E05303 Japan GAAP
前期
104.4億 円
前期比
110.3%
株価
4,995 (07/12)
発行済株式数
14,133,000
EPS(実績)
309.70 円
PER(実績)
16.13 倍
前期
568.6万 円
前期比
109.0%
平均年齢(勤続年数)
34.8歳(6.8年)
従業員数
252人
当社グループは、当社及び連結子会社3社により構成され、Webセキュリティ、メールセキュリティ、及びファイル暗号化・追跡ソリューションの企画・開発・販売等を主要な事業としております。
[当社と連結子会社の事業における位置付け]
(注)前連結会計年度において当社連結子会社であったデジタルアーツコンサルティング株式会社は、2024年3月29日付で全株式を譲渡したため、連結子会社から除外しております。
インターネットの世界にはさまざまな情報が際限なく氾濫しております。インターネットを活用することにより、情報収集における利便性は飛躍的に高まったものの、インターネット上の情報のコントロールや有害サイトからのマルウェア感染対策の防御方法は未だ確立されておらず、インターネット経由からの情報漏えい・不正持出リスクは非常に高くなっております。また、ビジネスに欠かせない電子メールについても、メールの誤送信による情報漏えいや、なりすましメール・フィッシングメールの受信、有害なファイルの受信などによるマルウェア感染リスクなど多くのセキュリティ課題を抱えております。さらに、重要な経営資産の1つとなった個人情報や営業秘密などの電子データについて、不正持出・盗難・紛失や電子メール・ストレージ経由の誤送信などによるミスによって、情報漏えいリスクがますます高まっております。加えて、昨今のクラウドサービス利用増加に伴い、クラウドサービスへの不正アクセスによる攻撃への対策も求められています。
多くの企業などの組織が上記のような課題・リスクを抱える中、当社グループは、国内で検索可能なURLと安全な送信元であると判定したメール情報を99%以上(自社調べ)網羅したデータベース及び独自の攻撃対策機能により、既知だけでなく未知の脅威や攻撃からお客様を守る「ホワイト運用」を「i-FILTER」Ver.10、「m-FILTER」Ver.5に搭載し、ソフトウェアだけでなくクラウドサービスでも提供しております。また、電子データの暗号化と追跡管理機能を搭載したIRMソリューション「FinalCode」のソフトウェア・クラウドサービスでの提供や、重要情報を安全に転送するDLP・ファイル転送ソリューション「f-FILTER」、独自の多要素認証方式を搭載したIDaaSソリューション「StartIn」、セキュアで快適なコミュニケーションを実現する「Desk」など、広がるセキュリティ脅威に対して、対策が可能なソリューションラインアップを拡充させております。
なお、当社グループは、区分すべき事業セグメントが存在しないため報告セグメントはセキュリティ事業単一となっております。
[主要製品]
[主要製品の特徴]
事業の系統図は次のとおりであります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度(2023年4月1日~2024年3月31日)におけるわが国経済は、個人消費や輸出の一部に弱さが残るものの、設備投資の増加、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあり、景気は緩やかな回復が続いております。一方、足下の物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等により、経済の先行きに注視が必要な状況にあります。
当社グループが属するセキュリティ業界においては、ランサムウェア攻撃、サプライチェーン攻撃等のサイバー攻撃被害が激化していることや、内部不正、不注意による情報漏えいインシデントが多発していること等からセキュリティ製品に対する需要が拡大しております。これらは大規模企業や公共機関のみならず、予算面や人材面等を理由に従来はセキュリティ対策に投資ができていなかった中堅・中小企業においてもセキュリティリスクの認識が広まりつつあり、対策のニーズが高まっています。
こうした中、当社は企業・団体規模問わず高まっている多様なセキュリティニーズに対応するため、主力製品「i-FILTER」、「m-FILTER」、「FinalCode」の継続的な機能強化や、2023年4月に「i-FILTER@Cloud」におけるCASB機能(クラウドサービスの利用状況の可視化や制御を実現する機能)の搭載を行い、前年度リリースしました「Anti-Virus & Sandbox」オプションとあわせて独自の次世代SWG(Secure Web Gateway)の拡販に注力しました。さらには、従来のAIでは難しかった文章等を自動的に作り出し注目を集めている「生成AI」をより安全に利活用いただくための「AIチャットフィルター」機能を2023年8月から「i-FILTER」と「i-FILTER@Cloud」に標準搭載し、ご好評をいただいております。
さらに、トータルセキュリティニーズへの対応のために、2023年7月にはポップアップ型メール誤送信対策製品「m-FILTER MailAdviser」の新エディション、2023年9月には安心・安全なクラウドサービスの認証やID管理を実現するIDaaS製品「StartIn」、2023年11月には安全なファイル転送で重要情報の外部漏えいを防ぐDLP・ファイル転送サービス「f-FILTER」の提供を開始しました。
その一方で、過去にない数の新機能追加・新製品リリースに対して積極的に投資したことや、連結子会社デジタルアーツコンサルティングの事業拡大に伴う労務費・人件費等が増加したこと等により、売上原価及び販売費及び一般管理費が前年度を上回りました。
なお、連結子会社であるデジタルアーツコンサルティング株式会社の全株式を株式会社チェンジホールディングスに譲渡するための手続きが2024年3月に完了しております。
以上の結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下の通りとなりました。
a.財政状態
(資産)
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べて1,368百万円増加し、22,518百万円となりました。これは主として、現金及び預金が1,320百万円増加したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べて455百万円減少し、6,519百万円となりました。これは主として、前受金が768百万円減少したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べて1,824百万円増加し、15,998百万円となりました。これは主として、配当金の支払い及び自己株式の取得による減少を上回る親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加があったことによるものであります。
b.経営成績
当連結会計年度における売上高は11,512百万円(前期比10.3%増)、営業利益は4,427百万円(同0.3%増)、経常利益は4,443百万円(同0.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は4,377百万円(同43.0%増)※となりました。
※連結子会社デジタルアーツコンサルティングの子会社株式売却益1,930百万円を含んでおります。
連結経営成績の概況
(単位:百万円)
各市場の業績は次の通りです。
企業向け市場においては、クラウドセキュリティへの移行ニーズや他社製品からの製品乗換ニーズに対して、「i-FILTER」とオプション製品「Anti-Virus & Sandbox」に加え、新機能「CASB」の提案活動を行い、新規案件獲得が順調に進みました。また、ランサムウェア攻撃への対策、PPAP(ファイルをパスワード付きZIPファイルにしてメールで送付し、パスワードを別送するファイルのやり取り)対策、クラウド環境におけるメールセキュリティ対策等といった多様なニーズに対応した総合的なセキュリティ機能が評価され、「m-FILTER」の新規案件獲得が好調に推移しました。また、新製品「f-FILTER」は「m-FILTER」との連携等により計画以上に案件を獲得しました。
さらにセキュリティコンサルティングサービスを提供している連結子会社デジタルアーツコンサルティングが、ISMAPをはじめとしたセキュリティガバナンス構築支援案件をはじめ、セキュリティ診断からセキュリティ施策の実行支援まで包括的なサービスを提供したことにより新規案件獲得が急拡大しました。
以上の結果、企業向け市場の売上高は、6,456百万円(前期比21.4%増)となりました。
公共向け市場においては、「自治体セキュリティ強靭化」対策に関するガイドラインに対応したソリューション提案への注力や、「GIGAスクール構想第1期」におけるフィルタリング未導入の教育委員会・学校に対して、教育現場用に独自機能を搭載した「i-FILTER」GIGAスクール版の提案活動を行ったことにより新規案件の獲得が継続しました。一方で、前期受注した官公庁大口案件の反動や「県庁セキュリティクラウド」案件の一巡による新規案件獲得減の影響も受けました。
以上の結果、公共向け市場の売上高は、4,637百万円(前期比1.0%減)となりました。
家庭向け市場
家庭向け市場においては、1つのシリアルIDで複数OSでの利用が可能な「i-フィルターfor マルチデバイス」の販売や受託開発の獲得に注力しましたが、携帯電話事業者やMVNO事業者等からの収入が減少しました。
以上の結果、家庭向け市場の売上高は、418百万円(前期比3.4%減)となりました。
当連結会計年度(2023年4月1日~2024年3月31日)の売上高
(百万円未満切捨)
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて、1,320百万円増加し、18,339百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益6,378百万円の計上の一方で、法人税等の支払また子会社株式売却益の調整等により、2,830百万円の収入(前連結会計年度は3,147百万円の収入)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、子会社株式の売却による増加があった一方、無形固定資産の取得による減少により、1,012百万円の収入(前連結会計年度は867百万円の支出)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払及び自己株式の取得等により、2,545百万円の支出(前連結会計年度は1,051百万円の支出)となりました。
(注) 1 金額は販売価格によっております。
2 当社グループは、セキュリティ事業のみの単一セグメントであるため、セグメントに係る記載は省略しております。
当社グループは受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。
(注) 1 輸出販売高はありません。
2 当社グループは、セキュリティ事業のみの単一セグメントであるため、セグメントに係る記載は省略しております。
3 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度末における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
(売上高)
当連結会計年度の売上高は11,512百万円となり、前連結会計年度と比較し1,075百万円増加(前期比10.3%増)となりました。
これは、企業向け市場において、受注が好調なクラウドサービス系製品やライセンス販売系製品の売上計上に加え、デジタルアーツコンサルティング株式会社の成長が主要因です。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度の売上原価は4,583百万円となり、前連結会計年度と比較し917百万円増加(前期比25.0%増)となりました。また、売上総利益は6,928百万円となり、前連結会計年度と比較し158百万円増加(前期比2.3%増)となりました。
当連結会計年度は、クラウドサービス系製品の拡販に伴うクラウドサーバー費用の増加、新製品開発費用の増加、デジタルアーツコンサルティング株式会社のコンサルタント人員数の増強による労務費の増加等はあったものの、売上高の増加に伴い、売上総利益が増加いたしました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は2,500百万円となり、前連結会計年度と比較し144百万円増加(前期比6.1%増)となりました。また、営業利益は4,427百万円となり、前連結会計年度と比較し13百万円の増加(前期比0.3%増)となりました。
当連結会計年度は、デジタルアーツコンサルティング株式会社のコンサルタント人員数の増強による採用費用の増加等があったものの、売上高の増加に伴い、営業利益は増加いたしました。
(経常利益)
当連結会計年度は、為替差益13百万円等を営業外収益に計上したことにより、経常利益は4,443百万円(前期比0.3%増)となりました。
(特別利益)
当連結会計年度は、デジタルアーツコンサルティング株式会社の株式譲渡に伴う子会社株式売却益1,930百万円等を計上したことにより、特別利益は1,935百万円となり、前連結会計年度と比較し1,934百万円増加となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、4,377百万円(前期比43.0%増)となりました。
当連結会計年度における客観的な指標は以下の通りであります。
契約高成長率と売上高成長率が乖離する理由は、主に従来からの主要製品であるライセンス販売系製品は出荷時に契約高の大部分を一括で売上計上するのに対し、クラウドサービス系製品は、サービス提供期間を通じて月額按分で売上計上するためであります。
c. 資本の財源及び資金の流動性についての分析
資本政策につきましては、企業価値の持続的な向上を目指し、成長分野に対して迅速に投資可能な水準の内部留保の充実と株主の皆様への利益還元を総合的に勘案し、実施していくことを基本方針としております。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は18,339百万円となっているのに対して、有利子負債残高はございません。