E00334 IFRS
前期
1.26兆 円
前期比
103.5%
株価
4,865 (01/17)
発行済株式数
102,958,904
EPS(実績)
286.02 円
PER(実績)
17.01 倍
前期
846.5万 円
前期比
97.1%
平均年齢(勤続年数)
41.4歳(17.3年)
従業員数
1,256人(連結:15,429人)
当社グループは、当社と子会社64社、関連会社6社及び共同支配企業1社で構成され、各事業を管轄する事業本部とその位置付けは以下のとおりです。
〔加工事業本部〕
加工事業本部は、主に国内においてハム・ソーセージ及び加工食品の製造・販売を行っております。当社及び製造子会社の日本ハムファクトリー㈱、南日本ハム㈱、日本ハム食品㈱及び日本ハム惣菜㈱等が製造を行い、当社及び全国に販売拠点を有する販売子会社の日本ハムマーケティング㈱等を通じて販売を行っております。また、子会社の㈱宝幸及び日本ルナ㈱によって、主に国内において水産物及び乳製品の製造・販売を行っております。
〔食肉事業本部〕
食肉事業本部は、主に国内において食肉の生産・販売を行っております。子会社の日本ホワイトファーム㈱、日本クリーンファーム㈱等が豚及びブロイラーの生産飼育を行い、子会社の日本フードパッカー㈱等が処理・加工を行った食肉製品と、海外事業本部管轄の食肉販売子会社や外部から仕入れた食肉商品を、当社及び全国に販売拠点を有する販売子会社の東日本フード㈱、関東日本フード㈱、中日本フード㈱及び西日本フード㈱等を通じて販売しております。
〔海外事業本部〕
海外事業本部は、海外子会社及び海外関連会社を管轄しており、子会社のNH Foods Australia Pty. Ltd.、Whyalla Beef Pty. Ltd.、Day-Lee Foods, Inc.及びThai Nippon Foods Co., Ltd.等が、主にハム・ソーセージ、加工食品及び食肉の生産・製造・販売を行っております。
以上に述べた事項を事業系統図によって示すと次ページのとおりです。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」)の状況の概況は以下のとおりです。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における食品業界は、地政学的リスクを要因とした原燃料などの高騰、日米金利差などを要因とする円安の進行などを背景に、昨年に続き各種商品の値上げの動きが継続したことにより、消費者の節約志向・低価格帯へのシフトがより一層顕著となりました。足元では賃上げの動きは2023年よりも強まりを見せておりますが、実質賃金のマイナスは依然続いており、先行き不透明な状況が続いております。
このような中、当期は「中期経営計画2023」 の最終年として、再成長への礎を築く一年と位置づけ、強みの強化と仕組みの変革を通し、収益力の早期回復に取り組んでまいりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は、食肉事業における国産鶏肉の価格転嫁や加工事業での価格改定の浸透に加え、ボールパーク事業において来場者数が増加したことなどにより、対前年同期比3.5%増の1,303,432百万円となりました。事業利益は、食肉事業の牽引に加え、加工事業における収益性改善、海外事業において販売環境が好転したことなどから、対前年同期比75.6%増の44,939百万円、税引前当期利益は持分法による投資利益が減少したものの事業利益が大幅に増加したことなどから対前年同期比83.2%増の40,599百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は対前年同期比68.8%増の28,078百万円となりました。
(注) 事業利益は、売上高から売上原価、販売費及び一般管理費を控除し、当社グループが定める為替差損益を加味するとともにIFRS会計基準への調整及び非経常項目を除外して算出しております。
セグメントの概況は以下のとおりです。
海外事業本部には、非継続事業に区分したBPUに関連する牛肉事業を含めております。
〔加工事業本部〕
売上高は、乳製品・エキス・一次加工品において価格改定が浸透したことや、ブランディング強化により主力商品である「シャウエッセン」の販売量が伸長したこと等から、対前年同期比3.2%増の431,233百万円となりました。事業利益は、商品ミックスの改善ならびに業務用商品や乳製品・エキス・一次加工品の販売伸長に加え、原材料価格の高騰に対する価格改定効果等により、対前年同期比93.9%増の9,730百万円となりました。
〔食肉事業本部〕
売上高は、量販店向けの国産鶏肉・豚肉販売が好調に推移したことや、インバウンド需要の増加に伴い外食向けの牛肉販売が伸長したこと等から、対前年同期比4.1%増の780,596百万円となりました。事業利益は、輸入食肉において冷凍商品を中心とした在庫の適正化に伴い収益性が改善したことや、国産鶏肉・豚肉における相場・需要がいずれも堅調に推移し利益確保が進んだことから、対前年同期比17.0%増の34,026百万円となりました。
〔海外事業本部〕
売上高は、BPUの株式譲渡や豪州産牛肉の販売単価が下落したこと等の影響で、対前年同期比9.8%減の289,964百万円となりました。事業利益は、豪州の牛肉事業における生体牛価格の下落、販売量増加による収益改善に加え、トルコの鶏肉事業において飼料高に対する価格転嫁の浸透が進んだことなどから、2,460百万円(前連結会計年度は5,036百万円の事業損失)となりました。
〔その他〕
売上高は、ボールパーク事業において「北海道ボールパークFビレッジ」の開業に伴い、観客動員数が増加したことに加え、非試合日に季節に合わせた種々のイベントを実施したことにより来場者数が当初年間計画の300万人を超えたこと等から、対前年同期比40.0%増の23,866百万円となりました。事業利益は、ボールパーク事業における新たなビジネスモデルにより広告・チケット・飲食収入等の収益性が大幅に改善したこと等から、1,920百万円(前連結会計年度は483百万円の事業損失)となりました。
地域別売上高の状況は以下のとおりです。
① 日本
日本では、食肉及び加工食品の販売単価が上昇したことにより、売上高(外部顧客に対する売上高)は、対前年同期比4.0%増の1,144,565百万円となりました。
② その他の地域
その他の地域では、主に食肉の販売単価が下落したことにより、売上高(外部顧客に対する売上高)は、対前年同期比0.1%減の158,867百万円となりました。
当連結会計年度末の総資産は、前年同期末比2.2%増の958,237百万円となりました。流動資産は、当連結会計年度末が金融機関の休業日であった影響等により営業債権及びその他の債権が前年同期末比12.5%増の165,022百万円となりましたが、BPUの株式譲渡に伴い売却目的保有資産が前年同期末比99.5%減の65百万円、その他の流動資産が前年同期末比19.3%減の20,318百万円となったこと等から、前年同期末比1.1%減の423,430百万円となりました。非流動資産は、繰延税金資産が前年同期末比9.7%減の28,072百万円となりましたが、無形資産及びのれんが前年同期末比27.9%増の25,822百万円となったことで、前年同期末比5.0%増の534,807百万円となりました。
負債につきましては、相場高と需要回復を受けた仕入の増加等により営業債務及びその他の債務が前年同期末比10.1%増の116,773百万円となりましたが、キャッシュ・マネジメント・システムの海外グループ会社への展開に伴う資金効率の向上等により有利子負債が前年同期末比11.2%減の214,852百万円となったこと等から、前年同期末比3.5%減の419,035百万円となりました。
親会社の所有者に帰属する持分につきましては、現金配当11,275百万円等により減少しましたが、当期利益28,078百万円による増加、円安の進行による在外営業活動体の換算差額11,656百万円の増加等により、前年同期末比7.0%増の527,503百万円となりました。
以上の結果、親会社所有者帰属持分比率は2.4ポイント増の55.0%となりました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物残高は、前年同期末に比べ479百万円増加し、65,465百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー) 86,586百万円の純キャッシュ増
営業活動によるキャッシュ・フローは、営業債権及びその他の債権の増加17,559百万円等がありましたが、税引前当期利益40,599百万円、減価償却費及び償却費39,719百万円、営業債務及びその他の債務の増加9,953百万円等により、86,586百万円の純キャッシュ増となりました。(前期は、11,331百万円の純キャッシュ増)
(投資活動によるキャッシュ・フロー) 39,224百万円の純キャッシュ減
投資活動によるキャッシュ・フローは、固定資産の取得48,479百万円等により、39,224百万円の純キャッシュ減となりました。(前期は、63,677百万円の純キャッシュ減)
(財務活動によるキャッシュ・フロー) 53,189百万円の純キャッシュ減
財務活動によるキャッシュ・フローは、借入債務による調達51,230百万円等がありましたが、短期借入金の減少30,798百万円、借入債務の返済62,898百万円等により、53,189百万円の純キャッシュ減となりました。(前期は、28,417百万円の純キャッシュ増)
a. 生産実績(製造原価ベース)
(注) 主に加工事業本部の生産実績であります。当社グループでは、生産飼育から処理・加工・販売までの全てを一貫して行っており、その生産・販売品目も主として食肉に関連した広範囲かつ多種多様なものとなっております。また、同種の品目についても容量、形態、包装等も一様でなく、食肉等については、販売用とハム・ソーセージ、加工食品等の原料用にも使用されており食肉等の生産実績を金額あるいは数量で示すことが困難であります。
b. 受注実績
当社グループは、主に需要予測に基づく予定生産を行っております。一部、当社の子会社プレミアムキッチン㈱は受注生産を行っておりますが、受注当日ないし翌日に製造、出荷しているため、受注高並びに受注残高の記載を省略しております。
c. 販売実績
販売実績については、「(1)① 財政状態及び経営成績の状況」において記載しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
当社グループの連結財務諸表は、IFRS会計基準に準拠して作成しております。したがって、当連結財務諸表の作成にあたっては、主としてわが国の会計慣行に準拠して作成された会計帳簿に記帳された数値に対していくつかの修正を加えております。IFRS会計基準に準拠した財務諸表の作成にあたり、連結会計年度末日現在の資産・負債の金額、偶発的な資産・負債の開示及び報告対象期間の収益・費用の金額に影響を与える様々な見積りや仮定を用いております。実際の結果は、これらの見積り等と異なる場合があります。
なお、重要性がある会計方針及び見積りの内容については、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針 及び 4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループが、2021年4月からスタートした「中期経営計画2023」は2024年3月期に最終年度を迎えました。「中期経営計画2023」では、経営理念の実現に向け、2030年における当社グループのありたい姿であるニッポンハムグループ「Vision2030」をマイルストーンとして位置付け、その達成に向け、既存事業の強化と構造改革、持続可能性の追求、成長領域における事業育成について中長期視点で取り組んでまいりました。また、ニッポンハムグループ「Vision2030」の実現に向けて取り組むべき重要な社会課題として特定したニッポンハムグループ「5つのマテリアリティ」の取り組みを「中期経営計画2023」における各施策とリンクさせ実行してまいりました。
当連結会計年度の取り組み成果としては、加工事業に関しては、ハム・ソーセージ及びデリ商品について、商品構成の見直しを進めたことや主力ブランドの販売に集中したことで収益性が改善しました。食肉事業に関しては、国産鶏肉・豚肉の需要増に伴う増収効果に加え、輸入食肉の在庫適正化に伴う収益性改善、食肉販売会社による外食向け販売の伸長などが寄与し増益となりました。海外事業に関しては、豪州牛肉事業の素牛仕入れ価格の低下と販売量増加による収益改善に加え、米州加工事業の販売数量増加などが寄与し増益となりました。
「中期経営計画2023」の策定時の目標とする経営指標としては、連結売上高1兆2,600億円、事業利益380億円、事業利益率3.0%、ROE4.6%、ROIC3.5%を掲げておりました。当連結会計年度の結果としては、連結売上高1兆3,034億円、事業利益449億円、事業利益率3.5%、ROE5.5%、ROIC4.1%となりましたが、新たなステージへ向け構造改革と成長戦略・風土改革に取り組み、更なる成長を目指してまいります。
当社グループは、2030年のありたい姿「Vision2030」 “たんぱく質を、もっと自由に。”の実現に向けて、2025年3月期から2027年3月期の3カ年の経営計画として「中期経営計画2026」を策定しました。「中期経営計画2026」は「たんぱく質の価値を共に創る企業へ」をテーマとして掲げ、たんぱく質を日本で最も供給する食品企業から、たんぱく質の価値を共に創る企業への変革を目指します。また、2021年からの当社ビジネス環境とサステナビリティに関するステークホルダーからの期待の変化を鑑み、マテリアリティの見直しを行いました。これまでの食のインフラを担う企業としてたんぱく質を安定的にお届けすることに加え、様々なパートナーと力を掛け合わせ、たんぱく質の新たな価値創造に取り組むことで、社会課題の解決に努めてまいります。
「中期経営計画2026」最終年度となる2027年3月期において、売上高1兆3,800億円、事業利益610億円、事業利益率4.4%、ROE7.0~8.0%、ROIC5.0~6.0%を経営目標とし、達成を目指してまいります。
中期経営計画2026の取り組み
セグメントごとの見通しは、以下のとおりであります。
〔加工事業本部〕
加工事業につきましては、戦略的な商品統廃合の影響により減収を見込むものの、主力商品の更なるブランディング強化に加え、「シャウエッセン」を中心とした収益性の高い商品に注力することで商品ミックスを改善し、利益確保を進めてまいります。
〔食肉事業本部〕
食肉事業につきましては、収益基盤となる国産鶏肉及び外食向け豪州産牛肉の販売拡大を図るとともに、生産部門の生産性改善や、輸入牛肉を中心とした高付加価値商品の販売強化により、収益性向上に取り組みます。
〔海外事業本部〕
海外事業につきましては、豪州牛肉事業において、処理頭数増加による生産性向上並びに付加価値の高いブランド商品の販売拡大を図りつつ、北米加工事業では、アイテム数増加によるトップライン拡大を進めるとともに、製造の安定化により収益性の向上に取り組んでまいります。
〔その他〕
ボールパーク事業につきましては、チーム強化費用の増加を見込むものの、開業2年目となる次期においても来場者数300万人以上を目標とし、当連結会計年度と同水準の利益確保を目指してまいります。
b. 資本の財源及び資金の流動性について
当社グループの主な資金需要は、「中期経営計画2026」における「構造改革」「成長戦略」「風土改革」をテーマとした戦略実行に必要な設備投資、成長・R&D投資、株主還元の他、運転資金、借入金の返済及び利息の支払等であります。
資金調達については、調達コストの適正化とリスク分散を意識し、直接金融と間接金融を組み合わせ、長期と短期のバランスを勘案しながら、低コストかつ安定的な資金を確保するよう努めております。また、グループ全体の資金効率の向上と金融費用の削減を目的として、日本国内及び海外においてCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)を導入しております。