売上高

利益

資産

キャッシュフロー

セグメント別売上

セグメント別利益

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率


最終更新:

E00334 IFRS

売上高

1.26兆 円

前期

1.15兆 円

前期比

109.4%

時価総額

5,301.4億 円

株価

5,149 (04/19)

発行済株式数

102,958,904

EPS(実績)

161.59 円

PER(実績)

31.86 倍

平均給与

846.5万 円

前期

848.2万 円

前期比

99.8%

平均年齢(勤続年数)

41.7歳(17.7年)

従業員数

1,300人(連結:16,064人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

 

3 【事業の内容】

当社グループは、当社と子会社68社及び関連会社6社で構成され、各事業を管轄する事業本部とその位置付けは以下のとおりです。

 

〔加工事業本部〕

加工事業本部は、主に国内においてハム・ソーセージ及び加工食品の製造・販売を行っております。当社及び製造子会社の日本ハムファクトリー㈱、南日本ハム㈱、日本ハム食品㈱及び日本ハム惣菜㈱等が製造を行い、当社及び全国に販売拠点を有する販売子会社の日本ハムマーケティング㈱等を通じて販売を行っております。また、子会社の㈱宝幸及び日本ルナ㈱によって、主に国内において水産物及び乳製品の製造・販売を行っております。

〔食肉事業本部〕

食肉事業本部は、主に国内において食肉の生産・販売を行っております。子会社の日本ホワイトファーム㈱、日本クリーンファーム㈱(旧インターファーム㈱)等が豚及びブロイラーの生産飼育を行い、子会社の日本フードパッカー㈱等が処理・加工を行った食肉製品と、海外事業本部管轄の食肉販売子会社や外部から仕入れた食肉商品を、当社及び全国に販売拠点を有する販売子会社の東日本フード㈱、関東日本フード㈱、中日本フード㈱及び西日本フード㈱等を通じて販売しております。

〔海外事業本部〕

海外事業本部は、海外子会社及び海外関連会社を管轄しており、子会社のNH Foods Australia Pty. Ltd.、Whyalla Beef Pty. Ltd.、Day-Lee Foods, Inc.及びThai Nippon Foods Co., Ltd.等が、主にハム・ソーセージ、加工食品、食肉及び水産物の生産・製造・販売を行っております。

 

以上に述べた事項を事業系統図によって示すと次ページのとおりです。

 

 

※画像省略しています。
23/06/28

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」)の状況の概況は以下のとおりです。

 ①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、ウィズコロナの体制への移行が進められる中、景気に持ち直しの動きが見られました。一方で、世界的な金融引締めの継続、物価上昇、コスト増に伴う人財不足や物流の滞りといった供給面での制約、金融市場の不安定化などの影響が見通しにくく、先行き不透明な状況が続きました。

当業界におきましては、継続する原材料価格の高騰やエネルギー価格の上昇及びこれらの影響による各種商品の値上げが家計を直撃したことにより、消費者の節約志向・低価格帯へのシフトが進みかつてない厳しい状況が続いております。

このような中、当社グループは、「2030年におけるありたい姿」として掲げたニッポンハムグループ「Vision2030」“たんぱく質を、もっと自由に。”の実現に向けて事業展開を推進してまいりました。

具体的には、事業環境の変化に対しては、販売価格への転嫁、商品の規格変更、節約志向に対応するためのより安価な調達先・商品の選別に取り組みました。また、ブランド商品の拡販、エネルギー価格の上昇を吸収するための節電対策や生産部門の効率化などにも注力しながら、引き続きお客様へ安全•安心で高品質な商品をお届けするため、生産、物流、営業体制の強化を図りました。

サステナビリティに関する取組みとしては、化石燃料由来のCO2排出量削減・水使用量削減について海外における目標を設定しました。また、AIを用いた豚の健康や発情状況を判定するスマート養豚システム「PIG LABO」の製品化を推進しました。

DX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進については、2022年4月に会計システムを刷新しました。業務システムは、効果の最大化に向け計画の見直しを図りました。

加えて、サステナブルなビジネスモデルへの変革及びシナジー最大化のための事業戦略として「物流」「営業」のグループ内横断プロジェクトを推進しました。

経営体制については、「ニッポンハムグループ・コーポレートガバナンス基本方針」に沿って、その充実に努めました。

以上の結果、当連結会計年度の売上高は、主として食肉事業及び海外事業において食肉相場の高騰によって販売価格が上昇したことにより、対前年同期比9.4%増の1,259,792百万円となりました。事業利益は、原材料価格やエネルギー価格などの大幅な上昇分を全て吸収することができず、対前年同期比46.8%減の25,596百万円、税引前当期利益は事業利益の減少などの影響で対前年同期比57.2%減の22,162百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は対前年同期比65.4%減の16,637百万円となりました。

なお、当社は2023年1月31日開催の取締役会において、最適な事業ポートフォリオ構築に向け当社の連結子会社であるBreeders & Packers Uruguay S.A.(以下、「BPU」)の全株式を、Minerva S.A.に譲渡することを決議いたしました。これにより、当連結会計年度においては、BPUに関連する牛肉事業を非継続事業に分類するとともに、前連結会計年度についても、再表示し、当該非継続事業を区分して表示しております。

 

(注) 事業利益は、売上高から売上原価、販売費及び一般管理費を控除し、当社グループが定める為替差損益を加味するとともにIFRSへの調整及び非経常項目を除外して算出しております。

 

 セグメントの概況は次のとおりです。

海外事業本部には、非継続事業に区分したBPUに関連する牛肉事業を含めております。

 

〔加工事業本部〕

加工事業本部全体においては、新型コロナウイルス感染症による外出自粛の緩和などにより業務用商品が伸長しましたが、価格改定後の商品動向の変化からコンシューマ商品が減少し、売上げは前年を下回りました。また国際的な穀物や原油の相場上昇、円安の進行などによる想定を上回る原材料価格とエネルギー価格の上昇に伴い、厳しい収益環境となりました。

ハム・ソーセージ及びデリ商品事業においては、価格改定を実施したことで販売単価は上昇したものの、主力ブランド商品が想定以上に伸び悩みました。ハム・ソーセージ部門は、業務用商品が前年を上回りましたが、コンシューマ商品は主力の「シャウエッセン」でTVCMを導入し販促を強化したことで回復基調にあるものの、上期までの落込みをカバーできずに前年を下回りました。デリ商品部門は、業務用商品が外食チャネル向けで前年を上回りましたが、コンシューマ商品は、主力のチルドベーカリーがスナック需要の拡大から好調に推移したものの、「中華名菜」の回復が遅れ前年を下回りました。

エキス・一次加工品事業においては、エキス部門は、外出自粛の緩和に伴いラーメン店を中心とした外食チャネル向けスープや、中食チャネル向け業務用たれが好調に推移しました。一方、一次加工事業部門は、未加熱加工品の中食チャネル向け販売が減少し前年を下回りました。

乳製品・水産事業においては、チーズ部門は、主力の業務用商品は外出自粛の緩和に伴い外食チャネル向けの売上げが伸長し、前年を上回りました。また、ヨーグルト・乳酸菌飲料部門は、価格改定後の商品動向の変化によりコンシューマ商品の主力「バニラヨーグルト」の量販店チャネル向けの売上げが減少しましたが、CVSチャネル向けドリンクヨーグルトの伸長などにより、前年並みとなりました。

加工事業本部全体の利益につきましては、売上げ減少や原材料価格、エネルギー価格などの上昇に加え、DX構築に向けた先行費用が増加したことで減益となりました。

以上の結果、当期の加工事業本部の売上高は対前年同期比15.9%減の417,738百万円、事業利益は対前年同期比65.8%減の5,018百万円となりました。

 

〔食肉事業本部〕

国内事業においては、生産部門においてコスト低減に注力したものの、第3四半期連結累計期間から継続して飼料価格及びエネルギー価格の高止まりが影響し苦戦を強いられました。また、社外からの調達強化や生産性向上による数量確保に努めましたが、国産豚は拠点再編計画による自社処理量の減少、国産鶏では鳥インフルエンザ発生の影響により出荷量が減少しました。豚肉、鶏肉の相場が堅調に推移したことにより売上げは前年を上回りましたが、生産コスト増加が響き減益となりました。

輸入調達部門においては、主要国生産量が伸び悩む中、世界的な需要回復基調によって調達価格は高値が継続しました。外食向けの売上げは回復基調にあるものの、業界全体での国内在庫増加から価格転嫁が進みにくく、大幅な減益となりました。

販売部門においては、消費者の節約志向の高まりなどによる量販店の需要減少が続きましたが、国産鶏肉「桜姫」の20周年キャンペーンの実施などで販売量の維持に努めました。インバウンドの急回復、新型コロナウイルス感染症による行動制限緩和により外食チャネルを中心に売上げが伸長した結果、売上げ・利益ともに前年を上回りました。

以上の結果、当期の食肉事業本部の売上高は対前年同期比9.8%増の750,109百万円、事業利益は対前年同期比18.2%減の29,082百万円となりました。

 

〔海外事業本部〕

アジア・欧州事業においては、加工品販売がベトナム・台湾で順調に推移したことに加え、トルコでの鶏肉販売も高値を維持したことにより、売上げは前年を上回りました。利益につきましては、タイにおける加工品原料高、トルコにおける継続的な穀物飼料高の影響などにより減益となりました。

米州事業においては、米国での加工食品の販売、チリでの豚肉輸出が好調に推移したことにより、売上げは前年を上回りました。利益につきましては、米国での輸出用豚肉原料価格、加工品原料価格が安定したこと、また加工品販売、現地営業による取引条件改善により、増益となりました。

豪州事業においては、オーストラリアでの牛集荷に苦戦する中、輸出における相場高、及び豪州内販売が好調に推移したことに加え、ウルグアイにおいても輸出相場が高値で推移したことにより、売上げは前年を上回りました。利益につきましては、オーストラリアでは牛集荷価格が高値で継続したことや、工場稼働率低下による生産コスト高の影響で減益となりました。一方、ウルグアイにおいても牛集荷価格の高値継続や人件費高騰などにより、減益となりました。

以上の結果、当期の海外事業本部の売上高は対前年同期比20.1%増の321,429百万円、事業損失は5,036百万円(前連結会計年度は2,409百万円の事業利益)となりました。

 

〔その他〕

球団事業である北海道日本ハムファイターズにおいては、2022年レギュラーシーズンをパシフィック・リーグ6位で終えました。新型コロナウイルス感染症の影響が残るシーズンではありましたが、安全・安心な観戦環境を整えた上で各種の動員施策を実施したことにより、昨シーズンを大きく上回る1,291千人の観客動員に繋がり、売上げ・利益ともに前年を上回りました。

中央研究所で取り組んでいるヘルスサポート事業においては、ゼロコロナ政策が緩和された中国にて開催されたFood Ingredients China 2023に出展し、機能性食品素材を紹介するなど、積極的な販促活動を行いました。食品検査キットについては、新たに特定原材料に指定された「くるみ」を検査するキットを開発し、3月下旬に上市いたしました。

新規事業においては、DtoC(Direct to Consumer)事業の「Meatful」、「Table for All」の売上げ拡大に向けた取組みを実施しました。新たにサステナブル事業として「Mealin’Good」(ミーリングッド)のブランド立ち上げを行い、限りある資源の有効活用や新たな食の選択肢を増やすための取組みを強化してまいりました。

以上の結果、当期のその他の売上高は対前年同期比23.5%増の17,052百万円、事業損失は483百万円(前連結会計年度は1,569百万円の事業損失)となりました。

 

地域別売上高の状況は以下のとおりです。

① 日本

日本では、食肉及び加工食品の販売単価が上昇したことにより、売上高(外部顧客に対する売上高)は、対前年同期比6.9%増の1,100,719百万円となりました。

② その他の地域

その他の地域では、主に食肉の販売単価が上昇したことにより、売上高(外部顧客に対する売上高)は、対前年同期比30.3%増の159,073百万円となりました。

 

当連結会計年度末の総資産は、前年同期末比3.1%増の937,155百万円となりました。流動資産は、現金及び現金同等物が前年同期末比23.9%減の64,986百万円、前連結会計年度末に連結対象外となった会社からの貸付金返済などでその他の金融資産が前年同期末比63.1%減の9,098百万円となりましたが、食肉相場の高止まりの影響から棚卸資産が前年同期末比18.3%増の141,930 百万円、営業債権及びその他の債権が前年同期末比7.8%増の146,660百万円となったことなどにより、前年同期末比3.3%増の428,018百万円となりました。非流動資産は、政策保有株式の売却を進めたことでその他の金融資産が前年同期末比21.7%減の27,587百万円となりましたが、新球場建設などにより有形固定資産が前年同期末比5.6%増の364,381百万円となったことで、前年同期末比2.9%増の509,137百万円となりました。

負債につきましては、新球場関連の設備代金の支払いで未払金が減少したことなどにより、その他の金融負債が前年同期末比60.5%減の16,914百万円となりましたが、個人投資家向けサステナビリティボンド発行や運転資金の需要増に伴う短期借入金の増加により有利子負債が前年同期末比14.5%増の242,055百万円となったことから、前年同期末比3.5%増の434,374百万円となりました。

親会社の所有者に帰属する持分につきましては、利益剰余金が8,489百万円増加したことなどにより、前年同期末比2.9%増の492,913百万円となりました。

以上の結果、親会社所有者帰属持分比率は0.1ポイント減の52.6%となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物残高は、前年同期末に比べ20,388百万円減少し、64,986百万円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー) 11,331百万円の純キャッシュ増

営業活動によるキャッシュ・フローは、棚卸資産の増加24,451百万円、法人所得税の支払額13,558百万円などがありましたが、税引前当期利益22,162百万円、減価償却費及び償却費38,433百万円などにより、11,331百万円の純キャッシュ増となりました。(前期は、33,387百万円の純キャッシュ増)

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー) 63,677百万円の純キャッシュ減

投資活動によるキャッシュ・フローは、短期貸付金の減少9,994百万円などがありましたが、固定資産の取得82,261百万円などにより、63,677百万円の純キャッシュ減となりました。(前期は、22,837百万円の純キャッシュ減)

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー) 28,417百万円の純キャッシュ増

財務活動によるキャッシュ・フローは、現金配当10,448百万円、借入債務の返済108,594百万円などがありましたが、短期借入金の増加36,504百万円、借入債務による調達110,358百万円などにより、28,417百万円の純キャッシュ増となりました。(前期は、12,162百万円の純キャッシュ減)

 

③生産、受注及び販売の状況

a. 生産実績(製造原価ベース)

区分

当連結会計年度
(自 2022年4月1日
  至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

ハム・ソーセージ(百万円)

106,371

101.1%

加 工 食 品(百万円)

199,004

104.9%

 

(注) 主に加工事業本部の生産実績であります。当社グループでは、生産飼育から処理・加工・販売までの全てを一貫して行っており、その生産・販売品目も主として食肉に関連した広範囲かつ多種多様なものとなっております。また、同種の品目についても容量、形態、包装等も一様でなく、食肉等については、販売用とハム・ソーセージ、加工食品等の原料用にも使用されており食肉等の生産実績を金額あるいは数量で示すことが困難であります。

 

b. 受注実績

当社グループは、主に需要予測に基づく予定生産を行っております。一部、当社の子会社プレミアムキッチン㈱は受注生産を行っておりますが、受注当日ないし翌日に製造、出荷しているため、受注高並びに受注残高の記載を省略しております。

 

c. 販売実績

   販売実績については、「(1)① 財政状態及び経営成績の状況」において記載しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析検討内容は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成しております。したがって、当連結財務諸表の作成にあたっては、主としてわが国の会計慣行に準拠して作成された会計帳簿に記帳された数値に対していくつかの修正を加えております。IFRSに準拠した財務諸表の作成にあたり、連結会計年度末日現在の資産・負債の金額、偶発的な資産・負債の開示及び報告対象期間の収益・費用の金額に影響を与える様々な見積りや仮定を用いております。実際の結果は、これらの見積り等と異なる場合があります。

なお、重要な会計方針及び見積りの内容については、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 及び 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しております。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a. 経営者の問題認識と今後の方針について

2021年4月よりニッポンハムグループは、企業理念を追求するうえでのマイルストーンとして2030年のありたい姿を示した「Vision2030」“たんぱく質を、もっと自由に。” を発表しました。併せて、ビジョン実現に向けマテリアリティを見直し、「中期経営計画2023」を策定しました。「中期経営計画2023」は、「Vision2030」に到達するための計画であり、事業戦略とマテリアリティを一体化させて推進し、社会課題解決とグループの成長・発展に取り組むことで、企業価値の最大化を目指しております。

 

当連結会計年度の経営成績としては、想定を超える外部環境の変化もあり事業利益が256億円、対前年同期比46.8%減少と非常に厳しい結果となりました。原材料費やエネルギーコストの大幅な上昇分を吸収できなかったことに加え、鶏インフルエンザを始めとした家畜の疾病、コロナ禍での中国のロックダウンなど、複数の要因が重なった結果と認識しております。

加工事業に関しては、原材料高騰の影響が大きく、改善活動や商品の販売価格改定などでコスト上昇を吸収できる計画でおりましたが、継続する原材料の高騰に十分対応できていない状況です。国内の加工部門においては、構造改革を進めながら、高止まりする原材料や為替の円安傾向の影響を吸収できる体質改善を実施していきます。

食肉事業については、相場上昇の影響をある程度販売価格へ転嫁できておりますが、当社グループの生産拠点における飼料価格の高騰が非常に大きく影響しており、食肉事業の川上部門での構造改革等も必要になってくると考えております。

海外事業に関しては、オーストラリアでの気候変動などの影響により牛集荷価格が高騰し、非常に厳しい環境でした。また、主要な販売先である中国でのロックダウンの影響もあり、販売数量が減少し厳しい状況となりました。しかし、中国でのロックダウンの解除により販売先の状況が改善されること、米国での豪州産牛肉の需要が高まり販売相場も好転することが見込まれ、今後は回復基調になると考えております。

以上、このような状況をしっかりと真摯に受けとめて、業績回復と持続的成長に向け、積極的な構造改革を進めていきます。

 

2024年3月期の取組みは以下の通りとなります。

事業戦略

加工事業

・マーケティング力強化による稼ぐ力の回復

・重点指標の改善によるコスト最小化の実践

食肉事業

・フード営業強化による利益を伴う食肉シェアの拡大

・輸入食肉の調達体制強化や社外共創による利益の拡大

海外事業

・北米加工品マーケットへの集中・売上拡大

・低収益事業の見直しと豪州のボラティリティ低減による利益の回復

ボールパーク事業

・「北海道 ボールパーク F ビレッジ」開業に伴う新たな事業への挑戦

新規事業

・D2C事業の軌道化と新たな挑戦

サステナビリティ戦略

・重点課題に集中、事業戦略と連動した戦略の推進

事業横断戦略

・横断戦略の実践による早期の成果創出を実現

DX戦略

・リプランにより効果発現が遅れるが、効果最大化に向けて継続的に取り組む

財務戦略

・営業キャッシュフローの回復と設備投資の厳選による最適負債資本構成の維持

・継続的な配当成長

 

 

セグメントごとの見通しは、以下のとおりであります。

 

〔加工事業本部〕

加工事業につきましては、主力ブランド商品の販売強化、最適生産体制の構築、新設したマーケティング組織による顧客視点の商品開発とブランディング強化によりコスト競争力を高めていきます。

収益性を伴った成長

ブランドの完全復活

・ブランディング強化に向け、バリューチェーン一体となった戦略立案

プロフィットマネジメントの実践

・利益の最大化に向けた商品ポートフォリオの構築(不採算商品の廃止)

ヒットブランドの開発、新領域への挑戦

・顧客視点による開発、プラントベース・アレルギーケア

全体最適視点で収益性の高い商品販売に注力

・主力ブランド(シャウエッセン、中華名菜、チルドピザ)のシェア拡大

・新たな顧客獲得に向けた新商品の販売(モーニングサーブ)

生産性の追求

コスト競争力を高める最適生産体制の追求

・固定費削減による生産コストの追求

・主力商品の高生産性ラインへの集中化を推進

・商品のOEM化検討

・幹線便の効率化をはじめとした最適物流体制の構築

 

 

〔食肉事業本部〕

食肉事業につきましては、重点チャネル別専門組織の強化、輸入食肉の調達体制の再構築及び需給予測高度化を進めるとともに、生産事業の生産性を高め、利益を伴う食肉シェア拡大に取り組みます。

自社の強みの活用

川上事業の基盤強化

・ブランド食肉の生産比率拡大

・重点生産指標の改善を徹底して収益性を向上

フード販売の数量拡大

・エリア戦略の実践に向け、チャネル別専門組織を設立し販売力を強化

・収益性の高いブランド食肉の販売拡大

・付加価値の高い新商品販売への挑戦

社外共創

環境変化に柔軟に対応できる調達体制の構築

・外部仕入の数量拡大

高止まる生産コストに見合う生産体制の構築

・飼料メーカーと共創し、飼料コスト低減の取組みを継続

再構築

輸入食肉調達体制

・輸入食肉の需給予測高度化

 

 

〔海外事業本部〕

海外事業につきましては、北米加工品マーケットへの集中・売上げ拡大、牛肉事業の収益安定化などにより収益性を改善していきます。 

成長領域への集中

加工事業の拡大

・北米加工品事業の販売拡大

・アセアン域内での加工品販売に向けた取組み強化

牛肉事業の収益性の回復

・外部環境の回復に合わせ、需給バランスに応じた製造稼働
・豪州牛肉のブランディングの強化

・サプライチェーンの拡大に向けた北米マーケットへの販路拡大

ボラティリティの低減

低収益事業の見直し

・事業の改善を図るため、各拠点で選択と集中を推進

調達の強化

トレーディング
・日本向け安定調達に向けた取組みを継続

 

 

〔その他〕

ボールパーク事業につきましては、「北海道ボールパーク F ビレッジ」全体で集客する新たなビジネスモデルにより利益を創出していきます。

経済的価値

球場移転による収益構造の転換

・広告収入・グッズ収入・シーズンシート収入の増加による収益の拡大

・特典付きチケットや来場者プレゼント等の施策によるチケット収入の底上げ

・野球以外のコンテンツや魅力ある飲食施設の展開による集客力の向上

社会的価値

Fビレッジを核とした地域・社会への貢献

・官民学の様々なパートナーとの共創・連携による持続可能な街づくり

・社会の将来を担う子供を対象とした多種多様な体験施設と環境整備

 

 

新型コロナウイルス感染症の第5類への移行もあり社会経済活動は正常化に向かい外食市場の回復、インバウンド需要の拡大などが見込まれます。一方でウクライナ情勢の長期化による地政学的リスクの増大、原材料価格やエネルギー価格などの高騰によるコストプッシュインフレの影響、金融政策の動向などにより景気の不透明な状況が続くことが想定されます。このような状況のもと、当社グループでは、企業理念の実現に向けて引き続き事業戦略とサステナビリティ戦略の融合による財務価値及び社会価値の向上に取り組みます。

 

b. 資本の財源及び資金の流動性について

当社グループの主な資金需要は、「中期経営計画2023」にて掲げた4つの経営方針「収益性を伴ったサステナブルな事業モデルへのシフト」「海外事業における成長モデルの構築」「新たな商品・サービスによる、新しい価値の提供」「ビジョン実現に向けたコーポレート機能の強化」の実現に向けての必要な投資や、運転資金、借入金の返済及び利息の支払等であります。

資金調達については、調達コストとリスク分散の観点から、直接金融と間接金融を組み合わせ、長期と短期のバランスを勘案しながら、低コストかつ安定的な資金を確保するよう努めております。また、グループ会社における資金効率の向上と金融費用の削減を目的として、日本国内においてCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入しております。