売上高

利益

資産

キャッシュフロー

セグメント別売上

セグメント別利益

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率

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最終更新:

E21955 Japan GAAP

売上高

1,291.3億 円

前期

1,180.9億 円

前期比

109.3%

時価総額

509.3億 円

株価

2,864 (07/12)

発行済株式数

17,784,210

EPS(実績)

424.03 円

PER(実績)

6.75 倍

平均給与

732.7万 円

前期

729.4万 円

前期比

100.5%

平均年齢(勤続年数)

42.6歳(15.3年)

従業員数

94人(連結:2,373人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

 当社グループは、当社、子会社13社、関連会社12社で構成され、鉄構セグメント、土木セグメント、建築セグメント、ソリューションセグメント及びその他事業を主な事業の内容とし、更に各事業に関連する研究やサービス等の事業活動を展開しています。

 当社は川田工業株式会社の純粋持株会社として2009年2月27日付で設立され、当社グループ全体の経営計画管理、グループ企業の調整・指導及び各事業に関する研究開発等の業務を行います。また、当社は特定上場会社等に該当し、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準のうち、上場会社の規模との対比で定められる数値基準については、連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。

 なお、当社グループの事業に係る位置付け及びセグメントとの関連は、次のとおりであり、セグメントと同一の区分であります。

セグメントの名称

主な事業内容

主要な会社名

鉄構

鋼製橋梁(鋼橋)及び建築鉄骨の設計・製作・架設据付、鋼材製品の販売

川田工業㈱、富士前鋼業㈱

土木

PC橋梁、プレビーム橋梁の設計・製作・架設据付及び橋梁保全工事請負

川田建設㈱

建築

一般建築及び国内におけるシステム建築の設計・工事請負

川田工業㈱

ソリューション

ソフトウエアの開発・販売及びシステム機器の販売、橋梁等の構造解析及び設計・製図

川田テクノシステム㈱

次世代型産業用ロボット等の製造及び販売

カワダロボティクス㈱

各種機械装置、コンピューターシステム、ソフトウエアの開発・設計・販売及びコンサルティング

カワダロボティクス㈱

その他

橋梁付属物の販売

㈱橋梁メンテナンス

航空機使用事業

東邦航空㈱、新中央航空㈱

建設工事の請負並びに企画、設計、監理及びコンサルティング

佐藤工業㈱

 

 事業の系統図は次のとおりであります。

 

※画像省略しています。

 

24/06/28

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 ① 財政状態の状況

 当連結会計年度末における「資産の部」は160,216百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,941百万円(△1.2%)減少しました。これは主に、機械、運搬具及び工具器具備品が1,204百万円、関係会社株式が2,177百万円、繰延税金資産が1,454百万円それぞれ増加し、受取手形・完成工事未収入金等が3,649百万円、流動資産のその他(未収消費税等)が2,978百万円それぞれ減少したことによるものであります。

 また、「負債の部」は77,874百万円となり、前連結会計年度末に比べ7,585百万円(△8.9%)減少しました。これは主に、長期借入金が2,861百万円増加し、短期借入金が10,630百万円減少したことによるものであります。

 一方、「純資産の部」は82,341百万円となり、前連結会計年度末に比べ5,644百万円(+7.4%)増加しました。これは主に、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益を計上したことによる利益剰余金の増加によるものであります。この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の46.6%から51.1%となりました。

 

 ② 経営成績の状況

 当社グループを取り巻く事業環境は、公共、民間建設投資とも底堅く推移するものと見込まれていますが、鋼材をはじめとした資材価格や輸送コストの上昇に加え、技能労働者の減少が加速する中、2024年4月から適用された時間外労働の上限規制、いわゆる「2024年問題」の影響が懸念されており、今後これに伴う労働力需給が逼迫する恐れもあり、一層厳しい事業環境が続くものと考えています。

 このような事業環境に対応すべく、当社グループは、2023年5月に「第3次中期経営計画(2023年度~2025年度)」を策定し、「基幹事業における収益力強化」と「成長事業における事業規模拡大」に努めることで利益水準の向上を図るとともに、資本コストを意識したROE向上を目指した経営を推進しています。

 計画1年目である2023年度につきましては、鉄構・建築セグメントでの伸び悩みで売上高は目標に届きませんでしたが、営業利益については、基幹事業である鉄構・土木セグメントでの大型工事における設計変更獲得に加え、建築セグメントでの多層階物流倉庫の採算性の改善、また成長事業であるソリューションセグメントでの事業規模拡大による利益の上積みで、計画1年目に設定した目標を大幅に上回ることができました。その結果、親会社株主に帰属する当期純利益も当初見込んでいた水準を大幅に上回り、ROEにつきましても9.6%と改善いたしました。

 当社グループの当連結会計年度における業績は、売上高129,127百万円(前連結会計年度比9.3%増)、営業利益8,734百万円(同73.8%増)、経常利益10,538百万円(同67.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は7,541百万円(同78.2%増)となりました。受注高につきましては131,241百万円(同2.8%増)となりました。

 

 なお、セグメントの業績は、次のとおりであります。(セグメントの業績については、セグメント間の内部売上高等を含めて記載しています。)

 

(鉄構セグメント)

 当セグメントの中の鋼製橋梁事業につきましては、受注高は第3四半期までは前年同四半期を下回る状況でしたが、当第4四半期において国土交通省の大型工事を複数案件受注できたことで、通期では前連結会計年度を上回ることができました。売上高は前連結会計年度からの豊富な繰越高を抱える中、高速道路会社発注の大型新設工事が概ね順調に進捗したことや、合成床版の製作が増加したことで前連結会計年度を上回りました。営業利益は当第4四半期においても高速道路会社や国土交通省の大型工事において設計変更を獲得できたことで前連結会計年度を上回りました。

 鉄骨事業につきましては、受注高は当第4四半期に首都圏の再開発案件や九州地区での半導体関連施設の受注を積み上げることができたことで2年連続過去最高を更新しました。売上高は首都圏の大型再開発工事が概ね順調に推移したものの、前連結会計年度に製作のピークを迎えた九州地区での半導体関連施設の減少を補うまでには至らなかったことで前連結会計年度を下回りました。営業利益につきましても、当第4四半期に首都圏を中心に大型工事の設計変更が獲得できたものの、前連結会計年度を若干下回る結果となりました。

 セグメント全体では売上高61,519百万円(前連結会計年度比9.7%増)、営業利益4,648百万円(同13.5%増)となりました。また、受注高は64,091百万円(同1.4%増)となり、次期繰越高は87,561百万円(同3.0%増)と過去最高水準となりました。

(土木セグメント)

 土木セグメントにつきましては、受注高は当第4四半期におきましても国土交通省をはじめとした新設工事の受注を積み上げることができたものの、更新事業の受注が年度を通して低調に推移したことで全体では31,516百万円(前連結会計年度比14.5%減)と前連結会計年度を下回りました。売上高は、更新工事と保全工事が概ね順調に推移したことにより35,432百万円(同1.1%増)と前連結会計年度を上回りました。また営業利益につきましても、当第4四半期においても更新事業と保全事業の設計変更が計上できたことにより営業利益2,891百万円(同39.9%増)と前連結会計年度を大幅に上回ることができました。

(建築セグメント)

 建築セグメントにつきましては、受注高は第3四半期までの多層階物流倉庫の受注に加え、当第4四半期におきましてもシステム建築を中心に受注を積み上げることができたことで18,936百万円(前連結会計年度比48.9%増)と前連結会計年度を大幅に上回ることができました。売上高は、大型システム建築に加え、多層階大型物流倉庫が概ね順調に進捗したことにより17,601百万円(同24.3%増)となりました。営業利益につきましては、大型工事での原価改善や採算性が良い工事の進捗で、営業利益は1,574百万円(前連結会計年度は営業損失423百万円)と前連結会計年度から大幅に改善いたしました。

(ソリューションセグメント)

 当セグメントの中のソフトウエア関連事業につきまして、当連結会計年度においても、三次元CADのソフトウエア販売に加え、受発注者間で情報を共有できるCloudサービス事業が好調に推移しました。ロボット関連事業につきましても販売台数を伸ばすことができたことで、セグメント全体では受注高7,692百万円(前連結会計年度比10.0%増)、売上高7,550百万円(同18.5%増)、営業利益2,919百万円(同42.6%増)といずれも大幅に増加いたしました。

(その他)

 その他につきましては、航空機使用事業においてドクターヘリや訓練事業が順調に推移したことで売上高は8,772百万円(前連結会計年度比9.8%増)となりました。営業利益につきましては定期路線事業の機体用部品価格の高騰による原価増などで、営業損失436百万円(前連結会計年度は営業損失162百万円)となりました。なお、定期路線事業に係る営業損失につきましては、営業外収益に計上する補助金収入により相当部分が解消しています。

 

 ③ キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、440百万円増加し16,102百万円(前連結会計年度比+2.8%)となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、13,320百万円の資金増加(前連結会計年度は9,673百万円の資金減少)となりました。これは主に、売上債権の減少等による資金の増加があったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、2,553百万円の資金減少(前連結会計年度は1,504百万円の資金減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得等による資金の減少があったことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、10,337百万円の資金減少(前連結会計年度は12,213百万円の資金増加)となりました。これは主に、借入金の返済等による資金の減少があったことによるものであります。

 

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.受注実績

 当連結会計年度における受注実績をセグメント毎に示すと次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高(百万円)

前期比(%)

鉄構

64,091

1.4

87,561

3.0

土木

31,516

△14.5

45,184

△8.0

建築

18,936

48.9

17,862

8.1

ソリューション

7,692

10.0

3,498

4.2

その他

9,003

14.4

623

59.0

合計

131,241

2.8

154,730

0.2

(注) セグメント間の取引については、相殺消去していません。

 

b.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメント毎に示すと次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(百万円)

前期比(%)

鉄構

61,519

9.7

土木

35,432

1.1

建築

17,601

24.3

ソリューション

7,550

18.5

その他

8,772

9.8

合計

130,876

9.4

(注)1 セグメント間の取引については、相殺消去していません。

2 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。なお、最近2連結会計年度の主要な相手先別の販売実績のうち、当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満の相手先につきましては記載を省略しています。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

西日本高速道路㈱

16,620

14.1

17,146

13.3

 

 

 当社グループでは生産実績を定義することが困難であるため「生産実績」は記載していません。

 

 なお、参考のため連結子会社である川田工業㈱個別の事業の状況は次のとおりであります。

 

a.生産実績

セグメントの名称

前事業年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

当事業年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

金額(百万円)

金額(百万円)

鉄構

55,590

61,267(10.2%増)

建築

14,136

17,544(24.1%増)

その他

153

188(22.7%増)

合計

69,881

79,000(13.0%増)

(注)1 生産高は、当事業年度工事総費用を契約高に換算したものであります。

2 生産高には、外注生産高が含まれています。

 

b.受注実績

期別

セグメントの名称

前期繰越工事高(百万円)

当期受注工事高(百万円)

(百万円)

当期完成工事高(百万円)

次期繰越工事高(百万円)

前事業年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

鉄構

77,869

63,062

140,931

55,919

85,012

建築

17,965

12,719

30,684

14,158

16,526

その他

186

186

186

合計

95,835

75,968

171,803

70,264

101,538

当事業年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

鉄構

85,012

64,025

149,037

61,475

87,561

建築

16,526

18,936

35,463

17,601

17,862

その他

315

315

228

87

合計

101,538

83,278

184,817

79,305

105,511

(注)1 前事業年度以前に受注した工事で、契約の変更により請負金額の増減がある場合は、当期受注工事高にその増減額を含みます。従って、当期完成工事高にもかかる増減額が含まれています。

2 当事業年度の次期繰越工事高のうち請負金額70億円以上の主なものは、次のとおりであります。

西日本高速道路㈱

中国自動車道(特定更新等)吹田JCT~中国池田IC間橋梁更新工事

2024年6月完成予定

首都高速道路㈱

高速1号羽田線(東品川桟橋・鮫洲埋立部)更新工事

2025年7月  〃

西日本高速道路㈱

新名神高速道路 高槻高架橋西(鋼上部工)工事

2027年3月  〃

㈱大林組

品川開発プロジェクト(第1期)4街区 本体鉄骨 北棟A工区

2024年8月  〃

清水建設㈱

大手町二丁目常盤橋地区第一種市街地再開発事業Torch Tower(B棟)新築工事

2026年11月  〃

 

 

c.販売実績

セグメントの名称

前事業年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

当事業年度

(自 2023年4月1日

至 2024年3月31日)

金額(百万円)

金額(百万円)

鉄構

55,919

61,475( 9.9%増)

建築

14,158

17,601(24.3%増)

その他

186

228(22.6%増)

合計

70,264

79,305(12.9%増)

(注)1 前事業年度の完成工事高のうち請負金額10億円以上の主なものは、次のとおりであります。

㈱竹中工務店

八重洲二丁目北地区第一種市街地再開発事業新築工事 A-1街区

清水建設㈱

東急MILANO再開発新宿 雑鉄骨工事外注

大成建設㈱

長崎TEC増強工事 第6DI棟

㈱竹中工務店

阪神阪急梅田一丁目一番地 D2 附帯鉄骨(F工区全節)

東洋エンジニアリング㈱

蒲郡バイオマス発電設備建設工事 燃料貯蔵棟工事一式

当事業年度の完成工事高のうち請負金額30億円以上の主なものは、次のとおりであります。

清水建設㈱

虎ノ門・麻布台地区第一種市街地再開発事業施設建築物等新築工事(A街区)

日本梱包運輸倉庫㈱

日本梱包運輸倉庫株式会社 三芳営業所 新倉庫増築

鹿島建設㈱

JASM新築工事 FAB棟

㈱竹中工務店

梅田3丁目計画(仮称)

㈱竹中工務店

(仮称)うめきた2期地区開発事業新築工事のうち北街区賃貸棟

2 完成工事高総額に対する割合が100分の10以上となる相手先別の完成工事高及びその割合は、次のとおりであります。

前事業年度

 西日本高速道路㈱ 9,162百万円 13.1%

当事業年度

 西日本高速道路㈱ 9,412百万円 11.9%

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

 ① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(イ)財政状態

 財政状態の状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態の状況」に記載のとおりでありますが、当連結会計年度におきましては、資産の部では前連結会計年度増加した売掛債権(受取手形・完成工事未収入金等)や流動資産のその他(未収消費税等)が減少し、負債の部では同じく支払手形・工事未払金等や借入金(長短借入金、社債)が減少しました。

 この要因といたしましては、鉄構・土木・建築の各セグメントにおいて案件の大型化で膨れ上がった運転資金が、工事が概ね順調に進捗し売上代金の回収が進んだことで運転資金が減少したことによるものと分析しています。

 次に、総資産は1,941百万円減少し160,216百万円となり、純資産比率は前連結会計年度末比4.1%上昇の51.4%となりました。これは上記運転資金の減少及び純資産において利益剰余金が6,307百万円増加したことによるものであります。関係会社株式が2,177百万円増加していますがこれは持分法適用会社に係る持分法による投資利益を計上したことによるものであります。

(ロ)経営成績

 当連結会計年度は第3次中期経営計画の初年度でしたが、受注高は土木セグメントを除き順調に積み上げることができたものの、売上高はいくつかのプロジェクトで遅れが発生したことで目標には届きませんでした。しかしながら営業利益については全てのセグメントで目標をクリアすることができ、その結果、当期純利益も当初見込んでいた水準を大幅に上回り、ROEにつきましても前連結会計年度に比べ3.8%改善し9.6%となりました。

 当連結会計年度の経営成績の具体的な内容としましては、売上高は、鉄構セグメントの中の橋梁事業が豊富な繰越高を抱えた中で、高速道路会社発注の大型新設工事が概ね順調に進捗したことや建築セグメントにおいて大型システム建築に加え、多層階大型物流倉庫が概ね順調に進捗したことで前連結会計年度に比べ9.3%増の129,127百万円となりました。営業利益はその他の事業において定期路線事業の機体用部品価格の高騰により営業損失の額が増加しましたが、全てのセグメントで増益となったことで、前連結会計年度に比べ73.8%増の8,734百万円となりました。経常利益は持分法による投資利益並びに定期路線事業における運航費補助金収入が増加したことで前連結会計年度に比べ67.3%増の10,538百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、特別損失が前連結会計年度に比べ減少したこともあり、78.2%増の7,541百万円となりました。

 当連結会計年度における当社グループを取り巻く事業環境や経営成績、セグメントごとの状況につきましては「(1)経営成績等の状況の概要 ②経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 なお、2023年5月に発表した「第3次中期経営計画」においては、当社グループの基幹事業が複数年にわたる事業を行っていることから、設計変更交渉の状況により各年度の売上高及び損益が大きく変動する可能性があるため数値目標は3か年累計としていますが、計画初年度の収益が想定を上回るペースで積み上がったことを受け、営業利益及び当期純利益の数値目標を修正いたしています。

第3次中期経営計画(目標値)(3か年累計)

 

修正前

修正後

営業利益

186億円

223億円

当期純利益①

156億円

183億円

当期純利益②(持分法利益除く)

121億円

146億円

 

(ハ)当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社グループの事業は基本的に個別受注方式でありますので、それぞれの事業の市場環境や発注状況が事業ボリュームや採算性に大きな影響を与えますが、その具体的な内容は次のとおりであります。

 鉄構セグメントにおける鋼橋事業及び土木セグメントにおけるPC橋梁事業の市場は、その相当部分が公共事業となる国や地方自治体からの発注と、同様の色彩が強い高速道路会社からの発注であるため、政策や財政状況の悪化などにより発注状況が変化します。次に鉄構セグメントにおける鉄骨事業及び建築セグメントの建築事業が対象とする市場は、民間設備投資に係るものであるため、景気動向に左右される傾向にあります。

 また基幹事業である鉄構、土木、建築セグメントは、建設産業の就労人口の減少を受け、協力会社を含めた慢性的な人手不足や2024年4月から適用された時間外労働の上限規制、いわゆる「2024年問題」への対応が急務であると認識しています。

 さらにまた、当社グループの損益においては持分法適用関連会社である佐藤工業株式会社を筆頭とする佐藤工業グループの持分法投資損益が大きく影響する傾向にあります。すなわち当社グループは佐藤工業株式会社の49.9%の株式を保有しており、佐藤工業グループの資本及び対応する期間損益が持分割合に応じて当社グループの損益に反映されることになりますが、佐藤工業グループの事業規模が当社グループより大きいこともあり、その資本及び対応する期間損益の状況によって当社グループの経常損益以下に大きく影響を与える可能性があります。

 その他の影響を与える要因やリスクにつきましては「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

(ニ)セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容について

 当社の基本戦略は、当社グループの企業が各々持つ専門的な技術を活かしてシナジー効果を高め売上と利益の拡大を継続的に図るとともに、関連する新市場への進出を図ることでありますが、セグメント別の認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 鉄構セグメントの鋼橋事業では、新設の発注量は金額ベースでは前年度と同規模程度が見込まれていますが、調達コストの高騰により発注単価の上昇が続いていることから、重量ベースでは減少が予想されています。このことは、金額的には一定の水準であっても、工場の操業度(生産量)的には低下する可能性があると認識しています。また発注ロットの小型化が進んでいる中、事業ボリュームを確保するために国土交通省のWTO案件や高速道路会社の大型案件の受注競争が激化しています。当社グループでは受注確保に向け、入札における技術提案力や積算精度を向上させ、適正な事業量と収益の維持・拡大を目指します。また新設は長期的には緩やかな減少が予想されていることから、今後は更新工事を含む保全工事への対応を強化していくとともに合成床版の拡販や土木・海洋構造物市場等への展開にも取り組んでまいります。

 次に同セグメントの鉄骨事業では、首都圏における大型再開発案件、関西地区におけるIR関連案件、九州地区における半導体関連案件の発注が見込まれており市場環境は当面は底堅く推移していくと予想されています。その一方で大型プロジェクトにおける工程の見直し等が散見され、発注時期について不透明な状況が続いています。当社といたしましては、市場拡大に向けた工場ラインの増強や効率化投資を行っていくとともに工場操業の平準化が図れる案件を選別し、事業ボリュームと収益の拡大を目指してまいります。

 土木セグメントでは、PC橋梁市場において「新設」・「更新」・「保全」の3本柱を主体とする事業体制を確立し、プロジェクトマネジメントを取り入れ、受注確保、原価低減、固定費圧縮の徹底を図っています。そのような中、高速道路会社の床版取替えを中心とした更新工事市場は近年急速に拡大したことに伴いゼネコンの進出が顕著となってきたことや、近年急拡大の反動で、当連結会計年度の発注量が前連結会計年度比減少したこともあり、受注競争が益々激化しています。潜在市場としてはまだまだ大きなものがあると想定されることから、引き続き受注力の強化に向けて情報収集力を高め、技術提案力や積算精度を向上させることで安定的な事業ボリュームの確保と採算性の向上を目指してまいります。

 建築セグメントでは、物流業界の「2024年問題」を受け、大型多層階倉庫をはじめ当社がターゲットとして位置付けている平屋、2階建ての倉庫・工場の市場環境は底堅く推移していくと予想されています。当社といたしましては、施工要員の平準化が図れる案件を選別し、事業ボリュームと収益の拡大を目指してまいります。

 ソリューションセグメントにつきましては、国土交通省が推進するDX化の流れに乗って、設計から工事までのBIM/CIMが本格化する中、3次元CADを基軸とした当社グループの製品群が好調に推移したことに加え、受発注者間で情報を共有できるCloudサービス事業も好調に推移しました。この事業環境は当面続くと想定されることから、当社グループといたしましては引き続き成長事業と位置付け、積極的に取り組んでまいります。

 

 ② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

・キャッシュ・フロー

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

 その中で、当連結会計年度のキャッシュ・フローの特徴的な点として税金等調整前当期純利益10,495百万円、減価償却費が2,903百万円、売上債権の減少3,649百万円により仕入債務の減少8,263百万円などをカバーし営業活動によるキャッシュ・フローは13,320百万円のプラスとなっています。これは、過年度において鉄構・土木・建築の各セグメントの案件の大型化で増加した運転資金が、工事が概ね順調に推移し、工事代金の回収が進んだことが主な要因です。これに伴い短期借入金を10,630百万円減少させましたので、財務活動によるキャッシュ・フローは10,337百万円のマイナスとなっています。投資活動によるキャッシュ・フローは有形固定資産及び無形固定資産の取得2,856百万円に伴い2,553百万円のマイナスとなっています。

・資金需要

 当社グループの事業活動における資金需要には大きく分けて運転資金と設備資金があります。

 運転資金需要の主なものは橋梁やビル用鉄骨製作に係る原材料費、外注費、労務費、一般管理費等があります。当連結会計年度におきましては上述のとおり減少いたしました。

 設備資金需要としては橋梁及び同関連製品やビル用鉄骨を製作・加工する工場用の土地や建物、機械設備のほか、航空機使用事業を営むのに必要なヘリコプターの機体や整備工場や格納庫等があります。当連結会計年度におきましては全体で3,892百万円の設備投資を行っていますが、その内訳は「第3 設備の状況 1 設備投資等の概要」に記載のとおりであります。

・財務政策

 当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するために、内部留保の活用とともに金融機関からの借入(金融機関引き受けによる私募債含む)を中心とした資金調達を行っています。

 運転資金需要については当社グループのコア事業が個別受注型の事業形態であるため、受注した案件の金額や工期、回収条件によって必要となる運転資金の額や時期が異なります。その点を踏まえ、その時々の受注内容を全体として管理しながら必要な運転資金を調達しています。また基本的には複数年に亘る案件がほとんどであるため、調達に際しては必要金額の全体を俯瞰した上で、短期借入と長期借入を組み合わせ、資金調達の弾力性を確保しています。短期資金については金融機関14行との間で総額392億円の当座貸越契約を個別に締結し、十分な借入枠を確保するとともに、長期資金については年間の調達計画を作成の上、その計画に沿って随時調達を行っています。

 金融機関に対しては平素より業績や資金の状況について説明を行うことで信頼関係を維持し、財務の安定性と弾力性を確保しています。

 また、金利面につきましては過度の金利変動リスクを回避すべく、一部の借入については金利スワップなどの手段で金利の固定化を図り、変動金利部分と固定金利部分のバランスを取っています。

・経営資源の配分

 当社グループでは事業活動から得られる営業キャッシュ・フロー(注)については、基幹事業の更なる強化を図るための「設備投資」及び成長事業への投資と「株主還元」に適切なバランスをもって配分する方針としています。2023年度を初年度とする第3次中期経営計画の初年度実績は次のとおりとなりました。

(注)当社グループでは複数年に亘る事業を行っているため、事業に係る資金の動きは除外しています。

(カッコ内は計画値(3か年累計))

営業キャッシュ・フロー(3年間計)                       133億円(200億円)

 

設備投資 38億円(100億円)

株主還元(※)22億円(配当46億円)

(※)株主還元に関しましては、損益状況やキャッシュ・フロー、また昨今の上場企業を取り巻く状況等を鑑み、2023年2月より、配当方針を「連結配当性向30%を目途に安定的な配当を継続する」としています。また、2024年5月には「第3次中期経営計画(2023年度~2025年度)」の残り期間(2024年度~2025年度)に係る1株当たり配当金の下限を90円としています。

 

 ③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表作成にあたっては、当連結会計年度末日における資産・負債の報告金額並びに当連結会計年度における収益・費用の報告金額に関する見積り、判断及び仮定を使用する必要があります。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、将来においてこれらの見積りとは異なる結果となる可能性があります。

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。