E05379 Japan GAAP
前期
516.1億 円
前期比
100.8%
株価
648 (04/19)
発行済株式数
12,060,381
EPS(実績)
27.61 円
PER(実績)
23.47 倍
前期
543.8万 円
前期比
98.2%
平均年齢(勤続年数)
44.0歳(9.0年)
従業員数
64人(連結:1,555人)
当社(ファーマライズホールディングス株式会社)は平成21年6月1日付で新設型会社分割を行い、調剤薬局事業を新設子会社のファーマライズ株式会社が承継することで、当社は持株会社となりました。現在の当社グループは、持株会社である当社を中心に、連結子会社14社で構成されております。
なお、当社は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、これにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。
それぞれの事業内容は以下の通りであります。
調剤薬局事業は、ファーマライズ株式会社、株式会社ケミスト、株式会社ヘルシーワーク、株式会社サン・メディカル、有限会社映双薬局、株式会社くすき調剤薬局、有限会社池本薬局、北海道ファーマライズ株式会社及び有限会社大木薬局による、医療機関の発行する処方せんに基づき一般患者に医薬品の調剤を行う調剤薬局の経営事業であります。
物販事業の主な内容は、ファーマライズ株式会社による化粧品等販売事業、コンビニエンスストア並びにドラッグストア等の運営事業であります。
医学資料保管・管理事業は、調剤薬局事業の周辺業務として、株式会社寿データバンクが手掛ける紙カルテやレントゲンフィルム等の保管・管理事業であります。同事業は、全国の病院において震災対応や業務効率化のための建替・移転が活発に行われていることから、積極的な営業活動により事業基盤の安定化に努めております。
医療モール経営事業は、ファーマライズ株式会社がJR札幌駅内の「JRタワーオフィスプラザさっぽろ」で運営している医療モールに係る事業です。
その他の事業の主な内容は、①株式会社ミュートスで行っている製薬企業等向けのシステムインテグレーション事業等、②株式会社メディカルフロントで行っている医療関連ITソリューション事業等、③株式会社レイケアセンターによる人材派遣事業、④株式会社ウィークによる有料職業紹介事業であります。
当社グループでは、これらの物販事業、医学資料保管・管理事業、医療モール経営事業及びその他の事業につきましても、調剤薬局のシナジー事業として収益機会の拡大に向けて鋭意取り組んでおります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は以下の通りであります。
当連結会計年度(令和4年6月1日から令和5年5月31日)におけるわが国経済において、景気は緩やかに回復しております。先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、緩やかな回復が続くことが期待されますが、世界的な金融引締め等が続くなか、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっております。また、物価上昇、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある状況です。
こうしたなか、当社グループは令和3年12月24日に「中期経営計画LSG(Leading to Sustainable Growth)2024」を公表し、株主価値の更なる向上を目指し、競争力を強化し成長していくため、①投資家に選ばれる会社になるための取組み強化、②調剤事業を核とした事業展開による収益獲得強化、③経営基盤の更なる強化による収益構造の改善を推進しております。
当連結会計年度における業績は、売上高52,030百万円(前年同期比0.8%増)、営業利益1,438百万円(前年同期比5.4%減)、経常利益1,431百万円(前年同期比5.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は333百万円(前年同期比25.6%減)となりました。
売上高につきましては、薬価改定の影響はあったものの、応需処方せん枚数の増加及び技術料算定が順調に進展したことによる調剤売上高の増加、並びにコンビニエンスストア部門及び有料職業紹介事業が好調に推移したことにより、増収となりました。
利益面においては、物販事業のドラッグストア部門におけるマスク等の衛生材料等コロナ関連需要の減退や巣ごもり需要の反動による売上高の減少及び水道光熱費等の経費の増加、その他セグメントにおける医薬品の卸売取引の減収、医学資料保管・管理事業における減収に伴う減益等を主な要因として営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益ともに減益となりました。
調剤薬局事業におきましては、仕入環境の変化等により第2四半期連結累計期間では193百万円の減益でしたが、特に第3四半期以降の処方せん枚数の回復や技術料単価の増加により当連結会計年度では26百万円まで減益幅は縮小いたしました。
セグメントごとの業績は以下の通りであります。
なお、当連結会計年度より、従来「調剤薬局事業」「物販事業」の各事業内に含めておりました卸売に係る取引においては、各報告セグメントから「その他」セグメントに統合しております。これは経営管理上の意思決定や業績区分を見直した結果、従来のセグメントとは分けて区分することがより適切であると判断したことによるものであります。また、比較・分析対象の前連結会計年度のセグメント数値については、変更後の報告セグメントの区分に基づくものであります。
(調剤薬局事業)
当連結会計年度における調剤薬局事業の業績は、M&Aや新規出店効果に加え、新型コロナウイルス感染症の影響による受診抑制の緩和を主な要因とした処方せん枚数の回復傾向が第3四半期以降より鮮明となってきたことや、調剤技術料の算定増加等により売上高は42,327百万円(前年同期比0.8%増)と増収になりました。利益面においては、薬価改定の影響及び仕入環境の変化、当期に実施した新規出店やM&A等による販管費の増加等の要因を、処方せん枚数の増加や調剤技術料収入の拡大による増益要因でカバーしきれずセグメント利益は1,685百万円(前年同期比1.5%減)と減益になりました。同期間における調剤薬局店舗は8店舗増加、9店舗減少で、当社グループが運営する店舗数は300店舗となりました。増加した店舗は、株式譲受により取得した有限会社映双薬局の2店舗(神奈川県)及び株式会社くすき調剤薬局の1店舗(三重県)、有限会社池本薬局の1店舗(北海道)、有限会社大木薬局の2店舗(三重県)、ファーマライズ株式会社の新規開局の2店舗(栃木県及び大阪府)であります。
薬局運営面につきましては、選ばれる「かかりつけ薬局」となるために、①地域医療(在宅医療及び施設調剤、地域連携薬局、専門医療機関連携薬局)の実施、②後発医薬品推進、③患者情報の一元管理や重複投与・飲み合わせ・残薬確認強化の観点から電子お薬手帳「ポケットファーマシー」の利用促進、④生活習慣病の予防を継続的に支援していくことを目的とした、当社独自の健康寿命延伸プログラムである「継続支援プログラム」の推進、⑤店舗ごとに特徴・行動計画を打ち出し必要に応じて本部が支援する「コンセプト薬局」施策の開始、⑥かかりつけ薬剤師・薬局の機能に加えて、市販薬や健康食品から介護や食事・栄養摂取に関することまで気軽に相談できる「健康サポート薬局」の継続的な推進に取り組んでおります。
なお、健康サポート薬局は当連結会計年度末時点で82店舗(前年度末比11店舗増)となり、地域連携薬局は117店舗(前年度末比21店舗増)となりました。また、専門医療機関連携薬局につきましても認定取得に向け準備を進めております。
(物販事業)
当連結会計年度における物販事業の業績は、売上高は7,771百万円(前年同期比2.3%増)、セグメント損失は199百万円(前年同期はセグメント損失150百万円)となりました。これは、売上高においては、コンビニエンスストア部門におけるコロナ影響の緩和による経済活動の回復を背景とした売上高の伸長が主な要因であります。利益面においては、ドラッグストア部門において、主力の医薬品や化粧品等は回復しつつあるもののマスク等の衛生材料等コロナ関連需要の減退や巣ごもり需要の反動による売上の減少額の方が大きくなってしまったことにより、売上総利益が減少したことによるものであります。
また、同期間における調剤を併設しない本セグメントの当社グループが運営する店舗数は1店舗増加の46店舗となりました。
(医学資料保管・管理事業)
当連結会計年度における医学資料保管・管理事業の業績は、主に医療機関における経費削減の動きから紙カルテ等の保管年数の短縮化の影響を受け、売上高は646百万円(前年同期比7.6%減)、セグメント利益は81百万円(前年同期比24.6%減)となりました。一方で紙カルテ等の保管・管理のニーズは継続的に発生していることから、それらの獲得と新たなサービス提供に向けた営業活動を展開しております。
(医療モール経営事業)
当連結会計年度における医療モール経営事業の業績は、売上高は505百万円(前年同期比0.4%増)、セグメント利益は減価償却費が減少したことで90百万円(前年同期比35.2%増)となり、安定的に推移しております。
(その他)
当連結会計年度におけるその他事業の業績は、有料職業紹介事業は好調だったものの、医薬品の卸売取引の減収を主な要因として売上高は779百万円(前年同期比3.1%減)となりました。また、医薬品の卸売取引の減収に加え、医療関連ITソリューション事業等が減益となったことなどによりセグメント利益は36百万円(前年同期比53.7%減)となりました。
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は11,372百万円(前年同期比493百万円増)となりました。この主な要因は、現金及び預金が4,742百万円(前年同期比751百万円増)となった一方で、売上債権等(「売掛金」と「未収入金」の合計額)が4,024百万円(前年同期比246百万円減)となったことによるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は12,048百万円(前年同期比818百万円減)となりました。この主な要因は、のれんが2,748百万円(前年同期比472百万円減)となり、また、建物及び構築物(純額)が2,902百万円(前年同期比218百万円減)となったことによるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は9,835百万円(前年同期比1,358百万円増)となりました。この主な要因は、買掛金が4,252百万円(前年同期比142百万円増)となり、また、1年内償還予定の社債及び1年内返済予定の長期借入金の合計額が3,490百万円(前年同期比1,213百万円増)となったことによるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は6,598百万円(前年同期比1,972百万円減)となりました。この主な要因は、社債及び長期借入金が5,216百万円(前年同期比1,868百万円減)となったことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は6,987百万円(前年同期比288百万円増)となりました。この主な要因は、当連結会計年度の利益剰余金が増加したことによるものであります。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、4,734百万円(前年同期比743百万円増)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果増加した資金は、2,520百万円(前年同期比1,806百万円増)となりました。この主な要因は、税金等調整前当期純利益が1,049百万円となり、法人税等の支払額又は還付額により資金が836百万円減少した一方で、減価償却費が589百万円、減損損失が244百万円、のれん償却額が635百万円計上され、売上債権が482百万円減少したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、703百万円(前年同期比411百万円増)となりました。この主な要因は、差入保証金の回収による収入が197百万円となった一方で、新規開局等に伴う有形固定資産の取得による支出が380百万円、無形固定資産の取得による支出が162百万円、差入保証金の差入による支出が158百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が180百万円あったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果減少した資金は、1,072百万円(前年同期比38百万円増)となりました。この主な要因は、長期借入による収入が1,700百万円あった一方で、長期借入金の返済による支出が2,419百万円、リース債務の返済による支出が222百万円、配当金の支払額が131百万円となったことによるものであります。
当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに記載しますと、以下の通りであります。
当連結会計年度における処方せん応需実績は、以下の通りであります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
この連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績の状況の概要」に記載の通りであります。
当社グループの主な活動領域である調剤薬局事業におきましては、隔年で実施される調剤報酬改定、毎年実施される薬価改定が経営成績に重要な影響を与える要因となっております。国民医療費抑制の方針から、調剤報酬・薬価自体は今後も全体としては実質引き下げ方向での改定が予想されます。
近年の改定は、「在宅医療の充実」や「後発医薬品の使用促進」、「かかりつけ薬剤師・薬局化」を今まで以上に明確に反映しており、「地域包括ケアシステムの構築」や「国民医療費抑制」といった国の方針により沿った内容となっております。調剤報酬改定の影響は大変厳しいものとなっておりますが、これらの改定への対応如何では収益力の低下を抑え、競争力の強化につなげることも可能であると考えております。
当社グループは、令和3年12月24日付で経営理念を改定し、「中期経営計画LSG(Leading to Sustainable Growth)2024」を公表しました。
当社グループの主たる事業である調剤薬局におけるプロとしての指針は、「パーフェクト(完璧)」であります。このことから当社の社是は「パーフェクト(完璧)」とし、基本方針として参りました。一方、世界的な環境・社会意識の高まりを背景とした社会の要請、期待に応え、社員を始め多様なステークホルダーの皆様とともに持続可能な社会を実現するためにも、更なる企業価値の向上を目指すべく、次に掲げる経営理念に改定いたしました。
・社会的責任
医療に携わる企業として、社会的責任を強く認識し、「Perfect」を目指して積極的に活動していきます。
・サステナブルな未来へ
SDGsの取り組みを重要視し、全社員、ステークホルダーと対話を深めながら、サステナブルな未来へ向かっていきます。
・心を込めたホスピタリティー
一人ひとりが、信頼と安心を感じられるよう、知識、専門性、経験とノウハウを生かし対応していきます。
当社グループは以前より、地域に密着した「かかりつけ薬局」の理想形を追求し、地域医療に貢献するという考え方のもと、選ばれる「かかりつけ薬局」となることを目指し、地域医療(在宅医療及び施設調剤)及び後発医薬品の推進並びに電子お薬手帳の普及や24時間対応に向けた取組み等を実施してまいりました。同時に、地域のセルフメディケーション・健康支援ニーズに対応したサービスを提供する体制づくりや健康保険制度外事業の拡大にも取り組んでまいりました。
そして、本中期経営計画のもと、グループ全体として、①投資家に選ばれる会社になるための取り組み強化、②調剤事業を核とした事業展開による収益獲得強化、③経営基盤の更なる強化による収益構造の改善、を推進してまいります。
特に調剤薬局事業におきましては、①超高齢社会に対応すべく医療・介護・ヘルスケアを推進し、かかりつけ薬局として地域医療に貢献するという使命を追求、②当社独自の認定資格ヘルシーライフアドバイザーによる「からだ・こころ・くらしのウエルネス」をテーマに国民の健康保持・増進活動を支援、③業務のセンター化による効率化とDX化によるオンライン指導推進に注力してまいります。また物販事業では、①スクラップ&ビルド、②顧客情報の活用強化、③売場・商品選定改革による採算性の改善、④新規業体の開発に取り組んでいきます。
当連結会計年度における状況については、「第2事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
当社の運転資金需要の主なものは、調剤のための医療用医薬品仕入、物販のための商品仕入のほか、店舗運営の製造経費、全社に係る販売費及び一般管理費によるものであります。
なお、運転資金及び設備投資資金につきましては、内部資金又は借入金により資金調達することとしております。