E05289 Japan GAAP
前期
12.2億 円
前期比
112.0%
株価
1,934 (05/02)
発行済株式数
3,300,000
EPS(実績)
97.29 円
PER(実績)
19.88 倍
前期
576.2万 円
前期比
101.9%
平均年齢(勤続年数)
37.7歳(8.0年)
従業員数
61人
当社は、地理情報システム構築用ソフトウエアのライセンス販売、地理情報システムに係るアプリケーションソフトウエア(以下、「アプリケーション」という。)の受託開発といった創業期からの事業品目を継続するとともに、中核となる領域を、地理情報に関連づけた各種クラウドサービス(SaaS)の開発・提供にシフトし、警察・消防・自治体防災・社会インフラ保全等に関する業務の高度化を実現する独自のクラウドソリューションを展開しております。
なお、当社は情報サービス事業の単一セグメントであります。
主に、警察・消防・自治体防災・社会インフラ保全等の官公庁等の業務に係る各種情報を地理情報に関連づけて配信するクラウドサービス(インターネット回線を通じてソフトウエアを配信し、ユーザーの利用に供するサービス)を行っております。
表に掲示したもの以外にも、感染症サーベイランス情報を収集・共有する「感染症危機管理システム」、警察・消防や自治体が防災・防犯情報を配信するスマートフォンアプリ等、官公庁等の業務を支援する各種のクラウドサービスを提供しております。なお、行政が扱う情報の多くは地理的な位置に関係したものであるため、各種クラウドサービスの機能には、創業期からの地理情報システム事業における技術やノウハウが生かされています。
クラウドサービスは、主なユーザーである官公庁から直接受注する形態が多く、その場合は、一般競争入札を経ることが一般的であります。
当社と官公庁との契約は、官公庁の予算に合わせ1年契約を毎年更新する場合が一般的ですが、複数年にわたる長期契約を締結する場合もあります。
クラウドサービスの売上は、サービス開始前に環境を構築する請負の対価(初期構築費)とサービス提供期間中に継続的に受領する月額利用料により構成されます。なお、クラウドサービスの初期構築については、次に掲げる「受託開発」の品目として扱っており、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」において、受託開発の売上に含めております。
地理情報に関連する各種システムの受託開発に係る事業品目であり、以下の内容で構成されております。
受託開発としては、主にクラウドサービスの初期構築・導入支援及びカスタマイズ並びにオーダーメイド開発を行っており、自社サービスについては、「NET119緊急通報システム」や「Live119(映像通報システム)」のように初期構築・導入支援(環境設定や操作説明会等)が主になるものと、「DMaCS(災害情報共有サービス)」のように機能等のカスタマイズを行うものがあり、そのほか、警察・消防や自治体が防災・防犯情報を配信するスマートフォンアプリのオーダーメイド開発を行うケースもあります。
他方で、オンプレミス環境(情報システムの利用に必要となるサーバー等の機器をユーザーの管理下に設置する従来型の運用形態)でのシステム開発・保守も行っており、取り扱う情報や業務の性質上クラウド環境で運用する形態に適さないもの(例えば警察業務に関するシステム等)について、ユーザーが定める仕様に基づいて開発する案件があります。
また、従来の地理情報システムのアプリケーション開発(当社の「GeoBase(ジオベース)」「GeoBase.NET」を用いた地理情報システムの構築)についても、電力事業者の設備管理用のシステムを中心に継続的に受注しております。
なお、受託開発案件の納品においては、顧客の要望により、デジタル地図やハードウエア等の仕入れ販売を併せて行うケースがあります。
クラウドサービスと同様、ユーザーである官公庁や電力事業者から直接受注する形態が多く、官公庁から受注する場合は、一般競争入札を経ることが一般的であります。
なお、これら受託開発の品目については、顧客(大手企業や官公庁等)の決算期が集中する3月末にかけて売上計上される案件が多いため、第3又は第4四半期会計期間に売上計上が偏重する傾向があります。
GIS(Geographic Information System)の訳語である地理情報システムは、電子地図を背景として地理的な位置の情報に属性データ(空間データともいう。)を重ね合わせ、統合的に処理・分析を行い、表示するシステムであり、主に、地方公共団体等の官公庁における防災・都市計画、医療・福祉・教育等の分野で利用されているほか、民間の施設管理や出店計画等にも利用されております。
当社は、自社製の地理情報システム構築用ソフトウエア(「GeoBase」「GeoBase.NET」)を、エンドユーザーの仕様にあわせたアプリケーションとして開発する企業に対し、ライセンス販売を行っております。
販売先であるソフトウエア開発事業者・総合電機メーカー・測量又は建設土木に関するコンサルタント及び電力等のインフラ関連事業者(以下、「SI事業者等」という。)が当社製品をもとに地理情報システムを開発し、地方自治体等の官公庁及び電力・通信事業者等のインフラ系事業者といったユーザーに提供することに対し、当社がロイヤリティを受け取る契約形態をとっております。
当社の「GeoBase」及び「GeoBase.NET」は、地理情報システムを構築するためのソフトウエアであり、単体のソフトウエアとして地理情報システムの機能を有するものではなく、当該製品を組み込み、エンドユーザーの用途に必要な機能や仕様に応じたアプリケーションを開発するための部品を組み合わせたもの(アプリケーションを構成する関数の集合体)であり、一般にエンジンとも呼ばれる基幹部分の機能が含まれております。
④ 品目別の売上構成の推移について
「第一部 企業情報 第1 企業の概況 2 沿革」に記載のとおり、1994年から開始している地理情報システム構築用ソフトウエアのライセンス販売及び当該ソフトウエアを用いた受託開発については、長年にわたり当社の主力となる事業でしたが、近年、従来の構築型やパッケージ型のシステムからクラウドサービスへと利用形態が変化しております。当社も2005年からクラウドサービスの提供を開始し、主に地方自治体の防犯や防災分野で利用するクラウドサービスの提供に注力しており、クラウド利用料の売上が年々増加し、品目別の売上構成が変化しております。
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に対する行動制限の緩和や外国人観光客の受入れ再開等により、景気は緩やかに持ち直しの動きがみられたものの、ロシアのウクライナへの侵攻の長期化や、円安の進行に伴う物価上昇等により、景気の先行きは不透明な状況で推移いたしました。
情報サービス産業界においては、デジタルトランスフォーメーション(DX)(注1)の進展とともに、人工知能(AI)やチャットボット(注2)等の技術革新によってコミュニケーションの未来像が描かれ、当社の事業領域である公共システムの分野、とりわけ防災や市民の安全にかかわる社会課題を解決するテクノロジーに対して官民の共創の取り組みが推進され、新たな市場形成の動きが広がっております。
このような環境において、当社は、2022年度中期経営計画の最重点施策である「Gov-tech(注3)市場の深耕」を推進する一方で、ストレッチ目標の達成に向けて「社会課題解決サービスの創出」や「M&A・事業提携によるシナジー創出」に取り組むとともに、これらの達成を支える人材基盤の強化に注力しております。
当事業年度においては、警察・消防・自治体防災・社会インフラ保全の課題解決を実現するシステムの導入拡大が進みました。なかでも、主力の「NET119緊急通報システム」は株式会社両備システムズからの顧客の引き継ぎが進み、導入消防の管轄人口カバー率(導入消防の管轄人口の合計が日本の総人口に占める割合)が7割を超え、「Live119(映像通報システム)」は東京消防庁や福岡市等の主要都市で本運用が始まるなど、今後の導入拡大に弾みがついております。そのほか、映像通報の技術を応用した「Live-X(映像通話システム)」や災害対策本部での情報収集を支援する「DMaCS(災害情報共有サービス)」、自治体や警察が防災・防犯情報を配信するスマートフォンアプリ等は、防災やライフラインの安定供給といった分野の課題の解決に有用なサービスとして紹介され、新規案件の受託に繋がりました。
以上の結果、当事業年度の売上高につきましては、各種クラウドサービス・アプリの契約数が積み上がり、ストック型の利用料収入が順調に増加するとともに、クラウドサービスの初期構築やオンプレミス(注4)環境でのシステム開発等に係る受託開発も順調に推移したことにより、1,368,390千円(前事業年度比12.0%増)となりました。
利益面では、売上高の増加が人件費等の売上原価・販売費及び一般管理費の増加を上回ったことにより、営業利益443,258千円(前事業年度比10.7%増)、経常利益451,049千円(前事業年度比11.6%増)、当期純利益321,058千円(前事業年度比13.2%増)となりました。
(注1)デジタルトランスフォーメーション(DX):データとデジタル技術を活用し、ユーザーや社会のニーズをもとに、製品・サービス、ビジネスモデルや業務プロセス等を変革すること
(注2)チャットボット(chatbot):チャット(インターネット上での双方向での文字のやり取りによりリアルタイムなコミュニケーションを行う仕組み)とボット(ロボット)を組み合わせた言葉で、人工知能を活用した自動会話プログラムのこと
(注3)Gov-tech(ガブテック):既存の産業とテクノロジーを組み合わせることでイノベーションを起こす動きをさすxTech(クロステック)のひとつであり、政府(Government)が積極的に新しい技術(Technology)をとりいれ、公的サービスをテクノロジーの力でより良いものにする取り組み
(注4)オンプレミス:情報システムの利用に必要となるサーバー等の機器をユーザーの管理下に設置する運用形態
なお、当社は情報サービス事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しておりますが、品目別の売上構成比は、クラウド利用料が52.2%(前事業年度は50.3%)、受託開発が41.3%(前事業年度は42.4%)、ライセンス販売が5.0%(前事業年度は6.1%)、商品売上が1.5%(前事業年度は1.2%)となっており、品目別の実績は次のとおりであります。
「NET119緊急通報システム」・「Live119(映像通報システム)」・「DMaCS(災害情報共有サービス)」のほか、行政・警察向けスマートフォンアプリ等の顧客獲得が順調に進み、既存契約の継続に加えて、新規顧客の獲得により契約数が積み上がったため、713,721千円(前事業年度比16.1%増)となりました。
地理情報関連システムの受託開発の売上及びクラウドサービスの初期構築や機能追加に係る売上がともに増加したため、売上高は565,358千円(前事業年度比9.1%増)となりました。
既存顧客から継続して防災関連等のシステム用のライセンスの受注がありましたが、新規受注が減少傾向にあり、売上高は68,436千円(前事業年度比8.9%減)となりました。
受託開発に伴うデジタル地図等の納品を行うとともに、新規自治体案件の販売があったため、20,873千円(前事業年度比48.6%増)となりました。
当事業年度末の総資産は2,495,562千円となり、前事業年度末と比較して127,551千円増加いたしました。これは主に、売掛金が9,718千円、投資有価証券が401,690千円それぞれ増加した一方で、現金及び預金が212,634千円、有価証券が72,602千円それぞれ減少したことによるものであります。
当事業年度末の負債は269,316千円となり、前事業年度末と比較して40,050千円増加いたしました。これは主に、前受収益が18,807千円、長期前受収益が34,304千円それぞれ増加した一方で、買掛金が9,308千円減少したことによるものであります。
当事業年度末の純資産は2,226,246千円となり、前事業年度末と比較して87,501千円増加いたしました。これは主に、譲渡制限付株式の付与等により資本剰余金が8,749千円、当期純利益の計上により利益剰余金が321,058千円それぞれ増加した一方で、配当金の支払いにより利益剰余金が44,856千円減少し、自己株式の取得等により自己株式が199,358千円増加したことによるものであります。
当事業年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、投資活動によるキャッシュ・フローが58,831千円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローが244,497千円の支出となったものの、営業活動によるキャッシュ・フローが365,694千円の獲得となったため、前事業年度に比べ62,365千円増加し、当事業年度末には793,011千円となりました。
当事業年度において営業活動の結果獲得した資金は、365,694千円(前事業年度比108,623千円増)となりました。これは主に、税引前当期純利益が451,049千円、前受収益の増加額が53,111千円あった一方で、法人税等の支払額が130,645千円あったことによるものであります。
当事業年度において投資活動の結果支出した資金は、58,831千円(前事業年度比43,836千円減)となりました。これは主に、定期預金の払戻による収入が1,110,000千円、有価証券の償還による収入が72,500千円あった一方で、定期預金の預入による支出が835,000千円、投資有価証券の取得による支出が399,381千円、無形固定資産の取得による支出が4,704千円あったことによるものであります。
当事業年度において財務活動の結果支出した資金は、244,497千円(前事業年度比206,126千円増)となりました。これは、自己株式の取得による支出が199,913千円、配当金の支払による支出が44,583千円あったことによるものであります。
当社は、情報サービス事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を行っておりません。
当事業年度の生産実績は次のとおりであります。
(注) 金額は、販売価格によっております。
当事業年度の受注状況は次のとおりであります。
(注) 金額は、販売価格によっております。
当事業年度の販売実績を品目別に示すと次のとおりであります。
(注) 前事業年度及び当事業年度の主な相手先別の販売実績は、総販売実績に対する割合が100分の10未満であるため記載を省略しております。
経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。当社経営陣は、財務諸表の作成に際して、会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積り及び仮定設定を行う必要があります。経営陣は、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (重要な会計方針)」に記載しております。
当事業年度の売上高につきましては、各種クラウドサービス・アプリの契約数が積み上がり、ストック型の利用料収入が順調に増加するとともに、クラウドサービスの初期構築やオンプレミス環境でのシステム開発等に係る受託開発も順調に推移したことにより、1,368,390千円(前事業年度比12.0%増)となりました。
各品目の実績は次のとおりであります。
「NET119緊急通報システム」・「Live119(映像通報システム)」・「DMaCS(災害情報共有サービス)」のほか、行政・警察向けスマートフォンアプリ等の顧客獲得が順調に進み、既存契約の継続に加えて、新規顧客の獲得により契約数が積み上がったため、713,721千円(前事業年度比16.1%増)となりました。
地理情報関連システムの受託開発の売上及びクラウドサービスの初期構築や機能追加に係る売上がともに増加したため、売上高は565,358千円(前事業年度比9.1%増)となりました。
既存顧客から継続して防災関連等のシステム用のライセンスの受注がありましたが、新規受注が減少傾向にあり、売上高は68,436千円(前事業年度比8.9%減)となりました。
受託開発に伴うデジタル地図等の納品を行うとともに、新規自治体案件の販売があったため、20,873千円(前事業年度比48.6%増)となりました。
売上原価は、地図等の仕入や外注費等の増加の他、人件費の増加及び新型コロナウイルス感染症に伴う一時的な支払手数料の増加により、479,754千円(前事業年度比76,479千円増)となりました。
売上総利益は、売上高が増加したものの、売上原価が増加したことに伴い、売上高総利益率が2.1ポイント減少し、888,636千円(前事業年度比69,833千円増)となりました。
販売費及び一般管理費は、主に人件費の増加及びNET119の移行に伴う支払手数料の増加により、445,377千円(前事業年度比27,169千円増)となりました。
営業利益は、売上高が増加したものの、売上原価及び販売費及び一般管理費が増加したことに伴い、営業利益率が0.4ポイント減少し、443,258千円(前事業年度比42,663千円増)となりました。
営業外収益は、有価証券利息、補助金収入及び助成金収入等により7,790千円(前事業年度比4,311千円増)となりました。
経常利益は451,049千円(前事業年度比46,975千円増)となりました。
当期純利益は、321,058千円(前事業年度比37,557千円増)となりました。
当社は、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、市場動向による影響等、様々なリスク要因が当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しており、これらのリスクの発生を抑え、影響を最小限に抑えるよう適切に対応する所存であります。
当社の所要資金は、主にソフトウエアの製造・販売を行うための投資及び経常の運転資金であり、これらについてはすべて自己資金により対応しております。
当社の当事業年度末の自己資本比率は89.2%であり、充分な流動性を確保しております。翌事業年度においては、特記すべき設備投資計画は無く、経常の運転資金については自己資金で賄う予定であります。
当事業年度における財政状態の状況につきましては、上記「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」をご参照ください。
資金需要を満たすための資金は、原則として、営業活動によるキャッシュ・フローを財源としております。
なお、当事業年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、上記「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
当社の経営陣は、現在の事業環境及び入手可能な情報に基づき最善の経営方針を立案するように努めております。
当社が属する情報サービス産業においては、デジタル庁創設が後押しとなり、デジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組む自治体や企業が増加し、需要が拡大するものと思われます。また、技術面では、AI、5G等の技術革新により既存の事業環境が激変する可能性があり、ビジネスチャンスが生じる一方で、収益構造の変化や顧客要望の多様化・高度化への対応が求められております。また、デジタル化推進の高まりを受け、IT技術者は慢性的に不足しており、人材の確保と育成が課題となっております。
このような環境下において、当社は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題」に記載した各課題への対応を実施することにより、さらなる売上の増大と収益力の向上を目指します。