E37504
前期
71.4億 円
前期比
148.2%
株価
4,100 (03/31)
発行済株式数
5,731,200
EPS(実績)
30.08 円
PER(実績)
136.28 倍
平均年齢(勤続年数)
40.0歳(1.9年)
従業員数
38人(連結:62人)
当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社及び連結子会社(クリアルパートナーズ株式会社、合同会社RLSプロジェクト、合同会社RLSプロパティ)の計4社で構成されており、「不動産投資を変え、社会を変える」というグループミッションを実現すべく、DX(注1)を活用した資産運用プラットフォーム事業を展開しております。当社グループが展開する資産運用プラットフォーム事業は不動産への投資、資金調達、物件仕入れ、運用、売却といった不動産投資運用にかかる一連のフローのDXを推進しており、ITの活用により効率的に運営される新しい資産運用プラットフォームです。
世界の運用資産残高は増え続け、また国内でも老後の年金問題に挙げられるように、資産運用の重要性やニーズは機関・個人投資家問わず増しています。あらゆる資産運用の手段の中でも、不動産投資は他の上場金融商品と比較して、金融市場の影響を受けにくく、価値が相対的に安定した、資産運用に欠かせない重要な商品のひとつにもかかわらず、不動産投資への機会は一部の富裕層や機関投資家に限定され、また管理手法や業務プロセスには大きな変革の余地がある状況です。従来イノベーションが進んでいなかった不動産投資の業界においても、大きなIT化の進む局面に来ており、当社ではITプラットフォームの有無が資産運用業界における競争優位性を持ち始める時代に入っていると考えています。海外では不動産投資のDX化が進展を続け、例えばグローバルの不動産投資クラウドファンディング(注2)のマーケットは約2兆3,733億円(2020年)から約42兆1,221億円(2026年) (注3)へ成長するという予測もされております。
当社では、従前より機関投資家等のプロ向けに不動産投資運用サービスを展開しておりますが、当社の有するプロ向け資産運用ノウハウにDXを組み合わせ、一般個人には手の届きにくい非公開市場である不動産投資市場へすべての個人がアクセスできるようなプラットフォームを構築しています。不動産ファンドオンラインマーケット「CREAL」は従来の人的リソースに依拠していた資産運用プロセスのDXを推し進め、多くの人が手軽に楽しく安心してオンラインで不動産投資による効率的な資産運用を始められるサービスを創造し、金融包摂(注4)の実現を企図するサービスです。すなわち「CREAL」は、いままで大型不動産投資への参加機会を持てなかった多くの個人へ不動産投資の門戸を開放することにより、不動産投資の民主化を実現します。また、「CREAL」では個人投資家の多くの共感を呼び込むことが可能であるため、従来投資が進んでいなかったESG不動産(注5)及び地方創生領域を含めた新しい不動産投資対象領域への投資の促進を図り、経済的リターンと社会的リターン(注6)の両立を図ります。
このように当社は、ITと資産運用のノウハウの活用により、だれもが不動産投資による安定的な資産運用を開始できる資産運用プラットフォーム事業を提供することで、資産運用の民主化という社会課題を解決します。また同時に、日本に滞留する約1,000兆円(注7)の現預金を資産運用へ振り向ける転機となるサービスとなることを目指しています。
(注)1. DXとはDigital Transformationの略で、進化したデジタル技術を浸透させることで人々の生活をより良いものへと変革していくことを指します。
2.クラウドファンディングとは群衆(クラウド)と資金調達(ファンディング )を組み合わせた造語で、インターネットを通じて特定のプロジェクト等に共感した人より資金を募る仕組みです。
3.Global Real Estate Crowdfunding Market, 2016 – 2026、Facts and Factorsより。USD/JPY111.91(日本銀行金融市場局発表 2021年9月30日中心相場)で換算。
4. 「金融包摂(Financial Inclusion)」とは、世界銀行による定義では「すべての人々が、経済活動のチャンスを捉えるため、また経済的に不安定な状況を軽減するために必要とされる金融サービスにアクセスでき、またそれを利用できる状況」のことを指しており、経済活動に必要な金融サービスをすべての人々が利用できるようにする取り組みです。
5.「ESG不動産」は、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)要素も考慮した投資対象となる不動産を指します。
6.「社会的リターン」とは、社会的な成果をもたらす事業に資金を投入することにより得られる、社会の状況が改善したという成果・事実を指します。
7. 日本銀行が2021年12月20日発表した2021年第3四半期の資金循環統計(速報)によると、2021年9月末時点の家計の金融資産は前年同月比5.7%増の1,999兆円、うち現預金が3.7%増の1,072兆円となっています。
(1) 事業の具体的内容
当社グループでは資産運用プラットフォーム事業を有機的に一体となり運営しているため単一セグメントでありますが、①「CREAL」②「CREAL Partners」③「CREAL Pro」の3つのサービスにより構成されております。①当社が展開する、1万円から資産運用が可能なサービスである「CREAL」では、保育園などESG不動産からレジデンスに至るまで多様な不動産へ投資ができる不動産ファンドオンラインマーケットです。また、②連結子会社であるクリアルパートナーズ株式会社が展開する、1,000万円からの資産運用が可能な「CREAL Partners」は、ITを活用し効率的に実物不動産(主に首都圏の中古区分レジデンス)に投資ができる個人投資家向けの資産運用サービスです。そして、③当社が展開する、1億円からの資産運用となる「CREAL Pro」は、機関投資家・超富裕層(注1)向けの大型不動産への投資を通じた資産運用サービスです。なかでも、「CREAL」及び「CREAL Partners」はDXを大きく活用したサービスであり、当社の主軸成長事業です。
(注)1. 「超富裕層」とは、純金融資産(預貯金、株式、投資信託、一時払い生命保険など、世帯として保有する金融資産の合計額から負債を差し引いた金額)について5億円以上の保有額を誇る世帯を指します。
(2) 事業の特徴
① 「CREAL」
「CREAL」は、クラウドファンディングを活用した不動産ファンドオンラインマーケットです。資産運用において重要な位置づけを占めるにも拘わらず、投資に必要な多額の資金と手間、専門的な知識が障害となり個人にとっては遠い存在であった不動産投資への門戸を広く個人に開放するサービスです。
当社が予め設定した分配金リターンを目的として投資家が一口1万円からさまざまな不動産へ投資できるサービスであり、投資家登録から投資実行に至るまですべてオンラインで不動産投資を完結することができる仕組みです。また、投資後の物件の管理から運用、そして売却に至る全運用プロセスについて不動産投資ノウハウを有する当社に一任することができ、投資家は手間や高度な知識を要することなく不動産投資運用が可能となります。
「CREAL」の業務の流れは以下の通りであります。
a. 当社自社開発のAIを活用した物件仕入れ及び査定機能を持つ「CREAL buyer」や物件供給の業務提携契約締結先の会社、ホテルや保育園の運営者、仲介会社等から収集した投資物件情報からスクリーニングを行い投資適格物件の選定を行います。
b. 当社が選定した投資適格物件についてファンドの組成を行い、不動産ファンドオンラインマーケット「CREAL」上に公開します。
c. 投資家は掲載されたファンド情報及びファンドに応じて設定された利回りを考慮のうえ投資金額を決定します。
d. ファンドが成立した場合には、当社が「CREAL」にて募集完了した投資金額を用いて対象不動産を売主より購入します。その際、当社はファンド組成費用として一定の手数料(アップフロント・フィー)を受領します。
e. ファンド運用期間中に不動産を賃貸することにより賃借人から得られる賃料を基にして、投資家へ配当を行います。当社はファンド運用時に管理手数料(アセットマネジメント・フィー)を受領します。
f. ファンド運用終了時に不動産を売却することにより得られた売却代金を基にして、投資家へ最終配当及び元本償還を行います。ファンド運用終了時においては不動産売却手数料(エグジット・フィー)を受領し、さらに当社が物件を売却して利益が生じた場合には、当社は当該売却利益または当該売却利益の一部(プロフィットシェア)を受領します。
また、「CREAL」では、これまでの不動産投資において課題となっていた「情報の非対称性」(注1)を解消すべく、楽しくも分かりやすい徹底した情報開示を実践しております。以下は「CREAL」における情報開示項目の例となります。
・募集金額、想定利回り(インカムゲイン、キャピタルゲイン内訳)、想定運用期間、想定初回配当日
・投資対象の不動産や運営者へのインタビューについてのとりまとめ動画
・プロジェクトについての投資リスクの考え方
・物件が所在する地図と建物図面
・不動産価格調査報告書やエンジニアリングレポート等の不動産鑑定を含めた専門家の第三者レポート
・物件の運営者の概要
・投資対象が所在するエリアや市場のマクロマーケットの概況
・投資リターンの参考となる類似物件についての賃貸事例や売却事例
・ファンドにおける調達資金とその使途
・投資リターンのシミュレーション
・投資後の毎月のプロジェクト進捗報告をまとめたモニタリングレポート
「CREAL」はサービス開始以来、社会的に資金を必要としているが十分に流れていないESG不動産領域へ注力してまいりました。今までは投資規模が小さいため世の中に必要な不動産であるのにもかかわらず機関投資家からの投資がされにくかった保育園、学校、地方創生関連のアセットに対して、クラウドファンディングにより個人投資家からの投資資金を送る導管としての役割を果たし、社会性と投資商品性の両立を図ることを目指しております。「CREAL」における初めてのESG不動産への投資は2019年4月、東京都豊島区駒込に所在する保育園となります。以後、「CREAL」におけるこれまでの投資金額に占めるESG不動産の割合は39%(注2)となっております。
(注)1.不動産会社である売主と一般個人である買主の間で保有する情報に格差があり、買主にとって不利な条件で不動産投資をせざる得ない状況のことを指します。
(注)2.サービスローンチから2021年12月末日時点における「CREAL」にて投資した全不動産の投資金額のうちESG不動産が占める金額の割合。
② 「CREAL Partners」
「CREAL Partners」は、個人投資家向けに、実物不動産(主に首都圏の中古区分レジデンス)への投資を通じた資産運用サービスを提供しております。個人投資家向けに販売する投資用不動産を連結子会社であるクリアルパートナーズ株式会社が仕入れ、個人投資家に販売することにより売却利益を獲得します。また、「CREAL Partners」では不動産販売後、投資家にとって必要な各種管理業務サービスも提供し、集金代行手数料や契約事務手数料等の賃貸管理収入を継続して受領します。
「CREAL Partners」では、不動産投資に関わる一連のプロセス各所でのDX化を通じ、業務改善やコスト削減、また顧客にとっての利便性が高まるような取り組みをしております。
・投資案件の物件評価・仕入システム「CREAL buyer」
物件仕入れを効率的に行うために自社開発をしたAIを用いた物件評価・仕入システム「CREAL buyer」は、膨大なオンライン上の中古区分レジデンス不動産情報の中から、当社グループが仕入れるべき物件を自動的に収集・提案します。「CREAL buyer」のAIは、不動産に関わる膨大な量のデータを常時学習しており、ロケーションやエリア、面積・築年数・スペックに応じた適正な賃料や価格査定を可能としており、当社グループの購入する物件についての適切な価格査定を行っている他、割安な価格や賃料が設定されているハイパフォーマンスな物件をインターネット上で常に選別し、そのような物件がある際には仕入れの提案を担当者に通知します。「CREAL buyer」の機能のうち賃料査定機能の導入は2020年8月からとなりますが、インターネット上での自動仕入れ機能の導入は2021年9月となります。「CREAL buyer」の利用により、AIによる適正賃料・適正価格の提示を通じた効率の良い仕入れ業務を実現、投資商品の安定的な供給をサポートしています。
・不動産投資運用のDXを推進する「CREAL concierge」
物件の収支や契約書がオンラインで一元管理できる「CREAL concierge」の利用により、いままで書面や対面でのやりとりに大きく依存していた不動産投資運用プロセスのDXを推進します。クリアルパートナーズ株式会社の顧客である不動産オーナーは、物件の賃貸状況や収支状況がオンラインでいつでも手軽に確認可能となります。また、顧客である不動産オーナーに対して最新の販売中の不動産を表示することも可能とすることにより、顧客の更なるロイヤルティ育成をし、物件の買い増しを促進します。
・物件管理業務効率化ツール「CREAL manager」
物件の賃貸管理を一元化する「CREAL manager」の利用により、区分中古レジデンス不動産における賃貸管理業務を効率的に運用できる仕組みを構築しています。書面やエクセルなどで分散管理していた情報が一元化され、契約管理及び入出金管理を効率的に管理することはもちろん、オーナー向け明細の作成や希望者への郵送が自動化され効率的な作業を可能としております。
③ 「CREAL Pro」
1億円からの資産運用サービスである「CREAL Pro」は、機関投資家・超富裕層向けの資産運用サービスであり、大型不動産への投資を通じた資産運用サービス事業を展開しております。具体的には、当社が情報を入手した投資物件を基に仲介業務や私募ファンドを組成・運用する業務が中心となります。また、当社グループが固定資産として保有するホテルの運営事業も含まれております。
「CREAL Pro」の主要な業務の流れは以下の通りであります。
a. 物件供給の業務提携契約締結先の会社、ホテルや保育園の運営会社、仲介会社等から収集した投資物件情報からスクリーニングを行い投資適格物件の選定を行います。
b. 当社が選定した投資適格物件についてファンドの組成もしくは仲介業務を行い、当該ファンドへ出資に興味をもつ投資家の探索もしくは当該物件への購入意欲のある投資家の探索を行います。
c. 投資家による当該ファンドへの出資が行われファンドが成立した場合、もしくは投資物件を購入した場合には、当社はファンド組成費用として一定の手数料(アップフロント・フィー)もしくは仲介手数料を受領します。
d. ファンド運用期間中、当社は物件の運用管理を行うことにより管理手数料(アセットマネジメント・フィー)を受領します。
e. ファンド運用終了時に不動産を売却することにより得られた売却代金を基にして、投資家へ最終配当及び元本償還を行います。ファンド運用終了時においては不動産売却手数料(エグジット・フィー)を受領し、さらに当社が物件を売却して利益が生じた場合には、当社は当該売却利益の一部(プロフィットシェア)を受領します。
法人や機関投資家向けの不動産投資運用サービスを提供するに当たっては、取り扱う商品により適用される法規制・必要な許認可は異なりますが、当社では宅地建物取引業・第二種金融取引業及び金融商品取引法第29条に基づく登録を行い、現物不動産のみならずファンドの信託受益権の媒介業務や投資助言・代理業を行っています。また、「CREAL Pro」における不動産特定共同事業法による現物不動産の取引・運用業務につきましても今後展開していく予定でございます。
[事業系統図]
当社グループの事業系統図は以下の通りです。
※ 「CREAL」は短期の資産運用(5年以内)サービスとなりますが、サービスローンチから2021年12月末までの各ファンドの想定運用期間の実績は4ヶ月~2年となっております。
当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
第10期連結会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛や緊急事態宣言等の影響により、個人消費、企業業績とも総じて下押しされた状況となりました。2020年後半以降は一部では持ち直しの傾向が見られるものの、不透明な状況が続いております。
当社グループが属する不動産及び資産運用業界におきましては、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛や国境を超えた移動の制限等により、商業施設やホテルでは稼働率低下が長期化し価格下落傾向にあるものの、安定的な需要が見込まれるレジデンスや物流施設には投資資金が流入する状況となっております。例えば、マンション市場におきましては、コロナ禍のもと取引件数は減少している一方、財政出動による市場の潤沢な資金を背景に平米単価と不動産価格指数は上昇傾向にあります。当社グループの属する業界はコロナ禍による経済の先行きや新常態への移行と、市場に流れる潤沢な投資資金が及ぼす影響について、今後も注視する必要があります。
こうした環境の中、当社グループは、「CREAL」において、既存の東京23区のマンション、ホテル、保育園に加えて、オフィスビルのリノベーションや一棟レジデンス開発、ホステルのオフィスコンバージョンを行った不動産ファンドをオンラインで提供し、アセットクラスをより一層分散させながら自己保有資産残高の拡大を図るとともに、着実に売却を実行しオンライン投資家にリターンを提供することで、登録会員数及びGMVの増加につなげました。「CREAL Partners」では、区分レジデンスの販売本数を伸ばし、付随する賃貸管理物件数の増加につなげることで収益の拡大を図りました。そして「CREAL Pro」においては、海外機関投資家を対象に国内ヘルスケアアセットを対象とした不動産ファンドを組成することによりファンド組成手数料及びアセットマネジメント・フィーの増加につなげることができました。一方で、「CREAL」の事業拡大に伴い先行投資も含めた人員の拡充が進み、人件費が大きく増加をいたしました。
この結果、売上高は7,141,139千円(前年同期比89.1%増)となったものの、売上総利益の増加を販売費および一般管理費の増加が大きく上回ったことから、営業利益183,886千円(前年同期比30.3%減)、経常利益105,909千円(前年同期比50.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益50,234千円(前年同期比67.0%減)となりました。
なお、当社グループは資産運用プラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
資産・負債及び純資産の状況
(資産)
当連結会計年度末における総資産は9,046,787千円となり、前連結会計年度末と比べ2,773,773千円増加しております。主な増加要因は、「CREAL」の登録会員数増加に伴う運用資金増加による現金及び預金の増加655,472千円及び預託金の増加457,765千円、取得による販売用不動産の増加975,603千円、ホテル設備取得による建物及び構築物の増加883,249千円及び土地の増加499,861千円によるものであります。一方で、本勘定への振替により仕掛販売用不動産の減少282,110千円、建設仮勘定の減少362,243千円を計上しております。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計8,174,381千円となり、前連結会計年度末に比べ2,219,435千円増加しております。主な増加要因は、「CREAL」の登録会員数増加に伴う運用資金増加によるクラウドファンディング預り金の増加750,042千円、及び「CREAL」でのファンド運用開始による匿名組合出資預り金の増加543,640千円に加え、資金調達を実施したことによる短期借入金の増加435,460千円、社債の増加177,200千円、長期借入金の増加216,964千円によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は872,406千円となり、前連結会計年度に比べ554,337千円増加しております。主な増加要因は、新株の発行による資本金の増加279,000千円及び資本剰余金の増加279,000千円によるものであります。
第11期第3四半期連結累計期間(自 2021年4月1日 至 2021年12月31日)
当第3四半期連結累計期間におけるわが国の経済は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う長期間の緊急事態宣言等の影響を受けて個人消費のサービス支出減少やその影響を受ける業種の企業業績に弱さがみられましたが、ワクチン接種の進展や新規感染者数の落ち着きを受けて9月末に緊急事態宣言が解除されて以降は持ち直しの動きが見られました。一方で、変異株の蔓延による感染再拡大の懸念もあり、依然として先行き不透明な状況が続くと予想されます。海外経済におきましても持ち直しの動きが見られされますが、引き続き国境を超えた移動は制限されており、変異株の蔓延による感染再拡大の懸念から世界的な経済停滞の長期化の影響にも注視する必要があります。
当社グループが属する不動産及び不動産クラウドファンディング業界におきましては、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛や国境を超えた移動の制限等により、ホテルの稼働率低下や商業施設の時短営業など影響が長期化するセグメントがある一方で、安定的な需要が見込まれるレジデンスや物流施設には投資資金が流入する状況となっております。例えば、マンション市場におきましては、コロナ禍により2020年に減少した取引件数は回復しており、財政出動による市場の潤沢な資金を背景に平米単価と不動産価格指数は上昇傾向を維持しています。当社グループの属する業界はコロナ禍による経済の先行きや新常態への移行と、市場に流れる潤沢な投資資金が及ぼす影響について、今後も注視する必要があります。
こうした環境の中、当社グループは、「CREAL」において、東京23区の一棟レジデンス開発、ホテル開発、新設保育園の不動産ファンドをオンラインで提供して自己保有資産残高の拡大を図るとともに、着実に売却を実行しオンライン投資家にリターンを提供することで、投資家会員数及び累積投資金額の増加につなげました。「CREAL Partners」では、中古ワンルームマンションの販売本数を伸ばし、付随する賃貸管理物件数の増加につなげました。そして「CREAL Pro」においては、海外機関投資家を対象に国内レジデンスを複数組み入れたファンド、国内ヘルスケアアセットを対象としたファンドを新規組成することにより、ファンド組成手数料及びアセットマネジメント・フィーの増加につなげることができました。
以上の結果、売上高8,829,261千円、営業利益447,947千円、経常利益399,597千円、親会社株主に帰属する四半期純利益279,634千円となりました。
なお、当社グループは、資産運用プラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
資産・負債及び純資産の状況
(資産)
当第3四半期連結会計期間末における総資産は9,807,363千円となり、前連結会計年度末に比べ760,576千円増加しております。主な要因は、業績好調による現金及び預金の増加426,859千円、取得による販売用不動産の増加491,247千円によるものであります。一方で、貸付金の回収によりその他流動資産が217,281千円減少しております。なお、当該貸付金は金銭消費貸借契約に基づく貸付金ではなく、通常の不動産売買契約に基づく不動産の購入取引を、買戻し契約の存在により、会計上金融取引として貸付金処理したものであります。
(負債)
当第3四半期連結会計期間末における負債合計は8,654,405千円となり、前連結会計年度末に比べ480,024千円増加しております。主な要因は、「CREAL」でのファンド運用開始による匿名組合出資預り金の増加2,127,990千円を計上した一方で、返済期限及び償還期限到来による短期借入金の減少442,960千円、一年内償還予定の社債の減少500,800千円に加え、「CREAL」でのファンド運用開始により資金が振替らえたことによるクラウドファンディング預り金の減少475,221千円によるものであります。
(純資産)
当第3四半期連結会計期間末における純資産合計は1,152,958千円となり、前連結会計年度末に比べ280,552千円増加しております。主な増加要因は、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上279,634千円によるものであります。
② キャッシュ・フローの状況
第10期連結会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度に比べ655,472千円増加し2,036,741千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と要因は次の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは513,917千円の支出(前年同期は516,067千円の収入)となりました。主な要因は、税金等調整前当期純利益132,544千円、未払消費税等の増加額160,271千円、クラウドファンディング預り金の増加額750,042千円、匿名組合出資預り金の増加額543,640千円による増加であります。一方で、預託金の増加額457,765千円、たな卸資産の増加額1,604,078千円による減少であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは239,151千円の支出(前年同期は636,770千円の支出)となりました。主な要因は、ホテル設備取得に伴う有形固定資産の取得による支出227,583千円による減少であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは1,408,541千円の収入(前年同期は1,121,972千円の収入)となりました。主な要因は、資金調達実施によるものであり、短期借入金の増加435,460千円、長期借入れによる収入276,535千円、社債の発行による収入1,218,200千円、新株の発行による収入558,000千円による増加であります。一方、社債の償還による支出976,790千円、配当金の支払額54,990千円による減少であります。
当社グループは生産活動を行っていないため、生産実績に関する記載はしておりません。
提供するサービスの性質上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
(注)1.当社グループは資産運用プラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。
2.主な相手先別の販売実績及び販売実績に対する割合は以下の通りであります。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
② 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
第10期連結会計年度(自 2020年4月1日 至 2021年3月31日)
a. 財政状態
当連結会計年度の財政状態については、「(1) 経営成績等の状況 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載の通りであります。
b. 経営成績
(売上及び売上総利益)
不動産ファンドオンラインマーケット「CREAL」の知名度向上による登録会員数の増加及び様々なアセットクラスのファンド提供が、投資家数及び投資金額の増加に繋がるとともに、「CREAL Pro」において機関投資家とヘルスケアファンドを組成するなど新しい取り組みの着手、また「CREAL Partners」における区分レジデンスの販売本数を伸ばし、売上高は7,141,139千円となり、売上総利益は1,165,233千円となりました。
(販売費及び一般管理費及び営業利益)
販売費及び一般管理費は、主に不動産ファンドオンラインマーケット「CREAL」登録会員数獲得のための広告宣伝費、及び事業拡大に伴う人件費の増加により981,346千円となりました。この結果、営業利益は183,886千円となりました。
(営業外損益及び経常利益)
テナント解約の違約金収入等により営業外収益を6,773千円計上した一方で、資金調達による利息計上により営業外費用は84,750千円となりました。この結果、経常利益は105,909千円となりました。
(法人税等及び親会社株主に帰属する当期純利益)
主に税金等調整前当期純利益の計上により、法人税等は81,701千円となり、当期純利益は50,843千円となりました。非支配株主に帰属する当期純利益609千円を計上し、この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は50,234千円となりました。
なお、経営者の問題意識と今後の方針、及び当社グループに重要な影響を与える要因については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」「2 事業等のリスク」に記載の通りであります。
第11期第3四半期連結累計期間(自 2021年4月1日 至 2021年12月31日)
a. 財政状態
当第3四半期連結会計期間末の財政状態については、「(1) 経営成績等の状況 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載の通りであります。
b. 経営成績
(売上及び売上総利益)
「CREAL」サービスにおいては東京23区の一棟レジデンス、ホテル開発、新設保育園といった不動産を提供するとともに、既存の保有資産を着実に売却し投資家にリターンを提供することで、投資家会員数及び累積投資金額の増加につなげました。「CREAL Partners」においては区分レジデンスの販売本数を伸ばし、「CREAL Pro」においては海外機関投資家に国内レジデンスを複数組入れたファンド、国内ヘルスケアアセットを対象としたファンドの新規組成を実現した結果、売上高は8,829,261千円、売上総利益は1,305,795千円となりました。
(販売費及び一般管理費及び営業利益)
販売費及び一般管理費は、主に不動産ファンドオンラインマーケット「CREAL」登録会員数獲得のための広告宣伝費、及び事業拡大に伴う人件費の増加により857,848千円となりました。この結果、営業利益は447,947千円となりました。
(営業外損益及び経常利益)
支払利息とともに、自社ホテルの稼働前に発生した減価償却費を計上したことにより営業外費用は50,343千円となりました。この結果、経常利益は399,597千円となりました。
(特別損益、法人税等及び親会社株主に帰属する当期純利益)
ドムスレジデンシャルエステート株式会社の全株式を譲渡したことに伴い、特別利益に関係会社株式売却益56,015千円を計上しました。
税金等調整前四半期純利益の計上により、法人税等は128,479千円となり、四半期純利益は279,922千円となりました。非支配株主に帰属する四半期純利益288千円を計上し、この結果、親会社株主に帰属する四半期純利益は、279,634千円となりました。
なお、経営者の問題意識と今後の方針、及び当社グループに重要な影響を与える要因については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」「2 事業等のリスク」に記載の通りであります。
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローについては、「(1) 経営成績等の状況 ② キャッシュ・フローの状況」に記載の通りであります。
当社グループの資金需要の主なものは、クラウドファンディング組成時に行う劣後出資、不動産取得のための取得資金であります。資金調達につきましては、増資を通じた自己資金の他、各プロジェクトや物件ごとに社債の発行・金融機関からの借入を行っております。また、資金繰りの悪化の際に機動的に資金を調達する観点から、金融機関とコミットメントライン契約を締結しており、流動性の確保に努めております。今後の事業拡大にともなう運転資金需要については、自己資金の他、適宜金融機関より調達を行う方針であります。
④ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の分析・検討内容
「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の通り、当社の主な収益の源泉は、「CREAL」上でファンドを組成・運用・物件の売却を行う場合に発生する一連の各種フィー及び売却益、「CREAL Partners」における投資用不動産の売却益となります。これらは、「CREAL」におけるGMV(流通取引総額:Gross Merchandise Value)及び「CREAL Partners」における投資用不動産の売上高に連動するため、当社グループではこれらを重要経営指標と位置付けております。2021年3月期における各指標の前年同期比の増減率は以下のとおりであり、順調に増加をしているとの認識でおります。引続き対処すべき経営課題の改善を図りながら、経営戦略を推進してまいります。