ENECHANGE株式会社

上場日 (2020-12-23) 
ブランドなど:エネチェンジ
サービス業エネルギーグロース

売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率

ニュース

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最終更新:

E36130 Japan GAAP

売上高

66.3億 円

前期

37.3億 円

前期比

177.4%

時価総額

157.9億 円

株価

454 (04/25)

発行済株式数

34,790,588

EPS(実績)

-35.84 円

PER(実績)

--- 倍

平均給与

559.8万 円

前期

582.5万 円

前期比

96.1%

平均年齢(勤続年数)

34.3歳(1.4年)

従業員数

181人(連結:216人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

 当社グループは、「エネルギーの未来をつくる」というミッションを掲げ、世界的な課題である脱炭素社会(カーボンゼロ)の実現に向けて、グリーン・トランスフォーメーション(GX)を推進する企業です。脱炭素社会の実現のためには、電力網の脱炭素化と交通の電化等の手段が有効とされており、当社グループではそれらに貢献する事業を展開しております。また、エネルギー革命の軸となる「エネルギーの4D」、すなわち自由化(Deregulation)、デジタル化(Digitalization)、脱炭素化(Decarbonization)、分散化(Decentralization)であり、当社グループは、発電や小売を直接行わず、エネルギーに関連するテクノロジーサービスを中立的に提供する、エネルギー分野特化型のエネルギーテック企業として、「エネルギーの4D」におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)(注1)を推進し、エネルギーテック領域におけるカテゴリーリーダーとなることを目指しております。

 当社グループは、(I)消費者向けに電力・ガス会社の最適な選択をサポートする「エネルギープラットフォーム事業」、(II)電力・ガス会社向けにクラウド型DXサービスを提供する「エネルギーデータ事業」、(III)電気自動車(EV)の普及に伴い必要とされるEV充電インフラの導入・運用について、ハードウェア、ソフトウェアの両面でサービスを提供する「EV充電事業」を展開しております。

 「エネルギープラットフォーム事業」においては、主に「エネチェンジ」(家庭向け電力・ガス切替プラットフォーム)及び「エネチェンジBiz」(法人向け電力・ガス切替プラットフォーム)の2サービスを展開しております。

 「エネルギーデータ事業」においては、主に電力・ガス会社向けにクラウド型で提供するデジタルマーケティング支援SaaS「エネチェンジクラウドMarketing(注2)」及び家庭向けデマンドレスポンスサービス「エネチェンジクラウドDR(注3)」等を展開しています。

 「EV充電事業」においては、脱炭素社会の実現に向けた電気自動車(EV)の普及に必要となるEV充電インフラの整備に関わる事業を展開し、「EV充電エネチェンジ」のブランド名で、駐車場を持つ施設のオーナー向けに、EV充電器の導入・運用をハードウェア、ソフトウェアの両面で支援するサービスを提供しております。

 当社グループは、当該3事業による顧客基盤・ノウハウの相互活用を通じた事業展開を競争力の源泉とし、業界内におけるユニークなポジショニングを構築しているものと考えております。

 当該3事業は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一です。

 なお、当社グループは、当社に加え、連結子会社SMAP ENERGY LIMITED、ENECHANGE EV ラボ株式会社、持分法適用関連会社Japan Energy Capital 1 L.P.、Japan Energy Capital 2 L.P.、持分法非適用関連会社Japan Energy Capital合同会社で構成されています。EV充電事業におけるEV充電器の仕入れや設置工事等はENECHANGE EV ラボ株式会社が、中東地域での再生可能エネルギー発電所への投資はJapan Energy Capital 1 L.P.が、海外のエネルギーベンチャー企業への投資は主にSMAP ENERGY LIMITED及びJapan Energy Capital 2 L.P.が、ファンド運営業務等はJapan Energy Capital合同会社が、それ以外のサービスは当社が運営しております。

 

 

 

 現在当社グループが提供するエネルギープラットフォーム事業、エネルギーデータ事業並びにEV充電事業の概要は以下のとおりです。なお当連結会計年度より開示情報の充実化を企図して報告セグメントの区分を変更しており新たにEV充電事業セグメントを追加しております。

 

(I)エネルギープラットフォーム事業

(電力市場及び電力自由化の概況)

 2022年は日本におけるグリーントランスフォーメーション(GX)が進展した1年となりました。日本政府によるGX実行会議が2022年中に合計5回開催され、2022年12月22日の会合において「GX実現に向けた基本方針 ~今後10年を見据えたロードマップ~」が掲示され、150兆円のGX投資を官民で実現していくため、日本政府としても20兆円規模の先行投資支援を実行する旨の意見表明がなされ、また2023年2月10日には「GX実現に向けた基本方針」が閣議決定されました。こうしたGXの動きの中心となる電力業界においては、2022年における電力販売額は約18兆円(注4)となり、今後、オール電化やEVの普及に伴う都市ガス・LPガス市場並びにガソリン市場の取り込みにより、2050年に向けて一定程度増加すると見込まれております(注5)。 日本国内の電力自由化は2000年に法人向けの特別高圧区分、2004年に高圧区分で開始されました。2016年4月に家庭向け(低圧電灯・低圧電力)の小売市場の自由化が開始されたことを機に、新規参入事業者の増加による競争環境の激化や、電力・ガス会社の切替に対する認知度の拡大により、家庭向け、法人向けともに新電力シェアが拡大しました。しかしながら、2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻、資源価格が高騰し電力会社の収益性が悪化し電力会社のユーザー獲得意欲が後退、法人向けを中心として新電力のシェアは減少しました。2022年12月時点の契約口数ベースの新電力のシェアは、家庭向けでは23.1%、法人向けは23.3%となりました(注6)。

※画像省略しています。

 家庭向けにおいて主となる低圧部門の小売市場においては、2016年の全面自由化以降、電力契約の切替が進んでおります。電力契約切替数の年間推移(注7)は次のとおりです。

※画像省略しています。

 

 低圧部門の新電力の年間の契約件数に関しては、2022年では約611万件となっております。この内訳としては、年間約214万件の大手電力から新電力への切替、約126万件の新電力から新電力への切替、約269万件の新電力の新規契約によるものとなります。

 大手電力からの切替需要は、電力自由化の認知向上により、安定的に推移しておりましたが、資源価格の高騰を受けて電気料金が高騰、電力自由化の経過措置として提供されていた大手電力会社の規制料金が相対的に割安となったことから、2022年は減少となりました。

 新電力からの切替需要は、主に一度新電力に切り替えたユーザーが、より良い料金プラン等を探す需要によるものと考えております。一度切り替えたユーザーは、電力・ガス切替に対する心理的ハードルが低くなり、また切替に関するメリットも認識しているため、継続的により良い電力・ガス会社を探す傾向にあるものと考えられます。特に初回切替に関しては、電力・ガス会社による直接的な営業活動により受動的に切替を実施しているユーザーが多いものと考えられ、そうしたユーザーが2回目以降に切り替える場合は、能動的に電力・ガス会社を比較して検討する、すなわち当社のような切替サービスを活用する需要が高まるものと考えております。

 新電力の新規契約需要は、引越し等の機会に電力・ガス契約を新規契約する際に、大手電力ではなく新電力を選択するユーザーの需要があるためと当社では認識しており、ライフイベントに契機とした安定した契約需要が見込め、新電力によるより良い料金プランの提供により需要は増加していくものと考えております。

 なお、2023年4月以降、大手電力会社の規制料金の値上げが見込まれており、業界環境が改善し新電力の競争力が増すことで、新電力のシェア及び切替数は増加傾向に戻るものと見込んでおります。

 市場規模としては、2022年の電力販売額の総額約18兆円に、電力切替後の電気料金に対する継続報酬の売上料率相場である2%(注8)を乗じた約3,600億円が、エネルギープラットフォーム事業におけるTAM(注9)と捉えております。

 

(事業の概況)

 当社グループのエネルギープラットフォーム事業は、家庭向けユーザーに対しては、電力・ガス切替プラットフォーム「エネチェンジ」、法人向けユーザーに対しては、電力・ガス切替プラットフォーム「エネチェンジBiz」の2サービスを展開しております。「エネチェンジ」「エネチェンジBiz」はともに最適な電力・ガス会社等を選択するための比較・診断・切替申込機能を、インターネット上でワンストップにて提供する電力・ガス切替プラットフォームであり、当該サービスを電力の消費者である家庭や法人のユーザーに対して無償で提供することで、電力・ガス切替のデジタルトランスフォーメーションに取り組んでいます。

 当社は、複数の電力・ガス会社と戦略的な業務提携を結んでおり、それら電力・ガス会社とのネットワークにより、価格面での訴求だけではなく、電気・ガスセットでの提供や、再生可能エネルギー100%の電力プランの取り扱いなど、幅広いユーザーのニーズに合わせたサービス展開を行っています。

 集客面に関しては、自社メディアを経由したオンラインでの集客を基本とし、家庭から法人ユーザーまで幅広く集客を実施しております。加えて、パートナーの拡大にも努めており、オンライン・オフラインでのパートナー経由の集客も行なっております。これらにより、電力・ガス切替プラットフォームとして、ユーザーとの接点を拡大しております。

 これらの取組みにより、ユーザー数(家庭向けユーザー数と、法人向けユーザー数の一般家庭換算値との合計値)は、2022年12月末時点において、約46万1千件となっております。

 

※画像省略しています。

 

(各サービスの特徴)

 

<エネチェンジ>

 「エネチェンジ」は「電力会社を選ぶ」をサポートする家庭向け電力・ガス特化型メディア兼電力・ガス会社切替プラットフォームです。当社は2016年1月より本格的にサービスを開始し、2022年1月から12月までの平均で月間ユニークユーザー数が約200万人を超える規模にまで成長しました。

 ユーザーは、オンライン上で居住地域の郵便番号や世帯人数、在宅状況や電気の使用量といった情報を簡易的に入力することで、地域ごとの気象条件やロードカーブ(注10)を考慮したアルゴリズムの診断結果に基づいた最適な電力・ガス会社の比較情報を、様々なランキング形式で得ることができます。また、診断と比較だけではなく、オンライン上で電力・ガス会社の切替(注11)手続きまでを一気通貫で実施できるサービス設計となっているため、ユーザーにとっては利便性の高いサービスとなっています。なお、家庭向け都市ガスの小売全面自由化が開始された2017年4月に先駆けて、2017年1月より都市ガス料金の比較診断サービスも提供しております。また、2019年11月より順次買取期間が終了する固定価格買取制度(FIT)(注12)にあわせた電気の買取や、環境価値調達を支援する「トラッキング付FIT非化石証書」の提供など、関連するサービスの展開も行っております。

 

<エネチェンジBiz>

 「エネチェンジBiz」は、主に高圧と呼ばれる法人の電力・ガスユーザーを対象とした一括見積取得及び電力会社切替プラットフォームです。大手新電力を中心とした電力・ガス会社と提携し、法人ユーザーに対して無料で一括見積と申込手続きを代行するサービスを全国規模で提供しております。当社は2016年6月より本格的にサービスを開始し、2022年12月末時点において、月間問い合わせ件数が400件を超える規模にまで成長しました。

 法人ユーザーは、無料診断登録を実施し、過去12か月分の電気使用量を記載した明細書を提出することで、複数の電力・ガス会社からの新しい電気料金単価での見積提案の取得から、電力会社の切替手続きまでのプロセスを、一括して当社に委託できます。そのため、初期費用が不要であり、かつ書類上の手続きのみで固定費の削減が可能となります。

 

(収益モデル)

 ユーザーが、当社の展開する切替プラットフォームサービス上で提携する電力・ガス契約の切替を実施すると、当社は、電力・ガス会社より一定の報酬を受領します。当該報酬は、当社の売上高として計上されます。

 

 報酬には下記の2つの種類があります。

(1) ストック型の切替報酬:プラットフォームサービス上で切替を実施したユーザーが電力・ガス会社に対して支払う毎月の電力代・ガス代に、あらかじめ定められた料率を乗じた金額を、切替以降、原則として電力・ガス小売供給契約が継続する限り、毎月継続的に受領する報酬となります。プラットフォームサービスを通じた申し込みが行われ、累積申込数が増大すると、契約数に比例して報酬が増大するストック型の報酬です。

(2) その他報酬:電力・ガス契約の切替時に、上記のストック型切替報酬に加えて、追加で電力・ガス会社から受領する切替の一時報酬や、メディアとしての「エネチェンジ」及び「エネチェンジBiz」における宣伝効果を期待する電力・ガス会社からの広告掲載依頼・配信活動に伴い受領する広告収入等があります。これらは申込数や広告件数に応じて売上高が増減します。

 

(II)エネルギーデータ事業

(エネルギー業界のITシステム市場の概況)

 日本国内においても、自由化の進展による電力・ガス会社間の競争激化、スマートメーターの設置・普及による電力データ量の増加、AI(注13)やRPA(注14)等の技術の進化、再生可能エネルギー発電所の大量導入を背景とした弾力性・柔軟性のある電力系統運用の必要性等により、電力・ガス会社におけるデータの解析ニーズがあるものと認識しております。このように電力データ活用の関連分野は、デジタル化領域のみに限定されるものではなく、「エネルギーの4D」の分野で横断的に生じるものと考えております。

 当社グループがエネルギーデータ事業において展開するサービスの対象であるエネルギー業界のIT投資の金額は、電力・ガスの小売全面自由化、発送電分離、スマートメーターの普及、再生可能エネルギーの増加等の業界構造の変革に伴い、「エネルギーの4D」に関連する新規システム投資需要が増加していることで、近年拡大傾向にあるものと見ております。当社としては、2022年の電力販売額の総額約18兆円に、ITシステム予算比率である1%(注15)を乗じた約1,800億円が、エネルギーデータ事業におけるTAMと捉えております。

 

(事業の概況)

 当社グループのエネルギーデータ事業は、電力・ガス自由化、スマートメーターのデータ解析、EV充電情報サービス等、「エネルギーの4D」の進行に伴い必要となる新たなITシステムを、エネルギー事業者やEV充電サービス事業者向けにクラウド型で提供しています。現在は、主に2サービス(エネチェンジクラウドMarketing、エネチェンジクラウド

DR)を展開しております。これらのサービスは、独自データを活用した電力・ガス業界特化型のシステムを汎用的に展開することに特徴があり、デジタル化を軸としながらも、「エネチェンジ」「エネチェンジBiz」によって蓄積される大量のユーザーデータを活用した「エネチェンジクラウドMarketing」、スマートメーターデータの解析を軸とした「エネチェンジクラウドDR」とそれぞれ異なる特徴を有しております。

 当社グループは、国内の電力・ガス会社との戦略的な業務提携をはじめとして、国内外の電力・ガス会社等に対してこれらのサービスを提供しております。これらのサービスはいずれもクラウドベースで行われることにより、サービス提供を通じて様々なデータの蓄積が可能であり、またそれらのデータを解析・活用することで更なるサービス品質や機能の強化に繋がるため、当該サービス提供を通じ競争力を高めていくことが可能であるものと認識しております。

 これらの取組みにより、サービス導入社数は2022年12月末時点で56社となっております。

 

※画像省略しています。

 

(各サービスの特徴)

 

<エネチェンジクラウドMarketing>

 「エネチェンジクラウドMarketing」は、当社が提供するエネルギー事業者向けデジタルマーケティング支援SaaSのサービス名称です。「エネチェンジクラウドMarketing」サービスの特徴は、当社が電力・ガス切替プラットフォーム「エネチェンジ」を運営する中で得た知見・情報・技術資産を基にした、電力・ガス小売の現場へのデジタル化・効率化サービスをSaaS型で提供している点です。2016年1月より電力・ガス会社への提供を開始し、以降様々な改善・機能追加を施しながら運用実績を積み重ね、2022年12月末時点においては東京電力エナジーパートナー株式会社や、東京瓦斯株式会社、北陸電力株式会社をはじめとした電力・ガス会社にサービス提供をしております。「エネチェンジクラウドMarketing」サービスの導入にあたり、標準的なパッケージが用意されているため、速やかにセットアップを行うことが可能な形でサービス提供を行っております。また運用開始後も、システムの死活監視や、定期的な保守、燃料費調整額(注16)の定期更新といったメンテナンスまで、ワンストップで提供しております。

 

<エネチェンジクラウドDR>

 「エネチェンジクラウドDR」は、当社グループが提供する電力小売事業者向けデマンドレスポンスサービス名称です。デマンドレスポンスとは、電気の需要(消費)と供給(発電)のバランスをとるために、需要側の電力を制御する技術のことであり、再生可能エネルギーの普及による発電の変動に伴い、今後重要になる技術と考えております。「エネチェンジクラウドDR」サービスの特徴としては、スマートメーターを経由して送られてくるユーザーの電力使用量(kWh:キロワットアワー)の30分値データを様々な観点で解析・予測するサービスをSaaS型で提供している点です。「エネチェンジクラウドDR」ではデマンドレスポンスを実施するために必要となる、電力需要解析技術を活用した節電量の分析、ポイント還元によるユーザー向けインセンティブ付与、これらを一覧して管理するユーザー向けページなどを、一気通貫で提供しております。

 

(収益モデル)

 電力・ガス会社を中心とするサービス提供先の企業から、サービス提供の対価として一定の報酬を受領します。当該報酬は、当社グループの売上高として計上されます。エネルギー業界に特化したサービスのため、直接的なサービス対象顧客は電力・ガス会社が中心となりますが、利用者数に応じた従量課金体系を一部採用することで、電力・ガスを利用するエンドユーザーを間接的なサービス対象顧客としている点が特徴となります。

 報酬には下記の2つの種類があります。

(1) ストック型のライセンス報酬:サービス提供に対して毎月継続的に受領する報酬であり、当社のプロダクトを電力・ガス会社に対してSaaS型のライセンス課金形式で提供するストック型の収益と、エンドユーザー(需要家、スマートメーター数等)に連動する従量報酬を基本としております。「エネチェンジクラウドMarketing」「エネチェンジクラウドDR」の報酬は主にサービス提供数に連動しております。

(2) その他報酬:「エネチェンジクラウドMarketing」「エネチェンジクラウドDR」には初期導入時やカスタマイズ時の開発料、コンサルティング料等の一時報酬があります。初期導入時やカスタマイズ時の開発料はその後のサービスの提供に応じて売上高が計上されます。

 

(III)EV充電事業

(EV及びEV充電を取り巻く環境の概況)

 2023年2月10日に日本政府によって閣議決定された「GX実現に向けた基本方針」において、乗用車の新車販売における電気自動車(EV)をはじめとした電動車(注17)比率を2035年までに100%とする目標が掲げられ、EV充電設備等の整備に対する支援など、EVの普及及びEV充電インフラの需要が高まることが見込まれております。日本においては、2009年以降、量産EVの販売が開始し、2022年の新車販売台数に占めるEV及びPHVの比率は2.8%(注18)となりました。

※画像省略しています。

 EVの普及に並行して、EV充電インフラの整備が始まっております。EVの本格的普及とともにEV充電のインフラ整備の重要性も増しており、経済産業省の示す「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」では、(公共)普通充電器は、2030年までに12万基を設置すると目標設定されています。

 当社としては、国内のガソリンスタンド売上高約9兆円(注19)に、目的地充電の利用率10%(注20)を乗じた約9,000億円が、EV充電事業におけるTAMと捉えております。

 

(事業の概況)

 EV充電は、自宅やオフィスにおける「基礎充電」、移動途中における「経路充電」、滞在先駐車場における「目的地充電」の3パターンに類型されます。「基礎充電」と「目的地充電」は、ガソリン車との対比で一般的にEVのメリットとして挙げられる駐車中に充電を行うものであり、充電設備としては多くは3kWまたは6kW出力の普通充電器でサービス提供されます。一方「経路充電」は、移動中の電欠を防止するために行うものであり、充電設備としては高出力で短時間に充電を行う急速充電器が利用されます。

 当社グループのEV充電事業は、「目的地充電」及び「基礎充電」を対象とし、主に6kW出力の普通充電器の設置工事からユーザー向け課金アプリの提供、アフターサポートまでをオールインワンで提供するEV充電サービス「EV充電エネチェンジ」を、日本全国で展開しております。

※画像省略しています。

 

(サービスの特徴)

 

<EV充電エネチェンジ>

 「EV充電エネチェンジ」は、「基礎充電」「目的地充電」に注目し、マンションなどの自宅や、レジャー施設や商業施設などの目的地を中心にEV充電器を設置することで、EVユーザーにとっての充電機会の拡大を図ることを目的としています。2027年までにEV充電器を国内で3万台設置することを目標に掲げ、全国にサービスを拡大しています。

 ハードウェアの面では、日本で主に使用されている3kW出力普通充電器と比較して、2倍の速度での充電を実現する6kW出力普通充電器を採用、さらに経済産業省で実施しているEV充電インフラ向け補助事業に対応した機器を採用することにより、施設オーナーにとって初期費用負担が軽減されたサービス提供を行っております。

 ソフトウェアの面では、当社の充電器に限らず全国の充電器情報を網羅して集めたEV充電情報アプリを提供し、またアプリを通して「EV充電エネチェンジ」利用時の決済まで可能とすることで、充電器を探す、充電する、支払うというプロセスに対するサービスをワンストップで提供しています。

 加えて、国内のEV充電インフラネットワークを構築している株式会社e-Mobility Power(eMP社)と事業提携することにより、自動車メーカー等が発行している充電カードをかざすだけでEV充電エネチェンジでの決済が可能となる予定です。これにより、当社独自のアプリを通さなくても、多くのEVドライバーが当社のサービスを利用することが可能となります。

 

 

(収益モデル)

 充電器の設置場所となる施設オーナーのニーズに応じた複数の料金プランを展開し、フロー型としてハードウェア売上と、ストック型としてソフトウェアの月額利用料または充電料金の従量報酬が発生します。

 報酬には下記の2つの種類があります。

(1) ハードウェア売上:充電器の販売や付随して発生する設置工事等に関して発生する売上であり、充電器の納入や設置に応じて発生する一時報酬となります。

(2) ソフトウェアの月額利用料または充電料金の従量報酬:料金プランに応じて、施設オーナーからのソフトウェアの月額利用料やEVオーナーからの充電料金を受領します。設置した充電器の利用に応じて計上されるストック型の収益となります。

 

(注)1.デジタルトランスフォーメーション(DX)とは、「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。」(「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)Ver. 1.0」経済産業省、2018年12月)を指します。

   2.EMAPより名称変更。

   3.SMAP DRより名称変更。

   4.電力・ガス取引監視等委員会「電力取引報結果」より、2022年1月から2022年12月の電力販売額の合計。

   5.資源エネルギー庁「第6次エネルギー基本計画」(2021年10月22日)より。

   6.電力・ガス取引監視等委員会「電力取引報結果」より、家庭向けは低圧電灯、法人向けは高圧における契約口数を参照。

   7.電力・ガス取引監視等委員会「電力取引報結果」を基に当社で作成。

   8.電気料金に対する継続報酬売上料率、当社調べ。

   9.Total Addressable Marketの略称。当社グループが現状想定する最大の市場規模を意味する用語であり、事業に係る客観的な市場規模を示す目的で算出されたものではなく推定値も含む。

   10.ロードカーブとは、電力需要が時間とともにどのように変動するかを表す曲線を指し、別名「電力負荷曲線」とも言われています。ロードカーブの最大値は一定期間の最大電力消費量を指します。

   11.切替とは、電力広域的運営推進機関が運営する「スイッチング支援システム」を通じて、電力小売事業者から別の電力小売事業者へ契約を切り替えることを指します。

   12.固定価格買取制度(FIT)とは、「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法」(再エネ特措法、またはFIT法)に基づき、電気事業者(電気事業法上に定義された、小売電気事業、一般送配電事業、送電事業、特定送配電事業、発電事業を営む事業者の総称)が再生可能エネルギーで発電された電力を固定価格で買い取る制度を指します。

   13.AIは、Artificial Intelligence(人工知能)の略称。コンピュータープログラムを用いて、人間と同等、もしくはそれ以上の知的能力を実現させるための基礎技術及びシステムを指します。

   14.RPAは、Robotic Process Automationの略称。ルールエンジン、機械学習、人工知能等の認知技術を活用し、従来は人間のみが対応可能とされていたオフィス業務を代行・代替し、効率化や自動化を図る取組みを指します。

   15.一般社団法人日本情報システム・ユーザー協会「企業IT動向調査」のエネルギー業界(社会インフラ)の売上高に占めるIT予算比率。

   16.燃料費調整額とは、燃料費調整制度の下で電気の使用料金に応じて算定された金額を指します。燃料調整費制度は、電気料金のコストのうち、燃料費は経済情勢(為替レートや原油価格等)の影響を大きく受けることから、電力会社の経営効率化の成果を明確にするため、燃料費の変動を迅速に電気料金に反映させる制度です。

   17.電動車は電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車(PHV)、燃料電池車(FCV)、ハイブリッド車(HV)を含む。

   18.一般社団法人 日本自動車販売協会連合会「燃料別販売台数(乗用車)」、一般社団法人 全国軽自動車協会連合会「軽四輪車通称名別新車販売確報」より当社試算。

   19.帝国データバンク「ガソリンスタンド経営企業の総売上高」(2017年)より。

   20.マッキンゼー・アンド・カンパニー「Building the electric-vehicle charging infrastructure America needs」(2022年4月18日)をもとに当社想定。

 

 本章にて述べた事業の系統図は以下のとおりであります。

[事業系統図]

※画像省略しています。

 

 

23/03/30

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりです。

 

① 財政状態の状況

(資産)

 当連結会計年度末における流動資産は4,527,076千円となり、前連結会計年度末に比べ1,549,406千円減少しました。これは主に現金及び預金の減少2,504,812千円、前渡金の増加423,427千円、未収入金の増加220,580千円によるものです。

 また、当連結会計年度末における固定資産は2,231,747千円となり、前連結会計年度末から1,358,872千円増加いたしました。これは主に、投資有価証券の増加827,470千円、のれんの増加333,264千円、差入保証金の増加161,985千円によるものです。

 この結果、総資産は、6,758,823千円となり、前連結会計年度末に比べ190,534千円減少いたしました。

 

(負債)

 当連結会計年度末における流動負債は2,083,205千円となり、前連結会計年度末に比べ898,316千円増加いたしました。これは主に、短期借入金の増加665,000千円、未払金の増加207,559千円によるものです。

 また当連結会計年度末における固定負債は1,173,154千円となり、前連結会計年度末に比べ222,549千円増加いたしました。これは主に、長期借入金の増加186,837千円によるものです。

 この結果、負債合計は、3,256,360千円となり、前連結会計年度末に比べ1,120,865千円増加いたしました。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産合計は3,502,462千円となり、前連結会計年度末に比べ1,311,400千円減少いたしました。これは主に親会社株主に帰属する当期純損失1,315,060千円が計上されたことによる減少であります。

 

② 経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に対するワクチン接種の進展や行動制限の緩和により、社会経済活動の正常化が進む中で、個人消費や企業収益に持ち直しの動きがみられました。景気の先行きについては、世界的な金融引き締め等が続く中で、資源価格や原材料価格の高騰、円安による物価の上昇により、依然として不透明な状況が続いております。

 当社グループが属するエネルギー業界を取り巻く環境におきましては、ロシア・ウクライナ情勢の悪化以降、卸電力市場価格が高水準に推移しており、電力会社の財務状況の悪化や、電力小売価格への一部転嫁によるユーザーの電気料金負担額の上昇等の影響が顕在化しております。

 長期的な観点でのエネルギー業界を取り巻く環境におきましては、2022年はグリーントランスフォーメーション(GX)が進展した1年となりました。日本政府によるGX実行会議は2022年中に合計5回開催され、2022年12月22日の会合において「GX実現に向けた基本方針 ~今後10年を見据えたロードマップ~」が掲示され、150兆円のGX投資を官民で実現していくため、日本政府としても20兆円規模の先行投資支援を実行する旨の意見表明がなされました。こうしたGXの動きの中心となる電力業界においては、2016年4月の電力の小売全面自由化以降、当社のベース市場である電力販売額は約13兆円(注1)となり、2050年にはさらに最大40%程拡大し、約18兆円規模となることが見込まれております(注2)。また同基本計画において、乗用車の新車販売における電気自動車(EV)を始めとした電動車比率を2035年までに100%とする目標が掲げられる(注3)など、EVの普及とそれに併せたEV充電インフラの需要が高まることが見込まれております。

 このような環境のもと、当社グループでは、「エネルギープラットフォーム事業」において展開する「エネチェンジ」(家庭向け電力・ガス切替プラットフォーム)及び「エネチェンジBiz」(法人向け電力・ガス切替プラットフォーム)の2サービスについて、自社チャネルで培った電力ガス切替プラットフォームのシステムを他社に提供するパートナー戦略の推進や、各種ユーザビリティの向上を目的とした新機能の開発に注力してまいりました。

 「エネルギーデータ事業」においては、主に電力ガス事業者向けにクラウド型で提供する、デジタルマーケティング支援SaaS「エネチェンジクラウドMarketing(注4)」及び家庭向けデマンドレスポンスサービス「エネチェンジクラウドDR(注5)」等のサービスにつき、継続的な新規機能開発と営業強化に努めてまいりました。とりわけ、電力需給ひっ迫に伴う節電の社会的要請の高まりにより、電力需要家に節電量に応じたインセンティブを提供する、デマンドレスポンスサービスの営業促進に注力しました。

 「EV充電事業」においては、「クリーンエネルギー自動車・インフラ導入促進補助金」の充電インフラ整備事業に対応したチャージ2の積極的な営業展開を実施、マンション向けのモデルであるチャージ3を発表しました。さらに、テレビCMなどの積極的な広告宣伝を開始するなど、EV充電分野における当社のシェア向上に向けた積極的な投資を開始しました。

 以上の結果、当連結会計年度の当社グループの経営成績は、売上高3,734,068千円(前期比23.7%増)、営業損失1,121,703千円(前期は営業利益40,875千円)、経常損失1,156,664千円(前期は経常損失2,400千円)、親会社株主に帰属する当期純損失は1,315,060千円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失85,586千円)となっております。

 なお、営業外収益で補助金受贈益194,593千円、また、営業外費用で固定資産圧縮損194,518千円を計上しております。これらはEV充電サービス事業における充電インフラ整備に係るものであります。
 

 セグメントの経営成績は、次のとおりです。なお、当連結会計年度より開示情報の充実化を企図して、報告セグメントの区分を変更しており、新たに「EV充電事業」セグメントの経営成績を追加しております。同セグメントの前年同期比較については、前期における実績値がないため記載しておりません。
 

(I)エネルギープラットフォーム事業

 「エネルギープラットフォーム事業」においては、家庭向け・法人向け共に切替件数が堅調に推移した結果、継続報酬対象ユーザー数は前連結会計年度比19.1%増の461,553件となりました。一方で、切替時に提携企業から受領する一時報酬単価の下落の影響により、当連結会計年度のARPU(注6)は前連結会計年度比33.6%減の1,057円となりました。以上の結果、セグメント売上高は2,575,297千円(前期比16.2%増)、セグメント利益は226,567千円(前期比29.1%減)となりました。
 

(II)エネルギーデータ事業

 「エネルギーデータ事業」においては、デジタルマーケティング支援SaaS「エネチェンジクラウドMarketing」、家庭向けデマンドレスポンスサービス「エネチェンジクラウドDR」等の既存顧客への継続的なサービス提供や新規顧客への導入を進め、2022年10月にアユダンテ株式会社から譲り受けたEV充電情報サービスの承継により、顧客数は前連結会計年度比16.0%増の58社となりました。他方、既存顧客へのクロスセルと低単価プロダクトの導入の進捗により当連結会計年度のARPUは前連結会計年度比2.3%減の4,103千円となりました。以上の結果、セグメント売上高は969,395千円(前期比20.8%増)、セグメント利益は163,766千円(前期比9.5%減)となりました。
 
(III)EV充電事業

 「EV充電事業」においては、事業の立ち上げと推進のために、エンジニア・セールス人員を中心とした採用の拡大による組織体制の構築や、テレビCM等の積極的なマーケティングの実施等先行投資を進めた結果、受注件数は事業開始以来の累計で2,475台となりました。また、マンション充電に対応したチャージ3の発表や、パートナー連携を拡大するなど、更なる事業拡大を見据えた施策に取り組んでまいりました。以上の結果、セグメント売上高は189,375千円、セグメント損失は784,491千円となりました。
 

 

(注)1.電力・ガス取引監視等委員会「電力取引報結果」の電力販売額より算出。

   2.経済産業省「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」(2021年6月18日)より

 3.経済産業省「第6次エネルギー基本計画」(2021年10月22日)、電動車は電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車(PHV)、燃料電池車(FCV)、ハイブリッド車(HV)を含む。

 4.EMAPより名称変更。

 5.SMAP DRより名称変更。

 6.Average Revenue Per Userの略称であり、1ユーザー当たりの平均収益を意味する。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は3,067,058千円(前連結会計年度末5,571,870千円)となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における営業活動の結果使用した資金は1,910,932千円(前期は481,692千円の収入)となりました。支出の主な要因は、税金等調整前当期純損失1,229,182千円、前渡金の増加による支出423,427千円、補助金受贈益194,593千円、等の資金の減少、固定資産圧縮損194,518千円、未払金の増加による収入202,066千円等の資金の増加であります。

 

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における投資活動の結果使用した資金は1,546,692千円(前期は552,946千円の支出)となりました。支出の主な要因は、投資有価証券の取得による支出814,829千円、事業譲受による支出300,000千円、有形固定資産の取得による支出277,558千円等の資金の減少であります。
 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における財務活動の結果得られた資金は958,454千円(前期は4,302,971千円の収入)となりました。収入の主な要因は、短期借入金の純増減額665,000千円、長期借入れによる収入340,000千円等の資金の増加であります。
 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社グループは生産活動を行っていないため、該当事項はありません。

 

b.商品仕入実績

 当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年1月1日

至 2022年12月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

エネルギープラットフォーム事業

エネルギーデータ事業

EV充電事業

207,939

合計

207,939

 

c.受注実績

 当社グループは受注生産を行っていないため、該当事項はありません。

 

d.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年1月1日

至 2022年12月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

エネルギープラットフォーム事業

2,575,297

116.2

エネルギーデータ事業

969,395

120.8

EV充電事業

189,375

合計

3,734,068

123.7

 (注)1.なお、最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりです。

相手先

前連結会計年度

(自 2021年1月1日

至 2021年12月31日)

当連結会計年度

(自 2022年1月1日

至 2022年12月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

ミツウロコグリーンエネルギー株式会社

381,855

12.7

188,748

5.1

株式会社エルピオ

584,223

19.4

141,945

3.8

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものです。

 

① 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されています。この連結財務諸表の作成にあたり、重要となる会計方針については「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。この連結財務諸表の作成にあたっては、必要な見積りを行っており、それらは資産・負債及び収益・費用の計上金額に影響を与えています。これらの見積りについては、過去の実績やその時点で入手可能な情報に基づき合理的と考えられる要因を考慮したうえで行っていますが、結果としてこのような見積りと実績が異なる場合があります。

 

② 財政状態及び経営成績等に関する認識及び分析・検討内容

 a.財政状態の分析

 「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態の状況」に記載のとおりであります。

 

 b.経営成績の分析

(売上高)

 当連結会計年度において、売上高は3,734,068千円(前連結会計年度は3,018,003千円)となりました。主な要因は、エネルギープラットフォーム事業においては、家庭・法人共に切替件数が堅調に推移し、ユーザー数が前連結会計年度比19.1%増の461,553件となりました。一方で、切替時に提携企業から受領する一時報酬単価の下落の影響によりARPUが前連結会計年度比2.4%減の5,580円となったことによります。エネルギーデータ事業においては、既存顧客への継続的なサービス提供や新規顧客への導入を進め、2022年10月にアユダンテ株式会社から譲り受けたEV充電情報サービスの承継により、顧客数は前連結会計年度比16.0%増の58社となり、既存顧客へのクロスセル等によりARPUが前連結会計年度比4.1%増の16,713千円となったことによります。EV充電事業においては、当連結会計年度よりセグメント開示を開始し、「EV充電エネチェンジ」の販売促進に取り組んだ結果、累計2,475台の受注を実現、一部で設置工事が完了したことで、ハードウェアの販売売上が計上されたことによります。エネルギープラットフォーム事業におけるユーザー数及びARPU、エネルギーデータ事業における顧客数及びARPU、EV充電事業における受注台数の推移については、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」をご参照ください。


(売上原価、売上総利益)

 当連結会計年度において、売上原価は798,344千円(前連結会計年度は435,922千円)となりました。事業拡大に伴う開発人員の人件費計上の増加によるものです。
 この結果、売上総利益は2,935,723千円(前連結会計年度は2,582,080千円)となりました。当連結会計年度においては、売上高の増加に比して売上原価が増加しており、前連結会計年度より売上総利益率が悪化しております。
 

(販売費及び一般管理費、営業損失)

 当連結会計年度において、販売費及び一般管理費は4,057,427千円(前連結会計年度は2,541,205千円)となりました。主な要因は、事業拡大に伴う人件費、業務委託費等の増加、EV充電事業の普及のための広告宣伝費の増加等によるものです。
 この結果、営業損失は1,121,703千円(前連結会計年度は営業利益40,875千円)となりました。


(経常損失)

 当連結会計年度において、営業外収益が220,485千円(前連結会計年度は28,271千円)、営業外費用が255,445千円(前連結会計年度は71,547千円)となりました。営業外収益増加の主な要因は、補助金受贈益194,593千円によるものです。営業外費用増加の主な要因は、固定資産圧縮損194,518千円によるものです。

 この結果、経常損失は1,156,664千円(前連結会計年度は経常損失2,400千円)となりました。

 

(税金等調整前当期純損失)

 当連結会計年度において、特別利益が3,701千円(前連結会計年度は-千円)、特別損失が76,219千円(前連結会計年度は-千円)となりました。特別利益の主な要因は、持分変動利益3,208千円によるものです。特別損失の主な要因は、連結子会社のSMAP ENERGY LIMITEDで発生した減損損失63,403千円によるものです。

 この結果、税金等調整前当期純損失1,229,182千円(前連結会計年度は税金等調整前当期純損失2,400千円)となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純損失)

 当連結会計年度において、法人税、住民税及び事業税が76,891千円(前連結会計年度は83,014千円)となりました。

 この結果、親会社株主に帰属する当期純損失が1,315,060千円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失が85,586千円)となりました。

 

 c.キャッシュ・フローの分析

 「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

③ 経営成績に重要な影響を与える要因

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2事業等のリスク」に記載のとおりであり、当該リスクが顕在化した場合、経営成績に重要な影響を与える可能性があります。そのため、当社グループは、市場動向等を注視し、組織体制の整備、リスク管理体制の強化、成長事業領域への継続投資等を行い、当社グループの経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減する対応を適切に行っていきます。

 

④ 資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの運転資金需要のうち主なものには、エネルギープラットフォーム事業における人件費及び広告宣伝費、及びエネルギーデータ事業におけるソフトウエア制作に係る人件費及び外注費、並びにEV充電事業における人件費及び広告宣伝費のほか、管理部門における人件費等があります。
 当社グループでの資金需要は、自己資金、金融機関からの借入及びエクイティファイナンス等でバランスよく調達していくことを基本方針としており、資金需要の金額や資金使途に応じて柔軟に検討を行う予定です。
 また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は3,067,058千円となっています。当社グループは当連結会計年度末において複数の取引銀行との当座貸越契約を締結しており、資金調達手段を確保することにより、変動する資金需要に対応し、流動性リスクをコントロールしております。

 

⑤ 経営者の問題認識及び今後の方針について

 当社グループが認識する課題等について、経営者は「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の課題に対処していく必要があると認識しております。これらの課題に対し、経営者は市場ニーズや事業環境の変化に関する情報の入手、分析を行い、現在及び将来の事業環境を認識したうえで、当社グループの経営資源を適切に配分し、対応策を実施していく方針です。

 

⑥ 経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等の進捗について

 「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりです。