E02121 Japan GAAP
前期
94.5億 円
前期比
101.2%
株価
906 (04/30)
発行済株式数
5,000,000
EPS(実績)
30.81 円
PER(実績)
29.40 倍
前期
517.7万 円
前期比
97.1%
平均年齢(勤続年数)
39.6歳(12.1年)
従業員数
293人(連結:389人)
当社グループは、当社(株式会社山王)及び子会社2社(Sanno Philippines Manufacturing Corporation(以下SPMC)、Sanno Land Corporation(以下SLC))により構成されており、コネクタ・スイッチ等の電子部品の精密プレス加工及び金型製作、貴金属表面処理加工を主たる業務としております。
なお、精密プレス加工と貴金属表面処理加工を一貫して行う能力を有することで、得意先の求める品質・価格・納期の対応を行っております。
両工程の内容は次のとおりであります。
(1) 精密プレス加工工程
日本セグメントにおいて、顧客である主にコネクタメーカー(注1)より依頼を受けて、コネクタのプレス金型の設計・製作を行い、製作した金型を使ってプレス材料(主に銅合金を伸銅した条材)をプレス加工し、フープ成型品(連続したキャリア部分(注2)をもつプレス成型品)を生産しております。
携帯機器等の製品の小型化の要請に応え、現在プレス加工は、1,000分の1ミリメートルのレベルでの寸法管理を行っており、成型品の材料の厚さは0.05ミリメートル、ピッチ(ピン間隔)は0.25ミリメートルの製品まで金型の設計・製作及びプレス加工を行っております。一方小型化を優先しない部品として車載向け製品など、製品ピッチの大きい品物の加工も行っております。
(2) 表面処理加工工程
日本・フィリピンセグメントにおいて、コネクタ、スイッチ、ICソケット等の接点部品であるプレス成型品への高速金めっき加工、パラジウムニッケル合金めっき加工、錫めっき加工等を行っております。特に、精密部分金めっき加工(ニッケルバリア(注3)、スポットめっき(注4))や、環境対応の仕様として鉛を含まない半田(錫銅合金・純錫等)めっき加工を、リールtoリール(注5)により行っております。
なお、当社グループが精密プレス加工及び表面処理加工を行っている電子部品は、以下の用途に使用されております。
区 分 |
内 容 |
パソコン関係 |
デスクトップパソコン、ノートパソコン、プリンター等の周辺機器及び接続、配線機器 |
携帯電話 |
スマートフォン・タブレット端末・携帯電話の搭載品、バッテリー関係の周辺機器 |
車載 |
自動車の制御部分・計器類及びエアバッグ等、カーナビ装置等の機器類 |
デジタル家電 |
デジタルカメラ、デジタルテレビ、DVD等 |
産業用機器 |
工作機械、計測器、監視カメラ、産業用・工業用機器、半導体製造装置、サーバー等 |
ゲーム機器 |
パチンコ等アミューズメント機器、家庭用ゲーム機等 |
カード |
カード用のソケット・メモリーカード等の記憶装置、ICカード等の機器 |
その他 |
基地局等の通信機、モバイル及び上記に分類されない機器・装置等 |
(注) 1.電子部品の設計製造、販売を行っているメーカーです。
2.帯状に連続したガイド部をキャリアと呼んでおります。これに一定間隔でプレス成型された端子が付いており、リールに巻き取って取り扱います。このガイド部を引き出すことにより、端子も繰り出され、連続で表面処理加工を行った後、再びリールに巻き取ります。
3.電子機器の小型化により、コネクタ部品も小さくなり、半田付けで組み込む際に必要部分以上に半田が吸い上がってしまうのを防止する加工仕様の名称です。
4.必要な部分にのみ、ピンポイントで金めっきを行う加工方法の名称です。
5.金属コネクタにおいて、精密プレス加工を行いリールに巻き取った長い素材を繰り出して連続で表面処理加工を行った後、再びリールに巻き取り工程が終了する一連の加工方法をリールtoリールと呼んでおります。
以上述べた事項を系統図に示すと次のとおりであります。
※画像省略しています。
(1)経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済におきましては、供給面での制約による半導体等の調達難は緩和されつつあるものの、世界的な金融引き締めの継続により欧米における景気後退リスクが意識されており、ウィズコロナによる需要回復、アメリカ経済における労働力不足及びウクライナ危機に伴う資源価格高騰により物価が上昇しているだけでなく、中国経済の停滞についても懸念される状況にあります。
わが国経済におきましても、輸出の底堅い動きで新型コロナウイルスの影響から景気は持ち直しておりますが、国内企業物価は緩やかに下落しているものの高い水準の賃上げなどにより消費者物価は上昇するなど、先行き不透明な状況が続いております。
当社グループが属する電子工業界では、中長期的には市場の拡大による成長の途上にありますが、第2四半期連結累計期間まで堅調であった産業機器向け分野や民生用機器向け分野における在庫調整等の影響で第3四半期連結累計期間以降は想定以上に需要が大きく落ち込み、また自動車向け分野において本格的な需要の回復に至っていないなど、当連結会計年度においては総じて需要が急激に減少する厳しい市場環境にありました。
このような状況のもと当社グループは、微細めっき技術の追求等による品質向上や、製造工程の自動化、エネルギー価格の急激な上昇の影響を最小限にとどめるべく生産拠点管理の効率化による生産性向上に積極的に取り組んでまいりました。
この結果、当連結会計年度の売上高は9,563百万円(前年同期比1.2%増)、営業利益は205百万円(前年同期比59.0%減)、経常利益は239百万円(前年同期比52.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は154百万円(前年同期比56.7%減)となりました。
なお、セグメント毎の経営成績は次のとおりであります。
① 日本
当連結会計年度は、5G向けを中心とした通信分野や自動車向け分野での部品需要に対応すべく積極的な受注活動、生産体制の拡充に努め通信分野や自動車分野での最先端製品の受注による追い風を受けましたが、産業機器向け分野並びに民生用機器向け分野の在庫調整等の需要落ち込みが急激であったことに加え、世界的なエネルギー価格の高騰や積極的な投資による償却費負担の増加もあり収益性が悪化する厳しい経営環境となりました。
この結果、売上高は7,575百万円(前年同期比3.6%減)、営業利益は51百万円(前年同期比85.7%減)となりました。
② フィリピン
当連結会計年度は、車載関連を中心とした受注の回復等により増収となり、また、生産体制見直し等の収益改善活動が奏功いたしました。
この結果、売上高は2,003百万円(前年同期比22.7%増)、営業利益は79百万円(前年同期比18.6%増)となりました。
(2)財政状態の状況
当連結会計年度末の総資産は、現金及び預金が522百万円、建設仮勘定が467百万円増加したものの、売掛金658百万円、流動資産その他が346百万円減少したことなどから、前連結会計年度末と比べ9百万円減少し、11,608百万円となりました(前連結会計年度末は11,617百万円)。
負債は、長期借入金が146百万円増加したものの、流動負債その他が306百万円、短期借入金が120百万円減少したことなどから、前連結会計年度末と比べ334百万円減少し、5,661百万円となりました(前連結会計年度末は5,995百万円)。
また純資産は、為替換算調整勘定が205百万円、利益剰余金が107百万円増加したことなどから、前連結会計年度末と比べ325百万円増加し、5,946百万円となりました(前連結会計年度末は5,621百万円)。
(3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は前連結会計年度末と比較して580百万円減少し、2,203百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、1,185百万円増加(前年同期は145百万円の増加)となりました。これは主に棚卸資産の増加が162百万円あったものの、売上債権の減少が883百万円、減価償却費が510百万円あったことなどによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、2,049百万円の減少(前年同期は372百万円の減少)となりました。これは主に定期預金の預入による支出1,080百万円、有形固定資産の取得による支出が954百万円あったことなどによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、196百万円の増加(前年同期は146百万円の減少)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出が269百万円、短期借入金の減少が120百万円あったものの、長期借入れによる収入が500百万円、セールス・アンド・リースバック取引による収入が234百万円あったことなどによるものであります。
(4)生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
生産高(千円) |
前年同期比(%) |
日本 |
7,727,103 |
△4.5 |
フィリピン |
1,477,708 |
3.0 |
合計 |
9,204,811 |
△3.4 |
(注)金額は販売価格によっております。
② 受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
日本 |
7,608,801 |
△8.3 |
514,272 |
△32.9 |
フィリピン |
1,867,439 |
25.4 |
28,501 |
118.5 |
合計 |
9,476,241 |
△3.1 |
542,773 |
△30.4 |
(注)金額は販売価格によっております。
③ 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
販売高(千円) |
前年同期比(%) |
日本 |
7,560,089 |
△3.3 |
フィリピン |
2,003,392 |
22.7 |
合計 |
9,563,481 |
1.2 |
(注)セグメント間取引については相殺消去しております。
(5)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態の分析
「(2) 財政状態の状況」に記載のとおりであります。
② 経営成績の分析
「(1) 経営成績の状況」に記載のとおりであります。
このような状況のもと、当社グループは、需要が拡大している5G向け製品や産業機器、自動車部品の受注拡大に向け東北事業部での新ライン増強を進めるなど積極的な設備投資を実施し、一層の受注拡大に努めてまいります。
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の詳細につきましては、「(3) キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資金需要のうち主なものは、貴金属表面処理加工工程を中心とした国内同工程の生産性向上を目的とする設備増強であります。
また、当社グループが使用する主材料のうちシアン化金カリウムは高価であることから、調達コストを抑えるため現金購入を行っておりますが、主材料購入が主要な資金需要の一部分になっております。
上記の資金需要に対応するため、当社グループは取引金融機関から資金調達を行っております。
④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成に当たっては、決算日における資産・負債の報告数値及び偶発債務の開示、並びに報告期間に収入・費用の報告数値に影響を与える見積り及び仮定の設定を行い、提出日現在において判断したものであり、将来に関しては不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
なお、重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。