E33016 Japan GAAP
前期
19.3億 円
前期比
104.3%
株価
372 (05/02)
発行済株式数
4,986,406
EPS(実績)
18.63 円
PER(実績)
19.97 倍
前期
573.3万 円
前期比
98.4%
平均年齢(勤続年数)
40.8歳(7.2年)
従業員数
29人
当社は、「開発環境をイノベーションする」という経営理念を掲げ、国内の電気電子企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)化を推進するために、ハードウェア製作の上流から下流に対し一気通貫したサービスを提供する「GUGENプラットフォーム」の運営を行っております。事業の中軸である製造・製品化のマーケットプレイス「P板.com(ピーバンドットコム)」では、電子機器の基幹部品であるプリント基板を、Eコマース(インターネットを基盤とした流通)を利用した通信販売によって、国内の産業用機器、及び民生機器開発メーカ等の顧客に対して販売しております。
プリント基板は、自動車、テレビ、スマートフォン、医療機器など、あらゆる“電子機器”に使われる基幹部品です。既存のエレクトロニクス産業の需要に加え、近年では、経済発展と社会的課題の解決の両立を目指す「Society5.0」においても多様なデバイスの開発・利用の促進がされており、今後益々プリント基板の需要は拡大していくものと思われます。
プリント基板の調達に必要な、基板設計・製造・部品実装の基幹サービスに加えて、電子機器などを収めるケース(筐体:きょうたい)の製造、基板と基板をつなぐハーネス部品の加工など、周辺サービスの充実を図っております。近年では、電子機器製造を一括で受託製造する「P板.com EMS」を開始し、IoT関連製品に特化した小ロット製造の受注を拡大させるなど、サービス領域を拡大させております。
国内でいち早くサービスを開始したこれまでの実績に加え、ニーズに合わせたサービス領域の拡充とお客様に寄り添ったサポートによりサービスの信頼性が向上したことなどで、プリント基板の設計・製造・部品実装を一括で利用するワンストップ・ソリューション(※)の利用頻度が高まり、注文単価の増加に繋がっております。
現段階では「P板.com」が収益の柱となっておりますが、「P板.com」で蓄積した顧客基盤による信頼性を活かしながら電子機器の一括受託を行う「P板.com EMS」の取引を拡大させていくことで、持続的な事業成長に繋げてまいります。
※画像省略しています。
GUGENプラットフォーム、3つの成長エンジン
①:基板設計~部品実装までワンストップ利用促進による収益拡大
②:筐体やハーネスなど基板周辺部品のラインナップを充実し、顧客層を拡大
③:P板.com EMSによりアイデアの具現化をサポート、電子機器の一括受託により取引を拡大
なお、当社はプリント基板のEコマース事業の単一セグメントのため、セグメント別の記載を省略しております。当社の展開する事業概要は以下のとおりになります。
※ワンストップ・ソリューション:必要になる作業を一度の手続きで全て完了することが出来るサービスを意味します。当社のサービスは、プリント基板の設計、製造、部品実装までウェブ上で簡単に一括して注文手続きを行うことができます。
(1)事業の概要
① プリント基板のEコマース「P板.com」
当社は、プリント基板のEコマースである「P板.com」の運営を行っております。
「P板.com」では、顧客が当社Webサイト上で選択した基板の仕様に合わせ、国内又は海外の提携仕入先の中から最適な価格・納期・品質で製造できる工場を自動選定し、4つの納期のコースに合わせた見積金額を提示します。顧客は提示された見積・納期の中から選択し、設計図をアップロードするだけでプリント基板を手軽に注文することができます。当社では、顧客から提示された基板の設計図をカスタマーサポート部にて確認した後、ただちに、提携仕入先へ自社システム上より発注を行う仕組みとなっております。工場では、通常2、3日以内に製造が完了し、顧客の手元に届けられます。
事業のサービス別分類は、下記のとおりであります。
サービス分類 |
説明 |
設計 |
顧客から支給される「電気信号の流れを表した回路図」に基づき、基板を製造するためのデータを、CADソフトによって設計します。 |
製造 |
顧客から支給される基板製造用データ又は当社の設計サービスにより設計した基板製造用データに基づき、基板を製造します。事業の主力部分です。 |
実装 |
製造した基板に、電子部品を配置し、はんだで接続します。電子部品を当社側で調達を行うオプションの利用が増加しております。 |
その他 |
基板へ電子部品を実装する際に必要となる専用治具「メタルマスク」の製造、筐体の製造、部品実装済み基板や外部装置などを接続する電線(ハーネス)を加工するサービス等があります。 |
② 電子機器の一括受託製造「P板.com EMS」
当社では、電子機器の設計から完成・出荷までのモノづくりにおける一連のプロセスをお手伝いする「P板.com EMS」を行っております。
当社が得意とするプリント基板製造のみならず、電子機器の設計試作から組立、完成品の検査・梱包までをワンストップ・サービスとして提供いたします。アイデアを製品化するためのご提案や特殊加工の対応も可能で、お客様のご要望に合わせ、必要な工程を選択してご利用いただけます。
当社が提供するEMSは、主にIoT関連の製品を開発するお客様にご利用いただいており、数千台〜数万台程度の小ロット規模の取り扱いが多いです。当社の他にもEMSを提供するメーカはおりますが、多くは数十万台以上をターゲットとしており、小ロット規模の製造の受け入れ先として当社がサービス提供を行い、差別化を図っております。
※画像省略しています。
③ エンジニアに向けた技術情報サイト「@ele」の運営
プリント基板を扱う技術者のすそ野を広げるためのインフラ整備にも力を注いでおります。IoTの広がりに伴い、IT・エレクトロニクス業界のみならず、異業種からの電子機器の開発需要が増加する中、エンジニアに向けた技術情報サイト「@ele(アットマーク・エレ)」をリリースし、主に若手エンジニアの育成の後押しを行っております。プリント基板に関する専門情報を配信することで、当社への技術的信頼度を向上させるともに、当社サービスの広報活動も平行して行い、ユーザーの獲得、当社サービスの利用拡大へと繋げております。
④ エンジニアの登竜門「GUGENコンテスト」の運営
電子機器産業の持続的な発展のためには、電気・電子エンジニアの人口拡大が不可欠と考えております。そのために、当社は2009年よりエンジニアにスポットを当てる「電子工作コンテスト」を開催し、自身が作成した電子工作の作品を、一般客やメディアに披露できる場を提供してまいりました。以降、毎年開催しており、2013年に「GUGEN(ぐげん)」に名称を変更し、「社会における課題を解決するデバイス」と審査基準を改め、世の中に必要とされる作品の開発を業界のエンジニアに促した結果、今までの累計で1,600作品を超える作品が誕生しております。審査員やスポンサーは業界の著名人やスタートアップ(急成長を目指す新規の立ち上げ企業)への支援企業の方等を中心に招聘し、いまではエンジニアの登竜門の場として定着しました。当社のこのような活動は、2022年の開催で14年目となり、「P板.com」の広報としての要素も兼ねた活動となっております。
(2)プリント基板のEコマース「P板.com」の特徴
① 試作開発に特化した新しい料金体系の提示
新製品の開発には試作(プロトタイプの作成)が必要不可欠ですが、それに要するプリント基板の作製には高額なイニシャル費用(初期費用)が発生します。試作は1回だけでなく、2回3回と繰り返しながら製品に磨きを掛けるのが一般的であり、その都度イニシャル費用が発生することは、限られた開発コストを圧迫することになり、エンジニアの悩みの一つでした。
そこで当社は、「異種面付工法」(※)により、イニシャル費用を大幅に効率化した上で、基板製造費用に全てを含めた料金体系を提示し、当時の一般的なプリント基板製造の相場から大幅に安く提供を行うことで、実績を拡大してまいりました。
※ 異種面付工法:定格サイズ(4~5m四方)の材料で一種類の基板のみを製造する従来の方法に対し、複数種類の基板を共に製造する工法。材料を余すこと無く使用でき、試作等で少量の基板が必要な場合に有用。
② 効率的な受発注管理の仕組み化
当社のプリント基板のEコマース事業では、受発注管理を効率化し、顧客から注文を受けて製造・仕入・出荷まで、すべて自社システム内で完結させることで迅速な対応を実現しております。電子機器の根幹を支える「プリント基板」は一点ごとに意匠の異なるオーダーメイド製品ですが、基板を構成する部品は規格化されたものであることから、当社では基板仕様を汎用標準化して顧客が希望するプリント基板をインターネット上で直販する仕組みを構築し、仕入・発送まで大幅にスピードアップして、商品を迅速にエンドユーザーにお届けしております。商品の仕入・販売に関しては、店舗・営業所を保有せず、顧客からの受注機能、仕入商品の発注機能、商品の入出荷管理機能及び電話による顧客サポート機能を本社に集約しており、受発注管理のほぼ全てを自社システム内で完結し、効率化しております。
③ 利便性の高い見積・注文システムの構築
スピード感を重視し製品の開発・研究を営む企業において、購買に時間をかけることなく商品を仕入れることは重要視されます。オーダーメイド品であるプリント基板は、製造を依頼するプロセスに基板製造業者との対面でのやりとりが不可欠であったため、見積取得や価格交渉に時間を割く必要がありました。当社は、その課題を解決するために、インターネット環境があれば、いつでもどこでも瞬時に見積が取得出来る「1-Click見積」システムを当社WEBサイト上に設置し、電気・電子エンジニアが製品開発時に感じる見積取得の煩わしさを解消いたしました。
④ 広範に渡る顧客層
Eコマースを利用した販売形態を採用することにより、従来の対面販売型と比べ基板発注の敷居が下がり、顧客層を広げることができました。その結果、大学・高専/研究機関など公的機関、国内大手セットメーカやそれを支える電子部品の中堅・中小企業などの法人、さらに個人事業主に至るまで試作開発案件を取り込み、累計取引者数は2万社を超え、幅広い顧客層から支持を得ております。品質への要求に対しては、ISO9001:2015規格の認証を取得し、よりよい製品やサービスの提供にコミットしております。また「納期遵守の徹底」により10年連続納期遵守率99%超え達成したこと等により当社への信頼度が向上し、大手企業・中堅企業との取引が拡大しております。
⑤ ファブレスによる優良な仕入先との関係構築
当社は、自社工場を持たない、いわゆるファブレスでの運営を行っております。仕入先については、一社に依存することなく、国内外の複数の仕入先と提携することで、安定した製品の供給と、顧客の要求に沿った、より競争力のある商品を提供しております。
仕入先とは、信頼と実績に基づき、低価格で高品質の商品を納期通りに提供して頂けるように長期にわたり安定した取引関係を築くことを基本としています。当社では、プリント基板の市場価格や需要の変動、求められる品質基準の向上、納期の短縮化を常に意識し、改善を心掛けており、当社の培ったノウハウを仕入先にも共有し、より競争力ある商品を提供いただくことも当社の役割と心得ております。
⑥ 取扱う商材の拡大
プリント基板の中でも、取扱いやすさから様々な製品に採用されているリジッド基板(※1)を主軸として、フレキシブル基板(※2)、アルミ基板(※3)、リジット・フレキシブル基板(※4)などの商材を取り扱っております。近年では、LED照明等に使われるアルミ基板、EV・ロボットなど大電流制御の用途で使われる厚銅基板(※5)の需要拡大に合わせ、充実を図っております。また、プリント基板の周辺商材として、メタルマスク、筐体、ハーネス等の取扱もしております。
※1 リジッド基板:柔軟性のない硬質な材料をベースとした基板、電化製品に主として使用されている。
※2 フレキシブル基板:薄く柔軟性のある材料をベースとした基板、ウエアラブル機器やスマートフォン等に使用されている。
※3 アルミ基板:リジッド基板にアルミ材を合わせ放熱特性を高めた基板、照明機器などによく使用されている。
※4 リジッド・フレキシブル基板:硬質な材料と薄く柔軟性のある材料とを複合した基板。
※5 厚銅基板:基板上の銅箔部分が厚く大電流を流せる基板。
[事業系統図]
※画像省略しています。
(1)経営成績等の状況の概要
① 財政状態及び経営成績の状況
当事業年度(2022年4月1日~2023年3月31日)における国内の経済は、新型コロナウイルス感染症が「5類感染症」へと移行する方針が固まるなど、経済社会活動の正常化が進みました。国内の電子工業は、電子部品の供給は用途別に解消の動きが見られるものの、依然として不安定さが続き電子機器の生産に影響を及ぼしております。
また、原材料・エネルギー価格の高騰や円安進行による為替動向の懸念、物価の上昇等により、依然として経済の見通しは不透明であります。
このような経済環境の中、当社では、当事業年度から2030年度に渡る「長期ビジョンに基づく中期経営計画」をスタートいたしました。第1次中期計画のテーマを「飛躍に向けての基盤整備」とし、既存のEコマース事業、EMS事業の拡大・強化の足固めを行うことにより、新たな事業創出の資源を拡大しております。
当事業年度は、電子部品の不足による影響で第1四半期の売上高が前期比減となったものの、第2四半期以降は市場環境が改善され、前事業年度を上回る結果となりました。
プリント基板Eコマース「P板.com」事業では、主力の基板製造サービスの売上が伸長、次ぐ部品実装サービスは、電子部品不足により実装台数が限られたものの、受注件数が伸長し、売上増となりました。
売上規模拡大に向けた取り組みの一つである「仕組み(知的資本)×人間(人的資本)」のハイブリッドによる中堅・大手企業顧客層への拡販戦略として、営業事業部門を横断したプロジェクトによる個別訪問を積極的に実施しました。また、仕組みの面では、「一番使いやすいP板.comへ」「部品実装サービスの劇的リノベーション」をテーマに、WEBサイトの見積画面や、注文状況の確認画面の刷新を開始し、どこよりも分かりやすく、手間なく注文が出来るサービスを目指しております。
EMS事業では、引き続き電子部品不足の影響により国内の電機電子機器メーカの生産がコロナ禍以前の水準に戻らないものの、前事業年度比では受注が増加し、正常化に向かっております。市場環境の回復に備え顧客接点の強化を図り、第2の事業の柱として成長軌道に乗せる準備を進めました。
新規事業の探索活動として、次世代の優れた技術を持つハードウェアスタートアップ企業との協同による、ワイヤレス給電導入サービス、触覚センサ導入サービスをリリースしました。他にも、当社の7万名を超える顧客基盤のニーズを深掘りし、新サービスの開発を進め、競合との差別化を図ってまいりました。
以上の結果、当事業年度の売上高は2,015,003千円(前期比4.3%増)、販売費及び一般管理費は485,444千円(前期比4.9%増)、営業利益は182,944千円(前期比7.5%減)、経常利益は182,087千円(前期比8.5%減)、当期純利益は92,902千円(前期比32.4%減)となりました。
当社はプリント基板のEコマース事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
② キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ101,232千円減少し、1,051,809千円となりました。キャッシュ・フローの状況とその要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における営業活動による資金の増加は104,938千円(前事業年度は228,573千円の増加)となりました。これは、税引前当期純利益179,322千円の計上、減価償却費20,133千円の計上、株式報酬費用の計上7,465千円、仕入債務の減少10,391千円、売上債権の増加32,543千円、棚卸資産の増加5,408千円、法人税等の支払額59,318千円等によります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における投資活動による資金の減少は37,612千円(前事業年度は57,064千円の減少)となりました。これは、無形固定資産の取得による支出18,126千円、投資有価証券の取得による支出14,818千円、保険積立金の積立による支出2,820千円等によります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における財務活動による資金の減少は168,563千円(前事業年度は26,039千円の減少)となりました。これは、自己株式の取得による支出129,828千円、配当金の支払による支出38,735千円によります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社は、生産活動を行っていないため、生産実績は記載しておりません。
b.商品仕入実績
当社はプリント基板のEコマース事業の単一セグメントであり、当事業年度における仕入実績は次のとおりであります。
当事業年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
|
金額(千円) |
前年同期比(%) |
1,352,021 |
107.5 |
(注)金額は仕入価格によっております。
c.受注状況
当社は受注から販売までの期間が短く、販売実績と近似するため記載を省略いたします。
d.販売実績
当社はプリント基板のEコマース事業の単一セグメントであり、当事業年度における販売実績は次のとおりであります。
当事業年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
|
金額(千円) |
前年同期比(%) |
2,015,003 |
104.3 |
(注)主要な相手先については、総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先がいないため、記載を省略いたします。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。
なお、当社はプリント基板のEコマース事業の単一セグメントのため、セグメント別の記載を省略しております。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたっての会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載のとおりです。なお、この財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。
財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 財政状態の分析
a.資産の部
当事業年度末における総資産は1,526,747千円となり、前事業年度末と比較して81,336千円の減少となりました。主な要因は、電子記録債権4,620千円、売掛金27,923千円、商品5,408千円、投資有価証券12,998千円、保険積立金2,820千円が増加した一方、現金及び預金101,232千円、ソフトウエア2,410千円、繰延税金資産が32,660千円減少したこと等によります。
b.負債の部
当事業年度末における負債合計は295,538千円となり、前事業年度末と比較して11,621千円の減少となりました。主な要因は、未払金3,788千円、未払費用2,051千円が増加した一方、買掛金10,391千円、未払消費税等3,179千円、未払法人税等5,681千円が減少したこと等によります。
c.純資産の部
当事業年度末における純資産合計は1,231,208千円となり、前事業年度末と比較して69,715千円減少となりました。主な要因は、利益剰余金が当期純利益を計上したことにより92,902千円増加、配当金の支払により利益剰余金が38,733千円減少したことに加え、自己株式の取得などにより自己株式が118,774千円増加したこと等によります。
資金の運用は安全性の高い商品による運用方針としており、現状は現金及び預金が総資産の中心です。当期末時点の自己資本比率80.6%、また流動比率485.7%と、安全性の高い財務体質を目指しております。
③ 経営成績の分析
a.売上高
当事業年度の売上高は、2,015,003千円と前事業年度と比べ82,258千円(4.3%)の増収となりました。主力事業であるプリント基板Eコマース事業が前年比で増加した等によるものです。
詳細は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。
b.売上原価
当事業年度の売上原価は、1,346,613千円と前事業年度と比べ74,320千円(5.8%)の増加となりました。主な要因としては、売上高が前事業年度と比べ増加したこと等によるものです。
c.販売費及び一般管理費
当事業年度の販売費及び一般管理費は、485,444千円と前事業年度と比べ22,871千円(4.9%)の増加となりました。主な要因としては、人員の増員により給料手当が2,864千円、ソフトウエアへの投資が増加したことにより減価償却費が2,202千円増加したこと等によります。
d.営業外収益、営業外費用
当事業年度の営業外収益は、2,219千円と前事業年度と比べ16千円(0.7%)の減少となりました。主な要因としては、保険解約返戻金が627千円減少した一方で、協賛金収入が750千円増加したこと等によるものです。
当事業年度の営業外費用は、3,076千円と前事業年度と比べ1,983千円(181.4%)の増加となりました。主な要因としては、投資事業組合運用損が1,819千円増加したこと等によるものです。
e.特別損失、法人税等
当事業年度の特別損失は、2,764千円となりました。要因としては、固定資産除却損2,764千円によるものです。
当事業年度における法人税等は、86,420千円と前事業年度と比べ24,763千円(40.2%)の増加となりました。主な要因としては、評価性引当額の計上により法人税等調整額が31,700千円増加したこと等によります。
これらの結果により、当事業年度の営業利益は182,944千円、経常利益は182,087千円、当期純利益は92,902千円となりました。
④ キャッシュ・フローの分析
当事業年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
当社の資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。
当社の運転資金需要のうち主なものは、提携仕入先への仕入原価のほか、人件費をはじめとする販売費及び一般管理費であります。なお、これらの資金需要に対しては、内部資金によりまかなっており、有利子負債による資金調達は行っておりません。
⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しております。
⑥ 経営戦略の現状と見通し
経営戦略の現状と見通しにつきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。
当社は、「開発環境をイノベーションする」という経営理念を掲げ、国内の電気電子企業のDX化を推進するサービスを提供しております。IoTや5Gといった市場が今後本格化していき、様々な業界の新規参入が見込まれております。当社が展開しているEコマース事業の形態は、新規参入の企業にとって利用しやすい形態であり、市場の成長と共に当社の事業も拡大していくものと見込んでおります。
⑦ 経営者の問題意識と今後の方針について
当社が今後の事業を拡大し、継続的な成長を行うために、経営者は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております課題に対処していくことが必要であると認識しております。今後の市場拡大のニーズを取り込むためには、コア事業の「P板.com」、サービス領域を拡大した「P板.com EMS」の事業の成長が不可欠であり、さらに、それらの受発注を少数精鋭で効率的に行うことにより、事業の成長を図っていく方針であります。