E32794 Japan GAAP
前期
40.3億 円
前期比
120.7%
株価
1,590 (05/01)
発行済株式数
6,925,400
EPS(実績)
-6.57 円
PER(実績)
--- 倍
前期
587.9万 円
前期比
100.5%
平均年齢(勤続年数)
33.6歳(3.7年)
従業員数
160人(連結:201人)
当社グループは「労働力不足を解決し 人と企業を豊かに」というコーポレートビジョンのもと、「労働力不足解決のリーディングカンパニー」を目指し、様々な領域において労働力の代替ソリューションとなる事業をSaaSを中心に複数展開し、上記社会課題の解決に向き合ってまいりました。
当社グループは、「在宅ワークのスタンダード化」を目指して2003年11月に企業のアウトソーシング・ニーズの受け皿となるBPO(Business Process Outsourcing)((注)1.)事業を開始いたしました。その後、受託する業務量の増加に伴うニーズの多様化を受け、より効率的に運営を行うことを目的として当社グループを経由せずに案件をマッチングさせる体制を整えるため、2007年2月にクライアントと主に主婦のクラウドワーカー((注)2.)の業務受発注のマッチングサービスであるクラウドソーシング事業として「シュフティ」を開始。さらに、BPO事業で培われたノウハウやクラウドソーシング事業が持つリソースをかけ合わせることで、当社グループ自身がクラウドワーカーを活用して新たなサービスを創出するCGS(Crowd Generated Service)((注)3.)事業として、現在も売上高及び利益の大半を占める主力サービスである官公庁等の入札情報を提供する入札情報速報サービス「NJSS(エヌジェス)」を2008年9月に開始いたしました。その後、2014年10月に幼稚園・保育園向けの写真販売管理システム「えんフォト」、2019年2月にクラウドワーカーを活用した電話受付代行サービス「fondesk」を開始。また2020年12月にはえんフォトとのシナジー創出を目的に出張撮影マッチングサービス「OurPhoto(アワーフォト)」を運営するOurPhoto株式会社の全株式を、2023年1月にはNJSSとの連携を目的に入札情報検索サービス「nSearch」を運営する株式会社ブレインフィードの全株式をそれぞれ取得して完全子会社化し、現在の事業構成へと至っています。「NJSS」・「fondesk」・「えんフォト」はいずれもSaaS(Software as a Service)であり、現在ではSaaS事業が当社グループの成長の基盤となっております。
CGS事業では、「シュフティ」を活用することで、これまで機械やソフトウェアのみを活用してきた作業にクラウドワーカーによる人力作業を付加し、システムのみでは提供できない付加価値を有したサービスを創出・提供しております。例えば、「NJSS」においては、システムクローラー((注)4.)だけでは情報の収集が難しいスキャニングされたPDFデータ等の入札・落札情報について、クラウドソーシング・プラットフォーム「シュフティ」のクラウドワーカーを活用して情報を収集することで網羅性のあるデータベースの提供を図っております。
当社グループ(当社及び当社の関係会社)は、当社及び連結子会社3社で構成されており、セグメントはCGS事業 NJSS、CGS事業 fondesk、CGS事業 フォト、CGS事業 その他、当社の100%子会社である株式会社うるるBPOにて運営するBPO事業及びクラウドソーシング事業の6つとしております。
(注) 1.BPO(Business Process Outsourcing)とは、企業運営上の業務やビジネスプロセスを専門企業に外部委託することを指します。
(注) 2.クラウドワーカー(Crowd Worker)とは、クラウドソーシング・プラットフォームに登録し、クラウドソーシング・プラットフォームを介して仕事の受注・遂行・納品等を行うワーカー(働き手)のことを指します。
(注) 3.CGS(Crowd Generated Service)とは、クラウドソーシング・プラットフォームに登録するクラウドワーカーの労働力を活用して生み出されたサービスを指します。
(注) 4.システムクローラー(System Crawler)とは、ウェブ上の文書や画像などを周期的に取得し、自動的にデータベース化するプログラムを指します。
当社グループでは、CGS事業、BPO事業、クラウドソーシング事業の3つの事業を運営することで、「深刻化する労働力不足を解決する企業」として労働力の代替ソリューションを提供しております。
CGS事業では、直接「シュフティ」のクラウドワーカーへ業務を発注し、その納品物を集約・加工することでサービスを創出し、クライアントへ提供しております。例えば、主力CGS事業である入札情報速報サービス「NJSS」では、当社がクラウドワーカーへインターネット上に公示される官公庁等の入札・落札案件情報の収集を発注し、当社が当該情報を集約して入札・落札案件情報のデータベースを構築し、クライアントへ提供しております。このデータベースは、従来型のサービスではシステムクローラーによるテキスト情報の収集が主であり、必要な情報が取得できない、または不要な情報が混ざってしまうことが多々ありましたが、「NJSS」ではクラウドワーカーが手作業で収集を行うことにより、不要な情報の除去が可能となっている他、画像情報のテキスト化が可能となり、システムクローラーのみでは作成困難なデータベースの構築を図っております。他にも、クラウドワーカーを活用した電話受付代行サービス「fondesk」においては、「シュフティ」のクラウドワーカーへ在宅での受電業務を発注することで、地代家賃等の固定費を抱えることがなくコストを抑えられ、比較的安価でクライアントに電話受付代行サービスを提供でき、保育園・幼稚園向けの写真販売管理システム「えんフォト」においては、クラウドワーカーであるフォトグラファーを園へ派遣し、写真撮影業務を発注することで全国の園に写真撮影サービスを提供しております。
BPO事業では、「シュフティ」のクラウドワーカーや国内・国外協力会社といった当社グループが有する複数のリソースを活用して、クライアントのアウトソーシング・ニーズに対して、その規模を問わず、ニーズに適合するリソースを適切に指示・管理することで、クライアントへソリューションを提供しております。
クラウドソーシング事業では、業務をアウトソーシングしたいクライアントと、在宅等で時間や場所の制約なく仕事をしたいクラウドワーカーをマッチングするサービスであるクラウドソーシング・プラットフォームである「シュフティ」を提供しております。
当社グループのビジネスモデルの特徴は、①これまで機械やソフトウェアのみを活用してきた作業にクラウドワーカーによる人力作業を付加することで、システムのみでは提供できない付加価値の創出を図るCGS事業を運営していること、②クラウドソーシング事業やBPO事業において、クライアントの相談を受けることで市場のニーズを把握し、新規CGS事業のアイディアが生まれること、③クラウドソーシングのプラットフォームを自社で保有しており、外部環境に依存せずにCGS事業を運営することができ、またクラウドワーカー活用のノウハウを蓄積し続けていること、④CGS事業、BPO事業、クラウドソーシング事業という3つの事業を有することで、収益基盤の安定化を図れることが挙げられます。
当社グループ全体の事業系統図は、以下のとおりです。
(2023年3月31日現在)
CGS事業では、当社グループが「シュフティ」に登録するクラウドワーカーへデータ入力やデータ収集といった様々な業務を直接発注し、クラウドワーカーから納品されたデータ等を当社が集約・加工することでサービスを創出し、クライアントへ提供しております。
CGS事業で提供するサービスの主な特徴は、以下のとおりです。
ⅰ.「シュフティ」には全国各地に点在する約45万人(2023年3月末時点)のクラウドワーカーが登録されているため、地域固有の業務の提供やデータの継続的な収集を行うことができる
ⅱ.在宅等の勤務により業務時間・場所に制約のないクラウドワーカーを活用することで、サービスの提供を常時行うことができる
ⅲ.クラウドワーカーを活用する際に、採用、勤務場所、設備投資等などに係る費用がかからないため、初期投資費用を抑えることができる
当社グループがCGS事業で展開しているサービスは、以下のとおりです。
なお、代表的なCGS事業である入札情報速報サービス「NJSS」の事業フローは、以下の図のとおりです。
BPO事業は、当社100%子会社である株式会社うるるBPOが運営しております。本事業では、業務コスト削減や業務速度を早めたい、作業品質を高めたい、コア業務へ集中したい等といったアウトソーシングニーズがある企業へ株式会社うるるBPOが保有する社内施工部門である徳島センター・大分センター、「シュフティ」のクラウドワーカー、国内外の協力会社といった社内外のリソースを活用して、ソリューションを提供するサービスを展開しております。具体的にはデータ入力・スキャニング等に加え、システム開発受託、電子化総合アウトソーシング、メーリングサービス、キャンペーン事務局代行等の総合型アウトソーシング受託業務を行っております。受注後、案件の内容、規模、納期、クライアントの要望等に応じて発注先を選択しております。
このほか、AI-OCRと人力をかけ合わせたSaaS型データ自動化サービスである「eas(イース/Entry Automation System)」も展開しております。
当社グループでは2003年より、自社ウェブサイトを経由して新規・継続顧客から業務を受注し、累計約5,400社のクライアントを有しております。
BPO事業では、クライアントのニーズに対して、社内施工部門、「シュフティ」のクラウドワーカー、中国を中心とした国外協力会社及び国内協力会社といった社内外のリソースを活用して、株式会社うるるBPOがワンストップでクライアントへソリューションを提供できることが特徴となっております。
クライアントと株式会社うるるBPO及びそのリソースとの関係については、以下の図のとおりです。
クラウドソーシング事業とは、当社がインターネット上で提供するクラウドソーシング・プラットフォーム「シュフティ」で、業務を発注したいクライアントと、在宅で時間や場所の制約なく仕事をしたいクラウドワーカーをマッチングするサービスとして2007年2月にリリースいたしました。「シュフティ」に登録されているクラウドワーカー数は2023年3月末時点で約45万人となっておりますが、CGS事業にリソースを供給するためのプラットフォームとして、ユーザー利便性向上のためのサービス改修や安定的運営のためのカスタマーサポート改善に継続的に取り組んでおります。
「シュフティ」の特徴は以下のとおりです。
ⅰ.クラウドワーカーは、業務時間・場所に制約なく、仕事をし、報酬を得ることができる
ⅱ.クラウドワーカーは、仕事内容を選ぶことができ、自身のスキルを活かすことができる
ⅲ.クライアントは、業務を依頼したいときのみ、業務の発注を行うこととなるため、費用を変動費化でき、また採用等の初期投資費用を抑えられる
ⅳ.クライアントは、業務時間・場所に制約のない多数のクラウドワーカーが存在する「シュフティ」を利用するため、常時役務の提供を享受できる
「シュフティ」で登録されている業務の特徴として、「シュフティ」にアクセスできる環境さえあれば誰でも簡単にできる業務が多いことが挙げられます。パソコンやスマートフォン等でできる業務が多く登録されていることから、育児の合間や電車で移動中の時間といったすき間時間に仕事をすることが可能となります。
「シュフティ」におけるクライアントとクラウドワーカーの一連の取引フローは、以下の図のとおりです。
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
当連結会計年度における売上高は4,862,379千円(前年同期比20.7%増)、EBITDA(営業利益+減価償却費+のれん償却額(以下同様))は105,905千円(前連結会計年度は△164,280千円)、営業利益は8,859千円(前年同期は241,449千円の営業損失)、経常利益は5,976千円(前年同期は251,790千円の経常損失)、親会社株主に帰属する当期純損失は45,507千円(前年同期は64,401千円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
なお、2022年5月13日に開示(2022年6月24日に一部訂正)いたしました業績予想との対比は以下のとおりです。
各セグメントの業績は、次のとおりです。
CGS事業の主力SaaSである「NJSS」については、「ARPU(一件当たり日割り売上高)と有料契約件数の最適化を図ることで将来にわたる売上高を拡大する」という方針に基づき各種施策を展開した結果、有料契約件数は、解約数を抑えつつ新規契約を着実に獲得することができたことから、2023年3月末時点で5,722件と、2022年3月末比で1,018件増加いたしました。ARPUは1,164円となりましたが、今後、新機能リリース等により、中長期的に維持・増加を目指してまいります。
また、カスタマーサクセスの強化により、有料契約件数をベースにした12ヶ月平均の解約率は1.44%(同2022年3月末1.48%)と前連結会計年度から1.4%台を維持し、ARR(年間経常収益)も約25億円と成長を続けております。
この結果、当連結会計年度におけるCGS事業 NJSSの売上高は2,386,369千円(前連結会計年度比19.5%増)となり、セグメントEBITDAは940,901千円(前連結会計年度比33.8%増)、セグメント利益は920,757千円(前連結会計年度比32.3%増)となりました。
(注) 1.ARPU:有料契約一件当たりの日割り売上高。
2.解約率:前月末有料契約件数に対する当月解約件数の割合上表は12か月平均の数値。
3.LTV:「顧客生涯価値」。ARPU×1/解約率×粗利率90%で算出。
4.ARR:「年間定額収益」。各四半期末時点のMRRに12を乗じて算出。
CGS事業におけるSaaSである「fondesk」は、マーケティング施策の実施など成長投資を行ったことによりコストが増加いたしましたが、バックオフィス業務のDX化を支援するサービスの一つとしての認知をさらに拡大させ着実に需要を取り込んだことで、2023年3月末時点で有料契約件数が4,054件(2022年3月末比739件増加)と成長いたしました。また、2022年7月1日に行った料金改定による従量料金の増加によりARPUが14,810円となりました。加えて継続的なプロダクト・サービス改善によって、直近12ヶ月の平均月次解約率は過去最低水準の1.5%を維持しております。
この結果、当連結会計年度におけるCGS事業 fondeskの売上高は660,035千円(前連結会計年度比45.2%増)となり、セグメントEBITDAは△30,178千円(前連結会計年度は△73,437千円)、セグメント損失は31,014千円(前連結会計年度は74,019千円の損失)となりました。
(注)1.ARPU:有料契約一件当たりの月割り売上高。
2.解約率:前月末有料契約件数に対する当月解約数の割合。上表は12か月平均の数値。
3.ARR:「年間経常収益」。各四半期サブスクリプション売上高と各四半期リカーリング売上高の合計に4を乗じて算出。
CGS事業におけるSaaSである「えんフォト」は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けながらも、着実に契約園数を増加させることができ、ARR(年間経常収益)も約6億円と成長を続けております。また、2020年12月に完全子会社化した出張撮影マッチングサービス「OurPhoto(アワーフォト)」を運営するOurPhoto株式会社とのシナジー創出等に注力しつつ、サービス成長やユーザー利便性向上のための施策を着実に実施いたしました。
この結果、当連結会計年度におけるCGS事業 フォトの売上高は572,539千円(前連結会計年度比23.1%増)となり、セグメントEBITDAは△210,421千円(前連結会計年度は△219,286千円)、セグメント損失は241,967千円(前連結会計年度は250,396千円の損失)となりました。
(注) ARR:「年間経常収益」。各四半期リカーリング売上高に4を乗じて算出。
BPO事業におきましては、SaaS型自動化サービス「eas(イース/Entry Automation System)」におけるマーケティング施策などの成長投資を行いつつも、新型コロナウイルスの影響によるリモートワークの社会浸透を背景とする紙の電子化需要などにより引き合いが好調に推移いたしました。また、引き合いが好調な状況を背景に2023年3月より徳島第三センターの稼働を開始したことに加え、同月にSaaSの裏側を人力でサポートする業務において複雑かつ高難度な対応をメインとした業務の受け入れ体制づくりのため、大分県に大分センターを設立しております。
この結果、当連結会計年度におけるBPO事業の売上高は1,216,020千円(前連結会計年度比12.4%増)となり、セグメントEBITDAは62,698千円(前連結会計年度比30.6%増)、セグメント利益は28,136千円(前連結会計年度比56.5%増)となりました。
クラウドソーシング事業におきましては、「シュフティ」に登録されているクラウドワーカー数は2023年3月末時点で約45万人となっておりますが、CGSにリソースを供給するためのプラットフォームとして、ユーザー利便性向上のためのサービス改修や安定的運営のためのカスタマーサポート改善に継続的に取り組んでおります。
この結果、当連結会計年度におけるクラウドソーシング事業の売上高は27,415千円(前連結会計年度比8.8%減)となり、セグメントEBITDAは△13,993千円(前連結会計年度は△30,123千円)、セグメント損失は14,370千円(前連結会計年度は30,604千円の損失)となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ409,032千円減少し、2,396,104千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは328,863千円の収入(前連結会計年度は30,696千円の支出)となりました。この主な要因は減価償却費68,619千円の計上、のれん償却額28,426千円の計上、契約負債の増加282,805千円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは695,046千円の支出(前連結会計年度は416,772千円の支出)となりました。この主な要因は、有形固定資産の取得による支出81,133千円、無形固定資産の取得による支出205,809千円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式取得による支出260,629千円、投資有価証券の取得による支出138,911千円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは42,849千円の支出(前連結会計年度は39,205千円の支出)となりました。この主な要因は、長期借入金の返済による支出41,810千円によるものです。
当社グループは生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
BPO事業において受注が発生するものの、受注から納品までの期間が短く見込納品額は変動するケースがあるため、受注額の掲載を省略しております。
最近2連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(単位:千円)
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が10%以上の販売先がないため、省略しております。
《経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容》
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
「《経営成績等の状況の概要》 (1) 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。
当社グループのCGS事業は、いずれもストック型・サブスクリプション型のビジネスモデルであるため、その有料契約件数及び一有料契約当たりの総契約額が経営成績等に重要な影響を与えます。
CGS事業の主力サービスである「NJSS」においては、過去に営業体制とプロダクトが抱える課題によって成長が鈍化していたという認識があります。具体的には、営業体制に関しては、組織構造及び重視するKPI等が適切ではなかったことにより各社内部門が部分最適に陥っておりました。また、プロダクトに関しては、抜本的システム改修がなされていなかったことにより顧客利便性が不十分となっておりましたが、営業体制については人員強化を図ったうえプロダクトに関しては2021年7月にフルリニューアル第一弾を実施いたしました。今後はNJSSをSaaS事業としてさらに成長させていくため「解約率を維持・改善しつつ、ARPU(一件当たり日割り売上高)と有料契約件数の最適化を図ることで将来に渡る売上高を拡大する」という方針のもと有料契約件数増加トレンドの継続・チャーンレートのさらなる抑制・プロダクトへの機能追加やこれまでターゲットとしていなかった顧客層へのアプローチの開始等により事業価値を向上させていきたいと考えております。
BPO事業においては、紙の電子化需要などにより引き合いが好調に推移し、2023年3月より徳島第三センターの稼働を開始したことに加え、同月にSaaSの裏側を人力でサポートする業務において複雑かつ高難度な対応をメインとした業務の受け入れ体制づくりのため、大分県大分市に大分センターを設立しております。引き続き2024年3月期においても各センターにおける強固且つ多様な施工体制を土台に、インボイス制度開始や電子帳簿保存法施行に伴って発生する各種ニーズへの対応やSaaSの裏側のサポート等を通じて、継続的な成長と利益率の向上を図っていくことが重要であるという認識でございます。
クラウドソーシング事業については、CGS事業のためのプラットフォームとしての位置付けであり、当面横ばいの業績を見込んでいることから経営成績等への重要な影響を与える要因はないという認識です。
その他の経営成績等に重要な影響を与える要因につきましては、「3 事業等のリスク」に記載のとおりです。
キャッシュ・フローの状況は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2) キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
当連結会計年度においては、無形固定資産の取得による支出205,809千円や連結範囲の変更を伴う子会社株式取得による支出260,629千円、投資有価証券取得による支出138,911千円なども行った結果、現金及び現金同等物は409,032千円減少いたしました。しかしながらそれでもなお当連結会計年度末における現金及び現金同等物は2,396,104千円、有利子負債控除後のネットキャッシュの金額は2,357,224千円となっており、手元流動性には懸念がないものと認識しております。
当社グループは、2017年3月の東証マザーズ上場時に第三者割当増資によって約13億円の資金調達を行いました。また、主力事業であるNJSSにおいて、原則として契約金額全額を顧客から前払いで受領していることにより、契約が増加すればするほど貸借対照表上の契約負債が増加していくため、正常運転資金は基本的に発生しない財務構造となっております。
これらの要因により、当連結会計年度末時点において、現金及び預金が約24億円、有利子負債控除後のネット・キャッシュも約23.5億円あるなど、当社の資金の流動性は当面十分であると考えております。
上記資金は、今期については中期経営計画(2020年3月期~2024年3月期)達成に向けて一定程度抑制する見込みですが中長期的には成長投資(人材採用・システム開発・広告宣伝等)等やM&Aに投下してまいります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択、適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りとは異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。
なお、連結財務諸表の作成のための重要な会計基準等は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成の基本となる重要な事項)」に記載のとおりです。