売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当(単独)

ROE

EPS BPS




E36323 Japan GAAP


2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において判断したものであります。

 

(1)経営成績の状況

 当第3四半期累計期間における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症が感染法上の5類に移行され、社会経済活動の正常化が進んでいるものの、ロシア・ウクライナ情勢の混迷やイスラエル・ガザ衝突、世界的なインフレの進行に伴う金融引き締めの加速等、引き続き不安定な状況が続いております。

 このような状況下、当社が属するデジタルトランスフォーメーション(以下、「DX」)市場は引き続き成長するものと見込まれており、市場規模は2022年には前年比20%成長の7,820億円に達し、2030年には1兆5,038億円にまで達するものと予測されております(「2022 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望」富士キメラ総研)。また、「新・フリーランス実態調査 2021-2022年版」(ランサーズ株式会社)によると、2021年10月時点でフリーランス人口は1,577万人、経済規模は23.8兆円と、同社が調査を開始した2015年と比較すると、人口は68.3%(640万人)、経済規模は62.7%(9.2兆円)増加しております。また、フリーランスがエージェントサービスを利用して仕事を探す比率も年々増加しており、その利用率は2018年の13.4%から2023年には25.8%と大きく拡大しております(「フリーランス白書 2018」及び「フリーランス白書 2023」一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会)。

 当社ではこのような環境にいち早く対応するべく、マーケティングのDXへの関心の高まりを捉えたソリューションの強化及び拡張、増加するフリーランスと企業を結びつける人材マッチング事業の育成を進めてまいりました。

 当社では、企業のDXを強力に支えるべく、これまでコンサルティングとデータ分析・改善提案SaaSで培ったナレッジとベストプラクティスを、マーケティングDX実現に必要なサービス群に落とし込み、提供しております。

 戦略フェーズでは、デジタルマーケティングにとどまらないデジタル活用戦略の立案を行う「DXコンサルティング」を、戦術フェーズではデジタルマーケティングのPDCAを支える分析・改善提案ツールである「AIアナリスト」を提供しております。また、そうした設計がなされても実行・実装のできない企業向けに、実行・実装の代行を行うBPOソリューション群と実行・実装を行う人的リソースを提供する人材マッチング事業を提供しております。プロモーション及びマーケティングの実行によりリード基盤を拡大し、1商材の提供で関係性を構築した後、複数商材のクロスセルを推進し、1社当たり売上高を継続的に保つことで、当社のビジネスを拡大しております。

 

 自社の新規顧客獲得のためのマーケティング活動においては、当社ナレッジをベースとしたウェビナーの継続的な開催や各種マーケティング関連メディアへの登壇、展示会への出展を行いました。

 また、当社の認知獲得施策の一環として、2023年7月に代表取締役の垣内勇威が「LTV(ライフタイムバリュー)の罠」(株式会社日経BP)を出版しました。これまでの「デジタルマーケティングの定石」「BtoBマーケティングの定石」(株式会社日本実業出版社)で、問い合わせ獲得までのデジタル領域のナレッジを保有する企業としての認知を獲得してきましたが、「LTV(ライフタイムバリュー)の罠」で新たに当社が新規顧客の獲得だけでなく既存顧客の育成まで、スコープを拡大した支援ができることを示すものとなっております。これは当社の支援領域の拡大に合わせて、当社に関する市場からの認知をサイト改善に特化した支援会社であるというものからデジタルマーケティング全般を支援できる会社であるとアップデートするために、戦略的に行ったものであります。

 

 成長著しい人材マッチング事業「Marketer Agent」は、これまで広告宣伝費を抑制し、「AIアナリスト」で築いた顧客基盤へのアプローチにより事業を拡大してまいりましたが、拡大する市場の確保に向けて当サービスでの広告宣伝費投資もゆるやかに拡大しております。しかし、現時点においては「AIアナリスト」等その他サービスへの関心を持つリードが当サービスの契約に至る方が獲得コストが低く、人材マッチング事業そのものでの広告宣伝費投資は全社のうち3割以下にとどまっております。

 

 各事業においても、各ソリューションの強化・拡大を継続しております。

 2023年はGoogleアナリティクスの旧バージョンであるUA(ユニバーサルアナリティクス)から最新バージョンであるGA4(Googleアナリティクス4プロパティ)への移行年であり、当社ビジネスもGA4対応を進めております。「AIアナリスト」では、UAのデータ取得が終了する2023年7月1日を前に、GA4対応の新機能「GA4対応サイトレポート」をリリースすると同時に、UAのデータのアーカイブ機能を提供することで、旧バージョンで蓄積したデータの消失を回避しながら、最新バージョンにスムーズに移行できる点を新たなメリットとして打ち出し、プロモーションを行いました。2023年7月にはGA4のデータを自動で分析し、実施した施策の効果を検証する「効果検証(GA4)」機能を提供開始しました。また、2023年8月にはGoogleアナリティクスの最新バージョンであるGA4のデータと検索関連データを蓄積するGoogleサーチコンソールのデータを自動的に紐づけして分析を行うGA4版の「SEOレポート(GA4)」をリリースしました。こうした機能強化を通じて、2023年8月に「AIアナリスト」のGA4の連携数が1,000件を突破しました。また、人材マッチング事業では、GA4の設定代行の需要が旺盛であり、UAで行った分析設定をGA4にも行うプロジェクト型の売上増がありました。株式会社オーリーズの「Googleアナリティクス4(GA4)の活用状況」(2023年10月実施)によると、「UAからGA4への移行状況」で「移行済み」と答えたのは25%にとどまり、「移行設定の途中」(28%)よりも「移行設定に着手できていない」(29%)が上回っているなど、GA4移行は現在も多くの企業でマーケティング課題として残っている模様です。

 また、「AIアナリスト」の拡販のため、Webマーケティングとクラウドセールステックを展開する株式会社ジオコード(以下、「ジオコード」)と協業を進め、ジオコードがサービス提供するオーガニックマーケティングにおいて、顧客Webサイトのコンバージョン改善に当社の「AIアナリスト」を積極的に導入することとなりました。これによりジオコードの顧客への「AIアナリスト」導入を進めてまいります。

 「AIアナリストAD」では、Yahoo!広告の検索広告とディスプレイ広告(運用型)において高い実績を誇る正式な代理店を指す「Yahoo!マーケティングソリューション 2つ星セールスパートナー」に2023年5月に認定されるなど、これまでの着実な運用実績と事業拡大が、外部から評価されました。認定された代理店には、Yahoo! JAPANから最新のサーチトレンドやツールなどの情報が提供され、広告主に対して高品質なマーケティング支援が可能になります。現在、収益性の高い大型案件への営業に注力する方針を強め、顧客の入れ替わりを意図的に発生させております。

 また、「DXコンサルティング」を提供するインキュベーション事業は、既存顧客からのリピート案件や戦略から運用までの一貫支援を継続的に行う長期契約が安定収益をつくる一方、短期契約の大型案件については納品タイミングによって売上高の変動を生む要因となっております。現在コンサルタントの採用は競争が激化していることから進捗が見られておらず、高い稼働率が継続しております。当第3四半期会計期間は大型案件の納品及び伴走支援型の案件の大型化が進んだことで、四半期会計期間の売上高は過去最高となりました。ただし、伴走支援型案件は戦略案件に対して利益率は低く、利益貢献は限定的となりました。

 「Marketer Agent」を展開する人材マッチング事業は、これまでのフリーランスマーケターのマッチングから領域を拡大すべく、マーケティングの推進には欠かせない人材である、クリエイターのマッチングのテスト販売を開始しました。正社員転職と合わせて、「Marketer Agent」の対象領域の拡大を推進しております。本事業の好調な推移と良好な事業環境を受け、事業のスケーラビリティを確保すべく、人材データベースの開発を開始しました。期初段階においては2025年2月期以降の開発を予定していたものの、これを前倒ししたものとなります。これにより、当第3四半期会計期間より研究開発費が発生しております。

 

 また、研究開発及び将来的な機能改善の一環として、AIの利活用を継続して行っております。自然言語処理技術等を用いたWebページ分析技術への応用として、フォームが成果を出すポイントを押さえているかをAIが評価する「B2BフォームAI診断」を公開しました。さらに、ChatGPT活用のひとつとして、SEO対策記事制作サービス「AIアナリストSEO」の記事校閲へのChatGPTの活用テストを2023年5月に開始しました。

 

 

 この結果、当第3四半期累計期間の経営成績は、売上高1,301,805千円(前年同四半期比37.5%増)、EBITDA205,062千円(前年同四半期比25.1%増)、営業利益122,298千円(前年同四半期比10.9%増)、経常利益126,151千円(前年同四半期比15.0%増)、四半期純利益108,991千円(前年同四半期比18.4%増)となりました。なお、売上高は四半期会計期間として過去最高となっております。

 なお、当社はDX事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。

 

(注)EBITDAの計算式は以下のとおりです。

EBITDA=営業利益+減価償却費

 

(2)財政状態の状況

(資産)

 当第3四半期会計期間末における資産合計は、前事業年度末と比較して588,367千円増加し、2,168,234千円となりました。これは主に、ソフトウエアが81,776千円減少した一方、現金及び預金が630,453千円増加したこと、ソフトウエア仮勘定が91,767千円増加したことによるものであります。

 

(負債)

 当第3四半期会計期間末における負債合計は、前事業年度末と比較して465,107千円増加し、1,039,746千円となりました。これは主に、借入により1年内返済予定の長期借入金が81,504千円、長期借入金が357,701千円増加したことによるものであります。

 

(純資産)

 当第3四半期会計期間末における純資産合計は、前事業年度末と比較して123,260千円増加し、1,128,488千円となりました。これは主に、四半期純利益の計上により利益剰余金が108,991千円増加したことによるものであります。

 

(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。

 

(4)経営方針・経営戦略等

 当第3四半期累計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当第3四半期累計期間において、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(6)研究開発活動

 当第3四半期累計期間における研究開発費の総額は3,759千円であります。

 これは主に人材マッチング事業におけるダイレクトリクルーティングサービス等の研究開発活動による支出に伴い発生したものであります。

 なお、当社の事業はDX事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。