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最終更新:

E38523 

売上高

53.5億 円

前期

54.8億 円

前期比

97.6%

時価総額

51.4億 円

株価

561 (05/17)

発行済株式数

9,155,895

EPS(実績)

24.28 円

PER(実績)

23.10 倍

平均給与

634.7万 円

平均年齢(勤続年数)

41.9歳(12.9年)

従業員数

203人(連結:322人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

 当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社及び連結子会社2社、非連結子会社1社により構成されており、精密加工部品事業の単一セグメントを営んでおります。

 当社グループが製造販売する製品群は、「ヒートシンク(*)製品」、「ガラス製品」及び「その他」に区分され、それぞれ以下のとおりとなります。なお、(*)を付している用語については、章末に「用語解説」を設け、説明しております。

・ヒートシンク製品

 当社グループが扱う「ヒートシンク製品」は、電子部品が機能する際に発生する熱を吸収し放熱して、性能低下や故障を防ぐことを目的とした構成部品であり、半導体レーザー(*)向け、パワー半導体(*)向け、MPU(*)向け等の高機能ヒートシンク製品を提供しております。

・ガラス製品

 当社グループが扱う「ガラス製品」は、光透過性、電気的絶縁性、気密性、耐薬品性などの特徴を持つ電子部品用ガラスに、微細な形状加工や金属回路形成加工を行い、電子デバイスと組み合わせることで電子デバイスの機能性を上げる構成部品で、半導体センサー(*)などの電子デバイスの小型化、高機能化を可能とするための付加価値を高めた「ガラス製品」が求められており、各種センサー向け、モバイル機器向け、バイオ・医療向け等の精密ガラス製品を提供しております。

・その他

 各種金属材料、シリコン(Si)材料、窒化アルミニウム(AlN)や酸化アルミニウム(Al)などのセラミック材料の加工製品を提供しております。また、ガラスやセラミック加工用のダイヤモンドツールも提供しております。

製品群ごとの主要製品は下記の図に記載の内容となります。

 

※画像省略しています。

 

 

 当社グループは、産業機器市場、自動車市場、光・無線通信市場、ライフサイエンス市場、航空宇宙市場、環境エネルギー市場向けのヒートシンク製品、ガラス製品及びその他の精密加工部品の製造販売を行っております。製造拠点は、当社の広島工場を中心に、中国子会社であるTECNISCO (SuZhou) CO.,Ltd.の蘇州工場及びシンガポール子会社であるTECNISCO Advanced Materials Pte. Ltd.のシンガポール工場を含めたグループ製造体制を構築しております。

 当社グループが製造販売する製品は、顧客製品の中の構成部品として組み込まれるものであり、基本的には顧客ごとの要求仕様を受託し、試作から量産までにおいて製品化していく受注生産となります。

 「切る」「削る」「磨く」「メタライズ(非金属の表面への金属膜化)」「接合」の加工技術を組み合わせる「クロスエッジ®Technology」を、最先端の開発や生産に活かし、顧客の要望を叶え製品化させる技術力及び実現力が、当社の強みとなります。

 一般的な専業メーカーの場合、例えば「切る」を専業とするメーカーであれば、その後に「磨く」工程や「メタライズ」といった加工工程が必要である場合、それぞれを専業とするメーカーに外注することで最終的に製品化することになります。一方で、当社グループはこれらの複数加工技術を自ら組み合わせて製品を完成させます。これにより、顧客へ、以下の「クロスエッジ®Technology」の特長におけるメリットを提供することが可能と考えております。

 

 

※画像省略しています。

 

 

 当社グループは、もとは株式会社ディスコの研削切断加工技術を活かした受託加工を提供してまいりました。そのような中、「クロスエッジ®Technology」を展開する契機となったのは、2000年頃の海底ケーブルなどによる長距離光通信網敷設急増での光通信バブルであります。顧客からのニーズも踏まえ、切断だけでない様々な加工の必要性を模索していた時期でもあり、そこで創出した利益をもとに、メタライズ技術である薄膜蒸着設備を導入しました。導入した設備を当社事業に活用していくための技術開発を地道に続け、新たな加工技術を身に付けることができました。その後、顧客からのニーズに応えていくための技術開発を繰り返し、一つ一つ新しい技術をものにしていきました。その過程で、「切る」「削る」「磨く」等それぞれの要素技術において、模倣が難しいコア技術も習得してまいりました。これらコア技術を中心に複数工程を組み合わせることにより、独創的な加工技術を生み出し製品化へとつなげていき、専業メーカーだけでは対応できない技術力を蓄積してまいりました。これにより、当社の強みである「クロスエッジ®Technology」が確立されました。さらに、「クロスエッジ®Technology」の継続的な進化のために要素技術そのものを増やすとともに、それぞれの要素技術のレベルアップを図り、その中でコアとなる技術を増やし進化へとつなげることが重要であり、そのための技術開発に注力しております。

 

※画像省略しています。

 

 当社グループは、サービスの付加価値をより高めていくという観点から、従来、高機能ヒートシンクの開発に注力しております。

 一般的なヒートシンクの材料としては銅(Cu)やアルミニウム(Al)がありますが、これら材料の素材は、熱を吸収するための熱伝導(熱の伝わりやすさ)は高い一方で、熱膨張(熱による物質の伸縮)が大きい面があります。高い出力のレーザーを出す半導体素子は非常に高い発熱となるため、CuやAlなどを材料としたヒートシンクでは素子とヒートシンクの伸縮の差により損傷してしまいます。しかし、当社の得意領域である高出力レーザー用のヒートシンクは、高い熱伝導を持つ上で、素子の熱膨張に近い素材である窒化アルミニウム(AlN)とCuを複合構造としたCu/AlN/Cu(*)や、銅タングステン(CuW)を主な材料とした高機能ヒートシンクとして製品化しております。これらの材料は、CuやAlに比較して複数素材からなる複合材であるため、切断、切削やめっきなど加工が難しくなる側面がありますが、顧客からの様々な仕様要求に応えるよう製品化に注力しております。

※画像省略しています。

 

 さらに、高出力レーザー用途の機器は、年々高性能化、高出力化が進み、より高機能なヒートシンクが求められており、当社グループにおいては、それらのニーズに対応する手段の一つとして、非常に高い熱伝導を持つ銀とダイヤモンドの複合材料として、2016年にシルバーダイヤの製造に関する特許を所有する海外企業と当該特許の使用許諾契約を締結し、製造を当社のシンガポール子会社であるTECNISCO Advanced Materials Pte. Ltd.にて行っております。また、同社(子会社)では製造したシルバーダイヤを素材とした高機能ヒートシンク製品の開発及び製造を行っております。

 シルバーダイヤは素材にダイヤモンドを包有するため、加工が難しい側面を有しておりますが、当社が持つ「クロスエッジ®Technology」を駆使し、次世代高出力レーザー用サブマウントや次世代の無線通信規格である5G・6G通信(*)の通信デバイス用のヒートシンク等、様々な用途に適したシルバーダイヤ製ヒートシンク製品の開発を進めております。

 このように、当社グループでは、これまでの受託加工を中心とした事業展開に加え、自社製造の素材をもとにした自社開発製品を新たな事業展開の柱とすべく、当社が提供するサービス等の付加価値をさらに高めていくこととしております。

※画像省略しています。

 

 当社グループの加工技術はガラス製品に活かされております。ガラス製品の用途市場は幅広く、自動車における車載エレクトロニクス市場での半導体センサーをはじめ、自動運転技術でのLiDARセンサー(*)、産業機器における制御装置市場での高周波(RF)スイッチ(*)や画像センサー、また、医療機器における分析装置市場での内視鏡やDNA/血液分析などの用途に向けた製品として、ガラス貫通配線基板、立体配線ガラス、マイクロ流路ガラス、キャップガラスなどのガラス製品を提供しております。

※画像省略しています。

 

 当社の加工技術はヒートシンク製品、ガラス製品だけでなく、その他として各種金属、シリコン、セラミックなどの材料などの微細加工にも活かされ、切断、切削の加工を受託しております。また、独自の切断・切削技術への創意工夫の蓄積で得たガラス・セラミック加工用ダイヤモンドツールも製造販売しております。

 当社グループの海外販売は、連結売上高の71.8%を占めております。これは、地域別のニーズに即した製品の提供による事業を展開しており、主に中国における高出力の半導体レーザー向けヒートシンクや米国における車載向けガラス製品の販売になります。

 

[事業系統図]

 以上述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。※画像省略しています。

 

 

 

 

 

 

<用語解説>

ヒートシンク

電子部品や電子機器などが発生する熱を吸収し放熱することで、性能低下や故障を防ぐことを目的とした部品で「放熱板」とも呼ばれます。

半導体レーザー

電圧を与えるとレーザーを出す半導体素子を利用したもので、レーザーダイオード(Laser diode)やLaser diodeを略してLDとも呼ばれます。小型で低電圧、低電流でも高効率のレーザーを出すことができ、年々、半導体レーザーの出力は向上しており、長距離光通信用のレーザー、外科手術などの医療用レーザーから、溶接機器などの溶接用レーザーまで、用途が広がり性能も向上してきております。

パワー半導体

電流を直流と交流に変換したり、電圧や周波数を変えて電気を効率的に使うようにするため半導体で、高い電圧や大きな電流を扱うため高熱が発生します。

MPU

Micro Processing Unit(マイクロプロセッサーユニット)の略で、デジタルコンピューターが演算処理を行う演算回路(プロセッサ)をシリコンなどの半導体上に形成し、マイクロチップに実装したものです。

半導体センサー

半導体の物性によって、温度、光、圧力などが変化した際に、半導体の電気抵抗などの変化を検知してセンサーとするもので、家電、自動車、産業機器、など幅広く使用されております。センサーの種類で代表的な例では温度センサー、光センサー、圧力センサー、加速度センサー、ジャイロセンサーがあり、特に自動車はこのようなセンサーが数多く搭載されており、温度センサーや圧力センサーはエンジン制御やブレーキなどの油圧の制御、加速度センサーやジャイロセンサーはエアバッグや横滑り防止装置の制御、また光センサーはライトや最近では駐車支援システムにも使用されております。

Cu/AlN/Cu

発熱する高出力レーザーの半導体素子の熱膨張に近く、熱伝導も高い窒化アルミニウム(AlN)の両面に、非常に高い熱伝導を持つCuが形成されている構造のヒートシンク材。Cuは熱膨張が大きいため、その熱膨張を緩和するためAlNがCuとCu間にサンドイッチされる構造としております。

5G・6G通信

2020年に主流である携帯電話などの移動通信システムの通信規格は4G(GはGeneration<=世代>の頭文字をとったもので4th Generation<=第4世代>)と呼ばれ、2020年以降から現在は次世代規格である5Gの通信規格へ置き換わってきており、4G通信の20倍の高速化、高信頼性および低遅延の通信を実現するものとなり、さらに高速化し進化した6G通信が2030年を目途に導入されることが予想されております。次世代通信を実現するためには、高い出力、高い周波数に対応できる通信機器が必要とされます。

LiDARセンサー

「light detection and ranging(レーザー画像検出と測距)」の頭文字をとったLiDAR(ライダー)センサーは、物体との距離や形状を測るためのセンサーで、レーザー光を使うことで、電波を使って測定するレーダー方式に比べ、高精度に距離、形状や位置関係などを立体的に検知できる特徴があり、自動車の自動運転技術への広がりが進んでおります。

高周波(RF)スイッチ

携帯電話や無線LAN、近年の衛星通信などの電波通信は高い周波数が使用され、その通信経路を切り換えるための電子回路部品であり、小型化、高機能化のため微細な回路内にスイッチの機能を持たせるようになってきております。

23/09/29

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

 世界経済は、新型コロナウイルス感染症が収束段階に入り経済活動の正常化への期待の高まりが見られますが、一方、ウクライナ情勢の長期化やエネルギー価格高騰、インフレリスク対応のための各国の政策金利引き上げの影響等、依然として先行き不透明な状況にあります。

 我が国経済についても、インバウンド需要の回復によりコロナ以前の水準への経済復興が期待されていますが、各国の金利や物価動向を含めた地政学リスクが与える影響等、今後の見通しが難しいところです。

 当社グループ製品の主要な用途市場である産業機器市場や自動車市場、光・無線通信市場、ライフサイエンス市場等は今後も成長が見込まれておりますが、半導体の需要逼迫による顧客の在庫調整やサプライチェーンの一時的な混乱が見られています。

 このような経営環境のもと、当社グループの主力製品である産業機器市場の高出力半導体レーザー装置向けの高性能ヒートシンク製品は、当期上期において、中国主要顧客においてゼロコロナ政策と電力不足の影響で取引先工場の稼働が制限され、各社の生産調整の影響による当社グループ製品の引取時期を後倒しする動きが相次いだほか、市場取引価格の低下による影響を受けました。2023年1月以降は、中国主要顧客の生産調整も一巡して後倒しとなっていたヒートシンク製品の出荷ベースは回復し、これに新規取引先からの受注増加の動きが加わり、市場取引価格の底打ちの傾向もあることから、ヒートシンク製品市場の好転の動きが見えました。一方ガラス製品は、海外のライフサイエンス市場向けを中心に検査用の消耗部品の需要が増加しており、売上高が増加しました。

 生産状況については、当期上期において中国取引先工場の生産調整の影響を受け当社広島工場の稼働率が一時的に低下したことや、今後の事業拡大に向けた人員増加や生産体制増強のための設備投資の影響等により、利益率は前年より減少となりました。

 以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高5,347,037千円(前年同期比2.4%減)、営業利益273,140千円(同55.9%減)、経常利益329,351千円(同62.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益222,341千円(同72.3%減)となりました。

 

② 財政状態の状況

(資産)

 当連結会計年度末における資産は、前連結会計年度末に比べて130,608千円増加し、8,271,390千円となりました。これは主に、原材料及び貯蔵品が97,409千円増加、建設仮勘定が155,814千円の増加であった一方で、商品及び製品が150,504千円減少したことによるものであります。

 

(負債)

 当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末に比べて90,388千円減少し、4,531,845千円となりました。これは主に、長期借入金が1,193,242千円の増加であった一方で、支払手形及び買掛金が240,636千円減少、短期借入金が682,146千円減少、未払法人税等が187,899千円減少したことによるものであります。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べて220,997千円増加し、3,739,544千円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が増加したことによるものであります。この結果、自己資本比率は1.99ポイント増加して45.21%となりました。

 

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、税金等調整前当期純利益、減価償却費の計上等の要因があったものの、仕入債務の減少、有形固定資産の取得による支出等により、前連結会計年度末に比べ106,360千円減少し、当連結会計年度末には729,487千円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において、営業活動の結果得られた資金は361,148千円(前年同期は1,042,504千円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益294,935千円、減価償却費541,118千円、仕入債務の減少422,380千円によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において、投資活動の結果使用した資金は792,779千円(前年同期は634,366千円の支出)となりました。これは主に、定期預金の預入による支出115,992千円、有形固定資産の取得による支出654,672千円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において、財務活動の結果得られた資金は416,066千円(前年同期は247,852千円の支出)となりました。これは主に、短期借入金の純減少額972,193千円、長期借入れによる収入2,025,000千円、長期借入金の返済による支出609,777千円によるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社グループは精密加工部品事業の単一セグメントであり、当連結会計年度の生産実績は次のとおりであります。

 

当連結会計年度

(自 2022年7月1日

至 2023年6月30日)

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

精密加工部品事業

6,788,236

100.6

合計

6,788,236

100.6

 (注)金額は製造原価によっております。

 

b.受注実績

 当社グループは精密加工部品事業の単一セグメントであり、当連結会計年度の受注実績は次のとおりであります。

 

当連結会計年度

(自 2022年7月1日

至 2023年6月30日)

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

精密加工部品事業

3,453,039

52.3

1,662,388

47.0

合計

3,453,039

52.3

1,662,388

47.0

 

c.販売実績

 当社グループは精密加工部品事業の単一セグメントであり、当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。

 

当連結会計年度

(自 2022年7月1日

至 2023年6月30日)

セグメントの名称

金額(千円)

前年同期比(%)

精密加工部品事業

5,347,037

97.6

合計

5,347,037

97.6

 (注) 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2021年7月1日

至 2022年6月30日)

当連結会計年度

(自 2022年7月1日

至 2023年6月30日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

Wuhan Raycus Fiber Laser Technologies Co., Ltd.

1,108,714

20.2

1,364,829

25.5

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

① 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(売上高)

 ヒートシンク製品群については、産業機器市場向け高性能ヒートシンクが中国向け並びに欧州向けの需要は引続き旺盛ながら、当連結会計年度上期における中国主要取引先からの注文品の引取時期の後倒し要請や市場取引価格の低下の影響があり、売上高は3,054,433千円(前期比7.2%減)となりました。ガラス製品群については、国内市場ではライフサイエンス市場用並びに自動車市場用の製品の売上が大幅に増加し、米国市場や中国市場向けも増加したことから、売上高は1,438,272千円(前期比18.0%増)となりました。全体としては、売上高は5,347,037千円(前期比2.4%減)となりました。

 

(売上総利益)

 売上原価については、広島工場において、製造効率の向上によるコストダウン活動は継続しているものの、製品構成の変化により金などの貴金属を使用する工程が増加したことや水道光熱費の高騰などの影響等から、売上原価は3,397,135千円(前期比3.7%増)となり、売上総利益は1,949,902千円(前期比11.6%減)、売上総利益率は3.8ポイント減少しました。

 

(営業利益)

 販売費及び一般管理費については、コロナ感染症による行動制限解除により海外出張費が増加したことや、戦略製品であるシルバーダイヤ製品の販売促進用サンプル他広告宣伝費の増加などにより1,676,762千円(前期比5.7%増)となり、営業利益は273,140千円(前期比55.9%減)となりました。

 

(経常利益)

 営業外損益については、主に為替差益の計上により56,211千円の収益(純額)になったことで、経常利益は329,351千円(前期比62.9%減)となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 特別損益については、TECNISCO(SuZhou)CO.,Ltd.の工場移転方針に伴い今後の使用が見込まれなくなった固定資産に関連する減損損失33,885千円を計上しました。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は222,341千円(前期比72.3%減)となりました。

 当社グループは、精密加工部品事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 財政状態の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に記載のとおりであります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析

 キャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

③ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料等の仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資によるものであります。

 当社グループは、運転資金、設備投資資金についてはまず営業キャッシュ・フローで獲得した資金を投入し、不足分について必要な資金を銀行等の金融機関から借入により調達しております。これらの自己資金は、機動的な事業経営、柔軟な研究開発活動を目的として、会社の対応力向上のために活用しており、設備投資の計画については、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりであります。

 なお、事業拡大に向けて急激な資金需要が生じる場合に備え、一部の金融機関と当座貸越契約を締結しております。

 

④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果はこれらの見積り及び仮定と異なる場合があります。

 連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 連結財務諸表で認識する金額に重要な影響を与える可能性のある見積り及び仮定は、以下のとおりであります。

 

(固定資産の減損)

 減損損失の認識において使用される将来キャッシュ・フロー、割引率等の前提条件については、一定の仮定に基づき設定しております。これらの仮定は、経営者が最善と判断した見積りに基づいて決定しておりますが、当初見込んでいた収益が得られなかった場合や将来キャッシュ・フロー等の前提条件に変更が生じた場合には、固定資産の減損を行い、翌連結会計年度以降の連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。

 

(繰延税金資産の回収可能性)

 繰延税金資産は、将来の課税所得の見積額及び実行可能なタックス・プランニング等を踏まえ、経営者が最善と判断した見積りに基づいて金額を算定しておりますが、将来の課税所得の見積額は業績等により変動するため、実際の課税所得の金額が見積りと異なった場合やタックス・プランニング等に変更が生じた場合には、翌連結会計年度以降の連結財務諸表に重要な影響を与える可能性があります。

 

 

⑤ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の進捗について

 当社グループでは、売上総利益率の向上と経常利益の拡大を経営において重視しています。売上高は、主に産業機器市場の高出力半導体レーザー装置向けの高性能ヒートシンク製品は、当期上期において中国主要顧客における生産調整の影響を受けたものの、2023年1月以降は生産調整も一巡して後倒しとなっていたヒートシンク製品の出荷ベースは回復しました。生産状況については、中国主要顧客の生産調整の影響を受け当社広島工場の稼働率が一時的に低下したことや、今後の事業拡大に向けた人員増加や生産設備増強等による結果、第55期連結会計年度の数値については、次のとおりとなっております。

 

 

第54期連結会計年度

第55期連結会計年度

売上総利益率

40.3%

36.5%

経常利益

887,583千円

329,351千円

 

⑥ 経営者の問題意識と今後の方針について

 経営者の問題認識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。