売上高

利益

資産

キャッシュフロー

セグメント別売上

セグメント別利益

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率


最終更新:

E05314 Japan GAAP

売上高

827.5億 円

前期

680.9億 円

前期比

121.5%

時価総額

2,153.1億 円

株価

426 (04/19)

発行済株式数

505,433,718

EPS(実績)

23.96 円

PER(実績)

17.78 倍

平均給与

1,006.5万 円

前期

919.2万 円

前期比

109.5%

平均年齢(勤続年数)

43.8歳(7.2年)

従業員数

90人(連結:462人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

当社は、サステナブルな社会の実現を目指している「サステナブルインフラ企業」です。2020年2月期を初年度とする長期VISION「いちご2030」の下、コア事業である「アセットマネジメント事業」、「心築(しんちく)事業」、「クリーンエネルギー事業」を進化させ、新規事業の創出と生活基盤となる新たなインフラへの参入により新たな収益ドライバーを育てることで、よりサステナブルな社会の実現と当社の持続的な成長を図ってまいります。

 

当社の事業セグメントの区分は下記の通りです。

〈アセットマネジメント〉

J-REIT、インフラ投資法人および私募不動産ファンドの運用業

投資主価値の最大化に向け、投資魅力が高い物件の発掘(ソーシング)、心築による価値向上、売却による利益実現を行う事業

 

〈心築〉

私たちの信条「心で築く、心を築く」のもと、現存不動産に新しい価値を創造する事業

賃料収入を享受しつつ、いちごの不動産技術とノウハウを最大限活用することにより、不動産の価値向上を実現し、ストック収益および売却によるフロー収益を創出する事業

 

〈クリーンエネルギー〉

わが国における不動産の新たな有効活用およびエネルギー自給率向上への貢献を目指し、地球に優しく安全性に優れた太陽光発電および風力発電を主軸とした事業

 

なお、当連結会計年度末における当社の主要な連結子会社の状況を図示すると以下のとおりであります。

 

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23/05/29

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、コロナ感染防止における行動制限が徐々に緩和され、経済活動の正常化に向けた動きが加速しました。全国旅行支援策によるサービス消費の増加や、水際対策の緩和によるインバウンド需要の増加が継続しました。また、堅調な企業業績を背景に投資意欲が高まり、設備投資も再開されました。一方、資源価格の高騰や物価上昇に加え、わが国以外の主要各国における金利上昇による世界経済の停滞がリスクとなり、引き続き、注視が必要な状況です。

 当社が属する不動産業界でも、ホテル需要の力強い改善により、ホテルの売上が伸びており、当社の子会社である博多ホテルズ株式会社の運営ホテルでは、2023年1月~2月のRevPAR(販売可能な客室1室あたりの売上)が、2022年平均比で概ね150~200%超の水準まで回復し、今後も一層の伸びが期待されます。オフィスビルにおいては、東京都心部の空室率、賃料ともにほぼ横ばいで推移しております。当社が保有する中規模オフィスにおいては、引き続き底堅い需要が継続しておりますが、働き方の変化に併せ、選ばれるオフィスビルの提供に向けて、引き続き、テナント様のニーズを捉えてまいります。なお、安定性が高い賃貸住宅や物流施設の需要は引き続き堅調さを維持しており、投資需要も底堅い状況が続いております。

 また、世界的に環境課題への取り組みが急務であるなか、わが国でもカーボンニュートラルに向けたエネルギー政策の整備が進んでおり、さらなる政策の強化が期待されます。こうした環境下において、クリーンエネルギー事業の重要性は増しており、当社では、地域および地球に優しい再生可能エネルギーのさらなる創出に注力しております。

 

主な取り組み

 当期は、不動産市況の堅調さと、ホテル需要の力強い回復により、第3四半期の決算発表と同時に当期の業績予想を上方修正させていただき、この業績予想をさらに上回る決算となりました。

 当社では急激な環境の変化に対応し、より信頼性の高い財務基盤の確保と徹底的なキャッシュ・フロー経営を実行しております。創出した資金は、将来の成長投資として、不動産の取得、新規事業への投資に加え、長期VISIONで掲げた「機動的な自社株買い」のとおり、当期は総額45億円の自社株買いを行いました。

 また、当社は、長期VISION「いちご2030」に沿い、サステナブル(持続可能)な社会を実現するための「サステナブルインフラ企業」として、将来を見据えた戦略的な事業展開を通じて、事業優位性のさらなる強化を図っております。具体的には、不動産の保有・運営や心築(しんちく)(注)ノウハウといった強みを軸とし、ノンアセット事業によるストック収益の獲得機会を拡大しております。既存事業の深化とともに、新規事業の創出と成長により、今後とも、株主価値の最大化に向け、株主重視経営をさらに向上し具現化すべく、全力を尽くしてまいります。

 

 (注)心築(しんちく)について

心築とは、いちごの不動産技術とノウハウを活用し、一つ一つの不動産に心を込めた丁寧な価値向上を図り、現存不動産に新しい価値を創造することをいい、日本における「100年不動産」の実現を目指しており

ます。

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「既存事業の成長と深化」

・ 「心築(しんちく)事業」

 徹底的なキャッシュ・フロー経営により創出した資金により、当期は507億円の不動産を取得しております。このうち、オフィスを6物件(総額124億円)取得しており、いちごオフィスのパイプラインを拡充しております。

 また、長年培ってきた当社の不動産運用力や心築ノウハウを基盤に、個人および事業主の方でもプロの目利きと簡素な手続きで優良なレジデンス(住宅)へ小口投資いただける「いちごオーナーズビルシェア」およびデジタル不動産事業の「いちご・レジデンス・トークン」を開始いたしました。投資商品の拡充により顧客層の拡大を図るとともに、不動産の売却先が拡充したことで、取得の活性化にも繋がり、不動産の取得と売却の好循環に繋がります。当期におけるいちごオーナーズのレジデンスの取得は360億円、売却売上は280億円となりました。さらに、アセットマネジメントの受託にも繋がり、ストック収益にも貢献いたします。なお、当期の心築事業における売却価額の総額は、551億円となりました。

 当社は、PPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ)事業への取り組みも進めており、神奈川県横須賀市に所在する「よこすかポートマーケット」の運営・管理について、当社を代表者とする共同事業者が選定され、リニューアルオープンを果たしました。本件においては、既存の建物を活かし新たな観光施設としてリニューアルする当社の心築をご評価いただきました。リニューアルオープン後は、各種メディアからの取材依頼も多く、お客様で賑わっております。ホテル事業においても、保有・賃貸の枠を超え、オペレーション事業およびAIレベニューマネジメント(売上管理)システム「PROPERA」の開発・販売を進めており、観光ニーズの高いわが国の宿泊需要の回復に備え、事業領域の拡大を図っております。

 

・ 「アセットマネジメント事業」

 いちごオフィス、いちごホテル、いちごグリーンインフラ投資法人(証券コード9282、以下「いちごグリーン」という。)および、私募ファンド事業への業務支援に注力いたしました。

 当期は、当社が運用するJリートにおいても、優良不動産の取得を進めるとともに、いちごオフィスでは、保有不動産の入れ替えを進めております。前期にも、保有不動産を簿価の2.3倍、鑑定評価額の1.9倍の価格で売却しておりますが、当期も第4四半期に同様の投資主価値向上に資する売却を完了しており、より価値向上余地のある物件への入れ替えとともに、投資主価値の最大化を図っております。

 また、当社では、いちごオフィスのさらなる成長に向けた支援ならびに投資主価値の向上に対し、スポンサーとしてのコミットメント強化の一環として、いちごオフィスの投資口取得を決定し、進めております。当社が運用するいちごオフィス、いちごホテルでは、Jリート唯一の完全成果報酬制度を採用しており、投資主様と当社の利益は完全に一致しております。今後も、優良物件の提供やブリッジファンドの活用、心築による投資法人の保有資産の価値向上といった施策により積極的に両投資法人をサポートし、投資主目線による運用を行うことで、両投資法人の投資主価値のさらなる向上を図ってまいります。

 

・ 「クリーンエネルギー事業」

 当期は、3発電所(発電出力5MW/前期末比+3.7%)が新たに発電を開始いたしました。当社が開発・運用する発電開始済み発電所の合計は、63発電所(発電出力174.2MW)まで成長しており、今後さらなる太陽光発電所への投資を行うとともに、電力供給の安定性向上に寄与する第3のエネルギーとして、森林の高齢化等の課題に対応し、治山対策、地域経済の活性化に貢献するグリーンバイオマス発電を計画しております。世界的にコロナの影響を受けるなか、市況の変化に左右されず、より安定性の高い当事業は、継続的に成長しております。

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いちご上田吉田池ECO発電所

 

「急激な環境変化に対応した成長戦略」

・ 信頼性の高い財務基盤の確保

 当社は、リーマンショック以降、借入期間の長期化と借入コスト削減、包括的な金利ヘッジによる金利上昇リスクの低減、無担保資金の調達等の幅広い財務施策の推進により、収益基盤と財務基盤を強化してまいりました。また、当社のESGへの取り組みや貢献等に対する評価を受け、その活動を支援するESGローンを拡充させており、当期は約300億円をESGローンにより調達しております。今後もこの方針を継続し、当社の事業をよりサステナブルな事業へ進展させてまいります。

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・ 徹底的なキャッシュ・フロー経営

 当社は、これまでも高いキャッシュの創出力を維持してまいりましたが、この急激な環境の変化に対応し、さらなるキャッシュの創出を図っております。具体的には、当社の心築事業に属する不動産を固定資産化することで、減価償却の税効果によりキャッシュを創出し、将来の成長投資に備えております。なお、当期末における固定資産比率は84.3%(注)です。

(注)当社の心築事業に属する不動産のうち、いちごオーナーズ、セントロ、ストレージプラスの資産を除く不動産を対象としております。

 

「株主還元」

・ 機動的な自社株買い(6期連続)

 当社は、長期VISIONで掲げた「機動的な自社株買い」のとおり、当社株式の市場価格および財務状況等を総合的に勘案のうえ、株主利益の向上を図るため6期連続で自社株買いを実施しております。

 当社は、株主価値の根幹である1株利益(EPS)の向上を通じた株主価値の最大化を目指しており、今後も大幅な利益成長の実現に向けた事業の推進に併せ、機動的な自社株買いを実施してまいります。

 

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・ 配当政策(当期増配)

 当社は、配当の安定性と透明性、そして成長性に注力し、「安心安定配当」により、株主の皆さまからのご支援に報いるため、安定性が高い株主資本を基準とした「DOE配当政策」を導入しており、DOE(株主資本配当率)を3%以上としております。

 また、各年度の1株あたり配当金(DPS)を、原則として前期比「維持か増配」のみとし、「減配しない」ことにより、当社の盤石な安定収益基盤が可能とする「累進的配当政策(Progressive Dividend Policy)」を併せて導入しております。

 株主還元策の基準としては「配当性向」が一般的ですが、短期的な利益変動に左右されてしまうため、将来の配当水準は必ずしも明確ではありません。当社は、「累進的配当政策」の導入により、株主様に対する長期的なコミットメントをお示ししております。

 なお、当社は、徹底的なキャッシュ・フロー経営の方針のもと、キャッシュの創出に注力しております。当期は、高いキャッシュ創出を実現した一方、コロナの影響が薄らぎ、経済活動の正常化が進んだことに鑑み、増配を決定し、期末配当は1株当たり8円の配当とさせていただきます。

 

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・ 株主優待制度

 当社は、2019シーズンよりJリーグの「トップパートナー」に就任し、Jリーグとともに豊かさ溢れる地域社会に取り組むとともに、当社およびいちごオフィス、いちごホテル、いちごグリーンの株主・投資主様を対象とした「いちごJリーグ株主・投資主優待」制度を導入しております。

 2023シーズンもトップパートナーとしてJリーグから提供いただく試合チケットを株主様・投資主様にお届けすることで、地域創生への貢献を目指すとともに、日頃よりご支援いただいている株主・投資主様への感謝をお伝えしております。

 また、いちごJリーグ株主・投資主優待の拡充として、当社が運営しているみやざきサンクスマーケットの商品から、当社がスポンサーをしているテゲバジャーロ宮崎(J3)の選手が選んだイチオシ商品の詰め合わせ「みやざきサンクスマーケット X’mas セット」についても抽選式でプレゼントさせていただきました。

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業績の詳細

 

当連結会計年度の業績は、売上高68,093百万円(前期比19.6%増)、営業利益12,492百万円(同24.7%増)、ALL-IN営業利益(注)16,908百万円(同27.4%増)、経常利益10,848百万円(同45.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益9,409百万円(同45.4%増)となりました。

(注)ALL-IN営業利益=営業利益+特別損益に計上される心築事業に属する不動産の売却損益

 

セグメントごとの業績は次のとおりであります。

なお、当期より、心築事業の事業実態を表すため、「営業利益」に特別損益に計上される心築事業に属する不動産の売却損益を加算した「ALL-IN営業利益」を経営指標(KPI)として設定しております。これは、さらなる開示の可視化にも繋がることから、当連結会計年度の期首より、報告セグメントの「セグメント利益」を「営業利益」から「ALL-IN営業利益」に変更しております。

 

・アセットマネジメント

当該セグメントの業績につきましては、いちごオフィスにおいて、価値向上を図った物件の売却に伴う大幅な売却益の実現に連動して成果報酬が増加したこと等により、セグメント売上高4,241百万円(前期比46.3%増)、セグメント利益3,026百万円(同64.5%増)となりました。

 

・心築(しんちく)

大規模オフィスの一時的な空室発生に伴う不動産賃貸収入の減少をホテル業績の力強い回復が補いました。また、レジデンスや商業施設、オフィス等の販売用不動産の売却により、セグメント売上高は58,639百万円(前期比19.2%増)となりました。また、心築セグメントに属する固定資産を売却したことにより、セグメント利益は11,893百万円(同27.6%増)となりました。

・クリーンエネルギー

前期に竣工した発電所の売電収入が通期で寄与したことに加え、当期は新たに3つの発電所が売電を開始したこと等により、セグメント売上高は5,699百万円(前期比6.3%増)となりました。一方で、組織変更に伴い当該セグメントに係る経営指導料が増加したことにより、セグメント利益は2,016百万円(同5.5%減)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、40,313百万円となり、前連結会計年度末の46,214百万円と比較して5,900百万円の減少となりました。各キャッシュ・フローとそれらの要因は以下のとおりであります。

 

・営業活動によるキャッシュ・フロー

 当連結会計年度において、税金等調整前当期純利益14,234百万円、減価償却費5,339百万円等の資金の増加があった一方、売上債権の増加2,096百万円等による資金の減少があった結果、17,503百万円の資金が増加しました。加えて、物件の仕入れ等の先行投資にかかる販売用不動産等の増加額が9,707百万円、利息の支払額2,051百万円、法人税等の支払額5,490百万円があったこと等により、営業活動によるキャッシュ・フローは254百万円(前年同期は7,939百万円)となりました。

 

・投資活動によるキャッシュ・フロー

 当連結会計年度において、投資活動によるキャッシュ・フローは2,635百万円(前年同期は6,502百万円)となりました。これは主に、有形固定資産の売却による収入14,065百万円があった一方、有形固定資産の取得による支出10,516百万円、投資有価証券の取得による支出968百万円があったことによるものです。

 

・財務活動によるキャッシュ・フロー

 当連結会計年度において、財務活動によるキャッシュ・フローは△6,582百万円(前年同期は△15,360百万円)となりました。これは主に、短期借入金の純増減額△1,419百万円、長期借入れによる収入41,834百万円、長期ノンリコースローンの借入れによる収入3,000百万円があった一方、長期借入金の返済による支出40,385百万円、長期ノンリコースローンの返済による支出1,633百万円、自己株式の取得による支出4,499百万円、配当金の支払額3,197百万円があったことによるものです。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当社で行う事業につきましては、生産実績を定義することが困難であるため、記載を省略しております。

b.受注実績

当社は、受注生産を行っていないため、受注実績の記載はしておりません。

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年3月1日

  至 2023年2月28日)

 前年同期比(%)

 アセットマネジメント(百万円)

3,755

58.5

 心築(百万円)

58,637

19.2

 クリーンエネルギー(百万円)

5,699

6.3

合計(百万円)

68,093

19.6

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

 

相手先

前連結会計年度

(自 2021年3月1日

  至 2022年2月28日)

当連結会計年度

(自 2022年3月1日

  至 2023年2月28日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

A社

6,010

10.6

合同会社KCR1

17,731

31.1

株式会社青山財産ネットワークス

9,132

13.4

アルネア1合同会社

20,911

30.7

アルネア2合同会社

アルネア3合同会社

3.販売実績が総販売実績の100分の10未満の相手先については記載を省略しております。

4. 当社顧客との秘密保持の取り決めにより、一部、社名の公表は控えさせて頂きます。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、当社の連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 4.会計方針に関する事項」に記載の通りであります。この連結財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき見積り及び判断をおこなっておりますが、不確実性が内在しているため、将来生じる実際の結果と異なる可能性があります。

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載の通りであります。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(財政状態の分析)

(資産)

 当連結会計年度末の資産合計は338,619百万円となり、前連結会計年度末と比較して、732百万円増加(前期比0.2%増)いたしました。

 これは主に、自己株式の取得4,499百万円等による現金及び預金の減少5,922百万円、物件の売却等による有形固定資産の減少4,715百万円があった一方で、販売用不動産の増加10,485百万円、アセットマネジメント事業に係る運用報酬として売掛金の増加2,046百万円があったことによるものであります。

 

(負債)

 当連結会計年度末の負債合計は224,226百万円となり、前連結会計年度末と比較して1,469百万円減少(前期比0.7%減)いたしました。

 これは主に、ノンリコースローン1,366百万円の増加に対し、借入金の減少533百万円、未払法人税等の減少939百万円、前受金等その他の流動負債の減少959百万円があったことによるものであります。

 

(純資産)

 当連結会計年度末の純資産合計は114,393百万円となり、前連結会計年度末と比較して2,201百万円増加(前期比2.0%増)いたしました。

 これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上9,409百万円に対し、剰余金の配当3,275百万円、自己株式の取得4,499百万円があったことによるものであります。なお、自己資本比率は30.4%(前期比0.6ポイント増加)となりました。

 

(経営成績の分析)

(売上高)

 連結売上高は、レジデンスや商業施設等の物件売却の進捗、新たに竣工した発電所の稼働による売電収入の増加、いちごオフィスの利益に連動する成果報酬の増加等があったことにより68,093百万円(前期比19.6%増)となりました。

 売上高の主な内訳は、不動産販売収入41,144百万円、不動産賃貸収入17,074百万円、不動産フィー収入3,677百万円および売電収入5,576百万円であります。

 

(営業利益)

 営業利益は、心築事業における物件売却による売却益の獲得、アセットマネジメント事業において、運用投資法人の利益の増加に連動して成果報酬が増加したこと等により12,492百万円(前期比24.7%増)となりました。

 

(営業外損益)

 営業外収益は、前期と比較してデリバティブ評価益が増加したこと等により、979百万円(前期比170.9%増)となりました。

 主な内訳は、デリバティブ評価益790百万円、受取利息46百万円であります。

 なお、当社では将来の金利上昇リスクに備え、金利スワップ取引(デリバティブ取引)を行っております。

営業外費用は、2,622百万円(前期比9.8%減)となりました。

 主な内訳は、支払利息2,165百万円、融資関連費用171百万円であります。

 

(特別損益)

 特別利益は、4,621百万円(前期比36.6%増)となりました。

 主な内訳は、心築事業に属する不動産売却による固定資産売却益4,416百万円であります。

 特別損失は、1,235百万円(前期比1.9%減)となりました。

 投資案件の精査を行い、固定資産の減損損失803百万円、投資有価証券評価損261百万円、貸倒引当金繰入額127百万円を計上いたしました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 法人税、住民税及び事業税は4,425百万円となりました。また、当連結会計年度において法人税等調整額を152百万円計上しました。

 これらの結果、親会社株主に帰属する当期純利益は9,409百万円(前期比45.4%増)となりました。

 

(3)資金の源泉および流動性についての分析

 「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

 

(4)資金需要及び財務政策

 当社の事業活動における資金需要の主なものは、不動産の取得およびクリーンエネルギー発電設備の建設に係る資金であります。

 財務政策の状況につきましては、安定した財務体制を構築すべく、調達金利の低減、返済期日分散、借入期間の長期化、および無担保資金の調達等借入条件の改善に積極的に努めてまいりました。また、資金調達手法の多様化を図るため、株式会社格付投資情報センターより、発行体格付を取得致しました。

 

 当期においては、サステナブルな社会を実現するための「サステナブルインフラ企業」としての取り組みをご評価いただき、2023年2月27日(引出期間は2023年3月3日から)に株式会社三井住友銀行が組成した「ポジティブ・インパクト・ファイナンス」による限度額92.53億円の借入枠を設定いたしました。さらに、2023年2月28日に株式会社みずほ銀行より「Mizuhoポジティブ・インパクトファイナンス」として、限度額130億円の借入枠を設定いたしました。

 これらのポジティブ・インパクト・ファイナンスは、グローバルな指標である「ポジティブ・インパクト金融原則」(※1)に則り、企業の事業活動が環境・社会・経済にもたらすインパクト(ポジティブな影響とネガティブな影響)を包括的に分析・評価し、サステナブル経営の実現に向けた活動を継続的に支援することを目的とした融資です。

 本取り組みは、サステナブルな社会形成の促進と当社財務基盤のさらなる強化に資するものと考えており、当社では引き続き、資金調達の面においても、取り組みを促進、発展させてまいります。

 

(※1)ポジティブ・インパクト金融原則

 SDGsの達成に向け、金融機関が積極的な投融資を行うための原則として国連環境計画・金融イニシアティブにより策定された原則で、資金提供先企業のネガティブな影響を軽減し、現実的かつ信頼性のある方法でポジティブな影響を高めるための資金提供のあり方を定めています。

 

 その結果、当連結会計年度末において、コーポレート有利子負債の残高は167,730百万円(前期比0.5%減)、ノンリコースローンの残高は42,231百万円(前期比3.3%増)となり、当該残高に係る平均期中調達金利は、それぞれ0.89%(前期比0.00%減)、1.06%(前期比0.04%増)となりました。当連結会計年度末のコーポレート有利子負債残高における長期借入比率は94.1%(前期比1.6%増)、そのうち残存期間5年超の残高は90,919百万円、コーポレート有利子負債全体の平均借入期間は10.0年、平均借入残存期間は6.1年となりました。

 また、コーポレート有利子負債残高における無担保借入の割合は25.5%(前期比1.3%増)となりました。

 

(5)経営上の目標の達成状況について

当社は、2019年2月期を最終年度とした中期経営計画「Power Up 2019」で掲げた経営指標をすべて達成し、新たに2020年2月期を初年度とする長期 VISION「いちご 2030」を策定しております。

当社は、サステナブルな社会を実現するための「サステナブルインフラ企業」として、将来を見据えた戦略的な事業展開を通じて事業優位性のさらなる拡充を図り、株主価値の最大化に向け全力を尽くしてまいります。

 

■取り組み期間

 2020年2月期~2030年2月期(11年間)

 

■資本生産性の目標

①ROE(自己資本利益率)期間平均15%以上

 積極的なITや事業への先行投資により、初期はROEの低下が見込まれることに加え、コロナ感染拡大の初期であった2020年2月期末において、より徹底したキャッシュ・フロー経営を図るため、心築セグメントで保有している心築資産(不動産)を販売用不動産から固定資産に振り替えたことで、より多くのキャッシュ創出を実現した一方、固定資産に係る減価償却費(ノンキャッシュ費用)が増加したこと等により、ROEが低下しました。一方、資本生産性の向上や安定収益基盤の創出により当社の将来ROEを向上させ、長期にわたるROE15%以上の収益構造の確立を図る方針に変更はなく、株主価値の根幹である1株利益(EPS)の成長を図ってまいります。なお、当期のROE実績は9.2%となっております。

 

②「JPX日経インデックス400」11年間継続の組み入れ

 「JPX日経インデックス400」は、3年平均ROE、3年累積営業利益、時価総額を選定基準とし、資本生産性と価値向上が高い企業により構成される株価指数です。当社は、2030年8月の定期入替時まで11年間継続して組み入れられることを目指しておりましたが、ホテル事業においてコロナ感染拡大の影響を大きく受けたことによる一時的な営業利益の減少やROEの低下等により、2022年8月の定期入替時において組み入れから外れております。コロナ感染の影響が終息したことに伴いホテル売上も回復しており、今後の組み入れを目指してまいります。

 

■キャッシュ創出力の目標

 エコノミック営業キャッシュフロー※ 11年間継続の当期純利益超過

 当社の高いキャッシュフロー創出力は成長投資と株主還元の源泉であり、その創出力の維持とさらなる強化に注力してまいります。なお、当期におけるエコノミック営業キャッシュフローは9,962百万円となっており、親会社株主に帰属する当期純利益9,409百万円を超過しております。また、当期は心築セグメントにおいて固定資産の売却益が増えておりますが、このエコノミック営業キャッシュフローには、固定資産の売却益が反映されておらず、これを加算した場合の当社のキャッシュ創出の実態は、当期純利益を大幅に超過し、引き続き高い水準のキャッシュ・フローを創出しております。

※エコノミック営業キャッシュフローとは、当社の決算短信の表紙に記載されている「販売用不動産および販売用発電設備の増減額(仕入・売却)の影響を除く営業活動によるキャッシュ・フロー(税引後)」を指します。

 

■安定収益の目標ストック収益比率(2030年2月期)60%以上

 2019年2月期のストック収益比率53%から60%以上へと向上を図ります。同時に、フロー収益に関しても心築資産の売却益を中心の収益構造を分散化します。それにより不動産市況の景気循環に左右されにくく、安定性の高い収益構造の構築を実現してまいります。なお、当期のストック収益比率は53.8%となっております。

 

■株主還元策

 当社は、配当の安定性と透明性、そして成長性に注力し、「安心安定配当」により株主の皆さまからのご支援に報いると同時に、機動的な自社株買いを通じて中長期的な株主価値向上を図ります。

 なお、当期の期末配当については、徹底的なキャッシュ・フロー経営の方針のもと、高いキャッシュ創出を実現した一方、コロナの影響が薄らぎ、経済活動の正常化が進んだことに鑑み、前期および配当予想からの増配を決定し、1株当たり8円の配当といたしました。

 

①「安心安定配当」の累進的配当政策(Progressive Dividend Policy)

 当社は、2017年2月期より導入した「累進的配当政策」を本期間においても継続いたします。各年度の1株あたり配当金(DPS)を原則として前期比「維持か増配」のみとさせていただき、「減配しない」ことにより、当社の盤石な安定収益基盤が可能にする「安心安定配当」を実現いたします。

 

[累進的配当政策について]

 累進的配当政策とは、株主に対する長期的なコミットメントを示す株主還元策です。株主還元の基準としては「配当性向」が一般的ですが、短期的な利益変動に左右されてしまうため、将来の配当水準は必ずしも明確ではありません。原則として「減配なし、配当維持もしくは増配のみ」を明確な方針とする累進的配当政策は、持続的な価値向上に対する企業から株主へのコミットメントといえます。

 

②DOE(株主資本配当率)3%以上

 安定性が高い株主資本を基準とした「DOE配当政策」も引き続き採用することで、長期にわたり株主資本の成長と連動する、安定的な配当成長を図っており、当期においては3.6%の実績となっており引き続き安定的な配当を維持しております。

 

③機動的な自社株買い

 上述の配当政策とともに、株主価値向上に資する最適資本構成を目指し、機動的な自社株買いを実施いたします。

 当期においては、取得価額総額4,499百万円の自社株買いを実施して、6期連続の自社株買いの実施となります。