E00183 Japan GAAP
前期
2,092.6億 円
前期比
102.6%
株価
4,520 (04/25)
発行済株式数
33,582,009
EPS(実績)
235.75 円
PER(実績)
19.17 倍
前期
1,033.9万 円
前期比
93.4%
平均年齢(勤続年数)
42.5歳(16.0年)
従業員数
1,611人(連結:4,890人)
当社グループは、国内外にわたり、当社及び子会社31社並びに関連会社3社で構成されており、「環境システム事業」及び「塗装システム事業」を主たる事業としております。
「環境システム事業」は、主に一般事務所等に関連するビル空調設備及び工場等の生産設備や研究所等に関連する産業空調設備の設計・監理・施工並びにこれらに関連する資機材の製造・販売を行っております。
「塗装システム事業」は、主に自動車産業に関連する塗装設備の設計・監理・施工並びにこれらに関連する資機材の製造・販売を行っております。
なお、これらの事業はセグメント情報に掲げるセグメント区分と同一であります。
各事業別の市場・顧客分野は次のとおりであります。
事業の系統図は次のとおりであります。
(注) ※1 持分法非適用関連会社
2 当連結会計年度において、当社は保有するGeico S.p.A.(以下「Geico」という)の株式の一部の譲渡契約を締結し譲渡手続きが完了いたしました。これにより、Geico及びその連結子会社であるJ-CO America Corporation、J-CO Mexico,S.de R.L.de C.V.、Geico Brasil Ltda.、Geico Paint Shop India Private Limited、Geico Painting System (Suzhou) Co.,Ltd.、“Geico Russia” LLC、Geico Taikisha GmbH、Process Solution Partner Rus LLC、Geico Taikisha Controls d.o.o.を連結の範囲から除外しております。
3 当連結会計年度において、当社グループは保有するBTE Co., Ltd.の全ての株式を譲渡したため、連結の範囲から除外しております。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、これらの会計基準に基づき、決算日における資産・負債及び収益・費用の数値に影響を与える見積りが行なわれているものがあります。
会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」をご参照ください。
なお、これらの見積りにつきましては、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は異なる場合があります。
当期における世界経済は、新型コロナウイルス感染症に対する防疫と経済活動の両立が進む一方、ウクライナ危機の長期化に伴う資源価格の高騰、欧米におけるインフレ加速に伴う政策金利の引き上げ、米中の緊張関係の高まりなど、先行き不透明な状況が続きました。
米国では、雇用関係は堅調なものの、インフレの進行や金融引き締めなどを背景に、景気後退の懸念が高まりました。欧州においては、行動制限の緩和により景気は回復傾向にあったものの、エネルギー価格の高騰やロシアからのエネルギー輸入制限等が経済活動の制約となりました。中国では、2022年12月までのゼロコロナ政策により、成長が鈍化しました。東南アジアでは、新型コロナウイルスの感染状況は落ち着き、景気の回復傾向が続きました。日本経済は、行動制限の緩和により経済活動が正常化したものの、為替変動やエネルギー価格の高騰などにより、緩やかな回復基調で推移しました。
当社グループにおける市場環境につきましては、海外市場では新型コロナウイルス感染症や資源価格の高騰などの影響による不透明感があったものの、各メーカーによる設備投資は回復傾向が続きました。
一方、国内市場では電子部品や医薬品などのメーカーによる投資が好調であり、首都圏におけるオフィスビルの建設需要や自動車メーカーによる投資も堅調に推移しました。
このような状況のもと、当社グループは中長期的な成長を目指し、以下の取り組みを推進してまいりました。
環境システム事業では、付加価値を生み出し続ける事業展開の一環として、インドの連結子会社Nicomac Taikisha Clean Rooms Private Limited(2020年7月にパネル製造据付技術と空調設備技術の融合のため子会社化)への出資比率を74%から100%へ引き上げました。同社は、インドの製薬メーカーを主要顧客とし、クリーンパネル等の製造から施工(据付)まで一貫して行っておりますが、近年はインド国内への販売に留まらず、周辺国や米国等へも輸出を行っています。
インド経済は人口増加、都市化の発展、経済改革などを背景に、今後も底堅い成長が見込まれています。インドにおけるクリーンルーム市場は、現在は医薬品向けの工場が大半ですが、今後はインド政府の産業誘致・育成政策に基づく半導体・リチウムイオン電池などの製造施設向けの需要拡大も期待されます。今回の出資比率引き上げを機に、同社が持つ大手製薬メーカーへの高いブランド力と、日本で豊富な医薬品向けの工場実績を持つ当社の知見を組み合わせ、インドにおいて、付加価値が高いクリーンルーム建設市場における事業拡大戦略をいっそう推進します。
塗装システム事業では、グローバルな社会課題を意識した開発の一環として、IoT・AIを活用して自動車塗装ラインの監視・要因解析を行うシステム「i-Navistar」に、新たにエネルギーマネジメントシステム(EMS)機能の開発を進めました。
自動車塗装ラインには多種多様な設備が導入され、生産現場においては、熟練技術者の知見をもとに長時間かけてそれらのデータ分析と検証が繰り返され、不具合が発生した際の原因の特定も、多くの場合、人の手に依存している現状にあります。こうした生産性や品質上の課題解決のために、当社では、従来よりIoT・AIを活用し稼働停止及び品質不良が発生した際の要因解析を行うシステム「i-Navistar」の開発に注力してきました。今回さらに、自動車メーカー各社の脱炭素化への取り組みに貢献すべく、『無駄なエネルギーの見える化、シミュレーター機能を使った最適エネルギー管理』を目的とした塗装工場の「エネルギーマネジメントシステム(EMS)」機能の開発を進め、すでに多くの自動車メーカーから高い関心が寄せられています。
世界各地で、今後ますます脱炭素化への取り組みが加速していくに伴い、EMS機能へのニーズも高まっていくことが予想されています。こうした開発製品の高度化に引き続き取り組み、社会的課題の解決と気候変動に伴う需要の取り込みに努めてまいります。
このような状況のもと、当期における受注工事高は、国内・海外ともに増加し、2,886億70百万円(前期比24.4%増加)となり、うち海外の受注工事高は、1,359億56百万円(前期比53.4%増加)となりました。
完成工事高は、国内は増加したものの海外は減少し、2,147億93百万円(前期比2.6%増加)となり、うち海外の完成工事高は、805億56百万円(前期比20.7%減少)となりました。
利益面につきましては、完成工事総利益は330億71百万円(前期比14億56百万円増加)、営業利益は115億56百万円(前期比21億27百万円増加)、経常利益は130億1百万円(前期比21億83百万円増加)、親会社株主に帰属する当期純利益は79億17百万円(前期比6億68百万円増加)となりました。
セグメントごとの業績(セグメント間の内部取引高を含む)は次のとおりであります。
環境システム事業
受注工事高は、国内の産業空調や中国、台湾などで増加したことにより、前期を上回りました。完成工事高は国内の産業空調やタイなどで増加したことにより、前期を上回りました。
この結果、受注工事高は、2,080億78百万円(前期比30.9%増加)となりました。このうちビル空調分野は、361億88百万円(前期比16.5%減少)、産業空調分野は、1,718億89百万円(前期比48.7%増加)となりました。完成工事高は、1,718億68百万円(前期比27.9%増加)となりました。このうちビル空調分野は、453億55百万円(前期比10.7%増加)、産業空調分野は、1,265億12百万円(前期比35.4%増加)となりました。セグメント利益(経常利益)につきましては、145億99百万円(前期比52億96百万円増加)となりました。
塗装システム事業
受注工事高は、欧州で減少したものの、中国やインド、韓国などで増加し、前期を上回りました。完成工事高は、国内、欧州、北米及び中国などで減少し、前期を下回りました。
この結果、受注工事高は、805億91百万円(前期比10.1%増加)となりました。完成工事高は、429億60百万円(前期比42.6%減少)となりました。セグメント損失(経常損失)につきましては、16億6百万円(前期はセグメント利益6億67百万円)となりました。
セグメントごとの受注工事高・完成工事高(セグメント間の内部取引高を含む)
当社グループが営んでいる事業の大部分を占める設備工事業では生産実績を定義することが困難であり、設備工事業においては請負形態をとっているため販売実績という定義は実態にそぐいません。
よって、受注及び売上の状況については「セグメントごとの業績」において報告セグメントの種類に関連付けて記載しております。
なお、参考のため提出会社個別の事業の状況は次のとおりであります。
設備工事業における受注工事高及び完成工事高の状況
① 受注工事高、完成工事高及び次期繰越工事高
(注) 1 前事業年度以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注工事高にその増減額を含んでおります。したがって、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれております。
2 前事業年度の前期繰越工事高は、収益認識会計基準第84項ただし書きに定める経過的な取扱いに従い、前事業年度の期首より前に新たな会計方針を遡及適用した場合の累積的影響額を調整しております。
3 次期繰越工事高は(前期繰越工事高+当期受注工事高-当期完成工事高)であります。
4 当期受注工事高のうち海外工事の割合は、前事業年度は4.3%、当事業年度は4.5%であります。
5 前事業年度及び当事業年度における海外受注工事高はそれぞれ当期受注工事高の10%を超えていないため、主要な海外受注工事についての記載を省略しております。
② 受注工事高の受注方法別比率
工事の受注方法は、特命と競争に大別されます。
(注) 百分比は請負金額比であります。
③ 完成工事高
(注) 1 海外工事の地域別割合は、次のとおりであります。
2 完成工事のうち主なものは、次のとおりであります。
前事業年度 請負金額20億円以上の主なもの
当事業年度 請負金額25億円以上の主なもの
3 完成工事高総額に対する割合が100分の10以上の相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりであります。
前事業年度
当事業年度
④ 手持工事高 (2023年3月31日現在)
(注) 手持工事のうち請負金額45億円以上の主なものは、次のとおりであります。
当期末の流動資産は前期末に比べ9.7%増加し、1,844億67百万円となりました。これは受取手形・完成工事未収入金等が192億79百万円増加し、有価証券が30億円減少したことなどによります。
当期末の固定資産は前期末に比べ12.2%減少し、526億38百万円となりました。これは機械、運搬具及び工具器具備品が59億3百万円、投資有価証券が31億17百万円、建物・構築物が3億45百万円それぞれ減少したことなどによります。
この結果、当期末の資産合計は前期末に比べ3.9%増加し、2,371億5百万円となりました。
セグメントごとの資産は次のとおりであります。
(環境システム事業)
当連結会計年度末の流動資産は前期末に比べ49.8%増加し、1,169億52百万円となりました。これは受取手形・完成工事未収入金等が306億64百万円、現金預金が67億87百万円それぞれ増加したことなどによります。
当連結会計年度末の固定資産は前期末に比べ8.8%減少し、286億13百万円となりました。これは投資有価証券が21億94百万円、のれんが3億68百万円、建物・構築物が3億25百万円、機械、運搬具及び工具器具備品が3億20百万円それぞれ減少したことなどによります。
その結果、当連結会計年度末の資産合計は前期末に比べ33.0%増加し、1,455億65百万円となりました。
(塗装システム事業)
当連結会計年度末の流動資産は前期末に比べ32.1%減少し、371億41百万円となりました。これは受取手形・完成工事未収入金等が174億46百万円減少したことなどによります。
当連結会計年度末の固定資産は前期末に比べ24.2%減少し、121億61百万円となりました。これは機械、運搬具及び工具器具備品が24億97百万円、投資有価証券が9億23百万円それぞれ減少したことなどによります。
その結果、当連結会計年度末の資産合計は前期末に比べ30.3%減少し、493億3百万円となりました。
当期末の流動負債は前期末に比べ17.2%増加し、959億40百万円となりました。これは未成工事受入金が164億4百万円、支払手形・工事未払金等が83億69百万円それぞれ増加し、短期借入金が125億93百万円減少したことなどによります。
当期末の固定負債は前期末に比べ40.8%減少し、91億72百万円となりました。これは長期借入金が55億7百万円、繰延税金負債が8億42百万円それぞれ減少したことなどによります。
この結果、当期末の負債合計は前期末に比べ8.0%増加し、1,051億12百万円となりました。
当期末の純資産合計は前期末に比べ0.9%増加し、1,319億92百万円となりました。これは、為替換算調整勘定が27億61百万円、自己株式の取得及び消却により13億85百万円、利益剰余金が4億3百万円それぞれ増加し、資本剰余金が15億17百万円、その他有価証券評価差額金が13億72百万円、退職給付に係る調整累計額が5億26百万円それぞれ減少したことなどによります。
当期末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前期末に比べ48億45百万円減少し、439億46百万円(前期末は487億91百万円)となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、売上債権の増加などにより減少したものの、税金等調整前当期純利益の計上や仕入債務の増加、未成工事受入金の増加などにより、48億6百万円の資金増加(前期は85億44百万円の資金減少)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却による収入などにより増加したものの、有形及び無形固定資産の取得による支出や連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による支出などにより、17億48百万円の資金減少(前期は10億71百万円の資金減少)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の純増減額や配当金の支払額、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出などにより、98億22百万円の資金減少(前期は60億円の資金増加)となりました。
設備工事等のための材料費、労務費、外注費、経費、販売費及び一般管理費等の営業費用並びに業務改革、技術開発、情報化投資、海外拠点の拡充など当社グループの市場競争力強化のための投資等に資金を充当しております。
主として営業活動により稼得した資金のほか、金融機関等からの借り入れにより、必要資金を調達しております。また、運転資金の効率的な調達を行うため、主要取引銀行と貸出コミットメント契約を締結しております。
連結財務諸表を作成するにあたり、在外連結子会社の財務諸表を換算しているため、為替相場の変動により、総資産、キャッシュ・フロー、完成工事高及び経常利益に影響を受けております。主に米ドル、タイバーツ、中国元及びインドルピーの為替の変動が大きく影響しております。
主な在外連結子会社における完成工事高及び経常利益に与える為替変動による影響
(注) *1 子会社3社を含んだ連結数値
*2 子会社6社を含んだ連結数値
*3 換算レートは第77期及び第78期における期中平均レート