売上高

利益

資産

キャッシュフロー

セグメント別売上

セグメント別利益

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率


最終更新:

E00808 IFRS

売上高

4.63兆 円

前期

3.98兆 円

前期比

116.5%

時価総額

1.38兆 円

株価

916 (03/29)

発行済株式数

1,506,288,107

EPS(実績)

89.72 円

PER(実績)

10.21 倍

平均給与

1,045.4万 円

前期

949.2万 円

前期比

110.1%

平均年齢(勤続年数)

46.5歳(19.0年)

従業員数

430人(連結:68,639人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

 

3 【事業の内容】

当社グループは、当社、子会社442社及び関連会社等151社から構成されており、当社のもと、三菱ケミカル㈱、田辺三菱製薬㈱、㈱生命科学インスティテュート及び日本酸素ホールディングス㈱の4社を通じて、機能商品、素材及びヘルスケアの3つの分野(各分野はさらに、機能商品、ケミカルズ、産業ガス、ヘルスケアの4つのセグメント及びその他部門の事業区分に分かれております。)において、事業活動を行っております。
  当連結会計年度末日において、各事業会社のセグメント毎の主要な事業及びその主要な子会社等は、次の表のとおりであります。当該各部門は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.事業セグメント (1)報告セグメントの概要」に掲げるセグメントの区分と同一であります。

 

※画像省略しています。

(注) 関連会社等には、ジョイント・ベンチャー(共同支配企業)及びジョイント・オペレーション(共同支配事業)を含んでいます。

 

 

なお、当社は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当するため、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準のうち、上場会社の規模との対比で定められる数値基準については、連結財務諸表の数値に基づいて判断することとなります。

 

24/01/19

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中における将来に関する事項は、当社グループが当連結会計年度末現在において判断したものです。

 

(1) 経営成績等の状況の概要

① 経営成績

ⅰ 業績全般

当社グループの当連結会計年度における事業環境は、経済社会活動の正常化が進む中で、世界経済全体では緩やかな持ち直しの動きが継続しました。しかしながら、原燃料価格の上昇やサプライチェーンの混乱に加え、各国のインフレ抑制のための金融引き締め等により景気減速のリスクが高まりました。

このような状況下、売上収益は、4兆6,345億円(前連結会計年度比6,576億円増)となりました。利益面では、コア営業利益は3,256億円(同533億円増)、営業利益は非経常項目においてケミカルズ及びヘルスケアセグメントに関連する減損損失等を計上したことにより1,827億円(同1,205億円減)、税引前利益は1,680億円(同1,224億円減)、親会社の所有者に帰属する当期利益は、961億円(同811億円減)となりました。

 

 

 

 

 

(金額単位:億円)

 

前連結会計年度

自 2021年4月1日
至 2022年3月31日

当連結会計年度

自 2022年4月1日
至 2023年3月31日

増減額

増減率(%)

売上収益

39,769

46,345

6,576

16.5

コア営業利益 (注2)

2,723

3,256

533

19.5

営業利益

3,032

1,827

△1,205

△39.7

税引前利益

2,904

1,680

△1,224

△42.2

当期利益

2,094

1,352

△742

△35.5

 

親会社の所有者に帰属する当期利益

1,772

961

△811

△45.8

ナフサ (円/KL) (注3)

56,600

76,600

20,000

 

為替 (円/$)  (注3)

113.0

136.0

23.0

 

 

(注)1 当社グループは、IFRS(国際会計基準)に基づいて、連結財務諸表を作成しております。

2 コア営業利益は、営業利益(又は損失)から非経常的な要因により発生した損益(事業撤退や縮小から生じる損失等)を除いて算出しております。

3 それぞれ、2021年4月~2022年3月、2022年4月~2023年3月の概算平均値です。

 

ⅱ  各セグメントの業績

各セグメントにおける売上収益及びコア営業利益の状況は、以下のとおりです。

(金額単位:億円)

セグメント

前連結会計年度

当連結会計年度

増減額

売上収益

コア営業利益

売上収益

コア営業利益

売上収益

コア営業利益

機能商品

11,363

787

12,527

515

1,164

△272

ケミカルズ

12,879

1,022

14,302

92

1,423

△930

産業ガス

9,501

989

11,779

1,210

2,278

221

ヘルスケア

4,036

△70

5,471

1,418

1,435

1,488

その他

1,990

150

2,266

165

276

15

調整額

△155

△144

11

合計

39,769

2,723

46,345

3,256

6,576

533

 

(注) セグメント間の取引については、相殺消去しております。

 

 

<コア営業利益 増減要因>

(金額単位:億円)

 

 

 

前連結

会計年度

 

当連結

会計年度

 

増減

 

 

 

 

 

 

売買差

数量差

コスト

削減

その他

(注)

全社

 

2,723

 

3,256

 

533

336

795

494

△1,092

 

機能商品

 

787

 

515

 

△272

413

△271

35

△449

 

ケミカルズ

 

1,022

 

92

 

△930

△227

△456

61

△308

 

産業ガス

 

989

 

1,210

 

221

226

78

269

△352

 

ヘルスケア

 

△70

 

1,418

 

1,488

△75

1,430

74

59

 

その他

・調整額

 

△5

 

21

 

26

△1

14

55

△42

 

(注) その他には、在庫評価益の前連結会計年度(471億円)と当連結会計年度(200億円)の差額△271億円、持分法投資損益の前連結会計年度(214億円)と当連結会計年度(119億円)の差額△95億円、2022年3月に結晶質アルミナ繊維事業を譲渡したことによる影響やインフレを背景とした費用増加等の金額が含まれております。

 

 

 

 

 

 

為替影響

131

269

0

-

△138

 

 

 

 

 

 

 

内、換算差

231

 

 

 

 

 

 

※画像省略しています。

 

 

セグメント

前連結会計年度から当連結会計年度への主なコア営業利益の増減要因

機能商品

売買差:原料価格上昇の影響等がある中で価格転嫁を推し進めたこと等により増益。

数量差:ディスプレイ用途、自動車用途の販売数量が減少したこと等により減益。

その他:2022年3月に結晶質アルミナ繊維事業を譲渡したことやインフレを背景として費用が増加したこと等により減益。

ケミカルズ

売買差:原燃料価格の上昇に伴い原料と製品の価格差が縮小したこと等により減益。

数量差:需要減退や定期修理の影響により販売数量が減少したこと等により減益。

産業ガス

売買差:燃料価格上昇の影響等がある中で価格転嫁を推し進めたこと等により増益。

ヘルスケア

売買差:薬価改定の影響等により減益。

数量差:点品や海外医療用医薬品の販売数量が伸長したこと、ジレニアのロイヤリティに係る仲裁判断の結果を受けた収益認識等により増益。

 

 

 

セグメント別の業績の概要の詳細は、以下のとおりです。

 

イ  機能商品セグメント

(ポリマーズ&コンパウンズ、フィルムズ&モールディングマテリアルズ、アドバンストソリューションズ)

当セグメントの売上収益は1兆2,527億円(前連結会計年度比1,164億円増)となり、コア営業利益515億円(同272億円減)となりました。

ポリマーズ&コンパウンズサブセグメントにおいては、自動車用途を中心に販売数量が減少したものの、原料価格上昇に伴い販売価格への転嫁を推し進めたことや為替の影響等により、売上収益は増加しました。

フィルムズ&モールディングマテリアルズサブセグメントにおいては、2022年3月に結晶質アルミナ繊維事業を譲渡したことに加えディスプレイ用途の急激な需要減退による減少があるものの、原料価格上昇に伴う販売価格の是正や為替の影響等により、売上収益は増加しました。

アドバンストソリューションズサブセグメントにおいては、ディスプレイ用途を中心に販売数量が減少したものの、原料価格上昇に伴う販売価格の是正及び為替の影響等により、売上収益は増加しました。

当セグメントのコア営業利益は、原料価格上昇の影響等がある中で価格転嫁を推し進めたものの、ディスプレイ用途をはじめとして総じて需要が減退したことやインフレを背景とした費用の増加等により、減少しました。

 

当連結会計年度に当セグメントにて実施又は発生した主な事項は、以下のとおりです。

リチウムイオン電池向け負極材の旺盛な需要に対応するため、中国において、新規開発製品である低膨張を特長とする天然系負極材の生産能力を、現在の2,000トン/年から12,000トン/年に増強することを決定しました。2023年度前半の稼働を目標としています。

食品包装材の世界的な需要拡大に対応するため、英国において、エチレン・ビニルアルコール共重合樹脂「ソアノール™」の生産能力を、現在の18,000トン/年から39,000トン/年に増強することを2022年7月に決定しました。2025年7月の稼働を目標としています。

ポートフォリオ改革の一環として、広島事業所で製造しているアクリル繊維「ボンネル™」・「ボンネル™M.V.P」の事業から2023年中に撤退することを、2022年12月に決定しました。

注力市場における機能商品の事業拡大に向け、ポリビニルアルコール樹脂の特殊銘柄である「ゴーセネックス™」および「ニチゴーGポリマー™」について、岡山事業所に新たなプラントを建設し、生産能力を現行の約2倍に増強することを2023年2月に決定しました。2024年10月の稼働を目標としています。

ポートフォリオ改革の一環として、当社グループが保有する三菱ケミカルアグリドリーム株式会社の全株式を、2023年9月を目途に住化積水フィルム株式会社(本社:東京都台東区)へ譲渡することで同社と合意し、同年3月31日付で株式譲渡契約を締結しました。

 

ロ  ケミカルズセグメント(MMA、石化、炭素)

当セグメントの売上収益は1兆4,302億円(前連結会計年度比1,423億円増)となり、コア営業利益は92億円(同930億円減)となりました。

MMAサブセグメントにおいては、為替の影響等による増加はあるものの、需要の減退に伴い販売数量が減少したことやMMAモノマー等の市況が下落したことにより、売上収益は減少しました。

石化サブセグメントにおいては、需要の減退やエチレンセンターの定期修理の影響が拡大したことにより販売数量が減少したものの、原燃料価格の上昇等に伴い販売価格が上昇したことにより、売上収益は増加しました。

炭素サブセグメントにおいては、需要の減退により販売数量が減少したものの、原燃料価格の上昇等に伴いコークスの販売価格が上昇したことにより、売上収益は増加しました。

当セグメントのコア営業利益は、需要の減退等により販売数量が減少したことに加え、総じて原料と製品の価格差が縮小したことや、在庫評価益が縮小したことにより、減少しました。

 

当連結会計年度に当セグメントにて実施又は発生した主な事項は、以下のとおりです。

・当社グループの独自技術である新エチレン法(アルファ法)を用いたMMAモノマーのプラント新設プロジェクト(生産能力:35万トン/年を予定)を米国において進めていますが、市場の変動性等を踏まえ、当初2022年半ばに予定していた最終投資決定を2023年度に延期することとしました。

・MMA事業の競争力の強化と供給体制の最適化を図るため、英国のキャッセル工場(生産能力:約20万トン/年)におけるMMA関連製品の生産を、2023年2月に終了しました。

 

ハ  産業ガスセグメント(産業ガス)

当セグメントの売上収益は1兆1,779億円(前連結会計年度比2,278億円増)となり、コア営業利益は1,210億円(同221億円増)となりました。

産業ガスにおいては、国内外の需要が堅調に推移したことに加え、燃料価格の上昇に伴う販売価格の上昇や為替影響等により、売上収益及びコア営業利益はともに増加しました。

 

当連結会計年度に当セグメントにて実施又は発生した主な事項は、以下のとおりです。

・ペルーの国営石油会社Petroleos del Peru(本社:ペルー・リマ)と、同社のTalara製油所向けで、水素及び窒素プラントの運転、保守、供給に関する契約を締結しました。HyCO事業におけるこれまでの実績や、同社に対する提案が評価され、今回の契約締結に至りました。水素及び窒素の供給は、2023年2月から開始しています。

・Vertex Energy(本社:米国・テキサス州)と、同社がアラバマ州モービルに保有する生産量7万5千バレル/日の製油所向けに、既設設備からの水素供給に加え、新たに再生可能燃料を原料とした水素の長期供給契約を締結しました。再生可能炭化水素燃料を原料としたHyCOプラントの設置は今回が初めてとなります。

・インド政府系公社ヌマリガル製油所(本社:インド・アッサム州)と、20年間の水素及び副生蒸気の長期供給を受注しました。製油所に隣接するプラントを新たに建設し、水素及び副生蒸気を供給します。本プラントは2025年に完成し、稼働する予定です。

・アストモスエネルギー株式会社(本社:東京都千代田区)と、民生用LPガス事業の経営統合並びにLPガスに関する脱炭素・産業用需要開拓・卸販売に関する共同検討に向けた基本合意書を2023年2月に締結しました。同事業の経営統合は、2024年1月を予定しています。

 

ニ  ヘルスケアセグメント(ヘルスケア)

当セグメントの売上収益は5,471億円(前連結会計年度比1,435億円増)となり、コア営業利益は1,418億円(同1,488億円増)となりました。

医薬品においては、国内医療用医薬品で薬価改定等の影響を受けたものの、重点品や米国で発売した筋萎縮性側索硬化症(ALS)治療薬「RADICAVA ORS®」の販売が順調に推移したこと、Novartis Pharma社に導出した多発性硬化症治療剤「ジレニア®」のロイヤリティ収入等により、売上収益、コア営業利益ともに増加しました。なお、「ジレニア®」のロイヤリティ収入については、2019年2月に仲裁手続きに入ったためロイヤリティ収入の一部について、IFRS第15号に従い売上収益の認識を行っておりませんでしたが、2023年2月に仲裁廷より本件契約の規定は全部有効であるとの判断がなされた結果、当連結会計年度の第4四半期連結会計期間に売上収益1,259億円を認識しております。

 

当連結会計年度に当セグメントにて実施又は発生した主な事項は、以下のとおりです。

・エダラボン経口懸濁剤(開発コード:MT-1186)について、筋萎縮性側索硬化症(ALS)を適応症として、2022年5月に米国(製品名:「RADICAVA ORS®」)で承認を取得しました。さらに、11月にカナダ(製品名:「RADICAVA® Oral Suspension」)、12月に日本(製品名:「ラジカット®内用懸濁液2.1%」)において承認を取得しました。エダラボンの投与経路はこれまで点滴静注に限られていましたが、本剤の承認により経口で服用できるため、注射による痛みや投与のための通院などALS患者さんの負担を軽減することが期待できます。

・「カナグル®錠100mg」(開発コード:TA-7284、一般名:カナグリフロジン水和物)について、2型糖尿病を合併する慢性腎臓病(ただし、末期腎不全又は透析施行中の患者を除く)の適応追加承認を日本において2022年6月に取得しました。今回の適応追加により、腎臓疾患に苦しんでいる患者さんのQOL向上に寄与していきます。

・世界初の持続性GIP/GLP-1受容体作動薬「マンジャロ」について、日本イーライリリー株式会社(本社:兵庫県神戸市)と2022年7月に日本における販売提携契約を締結しました。なお、本剤は日本イーライリリー株式会社が、2型糖尿病を効能・効果として、日本における製造販売承認を同年9月に取得しております。

・ポートフォリオ改革の一環として、㈱エーピーアイコーポレーションの全株式を、2022年12月にUBE株式会社(本社:山口県宇部市)へ譲渡しました。

・新型コロナウイルス感染症の予防を適応として開発してきた植物由来のウイルス様粒子(Virus Like Particle)ワクチン「COVIFENZ®」について、市場環境等を包括的に検討した結果、商用化を断念するという結論に至りました。また、メディカゴ社が保有する開発品の今後の事業化においても、更なる投資を継続的に行うことが困難であると判断し、当該事業から撤退し清算を進めることを2023年2月に決定しました。

・Muse細胞を用いた再生医療等製品「CL2020」について、最新の臨床開発状況や事業化までのタイムライン、今後の医薬品事業戦略などを総合的かつ慎重に検討した結果、本製品の開発を中止することを2023年2月に決定しました。

・一般財団法人阪大微生物病研究会(本部:大阪府吹田市)との共同開発による沈降精製百日せきジフテリア破傷風不活化ポリオヘモフィルスb型混合ワクチン「ゴービック水性懸濁注シリンジ」について、2023年3月に、日本における製造販売承認を取得しました。接種回数の削減により、乳幼児及び保護者の負担を軽減することが期待できます。

・抗サイトメガロウイルス化学療法剤「バリキサ®ドライシロップ5000mg」(一般名:バルガンシクロビル塩酸塩)について、症候性先天性サイトメガロウイルス感染症の適応追加承認を日本において2023年3月に取得しました。同疾患の治療薬として世界で初めての承認であり、患者さんに新たな治療の選択肢を提供します。

 

ホ  その他

その他部門の売上収益は2,266億円(前連結会計年度比276億円増)となり、コア営業利益は165億円(同15億円増)となりました。

 

なお、当社グループの生産品目は広範囲かつ多種多様であり、また、受注生産形態をとらない製品も多く、セグメント毎に生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。

また、主な販売先別の販売実績及び総販売額実績に対する割合については、当該割合が100分の10未満であるため、記載を省略しております。

 

 

② キャッシュ・フロー

(金額単位:億円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

営業活動によるキャッシュ・フロー

3,469

3,552

投資活動によるキャッシュ・フロー

△1,288

△2,476

フリー・キャッシュ・フロー

2,181

1,076

財務活動によるキャッシュ・フロー

△3,363

△608

為替換算差等

144

46

現金及び現金同等物の期末残高

2,458

2,972

 

当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、原料価格上昇等による運転資本の増加等があったものの、税引前利益や減価償却費等により、3,552億円の収入(前連結会計年度比83億円の収入の増加)となりました。

当連結会計年度の投資活動によるキャッシュ・フローは、投資の売却及び償還による収入等があったものの、有形固定資産及び無形資産の取得2,810億円等により、2,476億円の支出(同1,188億円の支出の増加)となり、フリー・キャッシュ・フロー(営業活動及び投資活動によるキャッシュ・フロー)は、1,076億円の収入(同1,105億円の収入の減少)となりました。

当連結会計年度の財務活動によるキャッシュ・フローは、社債及び借入金の増加があったものの、配当金の支払い618億円等により、608億円の支出(同2,755億円の支出の減少)となりました。

これらの結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物残高は、前連結会計年度末と比べて514億円増加し、2,972億円となりました。

 

③ 財政状態

(金額単位:億円)

 

前連結会計年度

当連結会計年度

資産

55,739

57,739

負債

37,296

37,858

 

(内、有利子負債)

22,899

23,758

資本

18,443

19,881

親会社所有者帰属持分比率()

26.2

27.1

ネットD/Eレシオ

1.40

1.33

 

当連結会計年度末の資産合計は、メディカゴ社(カナダ)と三菱ケミカル・ユーケー社(イギリス)のキャッセル工場の減損による固定資産の減少等がありましたが、円安の進行に伴う在外連結子会社の資産の円貨換算額の増加や原料価格上昇等による棚卸資産の増加等により、前連結会計年度末に比べ2,000億円増加し、5兆7,739億円となりました。

当連結会計年度末の負債合計は、仕入減少に伴う営業債務の減少等がありましたが、社債及び借入金の増加等により、前連結会計年度末に比べ562億円増加し、3兆7,858億円となりました。

なお、当連結会計年度末のリース負債を含む有利子負債は、前連結会計年度末に比べ859億円増加し、2兆3,758億円となりました。

当連結会計年度末の資本合計は、配当による減少がありましたが、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上や在外営業活動体の換算差額の増加等により、前連結会計年度末に比べ1,438億円増加し、1兆9,881億円となりました。

これらの結果、当連結会計年度末の親会社所有者帰属持分比率は、前連結会計年度末と比べて0.9ポイント増加し、27.1%となりました。なお、ネットD/Eレシオは、前連結会計年度末と比べて0.07減少し、1.33となりました。

 

(2) 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

① 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

経営方針「Forging the future 未来を拓く」(以下「経営方針」といいます。)で設定した財務目標に対する達成・進捗状況については、以下のとおりです。

 

売上収益・コア営業利益・EBITDA推移

※画像省略しています。

注)ジレニア仲裁判断の結果(1,259億円の収益認識)を控除して算定したFY22(当連結会計年度)の実績は

売上収益 45,086億円、コア営業利益 1,997億円、コア営業利益率 4.4%です。

 

※画像省略しています。

注)ジレニア仲裁判断の結果を控除して算定したFY22の実績は

EBITDA 4,574億円、EBITDAマージン 10.1%です。

 

 

収益性・安定性指標推移

※画像省略しています。

注)EPSは継続事業に係る1株当り利益を表示しています。

ジレニア仲裁判断の結果を控除して算定したFY22の実績は、

EPS 4.6円、ROIC 3.6%、ROE 0.4%です。

 

当連結会計年度は、ディスプレイ・半導体市場における各製品の調整局面やMMA・石化・炭素製品の需要減退により、機能商品分野及び素材分野の事業環境が厳しいものとなりましたが、原燃料価格の上昇等の影響に対し価格転嫁活動を継続しコア営業利益の確保に努めたことに加え、ヘルスケアにおいて多発性硬化症治療剤ジレニアのロイヤリティにかかる仲裁判断の結果を受けて収益を認識したこと等に伴い、コア営業利益は前連結会計年度比20%の増益となりました。一方、親会社の所有者に帰属する当期利益は構造改革に伴う関連損失等の計上により前連結会計年度比46%の減益となりました。

 

② 経営環境と今後の見通し

当社グループを取り巻く事業環境は、ウィズコロナの下で社会活動や人流が増加し、景気が持ち直していくことが期待されます。一方で、地政学的リスクや欧米を中心とした金融資本市場の変動等による景気減速の影響が懸念されます。

このような状況下、当社グループにおいては、当連結会計年度において低調に推移した機能商品分野におけるディスプレイ・半導体市場向けや自動車用途等の需要および素材分野におけるMMAや石化製品の需要が、翌連結会計年度に緩やかに回復することを見込んでおります。ヘルスケア分野においては国内医療用医薬品の薬価改定影響がある一方、メディカゴ社清算によるコスト削減効果を見込んでおります。

以上を踏まえ、翌連結会計年度の連結業績につきましては、売上収益は4兆5,550億円、コア営業利益は2,500億円、営業利益は2,390億円、税引前利益は2,010億円、当期利益は1,430億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は970億円となる見込みです。

 

上記の見通しにおける主要指標の想定値は以下のとおりです。

(金額単位:億円)

 

2023年3月期(実績)

2024年3月期(予想)

設備投資額

2,822

3,300

減価償却費      

2,696

2,720

研究開発費

1,495

1,320

為替(円/US$)     (注)

136

130

ナフサ価格(円/KL) (注)

76,600

67,000

 

(注)それぞれ、2022年4月~2023年3月、2023年4月~2024年3月の平均

 

 

(3) 資本の財源及び資金の流動性

① 財務方針及び企業価値の向上

当社グループは、経営方針で定めた財務目標を達成すべく、策定したロードマップに従って諸施策を実施することにより、企業価値の向上をめざしてまいります。

 

※画像省略しています。

 

当社グループでは資本コストを意識した経営に取り組んでおり、経営指標の策定や投資判断に活用しております。企業価値向上のため、株主資本コストを上回るROEを経営指標として設定するとともに、ROICを注力事業の選別基準の一つとし、市場の成長性、競争力、サステナビリティにフォーカスしてポートフォリオ運営を進めてまいります。

 

※画像省略しています。

 

② 資金調達及び資金配分方針

当社グループは、運転資金及び設備資金については、内部資金に加え借入金、社債等による調達を実施しているほか、複数の金融機関とのコミットメント・ラインの設定に加え複数の金融機関との間のアンコミットメントベースの当座借越契約、コマーシャル・ペーパー発行枠及び国内社債発行登録枠等の確保により資金調達手段の多様化を図り、十分な流動性の確保を行っております。

資金配分の方針につきましては、「1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)対処すべき課題 〇戦略的なキャピタル・アロケーション」をご参照ください。

 

(4) 重要な会計上の見積り

連結財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や状況に応じ合理的だと考えられる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるために、これらの見積りと異なる場合があります。見積り及びその基礎となる仮定は、継続して見直されます。会計上の見積りの変更による影響は、その見積りが変更された会計期間及び影響を受ける将来の会計期間において認識されます。

 

当社グループの連結財務諸表に重要な影響を与える可能性のある会計上の判断、見積り及び仮定に関する主な情報は、以下のとおりです。

 

① 非金融資産の減損
 ⅰ 当連結会計年度の連結財務諸表に計上した金額

当社グループは、連結財政状態計算書に、有形固定資産1,907,898百万円、のれん727,655百万円、無形資産459,213百万円(うち、耐用年数を確定できない無形資産及び未だ使用可能でない無形資産63,127百万円)を計上しております。

なお、当連結会計年度において減損損失を96,782百万円計上し、連結損益計算書の「その他の営業費用」に含めております。その主な内訳は、三菱ケミカル・ユーケー社キャッセル工場のMMA生産設備並びにメディカゴ社のワクチン製造設備及び同社の事業に関連するのれんです。減損損失の詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 14.減損損失」をご参照ください。

ⅱ 連結財務諸表利用者の理解に資するその他の情報

(ⅰ)算出方法

当社グループは有形固定資産、のれん及び無形資産について、減損の兆候がある場合、及び資産に年次の減損テストが必要な場合、その資産の使用価値や処分費用控除後の公正価値の算定を行っております。

使用価値の算定にあたっては、貨幣の時間価値及びその資産に特有のリスクについて現在の市場の評価を反映した税引前の割引率を用いて、見積将来キャッシュ・フローの割引現在価値を計算しております。なお、将来キャッシュ・フローの見積りにあたって利用する事業計画は原則として5年を限度とし、事業計画の予測の期間を超えた後の将来キャッシュ・フローは個別の事情に応じた5年を超える期間の長期平均成長率をもとに算定しております。

(ⅱ)主要な仮定

使用価値の算定における主要な仮定は以下のとおりです。

(技術に係る無形資産(仕掛研究開発費、開発段階にある導入契約により取得した権利))

規制当局の販売承認の取得の可能性、上市後の売上収益の予測及び割引率

(有形固定資産、上記を除く無形資産、のれん)

原則として5年を限度とする事業計画における将来キャッシュ・フローの見積り、割引率及び5年を超える期間の長期成長率。

将来キャッシュ・フローの見積額は主として、売上収益の予測及び市場の成長率に影響を受けます。

(ⅲ)翌連結会計年度の連結財務諸表に与える影響

主要な仮定について、経営者は妥当と判断しておりますが、将来の不確実な経済条件の変動の結果によって影響を受ける可能性があり、前提とした状況が変化すれば回収可能価額の算定結果が異なる可能性があります。なお、提出日現在において、これらの見積りの見直しが必要となる事象は生じておりません。

 

② 繰延税金資産の回収可能性

ⅰ 当連結会計年度の連結財務諸表に計上した金額

繰延税金資産(純額) 94,088百万円

ⅱ 連結財務諸表利用者の理解に資するその他の情報

(ⅰ)算出方法

当社グループでは、将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金に対して、予定される繰延税金負債の取崩、予測される将来課税所得及びタックス・プランニングを考慮し、繰延税金資産を計上しております。詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針 (7) 法人所得税」をご参照ください。

(ⅱ)主要な仮定

将来課税所得の基礎となる将来の事業計画における主要な仮定は売上収益の予測です。

(ⅲ)翌連結会計年度の連結財務諸表に与える影響

認識された繰延税金資産については、過去の課税所得水準及び将来減算一時差異と繰越欠損金の解消が予測される期間における将来課税所得の予測に基づき、回収される可能性が高いと考えております。これらの仮定は、経営者は妥当と判断しておりますが、将来の不確実な経済条件の変動の結果によって影響を受ける可能性があり、将来課税所得の結果が予測・仮定と異なる場合は繰延税金資産の回収可能性の評価が異なる可能性があります。

 

③ 確定給付制度債務の測定
 ⅰ 当連結会計年度の連結財務諸表に計上した金額

退職給付に係る負債 102,292百万円

ⅱ 連結財務諸表利用者の理解に資するその他の情報

確定給付制度に係る負債又は資産は、確定給付制度債務の現在価値から制度資産の公正価値を控除して算定しております。確定給付制度債務は年金数理計算により算定しており、その前提条件には割引率等の見積りが含まれております。経営者は、使用した仮定は妥当なものと考えておりますが、将来の不確実な経済条件の変動の結果によって影響を受ける可能性があり、金利環境の変動等により前提条件と実際の結果が異なる場合又は前提条件に変化がある場合には、確定給付制度債務の評価額が異なる可能性があります。

確定給付制度債務に係る詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 26.退職給付」をご参照ください。

 

④ 金融品の公正価値

ⅰ 当連結会計年度の連結財務諸表に計上した金額

公正価値ヒエラルキーがレベル3の株式及び出資金(売却目的で保有する資産を除く) 96,727百万円

 なお、上記の金額は、連結財政状態計算書の「その他の金融資産」に含めております。

ⅱ 連結財務諸表利用者の理解に資するその他の情報

当社グループにおいて活発な市場における公表価格が入手できない非上場株式及び出資金の公正価値は、合理的に入手可能なインプットにより、類似企業比較法又はその他の適切な評価技法を用いて算定しております。経営者は選択された価値評価技法と使用した仮定は、金融商品の公正価値を評価する際において適切であると判断しておりますが、これらの評価技法とインプットは将来の不確実な経済条件の変動の結果によって影響を受ける可能性があり、予測不能な前提条件の変化等により金融商品の評価に関する見積りが変化した場合には、公正価値の評価額が異なる可能性があります。

詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 34.金融商品 (8) 金融商品の公正価値」をご参照ください。

 

また、上記のほか、当連結会計年度において見積りを行う上での特に重要な仮定は以下のとおりです。

 

(ロシア・ウクライナ情勢の影響に関する仮定)

ロシア・ウクライナ情勢については長期化の様相を呈しておりますが、現時点では事業上の直接的な影響は軽微であり、当連結会計年度末での会計上の見積りにおいては、当社グループ業績に重要な影響を及ぼすという仮定は置いておりません。