E00543 Japan GAAP
前期
359.2億 円
前期比
104.9%
株価
4,065 (04/26)
発行済株式数
11,720,000
EPS(実績)
290.02 円
PER(実績)
14.02 倍
前期
625.7万 円
前期比
102.4%
平均年齢(勤続年数)
43.0歳(16.1年)
従業員数
101人(連結:1,273人)
当フジボウグループは、富士紡ホールディングス株式会社(当社)及び子会社12社によって構成され、事業は、超精密加工用研磨材、不織布、化学工業製品の製造・販売、紡績糸及び編物などの素材から二次製品にいたる各種繊維工業品の製造、加工及び販売、車両、自動車部品等の販売、化成品の製造・販売を行っております。
なお、当社は特定上場会社等に該当し、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準のうち、上場会社の規模との対比で定められる数値基準については連結ベースの計数に基づいて判断することとなります。
事業内容と当社及び関係会社の当該事業にかかる位置付け等は、次のとおりであります。なお、セグメントと同一の区分であります。
(注) 1 フジボウテキスタイル㈱(連結子会社)は、2022年10月1日付で吸収分割により化成品部門をフジケミ㈱(連結子会社)に承継しました。
2 ㈱GFIホールディングスは(連結子会社)は、2023年2月1日付で㈱IPM(連結子会社)に吸収合併されております。
以上の企業集団等について図示すると次のとおりであります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による制限が緩和され、社会経済活動正常化に向けた動きが見られました。しかしながら、半導体をはじめとした部品・原材料の供給不足や供給網の混乱、ウクライナ・ロシア情勢の長期化による原油などのエネルギー価格や原材料価格の高騰、円安等の為替変動の影響等により、依然として先行きは不透明な状況となっております。
このような経営環境の下、当フジボウグループは、中期経営計画『増強21-25』において、計画期間5年間の前半3年を「高収益体質への転換と種まき」ステージと位置づけ、各事業の成長基盤の増強に取り組んでおります。計画2年目となる当期は期後半より、製造業を巡る業況感は悪化しましたが、研磨材事業では、研究開発力の加速、生産能力の増強を進めました。化学工業品事業は、需要動向が弱まる動きが見え始めるなか、柳井・武生両工場がほぼフル稼働を維持しており、生活衣料事業では、利益率の高い製品へのシフトによる収益性向上を図りました。加えて、全ての事業で高騰し続けている原材料費、エネルギーコストの上昇分を適切に転嫁できるよう努めました。
この結果、当連結会計年度の売上高は前年同期比1,752百万円(4.9%)増収の37,669百万円、営業利益は1,004百万円(17.1%)減益の4,872百万円、経常利益は1,003百万円(16.6%)減益の5,041百万円となりました。これに特別損益、法人税等を加減した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前年同期比1,055百万円(23.7%)減益の3,399百万円となりました。
セグメント別の経営成績は以下のとおりであります。
主力の超精密加工用研磨材は、ハードディスク用途および液晶ガラス用途は、新型コロナウイルス特需の反動を受け、主要ユーザーの大幅な生産調整および在庫調整により、受注が大きく減少しました。また、シリコンウエハー用途および半導体デバイス用途(CMP)などは、世界的な物価上昇、インフレに伴う金融政策の影響により、世界的な景気後退局面となりました。さらには下期に入りシリコンサイクルがピークアウトし、半導体需要減退の影響を受けました。
この結果、売上高は前年同期比63百万円(0.4%)減収の15,073百万円となり、営業利益は853百万円(23.2%)減益の2,828百万円となりました。
機能性材料、医薬中間体および農薬中間体などの受託製造は、一部販売先において需要減退が見え始めてはいるものの、新型コロナウイルス感染症拡大による海外生産リスクの顕在化や化学工業品生産の日本国内回帰の傾向が続き、機能性材料用を中心に安定生産を継続することができました。しかし、原材料・エネルギーコスト等の上昇に係る販売価格への転嫁が遅れており、利益は圧迫されました。
この結果、売上高は前年同期比967百万円(8.5%)増収の12,374百万円となり、営業利益は336百万円(24.6%)減益の1,030百万円となりました。
繊維素材は、ウクライナ・ロシア情勢を要因とした原油価格上昇に伴う物流や原材料のコスト高と、円安に伴う部材調達や海外製造の高騰が更なる追い打ちをかけ、厳しい環境が続きました。一方、繊維製品は、メンズは店頭販売で定番商品を中心に堅調に推移し、レディスではテレビショッピングなど不採算取引の整理を進めることで、より収益性の高い製品への絞り込みを行いました。EC販売はSNSでイメージ動画を配信するなど、積極的な販促実施が奏功し伸長しました。
この結果、売上高は前年同期比291百万円(4.2%)増収の7,280百万円となり、営業利益は130百万円(17.2%)増益の889百万円となりました。
化成品部門は、縮小傾向が続いていたデジタルカメラ市場に底打ちの兆しが出始めたことや、医療用プラスチック市場の回復により、デジタルカメラ用部品および医療機器用部品の受注が堅調に推移しました。金型部門では、自動車市場が回復基調になり、新規金型の受注が好調に推移しました。また、2022年11月1日付で取得し連結対象となった金型子会社の売上高が増加しましたが、同社株式の取得関連費用が発生しました。貿易部門は、収益性、安全性の高い取引に対象を絞り、採算性を改善しました。
この結果、売上高は前年同期比557百万円(23.4%)増収の2,940百万円となり、営業利益は54百万円(79.4%)増益の123百万円となりました。
資産合計は前連結会計年度末に比べて2,836百万円増加の61,368百万円となりました。
流動資産は458百万円増加の23,003百万円となりましたが、これは現金及び預金や売上債権が減少しましたが、棚卸資産が増加したことなどによります。
固定資産は2,378百万円増加の38,365百万円となりましたが、これは研磨材事業や化学工業品事業における設備投資により有形固定資産が増加したことや、子会社の取得によりのれんが増加したことなどによります。
負債合計は前連結会計年度末に比べて413百万円増加の18,448百万円となりました。
流動負債は392百万円増加の11,869百万円、固定負債は20百万円増加の6,578百万円となりました。これは、設備関係支払手形などのその他流動負債が増加したことなどによります。
純資産合計は前連結会計年度末に比べて2,423百万円増加し、42,920百万円となりました。これは、剰余金の配当による減少が1,260百万円ありましたが、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による増加が3,399百万円あったことなどによります。
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローにつきましては、法人税等の支払などがありましたが、税金等調整前当期純利益や減価償却費の計上などにより5,175百万円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローにつきましては、主として固定資産の取得による支出により、3,554百万円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローにつきましては、長期借入金の返済や配当金の支払などにより、1,899百万円の支出となりました。
この結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べて224百万円減少の8,090百万円となりました。
なお、キャッシュ・フロー関連指標の推移は次のとおりであります。
キャッシュ・フロー関連指標の推移
(注) 自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
1 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
2 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
3 営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については消去しておりません。
2 上記金額は有償受給取引における原材料等の仕入価格を含めた販売価格によるものであります。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の取引については消去しておりません。
2 上記金額は有償受給取引における原材料等の仕入価格を含めた販売価格によるものであります。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間の取引については消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
流動資産は前連結会計年度末に比べて458百万円増加の23,003百万円となりました。これは売上債権が減少しましたが、棚卸資産が増加したことなどによります。
固定資産は前連結会計年度末に比べて2,378百万円増加の38,365百万円となりました。有形固定資産は、研磨材事業を中心とした設備投資の他、2022年11月1日付で金型製造会社である㈱IPMが連結対象となったことにより増加しました。無形固定資産については、㈱GFIホールディングスの株式取得により、のれんが発生しました。
資産合計は前連結会計年度末に比べて2,836百万円増加の61,368百万円となりました。
セグメント別では、研磨材事業は1,694百万円増加の21,927百万円、化学工業品事業は187百万円減少の12,278百万円、生活衣料事業は114百万円増加の5,687百万円、その他の事業は1,180百万円増加の4,751百万円、各報告セグメントに配分していない全社資産などの調整額は34百万円増加の16,723百万円となりました。
流動負債は前連結会計年度末に比べて392百万円増加の11,869百万円となりました。これは支払手形及び買掛金が868百万円減少しましたが、研磨材事業及び化学工業品事業の設備投資による設備関係支払手形が709百万円増加したことなどによります。
固定負債は前連結会計年度末に比べて20百万円増加の6,578百万円となりました。これは、退職給付に係る負債が100百万円減少しましたが、㈱IPMが連結対象となったことにより、資産除去債務が166百万円増加したことなどによります。
負債合計は前連結会計年度末に比べて413百万円増加の18,448百万円となりました。
株主資本は剰余金の配当により1,260百万円減少しましたが、親会社株主に帰属する当期純利益が3,399百万円計上されたことなどにより、2,164百万円増加しました。
その他の包括利益累計額は、その他有価証券評価差額金や為替換算調整勘定の増加などにより、258百万円増加しました。
純資産合計は前連結会計年度末に比べて2,423百万円増加し、42,920百万円となりました。
当連結会計年度の売上高は前年同期比1,752百万円(4.9%)増収の37,669百万円、営業利益は1,004百万円(17.1%)減益の4,872百万円となりました。
研磨材事業では、半導体向けは、上期は旺盛な需要に支えられたものの、下期はシリコンサイクルのピークアウトにより需要が減速しました。液晶ガラスおよびハードディスク用途向けは、新型コロナウイルス特需の反動によるユーザーの在庫調整・生産調整の影響を受けました。
化学工業品事業では、機能性材料および農薬中間体向けを中心に安定生産を継続できましたが、原材料およびエネルギーコストの上昇による影響を受けました。
生活衣料事業では、繊維製品は、店頭販売はB.V.D.等定番の高収益商品への絞り込みを行なった他、販売データの解析やSNS等の広告手法を活用したことにより伸長しました。繊維素材は、原燃料価格高騰と円安により上期は収益が悪化しましたが、下期は価格転嫁が進み収益が改善しました。
その他の事業では、化成品部門は、カメラおよび医療機器用部品向けの受注が回復しました。金型部門は、自動車市場が回復基調になり、新規金型の受注が好調に推移しました。㈱IPMが連結対象となったため売上高が大幅に伸長しましたが、同社株式の取得関連費用が発生しました。貿易部門は、収益性、安全性の高い取引に対象を絞り、採算性を改善しました。
セグメント別の売上高・営業利益については「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」に記載のとおりであります。
営業外収益は固定資産賃貸料が増加したことなどにより前年同期比50百万円(12.6%)増加の448百万円、営業外費用は為替差損や防災対策費用が増加したことなどにより、前年同期比49百万円(21.6%)増加の279百万円となりました。この結果、経常利益は前年同期比1,003百万円(16.6%)減益の5,041百万円となりました。
特別利益は固定資産売却益4百万円などを計上し、4百万円となりました。特別損失は固定資産処分損69百万円や減損損失18百万円などを計上し、88百万円となりました。
これから法人税等を差し引いた結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前年同期比1,055百万円(23.7%)減益の3,399百万円となりました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、IT業界の景気状況や競合他社の状況、法的規制などがあります。詳細については「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当社グループは、2021年度から2025年度を計画期間とする中期経営計画『増強21-25』を策定し、2021年4月よりこれを実行しています。中期経営計画『増強21-25』では、2025年度の連結業績目標を売上高600億円、営業利益100億円、営業利益率16.7%、ROE10%以上、ROIC10%以上、自己資本比率65%以上としております。
営業活動によるキャッシュ・フローは、5,175百万円の収入となりました(前年同期比3,931百万円収入減)。法人税等の支払1,776百万円、棚卸資産の増加1,145百万円などがありましたが、税金等調整前当期純利益が4,957百万円、減価償却費が3,157百万円計上されたことなどによります。
投資活動によるキャッシュ・フローは3,554百万円の支出となりました(前年同期比374百万円支出減)。これは主として研磨材事業を中心とした設備投資の他、㈱GFIホールディングスおよびその子会社である㈱IPMの株式を取得したことなどによります。
財務活動によるキャッシュ・フローは1,899百万円の支出となりました(前年同期比442百万円支出増)。これは、配当金1,256百万円の支払や、借入金509百万円の返済などによります。
資本の財源及び資金の流動性につきましては、主として営業活動によるキャッシュ・フロー及び銀行等金融機関からの借入により資金を調達しております。また、複数の金融機関とコミットメントライン契約を締結し、流動性を補完しております。当社グループの運転資金需要の主なものは、商品・原材料の仕入、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資資金需要の主なものは、設備投資、M&A等であります。なお、重要な設備投資の予定につきましては、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画 (1)重要な設備の新設等」に記載のとおりであります。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成にあたり、特に以下の事項は経営成績等に重要な影響を及ぼすと考えております。その他の重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損損失の認識及び測定にあたっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。
当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。