E05303 Japan GAAP
前期
90.5億 円
前期比
115.3%
株価
4,220 (04/24)
発行済株式数
14,133,000
EPS(実績)
216.66 円
PER(実績)
19.48 倍
前期
695.4万 円
前期比
81.8%
平均年齢(勤続年数)
34.7歳(6.5年)
従業員数
246人(連結:353人)
当社グループは、当社及び連結子会社4社により構成され、Webセキュリティ、メールセキュリティ、及びファイル暗号化・追跡ソリューションの企画・開発・販売等並びに情報セキュリティコンサルティングを主要な事業としております。
[当社と連結子会社の事業における位置付け]
インターネットの世界にはさまざまな情報が際限なく氾濫しております。インターネットを活用することにより、情報収集における利便性は飛躍的に高まったものの、インターネット上の情報のコントロールや有害なサイトからの防御方法は未だ確立されておらず、インターネットユーザーが意図せずに問題あるサイトにアクセスする可能性が非常に高くなっております。また、ビジネスに欠かせない電子メールについても、メールの誤送信による情報漏洩や、迷惑メール・なりすましメールの受信、有害なファイルの受信などによるウイルス感染リスクなど多くのセキュリティ課題を抱えております。さらに、重要な経営資産の1つとなった個人情報や委託先からの情報などの電子データについて、組織内部関係者による不正な持ち出しだけでなく、デバイスの盗難・紛失やメール誤送信などによるミスによって、情報漏洩リスクがますます高まっております。
多くの企業等の組織が上記のような課題・リスクを抱える中、当社グループは、国内で検索可能なURLと安全な送信元であると判定したメール情報を全て網羅したデータベースにより未知の脅威や攻撃からお客様を守る「ホワイト運用」を提唱し、内部からの情報漏洩対策だけでなく、独自の外部攻撃対策を備えた「i-FILTER」Ver.10及び「m-FILTER」Ver.5、電子データの暗号化と追跡管理を可能とした「FinalCode」を主力製品として拡販に努めております。加えて、企業のテレワークの普及等によりWebサービスやメール環境のクラウド化が急速に進んでいることを背景として、クラウドサービス「i-FILTER@Cloud」、「m-FILTER@Cloud」、「FinalCode@Cloud」を拡販し、クラウド環境においても、Webやメールを安心して利用できる世界を提供する等、さらに広範囲なセキュリティ対策が可能な製品開発を加速させております。
なお、当社グループは、区分すべき事業セグメントが存在しないため報告セグメントはセキュリティ事業単一となっております。
[主要製品]
[主要製品の特徴]
事業の系統図は次のとおりであります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度(2022年4月1日~2023年3月31日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限が徐々に緩和され、緩やかに経済活動は持ち直しつつありましたが、ウクライナ情勢の長期化や外国為替市場での急激な円安・ドル高を原因とする物価の上昇など景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。
当社グループが属するセキュリティ業界においては、ランサムウェア・Emotetに加え、キーボード操作などから機密情報を窃取する遠隔操作型のマルウェアであるAgent Tesla等、多様化するサイバー攻撃被害が激化していることを背景としてセキュリティ製品に対する需要が拡大しており、大規模企業のみならず、相対的にセキュリティ対策が遅れている中堅・中小企業においても新規導入需要が拡大しております。
こうした中、当社はトータルセキュリティニーズの高まりに対応するため、主力製品「i-FILTER」、「m-FILTER」、「FinalCode」の連携・機能強化と多様なセキュリティソリューションを追加搭載し、独自の次世代SWG(Secure Web Gateway)の展開に注力しました。
従来から提唱している「ホワイト運用」に加えて、安全なWebサイト・メールからの安全なファイルのダウンロード・受信を実現し、セキュリティレベルが向上するだけではなく、マルウェア判定をリアルタイムに確認し、ログの一元管理も可能となり、利便性が向上する新オプション「Anti-Virus & Sandbox」の提供を開始し、順調に受注を拡大しました。
また、サイバー攻撃からの被害を最小化するために、SOC(Security Operation Center)やEDR(Endpoint Detection and Response)といったインシデントの検知や対応を行う重要性が高まっていることを受け、当社は、人材の確保やセキュリティコストへの課題を抱えているお客様向けに低コストでインシデントの迅速な検知を実現する新オプション「Dアラート発信レポートサービス」の提供を開始し、インシデントの検知・対応の領域へ進出いたしました。
さらに、未知の脅威や悪性ファイルだけでなく、メールなどからフィッシングサイトに誘導するフィッシングの被害も増加しております。フィッシングサイトは金融機関や通販などのWebサイトを模倣しており、判別は非常に困難であります。このようなフィッシングサイトの脅威を防ぐため、当社独自の技術により安全性を確認したURLのみ認証情報の送信を許可し、安全性を確認できなかったWebサイトへの認証情報の送信をブロックする「クレデンシャルプロテクション」機能を「i-FILTER@Cloud」に新たに追加し、お客様のセキュリティレベルを向上させました。これらの施策を実施したことにより、当社が独自に提唱している「ホワイト運用」の利用者が当連結会計年度に新たに166万ライセンス増加し、1,168万ライセンスとなりました。
以上の結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下の通りとなりました。
a.財政状態
(資産)
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べて1,807百万円増加し、21,149百万円となりました。これは主として、現金及び預金が1,245百万円増加したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べて205百万円減少し、6,975百万円となりました。これは主として、前受金が496百万円減少したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べて2,013百万円増加し、14,173百万円となりました。これは主として、配当金の支払いによる減少を上回る親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加があったことによるものであります。
b.経営成績
当連結会計年度における売上高は10,436百万円(前期比15.3%増)、営業利益は4,413百万円(同7.0%増)、経常利益は4,429百万円(同7.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は3,062百万円(同5.6%増)となりました。
連結経営成績の概況
(単位:百万円)
各市場の業績は次の通りです。
企業向け市場においては、トータルセキュリティニーズへの対応として「i-FILTER」および「m-FILTER」それぞれにアンチウイルス機能およびサンドボックス機能の新機能オプションを提供開始したことにより新規案件獲得に寄与しました。また、PPAP(ファイルをパスワード付きZIPファイルにしてメールで送付し、パスワードを別送するファイルのやり取り)対策やEmotet等の標的型攻撃に対応した機能が高く評価され、「m-FILTER」を順調に拡販することができました。加えて、セキュリティコンサルティングサービスを提供している子会社デジタルアーツコンサルティングが、企業のサイバーセキュリティとDXにおけるコンサルティング需要の高まりを受けて、新規顧客の獲得を進め、売上高が増加しました。
以上の結果、企業向け市場の売上高は、5,316百万円(前期比16.6%増)となりました。
公共向け市場においては、前期以前から続く「GIGAスクール構想」案件の売上計上及び当期より本格化している自治体向けのセキュリティ対策強化に対応したソリューションの提案に注力した結果、地方自治体の受注獲得が好調に推移し、「i-FILTER」、「m-FILTER」の売上高が増加しました。
以上の結果、公共向け市場の売上高は、4,686百万円(前期比15.8%増)となりました。
家庭向け市場
家庭向け市場においては、携帯電話事業者やMVNO事業者等との連携、1つのシリアルIDで複数OSでの利用が可能な「i-フィルター for マルチデバイス」の販売に注力しました。
以上の結果、家庭向け市場の売上高は、433百万円(前期比2.6%減)となりました。
当連結会計年度(2022年4月1日~2023年3月31日)の売上高
(百万円未満切捨)
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて、1,245百万円増加し、17,018百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益4,430百万円及び減価償却費884百万円の計上等により、3,147百万円の収入(前連結会計年度は6,169百万円の収入)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、無形固定資産の取得等により、867百万円の支出(前連結会計年度は978百万円の支出)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払等により、1,051百万円の支出(前連結会計年度は810百万円の支出)となりました。
(注) 1 金額は販売価格によっております。
2 当社グループは、セキュリティ事業のみの単一セグメントであるため、セグメントに係る記載は省略しております。
当社グループは受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。
(注) 1 輸出販売高はありません。
2 当社グループは、セキュリティ事業のみの単一セグメントであるため、セグメントに係る記載は省略しております。
3 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度末における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
(売上高)
当連結会計年度の売上高は10,436百万円となり、前連結会計年度と比較し1,384百万円増加(前期比15.3%増)となりました。
これは、企業向け市場においてテレワークの普及が追い風となり、i-FILTERシリーズの受注が増加したこと、公共向け市場において「GIGAスクール構想」におけるi-FILTERシリーズの受注が増加したこと、さらにデジタルアーツコンサルティング株式会社において新規顧客による売上が拡大したことが主要因です。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度の売上原価は3,666百万円となり、前連結会計年度と比較し990百万円増加(前期比37.0%増)となりました。また、売上総利益は6,769百万円となり、前連結会計年度と比較し394百万円増加(前期比6.2%増)となりました。
当連結会計年度は、クラウドサービス系製品の拡販に伴うクラウドサーバー費用の増加、デジタルアーツコンサルティングのコンサルタント人員数の増強による労務費の増加等はあったものの、売上高の増加に伴い、売上総利益が増加いたしました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は2,356百万円となり、前連結会計年度と比較し108百万円増加(前期比4.8%増)となりました。また、営業利益は4,413百万円となり、前連結会計年度と比較し286百万円の増加(前期比7.0%増)となりました。
当連結会計年度は、デジタルアーツコンサルティングのコンサルタント人員数の増強による採用費用の増加等があったものの、売上高の増加に伴い、営業利益は増加いたしました。
(経常利益)
当連結会計年度は、為替差益12百万円等を営業外収益に計上したことにより、経常利益は4,429百万円(前期比7.1%増)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、3,062百万円(前期比5.6%増)となりました。
当連結会計年度における客観的な指標は以下の通りであります。
契約高成長率と売上高成長率が乖離する理由は、主に従来からの主要製品であるライセンス販売系製品は出荷時に契約高の大部分を一括で売上計上するのに対し、クラウドサービス系製品は、サービス提供期間を通じて月額按分で売上計上するためであります。
c. 資本の財源及び資金の流動性についての分析
資本政策につきましては、企業価値の持続的な向上を目指し、成長分野に対して迅速に投資可能な水準の内部留保の充実と株主の皆様への利益還元を総合的に勘案し、実施していくことを基本方針としております。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は17,018百万円となっているのに対して、有利子負債残高はございません。