E00879 Japan GAAP
前期
6,915.3億 円
前期比
109.3%
株価
3,966 (04/24)
発行済株式数
66,000,000
EPS(実績)
348.61 円
PER(実績)
11.38 倍
前期
755.2万 円
前期比
102.4%
平均年齢(勤続年数)
41.0歳(17.0年)
従業員数
3,447人(連結:11,545人)
当社及び当社の関係会社は、ソリューション別に「Material SU」、「Quality of Life SU」、「Health Care SU」、「Nutrition SU」の4つのドメイン(報告セグメント)に沿って事業を行っております。
報告セグメントと、報告セグメントを構成するSV、主要製品及び主な関係会社は次のとおりであります。なお、このセグメントは「第5 経理の状況 (1) 連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一であります。
(Material Solutions Unit)
社会インフラ・モビリティ(軽量化・燃費向上)の発展を支える優れた素材や、環境社会に直接役立つ生分解性バイオポリマーなどの先端素材をソリューションとして提供し、地球環境保護と快適なくらしに貢献します。
(Quality of Life Solutions Unit)
住宅や生活インフラなどの省エネ・スマート化ニーズや、IoT・AIの発達など情報化社会の革新に応える優れた素材と独自のサービスをソリューションとして提供し、省エネルギーと豊かなくらしの創造に貢献します。
(Health Care Solutions Unit)
医療・健康・介護等の分野において、デバイスと医薬の融合による価値あるソリューションを提供するとともに、バイオ医薬や再生・細胞医療など先端医療技術に基づく独自のヘルスケア事業を展開し、高齢化社会・医療高度化社会に貢献します。
(Nutrition Solutions Unit)
「食」の多様化や健康増進ニーズに応える特色ある素材、サプリメントをソリューションとして幅広く提供するとともに、農業・畜産・水産分野の食料生産支援に寄与するソリューションを提供し、健康と豊かな「食」に貢献します。
(その他)
SVに含まれない損害保険・生命保険の代理業務、当社に係る構内作業等であり、主な関係会社は次の通りであります。
[主な関係会社]
㈱カネカ高砂サービスセンター、カネカ保険センター㈱
上記以外の主な関係会社として、カネカヨーロッパホールディングカンパニーN.V.、カネカアメリカズホールディングInc.、鐘化企業管理(上海)有限公司、㈱カネカ北海道といった地域統括会社があります。
以上述べた事項を事業系統図によって示すと、次のとおりであります。
2023年3月31日現在
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
また、第1四半期連結会計期間は第1四半期、第2四半期連結会計期間は第2四半期、第3四半期連結会計期間は第3四半期、第4四半期連結会計期間は第4四半期と表示します。
当連結会計年度(2022年4月~2023年3月)の世界経済は、コロナ禍から回復が進む一方でウクライナ情勢が膠着し、エネルギー・資源価格の高騰、インフレの進行と金融引き締めが複雑に絡みながら減速感が強まる流れとなりました。事業環境がますます不透明感を増すなか、当社は時代認識を研ぎ澄まし、Adaptability力を一層高め、ポストコロナの世界に立ち向かってまいります。
このような状況のなか、当社グループの当期の業績は、売上高755,821百万円(前連結会計年度(以下、前期)比9.3%増)、営業利益35,087百万円(前期比19.5%減)、経常利益32,411百万円(前期比20.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益23,008百万円(前期比13.1%減)と増収・減益となりました。
2023年3月期 連結業績 (単位:百万円)
セグメント別売上高・営業利益 (単位:百万円)
① Material SUやエレクトロニクス市場の需要調整が長引く
第2四半期以降の世界的な景気減速の広がりに伴い、Material SUの需要減が継続しました。また、E & I Technologyのサプライチェーンにおける需給調整も長期化しました。これら需要の調整局面は第3四半期で底打ちしましたが、第4四半期は回復の動きが始まったものの想定を下回りました。
*Material SUは、Vinyls and Chlor-Alkaliの塩ビのアジア市況が低調に推移しました。また、回復を期待していたPerformance Polymersのモディファイヤーの欧米の建材・建築市場の低迷が続きました。
*E & I Technologyは、第2四半期以降スマートフォンおよび大型TVの需要調整が長引き、業績は低調に推移しました。また、アフリカ諸国のインフレ高進を背景にPerformance Fibersの頭髪向け需要が低調に推移しました。いずれも第4四半期から徐々に回復基調となっており、次期において本格的な市場回復が期待されます。
② 先端事業群が順調に伸長
先端事業群のHealth Care SU、Supplemental Nutrition、PV & Energy managementは、世界経済が混迷するなかでも健康、地球環境・エネルギーの危機に対するソリューションを提供することで着実に伸長しました。
*Medicalの血液浄化器、カテーテルは国内外で販売が伸びました。PharmaもバイオCDMO、低分子医薬が順調に業績を伸ばし、Supplemental Nutritionも還元型コエンザイムQ10に加え乳酸菌事業が戦力化しました。
*PV & Energy managementは世界的なエネルギー危機のなか、住宅用太陽電池の需要拡大に応えると同時に自己託送やマイクログリッドなどCO2削減に寄与する取り組みが進展しています。また車載用太陽電池の本格出荷が始まりました。
③ 次の成長に向けた資源投入が進む
先端事業領域で大型投資を決定し、次年度以降の事業成長に向けた生産体制基盤を強化しました。
*Medicalでは、カテーテルのベトナム工場の増設工事が8月に完工し、北海道の血液浄化器新工場も2024年稼働を目指して建設が順調に進行しています。Pharmaのカネカユーロジェンテックでは、感染症ワクチンに加え遺伝子治療やがん治療薬用で高成長が期待されるmRNA生産設備の能力増強を決定しました。
*Material SUでは、グローバルな需要増が見込まれる変成シリコーンポリマーのベルギーでの能力増強を決定しました。また、PV & Energy managementでは、住宅向け高効率太陽電池の需要増に対応してヘテロジャンクション太陽電池の増産投資を決定しました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(Material Solutions Unit)
当セグメントの売上高は333,854百万円と前期比33,945百万円(11.3%増)の増収となり、営業利益は27,449百万円と前期比8,935百万円(24.6%減)の減益となりました。
Vinyls and Chlor-Alkaliは、か性ソーダは堅調に推移しましたが、塩ビのアジア市況は第3四半期以降低迷しました。
Performance Polymersのモディファイヤーは、第2四半期以降欧米住宅向け硬質塩ビ用途の需要が低迷し、業績は低調となりました。非塩ビ用途の市場拡大に注力し、業績は第4四半期から回復しています。
変成シリコーンポリマーは、一時的な欧米の建築市場の需要低迷はあったものの需要基盤は底堅く、今後の成長に向けてベルギーでの能力増強を決定しました。米州の次期能力増強は最終検討段階に入っています。
生分解性バイオポリマー「Green Planet ®」は、日米欧の大手ブランドホルダーとの共同開発が順調に進み、アプリケーションの拡大とともに販売が伸びています。「バイオものづくり」の社会実装に向けたCO2と水素からGreen Planetを生産する革新技術の研究開発に関し、3月にNEDOの「グリーンイノベーション基金事業」に採択されました。
(Quality of Life Solutions Unit)
当セグメントの売上高は172,766百万円と前期比3,699百万円(2.2%増)の増収となり、営業利益は16,131百万円と前期比811百万円(4.8%減)の減益となりました。
Foam & Residential Techsは、国内販売の回復と価格改定によるスプレッド確保が寄与して業績が大きく改善しました。海外自動車分野の販売も回復基調となっています。
PV & Energy managementは、住宅向け高効率太陽電池の販売が伸びました。また、東京都はじめ新築住宅への太陽電池設置義務化等の動きが拡大し、各自治体からの問い合わせも活発化しています。車載用太陽電池は、当社ヘテロ接合バックコンタクト型太陽電池がトヨタ自動車株式会社の「新型プリウスPHEV」のルーフガラス部分に採用され、3月に販売開始されました。
E & I Technologyは、第2四半期以降スマートフォン、大型TV向け液晶パネルの大幅な生産調整が継続し、業績は低調となりました。5Gやフレキシブルディスプレイ、画像センサー用途など当社ならではの差別化新製品のラインアップに注力しています。
Performance Fibersは、アフリカ・米国のインフレ高進による頭髪製品の需要減の影響を受けましたが、高機能新製品も投入し、第4四半期より需要が回復しつつあります。
(Health Care Solutions Unit)
当セグメントの売上高は70,786百万円と前期比11,849百万円(20.1%増)の増収となり、営業利益は15,682百万円と前期比3,019百万円(23.8%増)の増益となりました。
Medicalは、血液浄化器およびカテーテルの販売が国内外で順調に拡大しました。最大の米国市場での販売体制強化も進めており、ベトナム、北海道での生産体制の強化も含め、Medical事業のグローバル展開を加速してまいります。
Pharmaは、カネカユーロジェンテックのバイオCDMO事業が順調に拡大しました。能力増強を決定したmRNAについては遺伝子疾患やがん治療薬用で高成長が期待されており、顧客からの引き合いが着実に増えています。低分子医薬品では、新型コロナ治療薬「ゾコーバ®*1錠」向け中間体の販売が業績に貢献しました。
*1「ゾコーバ」は塩野義製薬株式会社の登録商標です。
(Nutrition Solutions Unit)
当セグメントの売上高は177,339百万円と前期比14,784百万円(9.1%増)の増収となり、営業利益は7,585百万円と前期比2,501百万円(49.2%増)の増益となりました。
Supplemental Nutritionは、アメリカ、日本、欧州、オセアニア、アジア(中国)で還元型コエンザイムQ10の販売が拡大しています。中国EC市場向けの販売を強化します。乳酸菌事業も戦力化しており、グローバルなSupplementの生産販売体制の強化を急ぎます。機能性表示食品の品揃えを一層強化してまいります。
Foods & Agrisは、高付加価値品の販売拡大と価格改定に精力的に取り組み、収益が大きく改善しました。8月に発売した「わたしのチカラQ10ヨーグルト」ドリンクタイプの販売が好調に推移しており、生産能力を2倍に増強しました。カネカ食品の新しいECサイトを立ち上げるとともに、乳製品・パン・チョコレートなどのBtoC向けの販売体制を強化しています。新設したHealthy Foods Strategic Unitをドライバーとして、おいしさと健康をテーマに新たな価値を提供できる取り組みを強化してまいります。
(その他)
当セグメントの売上高は1,074百万円と前期比11百万円(1.1%増)の増収となり、営業利益は554百万円と前期比53百万円(10.6%増)の増益となりました。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 生産金額は売価換算値で表示しております。
2 連結会社間の取引が複雑で、セグメント毎の生産高を正確に把握することが困難なため、概算値で表示しております。
主として見込み生産であります。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
当連結会計年度末の総資産は、売上高増加に伴う売掛金、棚卸資産の増加に加え、設備投資の拡大による固定資産増加、円安による海外グループ会社の円換算の資産額増加等により前連結会計年度末に比べて55,680百万円増加の782,640百万円となりました。
負債については、借入金の増加等により前連結会計年度末に対して31,461百万円増加の346,217百万円となりました。
純資産は、利益剰余金の増加に加え、円安による為替換算調整勘定の増加等により前連結会計年度末に対し24,218百万円増加の436,422百万円となり、自己資本比率は前連結会計年度末と同水準の53.3%となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)の残高は、前連結会計年度末に比べ13百万円減少し、40,699百万円となりました。
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは売上高増加に伴う運転資金の増加等の支出の一方、税金等調整前当期純利益や減価償却費等による収入より28,710百万円の収入(前期比5,396百万円減)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出により41,970百万円の支出(前期比2,374百万円増)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得や配当金の支払による支出の一方、借入金の増加による収入があり12,352百万円の収入(前期比13,457百万円増)となりました。
(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)
当社は、付加価値のある新しい事業を生み出しポートフォリオの変革を実現することで成長を続ける研究開発型企業を目指しています。基盤事業により十分なキャッシュを確保し、新事業創出のための研究開発や設備投資資金に活用していくことを基本とし、更なる成長投資に必要な資金については、その目的・規模や金融環境に応じ最も適切な調達方法を採ることとしています。
資金需要に応じ有利かつ円滑な資金調達ができるよう信用格付の維持・向上や金融機関・資本市場との良好な関係維持に努めるとともに、緊急な資金需要に備え融資枠や社債発行登録枠の設定を含め十分な手元流動性を確保しています。また、資金調達の方法については、自己資本など財務の安全性を確保しながら、資本効率の向上につながる資本・負債構成を考慮し、社債や借入金のいわゆる負債による資金調達を実施しています。
株主還元については、毎期の業績、中長期の収益動向、投資計画、財務状況を総合的に勘案し、連結配当性向30%を目安に、自己株式の取得も状況に応じ機動的に実施し、安定的に継続することを基本方針としています。
(4) 重要な会計上の見積り及び当期見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
① 減損会計における将来キャッシュ・フロー
減損損失を認識するかどうかの判定及び使用価値の算定において用いられる将来キャッシュ・フローは、中期経営計画を基礎として、資産グループの現在の使用状況や合理的な使用計画等を考慮し見積っております。中期経営計画の見積期間を超える期間の将来キャッシュ・フローは、中期経営計画を基礎として、それまでの計画に基づく趨勢を踏まえた一定の仮定をおいて見積っております。
当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度の連結財務諸表において減損損失が発生する可能性があります。
② 棚卸資産の評価
棚卸資産は、収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定しており、正味売却価額が帳簿価額よりも下回っている場合は、帳簿価額を正味売却価額まで切り下げております。入庫日から1年超経過している棚卸資産については、需要予測等に基づく収益性の低下の事実を反映するように、個別に回収可能性を見積っております。
当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度の連結財務諸表において認識する棚卸資産の金額に重要な影響を与える可能性があります。
③ 繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産の回収可能性は、将来の税金負担額を軽減する効果を有するかどうかで判断しております。当該判断は、将来減算一時差異に対する将来の課税所得等に関する予測に基づいております。
当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度の連結財務諸表において認識する繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に重要な影響を与える可能性があります。
④ 退職給付債務の算定
確定給付制度の退職給付債務及び関連する勤務費用は、数理計算上の仮定を用いて退職給付見込額を見積り、割り引くことにより算定しております。数理計算上の仮定には、割引率等の計算基礎があります。
当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度の連結財務諸表において認識する退職給付に係る負債及び退職給付費用の金額に重要な影響を与える可能性があります。
なお、当連結会計年度末の退職給付債務の算定に用いた主要な数理計算上の仮定は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (退職給付関係) 2 確定給付制度 (9)数理計算上の計算基礎に関する事項」に記載のとおりであります。