売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E05303 Japan GAAP


2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 財政状態及び経営成績の状況

当第3四半期連結累計期間(2023年4月1日~2023年12月31日)におけるわが国経済は、昨春、新型コロナウイルス感染症が5類感染症へと移行し、社会・経済活動の正常化が進んだこと等もあり、個人消費や設備投資に持ち直しの動きが見られ、景気が緩やかに回復しつつあります。一方、長期化するウクライナ情勢に加え、中東情勢の緊迫化、外国為替市場での円安基調、資源・資材価格の高騰等により、依然として先行き不透明な状況が続いております。

当社グループが属するセキュリティ業界においては、ランサムウェアやフィッシング詐欺等のサイバー攻撃被害が激化していることやDX推進に伴う業務フロー・働き方の変化による新たなセキュリティ対策ニーズ等を背景として、セキュリティ製品に対する需要が拡大しております。これらは大規模企業や公共機関のみならず、予算面や人材面等を理由に相対的にセキュリティ対策に投資ができていなかった中堅・中小企業においても「サプライチェーン」におけるセキュリティリスクの認識が広まりつつあり、対策のニーズが高まっています。

こうした中、当社は企業・団体規模問わず高まっている多様なセキュリティニーズに対応するため、主力製品「i-FILTER」、「m-FILTER」、「FinalCode」の継続的な機能強化や「i-FILTER@Cloud」におけるCASB機能(クラウドサービスの利用状況の可視化や制御を実現する機能)の搭載等により、独自の次世代SWG(Secure Web Gateway)の展開に注力しました。さらには、従来のAIでは難しかった文章等を自動的に作り出し注目を集めている「生成AI」をより安全に利活用いただくための制御や利用状況を可視化できる「AIチャットフィルター」機能を2023年8月から「i-FILTER」と「i-FILTER@Cloud」に標準搭載し、ご好評をいただいております。

また、トータルセキュリティニーズへの対応のために中期経営計画において掲げていたビジョン「新しい価値創造と需要拡大」を実現するソリューションとして、2023年9月には安心・安全なクラウドサービスの認証やID管理を実現するIDaaS製品「StartIn」、2023年11月には安全なファイル転送で重要情報の外部漏えいを防ぐDLP・ファイル転送サービス「f-FILTER」の提供を開始しました。

その一方で、過去にない数の新機能追加・新製品リリースに対して積極的に投資したことや、子会社デジタルアーツコンサルティングの事業拡大に伴う労務費・人件費等が増加したことなどにより、売上原価及び販売費及び一般管理費が前年を上回りました。

 

以上の結果、当第3四半期連結累計期間における売上高は8,322百万円(前年同期比8.7%増)、営業利益は3,122百万円(同3.3%減)、経常利益は3,132百万円(同3.4%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は2,162百万円(同3.3%減)となりました。

 

各市場の業績は次の通りです。

 

企業向け市場

企業向け市場においては、境界防御型セキュリティ対策モデルからの移行ニーズや他社からの製品乗換ニーズに対して、「i-FILTER」とオプション製品「Anti-Virus & Sandbox」に加え、新機能「CASB」の提案活動を行い、新規案件獲得が順調に進みました。また、ランサムウェア等の標的型攻撃への対策、PPAP(ファイルをパスワード付きZIPファイルにしてメールで送付し、パスワードを別送するファイルのやり取り)対策、クラウド環境におけるメールセキュリティ対策といったニーズに対応した総合的なセキュリティ機能が評価され、「m-FILTER」の新規案件獲得が好調に推移しました。

さらにセキュリティコンサルティングサービスを提供している子会社デジタルアーツコンサルティングが、コンサルタント人員の増加に伴い、ISMAP取得関連の案件をはじめ、セキュリティ診断からセキュリティ施策の実行支援まで包括的な支援を行うサービスの提供により、新規案件獲得が急拡大しました。

以上の結果、企業向け市場の売上高は、4,586百万円(前年同期比19.2%増)となりました。

 

公共向け市場

公共向け市場においては、「自治体セキュリティ強靭化」対策におけるガイドラインに対応したソリューション提案への注力や、「GIGAスクール構想」におけるフィルタリング未導入の教育委員会・学校に対して、教育現場用に独自機能を搭載した「i-FILTER」GIGAスクール版の提案活動を行ったことにより、新規案件を順調に獲得しました。一方で、前期受注した官公庁大口案件の反動や「県庁セキュリティクラウド」案件の一巡による新規案件獲得減の影響も受けました。

以上の結果、公共向け市場の売上高は、3,421百万円(前年同期比1.7%減)となりました。

 

家庭向け市場

家庭向け市場においては、1つのシリアルIDで複数OSでの利用が可能な「i-フィルターfor マルチデバイス」の販売や受託開発の獲得に注力しましたが、携帯電話事業者やMVNO事業者等からの収入が減少しました。

以上の結果、家庭向け市場の売上高は、313百万円(前年同期比4.4%減)となりました。

 

当第3四半期連結会計期間末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,432百万円減少し、19,717百万円となりました。これは主として、現金及び預金が1,057百万円、受取手形及び売掛金が263百万円それぞれ減少したことによるものであります。

当第3四半期連結会計期間末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ1,061百万円減少し、5,914百万円となりました。これは主として、前受金が403百万円、未払法人税等が537百万円それぞれ減少したことによるものであります。

当第3四半期連結会計期間末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ370百万円減少し、13,803百万円となりました。これは主として、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上による利益剰余金の増加を上回る配当金の支払い及び自己株式の取得があったことによるものであります

 

 (2) 経営方針・経営戦略等

当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題

当第3四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。

 

(4) 研究開発活動

  当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は19百万円であります。

 なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。