株式会社サンクゼール

上場日 (2022-12-21) 
ブランドなど:久世福商店
食料品スーパーグロース

売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率

ニュース

  • ニュースリリースデータがありません。


最終更新:

E38168 

売上高

178.7億 円

前期

141.7億 円

前期比

126.1%

時価総額

189.1億 円

株価

2,049 (04/30)

発行済株式数

9,230,200

EPS(実績)

114.72 円

PER(実績)

17.86 倍

平均給与

477.2万 円

前期

475.4万 円

前期比

100.4%

平均年齢(勤続年数)

37.6歳(7.1年)

従業員数

234人(連結:255人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

 

3 【事業の内容】

 当社グループは、日本全国に158店舗(2023年3月末時点)の自社店舗(直営51店舗、フランチャイズ・チェーン(以下、「FC」と呼称。)107店舗)を有する食のSPAを展開する食品製造販売事業を行っております。また、自社店舗(直営及びFC)以外にも、自社で構築したオンラインショップ(以下、「自社公式ECサイト」という。)及び楽天サイトを通じた販売や地方の生産者と消費者をつなぐオンラインマーケットプレイスを運営するEC事業、大手食品卸企業や小売企業に対するホールセール事業、そして米国を中心とするグローバル事業など、様々なチャネルを通じて製商品の販売を行っております。

 当社グループの事業の特徴は、マーケティング、製商品の企画・開発、調達・製造、店舗設計、販売までのプロセスを自社グループで制御することができる点にあり、製品提供の重要なプロセスを企業として備えている点であります。重要なプロセスを一気通貫で手掛けることにより、ブランド、製商品、店舗内装、店舗スタッフなどの店舗運営に必要な要素全てを共通の世界観の元で構築することができ、当社グループ独自のグロッサリーストア(食料品店)を作り上げることができております。

 当社グループの商品は、その約90%は当社グループの製商品開発部門が企画・開発した製商品であり、各ブランドのコンセプトを体現した独自性のある製商品となっております。また、各店舗に置かれる製商品点数は、小規模店舗で600アイテム以上、大型店舗で1,200アイテム以上に及び、そのどれもが中身のおいしさ、購買者の意欲をそそるネーミング、パッケージデザインにおいてオリジナリティ溢れる商品であります。多種にわたる製商品を1つの店舗に置くために、当社グループ工場及び協力メーカー工場では、多品種少量生産に適した生産体制を構築し、各店舗からのきめ細かな発注に応えられるようになっております。このようなきめ細かな生産体制をとることにより、消費者の需要に合わせたこまめな生産調整を可能とし、必要な製商品を必要な量だけ作ることで、1つの店舗に無駄なく大量の製商品点数を陳列することが実現でき、独自性のあるグロッサリーストアを作り上げることができております。

 当社グループ事業のバリューチェーンにおける特徴は以下のとおりです。

 

※画像省略しています。

 

1. オリジナリティ溢れるブランド

 当社グループでは、「サンクゼール」、「久世福商店」、及び「Kuze Fuku & Sons」の3つのブランドを展開しております。「サンクゼール」は、ジャム、パスタソース、ワインなどの洋食材を中心とするブランドであり、「久世福商店」はご飯のお供、だし、味噌及び醤油などの和食材を中心とするブランドであります。これら2つのブランドは、国内に各ブランドの自社店舗(直営及びFC)を展開しているほか(2023年3月末時点:サンクゼール業態 16店舗、久世福商店業態 142店舗)、ECやホールセールを通して、販売しております。一方、「Kuze Fuku & Sons」は、米国を中心とするグローバル展開を目的として開発された、米国メインストリームと和食のそれぞれの良さをハイブリッドした食材ブランドであり、米国や台湾の問屋や小売店に対する卸販売をメインに展開しております。ブランドごとにコンセプトを明確に分けており、ブランドごとに異なるお客様へ商品を提供することができております。

 各ブランドのコンセプトと特徴は以下のとおりです。

 

ブランド

コンセプト

特徴

サンクゼール

※画像省略しています。

Country Comfort

~田舎の豊かさ、心地よさ~

 

創業者である久世良三がペンションを営んでいた頃に朝食のために作っていた手作りジャムが当ブランドの原点となっております。その後、創業者がフランスの田舎を訪れたときに感じたイメージを基に、「Country Comfort(田舎の豊かさ、心地よさ)」をコンセプトとして、長野県上水内郡飯綱町に製造工場とワイナリー、レストラン、売店を備えた「サンクゼールの丘」を作り上げ、現在の「サンクゼール」ブランドが形作られていきました。主要な取扱商品は、自社製造のワイン、ジャム、パスタソース、ドレッシングなどであり、豊かな食卓を彩る商品を取り揃えております。

 

久世福商店

※画像省略しています。

ザ・ジャパニーズ・グルメストア

創業者の父であり、食品卸問屋を営んでいた久世福松氏がブランド名の語源であります。単に商品の魅力だけでなく、生産者の人柄まで掘り下げることによって、独自性の高い商品を開発しております。各地の食品メーカーによるOEM商品が多くを占めていますが、ほとんどの商品に久世福商店のオリジナルパッケージを付けております。各商品の素材選定や味付けを当社と各メーカーとの共同開発により行っており、高品質でおいしいと感じられる商品に仕上げることができております。

 

Kuze Fuku & Sons

 

※画像省略しています。

The Premium Japan Brand

 

 

 

 

 

 

当社グループの米国子会社であるSt.Cousair,Inc.で作った商品を久世福商店のブランドとして、米国内及び日本国内で展開するために、米国発の第3の商品ブランドとして誕生いたしました。創業者の父、久世福松氏の名を冠した久世福商店に始まり、その息子たちが米国に進出し、日本人としてのアイデンティティを大切にしながら米国マーケットのみならず世界中に展開していくことをビジョンに掲げております。ブランド名にはこのような「親から子へ」脈々と受け継がれていく想いが込められております。主要な取扱商品は、St. Cousair, Inc.で作られるドリンクベース、飲む酢、ドレッシング、ジャムに加えて、日本から輸入する自社製品及び仕入商品であります。

 

 

 

2. お客様のフィードバックを直接取得するマーケティング

 当社グループでは、お客様のフィードバックを素早く商品開発や売場改善に反映し、お客様の当社ブランドに対するロイヤルティの向上につなげていくことが食のSPAにおいて最も重要な要素であると考えております。当社は全国に有する「サンクゼール」及び「久世福商店」の自社店舗(直営及びFC)を通して、ご来店いただくお客様の声を直接聞き取り、その内容を「自社POS連動型ERPシステム」の「日報」機能を利用することで、遅滞なく本部に伝達する体制を整えております。また、2021年4月より開始した「久世福商店・サンクゼール公式アプリ」を用いて会員であるお客様の購買データの分析を行っており、お客様の購買行動の変化を通して、お客様のニーズに変化を把握することに努めております。

さらに、2023年3月期からは、当社のアプリ会員である一部のお客様に、当社が運営する「Fan-Based Community」というコミュニティプログラムに参加していただき、定期的なアンケートやインタビューを通じて、プログラム会員であるお客様から直接、商品開発や売場改善に対するフィードバックを得る取り組みを開始しております。当該プログラムの活動を通して当社ブランドに対するロイヤルティが高いお客様のニーズをより具体的に把握することで、プログラム会員以外のお客様にも当社ブランドのファンになっていただけるように取り組んでおります。

 

 

3. 独自性の高い商品開発力

 当社グループは、「サンクゼール」、「久世福商品」及び「Kuze Fuku & Sons」の3つのブランドコンセプトに基づいて、自社グループ工場で製造した製品やOEMメーカーから仕入れた商品を独自性の高い商品に仕上げる商品の企画・開発力を有しております。当社グループは、「サンクゼール」、「久世福商店」及び「Kuze Fuku & Sons」のブランドごとに組織を分けており、各ブランドの商品開発チームが新商品の開発及び定番商品の改良の検討を行っております。商品の開発・改良に当たっては、当社グループが有する自社店舗を通じて、日々お客様と接する中で聞いているお客様の「声」を収集し、これを商品の開発・改良プロセスに反映することによって、お客様のニーズに合致した商品を開発することが可能となります。このように日本全国の自社店舗を通じてマーケティングを行い、その結果を商品開発に反映することで商品の成功可能性を高められることが当社の強みであります。

 また、当社は、パッケージやラベルデザインを担当するデザイナーを自社で有しており、ブランドコンセプトやお客様のニーズに即したデザインをタイムリーに仕上げることができております。

 

4. 日米の自社製造拠点

 当社グループは、長野県上水内郡飯綱町に有する国内工場の他、米国子会社であるSt.Cousair, Inc.が所在する米国オレゴン州の海外工場で製品を製造しております。

 

・国内工場(株式会社サンクゼール 長野県上水内郡飯綱町)

 飯綱町の製造工場では、主にジャム、パスタソース、ドレッシングなどの食品を製造しております。また、同一エリア内に設置された自社ワイナリーでは、国内外及び近隣の農家から仕入れた果実を原料とするワイン、シードルの製造を行っております。さらに、飯綱町との取り組みを通じて、飯綱町の特産品であるりんごを使用したブランデーの蒸留を行っております。飯綱町のりんごの特徴でもある豊かな風味と芳醇な甘みを感じることができるブランデーとして、「いいづなアップルブランデー」という商品名で2017年より製造を開始しております。

 

・海外工場(St.Cousair, Inc. 米国オレゴン州)

 2017年4月に米国オレゴン州の食品加工工場を買収し、米国子会社St. Cousair Oregon Orchards, Inc.(現St.Cousair, Inc.)を設立いたしました。オレゴン州は大規模な災害が少なく、年間を通して寒暖差が大きいことから、世界有数のベリー系果実原料の産地となっております。米国オレゴン州に工場を設置することにより、新鮮で高品質な果実原料を安価に調達することができ、当社グループの商品の品質向上及びコストメリットを生み出すことができております。また、2017年の同工場取得時にUSDA(United States Department of Agriculture)によるオーガニック認証を取得しており、以降は毎年当該認証を更新しております。当該認証を保持することで、USDAオーガニックのロゴの使用許諾とともに、USDAオーガニックの基準に基づく商品の製造・販売を行うことができます。オーガニック原料を使用したオーガニック製品を製造することが可能な点も当社グループにおける強みの1つであります。

 

5. 日本全国の仕入商品メーカーとのネットワーク

 当社グループは、2023年3月末時点で各地500社を超える食品メーカーとのネットワークを有しております。各食品メーカーは、それぞれの地域に根差した独自性の高い商品を展開しており、それらの商品に当社グループが持つ「サンクゼール」及び「久世福商店」の両ブランドのエッセンスを加えることで、独自性の高い商品を開発することができております。当社グループにとっては、各食品メーカーの協力を得て、付加価値の高い商品を開発できる利点がある一方、地方に拠点を有する食品メーカーにとっては、当社グループの店舗を通じて、全国各地に商品を流通させることができるという利点があります。このように当社グループのブランドがプラットフォームとして機能し、各地域の食品メーカーとWin-Winの関係を構築することで、競合他社が模倣することが困難な強固なネットワークを構築することができております。

 

6. 多様な販売チャネル

 当社グループは、国内外の多様な販売チャネルを通して製商品の販売を行っております。各チャネルの特徴は以下のとおりです。

 

① 直営及びFC

 当社グループは、日本国内において直営及びFCでの自社小売店舗を有しております。

 

・本店(直営)

 長野県飯綱町の本社エリアには、サンクゼール及び久世福商店の本店があります。エリア内には、レストランやイングリッシュガーデンが所在しており、長野県飯綱町を見渡せる小高い丘の頂上に位置していることから、「サンクゼールの丘」と親しみを込めて呼ばれており、毎年、近隣住民や観光客が多く訪れる場所になっております。この本社エリアは当社グループの創業の原点であり、創業者の想いを継いでいく場所、そして当社グループの経営理念を体現し、発信していく拠点として、当社グループの事業における重要な拠点であります。

 

・直営店

 当社グループが店舗設備投資を実施し、当社グループの従業員が店舗を運営する形態であります。なお、直営店舗の中には、店舗運営業務のみを外部に委託する「OFC(オーナー・フランチャイズ・チェーン)」という形態の店舗も含まれております。

 

・FC加盟店

 FC加盟企業と締結するパートナーシップ契約に基づき、店舗設備投資及び店舗スタッフの人件費を含む店舗運営に関わる全ての費用をFC加盟企業の負担により運営する形態であります。当社グループは、当社グループのブランド使用権及び本部サービス提供に対し、各FC加盟企業からロイヤリティ収入を収受しております。

 

自社小売店舗での販売の特徴①:多品種少量生産を可能とする商品供給体制

 当社グループの自社店舗では、商品点数が多い店舗では、1つの店舗で1,200点を超える商品を販売しております。このように多数の商品点数を実現するために、当社グループの自社工場及び仕入商品メーカーの各工場では、多品種少量生産を可能とする生産体制が構築されており、必要なときに必要な量をタイムリーに仕入れることができております。多品種少量生産によるきめ細かな供給体制は、他社の参入を困難とする当社グループの強みになっております。

このように、自社工場での製造機能を持っていることに加えて、全国に158店舗(2023年3月末時点)の自社小売店舗(FCを含む)を展開することにより、全国各地500社を超えるそれぞれの仕入先メーカーから大きなロットでの調達が可能となり、安価な価格での仕入が実現できております。その結果、価格戦略を含む店舗運営上の競争優位性の源泉となっております。

 

自社小売店舗での販売の特徴②:魅力的な売り場、世界観が統一された内装什器

 当社グループの自社店舗は、内装・什器などの店舗設計を全て自社の店舗設計チームが手掛けております。店舗設計を自社で行うことによって、店舗の内装や什器を含めてブランドを表現することが可能となります。そうして出来上がった店舗は、ブランドや商品と統一された内装什器を有する店舗となり、商品の魅力を最大限表現できる売り場を作り上げることができております。

 

自社小売店舗での販売の特徴③:教育された店舗スタッフと接客力

 当社グループでは、お客様の信頼を第一と考えており、お客様に気持ちよく商品を購入していただけるよう、日々、店舗スタッフの接客力向上に取り組んでおります。当社グループの本部では、各店舗の店長及び店舗スタッフの教育を専門業務とする教育チームが存在しており、直営店及びFC加盟店の店長に対して毎月開催している店長会で、当社グループの経営方針や店舗営業戦略について伝達するとともに、教育チームのスタッフが店舗運営に関する研修を実施しております。また、全国各地に点在する店長や店舗スタッフが遠隔で店舗運営に関する学習を行うことができるように、グルー株式会社が提供する営業配信プラットフォーム「knowbuild(ノービル)」を利用したロールプレイング動画による研修を実施し、店長及び店舗スタッフの接客力の向上を図っております。

 当社グループは、経営理念の中で「オンリーワンを目指し、お客様に感動を与えるサービスを提供する」という方針を掲げ、この考えが店舗スタッフ一人一人に浸透するよう、経営理念の教育を徹底して行っております。その結果、当社の店舗スタッフはお客様を喜ばせるために必要な対応をその場で判断し、実行に移すことができるように教育されており、それが店舗の世界観と相まって、お客様にとって居心地のよい空間を作り上げることにつながっております。

 

② EC

 当社グループは、「サンクゼール」、「久世福商店」及び「Kuze Fuku & Sons」ブランドの商品を自社公式ECサイト及び楽天市場サイトで販売するほか、全国各地の生産者及び食品メーカーと消費者を直接結び付けるオンラインマーケットプレイス「旅する久世福e商店」の運営を行っております。

 

・自社公式ECサイト及び楽天市場サイトでの販売

当社グループは、自社公式ECサイトに加え、楽天市場へ出店しております。ECでの販売商品の特徴はギフト商品であり、ECの売上高の50%以上がギフト商品で構成されております。お客様のギフト商品に対するニーズにお応えするために、2022年4月より当社公式ECサイト限定で、お客様が作成したメッセージカードを添付することができるサービスを開始いたしました。

なお、2021年4月より「久世福商店・サンクゼール公式アプリ」を開始しており、店舗とECで会員であるお客様の顧客データベースを共通管理することで、自社店舗とECが相互に連携した販売促進を行っております。具体的には、アプリ会員であるお客様に対して、自社店舗で実施する販促キャンペーン情報を定期配信し、リアル店舗への集客を高める取り組み等を行っております。

 

・旅する久世福e商店

2020年10月より、全国各地の生産者及び食品メーカーと消費者を直接結び付けるオンラインマーケットプレイス「旅する久世福e商店」の運営を行っております。生産者及び食品メーカーは、それぞれが当社が開発したECサイトシステムにより自社ECサイトを構築し、同じく当社が開発したECプラットフォーム「旅する久世福e商店」に出店する形でオンラインマーケットに参加します。一方、消費者は、「旅する久世福e商店」に出店している生産者及び食品メーカーのそれぞれのECサイトを訪問し、好みの商品をマーケットプレイス上で購入すると、当該生産者及び食品メーカーから直接消費者の元へ購入した商品が届きます。その際、当社は、生産者及び食品メーカーの売上金額に対して販売手数料を収受いたします。

「旅する久世福e商店」のビジネスモデルを図で示すと以下の通りです。

(旅する久世福e商店ビジネスモデル)

※画像省略しています。

 

 

③ ホールセール

 当社グループの商品を食品卸企業及び小売企業へ販売するとともに、他社のPB商品について当社がOEMを行っております。当社は、自社商品開発チーム、自社工場製造チーム、卸営業チームを1つの組織にまとめており、それぞれのチームが緊密に連携することで開発・製造・販売のサイクルを高速回転させ、顧客ニーズに即した商品を素早く対応できる体制を構築しております。

 

④ グローバル

米国オレゴン州のSt.Cousair, Inc.がグローバル展開のヘッドクオーターとしての機能を持ち、米国内での販売に加えて、アジアやオセアニア地域の顧客に対する営業活動を行っております。前述のとおり、St.Cousair, Inc.の工場ではオーガニック製品の製造認証を得ており、近年、米国で拡大が続くオーガニック食品市場を重要なターゲット市場と位置付け、事業を行っております。同工場では現在、ジャム、パスタソース、ブルーベリーコンポート、飲む酢、スムージー、ドリンクベース、等を製造しています。なお、一部の商品カテゴリーについては、USDAの認証を得たオーガニック商品を製造しています。加えて、米国西海岸エリアは、世界の食のトレンドの最先端の地域であり、St.Cousair, Inc.での米国内マーケティングを通じて、最先端の食に関する情報収集を行うことができます。ここで入手した情報を素早く当社グループ内で共有し、新たな商品開発につなげることができる体制となっております。

 

7.食のSPAを支える内製化システム

 前述の特徴を持ち、商品開発から販売までを一気通貫でコントロールする食のSPAを展開するためには、それを支える高度なシステムが必要になります。当社グループで使用する「在庫管理システム」、「自社POS連動型ERPシステム」、「旅する久世福e商店及び自社公式ECサイトシステム」、「会員アプリ及び会員顧客分析データシステム」及び「ECメッセージカードサービスシステム」等のシステムは、大部分が社内のエンジニアチームがゼロから作り上げたシステムであります。ゼロベースでシステムを開発することで事業運営に必要な機能を柔軟、かつ、効率的に設計することができ、商品開発から販売に至るプロセスのスムーズな連携及びコントロールを実現することができております。

なお、2023年3月末時点でシステムエンジニアとしての業務に従事する従業員は、11名在籍しております。

 

当社グループの事業系統図は以下の通りです。

 

※画像省略しています。
23/07/14

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態の状況

 (資産)

当連結会計年度の総資産は9,174,438千円となり、前連結会計年度末に比べ2,709,985千円増加いたしました。これは、2022年12月21日に東京証券取引所グロース市場へ上場したことに伴い、公募(ブックビルディング方式による募集)による新株式1,200,000株を発行したこと等の要因により現金及び預金が2,068,300千円増加したこと、売上高の増加により売掛金が319,524千円増加したこと等によるものであります。

 (負債)

当連結会計年度末の負債合計は4,948,426千円となり、前連結会計年度末に比べ160,244千円減少いたしました。これは、借入返済により短期借入金が109,846千円、1年内返済含む長期借入金が353,934千円、それぞれ減少したこと等によるものであります。

 (純資産)

当連結会計年度末の純資産合計は、前述の新株式の発行に伴い資本金が1,000,816千円、資本剰余金が1,000,787千円増加したことに加えて、親会社株主に帰属する当期純利益1,058,878千円の計上によって利益剰余金が791,478千円増加したこと等により、株主資本は前連結会計年度末に比べ2,793,082千円増加し、4,113,740千円となりました。また、為替相場が円安に推移した影響で、為替換算調整勘定は前連結会計年度末から87,392千円増加し、111,550千円となりました。以上の結果、純資産合計は、前連結会計年度末に比べ2,870,229千円増加し、4,226,011千円となり、自己資本比率は46.0%となりました。

 

② 経営成績の状況

当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症(以下、「コロナ」という。)による影響が落ち着き始めており、徐々に経済活動が正常化に向かう動きが見られました。しかし一方で、世界経済の混乱により、各国において資源価格や原料価格の高騰、物流の停滞等による物価高騰の影響が生じております。食品製造及び食品小売業界においては、資源価格や原料価格の高騰及び急激な円安に加えて、輸出入に係るサプライチェーンの混乱や人手不足による人件費の上昇等の影響が業界全体の収益性を押し下げる状況が続いています。そして、企業の費用負担上昇の影響は食品小売価格の値上げにつながっており、その傾向は留まる気配がありません。消費者の経済的負担の高まりによる消費低迷、ひいては日本全体の景気の悪化が懸念される状況にあり、依然として先行きが不透明な状況となっております。

 

当連結会計年度は、当社グループにおきましても、前述の資源価格や原料価格の高騰及び急激な円安等の影響を受けて、やむを得ず2022年9月、12月及び2023年3月に3度にわたって、商品の値上げを実施しており、一部の商品におきましては複数回の値上げを実施せざるを得ない状況も発生しました。心苦しい状況にはありますが、当社グループは、お客様にとって価格に見合う価値のある商品を提供することを第一と考え、引き続き、お客様のニーズに徹底的に耳を傾け、お客様が本当に欲しいと思っていただける商品の実現に取り組んでまいります。

 

サービス別の業績は、B to Cの販売チャネルである店舗(直営及びFC)につきましては、当社公式アプリ会員のデータから把握したお客様のニーズを商品開発・販売促進施策へとつなげていくことを継続的に実行し、既存店の収益性向上に努めてまいりました。当連結会計年度において、既存店客数は、コロナによる影響が落ち着き、旅行需要の回復など消費の動向が変化したことに加え、インフレの影響で食品支出を抑制しようとする動きが見られる中、軽微な減少にとどまりました。一方、既存店客単価につきましては、1購買当たり購入点数の増加、商品価格の値上げにより、前年同期を上回って推移した結果、既存店売上高は、前年同期を上回り、堅調に推移いたしました。なお、2022年12月の東京証券取引所グロース市場への上場や、上場前後に全国放送のテレビ番組で取り上げられたことが、お客様の当社ブランドに対する認知の向上につながりました。

 

 新規出店につきましては、毎期10店舗程度の新規出店を目標に店舗数の安定拡大に努めており、2022年10月に

ふかや花園プレミアム・アウトレット(埼玉県深谷市)へ「サンクゼール」業態と「久世福商店」業態を各1店

舗ずつ同時出店するなど、当連結会計年度においては、直営とFCの合計で11店舗を新規出店いたしました。

(注) 当社グループでは、開店後18か月以上経過している店舗を「既存店」として客単価及び客数を集計しております。

 

その他の販売チャネルのうち、ECにつきましては、引き続きお客様からギフト用途として当社商品に対する高い支持をいただいており、当社公式ECサイトでメッセージカード添付機能を導入するなど、ギフト用途のさらなる利便性向上に努めました。また、2022年9月に久世福商店ブランドの商品が全国ネットのテレビ番組で取り上げられたことをきっかけとして、お客様の久世福商店ブランドの認知が高まり、その後のECサイトへのアクセス数の伸びにつながったことで、ECの売上高は前年同期比で伸長いたしました。B to Bの販売チャネルであるホールセールにつきましては、大手小売チェーンとの取引が継続して拡大しており、前連結会計年度の途中で採用された商品のその後の売上も堅調に推移していることから、前年同期比で売上高が伸長いたしました。グローバルにつきましては、米国及び台湾における大手小売チェーンに対する販売が伸びたことに加え、米国での新規顧客の開拓が進捗し、商品価格帯がミドル~ハイエンドの食品スーパーを中心に、複数の商品を当社オリジナルの棚什器とともに納品し、当社ブランドの世界観を表現した中で商品を販売する施策(当社において「Kuze Fuku Pro」と呼称。)が奏功し、新規顧客の開拓と既存顧客との取引拡大につながりました。この結果、前年同期比で売上高が伸長いたしました。

 

なお、当社グループのみならず、当社グループを取り巻く社会全体が長期的に持続可能なものになるように、当社グループが定めるサステナビリティ重点項目に従い、サステナビリティ経営に注力しております。サステナビリティ経営を推進する取り組みとして、2022年4月より当社飯綱本社(長野県上水内郡飯綱町)の食品製造工場及び関連施設において使用する電力の一部を、中部電力ミライズ株式会社が提供するCO2フリー電気「Greenでんき」へ切り替えました。また、2022年6月より国立大学法人信州大学の井田秀行教授の協力を得て、当社信濃町センター(長野県上水内郡信濃町)エリアの森を保護及び活性化することを目的としたプロジェクトを開始いたしました。これらの取り組みも含め、今後も持続可能で豊かな社会の実現のために、積極的に取り組んでまいります。

 

以上の結果、当連結会計年度における連結業績は、売上高は17,865,650千円(前期比26.1%増)となりました。営業損益は、売上高が増加したことに伴い、1,599,789千円の営業利益(前期比21.5%増)となりました。経常損益は、為替差益19,634千円及び当社子会社St. Cousair, Inc.において「給与保護プログラム(Paycheck Protection Program)」により返済免除を受けたことによる債務免除益37,073千円などの営業外収益88,446千円を計上した一方で、支払利息35,736千円などの営業外費用67,623千円を計上したことにより、1,620,612千円の経常利益(前期比22.5%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、税金費用589,477千円を計上したことにより、1,058,878千円(前期比12.8%増)となりました。

出店政策に関しましては、当社グループでは、商圏人口、賃貸条件、ROIC等の指標を総合的に勘案し、新規出店を行っております。当連結会計年度におきましては、「サンクゼール」業態で1店舗、「久世福商店」業態で10店舗を新規出店いたしました。また、「久世福商店」業態の1店舗をFC加盟店から直営店へ、5店舗を直営店からFC加盟店へ、それぞれ運営主体の切り替えを行いました。その結果、当連結会計年度末における店舗は直営店51店舗、FC加盟店107店舗、計158店舗となりました。

 

 当連結会計年度における業態別の店舗数は以下のとおりです。運営主体の切り替えを行った店舗については、

直営店の減少(又は増加)とFC加盟店の増加(又は減少)に含めて集計しております。

業態名

区分

前連結会計

年度末

増加

減少

当連結会計年度末

サンクゼール

直営店

11

1

-

12

FC加盟店

4

-

-

4

15

1

-

16

久世福商店

直営店

42

2

5

39

FC加盟店

90

14

1

103

132

16

6

142

全業態合計

直営店

53

3

5

51

FC加盟店

94

14

1

107

147

17

6

158

 

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は2,068,300千円増加3,317,671千円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度におきましては、税金等調整前当期純利益が1,648,448千円となった一方で、売上債権が302,810千円増加したこと等により、営業活動のキャッシュ・フローは1,055,311千円の収入(前連結会計年度は983,799千円の収入)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出が239,679千円、投資有価証券の取得による支出が79,396千円となったこと等により、243,430千円の支出(前連結会計年度は510,081千円の支出)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、2022年12月21日に東京証券取引所グロース市場へ上場したことに伴い、公募(ブックビルディング方式による募集)による新株式1,200,000株を発行したこと等による株式の発行による収入が2,001,604千円となった一方で、長期借入金の返済による支出が339,299千円となったこと等により、1,235,225千円の収入(前連結会計年度は640,617千円の支出)となりました。

 

④  生産、受注及び販売の状況

a. 生産実績

セグメントの名称

第41期連結会計年度

(自 2022年4月1日 

 至 2023年3月31日)

前期比(%)

食品製造販売(千円)

4,601,907

177.8

合計(千円)

4,601,907

177.8

 

 

b. 受注実績

当社グループは、需要予測に基づく見込み生産を行っているため、該当事項はありません。

 

 

c. 販売実績

当社グループは、食品製造販売事業の単一セグメントであるため、販売チャネル別に記載しております。

販売チャネル

第41期連結会計年度

(自 2022年4月1日 

 至 2023年3月31日)

前期比(%)

食品製造販売

 

 

直営(千円)

6,547,112

119.9

FC(千円)

6,239,748

123.0

EC(千円)

1,095,268

120.5

ホールセール(千円)

3,060,147

129.7

グローバル(千円)

923,373

253.9

合計(千円)

17,865,650

126.1

 

 

    (注) 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合

 

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

Costco Wholesale Corporation

1,865,738

13.2

2,770,654

15.5

 

 

 

・直営

当連結会計年度における直営の既存店客単価は前述のとおり年度を通して堅調に推移いたしました。また、既存店客数に関しては、特に第4四半期において堅調に推移いたしました。新規出店に関しては、2022年10月にふかや花園プレミアム・アウトレットへ直営店2店舗を出店いたしました。一方、2022年4月に1店舗、2023年3月に4店舗をFCへ譲渡した結果、直営店は合計5店舗が減少しております。その結果、直営に係る売上高は6,547,112千円(前期比19.9%増)となりました。

・FC

当連結会計年度におけるFCの既存店客数及び客単価は、直営に記述したとおりの傾向で推移いたしました。また、年度を通じて、新たに9店舗のFC加盟店を出店したほか、2022年4月に1店舗、2023年3月に4店舗を直営からFCへ譲渡した結果、FC加盟店は合計で14店舗増加いたしました。その結果、FCに係る売上高は6,239,748千円(前期比23.0%増)となりました。

・EC

当連結会計年度におきましては、ギフト商品としての認知度が高まるとともに、テレビ番組への露出効果も奏功し、ECの利用者数が継続して増加したことで、売上は堅調に推移いたしました。その結果、ECに係る売上高は1,095,268千円(前期比20.5%増)となりました。

・ホールセール

当連結会計年度におきましては、大手小売チェーンとの取引が継続して拡大いたしました。前連結会計年度に採用された商品は、当連結会計年度においても売上は堅調に推移しており、売上増加に寄与しました。その結果、ホールセールに係る売上高は3,060,147千円(前期比29.7%増)となりました。

・グローバル

当連結会計年度におきましては、米国及び台湾において大手小売チェーンに対する販売が増加したことに加え、米国内での新規顧客開拓及び既存顧客との取引が堅調に拡大いたしました。以上の結果、グローバルに係る売上高は923,373千円(前期比153.9%増)となりました。国別の内訳は、米国顧客への売上高が624,688千円、台湾顧客への売上高が273,686千円、その他の地域への売上高が24,998千円であります。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。

 

① 経営成績等に関する認識及び分析・検討内容

 (売上高)

当連結会計年度の売上高は、17,865,650千円(前期比26.1%増)となりました。サービス別では、直営、FC、EC、ホールセール及びグローバルの全てのチャネルで売上高が前期を上回り、堅調に推移いたしました。上半期、特に第2四半期において、原材料・商品調達価格の上昇及び円安等の影響で利益率が悪化したことから、やむを得ず2022年9月、12月及び2023年3月に3度にわたって、商品の値上げを実施いたしました。3度の値上げを通して値上げを行った商品点数は600点以上となり、そのうち、一部の商品に関しては複数回の値上げを実施せざるを得ない状況も発生いたしました。その結果、第3四半期以降は利益率が改善するとともに、当該値上げは売上高の増加要因となっております。

 

 a. 直営及びFC

直営及びFCに関しては、直営が前期比19.9%増、FCが前期比23.0%増となり、いずれも20%前後の成長を遂げ、堅調に推移いたしました。

当社は、既存店売上高を継続的に向上するために、お客様のブランドロイヤルティの向上に取り組んでおります。具体的には、久世福商店・サンクゼール公式アプリ会員データの分析、Fan-Based Communityを通じたお客様へのアンケートやインタビュー、そしてSNSでの当社ブランドに関する投稿の収集・分析等を通じてお客様のニーズを把握し、商品開発や売場改善に反映することに注力しております。これらの取り組みを継続し、お客様にとって価値のある商品やサービスを提供することがお客様のブランドロイヤルティの向上、そして既存店売上高の継続的な成長につながると考えております。

当連結会計年度における直営及びFCの既存店売上高は、前期比11%増となりました。既存店(注)売上高を客数と客単価に分解すると、まず客数に関しては第3四半期までは、前年同期において新型コロナウイルス感染症の感染拡大への懸念から、海外旅行などの遠方への旅行よりもアウトレットモールなどの比較的アクセスしやすく郊外の商業施設への来客が多かったことから、当社店舗の客数も堅調に推移したことの反動により、伸び悩む傾向にありましたが、年末から第4四半期にかけて大きく回復いたしました。客単価に関しては、「1点当たり平均商品単価」と「平均購買点数」が過去より上昇傾向にあり、継続して堅調に伸びていたことに加え、第3四半期以降は商品価格の値上げも客単価の上昇要因となりました。

なお、当連結会計年度における新規出店は11店舗となり、こちらは計画とおりであります。

(注)当社グループでは、開店後18か月以上経過している店舗を「既存店」として客単価及び客数を集計しております。

 

 b. EC

ECに関しては、前期比20.5%増と直営やFCと同様に堅調に伸びております。2021年4月に「久世福商店・サンクゼール公式アプリ」をリリースし、店舗とECで会員であるお客様のデータベースを共通化したことにより、店舗とECで相乗効果を発揮する販売施策を展開できるようになったことに加え、ECで高い需要があるギフト商品に関するサービス充実化のために、2022年4月より、自社公式ECサイトでオリジナルメッセージカードを作成できるサービスを開始したことが奏功したと考えております。

 

 c. ホールセール

ホールセールに関しては、前期比29.7%と大きく成長いたしました。前連結会計年度の途中でホールセールの主要顧客である大手小売チェーンでの新規商品採用が決定し、それ以降、当連結会計年度を通じて高い売上高で推移いたしました。なお、当該大手小売チェーンに対しては、当連結会計年度においても新規商品採用が開始されており、こちらも売上高の増加要因となりました。

 

 d. グローバル

グローバルに関しては、当社グループの連結子会社及び工場がある米国市場、近年成長著しい台湾市場の成長が売上高の成長をけん引し、前期比153.9%増と大きく伸びております。米国では、米系小売チェーンや日系小売チェーンでの売上が伸び、前期比154.5%の増加となり、台湾では、米系小売チェーンで実施する販促イベントで商品が採用され、前期比186.0%の増加となりました。

 

 (売上原価、売上総利益)

当連結会計年度の売上原価は、売上高の増加に伴い、10,835,575千円(前期比29.2%増)となりました。

売上総利益率は、39.3%と前期比で1.5ポイント低下いたしましたが、その要因は、前述の原材料・商品調達価格の上昇及び円安等の影響による利益率の悪化に加え、売上総利益率が相対的に低いチャネル(FC、ホールセール及びグローバル)の売上高構成比が伸びたことによるものであります。売上総利益率の低下を当該要因別に分解すると、原材料・商品調達価格の上昇及び円安等の影響が1.0ポイントの低下、売上総利益率が相対的に低いチャネルの売上高構成比の伸びによる影響が0.5ポイントであります。

 

 (販売費及び一般管理費、営業利益)

当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、5,430,285千円(前期比21.6%増)となりました。その結果、当連結会計年度の営業利益は、1,599,789千円(前期比21.5%増)となり、売上高営業利益率は9.0%と前期比で0.3ポイント悪化いたしました。売上総利益率は前期比で1.5ポイント悪化いたしましたが、販売費及び一般管理費が相対的に小さいFCやホールセールの売上高が増加したことにより、売上高販管費率が30.4%と前期比で1.1ポイント低下、営業利益率の悪化は0.3ポイントの悪化にとどまりました。

 

 (営業外収益、営業外費用、経常利益)

当連結会計年度の営業外収益は、主に債務免除益37,073千円や為替差益19,634千円を計上したことにより、88,446千円(前期比65.5%増)となりました。また、当連結会計年度の営業外費用は、主に支払利息35,736千円や株式交付費27,477千円を計上したことにより、67,623千円(前期比42.7%増)となりました。

以上の結果、当連結会計年度の経常利益は1,620,612千円(前期比22.5%増)となりました。

 

 (特別利益、特別損失、法人税等、親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度の特別利益は、直営店5店舗をFC加盟店へ売却した際に発生した固定資産売却益104,711千円を計上いたしました。また、当連結会計年度の特別損失は、当社が保有する一部の投資有価証券の実質価額が下落したことにより投資有価証券評価損76,874千円を計上いたしました。

以上に加えて、法人税、住民税及び事業税603,239千円、法人税等調整額(貸方)13,762千円、非支配株主に帰属する当期純利益92千円をそれぞれ計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は1,058,878千円(前期比12.8%増)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載しております。

資本政策につきましては、経営基盤の強化及び積極的な事業展開のために内部留保を図り、財務体質の強化と事業拡大のための投資に充当するとともに、配当に関して、年間配当総額を前事業年度における当社単体決算上の当期純利益の30%を目安とした金額になるように実施してまいります。

また、当社における資金需要の主なものは、原材料費・労務費・製造経費・商品仕入高・販売費及び一般管理費等の事業に係る運転資金であります。当社は必要な資金については、主として自己資金及び金融機関からの借入金により対応してまいります。

資金の流動性に関しましては、2023年3月末時点で取引金融機関6行との間で合計1,450,000千円の当座貸越契約を締結しており、急な資金需要や不測の事態に備えております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者により、一定の会計基準の範囲内で、かつ合理的と考えられる見積りが行われている部分があり、資産・負債及び収益・費用の金額に反映されております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果と異なる場合があります。特に以下の事項は、経営者の会計上の見積りの判断が財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があると考えております。

 

(繰延税金資産の回収可能性)

当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得を見積り、回収可能性があると判断した将来減算一時差異等について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

 

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

④ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の進捗について

当社グループは、経営上の目標の達成状況を売上高営業利益率を重視して判断しております。

当連結会計年度は、直営、FC、EC、ホールセール及びグローバルの全てのチャネルで売上高が堅調に推移いたしましたが、原材料・商品調達価格の上昇及び円安等の影響を受けて、第2四半期において売上高営業利益率が悪化いたしました。第3四半期以降は、商品価格の値上げによって売上高営業利益率は改善傾向にあり、第4四半期会計期間における売上高影響利益率は、前期を上回っております。

その結果、通期の売上高営業利益率は9.0%となり、前期比で0.3ポイント低下する結果となりました。

 

⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に含めて記載しております。

 

⑥ 経営者の問題意識と今後の方針について

経営者の問題意識と今後の方針につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。