E01000 Japan GAAP
前期
431.3億 円
前期比
105.6%
株価
1,906 (04/26)
発行済株式数
20,738,006
EPS(実績)
114.33 円
PER(実績)
16.67 倍
前期
683.9万 円
前期比
97.9%
平均年齢(勤続年数)
42.9歳(19.0年)
従業員数
761人(連結:1,268人)
当社グループは、当社、子会社5社、関連会社3社及びその他の関係会社1社で構成しております。その主な事業内容は、粘着技術を基盤に高分子技術を駆使して、布・紙・セロファン・プラスチックをベースとした医薬品、各種感圧性粘着テープ及び接着剤並びにそれらに関連する機械器具の製造販売であります。
なお、当社グループの製品・商品は、医薬品業界向けの絆創膏等、産業用粘着テープ業界及び文具・事務用品業界向けの粘着テープ等に大別され、セグメントもこの区分によっております。
当社グループの事業に係わる位置付け及びセグメントとの関連は、次のとおりであります。
メディカル事業
テープ事業
事業の系統図は次のとおりであります。
子会社及び関連会社の名称及び業務内容は次のとおりであります。
連結子会社
持分法適用関連会社
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 中長期成長エンジンの確立、イノベーション創出
・BtoC開発マーケティング・BtoB現場提案による新製品上市実現、新領域・新製品カテゴリー
での事業探索・創出
・コア技術の深化・進化と共有、オープンイノベーション・協業による新規事業の創出
② グローバル市場へのスピーディな展開・拡大
・販売3拠点(日本本社、タイ販社、ドイツ販社)体制による事業拡大及び支援強化、生産・
物流を含めた体制拡充の推進
・海外事業拡大に向けた戦略的パートナー探索(業務提携・M&A活用)
③ 事業推進体制の見直しと収益改革
・顧客を機軸とした事業推進体制での戦略遂行、業務プロセス・活動の効率化
・サプライチェーンマネジメント最適化と品質管理強化
・サステナブル経営とSDGs視点の事業戦略・開発の推進、CO2排出削減等の取り組み強化
④ 事業戦略推進に向けたAI・IoTの積極活用
・事業戦略を実現するためのIT基幹システム活用の実践
・社内外データの見える化・活用の推進
⑤ 将来の持続的成長を担う人財育成
・行動指針を実践する人財育成、社員の健康とエンゲージメント向上策の強化
・スキルマップ活用によるミドルマネジメント・専門分野のスキル強化
・次世代経営層の育成
以上の取り組みを実施いたしました結果、
売上高は、インバウンド需要回復への事前準備、海外の販売子会社を含めた海外需要拡大に向けた取り組み、為替の円安影響等により、前期比5.6%増の455億6千万円となりました。
営業利益は、ナフサ価格の上昇等による原材料単価の上昇や電力費・燃料費等が増加したこと等による原価の上昇に加え、人員増に伴う人件費の増加、新基幹システムの稼働に伴う減価償却費の増加、行動制限の緩和に伴う旅費交通費の増加等による販売費及び一般管理費の増加等により、前期比34.3%減の16億9百万円となりました。
経常利益は、主に営業利益の減少により、前期比31.8%減の17億4千8百万円となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、これらの影響があったものの、当社が保有していた旧大阪工場跡地の売却益16億2千9百万円を計上したこと等により、前期比31.0%増の23億7千1百万円となりました。
なお、自己資本当期純利益率は前年同期比1.3ポイント上昇の6.0%となりました。
(連結業績の概要)
(営業利益の前期比増減) (億円単位)
(フィールド別売上高、前期比増減)
当社グループのセグメントの概要は次のとおりです。
当社グループの報告セグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務諸表が入手可能であり、取締役会が、経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっているものであります。
当社は、顧客機軸をベースとした事業活動を強化するために、営業担当管掌を「国内事業本部」、「海外事業本部」とし、国内事業本部の傘下に、販路別に以下の営業統括部を設置しております。
・顧客を機軸とした新たな営業推進体制の強化とブランド戦略の再構築のために、「コンシューマー営業本部」を設置し、傘下に「ヘルスケア営業統括部」、「オフィスホーム営業統括部」を置くとともに、越境EC含め積極的にEC営業の拡大を図るため、EC特販営業部から独立した「EC営業統括部」を置いております。
・より顧客に密着した営業活動を推進し、新規開発案件探索、顧客拡大のために、「工業品営業統括部」、「医療材営業統括部」を置いております。
また、当社グループは、以上の営業担当管掌に、各子会社を加えた事業フィールドとして、「ヘルスケアフィールド」、「ECフィールド」、「オフィスホームフィールド」、「工業品フィールド」、「医療材フィールド」及び「海外フィールド」を設定しております。
経営資源の配分の決定及び業績の評価については、取り扱う製品、商品の性質や、市場、製造方法の類似性に基づき、「メディカル事業」、「テープ事業」の単位で行っていることから、当社グループの事業セグメントとしては、「メディカル事業」、「テープ事業」と認識し、これを報告セグメントとしております。
なお、EC事業の拡大に伴い事業管理体制を変更したため、当連結会計年度より、「ヘルスケアフィールド」、「ECフィールド」、「オフィスホームフィールド」の区分を見直しております。
そのため、前連結会計年度の金額については、当該変更後の金額に組み替えて比較・分析しております。
「メディカル事業」、「テープ事業」セグメントと各事業フィールドとの関係は以下のとおりです。
事業の種類別セグメントの業績は次のとおりであります。
メディカル事業
(ヘルスケアフィールド)
ドラッグストアを中心とした大衆薬市場におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響があるなか、行動制限の緩和と訪日外国人の増加に伴うインバウンド需要の回復がみられましたが、物価上昇による消費者心理の冷え込みもあり、依然として先行き不透明な販売環境が続きました。
このような状況のなか、高機能救急絆創膏“ケアリーヴTM”シリーズについては、国内需要拡大に向けて、認知度向上のためにテレビCMやキャンペーンなどのPR活動を行うとともに、試供品配布を継続して行いました。あわせて、鎮痛消炎剤“ロイヒ”シリーズについては、訪日外国人客数の増加に伴うインバウンド需要拡大への準備を行うとともに、国内需要拡大に向けてテレビCMやキャンペーンなどのPR活動を行いました。その結果、ともに売上高は前年を上回り、フィールド全体としての売上高は124億7千万円(前期比10.7%増)となりました。
(医療材フィールド)
医療機関向け医療材料市場におきましては、新型コロナウイルス感染症の拡大時には医療提供体制の逼迫により、不急の手術延期等で関連商材は影響を受け、直近では新規陽性者の減少に伴い通常に戻りつつあるものの、依然として先行き不透明な販売環境が続きました。
このような状況のなか、止血製品シリーズ“セサブリックTM”については、オミクロン株拡大により高齢者を中心に4・5回目のコロナワクチン接種の需要があったものの、若者の接種率は伸び悩みワクチン接種数が減少し、売上高は前年を下回りました。その一方、術後ケアシリーズ“アスカブリックTM”やドレッシング材“カテリープラスTM”は、国内産による安定供給と品質の良さで認知度拡大が進んだことにより、ともに売上高が前年を上回り、フィールド全体としての売上高は60億6百万円(前期比3.4%増)となりました。
((メディカル事業にかかる)ECフィールド)
EC市場におきましては、オンライン購買に対するWEBマーケティングを強化してきたことにより、高機能救急絆創膏“ケアリーヴTM”シリーズが好調に推移し売上高は前年を上回りました。その一方、越境ECの売上高においては、“ケアリーヴTM”シリーズ育成に注力するものの前年を下回りました。その結果、フィールド全体としての売上高は6億5千3百万円(前期比17.4%増)となりました。
((メディカル事業にかかる)海外フィールド))
海外市場におきましては、Withコロナへの移行が進むなか、急激な物価上昇や中国での新型コロナウイルス感染症拡大など、経済成長への負荷が高まり、依然として先行き不透明な状況が続きました。
このような状況のなか、重点地域であるアジア及び欧州にて、高機能救急絆創膏“ケアリーヴTM”シリーズや止血製品シリーズ“セサブリックTM”を中心に、販売代理店とともに現地に密着した営業活動を展開してまいりました。特に“ケアリーヴTM”シリーズは、主に韓国・タイにて販路拡大が進み好調に推移し、アセアン及び欧州における医療材製品も堅調に推移いたしました。これらに加えて円安影響もあり、フィールド全体としての売上高は18億6千2百万円(前期比28.1%増)となりました。
以上の結果、メディカル事業全体の売上高は209億9千2百万円(前期比10.0%増)となりました。また、原材料単価の上昇や電力費・燃料費等が増加したこと等による原価の上昇があったものの、ヘルスケアフィールドを中心とした売上高の増加により、セグメント利益は47億9千4百万円(前期比14.1%増)となりました。
テープ事業
(オフィスホームフィールド)
文具事務用品市場におきましては、原材料価格高騰を起因とした物価上昇による消費者心理の冷え込みやコロナ禍の出社減少によるオフィス用品需要の低迷が続き、厳しい販売環境となりました。
このような状況のなか、キッチン雑貨「ディアキチTMワザアリTMテープ」の売上高につきましては、大手流通への取り組みを強化し、前年を上回りました。その一方、主力製品である「セロテープⓇ」や両面テープ「ナイスタックTM」については、価格改定や新製品を含めたラインアップ拡大を進めたものの、需要低迷の影響は大きく、ともに売上高は前年を下回りました。その結果、フィールド全体としての売上高は52億1千2百万円(前期比4.4%減)となりました。
(工業品フィールド)
産業用テープ市場におきましては、行動制限の緩和により消費に緩やかな回復傾向が見られましたが、部品供給不足による一部自動車メーカーの減産や原材料価格の高騰などもあり、依然として先行き不透明な販売環境が続きました。
このような状況のなか、主要製品の価格改定を進めるとともに、「セロテープⓇ」については、多くの企業や自治体に向けて天然素材を使用した環境配慮製品であることを特設ホームページ等を通じて啓蒙し、SDGsへの取り組みとしてご賛同をいただきました。その一方、車両用マスキングテープについては、原材料供給停止による廃番が重なり、売上高は前年を大きく下回りました。その結果、フィールド全体としての売上高は131億6千4百万円(前期比0.9%減)となりました。
((テープ事業にかかる)ECフィールド)
EC市場におきましては、オフィス用品需要の低迷が続く厳しい販売環境のなか、価格改定を進めるとともに、オンライン購買に対するWEBマーケティングを強化してきたことにより、「セロテープⓇ」や両面テープ「ナイスタックTM」など消耗品の需要が好調に推移いたしました。その結果、フィールド全体としての売上高は34億3千6百万円(前期比5.6%増)となりました。
((テープ事業にかかる)海外フィールド)
海外市場におきましては、中国での新型コロナウイルス感染症拡大によるビジネスの停滞など、先行き不透明な状況が続きましたが、欧州市場においては、Withコロナへの移行によりイベント需要が大きく回復いたしました。
このような状況のなか、重点地域であるアジア及び欧州にて、「PanfixTMセルローステープ」は香港やインドネシア市場への取り組みを強化し、塗装用和紙マスキングテープは欧州市場での取り組みを強化するなど、販売チャネルの構築と製品育成に注力いたしました。あわせて、主要製品の価格改定を実施し、改定前の仮需要も発生いたしました。これらに加えて円安影響もあり、フィールド全体としての売上高は27億5千4百万円(前期比34.0%増)となりました。
以上の結果、テープ事業全体の売上高は245億6千8百万円(前期比2.1%増)となりました。また、売上高の増加に伴い、テープ事業にかかる工場の生産は増加しているものの、ナフサ価格の上昇等による原材料単価の上昇や電力費・燃料費等が増加したこと等による原価の上昇により、セグメント利益は9億5千6百万円(前期比56.3%減)となりました。
調整額
報告セグメントに帰属しない一般管理費の計上等により、営業利益と報告セグメントの利益の合計額との調整額が41億4千1百万円(前期比5.0%増)となりました。
(トピックス コンシューマー営業本部)
(トピックス 医療材フィールド)
(トピックス 工業品フィールド)
(トピックス 海外フィールド)
(主要製品別 前期比推移)
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
① 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
② 受注実績
当社グループは需要見込による生産方式をとっております。
③ 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
(2) 財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末と比べ46億9千6百万円増加し、691億2千3百万円となりました。流動資産は35億3千万円の増加、固定資産は11億6千5百万円の増加となりました。
流動資産の増加は、設備投資や配当等にかかる支払い等により減少したものの旧大阪工場の土地売却等により現金及び預金が9億8百万円、前第4四半期連結会計期間の売上高と比較して、当第4四半期連結会計期間の売上高が増加したこと等により売上債権が14億7百万円、原材料単価の上昇等により棚卸資産が11億8千4百万円増加したこと等によるものです。
固定資産の増加は、当社の埼玉工場における粘着液製造設備及び建屋の設備投資等により有形固定資産が13億1千万円増加したこと等によるものです。なお、前連結会計年度末に建設仮勘定に計上しておりましたニチバンメディカル㈱における新棟及び医療機器製造設備は、当連結会計年度において、すべて本勘定に振り替えられております。
セグメントごとの資産は、次のとおりであります。
メディカル事業
当連結会計年度末のメディカル事業の資産は、前年同期と比べ14億8千4百万円増加し、274億3千9百万円となりました。
テープ事業
当連結会計年度末のテープ事業の資産は、前年同期と比べ28億2千4百万円増加し、223億8千8百万円となりました。
負債は、前連結会計年度末と比べ30億5千3百万円増加し、285億1千9百万円となりました。流動負債は、29億7千8百万円の増加、固定負債は、7千4百万円の増加となりました。
流動負債の増加は、生産増により、電子記録債務が14億3千6百万円、設備投資の増加により営業外電子記録債務が16億6千1百万円増加したこと等によるものです。
固定負債の増加は、役員退職慰労引当金が1千7百万円減少したものの、退職給付に係る負債が8千3百万円増加したこと等によるものです。
純資産は前連結会計年度末と比べ16億4千2百万円増加し、406億3百万円となりました。これは親会社株主に帰属する当期純利益の計上に伴う利益剰余金の増加等によるものです。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末より1.7ポイント低下し、58.7%となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は、前連結会計年度末に比べ9億8百万円(6.6%)増加し、147億5千2百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、前連結会計年度に比べ11億4千6百万円(28.2%)減少し、29億1千7百万円となりました。当連結会計年度の主な内容は税金等調整前当期純利益34億3千1百万円の計上、減価償却費27億5千7百万円の計上、売上債権の増加14億7百万円の計上、棚卸資産の増加11億8千4百万円の計上、仕入債務の増加20億3千6百万円の計上、法人税等の支払額10億4千万円等によるものです。
営業活動によるキャッシュ・フローの減少は、長期化するウクライナ情勢やエネルギー資源・原材料高騰の影響等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べ17億4千5百万円(60.2%)減少し、11億5千3百万円となりました。これは主に当社埼玉工場の粘着液製造建屋新設等の有形固定資産の取得による支出25億5千万円、当社が保有していた旧大阪工場跡地の売却等による有形固定資産の売却による収入16億8千6百万円等があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、前連結会計年度に比べ1億7千6百万円(25.5%)増加し、8億6千7百万円となりました。これは配当金の支払額6億2千2百万円及び自己株式の取得による支出1億8千7百万円等によるものです。
(4) キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは、株主の皆様への利益還元とのバランスを考えながら、企業体質の強化及び設備投資、コスト競争力向上のための技術開発等の資金需要に備えるために内部留保の充実を図っております。
資金調達は、自己資金を基本とし、自己資金で賄えない場合は金融機関から借入れることとしております。
なお、資金調達の柔軟性及び機動性を確保するため、取引銀行と40億円の貸出コミットメント契約(借入未実行残高40億円)を締結しております。
当社グループの運転資金の需要のうち主なものは、原材料・商品の仕入のほか製造経費・販売経費等の営業費用によるものです。また設備資金の需要のうち主なものは、埼玉工場、テープ安城工場、メディカル安城工場及び製造子会社における絆創膏・粘着テープ等の製造設備の新設又は更新によるものです。
2023年3月31日現在、当社グループの借入金の残高は20億円で、その内の一部について金利スワップ取引を利用することで、その全額を円建ての固定金利にて国内銀行より調達しております。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、見積りが必要となる事項については、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。