売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E00873 IFRS


2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績の状況

当第3四半期連結累計期間の世界経済は、米国は堅調でしたが、欧州は低迷、中国が鈍化したこと等から回復に力強さを欠きました。国内経済については、コロナ禍からの正常化の動きが続いていますが、世界景気の先行き不透明感や半導体市場の調整長期化が下押し圧力となりました。

このような事業環境の中で、当社グループは「持続的かつ健全な成長」を目指し、2023年度からは「持続的な成長の実現」「価値創出力強化」「競争力強化」「『人を基本とする経営』の深化」「リスクマネジメントとグループガバナンスの強化」の5つを基本戦略とした中期経営課題“プロジェクト AP-G 2025”を推進しています。

以上の結果、当社グループの連結業績は、売上収益は前年同期比3.8%減の1兆8,294億円、事業利益(注1)は同4.0%減の772億円となりました。営業利益は同27.7%減の714億円、親会社の所有者に帰属する四半期利益は同38.8%減の457億円となりました。

 

セグメント別の経営成績は、以下のとおりです。

 

 (繊維事業)

衣料用途が欧米の市況悪化、衛材用途が需給バランス悪化の影響を受けて低調に推移しました。産業用途は自動車用途の需要回復、EV向け拡大から回復傾向が続きました。

以上の結果、繊維事業全体では、売上収益は前年同期比5.0%減の7,454億円、事業利益は同10.7%増の438億円となりました。

 

 (機能化成品事業)

樹脂・ケミカル事業は、樹脂事業が中国市場の需要減少等の影響により低調でしたが、国内自動車用途において改善傾向が見られました。フィルム事業は電子部品関連において、サプライチェーンの在庫調整の影響が残りました。

電子情報材料事業は、有機EL関連材料・回路材料の需要に回復が見られました。

以上の結果、機能化成品事業全体では、売上収益は前年同期比5.5%減の6,596億円、事業利益は同18.8%減の243億円となりました。

 

 (炭素繊維複合材料事業)

航空宇宙用途は順調に回復していますが、風力発電翼用途が調整局面となったほか、圧力容器を含む一般産業用途の需要が軟化しました。

以上の結果、炭素繊維複合材料事業全体では、売上収益は前年同期比0.9%減の2,093億円、事業利益は同3.7%減の114億円となりました。

 

 (環境・エンジニアリング事業)

水処理事業は、逆浸透膜の2大市場である米中での出荷が堅調に推移しました。また、国内の建設子会社の売上が堅調に推移しました。

以上の結果、環境・エンジニアリング事業全体では、売上収益は前年同期比5.7%増の1,650億円、事業利益は同13.4%増の146億円となりました。

 

 

 (ライフサイエンス事業)

医薬事業は、経口そう痒症改善薬レミッチ®(注2)において、後発医薬品発売の影響と薬価改定の影響を受けたほか、経口プロスタサイクリン誘導体製剤ドルナー®が海外で在庫調整の影響を受けました。

医療機器事業は、透析機器が原燃料価格高騰の影響を受けましたが、血液透析ろ過用ダイアライザーの出荷が国内で堅調に推移しました。

以上の結果、ライフサイエンス事業全体では、売上収益は前年同期比4.5%減の384億円、事業利益は同14億円減の8億円の損失となりました。

 

 (その他)

売上収益は前年同期比4.6%増の117億円、事業利益は同49.0%増の17億円となりました。

 

(注) 1.事業利益は、営業利益から非経常的な要因により発生した損益を除いて算出しております。

2.レミッチ®は、鳥居薬品㈱の登録商標です。

 

(2) 財政状態の状況

当第3四半期連結会計期間末の財政状態は、資産・負債ともに、円安による海外子会社の円換算額増加の影響がありました。

資産は、営業債権及びその他の債権や棚卸資産、有形固定資産が増加したことを主因に、前連結会計年度末に比べ1,943億円増加し3兆3,884億円となりました。

負債は、社債及び借入金が増加したことを主因に、前連結会計年度末に比べ674億円増加し1兆6,256億円となりました。

資本は、利益剰余金やその他の資本の構成要素の増加を主因に、前連結会計年度末に比べ1,270億円増加し1兆7,628億円となり、このうち親会社の所有者に帰属する持分は1兆6,559億円となりました。当第3四半期連結会計期間末の親会社所有者帰属持分比率は、前連結会計年度末に比べ0.8ポイント上昇し48.9%となりました。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当第3四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動による資金の増加が投資活動による資金の減少を193億円上回った一方、配当金の支払を主因に財務活動による資金の減少が227億円となったこと、及び為替変動による増加が88億円となったことにより、前連結会計年度末に比べ54億円増の2,294億円となりました。

 

 (営業活動によるキャッシュ・フロー)

棚卸資産の増加額が前年同期比484億円減少、営業債権及びその他の債権の増加額が同342億円減少した一方、営業債務及びその他の債務の減少額が同112億円増加したこと等により、営業活動による資金の増加は同855億円(412.2%)増の1,062億円となりました。

 

 (投資活動によるキャッシュ・フロー)

有形固定資産及び無形資産の取得による支出が前年同期比245億円増加したこと等により、投資活動による資金の減少は同170億円(24.3%)増の869億円となりました。

 

 (財務活動によるキャッシュ・フロー)

短期借入債務の純増額が前年同期比1,124億円減少した一方、社債の償還及び長期借入金の返済が同367億円減少したこと等により、財務活動による資金の減少は同480億円増の227億円となりました。

 

(4) 研究開発活動

当第3四半期連結累計期間における当社グループの研究開発費総額は502億円です。