E35821 Japan GAAP
前期
30.5億 円
前期比
123.5%
株価
582 (04/19)
発行済株式数
14,354,440
EPS(実績)
12.91 円
PER(実績)
45.08 倍
前期
476.1万 円
前期比
101.6%
平均年齢(勤続年数)
35.1歳(6.7年)
従業員数
293人(連結:307人)
当社グループは、ミッションとして「関わる全ての人をHAPPYに」を掲げており、当社グループの事業領域である不動産業界に対して、一気通貫のITソリューションとなる複数のクラウドサービスを提供し、顧客の生産性向上、収益性向上に寄与しております。
また、中期ビジョンとしては「テクノロジーで不動産領域に革新的プラットフォームを創造する」を掲げており、関連事業者である家賃保証会社や金融機関、修繕業者等、多くのパートナー企業ともデータ連携を推進し、顧客単体ではなく不動産業界全体のDX推進となるよう事業活動を行っております。
当社グループの主な顧客は不動産管理会社(注1)および不動産仲介会社(注2)(以下、併せて「不動産会社」という。)でありますが、当社グループが提供する価値ある情報と情報技術によって不動産会社と、不動産会社の顧客である消費者を支援することを当社グループの事業領域として位置付けております。
(注1)不動産管理会社とは、不動産の貸主に代わり賃貸物件の管理・維持を行うことを主な役割とする会社であります。管理・維持のためには、集金管理、入居者管理、更新・解約・精算、建物管理等の業務を行います。
(注2)不動産仲介会社とは、家主と入居希望者の間に入り、不動産物件の仲介をすることを主な役割とする会社であります。不動産仲介会社は、家主や不動産管理会社からの依頼を受けて、空室の入居者を募集し、入居者を決め、賃貸借契約の締結等の業務を行います。不動産仲介業務を行うためには、宅地建物取引業の免許が必要であり、当免許を取得して不動産の取引業を営む業者を宅地建物取引業者(宅建業者)といいます。
当社グループは、不動産業界DX化促進に向けた業務支援クラウドサービスの提供を中心に事業を展開しております。提供するサービスは不動産仲介業務の支援となる「仲介ソリューション」と賃貸管理業務の支援となる「管理ソリューション」の2つに分類されます。
「仲介ソリューション」とは、物件情報の仕入れ、集客、申込み、重説、契約までの不動産仲介業の一連の業務に対するソリューションであり、顧客の業務効率化、収益性向上に貢献するクラウドサービス群であります。商品ラインナップとしては、まず、業務の入り口となる物件情報の仕入れ業務のソリューションとして、業者間物件流通サービス「不動産BB」および「リアプロ」を提供しております。「不動産BB」は無償でのサービス提供となっており、当社の顧客基盤拡大戦略の中心サービスであります。同様のラインナップとして、完全子会社化した株式会社リアルネットプロが提供する「リアプロ」もございます。当社グループは、この2つのサービスで顧客基盤を拡大し、他有償サービスのクロスセルを実施しております。他有償サービスとしましては、不動産ポータルサイトでの集客支援となる「物件データ連動」、自社ホームページ制作支援ツール「Web Manager Pro」、非対面でオンライン上での入居申込み、重要事項説明、不動産契約に対応した「非対面仲介サービス」「IT重説」「電子契約サービス」があります。仲介業務に対して幅広いサービス提供を行うことにより業務の全体最適化を図っております。
「管理ソリューション」とは、賃貸管理業の一連の業務に対するソリューションであり、「仲介ソリューション」同様、顧客の業務効率化、収益性向上に貢献するクラウドサービス群であります。商品ラインナップとしては、賃貸管理業務を幅広く網羅した管理システム「賃貸革命」を提供しております。「賃貸革命」では、契約情報の管理や、請求管理、入金管理、オーナーへの送金管理など、複雑な手続きをシステム上での自動処理、データ管理によって効率化するサービスであります。他有償サービスとしましては、不動産会社と入居者とのコミュニケーションツールである「くらさぽコネクト 入居者アプリ」、家主(オーナー)とのコミュニケーションツールである「くらさぽコネクト オーナーアプリ」、また、不動産経営を支援する「経営分析オプション」も提供しております。
当社グループはこの「仲介ソリューション」「管理ソリューション」を提供することによって不動産会社に対して広範囲での業務効率化を実現し、不動産業界全体のDX化を推進しております。
当社グループの事業セグメント、サービス分類、主要な製品・サービスの体系を図示すると以下のとおりであります。
<当社グループの事業セグメント、サービス分類、主要な製品・サービスの体系>
販売経路は、直接販売(直販)、販売店経由があります。
(直販)
当社グループが顧客である不動産会社に対して直接販売し、当社グループと不動産会社の間でソリューションサービスの提供および保守サービス等の契約を締結します。
(販売店経由)
販売店とは、当社グループの製品を利用する不動産会社を紹介する者であり、当社グループと販売店契約を締結しております。販売店から不動産会社を紹介いただいた後、当社グループは販売店に対してソリューションサービスを提供し、販売店から対価を受領します。なお、保守サービス等については、当社グループと不動産会社の間で契約を締結します。
また、上記の販売店の他、保守サービスも当社グループの代理で不動産会社に提供する形態(代理店)も一部あります。
当社グループの不動産業務支援事業における特徴は以下のとおりです。
(1) 不動産業務支援サービスをワンストップで提供
当社グループは、不動産会社に対して、不動産会社が行う物件在庫管理、入居者募集業務、契約管理、家賃・入送金管理、入居者・建物保全管理等の業務を支援するサービスをワンストップで提供しております。
不動産業務支援サービスをワンストップで提供することにより、顧客ニーズに網羅的に対応できるのみならず、顧客にとっては、当社グループの製品・サービスを業務全体でご利用いただくことでデータの連携により商品間のシナジーが生まれ、更に利便性を高めることが可能となります。それにより、製品・サービスの解約率に関しても、安定した低い数値を維持することができております。
① 仲介ソリューション
a.業者間物件流通サービス
業者間物件流通サービスの主要な製品・サービスは「不動産BB」および「リアプロ」であります。
「不動産BB・リアプロ」
仲介を行う不動産会社の業務の中核(他社への共有、物件仕入れ)を担うサービスであり、「不動産BB」は、無償でご利用いただけます。これまで紙面・FAX・電話でのやりとりが主流であった物件情報の共有をインターネット上で行うことができ、24時間いつでも情報の更新・確認ができることから、双方が効率的に仲介を行える業者間物件流通のプラットフォームとなっております。また、2022年6月に完全子会社となったリアルネットプロ社が提供する「リアプロ」も「不動産BB」同様、業者間で情報を共有する物件流通サービスであり、こちらは一部有償で提供しております。当社グループはこの2つのサービスで日本全国の物件情報のデジタル化を図りつつ、事業成長に向けた顧客基盤拡大を推進しております。
b.仲介業務支援サービス
仲介業務支援サービスは「不動産BB」「リアプロ」によって業者間で共有されている物件情報を二次活用できるサービスであります。二次活用のサービスとしては、不動産会社の集客方法である自社ホームページを作成するためのシステム「Web Manager Pro」とポータルサイト連携システム「物件データ連動」、当社グループにて運営を行う不動産ポータルサイト「くらさぽ」があります。
「Web Manager Pro」
標準の複数テンプレートとCMS(注1)機能により、パーツを組み合わせていくことで不動産ホームページが作成できるレスポンシブ対応のホームページ制作ツールであります。掲載する物件情報は「不動産BB」と連携することができ、掲載情報もリアルタイムに更新可能となっております。
(注1)CMSとは、Contents Management System(コンテンツ・マネジメント・システム)の頭文字をとった略称であり、専門知識が無くとも、Webサイトの作成・更新等が行えるシステムのことを言います。
「物件データ連動」
不動産ポータルサイトへの掲載を効率的に行えるシステムであります。不動産ポータルサイトへの掲載を希望する不動産会社は「不動産BB」上で掲載したい物件を選択し、掲載の指示を行うことで掲載が可能となります。また、「物件データ連動」を利用することにより複数の不動産ポータルサイトへの一括掲載も可能となり、効率的に集客業務を行うことが可能であります。なお、掲載する場合、事前に不動産ポータルサイトとの事前契約が必要となります。
不動産ポータルサイト「くらさぽ」
当社グループが運営する不動産ポータルサイトであり、他社運営のポータルサイト同様、「不動産BB」から掲載したい物件を選択することで掲載可能となります。スマートフォンやタブレットにも対応しており、仲介業務の集客支援としてサービスを提供しております。
「非対面仲介サービス」
これまで対面が常識であった物件探しから入居申込み、重要事項説明までの一連の手続きをすべて非対面で行えるサービスです。Web上で内見ができる「Web内見」、入居申込に関するやり取りを非対面で行う「電子入居申込」、重要事項説明書の説明が非対面で対応できる「IT重説」を提供し、入居希望者と不動産会社との間に、新たなコミュニケーションの在り方を提案しております。これらにより、物件紹介から、電子入居申込、IT重説までデジタルで管理・利用することができ、業務そのものをオンラインによる非対面で執行することができるようになります。
「電子契約サービス」
これまで書面への押印が必要であった不動産契約をオンライン上で実現するサービスであります。2022年5月に施行された宅地建物取引業法改正により不動産契約における書面への押印義務が撤廃となり、オンライン上での電子サインであっても契約が成立することになりました。これに先駆けて当社グループでは「電子契約サービス」を開発し、2021年11月より顧客へのサービス提供を開始しております。当社グループの「電子契約サービス」は既存の契約書ひな型が利用可能で、導入いただくことでペーパーレス化による経費削減にも繋がります。
② 管理ソリューション
a.管理業務支援サービス
「賃貸革命」
管理業務支援サービスの主要な製品・サービスは「賃貸革命」であります。賃貸管理業務は、不動産管理会社がアパート・マンション・一戸建て等の入居者との契約締結、家賃入金管理、入金集計後のオーナー送金、契約期間満了に伴う契約更新、解約の処理など、賃貸管理に関する一連の業務を、賃貸不動産のオーナー(家主)に代わり行うものであります。この賃貸管理業務において、必要な業務を網羅し、一連の業務を効率的に行えるようにするための基幹システムが「賃貸革命」であり、賃貸管理業務で多用される帳票(書類)に関しても、200種を超える帳票(書類)がすぐにご利用いただけるよう準備されております。導入後は業務全般の情報がシステム内のデータベースに蓄積されていきますので、契約更新業務や過去の情報の参照の必要性から、長期にわたって使用することに適したシステムとなっております。
また「賃貸革命」は、オンプレミス版(注1)とクラウド版(注2)の2パターンで提供されており、顧客のニーズに応じて提供パターンを選択していただいております。クラウド版においては、外出先からのテレワークや自宅での在宅ワーク等、近年多様化する働き方のニーズにも対応しており、高額である自社サーバーの設置やインストール作業も不要となります。
(注1)オンプレミス版とは、顧客ごとにサーバーを設置したうえで、顧客のパソコンに当社グループの管理業務支援サービスをインストールしていただき、顧客自身がサーバーやシステムを運用するものになります。
(注2)クラウド版とは、顧客のパソコンに当社グループの管理業務支援サービスをインストールせず、インターネット上に仮想サーバーを設置してサービスをネットワーク経由で提供するものになります。
b.消費者支援サービス
「くらさぽコネクト」
くらさぽコネクトには、入居者アプリとオーナーアプリの2種類があり、スマートフォンやタブレット等の端末でご利用いただけます。入居者アプリは不動産会社と入居者間をつなぐコミュニケーションアプリであり、不動産会社からは契約更新や物件メンテナンス、請求のご案内等を通知することができ、入居者からも不動産会社への問い合わせなどが、チャット形式で行えるサービスとなっており、入居者との非対面コミュニケーションが可能となっております。オーナーアプリは不動産会社と不動産オーナーとをつなぐコミュニケーションアプリであり、オーナーへの月次報告書の送付、年間収支報告、物件巡回の結果連絡、問い合わせ対応等、オーナーへの報告をオンライン上で行うことができるサービス内容となっております。
(2) 自社一貫体制によるスピーディー、かつ本質をついた製品開発
当社グループは、製品の企画から開発、販売、サポートまでを自社一貫体制で行っております。この体制により、製品開発における社内コミュニケーションや、顧客からの改善要望に関する社内コミュニケーションが円滑に行われ、スピーディーで本質をついた製品の改善、強化へと繋がっております。
また、顧客のニーズをそのまま製品化するのではなく、そのニーズの背景とニーズの先にある本来の目的を考え、本質をついた製品開発を心がけており、常に顧客に高付加価値のシステムを提供できる体制になっております。
(3) 複雑な業務パターンに対応できる製品力
当社グループの製品には長年に渡って積み上げてきた不動産業務支援のノウハウが集約されており、また、テクノロジーの進化や法改正等、時代の変化に合わせて日々改善を重ねてまいりました。業界に特化し常に顧客視点で最適な製品開発を進めてきた点は、市場からの信頼獲得に繋がっていると感じております。また、顧客よりいただいた多くの改善要望は、製品のバージョンアップ、定期的なアップデートの際の有益な情報として活用し、製品としての強化を繰り返し行ってまいりました。その結果、全国どの地域でもご利用いただける製品力が醸成されております。
(4) 営業による地域密着型のコンサルティングとサポート体制
当社グループは、顧客に満足して導入・利用いただけるよう営業による地域密着型のコンサルティングとサポートを重視しております。営業活動においては、オンライン上での活動も実施いたしますが、最終的な顧客への提案は営業コンサルタントが現地に訪問し提案を行います。不動産業務は複雑であり、業務上の課題はコンサルタントが顧客と一緒になって考え紐解いていく工程が非常に大切です。この工程を乗り越えることで顧客は最適なソリューションを手に入れ、結果的に顧客満足度も高まります。また、当社グループはサポート体制も地域密着型を重視しております。背景としては、不動産会社自体が地域に根ざしたビジネスを行っていること、地域特有の慣習が多く存在することがあげられます。全国に拠点を展開することで地域特有の運用方法も適切にアドバイスし、緊急の際にはすぐに訪問サポートをできることが、顧客の安心と満足度の向上に繋がると考えております。
■拠点一覧(日本情報クリエイト株式会社):2023年6月30日現在
(5) 専門知識を有した自社社員によるサポート体制
当社グループは顧客が製品を導入された後に、製品を最大限に活用していただくことが一番重要であると考えております。その実現のためには、不動産、製品に関する専門知識を有したものが顧客の課題と真摯に向き合い、定期的なフォローを実施していくことが必然であります。またそれらに加え、宅地建物取引業法や、ITに関する専門知識等を持ち、世の中の変化や、流動的な情報の変化にスピーディーに対応するためには、徹底した社内教育を実施することが必要であると考え、サポート体制は自社社員を主として構成しております。一方で、これまで蓄積してきた顧客の問い合わせ情報を活用し、よくある質問の対応にAIチャットボットを導入する等、素早い対応とサポートスタッフの生産性向上も実現しています。
(6) 低い解約率とストック型ビジネスによる安定した財務基盤
不動産業務支援事業で提供する製品・サービスは、その利便性が評価され継続的にご利用いただける内容となっており、2023年6月期末では解約率が0.6%に留まっております。また、2023年6月期における当社グループ全体収益の約73%がストックによる収益となっており、新規顧客等からのイニシャルを上回っております。毎年安定した新規顧客を獲得していくことで、財務基盤はさらに安定したものへと成長してまいります。
(注)月次解約率の四半期平均を記載しております。
月次解約率:既存契約の月額課金額に占める、解約に伴い減少した月額課金額の割合
以上に述べた事項を事業系統図によって示すと、次のとおりであります。
[事業系統図]
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国の経済は、各種政策の効果によって雇用・所得環境の改善など、緩やかな回復が期待される一方で、世界的な金融引締め等が続き、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっております。また、物価上昇、金融資本市場の変動等の影響にも十分注意する必要があり、依然として先行き不透明な状況が続いております。当社グループがSaaS型クラウドサービスを提供する不動産業務支援の市場においては、労働人口の減少及び慢性的な人手不足や、安定的に増加する新規参入事業者のIT設備投資需要の増加、昨年5月の改正宅地建物取引業法により解禁となった「不動産取引の全面電子化」によって業界全体にDX促進の機運が高まっており、当社グループにとっては引き続き追い風の状況が続いております。
このような事業環境の下、当社グループは不動産領域に対して最適なプラットフォームの構築および、中長期での成長計画を示した3カ年計画の実現に向けて各種成長戦略を推進してまいりました。※3カ年計画とは、当社グループの2022年6月期 ~ 2024年6月期の3カ年の業績、成長計画について記載したものであり、詳細は当社IRサイトにて公開している「2023年6月期 通期 決算説明資料」にてご確認いただけます。
3カ年計画の基本戦略としては、不動産事業者同士をつなぐ情報のインフラである業者間物件流通サービス「不動産BB」や「リアプロ仲介」の導入提案によって日本全国の不動産事業者との接点を増やし、その後、さらなる付加価値提供として有償のサービスを販売するフリーミアム戦略(注)を取っております。無償の顧客基盤に提供する有償のサービスは、仲介事業者向けに提供する仲介ソリューションと賃貸管理業者向けに提供する管理ソリューションの大きく2つを提供しており、仲介ソリューションではホームページ制作や不動産ポータルサイト連動、電子入居申込、電子契約など集客から契約までの業務を支援する商品・サービスを提供しております。管理ソリューションでは煩雑で多岐にわたる賃貸管理業務をデータベースで一元管理し、業務効率化を図る商品・サービスを提供しております。
(注)フリーミアム戦略とは基本となるサービスや製品を無償で提供し、さらに高度な機能やサービスを利用する際には料金を課金する仕組みのビジネスモデルであります。
当社グループは新規のお客様のみならず、導入後の支援体制を活かし、既存顧客へのアップセル・クロスセルも積極的に提案しております。全国の営業拠点で現場支援を行うシステムアドバイザーやカスタマーサクセスチームが主体となり、継続支援のなかで新たに顕在化された顧客の課題に対し、解決となるサービスの提案を随時実施しております。
3カ年計画2年目となる当連結会計年度は、前連結会計年度に実施した先行投資を活かし、事業を推進してまいりました。営業体制の強化(営業人員倍増、営業拠点の増設)による業績拡大については当初計画より一部遅れていた点はございましたが、採用したメンバーのスキルアップも着実に進み、今後の当社の成長に向けた基盤づくりにつながっております。前連結会計年度に経営統合した株式会社リアルネットプロとのシナジーについては、商品間データ連携を活かし、見込案件の紹介・エリア戦略に基づいた営業活動によるクロスセルを実施してまいりました。引き続きシナジーの最大化に向けて活動を推進してまいります。
中期ビジョンとして掲げるプラットフォーム創造については、家賃保証会社や電子決済事業者とのデータ連携を中心に様々な企業との提携が進んでおります。当社プラットフォームの領域を拡大しつつ、パートナー企業と共に今後より一層業界のDX化に貢献してまいります。
a.財政状態
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は、5,109,880千円となりました。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は、1,988,127千円となりました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、3,121,753千円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の売上高は3,770,377千円(前連結会計年度比23.5%増)、営業利益は329,719千円(前連結会計年度比34.2%減)、経常利益は376,010千円(前連結会計年度比30.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は185,313千円(前連結会計年度比34.6%減)となりました。
なお、当社グループは不動産業務支援事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しておりますが、サービス分類別の売上高の状況は、次のとおりであります。
イニシャル:販売時に一括で売上計上するソフトウエアの導入費用・導入ライセンス
ランニング:保守・利用期間に渡って売上計上する、ライセンス料金・サービスの利用料
(仲介ソリューション)
仲介ソリューションにおいては、自社ホームページ集客を支援する「Web Manager Pro」や、不動産ポータルサイト集客を支援する「物件データ連動」、不動産契約の電子化を支援する「電子契約サービス」等、仲介業務の課題解決となるサービスの提案を積極的に行ってまいりました。フリーミアム戦略として現在無償で提供している業者間物件流通サービス「不動産BB」を導入済の顧客に対して、データの二次活用としてのサービス提案を積極的に行い、無償から有償への切り替えも促進してまいりました。また、グループ企業である株式会社リアルネットプロが提供する業者間物件流通サービス「リアプロ」を有償で利用する顧客からの月額利用料も順調に積み上がりました。
その結果、アップセルも功を奏し、仲介ソリューションの売上高は1,505,916千円(前年同期比62.0%増)となりました。
(管理ソリューション)
管理ソリューションにおいては、売上のメインとなる「賃貸革命」の新規顧客への販売、既存顧客へのバージョンアップ、オプション追加等積極的に提案してまいりました。また、解約率については継続して低位で安定していることから、月額利用料も堅調に積み上がりました。
その結果、管理ソリューションの売上高は2,224,535千円(前年同期比6.6%増)となりました。
※仲介ソリューション、管理ソリューションの合計売上高3,730,451千円の他に、その他売上高39,925千円があります。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、954,716千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金の増加は、279,073千円となりました。
これは、主に税金等調整前当期純利益376,373千円、法人税等の支払額295,997千円、減価償却費の増加額108,611千円、未払金の増加額91,011千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の減少は、112,854千円となりました。
これは、主に無形固定資産の取得による支出247,399千円、有形固定資産の取得による支出64,592千円、投資不動産の売却による収入232,722千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の減少は、401,197千円となりました。
これは、主に長期借入金の返済による支出195,930千円、自己株式の取得による支出144,523千円によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
b.受注実績
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.当社グループは不動産業務支援事業の単一セグメントであります。
2.当社グループは、前連結会計年度が連結初年度であるため、前年同期比において前連結会計年度の前期との比較は行っておりません。
3.主要な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績の10%以上の相手先がないため、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末日現在(2023年6月30日)において当社が判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
財政状態につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 a.財政状態」をご参照ください。
2)経営成績
(売上高)
売上高につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 b.経営成績」をご参照ください。
(売上原価)
当連結会計年度における売上原価は、1,283,499千円となりました。その主な内訳は、クラウド関連の経費が105,919千円増加したことによるものであります。
(販売費及び一般管理費)
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、前連結会計年度と比べて397,088千円増加し、2,157,158千円(前年同期比22.6%増)となりました。その主な内訳は、給与手当が120,047千円増加したことによるものであります。
以上の結果、損益につきましては、営業利益は329,719千円(同34.2%減)、経常利益は376,010千円(同30.1%減)となりました。また、法人税、住民税及び事業税(法人税等調整額含む)は、前連結会計年度と比べて43,565千円減少し、191,060千円(同18.6%減)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は185,313千円(同34.6%減)となりました。
(営業外損益)
当連結会計年度における営業外収益は、前連結会計年度と比べて19,460千円増加し、59,947千円(同48.1%増)となりました。その主な内訳は、保険返戻金が16,193千円増加したことによるものであります。営業外費用は、前連結会計年度と比べて10,387千円増加し、13,656千円(同317.8%増)となりました。その主な内訳は、為替差損が4,070千円増加したことによるものであります。
b.経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
売上高の対前年増加額および経常利益の対前年増加額を重要指標としており、当連結会計年度の売上高は3,770,377千円となり、前連結会計年度比23.5%増となりました。それはランニング積み上げによるものであります。また、当連結会計年度の経常利益は376,010千円となり、前連結会計年度比30.1%減となりました。
c.セグメントごとの財務状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの報告セグメントは、不動産業務支援事業の単一セグメントであるため、記載を省略しております。
②キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
資本の財源および資金の流動性について、当社グループは、短期運転資金については自己資金を基本としております。また、設備投資資金等についても自己資金を基本としつつ、必要に応じて金融機関から調達を実施する方針であります。
a.資金需要の主な内容
当社グループの運転資金需要の主なものは、製造・開発活動に係る人件費および外注費、販売費及び一般管理費の営業費用による運転資金であります。これらの資金につきましては、営業活動によって得られる資金でまかなうことを基本として、必要に応じて金融機関から調達を実施する方針であります。
また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、954,716千円であります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり、資産・負債および収益・費用の報告数値について影響を与える見積りは、過去の実績や状況に応じて、可能な限り合理的と考えられる根拠や要因等に基づき実施しております。しかし、これらの見積りについては不確実性を伴うため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
当社グループは、特に以下の会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定が重要と考えております。
なお、当社グループの連結財務諸表作成において採用する重要な会計方針は、後記「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。