E30504 Japan GAAP
前期
63.5億 円
前期比
100.3%
株価
303 (05/02)
発行済株式数
6,669,700
EPS(実績)
-17.99 円
PER(実績)
--- 倍
前期
446.0万 円
前期比
97.6%
平均年齢(勤続年数)
39.1歳(7.1年)
従業員数
89人
当社は、主にインナーウェアをインナーメーカーから仕入れ、インターネット上のさまざまなチャネルを通じて、個人のお客様に販売するEコマース(インターネット通販)事業を展開しております。インナーウェアは、アウターウェアとは違い、外から見えない特性上、シーズンごとに変わる流行に大きく影響されず、天候などの季節要因の影響も受けないのが特徴です。また、定番商品などに見られるように販売期間が長いアイテムも多く、ファッションカテゴリーの中では実用的な商品特性も持ち合わせております。
また、当社では、本社物流センターで商品仕入れからサイト運営、物流までの複雑多岐にわたる業務をすべてワンストップに行っており、Eコマース運営で必要となるインフラも取り揃えた「ワンストップ・エコ(便利)システム体制」を構築しております。
なお、小田急電鉄株式会社は当社の親会社であり、鉄道事業等を営んでおります。
主な販売チャネルとしては、自社のPC、スマートフォンサイトの他、「楽天市場」・「Yahoo!ショッピング」・「Amazon.co.jp」・「au PAY マーケット」・「Qoo10」・「ポンパレモール」等のインターネット上のショッピングモールがあります。また、海外のインターネットショッピングモールである、「天猫国際」(Tmall.hk)(中国)・「Qoo10」(シンガポール)・「Shopee」(東南アジア)へも出店しております。なお、仕入商品選定のためのアンテナ店舗として京都市南区に直営実店舗を1店舗有し、インナーウェアの販売を行っております。また、お客様とのコミュニケーション手段として、ソーシャルネットワーキングサービス(SNS)である、TwitterやLINE、及びInstagram、Facebookの公式サイトも運営しております。
当社の取扱いアイテム数は、レディス、メンズ合計で約9,700品番あります。取扱いブランドは、「ワコール」・「トリンプ」などの国内ブランド、「ANNEBRA」(アンブラ)・「Aubade」(オーバドゥ)・「CalvinKlein」(カルバンクライン)・「Mode Marie](モードマリー)などの海外ブランド、そして「HIMICO」(ヒミコ)・「LA VIE A DEUX」(ラヴィアドゥ)・「Mon cher pigeon」(モンシェルピジョン)・「blooming FLORA」(ブルーミングフローラ)の自社オリジナルブランドと「トリンプ」・「アツギ」などとのOEM(コラボレーション)ブランドがあり、全部で155ブランドをラインアップしております。(2023年2月末現在)
Eコマース事業において重要な要素となる物流業務につきましては、いわゆる越境ECによる海外への発送業務を含め、本社物流センターにて在庫管理、受注、出荷作業、顧客対応業務を行っております。本社物流センターでは、オートストア(自動倉庫型ピッキングシステム)、マテハンシステム(自動制御ロジスティクスシステム)の導入や精緻な在庫管理に努め、他方では流通のボーダレス化に伴い、トレーサビリティを意識した運用、バーコードを利用したJANコード(*1)による商品のSKU(Stock Keeping Unit)管理(*2)、及び、今後の流通の多角化を睨んだ重量計測(*3)への対応も行っております。
また、当社におきましては、近年社会問題化しております宅配の再配達問題の解消を図るべく利便性と環境に配慮したメール便を積極的に採用しております。
一方、Eコマース業界では、日々変化する顧客ニーズや、ポータルサイトとの連携などに対応するために、自社におけるシステム開発及び運用保守業務が不可欠となっております。特にインターネットショッピングモールなどとの連携においては、急な仕様変更や機能追加が発生しており、アジャイル開発(*4)を余儀なくさせられる状況であります。このような業務をアウトソーシングに依存することも考えられますが、外的変化のスピードに追いつくことができず、ビジネス機会の損失に繋がるため、当社は、自社開発の基幹システム「楽らく通販システム」により、発注・仕入・在庫管理・受注・売上・出荷・顧客管理・顧客対応・商品登録・撮影・画像制作・サイト在庫連携・売掛管理・入金処理・棚卸のそれぞれの業務をワンストップに管理し、業務の正確性の確保と効率化、そして迅速性を実現しております。外部システムとの連携についてはAPI(*5)、FTP(*6)を中心に迅速、スムーズに対応できる体制を構築しております。
なお、2023年3月31日付けで、小田急電鉄株式会社との資本業務提携を解消し、同社の連結子会社から持分法適用関連会社へ異動しております。
当社は、WEBサイトでのインナーショップ事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
当社の事業内容の概要は以下のとおりとなります。
[事業系統図]
(業績等の概要)
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の収束に向けた動きが加速され景気は緩やかに持ち直している一方で、ロシア・ウクライナ情勢の長期化、世界的なインフレや円安による下振れリスクを含みながら依然として先行きは不透明な状況が続いております。
当社の所属するEコマース市場では、総務省が2023年2月に発表した家計消費状況調査(二人以上の世帯)によると、2022年の年間ネットショッピング利用世帯の割合は52.7%と前年と同率となりました。また、支出額は、39,443円と前年の35,470円から増減率が11.2ポイント上昇しましたが、「衣類・履物」項目については1.3ポイント増に留まりました。行動制限緩和によって外出する機会が増えたことによる巣ごもり需要の一服、エネルギー情勢、原材料価格や物流コストの高騰、円安による電気、ガスや各種生活必需品の値上げの影響を受け、耐久消費財はもちろんのこと、非耐久消費財のなかでも「衣類・履物」項目については厳しい結果となりました。
このような経営環境のもと、当社は「感動するインナーライフっていいね!」という企業理念のもと、主にインナーウェアをインターネット上のさまざまなチャネルを通じて、個人のお客様に販売するEコマース (インターネット通販)事業を展開してまいりました。
当事業年度においても競合他社との差別化を図るため、ブルーミングスタイル事業部、ラヴィアドゥ事業部によるPB(プライベートブランド)商品の開発を積極的に進めてまいりました。この結果、全体売上に対するPBコラボ商品の比率は27.6%と前事業年度対比で1.1ポイント拡大しました。新型コロナウイルス感染症による影響によって、生産国のロックダウン等による生産遅延や調整が多発したなかで、僅かではありますが、プラス成長することができました。ブルーミングスタイル事業部においては、「HIMICO」が引き続き好調に推移し、当事業部の売上は前事業年度比119.4%と伸長し、ラヴィアドゥ事業部においては、「Mon cher pigeon*」が好調に推移し当事業部の売上は前事業年度比113.4%と伸長いたしました。国内販売においてもPB商品と同様に、NB(ナショナルブランド)メーカーの大幅な商品入荷遅延が継続しているものの、Yahoo!ショッピング(PayPayモール)は前事業年度比111.2%、Amazonは前事業年度比120.5%、Qoo10は143.0%とそれぞれ伸長いたしました。特に、PayPayモールにおいては、Yahoo!ショッピング(PayPayモール)Best Store Awards 2022「年間ベストストア2022」を昨年に引き続き第1位を受賞、au PAY マーケットにおいては、「ベストショップアワード2022」インナー・ルームウェアカテゴリ大賞を昨年に引き続き受賞し(9年連続)、多くのお客様からご支持をいただくことができました。
新型コロナウイルス感染症の影響による生産遅延、入荷遅延が多発し適切な時期での発売や在庫コントロールが困難ななか、各種クーポン施策、広告の最適化、ブランドセール、インフルエンサープロモーション、マッチングライブやライブコマースの開催等の施策をおこない、国内販売全体では前事業年度比105.2%と前事業年度を上回りました。
一方で、海外販売においては新型コロナウイルス感染症による物流停滞のため、注文商品のキャンセルが相次ぎ、前事業年度比83.2%と苦戦を強いられました。
併せて、在庫の適正化を図るため、仕入先や仕入商品の品番数の絞り込みをおこないました。売れる商品にこだわり、品揃えを改善することで、お客様のニーズを追求いたします。
この結果、当事業年度の売上高は6,354,148千円(前事業年度比2.0%増)、営業利益は57,329千円(前年同期は38,796千円の営業損失)、経常利益は33,178千円(前年同期は67,827千円の経常損失)、当期純利益は73,891千円(前年同期は223,123千円の当期純損失)となりました。
当事業年度につきましても、計画を下回る結果となりました。
上記のような業績の状況や今後の財務状況などを総合的に勘案した結果、株主の皆様への期末配当につきましては、誠に遺憾ではありますが無配とさせていただきます。株主の皆様には深くお詫び申し上げますとともに、早期に復配できるよう努めてまいりますので、引き続きご支援賜りますようお願い申し上げます。
なお、当社は、WEBサイトでのインナーショップ事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。
当事業年度末における現金及び現金同等物は、前事業年度末に比べ184,019千円増加し、692,314千円(前事業年度比36.2%増)となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは 8,030千円の減少(前事業年度は741,044千円の増加)となりました。
その主な要因は、税引前当期純利益36,898千円、減価償却費224,796千円、棚卸資産の増加98,754千円、売上債権の減少50,116千円、及び役員退職慰労引当金133,853千円の減少によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは 267,049千円の増加(前事業年度は91,590千円の減少)となりました。
その主な要因は、倉庫管理システム改修費用に対する支出7,609千円、及び保険積立金(役員保険)の解約による収入278,461千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは 75,000千円の減少(前事業年度は689,828千円の減少)となりました。
その主な要因は、長期借入金の返済による支出75,000千円によるものであります。
③ (生産、受注及び販売の状況)
当社は、WEBサイトでのインナーショップ事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
当事業年度における商品仕入実績については、単一セグメントのため品種別に記載しております。
(注) 1 その他の金額には、アバンティ店の仕入金額、歩引金額等も含まれております。
当社の行う事業、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
当事業年度における販売実績については、単一セグメントのため品種別に記載しております。
(注) 1 その他の金額には、アバンティ店の仕入金額、歩引金額等も含まれております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この財務諸表の作成に当たりましては、一定の会計基準の範囲内において、資産・負債及び収益・費用の金額に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りにつきましては、経営者が過去の実績や現在の取引状況並びに入手可能な情報を総合的に勘案し、その時点で最も合理的と考えられる見積りや仮定を継続的に使用しておりますが、見積り及び仮定には不確実性が伴うため、実際の結果と異なる可能性があります。また、財務諸表の作成のための重要な会計方針等は「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載されているとおりであります。
当社は、固定資産をインナーショップ事業と不動産賃貸事業について、資産のグルーピングを行っておりその回収可能価額について将来キャッシュ・フロー、正味売却価額等の前提条件に基づき見積っております。従って、当初見込んでいた収益が得られなかった場合や、将来キャッシュ・フローなどの前提条件に変更があった場合、固定資産の減損損失が発生する可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症が当社に与える影響につきましては、感染拡大により接触機会を減らす新しい生活様式における購買手段として当社の属するEコマース市場が定着してきており、事業全体への大きな影響はなく、財政状態及び経営成績に与える影響は軽微であるとの仮定をもとに、会計上の見積りを行っております。
繰延税金資産については、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を十分に検討し、回収可能見込額を計上しています。しかし、繰延税金資産の回収可能見込額に変動が生じた場合には、繰延税金資産の金額に重要な影響を与える可能性があります。
(資産)
当事業年度末の資産合計は、6,287,229千円(前事業年度末は6,484,050千円)となり、196,821千円の減少となりました。
流動資産は2,086,047千円(前事業年度末は1,850,692千円)となり、235,354千円の増加となりました。その主な要因は、現金及び預金の増加(前事業年度末より184,019千円の増加)、商品の増加(前事業年度末より92,573千円の増加)及び売掛金の減少(前事業年度より44,570千円の減少)によるものであります。
固定資産は4,201,181千円(前事業年度末は4,633,358千円)となり、432,176千円の減少となりました。その主な要因は、建物(純額)の減少(前事業年度より105,555千円減少)及び機械及び装置(純額)の減少(前事業年度末より92,474千円減少)及び保険積立金の減少(前事業年度より253,267千円減少)であります。
(負債)
当事業年度末の負債合計は、4,084,242千円(前事業年度末は4,348,035千円)となり、263,793千円の減少となりました。
流動負債は4,007,420千円(前事業年度末は2,868,524千円)となり、1,138,895千円の増加となりました。その主な要因は、シーズン商品の仕入れに伴う買掛金の増加(前事業年度末より46,079千円増加)、契約負債の増加(前事業年度末より28,490千円増加)、1年以内返済予定の長期借入金の増加(前事業年度末より1,237,500千円増加)、及び未払消費税等の減少(前事業年度末より111,767千円減少)によるものであります。
固定負債は76,821千円(前事業年度末は1,479,511千円)となり、1,402,689千円の減少となりました。その主な要因は、シンジケートローンの約定に伴う長期借入金の減少(前事業年度末より1,312,500千円減少)によるものであります。
(純資産)
当事業年度末の純資産合計は、2,202,986千円(前事業年度末は2,136,014千円)となり、66,972千円の増加となりました。その主な要因は、当期純利益の計上により利益剰余金が増加(前事業年度末より66,972千円の増加)したことによるものであります。
(売上高)
当事業年度における売上高は6,354,148千円(前事業年度比2.0%増)となりました。これはPB商品の積極的な開発、クーポン施策、広告の最適化、ブランドセール、及びSNSを利用したライブ配信開催等をおこなったことによるものであります。
(営業損益)
当事業年度における販売費及び一般管理費は2,371,992千円(前事業年度比2.9%減)となりました。その主な要因は、本社物流センターの取得に伴い増加した固定資産税と減価償却費等によるものであります。その結果、当事業年度の営業利益は57,329千円(前事業年度は38,796千円の営業損失)となりました。
(経常損益)
当事業年度における営業外収益は8,725千円(前事業年度比79.1%減)となりました。その主な要因は、不動産取得税還付金1,405千円、保育園運営収益2,612千円等を計上したことによるものであります。
当事業年度における営業外費用は32,875千円(前事業年度比53.5%減)となりました。その主な要因は、資金の借換えに伴い増加した支払利息25,655千円、及び保育園運営費用3,649千円等を計上したことによるものであります。その結果、当事業年度の経常利益は33,178千円(前年同期は67,827千円の経常損失)となりました。
(当期純損益)
当事業年度の法人税、住民税及び事業税は3,240千円、法人税等調整額は△40,233千円となりました。
特別利益としては、保険解約返戻金24,309千円を計上し、結果として当事業年度の当期純利益は73,891千円(前年同期は223,123千円の当期純損失)となりました。
④ キャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローの状況につきましては、「第2.事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
なお、現時点において、特記すべき重要な資本的支出の予定はありません。
⑤ 経営者の問題認識
当社の経営陣は、現在の事業環境並びに入手可能な情報に基づき、迅速かつ最善の経営戦略の立案及び施策に努めております。
他社との差別化を図りながら、事業規模を拡大していく上で、取扱いブランドの開拓・品揃えの強化、海外事業戦略の強化、顧客が直接商品に触れることができないというインナーウェアEコマースに対する障壁排除、自社ロジスティックの更なる精緻化、Eコマース市場におけるリスクヘッジ等に柔軟に対応できる組織体制の整備が重要であると考えております。これらを実現するため、経営体制を人的側面から強化してまいります。
当社の資金需要の主なものは、設備投資資金のほか、商品仕入資金や人件費等の販売費及び一般管理費であり、このような資金需要に安定的に対応するため、主に内部資金の活用、小田急電鉄極度貸付及び市中銀行4行によるシンジケートローンにより資金調達を行っております。
また、資金の流動性に関しては、小田急極度貸付以外にも複数の金融機関に十分な借入枠を有しており、当社は流動性ニーズや将来の債務履行のための手段を十分に確保しているものと考えております。
なお、2023年3月31日付で小田急電鉄からの借入金を全額返済しております。
当社は、2024年2月期の売上高6,900百万円、営業利益118百万円、経常利益60百万円、当期純利益42百万円の達成のため、当社経営陣は、損益構造の見直し等各種課題に継続して取り組み、収益の確保に努めてまいります。