売上高

利益

資産

キャッシュフロー

セグメント別売上

セグメント別利益

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率


最終更新:

E00877 Japan GAAP

売上高

2.73兆 円

前期

2.46兆 円

前期比

110.8%

時価総額

1.55兆 円

株価

1,109.5 (04/18)

発行済株式数

1,393,932,032

EPS(実績)

-65.51 円

PER(実績)

--- 倍

平均給与

760.6万 円

前期

751.2万 円

前期比

101.2%

平均年齢(勤続年数)

41.5歳(13.9年)

従業員数

8,787人(連結:48,897人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

 

3 【事業の内容】

当社グループは、連結財務諸表提出会社(以下、当社という)及び関係会社356社から構成されています。その主な事業内容はセグメントの区分のとおりであり、当社及び主な関係会社の当該事業に係る位置付けとセグメントとの関連は次のとおりです。

セグメント

主要な事業内容

主要な製品・サービス

主要な関係会社

マテリアル

(関係会社169社)

環境ソリューション事業

スチレンモノマー、アクリロニトリル、ポリエチレン、ポリスチレン、合成ゴム 等

PSジャパン㈱

Asahi Kasei Synthetic Rubber Singapore Pte. Ltd.

Tongsuh Petrochemical Corporation

※ 三菱ケミカル旭化成エチレン㈱※ PTT Asahi Chemical Co., Ltd.

リチウムイオン電池用セパレータ(湿式・乾式)、鉛蓄電池用セパレータ、中空糸ろ過膜、イオン交換膜 等

Polypore International, LP

モビリティ&インダストリアル事業

繊維(自動車関連) 等

Sage Automotive Interiors, Inc.

エンジニアリング樹脂、塗料原料 等

Asahi Kasei Plastics Singapore Pte. Ltd.

旭化成精細化工(南通)有限公司

Asahi Kasei Plastics (America)Inc.
旭化成塑料(上海)有限公司

ライフイノベーション事業(デジタルソリューション、コンフォートライフ)

電子材料、ミックスドシグナルLSI、ホール素子、深紫外線LED 等

旭化成エレクトロニクス㈱

旭化成電子材料(蘇州)有限公司

繊維(衣料・産業資材他)、食品用ラップフィルム、各種フィルム・シート、医薬・食品用添加剤、火薬類、金属加工品 等

旭化成アドバンス㈱

旭化成ホームプロダクツ㈱

Asahi Kasei Spunbond (Thailand) Co., Ltd.

マテリアル共通

Asahi Kasei Europe GmbH

 

 

住宅

(関係会社95社)

住宅事業

建築請負(戸建・集合住宅)、不動産関連、リフォーム、その他住宅周辺事業、米国・豪州住宅事業 等

旭化成ホームズ㈱

旭化成不動産レジデンス㈱

旭化成ホームズフィナンシャル㈱

旭化成リフォーム㈱

Focus Companies LLC

NXT Building Group Pty Ltd

Austin Companies LLC

Erickson Framing Operations LLC
※ ㈱森組

※ 中央ビルト工業㈱

建材事業

軽量気泡コンクリート(ALC)、断熱材、基礎杭、構造資材 等

旭化成建材㈱

 

 

ヘルスケア

(関係会社67社)

医薬事業

医療用医薬品、診断薬 等

旭化成ファーマ㈱

Veloxis Pharmaceuticals, Inc.

※ ㈱カイノス

医療事業

血液透析・アフェレシス(血液浄化療法)関連機器、ウイルス除去フィルター、CDMO事業 等

旭化成メディカル㈱

Bionova Scientific, LLC.

Asahi Kasei Bioprocess Europe S.A./N.V.

クリティカルケア事業

心肺蘇生関連(AED、医療従事者向け除細動器)、着用型自動除細動器、睡眠時無呼吸症治療・診断機器 等

ZOLL Medical Corporation

 

 

 

セグメント

主要な事業内容

主要な製品・サービス

主要な関係会社

その他

(関係会社25社)

エンジニアリング事業
各種リサーチ・情報提供事業
人材派遣・紹介事業 等

旭化成(中国)投資有限公司
Asahi Kasei America, Inc.
※ 旭有機材㈱

 

(注) 1 当社はマテリアルセグメント内の複数の事業を行っています。

   2 一部の関係会社の事業内容は、複数のセグメントに跨っています。

   3 ※は持分法適用会社です。

 

23/11/21

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

本項の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの分析は、将来のリスク、不確実性及び仮定を伴う予測情報を含んでいます。これらの記述は、現時点で当社が入手している情報を踏まえた一定の前提条件や見解に基づくものであり、「3 事業等のリスク」等に記載された事項及びその他の要因により、当社グループの実際の業績はこれらの予測された内容とは大幅に異なる可能性があります。

 

(1) 経営成績等の状況の概要及び経営者の視点による分析・検討内容

① 経営成績

Ⅰ 当社グループ全体

当社グループの当連結会計年度(2022年4月1日~2023年3月31日、以下、「当期」)における世界経済は、COVID-19に対するワクチン接種の進展等による経済活動の再開の進展や雇用の安定がみられる一方で、国際商品市況の2022年夏頃にかけての高騰や経済全体での労働コストの増加等を背景として物価上昇が進行しつつ、物価安定に向けて金利及び量の双方から、過去と比較しても急速な金融引締めが進み、経済活動に対する政策的な下押しもみられました。

このような環境の中で、当社グループの当期における連結業績は、既存事業の拡大や円安影響、石化製品市況の高騰や「住宅」領域の買収による新規連結等により、全領域で増収となり、売上高は2兆7,265億円で前連結会計年度(以下、「前期」)比2,652億円の増収となりました。一方、「住宅」領域が堅調に推移したものの、経営環境の悪化や一時的な要因等により「マテリアル」及び「ヘルスケア」領域で減益となったことから、営業利益は1,284億円で前期比743億円減益となり、経常利益1,215億円で前期比905億円減益となりました。また、親会社株主に帰属する当期純損失は、セパレータ事業でPolypore社ののれん及び無形固定資産について減損損失を計上したこと等により、△913億円と前期比2,532億円の大幅な減益となりました。その結果、EPS(1株当たりの当期純利益)は△65.84円と前期比182.52円の減少となりました

資本効率について、当期のROICは4.0%で前期比2.6%の低下、ROEは△5.5%で前期比15.7%の低下となりました。当期の資本効率低下の主な原因は、ROICについては、経営環境の悪化による営業利益の減少に加えて、有利子負債の増加の他、円安による為替換算差等の増加で投下資本が増加したこと、ROEについてはPolypore社の減損損失等で当期純損失が発生したことによるものです。

財務健全性については、有利子負債が増加したことを受けて、D/Eレシオは0.57となりました

 

〈当社グループの業績〉

 

経営指標

2020年度

2021年度

2022年度

前期との

差異

収益性

売上高

(億円)

21,061

24,613

27,265

+2,652

営業利益

(億円)

1,718

2,026

1,284

△743

売上高営業利益率

(%)

8.2

8.2

4.7

△3.5

EBITDA

(億円)

3,051

3,508

3,050

△458

売上高EBITDA率

(%)

14.5

14.3

11.2

△3.1

親会社株主に帰属する当期純利益又は当期純損失(△)

(億円)

798

1,619

△913

△2,532

EPS

(円)

57.49

116.68

△65.84

△182.52

資本効率

ROIC

(%)

4.9

6.6

4.0

△2.6

ROE

(%)

5.6

10.3

△5.5

△15.7

財務健全性

D/Eレシオ

 

0.45

0.45

0.57

0.11

 

 

 

Ⅱ セグメント別

ⅰ 「マテリアル」セグメント(価値提供分野:「Environment & Energy」「Mobility」「Life Material」)

売上高は1兆3,166億円前期比1,066億円の増収となり、営業利益は410億円で前期比650億円の減益となりました。為替の円安や、石化製品市況高騰等を受けた価格転嫁による販売価格の上昇により増収となる一方、セパレータやエンジニアリング樹脂の販売数量減少や操業度が低下したほか、基盤マテリアル事業の交易条件悪化や在庫受払差の減益影響等により、大幅な減益となりました

 

・ 環境ソリューション事業

基盤マテリアル事業は、市況上昇や円安の一方で、原燃料価格高騰を受けた交易条件の悪化や在庫受払差の影響等により増収減益となりました。主力事業であるアクリロニトリル事業については、交易条件が悪化したことにより減益となりました。なお、同事業では、販売価格の原材料連動フォーミュラ化を進めるなど、市況の影響を受けにくい安定的な収益を創出できるよう努めています。リチウムイオン電池用セパレータの業績は、電気自動車等の環境対応車やスマートフォン等の民生機器、また蓄電システム(ESS)等の需要動向に影響を受けます。セパレータ事業は、湿式タイプの「ハイポア™」の需要が中国の景気後退や自動車減産の影響により民生用途・車載用途ともに減少し、減収減益となりました

 

・ モビリティ&インダストリアル事業

本事業は、自動車内装材やエンジニアリング樹脂等、自動車用途の製品の割合が大きいため、その業績は、グローバルでの自動車生産台数増減の影響を強く受けます。自動車内装材については、自動車減産の影響が改善したこと等を受けて需要が増加し、増益となりました。エンジニアリング樹脂については、自動車減産の影響の長期化や家電・OA機器向けの需要の減少により減益となりました。

 

・ ライフイノベーション事業

電子部品や電子材料を中心とするデジタルソリューション事業は、為替の円安影響に加え、上期は半導体市況の活況等により好調に推移したものの下期は需要減による販売数量が減少し、また、固定費の増加の影響もあり増収減益となりました。その他の事業(繊維事業や消費財事業等)は、円安効果があったものの、原燃料高騰に加え固定費増等により増収減益となりました

 

ⅱ 「住宅」セグメント(価値提供分野:「Home & Living」)

売上高は8,990億円前期比765億円の増収となり、営業利益は760億円で前期比31億円の増益となりました。


・ 住宅事業

建築請負部門は、物件の大型化・高付加価値化による平均販売単価の上昇やコストダウン等により資材価格高騰の影響をカバーし、増収増益となりました。不動産部門は、賃貸管理事業の順調な推移に加え、資産売却益が前年度より多かったことから、増収増益となりました。海外事業部門は、北米事業において、下期は金利上昇影響により工事件数が減少しましたが、為替の円安によるプラスと、Brewer社やFocus社の新規連結などがあったことにより、増収増益となりました

 

ⅲ 「ヘルスケア」セグメント(価値提供分野:「Health Care」)

売上高は4,969億円前期比810億円の増収となり、営業利益は419億円前期比103億円の減益となりました医薬・医療事業は、Bionova社の新規連結に伴う減益影響がある一方、主力製品が堅調に推移したことにより、増収増益となりました。クリティカルケア事業は、為替換算差の影響がありましたが、前期のCOVID-19による人工呼吸器特需の影響がなくなったことや、Itamar社、Respicardia社の買収影響等の一時要因に加え、部材調達難の影響等を受け、増収減益となりました。

 

・ 医薬・医療事業

医薬事業においては、「テリボン®」、「ケブザラ®」、「プラケニル®」、「Envarsus XR」の販売数量の好調な推移、ライセンス収入の増加、前期の導入一時金の差異等の販管費減少等により、増収増益となりました。医療事業においては、円安による為替換算差のプラス等があった一方、Bionova社の新規連結による減益影響や原燃料価格高騰、活動費が増加したこと等により増収減益となりました

 

・ クリティカルケア事業

「LifeVest®」事業は保険償還状況の改善や円安による換算差等により増益となりました。除細動器事業は前期の人工呼吸器特需の影響がなくなったことに加え、部材調達難による販売数量の減少及び調達費用の増加、景気後退に伴う下期を中心とした北米の医療機関向け除細動器の受注減少等により減益となりました。その他に、Itamar社の新規連結や前期のRespicardia社買収時の会計処理影響がなくなったことも減益要因となっています

 

Ⅲ 生産、受注及び販売の状況

ⅰ 生産実績

当社グループの生産品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではないため、セグメントごとに生産規模を金額あるいは数量で示すことはしていません

このため、生産の状況については、「Ⅱ セグメント別」における各セグメントの業績に関連付けて示しています

 

ⅱ 受注状況

当社グループは注文住宅に関して受注生産を行っており、その受注状況は次のとおりです。その他の製品については主として見込生産を行っているため、特記すべき受注生産はありません

セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高(百万円)

前期比(%)

住宅

355,551

92.5

503,040

94.3

 

 

ⅲ 販売実績

当期における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

販売実績(百万円)

前期比(%)

マテリアル

1,316,615

108.8

住宅

898,971

109.3

ヘルスケア

496,881

119.5

その他

14,019

108.1

合計

2,726,485

110.8

 

(注) 1 セグメント間の取引については、相殺消去しています。

2 前期及び当期において、主要な販売先として記載すべきものはありません。

 

 

② 財政状態

当期末の総資産は、Polypore社における固定資産の減損損失1,864億円を計上したものの、石化製品市況高騰や為替の円安等により棚卸資産が増加したことなどから、前期比1,055億円増加し、3兆4,545億円となりました。

流動資産は、棚卸資産が1,023億円、受取手形、売掛金及び契約資産が81億円、現金及び預金が65億円増加したことなどから、前期比1,540億円増加し、1兆4,882億円となりました。

固定資産は、有形固定資産が665億円、退職給付に係る資産が246億円増加したものの、無形固定資産が1,001億円、投資有価証券が341億円減少したことなどから、前期比485億円減少し、1兆9,663億円となりました。

流動負債は、1年内償還予定の社債が400億円、コマーシャル・ペーパーが110億円、前受金が105億円増加したものの、短期借入金が435億円、未払法人税等が406億円減少したことなどから、前期比117億円減少し、9,122億円となりました。

固定負債は、繰延税金負債が242億円、退職給付に係る負債が234億円減少したものの、長期借入金が1,556億円増加したことなどから、前期比1,399億円増加し、8,464億円となりました。

有利子負債は、前期比1,732億円増加し、9,395億円となりました。

純資産は、為替換算調整勘定が978億円、退職給付に係る調整累計額が305億円増加したものの、親会社株主に帰属する当期純損失を913億円計上したことや配当金の支払486億円があったことなどから、前期末の1兆7,188億円から228億円減少し、1兆6,960億円になりました。

その結果、1株当たり純資産は前期比18.04円減少し1,198.30円となり、自己資本比率は前期末の50.4%から48.1%となりました。D/E レシオは前期末から0.11ポイント増加し0.57となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

Ⅰ キャッシュ・フローの状況

当期のフリー・キャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計額)は、固定資産の取得や法人税等の支払などによる支出が増加し、1,228億円の支出となりました。財務活動によるキャッシュ・フローでは、長期借入れによる収入などにより、1,118億円の収入となりました。

以上の要因に加え、現金及び現金同等物に係る換算差額等により、現金及び現金同等物の期末残高は、前期末に比べて50億円増加し、2,479億円となりました。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当期の営業活動によるキャッシュ・フローは、法人税等の支払1,106億円、棚卸資産の増加841億円、税金等調整前当期純損失619億円などの支出があったものの、減損損失1,894億円、減価償却費1,390億円、のれん償却額377億円などの収入があったことから、908億円の収入(前期比925億円の収入の減少)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当期の投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却による収入432億円などがあったものの、有形固定資産の取得による支出1,520億円Bionova社及びFocus社の買収により連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出784億円、無形固定資産の取得による支出202億円などがあったことから、2,136億円の支出(前期比74億円の支出の減少)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当期の財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出755億円、配当金の支払額486億円、短期借入金の減少298億円などの支出があったものの、長期借入れによる収入2,096億円、社債の発行による収入500億円などの収入があったことから、1,118億円の収入(前期比695億円の収入の増加)となりました。

 

当社グループの連結キャッシュ・フローの推移

(単位:億円)

 

2020年度

2021年度

2022年度

営業活動によるキャッシュ・フロー①

2,537

1,833

908

投資活動によるキャッシュ・フロー②

△1,578

△2,210

△2,136

フリー・キャッシュ・フロー③(①+②)

959

△377

△1,228

財務活動によるキャッシュ・フロー④

△959

423

1,118

現金及び現金同等物に係る換算差額⑤

96

210

157

現金及び現金同等物の増減額⑥(③+④+⑤)

97

256

47

現金及び現金同等物の期首残高⑦

2,048

2,162

2,429

連結の範囲の変更に伴う増減額⑧

18

11

2

現金及び現金同等物の期末残高(⑥+⑦+⑧)

2,162

2,429

2,479

 

 

Ⅱ 流動性と資金調達の源泉

(資本の財源及び資金の流動性について)

2024年3月31日に終了する連結会計年度においては、上期は厳しい経営環境を想定するものの、下期にかけて利益回復の取り組みや経営環境の改善を見込んでおり、各セグメントにおいて前連結会計年度を上回るキャッシュ・フローを創出することを見込んでいます。加えて、財務規律の強化や事業ポートフォリオ転換などを通じた収益体質の強化にも取り組み、更なるキャッシュの創出に継続的に努めています。

また、当社グループでは、D/Eレシオ0.4~0.7を目安に健全な財務体質を維持しつつ、これを背景に金融情勢に機動的に対応し、金融機関借入、社債やコマーシャル・ペーパーの発行など多様な調達手段により、安定的かつ低コストの資金調達を図ります。同時に資金の年度別返済の集中を避けることで借り換えリスクの低減も図っています。

これらの資金を、経営基盤の強化・変革、持続可能な社会の実現と企業価値の継続的な向上のための戦略的な投資、及び株主の皆様への還元に活用していきます。

なお、当社グループでは、CMS(キャッシュ・マネジメント・システム)とグローバル・ノーショナル・キャッシュ・プーリングを導入しており、国内外の金融子会社、海外現地法人などにおいて集中的な資金調達を行い、子会社へ資金供給するというグループファイナンスの考え方を基本としています。グローバル拡大への対応とグループ経営の深化の視点から、今後も連結ベースでの資金管理体制の更なる充実と資金効率化を図ります。

 

(2) 重要な判断を要する会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりです。

当社グループは、退職給付会計、税効果会計、貸倒引当金、棚卸資産の評価、投資その他の資産の評価、訴訟等の偶発事象などに関して、過去の実績や当該取引の状況に照らして、合理的と考えられる見積り及び判断を行い、その結果を資産・負債の帳簿価額及び収益・費用の金額に反映して連結財務諸表を作成していますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

当社グループの財政状態又は経営成績に対して重大な影響を与え得る会計上の見積り及び判断が必要となる項目は以下のとおりです。なお、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しています。

 

① 棚卸資産の評価

当社グループで保有する棚卸資産は取得原価をもって貸借対照表価額とし、収益性の低下により期末における回収可能価額が取得原価よりも下落している場合には、回収可能価額まで棚卸資産の評価を切り下げています。回収可能価額は、商品及び製品については正味売却価額に基づき、原材料等については再調達原価に基づいています。経営者は、棚卸資産の評価に用いられた方法及び前提条件は適切であると判断しています。ただし、当社グループは、主に「マテリアル」セグメントを中心として市場価格の変動リスクに晒されており、将来、経営環境の悪化等により市場価格が下落した場合には棚卸資産の簿価を切り下げることになります。

 

② 企業結合取引の結果取得した無形固定資産の企業結合日時点における時価

当社グループは、企業結合取引の結果取得した無形固定資産の企業結合日時点における時価について、コスト・アプローチ、マーケット・アプローチ、インカム・アプローチなどの合理的に算定された価額を基礎として算定しています。

経営者は、無形固定資産の時価の見積りに用いられた、事業計画に含まれる将来の販売数量の見込みや割引率等についての主要な仮定について合理的であると判断しています。

 

③ 有形固定資産及び無形固定資産(のれんを含む)の減損

当社グループは、有形固定資産及び無形固定資産(のれんを含む)について、帳簿価額が回収できない可能性を示す事象や状況の変化が生じた場合に、減損の兆候があるものとして、減損損失の認識の判定を行っています。減損の存在が相当程度に確実と判断した場合、減損損失の測定を行い、当該資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しています。回収可能価額は、使用価値と正味売却価額のうち、いずれか高い金額としています。使用価値は、将来の市場の成長度合い、収益と費用の予想、資産の予想使用期間、割引率等の前提条件に基づき将来キャッシュ・フローを見積もることにより算出しています。

経営者は、減損の兆候及び減損損失の認識に関する判断、及び回収可能価額の見積りに関する評価は合理的であると判断しています。ただし、予測不能な市場環境の悪化等により有形固定資産及び無形固定資産(のれんを含む)の評価に関する見積りの前提に重要な変化が生じた場合には、減損損失を計上する可能性があります。

 

④ 繰延税金資産の評価

当社グループは、繰延税金資産のうち、回収可能性に不確実性があり、将来において回収が見込まれない金額を評価性引当額として設定しています。繰延税金資産の回収可能性については、課税所得及びタックスプランニングの見積りにより計上していますが、特に課税所得の見積りには将来に関する予測や情報が含まれています。将来の予測や情報に基づき、繰延税金資産の一部又は全部が回収できない可能性が高いと判断した場合には、将来回収が可能と判断される額までを繰延税金資産に計上しています。経営者は、繰延税金資産の回収可能性の判断及び前提となる課税所得やタックスプランニングの見積りは適切であると判断しています。ただし、将来、経営環境の悪化等により、想定していた課税所得が見込まれなくなった場合は、評価性引当額を設定することにより繰延税金資産が取崩される可能性があります。

 

⑤ 退職給付債務及び費用

当社グループは主として従業員の確定給付制度に基づく退職給付債務及び費用について、割引率、昇給率、退職率、死亡率、年金資産の長期期待運用収益率等の前提条件を用いた数理計算により算出しています。割引率は測定日時点における、従業員の給付が実行されるまでの予想平均期間に応じた長期国債利回りに基づき決定し、各前提条件については定期的に見直しを行っています。長期期待運用収益率については、過去の年金資産の運用実績及び将来見通しを基礎として決定しています。

経営者は、年金数理計算上用いられた方法及び前提条件は適切であると判断しています。ただし、前提条件を変更した場合、あるいは前提条件と実際の数値に差異が生じた場合には、数理計算上の差異が発生し、当社グループの退職給付債務及び費用に影響を与える可能性があります。