売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率

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最終更新:

E05676 Japan GAAP

売上高

728.7億 円

前期

790.3億 円

前期比

92.2%

時価総額

91.0億 円

株価

421 (07/12)

発行済株式数

21,611,000

EPS(実績)

34.10 円

PER(実績)

12.34 倍

平均給与

675.7万 円

前期

620.5万 円

前期比

108.9%

平均年齢(勤続年数)

48.4歳(7.9年)

従業員数

26人(連結:11,855人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

 当社グループの報告セグメントは、ヒューマンソリューション(HS)事業、エレクトロニクスマニュファクチャリングサービス(EMS)事業、パワーサプライ(PS)事業の3つで構成されています。

製造派遣・製造請負を柱とするHS事業は、当社グループの原点であり、日本マニュファクチャリングサービス株式会社を母体とし、事業を開始しました。事業の裾野をモノづくりへと広げる中、HS事業とシナジーが活かせる技術ノウハウの獲得を目的に、2010年7月に株式会社志摩電子工業およびそのグループ会社を、2011年7月に株式会社テーケィアール(現・株式会社TKR)およびそのグループ会社を経営統合し、EMS事業を発足させました。2014年10月には、開発、設計といった製造における上流プロセス機能および技術力の確保を目的に、パナソニック株式会社(現・パナソニックホールディングス株式会社)から一般電源事業を譲り受け、パワーサプライテクノロジー株式会社においてPS事業を発足させました。これにより、人材派遣および製造請負を展開するHS事業、電子・電気機器の製造受託を行うEMS事業に加え、電源関連製品の開発から設計、製造、販売まで行うメーカー機能としてPS事業を有する、独自性ある事業体となりました。

2017年4月には、持株会社体制へ移行し、HS事業は「日本マニュファクチャリングサービス株式会社」が事業承継し、グループ事業統括・経営管理を担う「nms ホールディングス株式会社」と、個別事業を担う「事業会社」の機能をより明確にした事業構造となっています。

なお、当社は有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、これによりインサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。

各事業の概要は以下のとおりです。

 

(1)HS事業

HS事業は、国内/海外におけるマニュファクチャリングサービス全般を日本・中国・ASEAN諸国にて展開しています。お客様のニーズに合わせ、機動的な人材確保に加え、グループ内EMS事業の省力化ノウハウを活かした生産効率向上の複合提案も行っています。また、研修施設や日本語教育システムなどを活用し、外国人材定着支援サービスも展開しています。主な事業内容は以下のとおりです。

国内/海外におけるマニュファクチャリングサービス全般

・製造事業(受託・請負・派遣・紹介)

・生産系エンジニアリング事業(受託・派遣・紹介)

・IT・設計開発エンジニアリング事業(受託・派遣・紹介)

・テクニカルサービス事業(各種リペア・リワーク・解析等/カスタマーサービス全般)

・ロジスティクスサービス事業(3PL/流通加工/派遣)

・外国人技能実習制度に関わる入国後教育研修の受託および実習生受け入れ先への業務支援

 

(2)EMS事業

EMS事業は、実装・プレス・成型・完成品組み立て、さらには、試作、部品調達、検査など広範囲にわたるノウハウを有し、高い実装品質と低コストの生産ライン構築で、一貫生産・量産はもちろんのこと、プロセス単体・少量多品種など、お客様のニーズへの機動的な生産対応を行っています。海外においては、中国、マレーシア、ベトナムに生産拠点を展開しており、2018年12月には米国・テキサス州に拠点を設立、2019年3月31日にはソニー株式会社(現・ソニーグループ株式会社)から同社米国法人Sony Electronics Inc.の事業部門Sony Service and Operations of Americasの機能および事業、ならびにメキシコ生産拠点を事業譲受するなど、グローバル事業体制の拡充を図っています。主な事業内容は以下のとおりです。

・電子機器製造受託サービス(基板実装、基板組立、簡易プレス、樹脂成型、組立 等)

・電子機器修理サービス

・車載関連機器・部品の設計・開発・製造

・お客様とのシェアリングビジネス、これにかかる設計・開発・営業

・スタートアップソリューション事業

・3Dプリンター事業(設計および製造、販売、修理、保守)

 

(3)PS事業

 PS事業は、電源専業メーカーとして、「安全・安心」を追求した電源・電源関連部品をお客様に提供しています。日本および中国において拠点展開する一方、新たな事業の柱として、主軸の電源・電源関連部品に加え、クルマや産業機器類の「電動化」に対応するEV関連製品を開発し、新規分野への参入を行っています。主な事業内容は以下のとおりです。

 

 

・カスタム電源(スイッチング電源、高圧電源)の開発・設計・製造・販売

・マグネットロールの開発・設計・製造・販売

・各種トランス(スイッチングトランス、高圧トランス)の開発・設計・製造・販売

 

以下に、各事業の事業系統図を記載いたします。

※画像省略しています。

 

24/06/25

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりです。

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものです。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における世界経済は、各地域におけるコロナ禍からの経済活動の正常化への流れが継続する一方で、長期化するウクライナ情勢や中東情勢の緊迫が継続、欧州での金融引き締めによる内需の落ち込みや不動産不況が長引く中国経済の先行き懸念等、依然として先行きが不透明な状況が続きました。

わが国経済においてもコロナ禍から経済社会活動の正常化が進み、個人消費やインバウンド需要の回復等により景気は緩やかな回復基調となりましたが、資源・原材料価格の上昇や円安による物価上昇、海外景気の下振れ懸念や地政学リスクの高まり等、引き続き注視が必要な状況にあります。

このような状況のもと、当社グループは、事業基盤の強化を図るべく、グループ全体で合理化、効率化を徹底的に進め、事業効率のよい体制への転換や抜本的コスト構造改革を行ってまいりました。加えて、製造請負事業の強化やEMS事業、PS事業における新市場への参入、海外製造拠点における生産性改善等、各事業とも売上確保および収益性への取り組みを着実に進めております。

これらの結果、当連結会計年度の業績は、事業環境変化によるお客様における減産影響等もあり売上高は72,874百万円(前年同期比7.8%減)となりましたが、営業利益は各社における利益率改善や経費抑制施策等により1,888百万円(前年同期比22.8%増)となりました。経常利益は1,570百万円(前年同期比10.1%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は737百万円(前年同期比45.8%増)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ1,162百万円増加し4,203百万円となりました。

各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。また、現金及び現金同等物に係る換算差額を103百万円計上しております。

「営業活動によるキャッシュ・フロー」は、4,772百万円の収入(前年同期は253百万円の支出)となりました。主なプラス要因は、税金等調整前当期純利益1,526百万円(前年同期は1,166百万円)、減価償却費1,423百万円(前年同期は1,442百万円)、売上債権の減少額2,228百万円(前年同期は377百万円の増加額)、棚卸資産の減少額3,824百万円(前年同期は3,636百万円の増加額)等となり、主なマイナス要因は、為替差益458百万円(前年同期は417百万円の為替差益)、仕入債務の減少額2,915百万円(前年同期は1,424百万円の増加額)、法人税等の支払額868百万円(前年同期は441百万円)等によるものです。

「投資活動によるキャッシュ・フロー」は、1,052百万円の支出(前年同期は1,613百万円の支出)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出941百万円(前年同期は1,572百万円の支出)、無形固定資産の取得による支出65百万円(前年同期は65百万円の支出)等によるものです。

「財務活動によるキャッシュ・フロー」は、3,092百万円の支出(前年同期は530百万円の支出)となりました。主なプラス要因は、長期借入れによる収入1,200百万円(前年同期は2,660百万円の収入)等となり、主なマイナス要因は、短期借入金の純減額2,709百万円(前年同期は554百万円の純増額)、長期借入金の返済による支出887百万円(前年同期は3,390百万円の支出)、ファイナンス・リース債務の返済による支出602百万円(前年同期は614百万円の支出)等によるものです。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

    当社グループは、製造アウトソーシング事業を主な事業として営んでいます。HS事業につきましては、その大部分が、請負業務・派遣業務であり、重要性が乏しいため、記載を省略しています。

 

 

 

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

 至 2024年3月31日)

前年度比(%)

EMS事業 (千円)

31,836,472

88.00

PS事業 (千円)

12,598,612

85.08

合計(千円)

44,435,084

87.15

    (注)金額は、製造原価によっています。

 b. 受注実績

    当社グループは、受注から生産までの期間が短く受注管理を行う必要性が乏しく、受注実績と販売実績の差異が僅少のため、受注実績の記載を省略しています。

 c. 販売実績

        当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりとなります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

 至 2024年3月31日)

前年度比(%)

HS事業 (千円)

22,695,473

97.57

EMS事業 (千円)

34,290,110

89.87

PS事業 (千円)

15,888,516

90.19

合計(千円)

72,874,100

92.21

    (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しています。

       2.主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が10%以上の相手先がいないため記載を省略しています。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2024年6月25日)現在において判断したものです。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度においては、世界各国・地域において感染症による経済活動への影響は落ち着きを取り戻したものの、感染症の拡大を経てサプライチェーンを含む市場構造は変化し、加えてウクライナ情勢の長期化や中国の経済成長の減速、また、インフレリスクに対応した欧米諸国での政策金利の引き上げやこれに伴う為替変動など、世界経済の先行きは依然として不透明な状況が続きました。

その結果、事業環境変化を背景とした、お客様における減産影響等もあり、売上高は72,874百万円(前年同期比7.8%減)となりました。一方、利益につきましては、グループ全体で合理化、効率化を徹底的に進め、事業効率のよい体制への転換や抜本的コスト構造改革を行った成果に加え、製造請負事業の強化や新市場への参入、海外製造拠点における生産性改善、また、部材価格高騰に伴う売価是正や、不採算取引からの撤退なども行い、収益性改善への取り組みを着実に進め、営業利益は1,888百万円(前年同期比22.8%増)となり、経常利益も営業利益の増加に加え、為替差益の発生もあり1,570百万円(前年同期比10.1%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は737百万円(前年同期比45.8%増)となりました。

 

■資産・負債及び純資産

1)資産

当連結会計年度末の資産合計は35,976百万円となり、前連結会計年度末に比べ、2,956百万円減少しました。

流動資産合計は26,178百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,842百万円減少いたしました。これは主に、現金及び預金が1,203百万円増加したものの、受取手形が355百万円、売掛金が1,638百万円、原材料及び貯蔵品が3,071百万円減少したことによるものです。

固定資産合計は9,784百万円となり、前連結会計年度末に比べ899百万円増加いたしました。これは主に有形固定資産が891百万円増加したことによるものです。

繰延資産は13百万円となり、前連結会計年度末に比べ13百万円減少いたしました。

2)負債及び純資産

当連結会計年度末の負債合計は32,631百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,786百万円減少いたしました。

流動負債合計は29,219百万円となり、前連結会計年度末に比べ700百万円増加いたしました。これは主に支払手形及び買掛金が2,704百万円減少したものの、短期借入金が1,055百万円、1年内償還予定の社債が2,000百万円増加したことによるものです。

固定負債合計は3,411百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,486百万円減少いたしました。これは主に社債が2,000百万円、長期借入金が2,856百万円減少したことによるものです。

純資産合計は3,344百万円となり、前連結会計年度末に比べ829百万円増加いたしました。これは主に利益剰余金が1,007百万円増加したものの、為替換算調整勘定が183百万円減少したことによるものです。

 

以上の結果、自己資本比率は、2.9ポイント上昇し9.3%となりました。

持続的成長をめざす中、その基盤となる財務体質の改善は重要課題と認識しており、中期経営計画においてキャッシュマネジメントを強化、有利子負債の削減を計画しております。

具体的には、質が伴った事業収益創出基盤とすべく、運転資本マネジメントを強化し、キャッシュを生み出す仕組みの定着を進めます。これらにより、有利子負債の削減を進め、社外流出キャッシュの抑制を図るとともに、投資の採算性、効率性のモニタリングを強化し、投資回収までの効率を高め、フリーキャッシュ・フロー創出への取り組みを強化してまいります。

 

 

(単位:百万円)

前連結会計年度末

当連結会計年度末

増減

流動資産

30,020

26,178

△3,842

固定資産

8,885

9,784

899

 

有形固定資産

7,089

7,981

891

 

無形固定資産

651

605

△46

 

投資その他の資産

1,143

1,197

53

繰延資産

26

13

△13

資産合計

38,932

35,976

△2,956

負債合計

36,417

32,631

△3,786

 

流動負債

28,519

29,219

700

 

固定負債

7,898

3,411

△4,486

純資産合計

2,514

3,344

829

負債・純資産合計

38,932

35,976

△2,956

 

■売上高・利益

1)売上高

 売上高は、主に海外でお客様における販売戦略変更による生産調整等の影響もあり、前年同期比7.8%減の72,874百万円となりました。

 国内売上高は、需要は堅調に推移しましたが、自動車・半導体関連を中心とした生産調整の影響等があり、前年同期比0.1%増の28,514百万円となりました。海外売上高は、お客様における生産・在庫調整による影響等により前年同期比12.2%減の44,359百万円となりました。

 

2)売上原価、販売費及び一般管理費、営業利益

 売上原価は、売上高の減少による影響もあり前年同期比9.5%減の63,553百万円となりましたが、収益確保に向けた施策の実行により売上原価対売上高比率は前年同期比1.7ポイント減の87.2%となり、売上総利益は前年同期比5.9%増の9,321百万円となりました。

 

 販売費及び一般管理費はコスト構造改革の影響はあったものの、為替影響や人件費の増加等により、前年同期比2.3%増の7,432百万円となり、販売費及び一般管理費対売上高比率は、前年同期比1.0ポイント増の10.2%となりました。

 この結果、営業利益は前年同期比350百万円増の1,888百万円となりました。

 

3)経常利益、税金等調整前当期純利益、親会社株主に帰属する当期純利益

 当連結会計年度の経常利益は前年同期比143百万円増の1,570百万円となりました。

 受取利息及び受取配当金から支払利息、社債関連費用を控除した金融収支の純額費用は、前連結会計年度から330百万円費用が増加し、708百万円の負担となりました。

 また、営業外収益においては、主に海外子会社へのグループ内貸付金に対する為替差益の発生が前連結会計年度から154百万円増加し491百万円となったこと等により、前年同期比176百万円増の634百万円となりました。

 営業外費用については、支払利息が前連結会計年度から355百万円増加し739百万円となったこと等により、前年同期比383百万円増の952百万円となりました。

 親会社株主に帰属する当期純利益は、特別損失として前連結会計年度に発生した事業構造改革費用(198百万円)が当連結会計年度は発生しなかったこと等により、前年同期比231百万円増の737百万円となりました。

次年度も引き続き経営基盤の強化を図りながら収益性の改善を進め、当期純利益の増加につなげてまいります。

 

 

(単位:百万円)

前連結

会計年度

当連結会計年度

実績

前年度比

主なポイント

売上高

79,033

72,874

△7.8%

HS事業 :国内は、自動車・半導体関連を中心としたお客様の生産調整があったものの、需要は総じて堅調に推移、海外は在庫調整等による減産の影響はあったが、基盤強化策の効果があり収益性が改善、全体として減収増益

EMS事業:戦略拠点で新規受注立ち上げや量産開始があったものの、お客様の減産や生産調整の影響があり売上高は前年比で減少、利益面では、各拠点における生産性改善やコスト構造見直しの成果もあり増益

PS事業 :国内需要は高い水準を維持したが、海外においてお客様の生産・在庫調整が発生した影響で減収、生産効率向上や部材調達ソースの拡大等、安定した生産活動および収益確保に向けた施策を着実に実行し増益

[経常利益]

営業外収益  634百万円(前年同期比  176百万円増)

営業外費用  952百万円(前年同期比  383百万円増)

 

[特別利益]   1百万円

[特別損失]   45百万円

営業利益

1,537

1,888

22.8%

経常利益

1,426

1,570

10.1%

親会社株主に

帰属する当期純利益

505

737

45.8%

 

■当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因

当連結会計年度は、感染症の拡大を経てサプライチェーンを含む市場構造は変化し、加えてウクライナ情勢の長期化や中国の経済成長の減速、また、インフレリスクに対応した欧米諸国での政策金利の引き上げやこれに伴う為替変動など、世界経済の先行きは依然として不透明な状況が続いています。

 

1)金融市場の環境

足もとでは米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ期待があり、当社グループ事業においても利下げはポジティブであるものの、その実施時期や幅など不透明な状況にあります。また、アジア各国においても、米ドル高の進行や原油価格の上昇、輸出の回復を受け、利下げへのハードルが高まっております。

加えて、日本でのマイナス金利解除、進出地域における金利の高止まり、それに伴う通貨高・為替リスクの影響については留意が必要な状況が続く模様です。

 

2)事業環境

感染症拡大を経て、サプライチェーンをはじめとする市場構造が変化しており、在庫の不足・増産から一転して過剰・調整、というサイクルが、不定期に繰り返される状況が続く様相です。伸長が期待される環境親和製品も、経済状況との兼ね合いでその伸びが左右される状況にあり、特に海外需要を背景とした顧客の生産計画は不安定な状況が続くものと見られます。

これらを背景に、世界経済の動向や金利・為替の変動を背景に、市場環境・ニーズが大きくこれまで以上に変化することが想定され、製造業のファブレス化や外注比率の拡大等、機能分担がさらに加速していくものと見ています。

感染症拡大前には需要が戻らない分野がある一方で、需要顕在化で拡大が期待される分野もあり、事業分野ごとにその状況が明確になってきており、事業戦略はこれらを見極めながら、策定・実行していくことが肝要であると考えております。

当社グループ事業は、景況変化においても、確実に利益をだせる体質に転換しつつありますが、市場環境や顧客の販売戦略変化により、端境期を迎えている製品もあり、内部資源の活用だけでなく、M&Aによる事業規模・技術・商圏・人材等を取り込んでいく戦略も必要と認識しております。

また、脱炭素社会の実現に向けた新たな技術開発や、仕組みの導入が世界各国で進められており、様々な産業分野において電動化への転換が加速していくことが見込まれます。

したがい、成長戦略実行のための資金調達を含む、持続的発展を生み出す財務体質改善への仕組みづくりも着実に進めるとともに、業績の変動要因となる、部品・部材調達リスクおよび為替変動リスクについては、以下の取り組みを行ってまいります。

 

 ・部品・部材調達リスクについて

製造業各社においてグローバルでサプライチェーンの見直しが進められているものの、当連結会計年度におい

ては、最先端の部材だけでなく、多岐にわたる部品・部材が調達難となった状況を踏まえ、これらの影響を最

小限に抑えるため、部材調達リソースの多様化、顧客の生産変動に即応する当社グループのサプライチェーン

マネジメントを強化し、グループ全体で機動的かつ柔軟に対応できる体制を高度化させてまいります。

 ・為替変動について

当社グループはすべての事業セグメントにおいて、グローバル市場におけるビジネスを展開しており、為替変

動リスクの構成要素である、グループ各社の為替持ち高(エクスポージャー)の圧縮を進めます。為替持ち高

の圧縮は外貨建て資産・負債の増減により一定程度の圧縮が可能であり、金融取引・商取引の双方からの取り

組みを進め、為替変動リスクの抑制に努めてまいります。

 

■セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識および分析・検討内容

 セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりです。

 

HS事業

 国内事業については、自動車・半導体関連を中心としたお客様の生産調整による影響はあり売上が抑制されたものの、需要は堅調に推移しており、利益面においても単価交渉や経費抑制による原価率改善や適正販管費の管理強化等、基盤強化策の実行を進め収益性改善に努めました。海外事業についても基盤強化策の効果はありましたが、中国やベトナムにおいてお客様の在庫調整等による減産が継続したことによる影響がありました。

 この結果、当セグメントの売上高は、22,695百万円(前年同期比2.4%減)、セグメント利益は、1,110百万円(前年同期比4.2%増)となりました。

EMS事業

 EMS事業は、中国・ASEAN・北米において生産活動を展開しており、戦略投資の実行期にあります。当連結会計年度においては、この戦略投資における新規受注の立ち上げや量産開始による効果はありましたが、主に海外においてお客様の販売戦略変更による生産調整等の影響がありました。利益面では、生産調整等の影響があったものの、各拠点における生産性改善やコスト構造見直しの成果に加え、ベトナム拠点の収益性改善や国内拠点における収益構造見直しの成果もあり、当セグメントの売上高は、34,290百万円(前年同期比10.1%減)、セグメント利益は、575百万円(前年同期比74.1%増)となりました。

PS事業

 PS事業は、国内需要が高い水準を維持しましたが、海外における生産・在庫調整等の影響により、減収となりました。利益面では売上高の減少影響はありましたが、部材調達ソースの拡大等安定した生産活動や収益確保に向けた施策を着実に実行したこともあり、当セグメントの売上高は、15,888百万円(前年同期比9.8%減)、セグメント利益は、785百万円(前年同期比23.3%増)となりました。

 国内生産の強化やR&Dセンターの設置、ベトナムにおける生産委託開始等の施策実行を進め、売上が伴った利益成長をめざします。

 

 

(単位:百万円)

前連結会計年度

当連結会計年度

前年度比

HS事業

売上高

23,260

22,695

△2.4%

セグメント利益

1,066

1,110

4.2%

EMS事業

売上高

38,157

34,290

△10.1%

セグメント利益

330

575

74.1%

PS事業

売上高

17,615

15,888

△9.8%

セグメント利益

637

785

23.3%

調整額

セグメント利益

△496

△582

合計

売上高

79,033

72,874

△7.8%

セグメント利益

1,537

1,888

22.8%

 

■設備投資および減価償却費

当社グループは、グローバル市場における次の成長機会の創出および事業競争力強化に向け、戦略投資を行っています。

当連結会計年度の設備投資額は、前年度比33.3%減の1,109百万円となりました。これは、主にEMS事業及びPS事業にて実施した、海外生産拠点における能力拡充及び合理化を目的とした設備投資によるものです。

また、当連結会計年度の減価償却費は、前年度比1.4%減の1,423百万円となりました。

翌連結会計年度以降の設備投資(新規・拡充)については、戦略投資は、HS事業における高度エンジニア人材ビジネス拡大に向けた技術センター設置関連、EMS事業においては、ベトナム拠点およびメキシコ拠点における合理化投資、PS事業においては中国及び国内拠点の生産能力増強投資を計画しております。

投資内容および投資実行のタイミングについては、案件ごとに投資後の事業環境や将来キャッシュ・フロー観点による計画策定を行っております。投資計画は当社コーポレート本部にてその内容を確認し、将来キャッシュ・フローにおいて課題があると認識した場合は、投資内容だけでなく、固定費、変動費の状況や売上拡大余地など、計画前提の抜本的見直しを行い、取締役会にて実行要否の判断を行っております。

また、既存・新規を問わず、実行していく投資案件については、投下資本利益率(ROI)の引き上げを行い、投資効果の早期発現をめざすしくみとしております。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループにおける営業活動によるキャッシュ・フローは、事業活動の資金需要、設備投資資金のための基本的財源となっています。

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ1,162百万円増加し4,203百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況は「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

 当社グループのキャッシュ・フローの状況に影響を与える事項として、売上債権及び棚卸資産等による運転資金の変動、また、戦略投資の実行があります。

 営業キャッシュ・フローにおいては、前連結会計年度は、税金等調整前当期純利益の増加はありましたが、主に棚卸資産の増加等による増加運転資金の発生により253百万円の支出となりましたが、当連結会計年度は、税金等調整前当期純利益の増加と共に、売上債権の減少や棚卸資産の減少による運転資金負担の軽減等により、4,772百万円の収入となりました。

 引き続き収益性の改善とともに適正な売上債権、在庫水準管理の取り組みを行い、キャッシュ・フロー・マージンの向上を図ってまいります。

 投資活動によるキャッシュ・フローは、主にEMS事業及びPS事業における能力拡充及び合理化を目的とした設備投資の実行により1,052百万円の支出(前年同期は1,613百万円の支出)となり、財務活動によるキャッシュ・フローは、借入金やリース債務の返済等により3,092百万円の支出(前年同期は530百万円の支出)となりました。

 今後も運転資本マネジメントを強化し、投資の見極めおよび投資効果の刈り取り等を行いながら、キャッシュマネジメントを進めてまいります。

 

 

 

 

(単位:百万円)

前連結会計年度

当連結会計年度

 

税金等調整前当期純利益

1,166

1,526

 

減価償却費

1,442

1,423

 

運転資金の増減

△2,590

3,137

 

その他

△273

△1,314

 

営業キャッシュ・フロー

△253

4,772

 

固定資産の取得・売却

△1,632

△1,003

 

その他

18

△48

 

投資キャッシュ・フロー

△1,613

△1,052

フリーキャッシュ・フロー

△1,867

3,720

 

借入金の増減

△176

△2,396

 

配当金支払 他

△354

△695

 

財務キャッシュ・フロー

△530

△3,092

現金及び現金同等物期末残高

3,041

4,203

 

■資本の財源および資金の流動性の分析

当社の資金需要の主なものは運転資金、設備資金および法人税等の支払です。これに対しては、営業キャッシュ・フローから産み出した内部資金の活用を優先し、内部資金では不足する場合に外部からの借入や資本性の資金調達で対応することを原則としています。

 借入を行なう場合は、低コスト、長短のバランスの勘案、安定的な資金確保を方針としています。長短のバランスについては、運転資金等の短期資金需要については短期借入金で、設備資金やM&Aなどの長期資金需要については長期借入金で調達を行なうこととしています。

 グループにおける資金調達は当社(持株会社)に原則一元化し資金効率を高めるようにし、グループ会社の運営資金は、事業戦略に基づき必要と判断した額を、取締役会で決議の上、貸付を行っています。

当連結会計年度からは、新規事業における投資回収も始まっていて、外部からの借入金は1,800百万円の減少(純額)となっております。引き続き、運転資本の効率化を図り借入金を減少させ、これにより自己資本比率等の財務体質改善を目指します。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載されているとおりです。連結財務諸表の作成においては、過去の実績やその時点で合理的と考えられる情報に基づき、会計上の見積りを行っております。重要な資産の評価基準および評価方法、重要な減価償却資産の減価償却の方法、重要な引当金の計上基準等において、継続性・網羅性・厳格性を重視して処理計上しており、繰延税金資産につきましては、将来の回収可能性を十分に検討したうえで計上しております。

特に、有形固定資産および無形固定資産の減損損失については重要な会計上の見積りが必要となります。当該見積りおよび仮定の不確実性の内容やその変動により経営成績等に生じる影響などは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。