E05676 Japan GAAP
前期
632.8億 円
前期比
124.9%
株価
406 (04/25)
発行済株式数
21,611,000
EPS(実績)
23.39 円
PER(実績)
17.36 倍
前期
617.8万 円
前期比
100.4%
平均年齢(勤続年数)
47.7歳(7.7年)
従業員数
25人(連結:13,885人)
当社グループの報告セグメントは、ヒューマンソリューション(HS)事業、エレクトロニクスマニュファクチャリングサービス(EMS)事業、パワーサプライ(PS)事業の3つで構成されています。
製造派遣・製造請負を柱とするHS事業は、当社グループの原点であり、日本マニュファクチャリングサービス株式会社を母体とし、事業を開始しました。事業の裾野をモノづくりへと広げる中、HS事業とシナジーが活かせる技術ノウハウの獲得を目的に、2010年7月に株式会社志摩電子工業およびそのグループ会社を、2011年7月に株式会社テーケィアール(現・株式会社TKR)およびそのグループ会社を経営統合し、EMS事業を発足させました。2014年10月には、開発、設計といった製造における上流プロセス機能および技術力の確保を目的に、パナソニック株式会社(現・パナソニックホールディングス株式会社)から一般電源事業を譲り受け、パワーサプライテクノロジー株式会社においてPS事業を発足させました。これにより、人材派遣および製造請負を展開するHS事業、電子・電気機器の製造受託を行うEMS事業に加え、電源関連製品の開発から設計、製造、販売まで行うメーカー機能としてPS事業を有する、独自性ある事業体となりました。
2017年4月には、持株会社体制へ移行し、HS事業は「日本マニュファクチャリングサービス株式会社」が事業承継し、グループ事業統括・経営管理を担う「nms ホールディングス株式会社」と、個別事業を担う「事業会社」の機能をより明確にした事業構造となっています。
なお、当社は有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、これによりインサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。
各事業の概要は以下のとおりです。
(1)HS事業
HS事業は、国内/海外におけるマニュファクチャリングサービス全般を日本・中国・ASEAN諸国にて展開しています。お客様のニーズに合わせ、機動的な人材確保に加え、グループ内EMS事業の省力化ノウハウを活かした生産効率向上の複合提案も行っています。また、研修施設や日本語教育システムなどを活用し、外国人材定着支援サービスも展開しています。主な事業内容は以下のとおりです。
国内/海外におけるマニュファクチャリングサービス全般
・製造事業(受託・請負・派遣・紹介)
・生産系エンジニアリング事業(受託・派遣・紹介)
・IT・設計開発エンジニアリング事業(受託・派遣・紹介)
・テクニカルサービス事業(各種リペア・リワーク・解析等/カスタマーサービス全般)
・ロジスティクスサービス事業(3PL/流通加工/派遣)
・外国人技能実習制度に関わる入国後教育研修の受託および実習生受け入れ先への業務支援
(2)EMS事業
EMS事業は、実装・プレス・成型・完成品組み立て、さらには、試作、部品調達、検査など広範囲にわたるノウハウを有し、高い実装品質と低コストの生産ライン構築で、一貫生産・量産はもちろんのこと、プロセス単体・少量多品種など、お客様のニーズへの機動的な生産対応を行っています。海外においては、中国、マレーシア、ベトナムに生産拠点を展開しており、2018年12月には米国・テキサス州に拠点を設立、2019年3月31日にはソニー株式会社(現・ソニーグループ株式会社)から同社米国法人Sony Electronics Inc.の事業部門Sony Service and Operations of Americasの機能および事業、ならびにメキシコ生産拠点を事業譲受するなど、グローバル事業体制の拡充を図っています。主な事業内容は以下のとおりです。
・電子機器製造受託サービス(基板実装、基板組立、簡易プレス、樹脂成型、組立 等)
・電子機器修理サービス
・車載関連機器・部品の設計・開発・製造
・お客様とのシェアリングビジネス、これにかかる設計・開発・営業
・スタートアップソリューション事業
・3Dプリンター事業(設計および製造、販売、修理、保守)
(3)PS事業
PS事業は、電源専業メーカーとして、「安全・安心」を追求した電源・電源関連部品をお客様に提供しています。日本および中国において拠点展開する一方、新たな事業の柱として、主軸の電源・電源関連部品に加え、クルマや産業機器類の「電動化」に対応するEV関連製品を開発し、新規分野への参入を行っています。主な事業内容は以下のとおりです。
・カスタム電源(スイッチング電源、高圧電源)の開発・設計・製造・販売
・マグネットロールの開発・設計・製造・販売
・各種トランス(スイッチングトランス、高圧トランス)の開発・設計・製造・販売
・電池マネジメントシステム関連製品の開発・設計・製造・販売
以下に、各事業の事業系統図を記載いたします。
※画像省略しています。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりです。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものです。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、感染症対策と経済活動の両立が進展する中、ウクライナ情勢の長期化や中国における感染症再拡大による景気への影響、また、インフレリスクに対応した欧米諸国での政策金利の引き上げやこれに伴う急激な為替変動など、景気の先行きは依然として不透明な状況が続きました。
わが国経済においても、感染症に伴う行動制限や入国制限の緩和により持ち直しの動きがみられるものの、原材料・エネルギー価格の高騰や世界的な金融引き締め下における為替市場の急激な円安進行など、経済活動への影響や物価上昇等、景気後退局面への転換懸念により先行き不透明な状況が続いています。
このような状況のもと、当社グループは、事業基盤の強化を図るべく、グループ全体で合理化、効率化を徹底的に進め、事業効率のよい体制への転換や抜本的コスト構造改革を行ってまいりました。加えて、製造請負事業の強化や新市場への参入、海外製造拠点における生産性改善など、各事業とも売上確保および収益性への取り組みを着実に進めてまいりました。
これらの結果、当連結会計年度の業績は、売上高は79,033百万円(前年同期比24.9%増)となり、営業利益は1,537百万円(前年同期は361百万円の損失)となりました。また、経常利益も営業利益の増加等により1,426百万円(前年同期は122百万円の利益)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は北米EMS事業における事業構造改革費用198百万円を特別損失に計上したこともあり505百万円(前年同期は1,980百万円の損失)となりましたが、前年同期に対し大幅な業績改善となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ2,065百万円減少し3,041百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。また、現金及び現金同等物に係る換算差額が332百万円増加しております。
「営業活動によるキャッシュ・フロー」は、253百万円の支出(前年同期は1,550百万円の支出)となりました。主なプラス要因は、税金等調整前当期純利益1,166百万円(前年同期は1,586百万円の損失)、減価償却費1,442百万円(前年同期は1,514百万円)、仕入債務の増加額1,424百万円(前年同期は892百万円の増加)等となり、主なマイナス要因は、為替差益417百万円(前年同期は486百万円の為替差益)、売上債権の増加額377百万円(前年同期は1,008百万円の増加額)、棚卸資産の増加額3,636百万円(前年同期は2,184百万円の増加額)等によるものです。
「投資活動によるキャッシュ・フロー」は、1,613百万円の支出(前年同期は926百万円の支出)となりました。主なプラス要因は定期預金の払戻による収入43百万円(前年同期は4百万円の収入)等となり、主なマイナス要因は、有形固定資産の取得による支出1,572百万円(前年同期は1,051百万円の支出)、無形固定資産の取得による支出65百万円(前年同期は208百万円の支出)等によるものです。
「財務活動によるキャッシュ・フロー」は、530百万円の支出(前年同期は2,601百万円の収入)となりました。主なプラス要因は、短期借入金の純増額554百万円(前年同期は3,945百万円の純増額)、長期借入れによる収入2,660百万円(前年同期は300百万円の収入)、セール・アンド・リースバックによる収入338百万円(前年同期は25百万円の収入)等となり、主なマイナス要因は、長期借入金の返済による支出3,390百万円(前年同期は848百万円の支出)、ファイナンス・リース債務の返済による支出614百万円(前年同期は347百万円の支出)等によるものです。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当社グループは、製造アウトソーシング事業を主な事業として営んでいます。HS事業につきましては、その大部分が、請負業務・派遣業務であり、重要性が乏しいため、記載を省略しています。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
前年度比(%) |
EMS事業 (千円) |
36,179,198 |
134.05 |
PS事業 (千円) |
14,808,222 |
133.57 |
合計(千円) |
50,987,421 |
133.91 |
(注)金額は、製造原価によっています。
b. 受注実績
当社グループは、受注から生産までの期間が短く受注管理を行う必要性が乏しく、受注実績と販売実績の差異が僅少のため、受注実績の記載を省略しています。
c. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりとなります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
前年度比(%) |
HS事業 (千円) |
23,260,347 |
105.30 |
EMS事業 (千円) |
38,157,270 |
134.35 |
PS事業 (千円) |
17,615,925 |
137.75 |
合計(千円) |
79,033,542 |
124.90 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しています。
2.主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が10%以上の相手先がいないため記載を省略しています。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2023年6月22日)現在において判断したものです。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度においては、感染症対策と経済活動の両立が進展する中、ウクライナ情勢の長期化や中国における感染症再拡大による景気への影響、また、インフレリスクに対応した欧米諸国での政策金利の引き上げやこれに伴う急激な為替変動など、景気の先行きは依然として不透明な状況であったものの需要は底堅く、売上高は79,033百万円(前年同期比24.9%増)の増収となりました。利益につきましても、グループ全体で合理化、効率化を徹底的に進め、事業効率のよい体制への転換や抜本的コスト構造改革を行った成果に加え、製造請負事業の強化や新市場への参入、海外製造拠点における生産性改善、また、部材価格高騰に伴う売価是正や、不採算取引からの撤退なども行い、収益性改善への取り組みを着実に進め、営業利益は1,537百万円(前年同期は361百万円の損失)となり大幅に改善し、経常利益も営業利益の増加に加え、為替差益の発生もあり、1,426百万円(前年同期は122百万円の利益)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益については、北米EMS事業の基盤強化を目的とした事業構造改革費用198百万円を特別損失に計上したこともあり、505百万円(前年同期は1,980百万円の損失)となりました。
■資産・負債及び純資産
1)資産
当連結会計年度末の資産合計は38,932百万円となり、前連結会計年度末に比べ、4,090百万円増加しました。
流動資産合計は30,020百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,671百万円増加いたしました。これは主に、現金および預金が2,074百万円減少したものの、売掛金が1,280百万円、製品が373百万円、原材料及び貯蔵品が3,826百万円増加したことによるものです。
固定資産合計は8,885百万円となり、前連結会計年度末に比べ431百万円増加いたしました。これは主に有形固定資産が392百万円増加したことによるものです。
繰延資産は26百万円となり、前連結会計年度末に比べ13百万円減少いたしました。
2)負債及び純資産
当連結会計年度末の負債合計は36,417百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,269百万円増加いたしました。
流動負債合計は28,519百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,185百万円増加いたしました。これは主に支払手形及び買掛金が2,228百万円増加したことによるものです。
固定負債合計は7,898百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,083百万円増加いたしました。これは主に長期借 入金が1,878百万円増加したことによるものです。
純資産合計は2,514百万円となり、前連結会計年度末に比べ179百万円減少いたしました。これは主に利益剰余金 が42百万円増加したものの、為替換算調整勘定が222百万円減少したことによるものです。
以上の結果、自己資本比率は、1.3ポイント低下し6.4%となりました。
持続的成長をめざす中、その基盤となる財務体質の改善は重要課題と認識しており、中期経営計画においてキャッシュマネジメントを強化、有利子負債の削減を計画しております。
具体的には、質が伴った事業収益創出基盤とすべく、運転資本マネジメントを強化し、キャッシュを生み出す仕組みの定着を進めます。これらにより、有利子負債の削減を進め、社外流出キャッシュの抑制を図るとともに、投資の採算性、効率性のモニタリングを強化し、投資回収までの効率を高め、フリーキャッシュ・フロー創出への取り組みを強化してまいります。
(単位:百万円) |
前連結会計年度末 |
当連結会計年度末 |
増減 |
|
流動資産 |
26,349 |
30,020 |
3,671 |
|
固定資産 |
8,453 |
8,885 |
431 |
|
|
有形固定資産 |
6,697 |
7,089 |
392 |
|
無形固定資産 |
722 |
651 |
△70 |
|
投資その他の資産 |
1,033 |
1,143 |
109 |
繰延資産 |
39 |
26 |
△13 |
|
資産合計 |
34,842 |
38,932 |
4,090 |
|
負債合計 |
32,148 |
36,417 |
4,269 |
|
|
流動負債 |
26,333 |
28,519 |
2,185 |
|
固定負債 |
5,814 |
7,898 |
2,083 |
純資産合計 |
2,693 |
2,514 |
△179 |
|
負債・純資産合計 |
34,842 |
38,932 |
4,090 |
■売上高・利益
1)売上高
売上高は、感染症の影響からの挽回生産や事業拡大に向けた施策効果もあり、前年同期比24.9%増の79,033百万円となりました。
国内売上高は、前年度比2.4%増の28,491百万円、海外売上高は前年同期比42.5%増の50,542百万円となりました。感染症拡大影響や自動車・半導体関連を中心とした部品不足等による減産影響はありましたが、全体として需要は堅調に推移、感染症影響からの挽回生産やこれまで進めてきた事業規模拡大のための施策効果により、新規受注の立ち上げや量産開始等により、販売が大幅に増加しました。海外売上高比率については前連結会計年度の56.1%から7.9ポイント増加し、64.0%となりました。
2)売上原価、販売費及び一般管理費、営業利益
売上原価は、売上高の増加による影響もあり前年同期比24.2%増の70,231百万円となりましたが、収益確保に向けた施策の実行により売上原価対売上高比率は前年同期比0.5ポイント減の88.9%となり、売上総利益は前年同期比31.0%増の8,802百万円となりました。
販売費及び一般管理費はコスト構造改革の影響はあったものの、主に海外における物流コストの上昇等により、前年同期比2.6%増の7,264百万円となり、販売費及び一般管理費対売上高比率は、前年同期比2.0ポイント減の9.2%となりました。
この結果、営業利益は前年同期比1,898百万円増の1,537百万円となりました。
3)経常利益、税金等調整前当期純利益、親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度の経常利益は前年同期比1,303百万円増の1,426百万円となりました。
受取利息及び受取配当金から支払利息、社債関連費用を控除した金融収支の純額費用は、前連結会計年度から173百万円費用が増加し、378百万円の負担となりました。
また、営業外収益においては、主に海外子会社へのグループ内貸付金に対する為替差益の発生が前連結会計年度から361百万円減少し336百万円となったこと等により、前年同期比339百万円減の457百万円となりました。
営業外費用については、支払利息が前連結会計年度から177百万円増加し384百万円となったこと等により、前年同期比255百万円増の568百万円となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、特別損失として前連結会計年度に発生した減損損失(1,433百万円)が当連結会計年度は発生しなかったこと等により、前年同期比2,485百万円増の505百万円となりました。
当連結会計年度に実施した事業構造改革の効果や需要拡大等を背景に次年度も引き続き経営基盤の強化を図りながら、当期純利益の増加につなげてまいります。
(単位:百万円) |
前連結 会計年度 |
当連結会計年度 |
||
実績 |
前年度比 |
主なポイント |
||
売上高 |
63,277 |
79,033 |
24.9% |
HS事業 :感染症拡大や部品不足による稼働影響等が残ったものの、基盤強化策実行を進め収益性改善、海外では在籍人数の増加に加え、請負・受託の利益率改善効果もあり、前年同期に対し増収増益 EMS事業:お客様の減産や部材価格高騰の影響が残ったものの、需要は堅調に推移、中国やベトナムでの事業規模拡大により大幅に増収、生産性改善やコスト構造見直し等の成果もあり通期で黒字化 PS事業 :お客様の挽回生産の動きもあり、需要は堅調に推移、部材価格高騰に伴う売価是正や部材調達ソース拡大等、収益確保に向けた施策を着実に実行し増収増益 [経常利益] 営業外収益 457百万円(前年同期比 339百万円減) 営業外費用 568百万円(前年同期比 255百万円増)
[特別利益] 6百万円(前年同期比 29百万円減) [特別損失] 266百万円(前年同期比 1,478百万円減) |
営業利益 |
△361 |
1,537 |
- |
|
経常利益 |
122 |
1,426 |
- |
|
親会社株主に 帰属する当期純利益 |
△1,980 |
505 |
- |
■当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因
当連結会計年度は、感染症による影響に加え、半導体関連をはじめとする部品不足や部材価格の高騰および物流コスト上昇等による影響があり、ウクライナ情勢の長期化や中国の経済成長率の減速、インフレリスクに対応した欧米諸国での政策金利引き上げおよびこれに伴う急激な為替変動等、景気は先行き不透明な状況が続きました。
また、当連結会計年度第2四半期後半から部品不足が緩和傾向に転じ、中国を中心にお客様の挽回生産の動きが活発となり、当社グループ事業においても生産量が増加しましたが、2023年に入り欧州における政策金利引き上げが実行されたことを機に、個人消費の減退を見込む動きが顕著となり、翌連結会計年度は当連結会計年度の挽回生産のあおりもあり、上半期は在庫調整が続く様相です。
このように、今後も不透明な事業環境が続く様相ですが、業績の変動要因となる、部品・部材調達リスクおよび為替変動リスクについては、以下の取り組みを行ってまいります。
1)部品・部材調達リスクについて
製造業各社においてグローバルでサプライチェーンの見直しが進められているものの、当連結会計年度におい
ては、最先端の部材だけでなく、多岐にわたる部品・部材が調達難となった状況を踏まえ、これらの影響を最
小限に抑えるため、部材調達リソースの多様化、顧客の生産変動に即応する当社グループのサプライチェーン
マネジメントを強化し、グループ全体で機動的かつ柔軟に対応できる体制を高度化させてまいります。
2)為替変動について
当社グループはすべての事業セグメントにおいて、グローバル市場におけるビジネスを展開しており、為替変
動リスクの構成要素である、グループ各社の為替持ち高(エクスポージャー)の圧縮を進めます。為替持ち高
の圧縮は外貨建て資産・負債の増減により一定程度の圧縮が可能であり、金融取引・商取引の双方からの取り
組みを進め、為替変動リスクの抑制に努めてまいります。
■セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識および分析・検討内容
セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりです。
HS事業
国内事業については、感染症拡大や半導体関連等の部品不足によるお客様の稼働影響等が残りましたが、既存取引における原価率の改善や適正販管費の管理強化等、基盤強化策の実行を進め収益性改善に努めました。海外事業においても、中国ロックダウン等感染症関連の影響はありましたが、新規顧客の獲得や既存取引のシェア拡大による在籍人数増加に加え、ベトナムでの請負・受託の利益率改善の効果もあり、前年同期に対し増収増益となり、全体として業績が大幅に改善致しました。
この結果、当セグメントの売上高は、23,260百万円(前年同期比5.3%増)、セグメント利益は、1,066百万円 (前年同期比64.8%増)となりました。
EMS事業
EMS事業は、中国・ASEAN・北米において生産活動を展開しており、戦略投資の実行期にあります。当連結会計年度においては、感染症再拡大に伴う各国政府方針によるロックダウン影響や部品不足等によるお客様の生産計画変更等の影響があったものの需要は堅調に推移し、中国における新規受注の立ち上げやベトナムにおける量産開始等、事業規模拡大により大幅な増収となりました。利益面では、生産性改善やコスト構造見直しの成果もあり前年同期に対し利益改善となりましたが、北米EMS事業における顧客の減産影響や部材価格高騰による製造コストの増加の影響がありました。しかしながら、北米EMS事業は当社グループの市場領域拡大を担う重点施策であり、お客様からの引き合いも順調に増えており、業績改善に向け引き続き基盤強化策の実行を進めてまいります。
この結果、当セグメントの売上高は、38,157百万円(前年同期比34.4%増)、セグメント利益は、330百万円 (前年同期は536百万円の損失)となりました。
PS事業
PS事業は、第2四半期連結累計期間まで、中国ロックダウンによる稼働影響やサプライチェーンの混乱、部品不足や部材価格および物流コストの上昇など、感染症拡大による影響を受けたものの、第3四半期連結会計期間に入り部品不足が緩和傾向となり、お客様が挽回生産に転じたことや為替による影響もあり、大幅な増収となりました。利益面では、売上の増加に加え、部材価格高騰に伴う売価の是正や部材調達ソースの拡大等により、安定した生産活動および収益確保に向けた施策を着実に実行しました。
この結果、当セグメントの売上高は、17,615百万円(前年同期比37.8%増)、セグメント利益は、637百万円 (前年同期は1百万円の利益)となりました。
(単位:百万円) |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
前年度比 |
|
HS事業 |
売上高 |
22,088 |
23,260 |
5.3% |
セグメント利益 |
647 |
1,066 |
64.8% |
|
EMS事業 |
売上高 |
28,400 |
38,157 |
34.4% |
セグメント利益 |
△536 |
330 |
- |
|
PS事業 |
売上高 |
12,788 |
17,615 |
37.8% |
セグメント利益 |
1 |
637 |
- |
|
調整額 |
セグメント利益 |
△473 |
△496 |
- |
合計 |
売上高 |
63,277 |
79,033 |
24.9% |
セグメント利益 |
△361 |
1,537 |
- |
■設備投資および減価償却費
当社グループは、グローバル市場における次の成長機会の創出および事業競争力強化に向け、戦略投資を行っています。
当連結会計年度の設備投資額は、前年度比28.2%増の1,663百万円となりました。これは、主にEMS事業及びPS事業にて実施した、海外生産拠点における能力拡充及び合理化を目的とした設備投資によるものです。
また、当連結会計年度の減価償却費は、前年度比4.8%減の1,442百万円となりました。
翌連結会計年度以降の設備投資(新規・拡充)については、先行き不透明な事業環境が続いている状況であり、戦略投資を継続する方針を維持するものの、投資内容および投資実行のタイミングについては案件ごとに投資後の事業環境や将来キャッシュ・フローによる回収期間の見極め等を行ったうえで判断を行っていきます。そのうえで、既存・新規を問わず、実行していく投資案件については、投下資本利益率(ROI)の引き上げを行い、投資効果の早期発現をめざします。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループにおける営業活動によるキャッシュ・フローは、事業活動の資金需要、設備投資資金のための基本的財源となっています。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ2,065百万円減少し3,041百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況は「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
当社グループのキャッシュ・フローの状況に影響を与える事項として、売上債権及び棚卸資産等による運転資金の変動、また、戦略投資の実行があります。
営業キャッシュ・フローにおいては、前連結会計年度は、税金等調整前当期純損失の計上に加えて、生産増や部材不足に向けた対応等による増加運転資金の発生により1,550百万円の支出となりましたが、当連結会計年度は、税金等調整前当期純利益の計上もあり、主に棚卸資産の増加による増加運転資金の発生はありましたが、253百万円の支出となりました。
引き続き収益性の改善とともに適正な売上債権、在庫水準管理に取り組む体制を強化し、キャッシュ・フロー・マージンの向上を図ってまいります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、主にEMS事業及びPS事業における能力拡充及び合理化を目的とした設備投資の実行により1,613百万円の支出(前年同期は926百万円の支出)となり、財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金やリース債務の返済等により530百万円の支出(前年同期は2,601百万円の収入)となりました。
今後は運転資本マネジメントを強化し、投資の見極めおよび投資効果の刈り取り等を行いながら、キャッシュマネジメントを強化してまいります。
(単位:百万円) |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
|
|
税金等調整前当期純利益 |
△1,586 |
1,166 |
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減価償却費 |
1,514 |
1,442 |
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運転資金の増減 |
△2,300 |
△2,590 |
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その他 |
△611 |
△273 |
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営業キャッシュ・フロー |
△1,550 |
△253 |
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固定資産の取得・売却 |
△881 |
△1,632 |
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その他 |
△44 |
18 |
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投資キャッシュ・フロー |
△926 |
△1,613 |
フリーキャッシュ・フロー |
△2,476 |
△1,867 |
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借入金の増減 |
3,396 |
△176 |
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配当金支払 他 |
△795 |
△354 |
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財務キャッシュ・フロー |
2,601 |
△530 |
現金及び現金同等物期末残高 |
5,106 |
3,041 |
資本の財源および資金の流動性の分析
当社の資金需要の主なものは運転資金、設備資金および法人税等の支払です。これに対しては、営業キャッシュ・フローから産み出した内部資金の活用を優先し、内部資金では不足する場合に外部からの借入や資本性の資金調達で対応することを原則としています。
借入を行なう場合は、低コスト、長短のバランスの勘案、安定的な資金確保を方針としています。長短のバランスについては、運転資金等の短期資金需要については短期借入金で、設備資金やM&Aなどの長期資金需要については長期借入金で調達を行なうこととしています。
当連結会計年度においては、運転資金を中心に786百万円の借入による資金調達(純増額)を行ないました。
グループにおける資金調達は当社(持株会社)に原則一元化し資金効率を高めるようにし、グループ会社の運営資金は、事業戦略に基づき必要と判断した額を、取締役会で決議の上、貸付を行っています。
なお、2024年3月期から新規事業による投資回収も始まる計画であり、引き続き運転資本の改善を図り借入金を減少させ、これにより自己資本比率等の財務体質改善をめざします。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載されているとおりです。連結財務諸表の作成においては、過去の実績やその時点で合理的と考えられる情報に基づき、会計上の見積りを行っております。重要な資産の評価基準および評価方法、重要な減価償却資産の減価償却の方法、重要な引当金の計上基準等において、継続性・網羅性・厳格性を重視して処理計上しており、繰延税金資産につきましては、将来の回収可能性を十分に検討したうえで計上しております。
特に、有形固定資産および無形固定資産の減損損失については重要な会計上の見積りが必要となります。当該見積りおよび仮定の不確実性の内容やその変動により経営成績等に生じる影響などは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。