E03485 Japan GAAP
前期
60.6億 円
前期比
119.7%
株価
517 (05/02)
発行済株式数
9,030,100
EPS(実績)
12.08 円
PER(実績)
42.81 倍
前期
349.5万 円
前期比
104.5%
平均年齢(勤続年数)
32.0歳(7.0年)
従業員数
140人(連結:269人)
当社グループは、飲食事業を起点に、卸売事業、養殖事業、加工事業を垂直的に展開する6次産業化を推進しております。その目指すところは、水産物のSCM(サプライ・チェーン・マネジメント)力のある総合水産企業の展開です。目的は、グループ飲食店舗のお客様、外販のお客様(飲食業、小売業、卸売業等)と直接的に情報共有することで、すべての事業においてお客様視点による生産・物流等の業務改善、イノベーションの推進による新しい価値を創造していくことにあります。
当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社、連結子会社4社及び持分法適用関連会社1社により構成されており、飲食事業と外販事業を主たる事業としております。また、当社及び当社の関係会社の事業の位置付け及びセグメントとの関連は次のとおりであります。
① 飲食事業
当事業は、株式会社東京一番フーズにおいて「泳ぎとらふぐ料理専門店とらふぐ亭」、「おいしい寿司と活魚料理魚の飯」、「うまい寿司と魚料理魚王KUNI」等のブランドを直営及びフランチャイズにて展開しております。米国ニューヨークには、日本の水産物販売のアンテナショップとして「WOKUNI」ブランドでシーフードレストランを展開し、令和2年6月に譲り受けた株式会社寿し常において、「寿し常」ブランドで職人がいる寿司業態を展開しております。これらの自社の飲食事業に対して、株式会社長崎ファームにおいて主要食材である「とらふぐ」と「本まぐろ」の養殖事業からの調達と水産品等食材全般の仕入を行っております。当社グループ全体として、垂直的統合型の優位性を活かした商品と情報価値が一体化した品質やサービスにより付加価値を高め、顧客満足度を高める仕組みを追求しております。
当事業の具体的な特徴の第一は、自社養殖魚を活用することにより「6次産業化」モデルの一環として全てにおいて当社のこだわりが詰まった安全安心の商品を直接お客様に届けられる点にあります。また、中間流通コストを削減することで、お客様に高品質の商品をお値打ち価格で提供することができ、顧客満足度を高めることができております。
特徴の第二は、「素材の良さ」「プロの味」にこだわり、全ての料理を店内で調理する店舗づくりを行っている点にあります。「泳ぎとらふぐ料理専門店とらふぐ亭」では、水槽で泳いでいるふぐを店舗で捌いて提供するという新鮮さに高級国産とらふぐの品質の良さが相まって、通常期は、多くのお客様にご来店いただいております。「おいしい寿司と活魚料理魚の飯」「うまい寿司と魚料理魚王KUNI」においては、活きた魚介類を店内で調理するなど、最高の鮮度で商品提供できることに加え、季節に応じて旬の食材を使用した鮮魚料理を提供することで、食材の活きの良さや瑞々しさを味わっていただくことを追求しております。
特徴の第三は、ふぐ調理師免許を保有する職人を多数抱えている点にあります。第二の特徴で挙げたプロの味を重視するため、当社では職人を多数抱えることで、高品質の料理をすべての店舗で提供できる仕組みを追求しております。特に、ふぐ調理師免許がなければ「活きたとらふぐ」を店内で捌くことができないため、当社のふぐ調理師免許の保有者数は競合他社との差別化要因となっております。
食材・空間すべてにおいてこだわりを持ち、高コストパフォーマンスでお客様にご満足いただくことが、事業ポリシーであります。
また、上記の他社との差別化できる3つの特徴は、「寿し常」においても既に浸透しており、グループ全体としてシナジー効果がさらに高まっております。
(主な関係会社)当社、㈱長崎ファーム、Ichiban Foods Inc.、㈱寿し常、Ichiban Foods Broadway Inc.、㈱Fun&Co.
当社グループにおける店舗展開の状況は、以下のとおりであります。
(注) 1.第17期(平成27年9月期)の減少1店舗は「泳ぎとらふぐ料理専門店 とらふぐ亭」南千住店のFC化に伴う減少であります。
2.第20期(平成30年9月期)の増加1店舗は「WOKUNI」レストランを米国ニューヨークに出店した事に伴う増加であります。
3.第20期(平成30年9月期)の減少1店舗は「ふぐよし」の閉店に伴う減少であります。
4.第21期(令和元年9月期)の増加2店舗は「泳ぎとらふぐ料理専門店 とらふぐ亭」浦和店及び大森店の出店に伴う増加であり、減少1店舗は「泳ぎとらふぐ料理専門店 とらふぐ亭」所沢店の閉店に伴う減少であります。
5.第22期(令和2年9月期)の増加26店舗は子会社である株式会社寿し常が寿司店舗チェーン「寿し常」等を事業譲渡により譲り受けた事による増加であります。
6.第22期(令和2年9月期)の減少1店舗は「亀戸ふぐよし総本店」の閉店に伴う減少であります。
7.第23期(令和3年9月期)の減少3店舗は「泳ぎとらふぐ料理専門店とらふぐ亭」関内店、「大阪てっちり鈴木」下北沢店、及び「立喰い寿し寿し常」アトレ上野パークアベニュー店の閉店に伴う減少であります。
8.第24期(令和4年9月期)の減少1店舗は「泳ぎとらふぐ料理専門店 とらふぐ亭」駒込店のFC化に伴う減少であります。
9.第25期(令和5年9月期)の減少3店舗は「海鮮処寿し常」アトレ亀戸店、「江戸東京寿し常」東京ソラマチ店、「成増寿し常」エキア成増店の閉店に伴う減少であります。
(令和5年9月30日現在)
② 外販事業
当社グループは外販事業セグメントとして株式会社長崎ファームにおいて自社養殖魚などの活魚・鮮魚を法人・個人向けに販売しております。当社グループは「6次産業化」の一環として生産から物流・加工までの一貫した体制を整えることで、物流コスト・鮮度・品質などの課題を解決していく最適なソリューションを構築しております。
具体的には平成23年に長崎県平戸市において海面養殖の権利を取得し、第1次産業としてとらふぐ・クロマグロ・ヒラマサ等の養殖を開始致しました。また、第2次産業として平成24年に東京都江東区に鮮魚加工場を設置し、主に身欠きふぐ(除毒済みのふぐ)の加工・販売を開始致しました。平成28年には身欠きの海外販売も見据えて、ふぐに関するHACCP商標使用許可を取得しております。
当社グループは、外食企業として初めてクロマグロの養殖を行って「平戸本まぐろ 極海一番(きわみいちばん)」という名称でブランド化し、飲食事業における店舗等で主に販売しております。当社グループは、自社養殖場を持つ強みを活かして鮮度・品質の一貫したトレーサビリティを構築し、お客様に安全安心な食材の提供を可能としております。また、水揚げをコントロールすることにより新鮮かつ品質の高い商品をタイムリーに供給できるという強みがあります。
平成29年10月より、「平戸本まぐろ 極海一番」及び九州産の鮮魚等を、当社グループが運営するニューヨークの和食鮮魚レストラン「WOKUNI」(Ichiban Foods Inc.直営店)に提供を行っております。
(主な関係会社)㈱長崎ファーム
当社グループの事業系統図は、次のとおりであります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は本報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、飲食事業を起点に、卸売事業、加工事業、養殖事業を垂直に展開する6次産業化を推進しております。その目指すところは、SCM(サプライチェーンマネジメント)力のある垂直統合型の総合水産企業の展開です。目的は、グループ飲食店舗のお客様、外販先(飲食業者、小売業者、卸売業者等)とダイレクトに情報共有することで、 すべての事業においてお客様視点からの生産・物流等の業務の改善、イノベーションの推進による新たな価値の創造にあります。 当社グループの飲食事業におきましては、水産物SCMによるトレースが確認できる安心・安全な食材の調達と職人の技を駆使した満足度の高い料理・サービスの提供をモットーとしております。また、ポテンシャルの高い海外市場に向けた水産物の事業展開を図るため米国ニューヨーク(以下:NY)に出店しているシーフードレストランにおいては、水産物6次産業化体制を基盤とするサスティナビリティが評価されることで業績は順調に推移しております。
当第4四半期においては、国内の消費行動が活発化する中、人々の外食機会がさらに増加しております。また、我が国への海外からの旅行者の増加傾向も活発化してきておりますので、それへの対応策を強化しております。しかし、同時に、労働力不足が深刻化する中、当社グループの目指すサービス水準を維持することに努めております。
以上の結果、売上高は72億57百万円(前年比19.7%増)、営業利益1億39百万円(前年は営業損失3億67百万円)、経常利益1億81百万円(前年比34.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1億9百万円(前年比10.2%減)となりました。
当連結会計年度の売上高は72億57百万円(前期比19.7%増)となりました。新型コロナウイルスによる影響が軽減したことで、既存店の業績が回復し、新型コロナウイルス発生以前の水準に戻りつつあります。またニューヨーク「WOKUNI」の売上が好調に推移したことで、増収を確保いたしました。
当連結会計年度の営業利益は1億39百万円(前年は営業損失3億67百万円)となりました。これは、新型コロナウイルス感染拡大の影響を大きく受けた前期と比べて、新型コロナウイルスによる影響が軽減したことに伴い、既存店の業績が回復したことと、ニューヨーク「WOKUNI」の売上が好調に推移した影響であます。なお、当連結会計年度の売上高営業利益率は1.9%(前期は△6.1%)となりました。
当連結会計年度の経常利益は1億81百万円(前年比34%減)となりました。
これは、新型コロナウイルスに伴う助成金収入があった前期と比べて減収となっておりますが、新型コロナウイルス発生以前の経常利益の水準に回復しつつあり、一定の成果は確保いたしました。
当連結会計年度において、特別損失を52百万円計上致しました。これは主に、店舗閉店に伴う固定資産除却損16百万円と減損損失計上28百万円によるものであります。
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は1億9百万円(前年比10.2%減)となりました。税金費用につきましては20百万円となります。なお、当連結会計年度の1株当たり当期純利益は12円24銭(前期は1株当たり当期純利益13円73銭)となりました。なお、自己資本利益率は7.5%(前期は自己資本利益率は9.4%)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
① 飲食事業
「泳ぎとらふぐ料理専門店とらふぐ亭」においては、当第4四半期の売上高も前年同期を上回りました。これは、海外からの旅行客需要増を店舗で獲得できたことと、家庭内の需要を獲得するための「ふぐパ」(注)をアピールするSNS配信に力を入れたことで当期デリバリー売上高を前年対比で約2倍にできたことによります。
「寿し常」においては、5月31日に成増店を閉店、7月30日にアトレ亀戸店を閉店したにも拘わらず、当第3四半期と同第4四半期の売上高は前年同期を上回りました。これは急増するインバウンド需要を取り込むためメニューの多言語化はもとよりSNS配信の英語表記の工夫が功を奏したことと、店舗タイプ別のマーチャンダイジングの再検討にて客単価が上昇したことによります。
NYにおいては、賃金と諸物価高騰によりレストランが淘汰されている中においても、「WOKUNI」の当第4四半期の売上高は予算を達成し増収となりました。自社平戸養殖場から直送の本まぐろを使った 「Tuna Auction」イベントが評価され、「Toast」のThe Restaurant Industry Outlook Report 2023 Ed.にて「全米15のサスティナビリティのレストランの一つ」に選ばれました。サスティナビリティ志向の情報拡散が新規顧客の増加に繋がっています。WOKUNI1号店(「WOKUNI Lexington」店)のこうした成果を踏まえ、NYに「WOKUNI Broadway」店を2024年秋に開店することで北米におけるSCM戦略の出口を強化してまいります。
以上の結果、当連結会計年度における飲食事業は、売上高66億20百万円(前年比23.9%増)、セグメント利益68百万円(前年はセグメント損失4億64百万円)となりました。
(注)ふぐパ:登録商標6670843 “おうちでふぐパーティー”を促進するキーワード
② 外販事業
養殖部門においては、「平戸本まぐろ極海一番」の養殖生産は順調に推移しておりますが、新型コロナウイルス発生時期のまぐろ稚魚池入れ尾数が少なかったことが原因で、当第4四半期の本まぐろの売上高、利益額ともに前年同期を下回りました。平戸養殖場では、SDGs14の「海の豊かさを守る」の当社ゴールを目指す活動を継続しております。この活動の一環として前期に続き当第4四半期も「近大の人工種苗マグロ」を導入いたしました。また、海水温の上昇、病気発生等の養殖環境変化を鑑み、サスティナブルなとらふぐ養殖への転換として大分県にて当6月にスタートした陸上養殖生産も順調に推移しております。
卸売部門においては、北米への輸出事業開始に向けて、当社と同じサスティナビリティ志向の生産者との取り組みを開始しております。こうした水産物をNYの自社店舗「WOKUNI」にて「おすすめメニュー」として販売し高評価をいただいておりますので、さらに製品化・マーケティング活動を推進してまいります。
以上の結果、当連結会計年度における外販事業は、売上高6億36百万円(前年比11.4%減)、セグメント利益59百万円(前年比31.3%減)となりました。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
① 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額は、製造原価によっております。
② 仕入実績
当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.金額は、仕入価格によっております。
③ 受注実績
当社は受注生産を行っていないため、該当事項はありません。
④ 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
流動資産は前連結会計年度末に比べて1億8百万円減少し、23億44百万円となりました。主な要因は、現金及び預金の減少3億47百万円、売掛金の増加65百万円及び仕掛品の増加81百万円となります。
(固定資産)
固定資産は前連結会計年度末に比べて2億68百万円増加し、22億33百万円となりました。主な要因は、建物の計上による増加1億93百万円、建設仮勘定の計上による増加82百万円及び減価償却費の計上による減少64百万円となります。
(繰延資産)
繰延資産は前連結会計年度末に比べて4百万円増加し、4百万円となりました。主な要因は、開業費の計上による増加4百万円となります。
(流動負債)
流動負債は前連結会計年度末に比べて2百万円増加し、12億47百万円となりました。主な要因は、買掛金の増加25百万円、短期借入金の減少1億円、1年内返済予定の長期借入金の増加56百万円及び未払金の増加27百万円となります。
(固定負債)
固定負債は前連結会計年度末に比べて3百万円増加し、17億49百万円となりました。主な要因は、長期借入金の減少1億74百万円及び資産除去債務の計上による増加1億80百万円となります。
(純資産)
純資産は前連結会計年度末に比べて1億58百万円増加し、15億84百万円となりました。主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益による増加1億9百万円、新株発行による増加26百万円及び自己株式の処分による増加18百万円となります。
なお、当連結会計年度末の自己資本比率33.4%(前期は31.0%)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により獲得した資金は19百万円(前期は9億56百万円の獲得)となりました。主な要因は税金等調整前当期純利益1億29百万円、減価償却費64百万円、売上債権の増加額65百万円、棚卸資産の増加額89百万円及び法人税等の支払額1億15百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は1億82百万円(前期は79百万円の使用)となりました。主な要因は有形固定資産の取得による支出1億21百万円及び無形固定資産の取得による支出31百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により使用した資金は1億92百万円(前期は1億29百万円の使用)となりました。主な要因は長期借入れによる収入2億64百万円及び長期借入金の返済による支出3億83百万円によるものであります。
上記の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物残高は前連結会計年度末に比べ3億49百万円減少し、14億16百万円となりました。
(4) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき、重要な会計方針及び見積りによって作成されております。具体的には、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりであります。