E30993 Japan GAAP
前期
27.4億 円
前期比
104.5%
株価
355 (03/28)
発行済株式数
5,428,000
EPS(実績)
26.82 円
PER(実績)
13.24 倍
前期
485.7万 円
前期比
104.9%
平均年齢(勤続年数)
38.2歳(5.7年)
従業員数
111人(連結:134人)
当社グループは、当社(株式会社エムケイシステム)、株式会社ビジネスネットコーポレーションの2社で構成され、社労夢事業とCuBe事業の2事業を営んでおります。
各事業の内容は次のとおりであります。なお、セグメント情報の区分と同一であります。
社労夢事業では、社会保険労務士事務所、労働保険事務組合(注1)及び一般法人における、社会保険(注2)、労働保険(注3)、給与計算等の手続きをサポートする業務支援ソフトウエアをASP方式により提供するサービスを行っています。
社労夢事業の販売区分は大きく「クラウドサービス(注4)」、「システム商品販売」、「その他サービス」に区分できます。
「クラウドサービス」は、ASPサービスの利用や各種サポート費用などの月額料金である「ASPサービス」と、サービス導入に至るまでの初期設定費用、カスタマイズ作業費、操作指導料などが含まれる「システム構築サービス」で構成されます。
また、システムに付随した商品や端末機器の販売、サプライ商品の販売を行う「システム商品販売」、これらに該当しない社会保険労務士や一般法人の人事総務部門に対して提供するサービスの「その他サービス」の3つに区分されます。
それぞれの販売区分におけるサービスの内容、主要なサービス及び商品は以下のとおりです。
(注) 1.労働保険事務組合とは、中小事業主の委託を受けて、事業主が行うべき労働保険の事務を処理することについて、厚生労働大臣の認可を受けた団体であります。
2.社会保険とは、健康保険などの医療保険、厚生年金保険などの年金保険及び介護保険の総称であります。
3.労働保険とは、雇用保険及び労災保険の総称であります。
4.クラウドサービスとは、ネットワーク上にあるアプリケーションやサーバーなどのリソースをネットワーク経由で提供するサービスであります。
① ASPサービス
a. 社労夢ベーシックプラン
社会保険労務士事務所の主要業務の一つである、官公庁に申請を行う社会保険・労働保険等に関する業務支援システムであり、ASP方式によりサービスを提供しております。「社労夢ベーシックプラン」を利用することで、社会保険の資格取得・喪失届、月額算定基礎届、保険料変更通知等の機能を利用することが可能であり、労働保険では、保険関係成立届、概算・確定申告書、一括有期事業報告書、雇用保険関連の資格取得・喪失届等の機能を利用することが可能です。
また、社会保険労務士事務所と顧問先をインターネットで繋ぐ「ネットde顧問」をオプション機能として利用することが可能であり、利用人数に応じた従量制の課金としております。「ネットde顧問」は、人事・総務に関する複数の機能からなる総合システムであります。例えば、システムで打刻された顧問先社員のタイムカードデータを、インターネット経由で社会保険労務士事務所が取り込み、給与計算を行うなどの機能があります。
b. 社労夢ハウスプラン
「社労夢ベーシックプラン」の上位サービスとして社会保険労務士事務所と顧問先を結ぶ総合的な人事・労務業務支援ネットワークサービスであります。
サービス機能は「社労夢ベーシックプラン」の機能に加え、申請手続の進捗管理機能、「社労夢ベーシックプラン」でオプション機能である「ネットde顧問」が、「社労夢ハウスプラン」では一定の利用人数までは基本料金内で利用することが可能な点で相違しております。
c. 社労夢ライトプラン
「社労夢ベーシックプラン」の機能のうち、社会保険労務士事務所に必要な最小限の機能だけを抽出したサービスです。「社労夢ベーシックプラン」の機能性・使いやすさを維持しながら、低価格で同様のサービスを利用できることが特徴であり、比較的小規模な社会保険労務士事務所に適したサービスであります。
d. ネットde事務組合
労働保険事務組合向けのASPサービスであり、労働保険の年度更新、電子申請、雇用保険関連の手続き等を支援するシステムであります。
e. 社労夢CompanyEdition
一般事業会社の人事総務部門向けのASPサービスであり、「社労夢ベーシックプラン」の機能に加え、一般法人で必要性の高い、申請手続の進捗管理機能を追加したシステムであります。
f. その他
マイナボックス、DirectHR、eNEN、ShaRobo、CloudPocketなどのサテライト製品があります。
② システム構築サービス
a. 初期設定サービス
システムを導入する際に必要となるユーザーごとのアプリケーション、データエリア、セキュリティ等の設定、ID・パスワードの発行等の初期設定を行うサービスであります。
③ システム商品販売
a. 端末機器
システム利用時に使用するカードリーダーなどのソフト及び端末機器であります。
b. サプライ商品
システム利用時に使用する給与明細書などの帳票を販売しております。
④ その他サービス
a. 派遣
当社システムを利用した手続きに係る運用を一括で請け負うサービスを行っております。
CuBe事業では、大手企業の人事総務部門向けに業務プロセスの効率化を目的として個社毎にカスタマイズしたフロントシステムの「受託開発パターンメイド」と、大手企業向け受託開発を通じて蓄積したノウハウを活かし、中小企業での利便性を実現した「クラウドサービス」があります。
製品として受託開発パターンメイドには、「人財CuBe」、「就業CuBe」、「申請CuBe」、「精算CuBe」があり、クラウドサービスには、「GooooN」があります。
各製品の概要は以下のとおりです。
① 受託開発パターンメイド
a. 人財CuBe
企業などの人事総務部門などでは、人材の採用・育成の場面において、個々の従業員の目標管理や人事考課、キャリア形成過程でのキャリアプランの自己申告や研修などを通じたキャリア形成支援などを行っております。これら業務においては、従業員とその上長の間や従業員と人事総務部門との間などで、様々な情報がやり取りされるため、煩雑な業務となっており、ミスが生じたり、非効率であったりしております。人財CuBeでは、こうした業務プロセスをシステムにより効率化することを目的としております。加えて、個々の従業員に関するデータを一元化して、必要な情報を必要な時に必要な人が見やすく提供できる人材プロフィールにまとめることで、従業員間や従業員と会社とのコミュニケーションツールとしても活用できるようにしております。
b. 就業CuBe
企業などの人事総務部門では、適切な労務管理や行政手続のため、従業員の日々の勤怠管理や休日管理を行う必要があります。また、引越や扶養家族の増加など人事に関連する届出を従業員から受け付けたり、給与や賞与の明細を従業員に交付したりしております。これらの業務においては、従業員とその上長の間や従業員と人事総務部門との間などで、様々な情報がやり取りされるため、煩雑な業務となっており、ミスが生じたり、非効率であったりしております。就業CuBeでは、こうした業務をシステムによって効率化することを目的としていると共に、労務管理、内部統制などの視点でコンプライアンスを意識した情報提供ができるようにしております。
c. 申請CuBe
企業などでは、社内ルールに則した様々な稟議決裁や、部門間での報告書のやりとりなどを行っております。これらの業務では、従業員とその上長の間などで、様々な情報がやり取りされるため、煩雑な業務となっており、ミスが生じたり、非効率であったりしております。申請CuBeでは、こうした業務をシステムによって効率化することを目的としていると共に、内部統制への対応も実現しております。
d. 精算CuBe
企業などでは、従業員などが立て替えて支払った外出時の交通費、出張時の旅費、交際費、会議費などを精算したり、取引先への支払について上長の承認を得るなどのやり取りを行っております。これらの業務では、従業員とその上長の間や従業員と経理部門との間などで、様々な情報がやり取りされるため、煩雑な業務となっており、ミスが生じたり、非効率であったりしております。精算CuBeでは、こうした業務をシステムによって効率化することを目的とすると共に、内部統制への対応も実現しております。
② クラウドサービス
a. GooooN
大企業で20年以上使われてきたノウハウを凝縮し、中小企業においても日々現場で活用できる人事評価・人財育成クラウドシステムであります。機能は、人材育成のための社員・評価者・人事部門のコミュニケーションツールとなる「目標管理・人事考課」、個々のキャリア形成をサポートする目的とした従業員と人事部門を直接つなぐツールである「自己申告・キャリアプラン」、タレントマネジメントとして必要な時に必要な情報を容易に参照できるツールである「人財プロフィール照会」の3モジュールから構成され、これらが有機的に連携し人材育成をサポートします。
当社グループの事業を事業系統図に示すと、以下のとおりです。
[事業系統図]
(注) OEM供給は、相手先のブランド名で、当社がシステムを構築し、提供しているサービスであります。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染者数増加の影響を受けつつも各種制限の緩和等により景気は持ち直しの動きがみられました。一方で資源価格の高騰や物価の上昇、世界的な金融引き締めによる急激な為替変動など、内外経済に与える影響は依然として不透明な状況です。
国内の情報サービス業界及び当社グループの関連する人事労務領域においては、政府が推進する働き方改革や新型コロナウイルス感染拡大に伴うテレワークへの急速な取り組み、業務効率化対応に伴うDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進などを背景に、企業の投資需要は引き続き増加しているものの、内外経済に対する影響への懸念から、新規の投資に対する先送りなど、投資に対する動きには慎重さが見られました。
このような状況の中、当社グループは、オンラインセミナーやリモート会議などを積極的に活用し顧客の業務効率化並びに付加価値創造を支援し、顧客満足度をより一層高めるべく努めてまいりました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a. 財政状態
(資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は、1,232,530千円(前期比16.6%増)となりました。主な内訳は、現金及び預金609,336千円及び売掛金507,988千円となっております。
また、固定資産の残高は1,327,414千円(前期比13.0%増)となりました。主な内訳は、ソフトウエア485,234千円、ソフトウエア仮勘定249,092千円、差入保証金163,022千円となっております。
以上の結果、総資産は2,559,945千円(前期比14.7%増)となりました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は、831,733千円(前期比10.6%増)となりました。主な内訳は、短期借入金200,000千円、未払金125,321千円、1年内返済予定の長期借入金115,592千円となっております。
また、固定負債の残高は201,010千円(前期比261.6%増)となりました。主な内訳は、長期借入金195,000千円となっております。
以上の結果、負債合計は1,032,743千円(前期比27.9%増)となりました。
(純資産)
当連結会計年度末における株主資本は、1,519,653千円(前期比7.2%増)となりました。主な内訳は、資本金219,110千円及び資本剰余金202,122千円、利益剰余金1,098,920千円となっております。
以上の結果、純資産は1,527,201千円(前期比7.2%増)となりました。
b. 経営成績
当連結会計年度における業績は売上高2,867,469千円(前期比4.5%増)、売上総利益1,349,465千円(前期比5.9%増)、営業利益219,675千円(前期比51.1%増)、経常利益227,650千円(前期比75.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益145,580千円(前期比59.3%増)となりました。また、当社グループが重要な経営指標と考える自己資本利益率(ROE)は、連結ベースで9.9%(前期比3.3ポイント増加)、当社単体では10.5%(前期比5.0ポイント増加)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末と比較し148,283千円増加し、609,336千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により獲得した資金は、617,250千円となりました。主な増加要因は、税金等調整前当期純利益227,650千円、減価償却費352,724千円、のれん償却額38,861千円、主な減少要因は、売上債権の増加32,931千円、棚卸資産の増加17,043千円、法人税等の支払額15,524千円などであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は、557,416千円となりました。主な増加要因は、定期預金の払戻による収入7,094千円、主な減少要因は、無形固定資産の取得による支出443,745千円、有形固定資産の取得による支出119,622千円などであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により獲得した資金は、88,450千円となりました。主な増加要因は、長期借入れによる収入300,000千円、主な減少要因は、長期借入金の返済による支出242,259千円、配当金の支払額43,290千円などであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループは、生産活動を行っていないため、記載を省略しております。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.社労夢事業では、受注から販売までの期間が短期間であり、期中の受注高と販売高がほぼ同一となるため、記載を省略しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績等
社労夢事業では、社労夢(Shalom)シリーズをはじめ、WEB年末調整システム「eNEN」、顧問先アプリケーション「ネットde顧問」などの各製品群の品質向上と機能拡充などを図るとともに、「社労夢(Shalom)V5.0」の次期バージョンとなるシステム、「FOREVER」の開発を進めております。
このような中、WEB年末調整システム「eNEN」の新規受注及び利用従業員数の増加、2022年7月に実施した一部製品についての月額利用料の価格改定、毎年多くの引き合いにつながっているIT導入補助金の採択によりハウスプランの契約件数を伸ばしたことなどで、社労夢(Shalom)シリーズをはじめとするクラウドサービスの月額課金の積み上げが順調に推移しました。また、日本最大級の管理部門向け展示会「第10回 HR EXPO人事労務・教育・採用」への出展や社労士向けのイベントを主催し、新規ユーザーの獲得及び既存ユーザーのアップセルに努めました。
売上高の内訳としましては、クラウドサービス売上高が2,206,586千円(前期比8.9%増)となり、その内、ストック収益であるASPサービス売上高が2,026,214千円(前期比11.4%増)、システム構築サービス売上高が180,372千円(前期比13.1%減)となりました。システム商品販売売上高は91,547千円(前期比7.9%減)となりました。
一方で、一部製品の償却が終了したことなどによりソフトウエア償却費が減少したことや、積極的な採用を控えたことで、全体的にコストが抑えられることとなりました。
以上の結果、社労夢事業の売上高は2,324,232千円(前期比7.8%増)となり、売上総利益は1,184,216千円(前期比9.3%増)、営業利益は221,105千円(前期比77.0%増)となりました。当社グループで重要な経営指標としている売上高に対する営業利益の比率は9.5%(前期比3.7ポイント増加)となりました。
(CuBe事業)
CuBe事業では、大手企業の人事総務部門向けに業務プロセスの効率化を目的として個社毎にカスタマイズしたフロントシステムの受託開発と、大手企業向け受託開発を通じて蓄積したノウハウを活かし、中小企業での利便性を実現したクラウドサービス「GooooN」の提供を行っております。
フロントシステムの受託開発においては、顧客となる大企業や自治体などからの保守売上が順調に積み上がった一方、企業内部の制度改正や投資需要のタイミングに左右される新規開発案件については、例年ほど積み上がらない結果となりました。クラウドサービス「GooooN」においては、機能強化及び販売ルートの開拓に努めました。
コスト面においては、開発活動における競争力強化や営業活動における販促投資に向けるコストが先行する状況となりました。
以上の結果、CuBe事業の売上高は561,317千円(前期比8.8%減)、売上総利益は166,907千円(前期比14.2%減)、営業損失は19,588千円(前期は9,538千円の営業利益)となりました。なお、CuBe事業の営業損失については、のれん償却額38,861千円を反映しております。
b. 経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a. キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
当連結会計年度のキャッシュ・フローの内容につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b. 資本の財源及び資産の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、売上原価や販売費及び一般管理費に計上される対価や納税資金等であります。設備投資資金には、サーバー増設等の大規模な設備投資があります。また、株主還元については、財務の健全性に留意しつつ、配当政策に基づき実施しております。
運転資金及び投資資金並びに株主還元等については、主として営業活動から得られるキャッシュ・フローを源泉とする内部資金及び金融機関からの借入を基本としております。
当社グループは、健全な財務体質、継続的な営業キャッシュ・フロー創出能力により、今後も事業成長を確保する目的で手元流動性を高める資金調達や、個別投資案件への資金調達は可能であると考えております。
なお、当連結会計年度末における有利子負債の残高は510百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は609百万円となっております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。