E02955 Japan GAAP
前期
2,403.5億 円
前期比
101.1%
株価
4,290 (07/12)
発行済株式数
31,336,500
EPS(実績)
318.67 円
PER(実績)
13.46 倍
前期
908.9万 円
前期比
112.5%
平均年齢(勤続年数)
45.7歳(14.6年)
従業員数
1,038人(連結:1,357人)
当社グループは、2024年3月31日現在、主として大手エレクトロニクスメーカーに対し集積回路を中心とした半導体製品、ボード・電子部品、ソフトウェア・サービスの販売、プライベートブランド(PB)製品の製造・販売、ネットワーク関連製品、ストレージ関連製品、セキュリティ関連製品の販売及び保守・監視サービス等を行っております。
(半導体及び電子デバイス事業)
当社において半導体製品、ボード・電子部品、ソフトウェア・サービスの販売、プライベートブランド(PB)製品の製造・販売を行っております。株式会社ファーストは、ファクトリーオートメーション向け汎用画像処理装置の開発・設計・製造・販売等を行っております。東京エレクトロン デバイス長崎株式会社は、電子機器の開発・設計・製造・販売等を行っております。アジア地域においてはTOKYO ELECTRON DEVICE ASIA PACIFIC LTD.、TOKYO ELECTRON DEVICE (SHANGHAI) LTD.、TOKYO ELECTRON DEVICE SINGAPORE PTE. LTD.及びTOKYO ELECTRON DEVICE (THAILAND) LIMITEDが、北米地域においてはTOKYO ELECTRON DEVICE AMERICA, INC.が半導体関連製品及びソフトウェア等の販売・マーケティング等を行っております。
当社の関連会社であるFidus Systems Inc.は、半導体やソフトウェア等の設計・開発を行っております。
(コンピュータシステム関連事業)
当社においてネットワーク関連製品、ストレージ関連製品、セキュリティ関連製品の販売及び保守・監視サービス等を行っております。
当社グループの取扱い製品をセグメントに区分して示すと次のとおりであります。
<事業の系統図>
当社グループに係る事業の系統図は、次のとおりであります。
※図中の矢印は、商品及びサービスの流れを示しております。
(注) 1 半導体及び電子デバイス事業並びにコンピュータシステム関連事業を営んでおります。
2 半導体及び電子デバイス事業を営んでおります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、経済活動の正常化に向けた動きが進み、緩やかな回復基調で推移しました。一方で資源価格の高止まりや円安による物価上昇、中国経済の減速、地政学リスクの高まり、米国による対中半導体輸出規制等により、景気の先行きは依然として不透明な状況で推移しました。
当社グループにおける当連結会計年度の経営成績については、売上高242,888百万円(前期比1.1%増)、営業利益15,428百万円(前期比8.4%増)、経常利益13,922百万円(前期比11.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益9,986百万円(前期比13.8%増)となりました。
当社グループにおける報告セグメントに係る業績については、次のとおりであります。
[半導体及び電子デバイス事業]
半導体の供給が段階的に正常化する中、サプライチェーンにおける在庫は高水準で推移しております。このような環境のもと、当社グループにおける車載向け半導体製品の販売は、顧客商権の拡大も寄与し好調に推移しました。また、産業機器向け、医療機器向けの設計・量産受託サービスも堅調に推移したものの、中国市場の停滞や半導体メーカーによる直販化などの影響で、産業機器向けやコンピュータ及び周辺機器向けの半導体製品の販売が減少したことなどから、当連結会計年度は外部顧客への売上高209,909百万円(前期比0.6%減)、セグメント利益(経常利益)10,459百万円(前期比0.0%減)となりました。なお、当社は2023年10月に日本エレクトロセンサリデバイス株式会社よりウェーハ検査装置事業を譲り受けており、業績等は半導体及び電子デバイス事業に含めております。
[コンピュータシステム関連事業]
クラウド移行やセキュリティ対策といった企業のIT投資は引き続き堅調であり、セキュリティ関連製品、サブスクリプション型ライセンス及びサービス販売は好調に推移しております。また、ネットワーク関連製品の販売も堅調に推移し、当連結会計年度は外部顧客への売上高32,978百万円(前期比12.7%増)、保守・監視サービス売上の増加に加え、為替変動リスク回避の方策を強化したことなどから、セグメント利益(経常利益)は3,463百万円(前期比71.5%増)となりました。
当連結会計年度末の流動資産は前期末に比べ17,027百万円増加し151,336百万円となりました。これは主に、商品及び製品が12,873百万円増加したことに加え、前払費用が2,084百万円増加したことによります。
固定資産は前期末に比べ2,087百万円増加し11,231百万円となりました。
この結果、総資産は前期末に比べ19,115百万円増加し162,567百万円となりました。
流動負債は前期末に比べ18,439百万円増加し89,035百万円となりました。これは主に、コマーシャル・ペーパーが5,000百万円増加したことに加え、前受金が2,641百万円増加したことによります。
固定負債は前期末に比べ6,518百万円減少し27,341百万円となりました。これは主に、長期借入金が1年内返済予定の長期借入金に振り替わったことにより7,000百万円減少したことによります。
純資産は前期末に比べ7,193百万円増加し46,190百万円となりました。以上の結果、自己資本比率は27.7%となり、前連結会計年度末に比べ1.3ポイント向上いたしました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前期末に比べて314百万円増加し、6,757百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は301百万円(前期は12,185百万円の支出)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益や仕入債務の増加等の資金増加要因が、棚卸資産の増加や法人税等の支払等の資金減少要因を上回ったためであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は2,695百万円(前期は199百万円の支出)となりました。これは主に、事業譲受による支出によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は2,529百万円(前期は13,746百万円の収入)となりました。これは主に、コマーシャル・ペーパー及び短期借入金の増加等の資金増加要因が、配当金の支払等の資金減少要因を上回ったためであります。
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2024年6月20日)現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たりまして、当社グループは特に以下の重要な会計方針が、当社グループの連結財務諸表作成において行われる判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。
当社グループの売上高は通常、注文書に基づき顧客に対して商品を引渡した時点、またはサービスが提供された時点で計上されます。なお、仕入先から顧客への商品直納販売については顧客受領時、預託在庫販売については顧客使用時、受託開発取引等検収確認が必要な取引については顧客検収完了時に計上されます。
当社グループは、顧客の債務不履行等により発生する損失の見込額について、貸倒引当金を計上しております。顧客の支払能力低下による入金遅延が生じ、その後速やかに回収が見込まれない等の場合は、当該顧客への債権金額の50%以上引当金設定を行うことを原則としています。また、その他一定の信用悪化が認められた顧客に対する債権については個別に評価を行い、保守的な見積もりに基づく引当金設定を行う方針としています。
当社グループは、棚卸資産の評価について原則として原価法(貸借対照表価額については収益性の低下に基づく簿価切下げの方法)を採用しております。販売価格の低下や販売が困難と認められる棚卸資産については個別に簿価の切り下げを行う他、仕入日から一定期間を経過した棚卸資産が陳腐化したものと仮定し、期間の経過に応じ機械的に簿価の切り下げを行う等、早期に評価減を実施する方針としています。なお、期間の経過に応じた機械的な簿価切り下げ額は、当社グループが定めた商品の一般的なライフサイクル期間(5年~6年)での均等償却により算定していますが、当該期間よりも早く陳腐化等が進む棚卸資産が発生した場合は追加的な切り下げが必要となります。
当社グループは、減損会計の対象となる建物及び構築物、工具、器具及び備品、のれん、技術資産、顧客関連資産、ソフトウェア等を有しております。現状、減損損失の認識が必要な資産はありませんが、今後、受注状況や市場動向に基づき見積られた将来キャッシュ・フローの総額の見積りが帳簿価額を下回った場合に、減損損失の計上が必要となる可能性があります。
有価証券等への投資につきましては、株式、ベンチャーキャピタルへの投資及びゴルフ会員権の保有があります。金融商品の投資価値の下落がその時点の帳簿価額のおおむね50%相当額を下回ることとなり、かつ、近い将来その価額の回復が見込まれない場合には投資の減損又は貸倒引当金の計上を行っております。なお、将来の市況悪化等により、投資の減損又は貸倒引当金の計上が必要となる可能性があります。
当社グループは、繰延税金資産について、入手可能な情報や資料に基づき将来の課税所得の発生の可能性を毎決算期に見積もり、回収可能性を検討した上で計上しております。今後、業績の悪化等により繰延税金資産の全部又は一部の回収可能性に懸念が生じた場合、繰延税金資産の取崩額が費用として計上される可能性があります。
なお、評価性引当額の設定は主に、貸倒引当金、関係会社株式評価損及びゴルフ会員権評価損に対して行っております。
当社グループの退職給付に係る負債又は資産については、数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出されております。これらの前提条件には、割引率、将来の報酬水準、退職率、直近の統計数値に基づいて算出される死亡率及び年金資産の長期期待運用収益率等が含まれます。割引率は、期末における安全性の高い債券の利回りを基礎として決定しております。長期期待運用収益率は、年金資産が投資されている資産の種類毎の長期期待運用収益率の加重平均に基づいて計算しております。実際の結果が前提条件と異なる場合、又は前提条件が変更された場合には、将来期間において認識される費用及び計上される債務に影響を及ぼします。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の業績に関し、半導体及び電子デバイス事業では車載機器向けの需要が堅調に推移したことに加え、商権移管による商流の追加によりプロセッサとメモリの売上高構成比が上昇したものの、半導体メーカーの直販化によりアナログICの販売が減少したほか、産業機器向け需要の減少や中国市場の停滞等も背景に、売上高が前期比で減少いたしました。また、半導体及び電子デバイス事業におけるプライベートブランド事業ではウェーハ検査装置の承継事業が寄与したことに加え、医療機器向けの設計・量産受託サービスが堅調であった一方、国内子会社が扱う半導体製造装置向けビジネスや検査装置システムに対する需要は低調な推移となりました。コンピュータシステム関連事業においてはエンタープライズ向けやデータセンター及びクラウド事業者向けのネットワーク製品とクラウド向けのセキュリティ製品がそれぞれ好調に推移したほか、保守・監視サービス等のサービス型ビジネスも堅調であったことから売上高が伸長したことに加え、為替変動リスクに対する回避の方策を強化したことにより利益率も改善いたしました。以上の結果、グループ全体としては売上高・利益とも前連結会計年度の実績を上回り、当連結会計年度は売上高242,888百万円(前期比1.1%増)、経常利益13,922百万円(前期比11.6%増)、経常利益率5.7%(前期は5.2%)、親会社株主に帰属する当期純利益9,986百万円(前期比13.8%増)となり、ROE(株主資本利益率)については25.1%(前期は26.1%)となりました。
現行の中期経営計画「VISION2025」(対象期間:2022年3月期~2025年3月期)では、世界全体の経済成長率が逓減していく一方で高効率スマート社会(Society 5.0)の到来を事業環境として予測・想定し、「DRIVING DIGITAL TRANSFORMATION」として、デジタルトランスフォーメーションを実現する製品・サービスの提供によって社会の持続的な発展への貢献を当社グループのミッションとして掲げております。この計画のミッションを全うしていくためにもメーカー機能を持つ技術商社から技術商社機能を持つメーカーへの移行を推し進め、技術商社機能としては、データ・サービス・ストックビジネスを利益の源泉とするビジネスモデルを確立し、安定的な利益の基盤を構築してまいります。また、メーカーへの移行に向け、当社グループでは以下の内容を重点ポイントとしております。
a.データサイエンス・画像処理・ロボティクスを駆使した モノづくりシステムメーカー
b.設計量産受託サービスで培われた技術に基づくODMメーカー
c.強力なシステム開発力・提案力を有する 設計開発部門
d.マスカスタマイゼーション対応の 高効率スマート工場
この中期経営計画に関しては、当初設定した以下の財務モデルである目標値を2期連続(2023年3月期及び2024年3月期)で達成したことに加え、2023年4月27日に「中期経営計画の見通しに関するお知らせ」として公表した2025年3月期の見通しに対しては、1年前倒しで経常利益率及びROEの目標値を上回ることとなりました。
(中期経営計画「VISION2025」の最終年度(2025年3月期)における当初の財務モデルと2023年4月27日付で
公表した見通し)
2025年3月期の業績については、2024年3月期の前半から始まると想定していた調整フェーズが半年程度遅れて生じたことによって、サプライチェーンにおける在庫調整に時間を要しているほか、特に中国市場における停滞の長期化が当社グループの顧客である産業機器分野にも影響を及ぼしており、また、2024年3月期と同様に一部の半導体メーカーによる直販化等に起因する売上高減少の影響が上半期を中心に大きく表れ、前期の実績を下回ることが予想されます。一方で、新規顧客商権による業績への寄与が、2025年3月期の後半から本格化することが期待されていることから、前半を底入れ期、後半を回復基調への転換期と見込んでおります。
今後も引き続きメーカー機能の強化とサービス型ビジネスの強化に取り組み、各部門で利益成長を加速する有望事業を推進してまいります。半導体及び電子デバイス事業における商社ビジネスでは取り扱い商材の拡大、ソリューションビジネスの推進及びクラウドAI・エッジAIビジネスの強化に取り組み、プライベートブランド事業ではウェーハ検査装置事業、国内子会社の製造ライン及びビジョンオートメーションシステムの強化をそれぞれ推進し、コンピュータシステム関連事業では新規商材の取り扱いをはじめ、サービス型ビジネスの拡充に取り組んでまいります。
(2025年3月期における通期連結業績予想)
当社では2024年4月30日付で「新中期経営計画(VISION2030)に関するお知らせ」を公表しております。2025年3月期に最終年度を迎える現在の中期経営計画に続く新たな中期経営計画「VISION2030」では、そのミッションとして「半導体やITを中心とする最先端テクノロジーを通して社会課題に向き合い、期待を超える価値を持つ解決策を提供することで、社会の持続的発展に貢献すること」を掲げており、持続的な社会課題に対峙し、顧客の期待を超える解決策を提供してまいります。また、VISIONとして「メーカーと技術商社の力で潜在的な社会課題を解決する会社」への進化を目指してまいります。新中期経営計画の対象となる2026年3月期からの向こう5年間において、メーカーと技術商社の両面を活かし、特にAI等の新たな課題に対応する取り組みを強化してまいります。全社方針としては当社グループが持つ「メーカー」と「技術商社」の力により潜在的社会課題である顧客課題の解決を図るとともに、持続的な利益成長に資する行動を推進してまいります。
資本政策に関しては、持続的な成長への投資として、技術開発・事業拡大に向けた積極的な投資を行い、競争力の強化を目的とした社内DX・社外DXへの投資のほか、人材育成へも積極的な投資を行ってまいります。株主還元については業績に応じて実施するとともに、持続的な利益成長により企業価値向上を図っていくことで長期的な高リターンを目指してまいります。また、自己資本比率40%以上・ROE20%以上を目指し、適正な在庫水準を維持することで財務の健全性を高めてまいります。
これらに加え、サステナビリティにも注力し、社会の発展と企業価値向上を目指してまいります。
以上を踏まえた新中期経営計画「VISION2030」にて設定する財務モデル及び事業ポートフォリオは次のとおりであり、目標とする経営指標の達成を目指してまいります。
(新中期経営計画(VISION2030)の最終年度(2030年3月期)における財務モデル及び事業ポートフォリオ)
当社グループの事業活動における主な資金需要は商品の仕入代金、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。その他、プライベートブランド事業におけるメーカー機能の強化を図るための設備投資や研究開発投資、M&A投資等があります。上記、運転資金については内部資金、銀行からの短期借入金、コマーシャル・ペーパーの発行及び売上債権の流動化により調達を行い、投資資金については内部資金及び銀行からの長期借入金により調達を行うことを基本としております。一方、銀行借入金の一部を長期固定金利契約とすることにより、金利変動リスクの軽減を図っております。
日常的な手元流動性は金利費用削減のため必要最小限の残高で運用する方針としております。なお、取引銀行6行と当座貸越契約(2024年3月31日現在、極度額合計61,223百万円)を締結しており、資金の流動性は十分確保されております。
今後につきましては、安定的な内部留保の蓄積等により財政状態の健全化を図るとともに、資本効率を高めてまいります。