売上高

利益

資産

キャッシュフロー

セグメント別売上

セグメント別利益

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率


最終更新:

E00873 IFRS

売上高

2.46兆 円

前期

2.49兆 円

前期比

99.0%

時価総額

1.26兆 円

株価

770.4 (07/12)

発行済株式数

1,631,481,403

EPS(実績)

18.67 円

PER(実績)

41.27 倍

平均給与

765.1万 円

前期

756.4万 円

前期比

101.2%

平均年齢(勤続年数)

40.7歳(17.4年)

従業員数

6,995人(連結:48,140人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

 

3 【事業の内容】

当社及び当社の関係会社306社(子会社265社・関連会社等41社)において営まれている主な事業の内容は、下記製品の製造、加工及び販売です。なお、以下の事業区分は、セグメント情報における事業区分と同一です。

事業区分

主要製品

繊維事業

ナイロン・ポリエステル・アクリル等の糸・綿・紡績糸及び織編物、不織布、人工皮革、アパレル製品

機能化成品事業

ナイロン・ABS・PBT・PPS等の樹脂及び樹脂成形品、ポリオレフィンフォーム、ポリエステル・ポリエチレン・ポリプロピレン等のフィルム及びフィルム加工品、合成繊維・プラスチック原料、ファインケミカル、電子情報材料、印写材料

炭素繊維複合材料事業

炭素繊維・同複合材料及び同成形品

環境・エンジニアリング事業

水処理用機能膜及び同機器、総合エンジニアリング、マンション、産業機械類、情報関連機器、住宅・建築・土木材料

ライフサイエンス事業

医薬品、医療機器

その他

分析・調査・研究等のサービス関連事業

 

 

各事業区分における、当社及び当社の関係会社の位置付けや、主要な関係会社の名称を示した事業系統図は、以下のとおりです。

※画像省略しています。

(注) 1.複数の事業に携わっている会社は、各事業区分に記載しております。

2.商事会社は事業区分が多岐に渡るため、事業規模が最大の事業区分に記載しております。

3.上記会社名の○は子会社、△は関連会社等を示しております。

 

24/06/25

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度(2023年4月1日から2024年3月31日まで)における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりです。

なお、文中の将来における事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

(1) 経営成績の状況の概要及び分析

当連結会計年度の世界経済は、米国は堅調でしたが、欧州は低迷、中国が鈍化したこと等から回復に力強さを欠きました。国内経済については、緩やかな回復の動きが続いていますが、世界景気の先行き不透明感や半導体市場の調整長期化が下押し圧力となりました。

このような事業環境の中で、当社グループは「持続的かつ健全な成長」を掲げ、2023年度からは「持続的な成長の実現」「価値創出力強化」「競争力強化」「『人を基本とする経営』の深化」「リスクマネジメントとグループガバナンスの強化」の5つを基本戦略とした中期経営課題“プロジェクト AP-G 2025”を推進しています。

以上の結果、当社グループの連結業績は、売上収益は前期比1.0%減の2兆4,646億円、事業利益は同6.9%増の1,026億円となりました。また、炭素繊維複合材料事業において、風力発電翼用途の需要低迷に伴い減損損失を計上したこと等から、営業利益は同47.1%減の577億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は同69.9%減の219億円となりました。

 

 

 

(単位:億円)

 

前連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

当連結会計年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

増減率(%)

売上収益

24,893

24,646

△1.0

事業利益(注)

960

1,026

6.9

営業利益

1,090

577

△47.1

親会社の所有者に

帰属する当期利益

728

219

△69.9

 

(注) 事業利益は、営業利益から非経常的な要因により発生した損益を除いて算出しております。

 

セグメントごとの売上収益は、前期に比べ、炭素繊維複合材料事業、環境・エンジニアリング事業で増収となった一方、繊維事業、機能化成品事業、ライフサイエンス事業で減収となりました。事業利益は、繊維事業、機能化成品事業、環境・エンジニアリング事業で増益となった一方、炭素繊維複合材料事業、ライフサイエンス事業で減益となりました。

セグメントごとの売上収益及び事業利益、並びに事業利益の増減要因は、以下のとおりです。

 

(単位:億円)

 

売上収益

前連結
会計年度

当連結
会計年度

増減

繊維事業

9,992

9,748

△244

機能化成品事業

9,094

8,861

△233

炭素繊維複合材料事業

2,817

2,905

88

環境・エンジニアリング事業

2,288

2,441

153

ライフサイエンス事業

538

522

△15

その他(注)1

164

169

5

合計

24,893

24,646

△247

 

 

 

 

 

 

 

 

(単位:億円)

 

事業利益

増減の内訳

 

前連結
会計年度

当連結
会計年度

増減

数量差

価格差

費用差
ほか

海外子会社の邦貨換算差

繊維事業

512

547

35

 

△30

109

△57

12

機能化成品事業

304

367

63

 

11

39

10

3

炭素繊維複合材料事業

159

132

△27

 

△29

78

△79

3

環境・エンジニアリング事業

197

232

35

 

37

18

△23

3

ライフサイエンス事業

2

△13

△15

 

△4

△2

△9

0

その他(注)1

25

33

8

 

9

△1

△0

調整額(注)2

△239

△272

△32

 

△32

合計

960

1,026

66

 

△7

241

△191

22

 

(注) 1.「その他」は分析・調査・研究等のサービス関連事業等です。

2.「調整額」はセグメント間取引消去及び全社費用です。

 

・「数量差」は、機能化成品事業や炭素繊維複合材料事業において自動車市場や航空機需要の回復を着実に捉えて稼働率が向上した一方、炭素繊維複合材料事業の風力発電翼用途が調整局面となったことや、構造改革で推進している事業高度化による品種構成変化の影響等により、合計で7億円の減益要因となりました。

・「価格差」は、原料価格軟化の効果を取り込んだことを主因に、合計で241億円の増益要因となりました。

・「費用差ほか」は、稼働率向上に伴う費用の増加等により、合計で191億円の減益要因となりました。

 

セグメントごとの経営成績の詳細は、以下のとおりです。

 

 (繊維事業)

衣料用途が欧米の市況悪化、衛材用途が需給バランス悪化の影響を受けて低調に推移しました。産業用途は自動車用途の需要回復、EV向け拡大から回復傾向が続きました。

以上の結果、繊維事業全体では、売上収益は前期比2.4%減の9,748億円、事業利益は同6.8%増の547億円となりました。

 

 (機能化成品事業)

樹脂・ケミカル事業は、樹脂事業が中国市場の需要減少等の影響により低調でしたが、国内自動車用途において改善傾向が見られました。ケミカル事業は堅調に推移しました。フィルム事業は主力のPETフィルムの電子部品関連用途は緩やかに回復していますが、一部にサプライチェーンの在庫調整の影響が残りました。

電子情報材料事業は、有機EL関連材料・回路材料の需要に回復が見られました。

以上の結果、機能化成品事業全体では、売上収益は前期比2.6%減の8,861億円、事業利益は同20.8%増の367億円となりました。

 

 (炭素繊維複合材料事業)

航空宇宙用途は順調に回復していますが、風力発電翼用途で調整局面となったほか、圧力容器を含む一般産業用途の需要が軟化しました。

以上の結果、炭素繊維複合材料事業全体では、売上収益は前期比3.1%増の2,905億円、事業利益は同17.2%減の132億円となりました。

 

 (環境・エンジニアリング事業)

水処理事業は、逆浸透膜の2大市場である米中での出荷が堅調に推移しました。また、国内の建設子会社の売上が堅調に推移したほか、エンジニアリング子会社のプラント関連事業が伸長しました。

以上の結果、環境・エンジニアリング事業全体では、売上収益は前期比6.7%増の2,441億円、事業利益は同17.7%増の232億円となりました。

 

 (ライフサイエンス事業)

医薬事業は、経口そう痒症改善薬レミッチ®(注)において、後発医薬品発売の影響と薬価改定の影響を受けたほか、経口プロスタサイクリン誘導体製剤ドルナー®が海外で在庫調整の影響を受けました。

医療機器事業は、透析機器が原燃料価格高騰の影響を受けましたが、血液透析ろ過用ダイアライザーの出荷が国内で堅調に推移しました。

以上の結果、ライフサイエンス事業全体では、売上収益は前期比2.8%減の522億円、事業利益は同15億円減の13億円の損失となりました。

 

(注) レミッチ®は、鳥居薬品㈱の登録商標です。

 

 (その他)

売上収益は前期比3.1%増の169億円、事業利益は同31.5%増の33億円となりました。

 

 (生産、受注及び販売の状況)

当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その形態、単位等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多いため、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。

このため生産、受注及び販売の状況については、各セグメントの業績に関連付けて示しております。

 

(2) 財政状態の状況の概要及び分析

当連結会計年度末の財政状態は、資産・負債ともに、円安による海外子会社の円換算額増加の影響がありました。

資産は、営業債権及びその他の債権や有形固定資産、その他の金融資産が増加したことを主因に、前連結会計年度末に比べ2,725億円増加し3兆4,665億円となりました。

負債は、繰延税金負債が増加したこと等により、前連結会計年度末に比べ619億円増加し1兆6,202億円となりました。

資本は、利益剰余金やその他の資本の構成要素の増加を主因に、前連結会計年度末に比べ2,106億円増加し1兆8,464億円となり、このうち親会社の所有者に帰属する持分は1兆7,360億円となりました。当連結会計年度末の親会社所有者帰属持分比率は、前連結会計年度末に比べ2.0ポイント上昇し50.1%、D/Eレシオは同0.07低下し0.55となりました。

 

(3) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

① キャッシュ・フローの状況の概要及び分析

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動による資金の増加が投資活動による資金の減少を647億円上回った一方、長期借入金の返済を主因に財務活動による資金の減少が704億円となったこと、及び為替変動による増加が176億円となったことにより、前連結会計年度末に比べ119億円増の2,359億円となりました。

 

 (営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業債権及びその他の債権の増加額が前期比548億円増加した一方、棚卸資産の減少額が同565億円増加、営業債務及びその他の債務の減少額が同76億円減少、法人所得税等の支払額が同125億円減少したこと等により、営業活動による資金の増加は同405億円(27.9%)増の1,857億円となりました。

 

 (投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資の売却及び償還による収入が前期比179億円増加した一方、有形固定資産及び無形資産の取得による支出が同319億円増加したこと等により、投資活動による資金の減少は同183億円(17.8%)増の1,210億円となりました。

 

 

 (財務活動によるキャッシュ・フロー)

短期借入債務の純増額が前期比130億円減少したこと等により、財務活動による資金の減少は同130億円(22.6%)増の704億円となりました。

 

② 資金需要

当社グループの資金需要の主なものは、設備投資、投融資などの長期資金需要と当社製品製造のための原材料の購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費などの運転資金需要です。このうち、設備投資の概要及び重要な設備の新設の計画については、「第3 設備の状況」に記載しております。

 

③ 財務政策

当社グループは、資金需要の見通しや金融市場の動向などを総合的に勘案した上で、最適なタイミング、規模、手段を判断して資金調達を実施しております。また、財務健全性を維持しつつ、事業拡大を推進することを基本方針とし、運転資金の圧縮、固定資産の稼働率向上、キャッシュ・マネジメント・システムによるグループ内余剰資金の有効活用等、資産効率の改善にも取り組んでおります。

財務状況は健全性を保っており、現金及び現金同等物などの流動性資産に加え、営業活動によるキャッシュ・フロー、借入金、社債等による資金調達により、事業拡大に必要な資金を十分に賄えると考えております。また、業績やキャッシュ・フローの悪化等により緊急に資金が必要となる場合や金融市場の混乱に備え、国内外の金融機関とコミットメントライン契約、当座貸越契約等を締結し、資金流動性を確保しております。

 

(4) 経営上の目標の達成状況

中期経営課題“プロジェクト AP-G 2025”の財務目標に対する進捗は以下のとおりです。

 

2023年度実績

2024年度見通し

(注)1

 

2025年度目標

(注)2

売上収益

24,646億円

26,200億円

 

28,000億円

事業利益

1,026億円

1,350億円

 

1,800億円

事業利益率

4.2%

5%

 

6%

ROIC (注)3

2.8%

約4%

 

約5%

ROE (注)4

1.3%

約5%

 

約8%

フリー・キャッシュ・フロー

647億円

 

プラス

(3年間累計)

D/Eレシオ

0.55

約0.6

 

0.7以下

(ガイドライン)

 

(注) 1.為替レートの前提は、140円/米ドルです。

2.為替レートの前提は、125円/米ドルです。

3.税引後事業利益/投下資本(期首・期末平均)

4.親会社の所有者に帰属する当期利益/親会社の所有者に帰属する持分(期首・期末平均)

 

2024年度の連結業績予想につきましては、売上収益は2兆6,200億円、事業利益は1,350億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は810億円を見込んでおります。

世界経済は、欧米での高金利による個人消費や設備投資の意欲低下、中国経済の足踏みにより、回復ペースは緩やかなものに留まると見られます。国内経済は緩やかな回復が見込まれます。ただし、中国での不動産不況の長期化、欧米での利下げ開始時期の遅れによる消費減速、中東情勢の緊迫化、日銀の金融政策変更や為替変動等が内外経済の下振れ材料として挙げられます。

このような状況の下、当社グループは、“プロジェクト AP-G 2025”の基本戦略を推進し、不確実性に備えた事業運営を実行していきます。

 

なお、サステナビリティ目標に対する進捗については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (1) サステナビリティに関する考え方及び取り組みの状況 ④ 指標及び目標」に記載しております。

 

 

(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成しております。連結財務諸表の作成にあたって用いた重要な会計上の見積り及び仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載しております。