動によるキャッシュ・フローについて
設備工事業に関する運転資金は、300億円程度を想定していたが、宇久島太陽光事業の動向や仕掛工事量の大幅な増加に伴い、増加傾向にある。一方で、ウクライナや中東情勢など不確実性の増大に備えるため、手元流動性の確保に努めている。
加えて、再生可能エネルギーや脱炭素などESGへの取り組みをはじめとした投融資を主な使途とした社債発行登録を行っている。今後も、調達コストを勘案しながら、機動的に資金使途に応じた資金調達を遂行していく。
業容拡大やリスク対応に伴う棚卸資産や運転資金の回転率の低下に対しては、営業債権の回収率改善や事業外資産の見直しを行うことで対処し、営業活動及び投資活動のキャッシュ・フローを通じたROICの改善を図っていく。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に準拠して作成されている。この連結財務諸表作成に際し、当社グループ経営陣は、決算日における資産・負債の数値及び報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える様々な要因・仮定に対し、継続して可能な限り正確な見積りと適正な評価を行っている。
なお、見積り、判断及び評価は、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っているが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる可能性がある。
当社グループの会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 4 会計方針に関する事項」に記載している。個別の取引や経済事象に会計方針を適用するに当たり、現在及び将来の財政状態及び経営成績に大きな影響を与えると想定される事項は以下のとおりである。
宇久島メガソーラーについては、顧客と工事請負契約を締結しているが、当社グループは、当該契約を、財又はサービスの支配を一定期間にわたって顧客に移転するものと判断し、当連結会計年度末における見積総原価(工事原価総額)に対する発生原価の割合を、履行義務の充足に係る進捗度とし、その収益を認識している。ただし、履行義務の充足に係る進捗度を合理的に見積もることができなくなった場合において、発生する費用を回収することが見込まれるとき、あるいは、「3 事業等のリスク」に記載のとおり、コストの上昇や予期しない工事進捗の遅れにより工事原価総額が増加した場合において、不可抗力条項や保険の付保にもかかわらずその影響を工事請負契約に十分に反映できないときは、採算性が低下するリスクがある。