E05304 Japan GAAP
前期
2,916.9億 円
前期比
106.5%
株価
5,140 (04/26)
発行済株式数
91,501,000
EPS(実績)
264.93 円
PER(実績)
19.40 倍
前期
844.6万 円
前期比
103.0%
平均年齢(勤続年数)
40.0歳(12.8年)
従業員数
3,563人(連結:7,458人)
(1)事業内容
当社グループ(当社及び連結子会社)のセグメントは「情報サービス」単一でありますが、顧客に提供するサービスの種類により、「業務ソリューション」「サービスソリューション」に分類しております。
「業務ソリューション」「サービスソリューション」においては、顧客のビジネス上の問題解決や新たなビジネスモデルの創出を支援するために、経営及び情報技術の視点から顧客の情報システムに関するコンサルティングを行い、具体的なシステムの企画・提案・設計・構築、及び運用・サービスを総合的に提供しております。
「業務ソリューション」においては、業種・業務に関する豊富な知識と経験をもとに、顧客ニーズに応えるシステムライフサイクルトータルでのソリューションを提供しております。
「サービスソリューション」においては、ミッションクリティカルな要求に応えるプラットフォーム構築技術と高度な運用ノウハウを組み合わせたITインフラソリューション及びアウトソーシングサービスを提供しております。また、日本製鉄㈱向けには、複雑な鉄鋼製造プロセスをノンストップで支える生産管理システム等の運用管理を全面的に行うとともに、各種情報システムの企画・開発を含めたフルアウトソーシングサービスを提供しております。
これらのサービスを提供することによって、当社は情報システムに関する顧客の幅広いニーズに応えております。
(2)主要営業品目の内容
① 業務ソリューション
a コンサルティング
情報システムを構成する技術とサービスの進歩が急速であり、顧客企業の事業環境の急激な変化も相まって、ITを利用して企業活動の変革を行うDX(デジタルトランスフォーメーション)が顧客企業の経営に不可欠なものとなっております。
顧客企業がDXを推進する際、進歩が急速なITの利用のみならず、変革を伴う中期的な企業戦略・IT戦略・DX戦略の策定、新規事業の企画・立上、これらを支える組織変革等、顧客の競争力の源泉に対する多岐にわたる取り組みが必要となります。
当社のコンサルティング・サービスは、情報システムに関係するステークホルダーである、経営者・事業部門(情報システム利用者)・情報システム部門の3つの視点から、中期的な企業戦略・IT戦略・DX戦略・CX戦略(*)への対応・貢献、新規事業の共創、リスク・TCO(Total Cost of Ownership)の低減等を意識した包括的な検討をサポートするものであります。複雑化・高度化する企業の情報技術活用ニーズに対し、確かな技術力、ユーザーとしての視点、顧客企業と「ともに未来を考える」パートナーマインドで、システムインテグレータならではの多様なコンサルティング・サービス(デジタルイノベーション共創プログラム「Angraecum」(アングレカム)、IT組織トランスフォーメーション支援サービス「NSTranS」等)を提供しております。
注力するコンサルティング領域:
(*) CX戦略:Customer experience戦略。企業の価値、業績、ロイヤリティの向上を目的に、BtoB/CtoCサービスビジネスにおいて、企業にとっての顧客の体験価値を拡大するための戦略
b 産業・流通ソリューション
製造・消費財・公益分野における当社のソリューション(ERP(Enterprise Resource Planning)・SCM(Supply Chain Management)・ECM(Engineering Chain Management)は、これまで多くの顧客でのバリューチェーン構築を支え高い評価をいただいております。また、顧客のDXへの取り組みにつきましても、様々なテーマについて企画構想段階から実行・運用までワンストップで支援しており、当社の提供するソリューションやサービス、ノウハウを統一ブランド(PLANETARY)として集約し、製造業における顧客のDX推進支援を進めております。特に、データ利活用領域を中心に製造業のDXニーズは旺盛であり、データ分析・利活用基盤、グローバル設計情報管理、設計・製造連携、スマートファクトリー他のソリューションを提供しております。
流通・サービス分野においては、プラットフォーマー等のインターネットビジネス、小売・アパレル・百貨店等の流通業から、航空会社や旅行代理店等のサービス業、さらにヘルスケア・ライフサイエンス分野まで、幅広い領域においてAI等の最新テクノロジーを取り入れたソリューションを展開しております。
c 金融ソリューション
適切な市場予測やリスク管理、与信評価、新たな金融商品開発への対応等、金融ビジネスの世界は情報の素早い捕捉と分析・活用力がすべてを決めるITの最前線であります。そこでは、最先端の金融ビジネス・金融工学のノウハウとITノウハウとを自在に組み合わせて競争優位に立つための戦略的なソリューションが求められております。当社は定評ある金融工学に関する知識と最先端データ分析とAIの活用並びに最先端のDX技術を駆使して、コンサルティングからシステム基盤・アプリケーション構築及び保守に至るまでのシステムライフサイクルを一貫してサポートし、効率的な業務と実効ある経営管理を支援しております。また、こうしたシステムの構築経験等を活かし、各種金融パッケージ・サービスを提供しております。
さらに、大手金融機関向けを中心としたグローバルでのシステム再構築や統合対応ニーズ、金融機関以外も含めたフィンテック(FinTech)への対応ニーズやDXのニーズが高まっており、こうした領域につきましても積極的に取り組んでおります。
d 公共公益ソリューション
社会公共分野では、中央省庁をはじめ、独立行政法人、公益法人、大学等の教育機関向けに、トータルなITソリューションを展開しております。中央省庁に向けた高度なセキュリティ技術を活用したLAN・WANなどの大規模ネットワーク基盤の構築や、クラウドを活用したデジタルサービスの提供に加え、最近では、デジタル庁が中心となって進めている政府のDX化への取り組み、情報連携基盤の構築による自治体DXの推進、匿名加工・秘密分散技術を活かした自治体の個人情報保護法改正対応への取り組みなど新たな領域にも着手しています。
宇宙・防衛領域向けには、気象観測や温室効果ガス観測等の地球環境観測衛星等からのデータ受信・解析・配信に係るシステムやミッションクリティカルな大規模ネットワーク基盤構築・運用に取り組んでおります。文教・科学領域向けには、大学をはじめとする教育機関向け統合学内ワンストップサービスソリューション、公的研究機関向けハイパフォーマンスコンピューティングによる解析システム等を提供しております。
通信分野では、通信事業者のネットワーク設備やサービス・プラットフォームの構築・運用、各種サービスシステムの開発等で社会インフラとしての通信ネットワークを支えるとともに、自らもローカル5Gサービスを提供し、通信、基盤、アプリケーションを含めたフルスタックサービスでお客様のDX実現に貢献しております。
② サービスソリューション
a ITインフラソリューション
当社はユーザーの立場から、最適化されたIT基盤を提供するために、日々進化する基盤技術に関する検証と技術担保を行い、それらの組み合わせ(ベスト・オブ・ブリード)による大規模システムを構築するとともに、その実績を通じてノウハウを標準化し、基盤の設計・構築メソドロジーを確立してまいりました。
近年、企業のDXや開発内製化の推進、IT人材の不足、レガシーシステムの老朽化を背景に、ITインフラ環境におけるクラウドの活用や、運用・管理等業務の負荷軽減のためのITガバナンス整備と包括的なアウトソースへのニーズが高まっております。当社ではこれまで培ってきた技術・ノウハウを基にマネージド・クラウドサービス「absonne(アブソンヌ)」を中心に最適配置したマルチクラウド環境と、それらを一元的に管理する運用サービス「emerald(エメラルド)」等からなるITアウトソーシングサービス「NSFITOS(エヌエスフィットス)」を提供しております。データマネジメントソリューションの提供と併せて、お客様のビジネスを24時間/365日支えております。
また新型コロナウイルス感染症の流行により企業のリモートワークは大きく加速しましたが、ビジネスに柔軟に対応できるIT基盤の実現のため、ネットワーク・セキュリティに対するニーズが一段と高まっております。当社では企業のデジタルワークプレース導入に向けたコンサルティングサービスを提供するとともに、それを支えるコミュニケーション&コラボレーション基盤、端末管理、認証、クラウドセキュリティに関するエンジニアリングと各種サービスを包括的にワンストップで提供しております。
このようなインフラ領域における全社水平ソリューション・サービスに加え、当社では最新のデジタルテクノロジーを活用したソリューションを業種横断的に展開しております。データサイエンス・機械学習を活用したAI、データの全社資産化・利活用を促進する統合データマネジメントプラットフォーム、働き方改革や業務効率化に繋がる文書管理・ワークフロー、BtoB/BtoC取引を加速する電子契約、内製化を支援するエンタープライズBPM・ローコードプラットフォームを注力分野とし、ソリューションに関する豊富な実績を元に、コンサルティングからインテグレーション、運用まで一貫したサポートを提供しております。
b 鉄鋼ソリューション
日本製鉄㈱及びグループ会社向けに、鉄鋼分野に関する豊富な業務知見・大規模アプリケーション開発実行力・基盤構築力を礎として、受注・購買・財務会計等のビジネス系管理システムから複雑な鉄鋼生産を管理する生産管理システムに至るアプリケーションやITインフラにつきまして、企画~開発~導入~運用保守を内容とするフルアウトソーシングサービスを提供するとともに、大規模レガシーシステムのモダナイゼーションに取り組んでおります。
近時では、日本製鉄㈱は2021年3月に発表した中長期経営計画の柱の一つとしてデジタルトランスフォーメーション戦略の推進を掲げました。当社はこの推進の中核パートナーとしてデータとデジタル技術を駆使した業務プロセス改革・生産プロセス改革の推進に積極的に参画し、統合データ解析・AI開発プラットフォーム「NS-DIG」、無線センサ利活用プラットフォーム「NS-IoT」、経営情報・KPIのリアルタイム把握と的確なアクションを可能とする統合データプラットフォーム「NS-Lib」等の開発に携わってまいりました。(㈳日本データマネジメント・コンソーシアム主催『データマネジメント2023』において、日本製鉄㈱は”データマネジメント大賞”を受賞。)
さらには、大規模レガシーシステムのモダナイゼーションや先端IT技術適用を通じて獲得したIT技術やプロジェクトに関する知見を社内の他事業領域に提供し、当社のDX事業展開の一翼を担っております。
(3) 当社の企業グループについて
当社グループ(当社及び連結子会社)は情報サービス単一セグメントでありますが、お客様に提供するサービスの種類により、「業務ソリューション」「サービスソリューション」に分類しております。
当社及び当社の関係会社は、当社、親会社、連結子会社19社、持分法適用の関連会社1社等で構成されております(2023年3月31日現在)。
① 連結子会社
1)地域子会社
北海道NSソリューションズ㈱、東日本NSソリューションズ㈱、㈱NSソリューションズ中部、㈱NSソリューションズ関西、九州NSソリューションズ㈱
当社が受注した業務ソリューションの案件及び日本製鉄㈱向け案件につきまして、ソフトウェア開発やシステムの運用・保守サービス等を分担するとともに、地域市場を対象としたシステム案件を担当しております。
2)ITサービス子会社
NSSLCサービス㈱
高度な専門性を持ち、高品質で効率性の高い運用・保守サービスをワンストップ・シームレスに提供しております。
㈱ネットワークバリューコンポネンツ
ネットワーク・セキュリティ分野に関して高度な専門性と製品開拓力を持ち、同分野に関連する製品の販売及び保守サービスを提供しております。
3)コンサルティング子会社
NSフィナンシャルマネジメントコンサルティング㈱
金融機関の経営管理、内部統制、内部監査等に関するマネジメントコンサルティングサービス等を提供しております。
㈱金融エンジニアリング・グループ
高度なモデリング力、データマイニング力、コンサルティング力を有し、金融、流通・サービス分野でソリューションサービスを提供しております。
4)特例子会社
㈱Act.
障がい者の雇用拡大を目的にした「障害者雇用促進法」にもとづく特例子会社であり、当社の福利厚生の一部業務、オフィスサービス、農業分野等を通じた地域サービス、ITを利用した各種サービス等を提供しております。
5)合弁子会社
エヌシーアイ総合システム㈱、日鉄日立システムエンジニアリング㈱
各社独自の業務ソリューションの提供、情報システム商品の販売等を行うと同時に、当社の金融・製造業分野等の案件につきましてシステムの企画・設計及びソフトウェア開発等を行っております。
6)海外現地子会社
日鉄軟件(上海)有限公司
中国においてシステムの企画・設計、ソフトウェア開発及びシステム運用・保守サービス等を提供しております。
NS Solutions Asia Pacific Pte. Ltd.
シンガポールにおいてシステムの企画・設計、ソフトウェア開発及びシステム運用・保守サービス等を提供しております。
Thai NS Solutions Co.,Ltd.
タイにおいてシステムの企画・設計、ソフトウェア開発及び日系企業へのシステム運用・保守サービス等を提供しております。
PT.NSSOL SYSTEMS INDONESIA
インドネシアにおいてシステムの企画・設計、ソフトウェア開発及びシステム運用・保守サービス等を提供しております。
PT.SAKURA SYSTEM SOLUTIONS
インドネシアにおいて、自社開発パッケージソフトウェア・ハードウェアの販売及びシステム運用・保守サービス等を提供しております。
NS Solutions USA Corporation
米国においてシステムの企画・設計、ソフトウェア開発及びシステム運用・保守サービス等を提供するとともに、人的ネットワーク構築、当社への情報発信、新規ソリューション・ビジネスの事業化に向けたコラボレーションを推進しております。
NS Solutions IT Consulting Europe Ltd.
欧州においてシステムの企画・設計、ソフトウェア開発及びシステム運用・保守サービス等を提供しております。
② 関連会社
気象衛星ひまわり運用事業㈱
注)日鉄日立システムエンジニアリング㈱は、2023年4月1日付で「日鉄日立システムソリューションズ㈱」に商号変更しております。
事業の系統図は、次のとおりであります。
※当社グループは当連結会計年度(2022年4月1日から2023年3月31日まで)より、従来の日本基準に替えてIFRSを適用しており、前連結会計年度の数値をIFRSに組み替えて比較分析を行っております。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当連結会計年度のわが国経済は、一部に弱さが見られるものの緩やかに持ち直しておりますが、世界的な金融引き締めなどによる海外景気の下振れがわが国の景気を下押しするリスクがあり、先行き不透明な状況が続いております。また、物価上昇、供給面での制約、金融市場の変動等の影響に十分注意する必要があります。
企業収益は総じてみれば改善しておりますが、一部に弱含みの傾向が見られ、顧客企業におけるシステム投資については、緩やかな増加となりました。
当社グループは、2021-2025年度中期事業方針(2021年4月公表)に基づき、「デジタル製造業」「プラットフォーマー支援」「デジタルワークプレースソリューション」「ITアウトソーシング」の4領域について事業成長を牽引する「注力領域」として定め、お客様のDX推進に伴うニーズを最大限に獲得し、事業拡大に取り組んでおります。
デジタル製造業領域につきましては、日本製鉄㈱向けに、各製鉄所製造拠点データを一元管理する無線IoTセンサ活用プラットフォーム「NS-IoT」を構築し、設備の早期異常検知を目的とした実運用を4月より開始したほか、経営情報やKPIをリアルタイムに把握し的確なアクションを可能とする統合データプラットフォーム「NS-Lib」を構築するなど、同社のDX推進に向けた取り組みを進めてまいりました。各製鉄所で個々に蓄積しているデータや経営上必要とするデータを統合するこれらの取り組みが高く評価され、一般社団法人日本データマネジメント・コンソーシアム主催の「データマネジメント2023」において同社が大賞を受賞することに貢献いたしました。また、当社の統合データマネジメントプラットフォーム「DATAOPTERYX(データオプテリクス)」についてDXを推進する企業様向けに提供を開始し、製薬企業と共同で統合データ利活用基盤を構築いたしました。加えて、製造業のお客様向けには、工場内の天井クレーンの遠隔運転の実現に向けたローカル5Gソリューション「nsraven(エヌエスレイヴン)」の提供を開始するなど、製造現場のDX推進支援を進めてまいりました。
プラットフォーマー支援領域ではネットサービス・EC(エレクトロニックコマース)事業者などのプラットフォーマーや金融サービス分野のDX推進、デジタルワークプレースソリューション領域では仮想デスクトップサービスである「M³DaaS@absonne(エムキューブダース・アット・アブソンヌ)」のセキュリティ強化などの機能拡充、ITアウトソーシング領域ではマルチクラウド化を推進するソリューションの提供など、注力領域の成長に向けそれぞれ取り組んでまいりました。
この他、成長に向けた取り組みとして、DXニーズへの対応力強化を図るべく、AI領域、データ利活用領域、業務プロセスのデジタル化支援、豊富なDX人材リソース等、それぞれ強みを有する各企業との資本業務提携や戦略的パートナーシップの契約締結を行いました。加えて、電力取引・リスク管理サービス「Enepharos(エネファロス)」、金融機関向けクラウド活用最適化サービス「FINARCH(フィナーチ)」、食品業界の需給計画業務DXを支援するクラウドサービス「PPPlan(ピーピープラン)」、従業員エンゲージメントの向上を狙うキャリアリフレクションツール「なやさぽ」等の新規ソリューション開発に取り組みました。
サステナビリティ経営の推進にあたっては、当社が目指す社会的存在意義であるパーパスを起点に価値創造プロセスを整理し、5つのマテリアリティを定め、取り組んでおります。マテリアリティの一つである「環境負荷低減」については、TCFD提言へ賛同を表明しGHG排出量削減目標を定め、その実現に資する取り組みを進めております。また、当社グループの人権方針を策定し、「多様な人材が活躍できる場の創出」への取り組みも進めており、LGBTQ+などの性的マイノリティに関する取り組みの評価指標である「PRIDE指標2022」で最高位の「ゴールド」を受賞しました。当社はこれらの取り組みを踏まえマルチステークホルダー方針を公表いたしました。この他、小学校高学年向けに製鉄の生産管理をテーマとしたプログラミング学習コンテンツを日本製鉄㈱と共同開発し、出張授業を行うなどのプログラミング教育活動の実施や、中高生をはじめとした若年層の金融リテラシー向上を支援する取り組みを開始するなど、豊かな社会づくりに向けてESGの観点から様々な事業活動に取り組んでおります。これらの取り組みの結果、ESG投資のための株価指数である「FTSE4Good Index Series」及び「FTSE Blossom Japan Index」に加え、新たに「FTSE Blossom Japan Sector Relative Index」構成銘柄に選定されました。
当連結会計年度の売上収益は、プラットフォーマー向けが堅調に推移したことに加え、官公庁向け大型基盤構築案件や日本製鉄㈱及び日本製鉄グループ向けの増があったことから、291,688百万円と前連結会計年度(270,332百万円)と比べ21,355百万円の増収となりました。DX加速投資、事業基盤強化投資により販売費及び一般管理費は増加となりましたが、増収による売上総利益の増が上回ったことから、営業利益は31,738百万円と前年同期(29,886百万円)と比べ1,851百万円の増益となりました。
当連結会計年度をサービス分野別(業務ソリューション、サービスソリューション)に概観しますと、次のとおりであります。
(業務ソリューション)
業務ソリューションにつきましては、当連結会計年度の売上収益は189,776百万円と前連結会計年度(175,680百万円)と比べ14,095百万円の増収となりました。
産業、流通・サービス分野
産業、流通・サービス分野向けにつきましては、運輸系で大型案件の反動減があったものの、プラットフォーマー向けが堅調に推移したことにより、売上収益は前年同期と比べ増収となりました。
金融分野
金融分野向けにつきましては、売上収益は前年同期と同水準となりました。
公共公益分野
公共公益分野向けにつきましては、官公庁向け大型基盤構築案件により、売上収益は前年同期と比べ増収となりました。
(サービスソリューション)
サービスソリューションにつきましては、当連結会計年度の売上収益は、101,911百万円と前連結会計年度(94,651百万円)と比べ7,259百万円の増収となりました。
ITインフラ分野
ITインフラ分野につきましては、クラウド事業を中心に、売上収益は前年同期と比べ増収となりました。
鉄鋼分野
鉄鋼分野につきましては、日本製鉄㈱及び日本製鉄グループ向けがともに好調で、売上収益は前年同期と比べ増収となりました。
② 経営成績の分析
当連結会計年度の売上収益は、前連結会計年度の270,332百万円に対し7.9%増収の291,688百万円となりました。サービス分野別の状況は以下のとおりであります。
業務ソリューションにつきましては、当連結会計年度の売上収益は189,776百万円と前連結会計年度(175,680百万円)と比べ14,095百万円の増収となりました。
サービスソリューションにつきましては、当連結会計年度の売上収益は、101,911百万円と前連結会計年度(94,651百万円)と比べ7,259百万円の増収となりました。
当連結会計年度の売上原価は、前連結会計年度の209,883百万円に対し7.6%増加し225,752百万円となりました。その結果、売上総利益率は、前連結会計年度の22.3%に対し0.2%向上の22.6%となりました。
販売費及び一般管理費は、営業力強化、採用・教育、社内基盤整備他の実行により前連結会計年度の30,014百万円に対し10.0%増加し33,007百万円となりました。
当連結会計年度の持分法による投資損益、その他の収益及びその他の費用は、和解金が減少したものの、減損損失が増加したこと等により、前連結会計年度の△547百万円に対し117.5%増加し△1,189百万円となりました。
当連結会計年度の営業利益は、販売費及び一般管理費が増加したものの、売上総利益の増益により、前連結会計年度の29,886百万円に対し6.2%増加し31,738百万円となりました。
金融収益と金融費用を合わせた当連結会計年度の金融損益は、投資事業組合運用益の減少等により、前連結会計年度の800百万円に対し54.7%減少し362百万円となりました。
当連結会計年度の税引前利益は、前連結会計年度の30,687百万円に対し4.6%増加し32,101百万円となりました。
当連結会計年度の法人所得税費用は、前連結会計年度の9,512百万円に対し1.3%減少し9,385百万円となりました。
当連結会計年度の親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度の20,521百万円に対し7.2%増加し22,000百万円となりました。また、基本的1株当たり当期利益は、前連結会計年度の224.27円に対し7.2%増加し240.46円となりました。
③生産、受注及び販売の状況
当社グループは情報サービス単一セグメントでありますが、サービス分野別の当連結会計年度(2022年4月1日~2023年3月31日)の生産実績、受注実績及び販売実績を示すと、次のとおりであります。
(注)金額は販売価格によっております。
最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
(2) 財政状態
当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末325,764百万円から5,855百万円減少し、319,908百万円となりました。主な内訳は、その他の金融資産の減少△17,922百万円、使用権資産の減少△6,336百万円、営業債権及びその他の債権の増加9,918百万円、現金及び現金同等物の増加5,616百万円等であります。なお、その他の金融資産の残高は60,604百万円であり、そのうち上場株式の金額は36,774百万円、非上場株式の金額は2,855百万円であります。
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末121,194百万円から9,085百万円減少し、112,108百万円となりました。主な内訳は、繰延税金負債の減少△7,297百万円、リース負債の減少△6,107百万円、契約負債の増加3,970百万円等であります。
当連結会計年度末の資本は、前連結会計年度末204,569百万円から3,230百万円増加し、207,800百万円となりました。主な内訳は、当期利益22,715百万円、その他の包括利益△12,767百万円、配当金の支払△6,703百万円等であります。その結果、親会社所有者帰属持分比率は62.7%となります。
当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、101,322百万円となりました。前連結会計年度の現金及び現金同等物の増減額が17,126百万円であったのに対し、当連結会計年度の現金及び現金同等物の増減額は5,616百万円となりました。各活動区分別には以下のとおりであります。
前連結会計年度は、税引前利益30,687百万円、減価償却費及び償却費11,637百万円、営業債権及びその他の債権の増減額△148百万円、契約資産の増減額△352百万円、棚卸資産の増減額△1,013百万円、営業債務及びその他の債務の増減額4,611百万円、法人所得税等の支払額△7,299百万円等により38,406百万円となりました。一方、当連結会計年度は、税引前利益32,101百万円、減価償却費及び償却費12,620百万円、営業債権及びその他の債権の増減額△9,848百万円、契約資産の増減額△2,449百万円、棚卸資産の増減額△1,846百万円、営業債務及びその他の債務の増減額4,542百万円、法人所得税等の支払額△10,912百万円等により26,032百万円となりました。
前連結会計年度は、有形固定資産及び無形資産の取得による支出△5,337百万円、その他の金融資産の取得による支出△4,089百万円、その他の金融資産の売却及び償還による収入1,067百万円等により△8,540百万円となりました。一方、当連結会計年度は、有形固定資産及び無形資産の取得による支出△4,400百万円、その他の金融資産の取得による支出△6,942百万円、その他の金融資産の売却及び償還による収入5,812百万円等により△5,635百万円となりました。
前連結会計年度は、リース負債の返済による支払額△7,459百万円、配当金の支払額△5,261百万円等により△12,939百万円となりました。一方、当連結会計年度は、リース負債の返済による支払額△8,189百万円、配当金の支払額△6,496百万円等により△14,943百万円となりました。
当社グループは将来にわたり競争力を維持強化し、企業価値を高めていくことが重要と考えております。
そのため、進展するDXニーズの着実な取り込み、高付加価値事業と総合的な企業価値の持続的向上、優秀な人材の獲得・育成の一層の強化、内部統制・リスクマネジメント徹底の継続等による事業成長に伴う資金需要及び広域災害等の事業リスクに備えて内部留保を確保するとともに、利益配分につきましては株主の皆様に対する適正かつ安定的な配当等を行うことを基本としております。
配当につきましては、連結業績に応じた利益還元を重視し連結配当性向30%を目安といたします。
当社グループの主要な資金需要は、材料費、外注費、労務費、経費、販売費及び一般管理費等の営業費用並びに設備投資等であります。これらの資金需要につきましては自己資金により充当しております。
手許の運転資金につきましては、当社及び一部の国内子会社において当社のキャッシュマネージメントシステム(CMS)を導入することにより、各社における余剰資金を当社へ集中し、一元管理をしております。また、当社は、日本製鉄㈱のCMSを利用しており、当連結会計年度末における預入額95,315百万円を現金及び現金同等物に含めて表示しております。
突発的な資金需要に対しては、大手各行及び親会社である日本製鉄㈱に対し当座借越枠を確保することにより、流動性リスクに備えております。
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成しております。
その作成には、経営者による見積り、判断並びに仮定を用いることが必要となりますが、これらは期末日における資産・負債、及び開示期間の収益・費用の金額に影響を与えます。これらの見積りにつきましては過去の実績等、連結財務諸表及び財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき、合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるためこれらの見積りと異なる場合があります。
特に、受注損失引当金につきましては重要な会計上の見積りが必要となります。当該見積り及び仮定の不確実性の内容やその変動により経営成績等に生じる影響等は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載しております。
連結財務諸表規則(第7章及び第8章を除く。以下「日本基準」という。)により作成した要約連結財務諸表、要約連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項の変更は、次のとおりであります。
なお、日本基準により作成した要約連結財務諸表につきましては、金融商品取引法第193条の2第1項の規定に基づく監査を受けておりません。
また、日本基準により作成した要約連結財務諸表につきましては、百万円未満を切り捨てて記載しております。
前連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)
当連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
前連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)
(連結の範囲の変更)
当連結会計年度より、新たに設立した株式会社Act.を連結の範囲に含めております。
「収益認識に関する会計基準」等
「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を当連結会計年度の期首から適用し、約束した財又はサービスの支配が顧客に移転した時点で、権利を得ると見込む対価の額で収益を認識することとしております。これにより、受注制作のソフトウェアに関して、従来、進捗部分について成果の確実性が認められる契約については工事進行基準(進捗率の見積りは原価比例法)を、その他の契約については工事完成基準を適用しておりましたが、財又はサービスに対する支配が一定の期間にわたり顧客に移転する場合には、履行義務を充足するにつれて財又はサービスの対価の額を、一定の期間にわたり収益を認識する方法に変更しております。履行義務の充足に係る進捗度の測定は、各報告期間の期末日までに発生した原価が、予想される原価見通しの合計に占める割合に基づいて行っております。
収益認識会計基準等の適用については、収益認識会計基準第84項ただし書きに定める経過的な取扱いに従っており、当連結会計年度の期首より前に新たな会計方針を遡及適用した場合の累積的影響額を、当連結会計年度の期首の利益剰余金に加減し、当該期首残高から新たな会計方針を適用しております。この結果、当連結会計年度の売上高は1,950百万円減少、売上原価は1,624百万円減少、営業利益は325百万円減少、経常利益及び税金等調整前当期純利益はそれぞれ340百万円減少、1株当たり純資産額は17円62銭増加、1株当たり当期純利益は2円43銭減少しております。なお、潜在株式が存在しないため潜在株式調整後1株当たり当期純利益への影響額は記載しておりません。また、利益剰余金の当期首残高は1,834百万円増加しております。
「時価の算定に関する会計基準」等
「時価の算定に関する会計基準」(企業会計基準第30号 2019年7月4日。以下「時価算定会計基準」という。)等を当連結会計年度の期首から適用し、時価算定会計基準第19項及び「金融商品に関する会計基準」(企業会計基準第10号 2019年7月4日)第44-2項に定める経過的な取扱いに従って、時価算定会計基準等が定める新たな会計方針を、将来にわたって適用することとしております。なお、連結財務諸表に与える影響はありません。
資産除去債務の見積額の変更
当社グループにおける本社地区の新川と虎ノ門の2拠点体制化を始めとした、オフィスの再編成及びオフィス環境の整備が完了したこと、並びにテレワークの積極活用によるオフィス環境の変化を背景として、当社グループにおけるオフィスの利用期間について従来の見積り前提を見直しております。
このことから、第1四半期連結会計期間において不動産賃貸借契約に伴う原状回復義務に対応する資産除去債務について、退去時に必要とされる原状回復費用及びその使用見込期間に関して見積りの変更を行いました。
また、当連結会計年度末において、一部の賃借物件における原状回復費用について新たな情報を入手したことに伴い、当該賃借物件の退去時に必要とされる原状回復費用に関して見積りの変更を行いました。
この見積りの変更により、資産除去債務残高が2,895百万円増加し、従来の方法に比べて当連結会計年度の営業利益、経常利益、税金等調整前当期純利益は302百万円減少しております。
当連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
時価の算定に関する会計基準の適用指針
「時価の算定に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第31号 2021年6月17日。以下「時価算定会計基準適用指針」という。)を当連結会計年度の期首から適用し、時価算定会計基準適用指針第27-2項に定める経過的な取扱いに従って、時価算定会計基準適用指針が定める新たな会計方針を将来にわたって適用することとしております。なお、連結財務諸表に与える影響はありません。
前連結会計年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)
「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記」の「36.初度適用(IFRSへの移行に関する開示)」をご参照ください。
当連結会計年度(自 2022年4月1日 至 2023年3月31日)
(のれんの償却)
日本基準では合理的に見積られたのれんの効果が及ぶ期間にわたって定額法によりのれんを償却しておりましたが、IFRSでは企業結合により発生したのれんは、償却せずに毎期減損テストを行っております。この結果、IFRSでは日本基準に比べて、販売費及び一般管理費が465百万円減少しております。
(退職給付に係る費用)
日本基準では確定給付制度による退職給付について、勤務費用、利息費用を純損益として認識しておりました。また、当該制度から生じた数理計算上の差異及び過去勤務費用についても発生年度の純損益として認識しておりました。一方、IFRSでは確定給付制度による退職給付について、当期勤務費用及び過去勤務費用は純損益として認識し、利息費用は確定給付負債(資産)の純額に割引率を乗じた金額を純損益として認識しております。また、確定給付負債(資産)の純額の再測定はその他の包括利益として認識し、発生時にその他の資本の構成要素から、純損益を通さずに、直接利益剰余金に振り替えております。この結果、IFRSでは日本基準に比べて、売上原価並びに販売費及び一般管理費が485百万円増加し、その他の包括利益が335百万円減少しております。
(資本性金融資産に係る会計処理)
日本基準では投資有価証券売却損益を純損益として認識しておりましたが、IFRSでは資本性金融資産をその他の包括利益を通じて公正価値で測定される金融資産に指定し、その売却損益を純損益として認識しておりません。この結果、IFRSでは日本基準に比べて、特別利益が3,397百万円減少し、その他の包括利益が2,357百万円増加しております。
(リース)
日本基準では、借手のリースについてファイナンス・リースとオペレーティング・リースに分類し、オペレーティング・リースについては通常の賃貸借取引に係る方法に準じた会計処理を行っておりましたが、IFRSでは借手のリースについてファイナンス・リース又はオペレーティング・リースに分類せず、リース取引について使用権資産及びリース負債を認識しております。この結果、IFRSでは日本基準に比べて、使用権資産及びリース負債が22,399百万円及び22,088百万円増加しております。