売上高

利益

資産

キャッシュフロー

セグメント別売上

セグメント別利益

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率

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最終更新:

E21955 Japan GAAP

売上高

1,180.9億 円

前期

1,037.6億 円

前期比

113.8%

時価総額

520.5億 円

株価

2,927 (04/25)

発行済株式数

17,784,210

EPS(実績)

237.91 円

PER(実績)

12.30 倍

平均給与

729.4万 円

前期

717.3万 円

前期比

101.7%

平均年齢(勤続年数)

41.9歳(15.1年)

従業員数

91人(連結:2,357人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

 当社グループは、当社、子会社13社、関連会社12社で構成され、鉄構セグメント、土木セグメント、建築セグメント、ソリューションセグメント及びその他事業を主な事業の内容とし、更に各事業に関連する研究やサービス等の事業活動を展開しています。

 当社は川田工業株式会社の純粋持株会社として2009年2月27日付で設立され、当社グループ全体の経営計画管理、グループ企業の調整・指導及び各事業に関する研究開発等の業務を行います。また、当社は特定上場会社等に該当し、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準のうち、上場会社の規模との対比で定められる数値基準については、連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。

 なお、当社グループの事業に係る位置付け及びセグメントとの関連は、次のとおりであり、セグメントと同一の区分であります。

セグメントの名称

主な事業内容

主要な会社名

鉄構

鋼製橋梁(鋼橋)及び建築鉄骨の設計・製作・架設据付、鋼材製品の販売

川田工業㈱、富士前鋼業㈱

土木

PC橋梁、プレビーム橋梁の設計・製作・架設据付及び橋梁保全工事請負

川田建設㈱

建築

一般建築及び国内におけるシステム建築の設計・工事請負

川田工業㈱

ソリューション

ソフトウエアの開発・販売及びシステム機器の販売、橋梁等の構造解析及び設計・製図

川田テクノシステム㈱

次世代型産業用ロボット等の製造及び販売

カワダロボティクス㈱

各種機械装置、コンピューターシステム、ソフトウエアの開発・設計・販売及びコンサルティング

カワダロボティクス㈱

その他

橋梁付属物の販売

㈱橋梁メンテナンス

航空機使用事業

東邦航空㈱、新中央航空㈱

建設工事の請負並びに企画、設計、監理及びコンサルティング

佐藤工業㈱

 

 事業の系統図は次のとおりであります。

 

※画像省略しています。

 

23/06/30

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 ① 財政状態の状況

 当連結会計年度末における「資産の部」は162,158百万円となり、前連結会計年度末に比べ28,820百万円(+21.6%)増加しました。これは主に、受取手形・完成工事未収入金等が20,527百万円、流動資産のその他(未収消費税等)が3,333百万円、現金預金が1,985百万円、リース資産が1,939百万円それぞれ増加したことによるものであります。

 また、「負債の部」は85,460百万円となり、前連結会計年度末に比べ24,045百万円(+39.2%)増加しました。これは主に、短期借入金が14,663百万円、支払手形・工事未払金等が10,331百万円それぞれ増加したことによるものであります。

 一方、「純資産の部」は76,697百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,775百万円(+6.6%)増加しました。これは主に、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益を計上したことによる利益剰余金の増加によるものであります。この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の53.2%から46.6%となりました。

 

 ② 経営成績の状況

 当社グループは、2020年6月に「第2次中期経営計画(2020年度~2022年度)」を策定し、基本方針に基づき、その実現に向けて各種施策に取り組んでまいりました。その計画期間中の当社を取り巻く環境は、新型コロナウイルス感染症の影響や鋼材をはじめとした資材価格の高騰、半導体不足など厳しい状況が続きましたが、基幹事業における市場環境は底堅く推移しました。

 その結果、数値目標については、売上高は目標に届かなかったものの、営業利益と自己資本比率については目標を達成することができました。

 しかしながら、今後の当社グループを取り巻く事業環境は、主要原材料である鋼材価格については一時期に比べると落ち着いているものの、今後の動向は依然不透明な状況であり、また電力使用料や労務費は引き続き上昇傾向が続くことが予想され、コストの増加は避けられないものと考えています。市場環境といたしましては、公共投資である鉄構セグメントの鋼製橋梁事業や土木セグメントのPC橋梁関係は、更新・保全市場の拡大に加え、現在計画されている大型プロジェクトの発注が見込まれていることなどから、概ね堅調に推移すると思われます。また鉄構セグメントの鉄骨事業や建築セグメントの民間投資についても首都圏大型再開発案件が今後一定程度見込まれていることや当社グループがターゲットとしている物流施設等に底堅い需要が見込まれています。

 このような事業環境に対し、2023年5月に「第3次中期経営計画(2023年度~2025年度)」を策定し、基幹事業における収益力強化と成長事業における事業規模拡大に努めることで利益水準の向上を図るとともに、資本コストを意識したROE向上を目指した経営を推進してまいります。

 その結果、当社グループの当連結会計年度における業績は、売上高118,086百万円(前連結会計年度比13.8%増)、営業利益5,025百万円(同21.6%減)、経常利益6,298百万円(同18.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は4,231百万円(同18.3%減)となりました。受注高につきましては127,657百万円(同6.8%増)となりました。

 

 なお、セグメントの業績は、次のとおりであります。(セグメントの業績については、セグメント間の内部売上高等を含めて記載しています。)

 

(鉄構セグメント)

 当セグメントの中の鋼製橋梁事業につきましては、受注高は前連結会計年度において高速道路会社の大型工事の受注があった反動で若干下回る結果となったものの、内容的には国土交通省や地方自治体の大型案件を積み上げることができ、特に国土交通省関連では、ターゲットとする案件の発注が無かった地方整備局を除き、全ての地方整備局から受注することができました。売上高は大型特定更新工事のピークが超えたことや一部工事において下部工等の遅れにより工程が遅延したことなどにより前連結会計年度より減少いたしました。営業利益は一部の大型工事において設計変更を獲得できたものの、当連結会計年度は竣工を迎えた工事が相対的に少なく、結果として前連結会計年度に計上した設計変更額の水準までには至らなかったことで前連結会計年度を下回りました。

 鉄骨事業につきましては、受注高は九州地区での半導体関連施設の受注に加え、当第4四半期におきましても首都圏の再開発案件をはじめとした大型工事を積み上げることができたことで前連結会計年度を上回りました。売上高は首都圏の再開発工事に加え、九州地区での半導体関連施設の進捗が概ね順調に推移したことで前連結会計年度を上回りましたが、営業利益につきましては、前連結会計年度を上回ったものの、一部に採算性が悪化した案件が発生したことで売上ボリューム増加による利益増を縮小させる結果となりました。

 セグメント全体では売上高56,071百万円(前連結会計年度比12.1%増)、営業利益4,097百万円(同24.5%減)となりました。また、受注高は63,192百万円(同7.1%増)となりました。

(土木セグメント)

 土木セグメントにつきましては、受注高は当第4四半期においても高速道路会社発注の大型更新工事の受注を積み上げることができたことで36,879百万円(前連結会計年度比17.4%増)と前連結会計年度を上回りました。

 売上高は、新設事業の進捗が順調に推移したことに加え、当第4四半期に保全事業の設計変更を計上できたことにより35,035百万円(同6.0%増)となりました。営業利益につきましては、新設、保全事業については採算性の改善が図られた工事があったものの、更新事業において工期や進捗状況等の関係で発注者との設計変更協議までには至らず原価が先行する工事が多かった影響で2,067百万円(同13.2%減)と前連結会計年度を下回る結果となりました。

(建築セグメント)

 建築セグメントにつきましては、受注高は期初に受注した大型冷凍冷蔵倉庫案件の計画中止による受注取消があった影響や当第4四半期の受注が伸び悩んだことで、12,719百万円(前連結会計年度比19.1%減)と前連結会計年度を下回りました。売上高はシステム建築をはじめとした大型工事が概ね順調に推移したことで14,158百万円(同47.4%増)と前連結会計年度を上回ることができたものの、損益面につきましては多層階物流倉庫の複数案件で資機材などの調達コストの上昇を受け、採算性の改善を図るべく発注者と協議を重ねてまいりましたが、コスト上昇分をカバーするまでには至らず、営業損失423百万円(前連結会計年度は営業利益56百万円)という結果になりました。

(ソリューションセグメント)

 ソリューションセグメントにつきましては、当連結会計年度においても、国土交通省がDX政策の一環として取り組んでいるBIM/CIMの推進を追い風に、ソフトウエア関連事業の売上を伸ばすことができたことに加え、サブスクリプション化による販売効率の向上が図られ、その結果、収益率の改善が図られたことにより、受注高6,992百万円(前連結会計年度比11.4%増)、売上高6,371百万円(同13.7%増)、営業利益2,047百万円(同63.5%増)といずれも大幅に改善いたしました。

(その他)

 その他につきましては、航空機使用事業において新型コロナウイルス感染症の影響で売上が落ち込んでいた離島定期路線や伊豆諸島間を結ぶヘリコミューター「東京愛らんどシャトル」の売上が回復したことやヘリコプターの整備事業の売上が伸びたことにより、売上高は7,989百万円(前連結会計年度比11.6%増)となり、損益面は営業損失162百万円(前連結会計年度は営業損失297百万円)と損失幅が縮小しました。

 

 ③ キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、1,986百万円増加し15,661百万円(前連結会計年度比+14.5%)となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、9,673百万円の資金減少(前連結会計年度は20,391百万円の資金増加)となりました。これは主に、売上債権の増加等による資金の減少があったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、1,504百万円の資金減少(前連結会計年度は1,948百万円の資金減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得等による資金の減少があったことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、12,213百万円の資金増加(前連結会計年度は15,811百万円の資金減少)となりました。これは主に、借入金の増加等による資金の増加があったことによるものであります。

 

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.受注実績

 当連結会計年度における受注実績をセグメント毎に示すと次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高(百万円)

前期比(%)

鉄構

63,192

7.1

84,990

9.1

土木

36,879

17.4

49,100

3.9

建築

12,719

△19.1

16,526

△8.0

ソリューション

6,992

11.4

3,355

22.7

その他

7,873

9.6

391

△22.9

合計

127,657

6.8

154,364

5.5

(注) セグメント間の取引については、相殺消去していません。

 

b.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメント毎に示すと次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前期比(%)

鉄構

56,071

12.1

土木

35,035

6.0

建築

14,158

47.4

ソリューション

6,371

13.7

その他

7,989

11.6

合計

119,626

13.5

(注)1 セグメント間の取引については、相殺消去していません。

2 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。なお、最近2連結会計年度の主要な相手先別の販売実績のうち、当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満の相手先につきましては記載を省略しています。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

西日本高速道路㈱

16,504

15.9

16,620

14.1

中日本高速道路㈱

11,416

11.0

 

 

 当社グループでは生産実績を定義することが困難であるため「生産実績」は記載していません。

 

 なお、参考のため連結子会社である川田工業㈱個別の事業の状況は次のとおりであります。

 

a.生産実績

セグメントの名称

前事業年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

当事業年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

金額(百万円)

金額(百万円)

鉄構

49,830

55,590(11.6%増)

建築

9,506

14,136(48.7%増)

その他

147

153( 4.1%増)

合計

59,484

69,881(17.5%増)

(注)1 生産高は、当事業年度工事総費用を契約高に換算したものであります。

2 生産高には、外注生産高が含まれています。

 

b.受注実績

期別

セグメントの名称

前期繰越工事高(百万円)

当期受注工事高(百万円)

(百万円)

当期完成工事高(百万円)

次期繰越工事高(百万円)

前事業年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

鉄構

68,896

58,948

127,845

49,975

77,869

建築

11,857

15,715

27,573

9,607

17,965

その他

156

156

156

合計

80,754

74,821

155,575

59,740

95,835

当事業年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

鉄構

77,869

63,062

140,931

55,919

85,012

建築

17,965

12,719

30,684

14,158

16,526

その他

186

186

186

合計

95,835

75,968

171,803

70,264

101,538

(注)1 前事業年度以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注工事高にその増減額を含みます。従って、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれています。

2 当事業年度の次期繰越工事高のうち請負金額70億円以上の主なものは、次のとおりであります。

西日本高速道路㈱

中国自動車道(特定更新等)吹田JCT~中国池田IC間橋梁更新工事

2024年6月完成予定

首都高速道路㈱

高速1号羽田線(東品川桟橋・鮫洲埋立部)更新工事

2025年7月  〃

㈱大林組

品川開発プロジェクト(第1期)4街区 本体鉄骨 北棟A工区

2024年4月  〃

清水建設㈱

鉄骨関連その他工事

2023年5月  〃

西日本高速道路㈱

新名神高速道路 高槻高架橋西(鋼上部工)工事

2027年2月  〃

 

 

c.販売実績

セグメントの名称

前事業年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

当事業年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

金額(百万円)

金額(百万円)

鉄構

49,975

55,919(11.9%増)

建築

9,607

14,158(47.4%増)

その他

156

186(18.9%増)

合計

59,740

70,264(17.6%増)

(注)1 前事業年度の完成工事高のうち請負金額40億円以上の主なものは、次のとおりであります。

首都高速道路㈱

(修)上部工補強工事1-207

中日本高速道路㈱

名古屋第二環状自動車道 服部高架橋他2橋(鋼上部工)工事

中日本高速道路㈱

名古屋第二環状自動車道 大西南第二高架橋他10橋(鋼上部工)工事

国土交通省

平成30-32年度 新町川橋上部工事

中日本高速道路㈱

新東名高速道路 上粕屋高架橋他5橋(鋼上部工)工事

当事業年度の完成工事高のうち請負金額10億円以上の主なものは、次のとおりであります。

㈱竹中工務店

八重洲二丁目北地区第一種市街地再開発事業新築工事 A-1街区

清水建設㈱

東急MILANO再開発新宿 雑鉄骨工事外注

大成建設㈱

長崎TEC増強工事 第6DI棟

㈱竹中工務店

阪神阪急梅田一丁目一番地 D2 附帯鉄骨(F工区全節)

東洋エンジニアリング㈱

蒲郡バイオマス発電設備建設工事 燃料貯蔵棟工事一式

2 完成工事高総額に対する割合が100分の10以上となる相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりであります。

前事業年度

 西日本高速道路㈱ 9,590百万円 16.1%

当事業年度

 西日本高速道路㈱ 9,162百万円 13.1%

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

 ① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(イ)財政状態

 財政状態の状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態の状況」に記載のとおりでありますが、当連結会計年度におきましては、資産の部では売掛債権(受取手形・完成工事未収入金等)が20,527百万円増加し、これに対応する形で負債の部では支払手形・工事未払金等が10,331百万円、短期借入金が14,663百万円、いずれも前連結会計年度に比べ増加しました。

 この要因といたしましては、鉄構セグメントの中の鋼橋事業と土木セグメントにおいて複数年に跨る大型案件で工期途中の案件が増加し、当連結会計年度の中盤から運転資金が膨れ上がったことによるものと分析しています。近年の傾向として、橋梁事業において大規模更新事業や大規模補修案件の増加により、案件の大型化が顕著となり、結果として当該年度における竣工案件の多寡が運転資金に影響を及ぼしてきています。

 次に、総資産は28,820百万円増加の162,158百万円となり、純資産比率は前連結会計年度末比6.6%低下の47.3%となりました。これは上記運転資金の膨れ上がりに加え、投資有価証券が前連結会計年度に比べ1,152百万円、関係会社株式が同じく454百万円増加したことが主な要因ですが、前者は保有投資有価証券の評価額の上昇によるもの、また後者は持分法適用会社に係る持分法による投資利益を計上したことによるものであります。

(ロ)経営成績

 当連結会計年度は2020年度をスタートとした第2次中期経営計画の最終年度でした。結果として、売上目標は達成できませんでしたが、収益目標や財務体質の強化に関わる目標は達成することができました。

〔第2次中期経営計画目標実績(カッコ内は計画値)〕

売 上 高(3年平均)     1,124億円(1,160億円)

営業利益(3年平均)          56億円(42億円)

自己資本比率(19年度比)   3.6%改善(3.0%以上改善)

 売上高に関しては、当計画期間を通して新型コロナウイルス感染症が民間設備投資に係る建築事業や航空機使用事業関連に影響を及ぼしたことが要因と分析しています。利益に関しては、公共投資に係る橋梁事業や都内再開発に係る超高層ビルや半導体工場向け鉄骨が底堅く推移したことが主な要因と考えています。

 

当経営計画期間中の経営成績に係るポイントと考えられる事象は次のとおりであります。

(a)「新設」から「補修・保全」へのシフト

橋梁事業(鋼製及びPC橋梁)において「補修・保全」へのシフトは顕著になってきており、PC業界においては発注の半分以上を占めるまでになっています。これに対して当社グループは一定の対応はできているものの、案件の大型化などへの対応に課題を抱えています。

(b)工場稼働の平準化・安定化

鉄構セグメントのビル用鉄骨については、民間設備投資に左右される部分があり、案件の発注状況、受注案件の進捗状況によって工場の稼働へ影響が出てくるケースがあります。今後、影響が出る可能性の把握体制や出た場合の対応策、軽減策を整備・強化していく必要があると考えています。

(c)受注体制の強化

建築セグメントでは、新型コロナウイルス感染症の影響もあったものの、計画期間を通じて受注の伸び悩みが顕著となりました。リピーター顧客の投資計画で受注が左右される傾向が強い状況にあります。得意とするシステム建築の市場環境自体は悪くない状況の中での受注が低迷した要因分析を行い、今後の改善に繋げていく必要があると考えています。

 なお、当連結会計年度における当社グループを取り巻く事業環境や経営成績、セグメントごとの状況につきましては「(1)経営成績等の状況の概要 ②経営成績の状況」に記載のとおりであります。

(ハ)当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社グループの事業は基本的に個別受注方式でありますので、それぞれの事業の市場環境や発注状況が事業ボリュームや採算性に大きな影響を与えますが、その具体的な内容は次のとおりであります。

 鉄構セグメントにおける鋼橋事業及び土木セグメントにおけるPC橋梁事業の市場は、その相当部分が公共事業となる国や地方自治体からの発注と、同様の色彩が強い高速道路会社からの発注であるため、政策や財政状況の悪化などにより発注状況が変化します。次に鉄構セグメントにおける鉄骨事業及び建築セグメントの建築事業が対象とする市場は、民間設備投資に係るものであるため、景気動向に左右される傾向にあります。

 また、当社グループの損益においては持分法適用関連会社である佐藤工業株式会社を筆頭とする佐藤工業グループの持分法投資損益が大きく影響する傾向にあります。すなわち当社グループは佐藤工業株式会社の49.9%の株式を保有しており、佐藤工業グループの資本及び対応する期間損益が持分割合に応じて当社グループの損益に反映されることになりますが、佐藤工業グループの事業規模が当社グループより大きいこともあり、その資本及び対応する期間損益の状況によって当社グループの経常損益以下に大きく影響を与える可能性があります。

 その他の影響を与える要因やリスクにつきましては「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

(ニ)セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容について

 当社の基本戦略は、当社グループの企業が各々持つ専門的な技術を活かしてシナジー効果を高め売上と利益の拡大を継続的に図るとともに、関連する新市場への進出を図ることでありますが、セグメント別の認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 鉄構セグメントの鋼橋事業では、当面は関西方面での大型案件や「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」に係る道路の4車線化に向けた発注等が見込まれることから、一定程度の発注量が見込まれていますが、新設は長期的には緩やかな減少が想定されています。そのため、今後ますます受注競争が激化することが見込まれますが、当社グループでは受注力の強化に向けて入札における技術提案力や積算精度を向上させ、適正な事業量と収益の維持・拡大を目指します。また、新設鋼橋市場の縮小により工場製作する鋼構造製品の減少に備え、複合構造橋梁・合成床版の拡販と土木・海洋構造物市場等への展開にも取り組んでまいります。

 次に同セグメントの鉄骨事業では、首都圏を中心とした大型再開発案件を中心に事業展開を行っていますが、長引いていた五輪後の大型案件までの端境期が漸く終わり商談が本格化してきています。当社といたしましては、市場拡大に向けた工場ラインの増強や効率化投資を行ってきており、今後、鉄骨の製作とともに鉄骨建方まで一貫して対応できる強みを生かしつつ、事業ボリュームと収益の拡大を目指してまいります。

 土木セグメントではPC橋梁市場において「新設」・「更新」・「保全」の3本柱を主体とする事業体制を確立し、プロジェクト・マネジメントを取り入れ、受注確保、原価低減、固定費圧縮の徹底を図っています。

 そのような中、高速道路会社の床版取替えを中心とした更新工事市場は近年急速に拡大したことに伴いゼネコンの進出が顕著となってきており、また案件の大型化に伴い、選別受注を余儀なくされる事態となっています。

 今後はJVでの受注も視野に受注戦略を再検討するなど、受注の安定的な確保と採算性の向上で一層の収益拡大を目指してまいります。

 建築セグメントでは、新型コロナウイルス感染症の影響を色濃く受けていました。そのような中、これまで新たなターゲット市場として位置付けていた大型多層階倉庫を複数受注することができました。しかしながら、その後のロシアのウクライナ侵攻に端を発した原材料価格の上昇の波を受け、大幅な採算悪化を招き、当連結会計年度の損益に影響を及ぼす結果となりました。当社といたしましては、今回の件を糧とし、受注力の強化、施工体制の見直し等を行い、収益性の高いセグメントの再構築を目指してまいります。

 ソリューションセグメントにつきましては、国土交通省が推進するDX化の流れに乗って、設計から工事までのBIM/CIMが本格化する中、3次元CADを基軸とした当社グループの製品群が好調に推移したことに加え、これまで行ったM&Aの効果等もあり好調に推移しました。この事業環境は当面続くと想定されることから、当社グループといたしましては引き続き成長分野と位置付け、積極的に取り組んでまいります。

 その他では航空機使用事業は新型コロナウイルス感染症の影響で業績の低迷が続きましたが、徐々に改善してきています。また、受注の伸び悩みで業績が悪化した橋梁付属物販売事業につきましては今後受注の確保と固定費の圧縮を行うことにより採算性の向上を図ります。

 

 ② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

・キャッシュ・フロー

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

 その中で、当連結会計年度のキャッシュ・フローの特徴的な点として税金等調整前当期純利益が5,933百万円、減価償却費が2,874百万円あったにも関わらず、営業活動によるキャッシュ・フローは9,673百万円のマイナスとなっています。これは、鉄構セグメントの中の鋼橋事業と土木セグメントにおいて複数年に跨る大型案件が工期途上となり、当連結会計年度の中盤から運転資金が膨れ上がったことが主な要因です。これに伴い、短期借入金を14,663百万円増加させるなどで対応しましたので、財務活動によるキャッシュ・フローは12,213百万円のプラスとなりました。

・資金需要

 当社グループの事業活動における資金需要には大きく分けて運転資金と設備資金があります。

 運転資金需要の主なものは橋梁やビル用鉄骨製作に係る原材料費、外注費、労務費、一般管理費等があります。当連結会計年度におきましては上述のとおり特に鉄構セグメントと土木セグメントで増加いたしました。

 設備資金需要としては橋梁及び同関連製品やビル用鉄骨を製作・加工する工場用の土地や建物、機械設備のほか、航空機使用事業を営むに必要なヘリコプターの機体や整備工場や格納庫等があります。当連結会計年度におきましては全体で4,087百万円の設備投資を行っていますが、その内訳は「第3 設備の状況 1 設備投資等の概要」に記載のとおりであります。

・財務政策

 当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するために、内部資金の活用とともに金融機関からの借入(金融機関引き受けによる私募債含む)を中心とした資金調達を行っています。

 運転資金需要については当社グループのコア事業が個別受注型の事業形態であるため、受注した案件の金額や工期、回収条件によって必要となる運転資金の額や時期が異なります。そのことを踏まえ、その時々の受注内容を全体として管理しながら必要な運転資金を調達しています。また基本的には複数年に亘る案件がほとんどであるため、調達に際しては必要金額の全体を俯瞰した上で、短期借入と長期借入を組み合わせ、資金調達の弾力性を確保しています。短期資金については金融機関14行との間で総額298億円の当座貸越契約を個別に締結し、十分な借入枠を確保するとともに、長期資金については年間の調達計画を作成の上、その計画に沿って随時調達を行っています。

 金融機関に対しては平素より業績や資金の状況について説明を行うことで信頼関係を維持し、財務の安定性と弾力性を確保しています。

 また、金利面につきましては過度の金利変動リスクを回避すべく、一部の借入については金利スワップなどの手段で金利の固定化を図り、変動金利部分と固定金利部分のバランスを取っています。

・経営資源の配分

 当社グループでは事業活動から得られる営業キャッシュ・フローについては将来に向けての「設備投資」と「株主還元」、「財務体質強化」に適切なバランスをもって配分する方針としています。そのような中で、2020年度を初年度とする第2次中期経営計画の実績は以下のとおりとなりました。(カッコ内は計画値)

営業キャッシュ・フロー(3年間計)                       208億円(150億円)

 

設備投資  99億円(100億円)

株主還元(※)22億円(15億円)

財務体質強化 87億円(35億円)

(※)株主還元に関しましては、損益状況やキャッシュ・フロー、また昨今の上場企業を取り巻く状況等を鑑み、2023年2月より、配当方針をこれまでの「安定した配当」方針に加え、「連結配当性向30%を目途」とする方針へ変更しています。

 

 ③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表作成にあたっては、当連結会計年度末日における資産・負債の報告金額並びに当連結会計年度における収益・費用の報告金額に関する見積り、判断及び仮定を使用する必要があります。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、将来においてこれらの見積りとは異なる結果となる可能性があります。

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。