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最終更新:

E36323 Japan GAAP

売上高

18.2億 円

前期

13.5億 円

前期比

134.6%

時価総額

32.8億 円

株価

460 (05/02)

発行済株式数

7,138,840

EPS(実績)

28.02 円

PER(実績)

16.42 倍

平均給与

601.6万 円

前期

554.5万 円

前期比

108.5%

平均年齢(勤続年数)

34.2歳(3.4年)

従業員数

66人

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

・事業の概要

 当社は「知を創集し道具にする」をミッションとして掲げ、世界に遍在するデータやナレッジ(知見)を集め、またそこからナレッジ(知見)を新たに創り出す活動を継続し、それら集合知を、テクノロジーを用いて誰にでも使える道具(ツール)へと変えて、広くあまねく提供することで、「テクノロジーでビジネスの相棒を一人一人に」というビジョンを実現すべく、事業を行っています。

 

 デジタルを活用したビジネス変革を推進するデジタルトランスフォーメーション(以下「DX」(*1)という。)に取り組もうと考える企業が増える中、多くの企業はそもそも何から手を付ければ良いかわからない、データがあっても活用方法がわからない等の課題感を持っており、主に『ナレッジ』が不足しているが故にDXを推進出来ていないと当社は認識しております。

 当社は世界に偏在する知を創集し、その集合知を誰にでも使える道具へと変え、すべての企業や人に開放することを目指します。そのために、デジタル上の『行動解析データ』の収集を行い、さらに“どういったビジネスモデルのどういった企業が何をしたらどういう結果が出たか”という『PDCA(*2)データ』を元に、新たな『ナレッジ』を獲得してまいります。また、こうした『ナレッジ』をコンサルティング、ツール、実行支援、人材など、様々な形で顧客に届けることで、すべての企業に届けてまいります。

 当社はデジタルマーケティングを中心に、あらゆるビジネスのデータを優れたテクノロジーによって、整理・分析だけでなく課題特定・解決まで行うことで、ビジネスパーソンの生産性を高め、クリエイティビティの最大化を支援しております。

 

 現在、当社は既存のオペレーションのデジタルによる置き換えにとどまらない「構造的なデジタル変革」を顧客の経済活動において実現すべく、成長著しいDX市場において、(1) データ分析でデジタルマーケティングのPDCAを支援するサービス「AI analyst」(以下「AIアナリスト」という。)を中心に、マーケティングのDXを推進するワンストップ・サービス「AIアナリスト・シリーズ」(*3)を提供するプロダクト事業と、(2) DX実現のための戦略立案や組織・オペレーション設計等のコンサルティングを行う「DXコンサルティング」、そして企業・学術機関と共にPoC(*4)等を行う社内研究所「WACUL テクノロジー&マーケティングラボ」などを持つインキュベーション事業、(3) デジタル人材が不足している企業にフリーランスや転職を希望するマーケターをマッチングし、マーケティングDXの内製化を支援する人材事業により、主に企業の生産性向上と収益向上に資する課題解決ソリューションの提供を、戦略立案などの上流から実行や内製化などの下流まで、幅広く行っております。

 

(*1)DXとは、企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること。

(*2)Plan(計画)・Do(実行)・Check(評価)・Action(改善)を繰り返すことによって、業務を継続的に改善していくサイクル及び手法のこと。

(*3)「AIアナリスト」を中心に、「AIアナリストSEO」「AIアナリストAD」などを含む、ソリューション群の総称。

(*4)Proof of Conceptの略称。新規アイディアのフィジビリティ・スタディなどの検証・実証のトライアル活動のこと。

 

 当社は「DX事業」の単一セグメントでありますが、以下に各事業の内容及び当社の事業の特徴を記載いたします。

 

1.プロダクト事業

 プロダクト事業では、当社が「AIアナリスト」をリリースする2015年まで属人的かつ高コストに提供してきた“データ分析にもとづくデジタルビジネスの改善活動”を、蓄積されたナレッジをもとにテクノロジーを活用し、自動化したツールである「AIアナリスト・シリーズ」として顧客に提供しております。

 

 多くの企業は、デジタルを活用してビジネスを変革するDXの重要性を認識しながらも、そもそも何から手をつければいいか分からない、現状を正しく認識できていない、データがあっても分析や示唆の抽出ができない、分析の工数がとれないといった様々な課題を持っていると当社は認識しております。そうした企業は、DXによって大きく事業を成長させられるポテンシャルを持っていても、改善計画の策定・管理(Plan)、改善施策の実行(Do)から施策の成果測定(Check)そして次の改善方針の見直し(Act)というPDCAサイクルを実行できず、そのポテンシャルを発揮することができていないと考えられます。

 「AIアナリスト・シリーズ」は、これまで高いコストをかけてそうしたPDCA活動を外部に委託してきた企業や、内部で膨大な工数をかけていた企業はもちろん、そもそも費用面やナレッジ不足からそういった改善活動を行えなかった企業まで、“データ分析にもとづくデジタルビジネスの改善活動”を求めるすべての企業にむけて提供されております。

 

 現在、プロダクト事業ではレポーティング、データ分析および改善方針の提案と改善幅予測、また実行された施策の成果検証を行う「AIアナリスト」と、「AIアナリスト」の改善方針に従い、実行を支援するサービスラインナップとして、SEO(*5)コンテンツ制作などコンテンツマーケティング支援を行う「AIアナリストSEO」、Webサイトにおけるお問い合わせや購買などのゴールまでを考慮したWeb広告の運用を代行する「AIアナリストAD」などのソリューションを展開しており、「AIアナリスト・シリーズ」と総称しております。

 

 プロダクト事業のソリューションは、一定期間の利用を前提としたリカーリングレベニュー方式(*6、継続収益方式)を採用しています。そのため、解約されないかぎり継続的に収益をあげることができます。

 

 以下に主なソリューションである「AIアナリスト」「AIアナリストSEO」「AIアナリストAD」について、詳細を記載します。

 

(*5)Search Engine Optimizationの略称。検索エンジン最適化とは、検索エンジンの検索結果において特定のWebサイトが上位に表示されるようWebサイトの構成やコンテンツなどを調整すること。

(*6)ビジネスモデルのひとつ。モノ・サービスの販売契約を行ったあと、継続的に売上が発生するビジネスモデル。将来の収益が安定的であるのが特徴。

 

1-A.AIアナリスト

 当社の主力サービスである「AIアナリスト」はWebサイトに関するナレッジ、各社に閉じていたWebサイトのデータを集め、誰にでもデジタルマーケティングにおける分析と改善が行える道具(ツール)に変えSaaS(*7)として提供しております。「AIアナリスト」は顧客がGoogleアナリティクスから得られる自社Webサイトのアクセス解析データ等をクラウド上で連携するだけでレポートの作成、データ分析結果からの改善提案、実施した改善施策の記録と成果の測定などが可能となる、デジタルマーケティングのPDCAをサポートするプラットフォームです。

 昨今、多くの企業が顧客獲得のために自社Webサイトを保有しております。また、GoogleアナリティクスなどのテクノロジーツールをWebサイトに導入し、自社のWebサイト上における消費者のページ遷移等の行動データを収集し分析することで、Webサイト訪問者の行動の理解とそれに沿ったWebサイトの最適化を行うデジタルマーケティング活動を行っております。

 このような中、「AIアナリスト」は、AI(*8)が行動データを分析し、レポートとして現状を「見える化」するだけでなく、そこから改善すべき点を示して「分かる化」することに特徴があります。この改善提案機能がある点が、サービスのクオリティ面での大きな差別化につながっていると考えております。

 また、「AIアナリスト」はフリーミアムモデルを採用しており、当社はユーザーに対し無料で「AIアナリスト」の基本機能を開放するかわりに、そのユーザーが保有するWebサイトの行動データを獲得しております。2023年2月末時点で37,000サイト以上のデータを保有しているため、このビッグデータを元に、類似サイト群からなるベンチマーキング(*9、類似サイト比較)を提供することが可能です。顧客はベンチマークとの比較を通じて、自社の強みと弱みを認識し、成長戦略の策定に活かすことができます。

 一方、コスト面では、「AIアナリスト」はSaaSとして、シングルソース・マルチテナント型(*10)を採用することにより、すべての顧客が共通のソースコードで作られた同一のアプリケーションを使用しております。そのため、当社は常にひとつのソースコードを通じて、機能の強化・拡張を行っていくことができます。開発者はひとつのソースの開発に集中できるので比較的少ないリソース(コスト)で開発することが可能です。そのため、顧客に対しても比較的低価格でのサービス提供が可能となっております。

 さらに、当社は継続的に機能アップデートが実施される体制を構築しており、毎週何かしらの修正がプロダクトに施されるなど、常に最新機能を顧客に提供しております。そのため、顧客に対する提供価値の陳腐化を防ぎ、当社の優位性を維持することが可能です。

 よって、当社は比較的高いコストパフォーマンスで、顧客に対する提供価値の向上に持続的に取り組むことが可能です。

 

 

「AIアナリスト」の画面イメージ

※画像省略しています。

 

1-B.AIアナリストSEO

 「AIアナリストSEO」は、「AIアナリスト」の改善提案を考慮するなど、一部「AIアナリスト」の持つ機能を活用しながら“コンバージョン(*11)=購買・商談機会の獲得”を意識したコンテンツをサイト運営者に代わって制作する、コンテンツマーケティング支援サービスです。

 近年、多くの企業が自社で保有するWebサイト(オウンドメディア)などを活用し、コンテンツマーケティングに力を入れております。コンテンツマーケティングとは、見込み客の疑問や関心に沿ったコンテンツを提供し、それによって見込み客を引き寄せ、最終的に自社製品やサービスの購買へと導くマーケティング手法です。

 このコンテンツマーケティングにおいて重要となるものが、見込み顧客を誘引する「キーワード選定」、そのコンテンツが狙ったキーワードの検索結果における「コンテンツの検索順位」そして「Webサイト内における設置場所の決定」です。

 第一に「キーワード選定」についてですが、現在多くのコンテンツマーケティング支援企業は、インターネット上にオープンになっている情報をもとに”サイトへの流入=集客”にフォーカスしたキーワード選定を行っております。しかし、本来コンテンツマーケティングの目的は“コンバージョン=購買・商談機会の獲得”です。したがって、効果的なコンバージョン獲得のためには、クローズドな情報である“サイト内の行動データ”の分析を行い、コンテンツを制作することが不可欠です。当社では、サイトへの流入ではなくコンバージョンにフォーカスし、サイト内の行動データも分析したうえでキーワード選定を行っております。

 第二に「コンテンツの検索順位」についてですが、当社ではGoogleからの高い評価を期待できるコンテンツのアウトライン作成の工程を一部システム化することで、SEO対策コンテンツの制作を再現性高く、従来より低コストに提供することを可能としました。

 第三に「Webサイト内における設置場所の決定」についてですが、当社ではコンテンツを置くべき場所の選定を、「AIアナリスト」の分析結果から得られる最適導線の提案に従って行うことで、コンテンツの価値を引き出します。

 当社は「AIアナリスト」を利用する顧客に対して、その改善に日々向き合っているため、コンテンツマーケティングを実施すべきかどうか、実施する際にはどのような形で行うべきかを把握することができ、顧客のシチュエーションに合わせた提案を行っております。

 

1-C.AIアナリストAD

 インターネット広告媒体費は成長が続き、広告媒体費が初めて1兆円を超えた2016年に引き続き、2021年には2兆円と5年で2倍にまで拡大しております(広告媒体費データは株式会社電通「2021年 日本の広告費」より引用)。このような中、当社では、広告枠の買い付けなどのWeb広告業務の一部をシステム化し、Web広告の運用を代行するサービス「AIアナリストAD」を提供しております。

 Webサイト内のデータを保有・分析できる「AIアナリスト」を提供する当社ならではの強みを活かし、「AIアナリスト」と「AIアナリストAD」を共に導入いただくことで“訪問数を増やすWeb広告”ではなく“コンバージョンを増やすための、Web広告とWebサイトの一体運用”をサイト運営者に代わって行い、広告効率をより高めます。具体的には、Web広告を高いコストパフォーマンスで運用するには、どういった広告からWebサイト内のどのコンテンツに誘導すればよいかまでを踏まえて運用します。こうした取り組みにより、顧客はコンバージョンにつながらない広告費の削減や、広告をクリックした人々がお問い合わせや購入に至る率を向上することができます。同時に、当社では多くの顧客のデータを保有し分析しているため、顧客の属性にあわせて、検索連動型広告やSNS広告、記事広告など多様な広告媒体を横断的に提案し、最適化を図っております。

 また、当社では広告運用担当者を固定的に社内に保有するだけでなく業務委託のプロフェッショナルを活用することで、一時的な広告キャンペーンの実施など、需要の波にあわせてコストコントロールを可能としております。同時に、業務委託者の運用状況の管理は成果に直結するため、運用状況の監督ツールを独自に開発し、安定的な運用を可能としております。

 

(*7)Software as a Serviceの略称。ソフトウェアを利用者(顧客)側に導入するのではなく、提供者(サーバー)側で稼働しているソフトウェアを、インターネット等のネットワーク経由で、利用者がサービスとして利用するもの。

(*8)Artificial Intelligence(人工知能)の略称。

(*9)企業が製品、サービス、プロセス、慣行を継続的に測定し、優れた競合他社やその他の優良企業のパフォーマンスと比較・分析する活動のこと。

(*10)1つのソースコードで書かれたソフトウェアを、多数のユーザーで、共同で利用する形式のこと。1つのソースコードを改良することで、多数のユーザーがその恩恵を受けることができるため、効率的に改善が可能。

(*11)Webサイトにおける最終的な成果・目的のことを指す。主なものとして、商品の購入・予約、会員登録、資料請求、お問い合わせなどがある。

 

2.インキュベーション事業

 インキュベーション事業では、最先端のデータ分析に基づいたデジタルマーケティングを推進する企業に対し、コンサルティングのサービスを提供しております。さらにアカデミア及びビジネスの先端をいく人材を顧問とする社内研究所である「WACUL テクノロジー&マーケティングラボ」を2019年2月に社内研究所として立ち上げ、AIやマーケティングを専門とする大学教授などを顧問に迎えるなど、先端テクノロジーの導入とナレッジの磨き上げに力を入れております。また、そうした活動で得られたナレッジをソリューションに落とし込む形で「AIアナリスト・シリーズ」などの新規ソリューションの立ち上げ及び「AIアナリスト・シリーズ」の機能拡張に活かしてきております。

 これまでにも、AIについては2015年に国立大学法人東京大学松尾研究室とのコラボレーションリサーチを実施し、当社としてサイト分析システムで特許を取得しております(特許第6056094号)。また、深層学習(*12)(ディープラーニング)など、新たな技術を活用した機能・ソリューション開発も行っており、現在特許を出願中です(特開2018-136845)。さらに、顧客とともに深層学習を用いたアプリ内における行動分析や、顧客の行動分析に基づくWebと店舗の最適なつなぎあわせなどのプロジェクトを実施してきており、そうした取組みを通じて得たナレッジに基づき、特許出願を積極的に行っております。

 

 当社のDXコンサルティングでは、継続的に顧客から「AIアナリスト」を通じて共有される最新のPDCAデータから、過去に成果が出ることの多かった事例を抽象化した“勝ちパターン”を見出し、最も効果の見込める施策を短時間・少工数で提供することが可能です。また、当社はコンサルティング業に源流を持つため、社内のコンサルティングに関するナレッジの蓄積を活かして、事業全体の再構築や、KPI設計、組織設計、オペレーション構築等のコンサルティングサービスを提供しております。

 

(*12)多層の人工ニューラルネットワークによる機械学習手法。ディープラーニングとも呼ばれる。2010年代に普及しはじめ、第3次AIブームを牽引することとなった革新的な技術。

 

「インキュベーション事業」の取り組み事例

※画像省略しています。

 

3.人材事業

 昨今、企業を取り巻く環境や消費者の価値観が大きく変化する中、企業のDX推進に向けた取り組みが活発化しております。マーケティング分野においても、インターネットを通じた消費行動が当たり前になり、消費者獲得のためにインターネット経由で得られるデータの分析・活用が企業活動の成否に直結する時代となっております。

 専門性の高いマーケティングDX領域において、専門知識を持つ人材の活用は企業のマーケティング成果を最大化するために不可欠です。また、日々進化するデジタルマーケティングの世界において、最新のトレンドやツール情報、成果を出すためのノウハウこそが鍵であり、それらを基にした専門人材のスキルアップが重要といえます。

 一方で、働き方の多様化が進みフリーランス等の独立したマーケターが増える中、活躍するための環境としては、企業側が正社員前提での体制作りをしている点や、フリーランスが継続的にスキルをアップデートする機会が少ない点など、いまだ十分に整備されていない現状があります。

 そのため、企業側にとっては、マーケティング人材の専門性の目利きが難しいという課題が、マーケターにとっては、自己成長のための最新情報を得られる機会が限定的といった課題があり、その結果、マーケターと企業のマッチングにおいて「期待したことをやってもらえなかった」「業務を請け負ったが自分ができる範囲を超えていた」などのアンマッチが発生しております。

 当社は、「AIアナリスト」を軸に、これまで1,000社超の企業を支援し、様々なマーケティング課題の解決を行ってまいりました。そこで、WACULが培った企業のマーケティング課題の「特定力」、また37,000超のサイト分析に基づく成果を出すための「方法論」などを活かして、この度、専門性を持つマーケターのスキル、リソースを最大活用するフリーランスマーケター向け人材マッチングサービス「Marketer Agent」を2021年12月からスタートしました。

 また、2022年11月にはマーケティング人材の需要の高まりを受けて、マーケティングDX人材のフリーランス・マッチングから正社員の転職までサポート範囲を拡大し、マーケター転職の支援サービス「Marketer Agent 転職」の提供を開始しました。

 

 主なサービスは以下の3点です。

 

[マッチング]

 Marketer Agentが企業とフリーランスマーケターをマッチングします。マーケターの中にはスキルは高いものの営業力に長けていない人材も多いのが現状です。こうしたフリーランスマーケターに営業機会を提供します。これにより企業としても、今まで出会えなかった優秀なマーケターに協力を依頼することが可能になります。

 Marketer Agentでは当社の30,000社以上の豊富なマーケティング部門を中心とした顧客ネットワークをもとに案件を創出します。企業側の課題を把握し、各々のマーケターの特性も把握している当社が企業とマーケターの間に入ります。企業としては、知らないフリーランスに重要な業務を任せることにハードルがありますが、当社が間に入ることで安心して任せることが可能になります。また、フリーランスとしても、現状は企業から過大な要求を受けるケースが発生しており、これもマーケティング支援を本業とする当社が間に入ることで、専門知識をもとに「案件や専門スキルの目利き」を徹底することでミスマッチを回避することができます。また「個人(フリーランス等)」は、発注側の企業から見た際の「信用力」が欠けるというデメリットはありますが、発注企業と個人との間に当社が入ることで解消することが可能です。

 また、フリーランス活用から正社員採用へとステップを進める企業向けには「Marketer Agent 転職」により、企業が欲する人材の正社員紹介を行います。

 

デジタルマーケティング人材における主な要件の比較

※画像省略しています。

 

[アップスキリング]

 当社は独自に収集した37,000超のサイトのデータと10,000超の成功事例・失敗事例データにより、成功確率の高いマーケティング施策のみを提供しております。こうしたノウハウは、少ない時間でいかに成果を出すかが求められるマーケターにとって有用です。

 このノウハウを、まず研修という形でマーケターに提供します。さらにはWACULで実際に行っている業務から学ぶOJTの機会も提供します。

 

[コラボレーション]

 マーケターと当社のコラボレーションにより、企業の課題解決を推進します。加えてマーケター同士の連携も推進します。フリーランス等のマーケターは企業に属しているマーケターと比べて孤独です。こうしたマーケター同士による情報共有や案件の相互紹介などの機会を創出します。

 

・当社の事業の特徴

①企業規模や業種・業態によらず、幅広く提供可能なサービスラインナップ

 当社のソリューションは「AIアナリスト」はもちろん「AIアナリスト・シリーズ」やフリーランスマーケター向け人材マッチングサービス「Marketer Agent」などすべてのソリューションが、大企業から中小企業まで企業規模を問わず提供されております。また、ECサイトなどWeb上で購買の完結するビジネスだけでなく、Webで問い合わせを受けた後に営業人員が商談を行い契約まで導くビジネスなど、顧客の業種や業態を問わず提供されております。

 

②様々な課題に応えるソリューションとクロスセルの推進

 当社は「AIアナリスト」による改善提案だけでなく、その改善提案と紐づく形で実行・実装を行う「AIアナリストSEO」や「AIアナリストAD」やマーケターの不足を補う「Marketer Agent」による人材支援といった様々なサービスを顧客にあわせて提案することで、同一顧客に複数ソリューションを提供するクロスセルを行っております。

 顧客は様々な課題を各社が抱えております。当社はそのひとつの課題に対して、保有するソリューションのひとつで成果を創出することで信頼を獲得し、顧客が新たに直面する課題や周辺の課題に対してもまた別のソリューションをクロスセルしていくことで、顧客1社当たりの売上高の拡大が可能となっております。

 

※画像省略しています。

 

③プロダクト事業とインキュベーション事業のシナジー

 当社の事業は、プロダクト事業とインキュベーション事業とが相互に価値向上に貢献しあうという“正のスパイラル”によって、企業のDX実現のための課題解決力を高めることで、市場により高い価値を創出しております。

 当社では、インキュベーション事業で得られた新たなナレッジを仕組み化し、プロダクト事業で提供するソリューション群の新規機能の追加や既存機能の強化を行います。また逆に、プロダクト事業で得られたデータ基盤はインキュベーション事業で新たなナレッジの創出を行ううえでの源泉となり、DXコンサルティングでの提案活動に活かされております。こうした2事業の互恵関係による“正のスパイラル”が当社の価値となっております。

 

 

※画像省略しています。

 

④事業成長と参入障壁を実現する独自PDCAデータの蓄積

 当社の「AIアナリスト」は、基本的な機能を無料で提供し、さらに高度な機能や特別な機能については料金を課金するフリーミアムモデルで提供されております。そのため、当社はユーザーに対し無料で基本機能を開放するかわりに、そのユーザーのデータを獲得しております。

 当社は多数存在するWeb上の行動データを記録するツールの中でも、調査対象サイト153,052サイトで検出されたアクセス解析の93.4%(株式会社DataSign 教えてURL調査レポート「Webサービス調査レポート 2023年3月度」におけるアクセス解析カテゴリのシェア)が利用し、トップシェアを持つGoogleアナリティクスや、Google、Yahoo!、Facebookなど日本で利用される主要広告データと連携し、顧客からの許可を得た上で各プラットフォームを通じて提供を受けております。このため、Webサイトにタグを埋め込むなどの作業を必要とするWeb行動データ分析ツールでは、タグの埋め込みの開発やデータの蓄積など実際にデータを分析するまでに作業と時間を要しますが、当社の「AIアナリスト」ではそういったリードタイムが必要なく、その場ですぐに分析を始めることが可能です。こうした導入ハードルの低さや高い利便性から、「AIアナリスト」の登録サイト数の増加と当社の保有データの蓄積につながっていると考えております。

 

「AIアナリスト」登録サイト数の推移

※画像省略しています。

※登録サイト数とは、有料版/無料版を問わず、当社「AIアナリスト」にGoogleアナリティクスが連携された数を示しています。

 

 

 また、当社は顧客から共有されるクローズドなビッグデータとWeb上に存在するオープンデータを合わせて分析し、顧客に改善ポイントの提案を行っています。顧客が改善施策を実行したのち、当社はその成果を測定します。こうしたPDCAデータを当社は蓄積することで、改善提案の質の向上に役立てています。改善提案の質の向上は、さらなる顧客数の増加や定着につながる好循環を生むと考えております。

 

 改善施策の立案からその実行そして成果測定に至るまでのPDCAデータは、当社独自のものです。この独自のPDCAデータを分析することで当社は“デジタルビジネスの勝ちパターン”を蓄積しており、当社の課題解決力の強化ひいては事業における競争力につながると認識しております。

 

 こうした好循環は、Data Network Effectsとよばれ、追随しようとする他社に対する参入障壁となり、当社の先行優位性をより強固にすると考えております。

 

当社の各事業とデータの関係

※画像省略しています。

 

<事業系統図>

※画像省略しています。

 

 

23/05/31

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態の状況

(資産)

当事業年度末における資産合計は、前事業年度末と比較して328,195千円増加し、1,579,867千円となりました。これは、流動資産が208,658千円増加したこと、固定資産が119,537千円増加したことによるものであります。流動資産の増加は、主に現金及び預金が68,018千円増加したこと、業務拡大により売掛金が60,062千円増加したこと、立替金が72,353千円増加したことによるものであります。固定資産の増加は、主に既存サービスの改良完了及び公開によりソフトウエアが88,221千円増加したこと、繰延税金資産が33,179千円増加したことによるものであります。

 

(負債)

当事業年度末における負債合計は、前事業年度末と比較して125,997千円増加し、574,639千円となりました。これは、主に流動負債が207,057千円増加したこと、固定負債が81,060千円減少したことによるものであります。流動負債の増加は、主に業務拡大により未払金が223,912千円増加したことによるものであります。固定負債の減少は、返済により長期借入金が81,060千円減少したことによるものであります。

 

(純資産)

当事業年度末における純資産合計は、前事業年度末と比較して202,198千円増加し、1,005,227千円となりました。これは、主に新株予約権の行使による株式の発行により資本金が4,048千円、資本準備金が4,048千円それぞれ増加したこと、当期純利益の計上により利益剰余金が192,284千円増加したことによるものであります。

 

②経営成績の状況

当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症にワクチン接種の効果がみられたことで新型コロナウイルス感染症との共存が進む一方、ロシア・ウクライナ情勢の長期混迷もあり、不安定な状況が続いております。そのような中、当社の属するDX市場は、一時的な需要の急増は収まったものの、デジタル活用が社会に定着したことで、活況が続いていると見ております。

そうした環境下において、当社はマーケティング分野のDXへの関心の高まりを捉えるべく、コンサルティングや「AIアナリスト」の取得したデータ、施策と効果の検証結果データ等から得られるナレッジを武器として、マーケティング活動とソリューション拡充、クロスセル推進に活用し、各事業を推進してまいりました。

新規顧客獲得のためのマーケティング活動においては、ナレッジを活用したマーケティング施策として、2022年11月に『BtoBマーケティングの定石』を出版しました。前作『デジタルマーケティングの定石』は第8刷のロングヒットとなり、読者からのお問い合わせに大きくつながりました。出版にあわせて、2023年1月から2月にわたり、出版記念ウェビナーを行い、累計1,300件を超えるリード獲得に至りました。

また、各事業それぞれが新規顧客の開拓と既存顧客の継続と拡大を推し進め、順調に売上拡大を実現しました。

プロダクト事業では、クロスセル戦略を推し進めるべく、①「AIアナリスト」の機能強化、②クロスセル商材の拡充、③組織の新設を行いました。機能強化によるクロスセルの一例としては、デジタルマーケティングのコンサルタントを機械化したデータ分析・改善提案ツール「AIアナリスト」の広告運用に関する分析機能を強化し、「AIアナリストAD」のクロスセルが進展しました。また、クロスセル可能な商材の拡充のために、従来から提供している「AIアナリストSEO」「AIアナリストAD」を含む「AIアナリスト・シリーズ」に加え、サイト構築やLP(ランディングページ)制作などのクリエイティブ分野の支援体制を強化し、クリエイティブソリューションの提供を本格化しました。さらにお問い合わせ等から得た見込み顧客や既に購入経験のある既存顧客へのマーケティング手法のひとつであるCRM領域の支援ソリューションを開始しました。また、組織強化のひとつとしては、中企業以上のワンストップ需要の強い顧客群に対してクロスセルを推進/維持するための専門チームを第2四半期会計期間に立ち上げ、顧客企業の支援を手厚くしたことで、中企業以上の1社当たりLTV(顧客生涯価値)増大を進めました。

インキュベーション事業では「AIアナリスト」で培った“勝ちパターン”をもとに企業のマーケティング戦略、組織設計、オペレーション構築など、「AIアナリスト」ではカバーしきれないより上流のテーマを対象としたマーケティングのDXコンサルティングを提供しました。継続的な需要の増大を受け、大企業の新規プロジェクトの獲得と密接な関係性強化による継続プロジェクトの獲得を両面で進め、当事業年度は特に継続プロジェクトの稼働でフルキャパシティに近い状況が継続し、順調な売上高成長を達成しております。

さらに、デジタルマーケティングを外注ではなく内製化したいという企業の需要に応えるべく、2021年12月から本格的に開始した「Marketer Agent」では、DX人材のマッチングや有料職業紹介によって、DX人材が不足する企業のマーケティングのDX実現を後押ししてまいりました。当事業年度においては組織面での増強を行う一方で、広告宣伝費をさほど投下せず、当社の保有する3万社以上の既存リードソースへのマーケティングにより、立ち上げから8ヶ月でのARR1億円を達成しました。

以上のような新規顧客獲得施策及び各プロダクトの拡充を進め、あわせてAIアナリスト・シリーズのクロスセルの営業活動を継続的に実施した結果、クロスセル率及びLTV(顧客生涯価値)は順調に成長しました。

 

この結果、当事業年度の経営成績は、売上高1,349,675千円(前年同期比24.2%増)、EBITDA255,580千円(前年同期比13.4%増)、営業利益184,125千円(前年同期比0.9%減)、経常利益187,310千円(前年同期比1.8%増)、当期純利益192,284千円(前年同期比14.9%減)となりました。

なお、当社はDX事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。

 

また、重要な経営指標である2023年2月末の理論LTV(顧客生涯価値)は5,038千円(2022年2月末4,414千円)、クロスセル率は2023年2月末26.1%(2022年2月末19.4%)となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ68,018千円増加し、当事業年度末には823,520千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果獲得した資金は301,195千円(前年同期は167,060千円の獲得)となりました。これは主に、税引前当期純利益が187,310千円計上されたこと、減価償却費が70,654千円計上されたこと、業務拡大により未払金の増加額が226,314千円あった一方で、売上高の増加に伴い売上債権の増加額が60,062千円あったこと、その他の流動資産の増加額が77,453千円あったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は160,213千円(前年同期は91,095千円の使用)となりました。これは主に、無形固定資産の取得による支出が159,562千円あったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は72,962千円(前年同期は232,735千円の獲得)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出が81,060千円あったことによるものであります。

 

④生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当社が提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

 

b.受注実績

当社が提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

 

 

c.販売実績

当事業年度の販売実績は次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2022年3月1日

至 2023年2月28日)

販売高(千円)

前年同期比(%)

DX事業

1,349,675

124.2

 (注)1.当社の事業セグメントは、DX事業の単一セグメントであります。

2.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自 2021年3月1日

至 2022年2月28日)

当事業年度

(自 2022年3月1日

至 2023年2月28日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

三井不動産株式会社

41,600

3.8

153,730

11.4

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態の状況 ②経営成績の状況」をご参照ください。

 当社の経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「2 事業等のリスク」をご参照ください。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 当社の資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。

 当社の資金需要として主なものは、事業の拡大に伴う人件費、プロダクトの開発費、顧客獲得や認知度向上のための広告宣伝費等であります。財政状態等や資金使途を勘案しながら、必要な資金は自己資金、金融機関からの借入及びエクイティファイナンス等で資金調達していくことを基本方針としております。なお、これらの資金調達方法の優先順位等は、資金需要の額や用途に合わせて柔軟に検討を行う予定であります。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額ならびに開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては過去の実績や現状等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる可能性があります。

 当社の財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載しております。なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 追加情報」に記載のとおりであります。