E05148 Japan GAAP
前期
230.3億 円
前期比
106.1%
平均年齢(勤続年数)
43.2歳(4.0年)
従業員数
0.0人(連結:2,044人)
(1) 事業内容の概況
当社グループは、当社と連結子会社9社(株式会社豆蔵、株式会社オープンストリーム、株式会社フォスターネット、株式会社ネクストスケープ、ジェイエムテクノロジー株式会社、センスシングスジャパン株式会社、株式会社コーワメックス、ニュートラル株式会社、株式会社エヌティ・ソリューションズ)で構成され、情報サービス事業と産業機械事業を行う企業グループとなっております。
当社は、グループ各社を取りまとめ、グループ運営の方向付けを行うグループの中核会社です。連結グループ各社の経営成績の分析を既存事業の施策へと役立ててまいります。また、グループでの新たな事業を検討し、お客様企業へより良いサービスの提供を図ると共に、当社グループが成長するよう努力してまいります。
なお、当社は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、これにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については連結ベースの数字に基づいて判断することとなります。
情報サービス事業は、ビジネス・ソリューション部門、エンジニアリング・ソリューション部門、教育ソリューション部門からなっております。情報工学及びソフトウエア工学を基盤として、情報化戦略の策定支援、情報化業務の改革支援、システムの受託開発といった業務をはじめ、情報化業務に従事する技術者への教育研修を行う業務、さらには、産業用ロボットの開発支援を主たる業務としております。一方、産業機械事業は、半導体製造工場での保守やファクトリーオートメーション化の支援などを行っており、単一部門で管理しております。
セグメント並びにセグメント内部の部門とグループ各社の関係は、下記の表のとおりです。
[対象子会社のセグメント名称・部門名対応表]
セグメント名称 |
部門名 |
対象子会社名(一部は当該会社の部門名) |
情報サービス事業 |
ビジネス・ソリューション |
株式会社豆蔵 エンタープライズ系 |
株式会社オープンストリーム |
||
ジェイエムテクノロジー株式会社 デジタルソリューション事業部 |
||
株式会社ネクストスケープ |
||
株式会社フォスターネット |
||
ニュートラル株式会社 |
||
株式会社エヌティ・ソリューションズ |
||
エンジニアリング・ソリューション |
株式会社豆蔵 組込系 |
|
センスシングスジャパン株式会社 |
||
株式会社コーワメックス |
||
教育ソリューション |
株式会社豆蔵 教育系 |
|
産業機械事業 |
― |
ジェイエムテクノロジー株式会社 インダストリアルソリューション事業部 |
なお、次の2部門は「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一であります。
(2) 情報サービス事業
当社グループの情報サービス事業は、ソフトウエア開発の技術者集団です。ますます複雑化する情報処理をいかに効率よく行い、お客様企業の業務推進にいかに貢献するかが私たちの課題となります。そこで、当社グループの情報サービス事業をより深くご理解いただくために、ソフトウエアの作成過程を概観すると概ね次のようになります。
ソフトウエアの開発は、どのようなシステムを作るのか、その構想から始まります。これを要求分析ということがあります。開発を目指すソフトウエアには、どのような機能が必要なのかを整理した上で、仕様を詰めることになります。さらに、その要求(仕様)を満たすために、データの持ち方やプログラムの構成といった、デザインを決める必要があります。これをソフトウエアアーキテクチャ(アーキテクチャ)といったりします。このアーキテクチャの良し悪しが、プログラムの良し悪しに大きな影響を与えることになります。そして、この仕様、アーキテクチャのもとで、プログラムが組まれます。これを実装とか、コーディングといったりします。さらには、実装されたプログラムが、機能的に要求を満たしているかどうかを実証するテスト工程を経て納品され、ソフトウエアの実際の利用に際して監視・手直しをする運用・保守といった工程へと進むことになります。
これら一連の工程を川の流れに例えて、上流工程、下流工程と呼ぶことがあります。厳密な定義はありませんが大まかにいうと、要求分析やアーキテクチャ作成の工程といったものが上流工程で、実装やテスト、運用・保守等を下流工程といいます。
当社グループでは、これらの工程を上流から下流まで手がけることができますが、上流工程における技術力を最大の特徴としています。大規模・複雑な情報処理であっても、当社グループの上級技術者は、最適なアーキテクチャを構築し、実装段階での効率性の確保、品質の確保に配慮した設計であることはもとより、運用が開始された後、その後の手直しや増築にも対応できる先を見据えたデザインを提供することで、お客様企業のビジネスをリードするソフトウエア作りを行っております。
当社グループの情報サービス事業では、いわゆる一般事業法人が業務に利用するソフトウエアをビジネス・ソリューション部門で取り扱っています。一方、エンジニアリング・ソリューション部門では、いわゆる組込といわれる、工業製品に組込まれているソフトウエアや、モノづくりの現場におけるソフトウエアの提供、工場のIT化支援等を手掛けています。さらに、産業用ロボットの開発等を通して、機械、電気といった技術領域への技術蓄積も進んでおり、産業機械事業との連携と合わさって、活動領域を広めています。
① ビジネス・ソリューション部門
当社グループでは、お客様企業が業務に利用されるソフトウエアの設計、開発等を手がけており、ビジネス・ソリューション部門として管理しております。
ソフトウエア開発では、お客様のニーズを完全に満たすことは、一般に難しいものといえます。会社で利用するシステムは、多くの部署、大勢の人たちが利用するものですので、その要求をまとめるのは、困難な作業なのです。また、会社は、ビジネスチャンスに合わせて業務が変化していきます。かかる変化を完全に予想することはできませんが、予測できる限りの準備をしておくことは重要です。当社グループの情報サービス事業、ビジネス・ソリューション部門では、お客様企業のビジネスを深く理解したうえで、かかる要求分析を的確に行い、適切なアーキテクチャを提供することをサービスの柱としています。
ビジネス・ソリューション部門では、お客様企業が自社の社員向けに自社の情報伝達の手段として、システムを作成しようとされる場合や、お客様企業のお客様が利用するシステムを作成される場合など、様々な用途のシステム開発をお手伝いしております。また、システムを当社グループにご依頼いただくお客様企業の中には、お客様企業自身が情報管理部門をお持ちで、多数のエンジニアを抱えていらっしゃる場合や、システム自体のことにあまり詳しくないお客様企業もいらっしゃいます。とりあえずこんなものを作って欲しいといったご要望には、上流工程から下流工程まで、当社グループでお引き受けする場合もあります。一方で、お客様企業自身で開発ができるものの、どのようなシステムを構築すべきなのか、どのようにまとめれば良いのか分からない、あるいは、開発手法をどうすれば良いのか、あるいは、開発工程の改善といった上流工程のお手伝い、改善などをお引き受けする場合もあります。また、他のシステム会社が手掛けたものの、失敗に終わったため、支援に入ってほしいというご要望も多く受けています。システムは一度構築すれば、当然ながら当初作ったままの動作をします。しかし、それを利用する企業のシステムに対するニーズは、経済の動きに応じて、変化していくのが通常ですし、お客様企業が、ご自身のニーズを理解しきれていないことも多くあります。本来のニーズを見極め、あるいは、将来のニーズの変化にある程度対応しておく上流開発の手腕が求められるのです。
また、ビジネス・ソリューション部門では、いわゆるパッケージソフトの導入支援や保守業務を行っております。特にERPの導入コンサルティングは大きな柱の一つです。さらに、IT技術者に特化した人材派遣を行うなどしています。
② エンジニアリング・ソリューション部門
ソフトウエアのなかには、製品に組込まれているものがあります。コピー機や自動車などに組込まれるソフトウエアはその代表例です。コピー機や自動車は高度で高速な処理をする情報機器なのです。コピー機にしても自動車にしても、人に直接便益を提供するのは機械(ハード)自身ですが、そのハードを動かすための仕組みは、機械仕掛けの部分や電気仕掛けの部分があり、電気仕掛けの部分でも細かな判断を要する場合にはマイコンを積んで、ソフトウエアからハードを動かすことになります。そのような、工業製品に組込まれるソフトウエアは、マイコンの性能やメモリ量が制約されるなど(コストを抑えるためにマイコンもメモリも必要最小限な物にしたい)、通常のPCなどで動くソフトウエアと比べ制約される条件が多いのが通常です。そのような条件をクリアしながらハードが十分な機能を発揮できるようサポートするソフトウエア作りには、ハードとソフトに対する深い知見が必要で、高度な技術が必要とされます。
このような、いわゆる組込みソフトについても、前述のようなソフトウエア製作の工程があります。特に組込みソフトでは、マイコンの性能やメモリ量の制約により、よりシビアなアーキテクチャが要求され、業務利用のソフトウエアとは、技術の質が異なってきます。近時では、こうしたハードの情報もクラウド化して管理するといったように、業務アプリとの垣根も下がってきており、組込みソフトの特殊性も薄れている側面もあります。しかし、動作環境の特殊性がなくなるわけではなく、まだまだ、本質的な部分で、組込み独自の技術力によってお客様の製品開発に大いに貢献できる状況にあります。
当社グループのエンジニアリング・ソリューション部門では、組込みソフトにおける上流工程から下流工程までの業務を受け持つことができます。当社グループでは、上流工程での技術力の高さを特徴としています。特にこの領域での上級技術者は、数が少なく、育成も困難です。しかし、当社グループでは、いわゆる独立系としては、他に類のない人材を抱えており、業務を通した人材の育成にも力を入れています。このように、当部門では、お客様企業にソフトウエアの面から製品作りを支援しております。
当社グループでは、エンジニアリング・ソリューション部門では、ソフトウエア制作だけでなく、ハード制作にも取り組んでいます。一つは、産業用ロボットの開発です。産業用ロボットの開発をひとつのモデルケースに、ロボットの制御ソフトのみならず、機械、電気の面でも独自に制作できる技術ノウハウを蓄積しています。また、自動車関連事業向けにクラウド連携型自動車故障診断機やドライブレコーダー等の開発・提供を行っており、これらをモデルケースに、IoTの技術蓄積を行っております。当連結事業年度からは、監視カメラ事業の事業譲渡を受け、それらを利用し、工場におけるオートメーション化に応用するなど事業領域を広げています。さらには、工場におけるデータ収集・解析の支援等をビジネス・ソリューション部門ないしは産業機械事業と協力しながら行っております。
③ 教育ソリューション部門
一般事業法人の情報管理室を担うエンジニアや、情報サービス産業に属する企業のエンジニア、メーカーなどの製造現場におけるエンジニアに対して、ソフトウエア開発を構成する方法論・技術等を伝授する実践的な場を提供しています。
また、大規模開発において、独自に開発した教育パッケージを用いて、当社グループの教育を行い、その受講を技術者の参加要件とすることで、パートナー技術者の技術スキルの均一化をはかり、出来上がったソフトウエアの品質を保つソリューションの提供を行っております。
(3) 産業機械事業
当社グループの産業機械事業では、主に半導体メーカーの工場における半導体製造装置の立ち上げ、保守、メンテナンス等のカスタマーサービス業務、半導体製造装置に関する部品の修理・販売を主に行っております。
いわゆるチップと呼ばれる半導体は、PCや携帯電話、自動車など様々な工業製品に組込まれています。チップには、シリコンを微細に加工することにより、様々な機能を有する回路が作りこまれ、工業製品の制御を司ったり、メモリとして利用されています。このようなチップは、半導体製造装置で作成されます。この半導体製造装置は、微細な加工を施す装置であるがゆえ、極めて繊細な装置です。チップ作成の良し悪しは、まずは半導体製造装置自身の性能に左右されますが、その半導体製造装置の機能を十分に引き出すためには、装置の設置から始まり、日々のメンテナンスまで、装置を適切に運用することが重要です。したがって、その運用には、豊富な経験と信頼できる技術が必要です。
さらに、当社グループの産業機械事業では、情報サービス事業とも協同して、半導体製造工場におけるファクトリーオートメーション化の各種ソフトウエア開発やデータ収集・解析等を手がけており、半導体製造工場の更なる進化に貢献しています。半導体製造工場のみならず、各種製造工場のIT化支援にも力を入れています。
[事業系統図]
以上述べた事項を事業系統図によって示すと、次のとおりであります。
※画像省略しています。
(1)業績
当連結会計年度における我が国経済は、一部に改善の遅れが見られるものの、緩やかな回復基調が続いていると思われます。雇用・所得環境の改善が続く中で、当面、引き続き緩やかに回復していくことが期待されます。ただし、海外経済の不確実性や、金融資本市場の変動の影響などから、回復基調に水を差されるおそれがあり、十分注意する必要があります。
情報サービス産業では、第172回全国企業短期経済観測調査(日銀短観)によると、2017年度のソフトウエア投資計画は、全ての区分で、前年度比を上回っています。第171回全国企業短期経済観測調査(日銀短観)では、前年同月比マイナスの区分も散見され、ソフトウエアへの投資環境が流動的であることがうかがえます。一方、経済産業省の特定サービス産業動態統計(2月分)によると、「受注ソフトウエア」についての売上高実績は、この1年の間、前年同月を上回ったり、下回ったりしており、ソフトウエア投資の実績の面でも、不安定さが見られるようになってきました。
このような状況の下、当社グループは、技術力世界一を目指しつつ、最新のコンピュータ技術を駆使し情報サービス事業を通じて、お客様企業の業務を変革する提案を行うとともに、産業機械事業を通じて、半導体製造装置を始めとする、モノづくりを支える産業機械の保守・メンテナンスサービスの提供を行ってまいりました。
当連結会計年度では、前々連結会計年度から新たに当社グループに加入した子会社での案件整理を行っております。闇雲に売上高を追求するのではなく、質の高いサービスを提供し利益率の向上に努めております。パートナー企業を利用した売上を一定程度抑え、案件の整理を行うとともに、高付加価値のソリューションを提供し筋肉質な体質へと変革できるようにてこ入れを行ってまいりました。また、バックオフィス業務の見直しを継続的に実施しています。その効果が出てきており、販売費及び一般管理費の削減につながっています。なお、前第3四半期連結累計期間までは連結子会社であったテクノライクス株式会社は、全保有株式の売却に伴って、平成28年1月1日より、連結子会社ではなくなっています。
当連結会計年度における売上高は、22,092,016千円(前期比2.8%減)となりました。前述のとおり、原価率改善に取り組んでおり、連結全体の原価率が、前期に比べ、およそ1.0ポイント減少するとともに、バックオフィス業務の見直しを通じて販売費及び一般管理費の対売上高比率をおよそ0.6ポイント減少させることができました。その結果、営業利益は、2,119,109千円(前期比15.3%増)、経常利益は、2,109,341千円(前期比15.8%増)となりました。
当連結会計年度では、投資有価証券の売却などにより、特別利益を27,470千円計上する一方、子会社のれんの減損損失、関係会社に対する貸倒引当金の繰入、子会社の新宿への移転等、特別損失を197,931千円計上するなどしたことにより、親会社株主に帰属する当期純利益は、1,383,036千円(前期比49.0%増)となりました。
当連結会計年度における各セグメント別の内訳等につきましては、「第2 事業の状況 7 財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (3)経営成績の分析」に記載のとおりであります。
なお、当連結会計年度より従来の報告セグメントの名称を変更し、「半導体事業」を「産業機械事業」としております。本セグメント名称の変更がセグメント情報に与える影響はありません。また、もう1つの報告セグメントである「情報サービス事業」の名称に変更はありません。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べて、759,216千円減少し、当連結会計年度末においては、5,104,641千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(イ)営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動の結果1,313,134千円(前期比264,095千円の収入減)の資金を得られました。収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益1,938,879千円、のれん償却額149,223千円などです。一方、支出の主な内訳は、法人税等の支払額769,012千円などであります。
(ロ)投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動の結果181,961千円(前期比75,973千円の支出減)の資金を支出しました。これは、主として連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出103,642千円などがあったものによります。
(ハ)財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動の結果1,831,830千円(前期比1,912,782千円の収入減)の資金を支出しました。これは、主として短期借入れの返済による支出(純額)1,070,000千円などがあったものによります。