E33834 IFRS
前期
160.6億 円
前期比
91.9%
株価
739 (05/02)
発行済株式数
14,103,000
EPS(実績)
71.46 円
PER(実績)
10.34 倍
前期
549.7万 円
前期比
102.1%
平均年齢(勤続年数)
40.5歳(9.1年)
従業員数
148人(連結:149人)
当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社及び連結子会社である広東日信創富建築新材料有限公司の計2社で構成されており、主に仮設資材、物流機器を中心とした金属製品の製造・販売を行っております。
当社グループの報告セグメントは仮設資材及び物流機器の製造・販売事業の単一セグメントとしておりますが、「仮設資材部門」「物流機器部門」の別で説明します。
<仮設資材部門>
仮設資材部門では、建設現場などで使用される仮設資材の製造・販売を主軸に、仮設資材のレンタルサービス、OEM製品の受託製造等を行っております。
建設現場で用いられる仮設足場は、主に低層~中層用で使用されるシステム足場(注)(くさび緊結式足場)と中層~高層用で使用されるシステム足場(次世代足場)並びに、主に高層用や大規模施設等で使用される枠組足場の3種類に大別されますが、当事業においては、主にシステム足場(くさび緊結式足場・次世代足場)の製造・販売を行っております。
(注)システム足場とは、「くさび緊結式足場」と「次世代足場」の総称です。
門型の建枠にジャッキベース・交差筋かい・踏板等の基本部材を組み合わせ、積み上げていく枠組足場と比べ、システム足場は各製品(支柱、手すり、踏板等)が軽量かつシンプルな形状であるため、熟練したとび職でなくとも施工が容易という特徴があります。またコンパクトに結束できるため、現場への輸送効率が良く、保管場所も少なくて済むという特徴があります。さらには、ハンマーを使用して、くさびを緊結するだけであるため、ボルト締め等の作業が不要であり、枠組足場よりも施工効率が高く、短期間で施工できる特徴があります。
当社が調査依頼した仮設資材市場調査報告書(2021年12月調査実施・非公表)によると、当社が提供する「システム足場」は、2020年度の出荷金額ベースで市場シェア1位となっております。
・くさび緊結式足場「シンワキャッチャー」について
当社の取り扱うくさび緊結式足場の「シンワキャッチャー」は、主に支柱、手すり、ジャッキベース、ブラケット、踏板から構成されております。
シンワキャッチャー製品においては、既存の顧客に対するリレーションを保ちつつ、新規顧客に対しては、高い施工性や製品・サービスの豊富なラインナップを活かした幅広い提案、丁寧な営業活動を行うことで、新規顧客の獲得に努めております。また次世代足場「SPS(サイレントパワーシステム)」により、次世代足場市場でのトップシェアを目指しております。
・次世代足場「SPS(サイレントパワーシステム)」について
「SPS」は、当社の開発した次世代足場製品であります。次世代足場は、従来の枠組足場における寸法規格であるインチサイズに準拠して作られており、寸法感は枠組足場である一方、くさび緊結式足場と同様に組み立て式となっており、各製品(支柱、手すり等)が軽量かつシンプルな形状となっております。くさび緊結式足場と比較したときの大きな特徴は、手すりに抜け止め機能を有しているほか、支柱本体にロック機能が備わっており、高所作業における安全性・安定性を高めた製品であります。
また、「SPS」は軽量な樹脂ハンマーを使用して組み立てることが可能であるため、組立時や解体時における騒音が少なく、マンション等の住宅街の工事における騒音対策に配慮されているほか、従来のくさび緊結式足場では踏板に段差が生じていたところ、次世代足場においては支柱ポケットの構造上、段差が生じないため、より安全性が高いという点にも特徴があります。
その他、クランプ、壁つなぎなどの一般仮設資材の製造・販売をしております。
(主な関係会社)当社、広東日信創富建築新材料有限公司
(主な仕入先)原材料メーカー及び商社、必要に応じて国内外の外注先を活用
(主な販売先)レンタル会社、足場架払業者、商社、代理店、ホームセンター
<物流機器部門>
物流機器部門では、主に工場、倉庫、建設現場における物品の保管・搬送等に使用される物流機器の製造・販売を行っております。
用途に合わせて様々な製品を製造しており、自動車部品、液晶パネル用ガラス等の保管・搬送用パレット及びスチールラックといった物品保管用の物流機器を、顧客の要望に基づいて企画設計・提案・試作・製造・納品をし、顧客のニーズに最も適した製品を提供できるよう努めております。
また、建設現場向けに、吊りパレット、先行手すり用パレット、キャッチャー専用パレット等といったパレット製品を販売しております。
各パレット製品の概要は、下記のとおりであります。
今後は、当社の強みである提案型営業と受注生産力をさらに補強し、これまで取引の希薄であった農水産、住設・建材、流通、倉庫業といった新たな業界へとアプローチをし、取引チャネルの拡大を図ってまいります。
(主な関係会社)当社
(主な仕入先)原材料メーカー及び商社、必要に応じて国内外の外注先を活用
(主な販売先)レンタル会社、足場架払業者、商社、代理店、ホームセンター
[事業系統図]
<仮設資材部門>
<物流機器部門>
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響はまだ見られるものの、ウィズコロナの新たな段階を見据えた各種政策等により、景況感はゆるやかな持ち直しの動きが継続しました。一方で、ウクライナ情勢の長期化や急激な金利及び為替変動の影響による物価及び資源価格の高騰が続くなど、様々な不確定要素が顕在化しており、経済の下振れリスクに対しては予断を許さない状態が続いております。
当社製品の主な供給先である建設業界におきましては、国土交通省「建設総合統計」によると、2022年4月から2023年2月の建設投資総額は48.5兆円(前年同期比2.4%増)と、民間を中心とした需要が見られた一方、建築資材の価格は期を通じて上昇が継続しました。また物流機器部門においては、経済及び企業活動の回復に伴い、輸送機器及び大型倉庫関連の需要が高まりました。
このような状況の中、当社は収益性維持のため販売価格の見直しを実行しつつ、コストの抑制に取り組みました。また、2022年9月28日に開示いたしました当社元従業員による不適切行為を重く受け止め、社内体制の見直しを通じ再発防止策の推進及びコンプライアンス体制の立て直し、顧客の信頼回復に努めてまいりました。
以上の結果、当連結会計年度における売上収益は14,757百万円(前期比8.1%減)、営業利益は1,501百万円(前期比29.7%減)、税引前利益は1,434百万円(前期比30.5%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益は1,007百万円(前期比30.6%減)となりました。
なお、当社グループは仮設資材及び物流機器の製造・販売事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりませんが、事業部門別の業績は、次のとおりであります。
仮設資材部門は、主に戸建住宅などの低層から中層をターゲットにした「くさび緊結式足場」と、中層から高層の大型施設や公共工事をターゲットにした「次世代足場」の2つの製品群を展開しております。
当連結会計年度においては、建設工事案件の底堅さを背景に、主力製品であるくさび緊結式足場及び次世代足場、及び安全措置資材の需要は継続しているものの、当社製品を含む建築資材の高騰状況が継続していることなどから、仮設資材を購入ではなくレンタルで調達する志向が強まりました。この結果、販売価格の改定は実現した一方で、販売物量に減少がみられました。また、前述の不適切行為への対処として、対象拠点の営業・管理体制を刷新し、業務運営全体の是正を図る活動を重視したものの、当該拠点における売上収益が大幅に減少しました。
これらの結果、仮設資材部門の売上収益は10,391百万円(前期比16.4%減)となりました。
物流機器部門は、建設業界のみならず、自動車や物流倉庫など幅広い産業に向けて、オーダーメイドの製品提供を通じ、運搬・収納の効率化や安全性の向上を実現するソリューションを提供しております。
当連結会計年度においては、各種産業における生産活動の活発化、物流量の増大が見られました。これらを背景にリピート案件の需要が旺盛であり、安定的な受注獲得に繋がりました。加えて、電気機器向け資材搬送用パレット案件や、新たな産業領域である建材分野向け物流機器案件が売上収益の増加に貢献いたしました。
これらの結果、物流機器部門の売上収益は4,365百万円(前期比20.0%増)となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は2,063百万円となり、前連結会計年度に比べ1,396百万円減少しました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動により獲得した資金は686百万円と前年同期に比べ149百万円減少しました。主な収入要因は、税引前利益1,434百万円、減価償却費及び償却費597百万円、営業債権及びその他の債権の減少280百万円であり、主な支出要因は、棚卸資産の増加938百万円、法人所得税の支払額769百万円、営業債務及びその他の債務の減少121百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動により使用した資金は659百万円となり、前連結会計年度に比べ158百万円支出が減少しました。主な支出要因は、有形固定資産の取得による支出605百万円、無形資産の取得による支出47百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動により使用した資金は1,424百万円となり、前連結会計年度に比べ117百万円支出が増加しました。主な収入要因は、短期借入金の借入による収入1,422百万円であり、主な支出要因は、短期借入金の返済による支出1,551百万円、配当金による支出599百万円、長期借入金の返済による支出500百万円であります。
当連結会計年度の生産実績を事業部門ごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.事業部門間の取引については相殺消去しております。
2.金額は製造原価によっております。
3.当社グループは仮設資材及び物流機器の製造・販売事業の単一セグメントであるため、事業部門別の生産実績を記載しております。
当社グループは、需要予測に基づく見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
当連結会計年度の販売実績を事業部門ごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.事業部門間の取引については相殺消去しております。
2.当社グループは仮設資材及び物流機器の製造・販売事業の単一セグメントであるため、事業部門別の販売実績を記載しております。
3.前連結会計年度及び当連結会計年度の主な取引先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が10%以上に該当する相手先がないため、記載を省略しております。
4.その他の仮設資材及びパレットには、IFRS第16号に基づくリースから生じる売上収益が前連結会計年度は428,229千円、当連結会計年度は538,385千円含まれております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、国際会計基準(IFRS)に基づき、また当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき、それぞれ作成されております。この連結財務諸表及び財務諸表の作成に当たりまして、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りとは異なる場合があります。
特に、のれん及び耐用年数を確定できない商標権及び棚卸資産の評価については重要な会計上の見積りが必要となります。当該見積り及び仮定の不確実性の内容やその変動により経営成績等に乗じる影響などは、「第5 経理の状況」(重要な会計上の見積り)に注記しております。
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、次のとおりであります。
仮設資材部門では、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う緊急事態宣言発令の影響などによる建築工事の中断・延期、並びに、新規建設投資案件の延期等の影響を受け、仮設資材全体の需要は落ち込みました。一方、工事現場の安全性向上を目的とした墜落・落下防止対策用の安全措置資材の需要は引き続き高く、これらの供給に注力することで、売上収益を下支えいたしました。その結果、仮設資材部門の売上収益は10,391百万円(前期比16.4%減)となりました。一方、物流機器部門は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が主に海外との物流減少の影響を与え、一部分野では需要の落ち込みがみられましたが、自動車産業や半導体産業など、企業活動の持ち直しがみられたことや、物流倉庫分野でも新規案件が獲得できたことなどにより、堅調に推移し、売上収益は4,365百万円(前期比20.0%増)となりました。これらの結果、当連結会計年度における売上収益は、前連結会計年度に比べ1,306百万円減少し、14,757百万円(前期比8.1%減)となりました。
(売上総利益)
当連結会計年度における売上総利益は、前連結会計年度に比べ667百万円減少し、3,499百万円(前期比16.0%減)となりました。また、売上総利益率は、引き続き幅広い原材料調達ルートの活用や仕入れ先との交渉を通じて、調達価格上昇の抑制に取り組みしたことや、コロナ禍の状況にあっても、安全措置資材など高付加価値製品の需要は高く、これら製品の製造・供給への注力など、収益性の改善に取り組みした結果、前連結会計年度に比べ2.2ポイント減少し、23.7%となりました。
(営業利益)
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、役員報酬等の減額やその他の固定費の削減を行うとともに、新規投資案件の見直しなど、あらゆる手段を通じたコスト削減、支出抑制に取り組みました。その結果、前連結会計年度に比べ64百万円減少し、1,959百万円(前期比3.2%減)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の営業利益は前連結会計年度に比べ633百万円減少し、1,501百万円(前期比29.7%減)となりました。
(親会社の所有者に帰属する当期利益)
当連結会計年度における親会社の所有者に帰属する当期利益は前連結会計年度に比べ445百万円減少し、1,007百万円(前期比30.6%減)となりました。
(資産)
当連結会計年度末の流動資産は7,962百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,119百万円減少しました。この主な要因は、棚卸資産が938百万円増加した一方、現金及び現金同等物が1,396百万円減少、営業債権及びその他の債権が308百万円減少したためであります。また、非流動資産は13,332百万円となり、前連結会計年度末に比べ101百万円減少しました。この主な要因は、有形固定資産47百万円減少によるものであります。この結果、資産合計は21,294百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,220百万円減少しました。
(負債)
当連結会計年度末の流動負債は5,241百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,689百万円増加しました。この主な要因は、営業債務及びその他の債務が528百万円減少した一方、借入金が2,619百万円増加したためであります。また、非流動負債は501百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,303百万円減少しました。この主な要因は、借入金が3,234百万円減少したためであります。この結果、負債合計は5,742百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,614百万円減少しました。
(資本)
当連結会計年度末の資本合計は15,552百万円となり、前連結会計年度末に比べ393百万円増加しました。この主な要因は、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上1,007百万円、配当の実施597百万円によるものであります。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループは経営上の重要な指標としてEBITDAを採用しております。当連結会計年度における当社グループのEBITDAは2,137百万円となり、前連結会計年度に比べ20.5%減少いたしました。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料の仕入のほか、製造経費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。
なお、当連結会計年度における借入金を含む有利子負債の残高は4,490百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は2,063百万円となっております。
「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、当社グループが事業活動を展開している仮設業界は、日本国内における建設市場の経済動向により大きな影響を受けております。このため、日本国内の景気動向や当該市場の経済環境の変化により、仮設業界全体が影響を受けた場合、当社グループの経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。