E02348 Japan GAAP
前期
192.4億 円
前期比
85.4%
株価
366 (04/19)
発行済株式数
29,786,400
EPS(実績)
23.74 円
PER(実績)
15.42 倍
前期
451.6万 円
前期比
103.3%
平均年齢(勤続年数)
34.1歳(8.9年)
従業員数
175人(連結:273人)
当社グループは、当社、親会社1社、連結子会社2社、非連結子会社2社及び持分法非適用関連会社1社により構成されており、「精密貼合技術(注1)」、「太陽電池モジュール製造技術」「機械装置の製造技術」等の独自技術を活用し、液晶ディスプレイ用部材、タッチパネルセンサー基板(注2)、太陽電池モジュール等の製造・加工・販売を行う他、半導体関連向け装置製造販売、産業用機械システムの設計・製造・販売、太陽光発電システムの設計・施工・販売、物流業務の請負等を行っております。
当社グループのセグメント別事業内容は以下のとおりであります。
① 精密貼合及び高機能複合材部門
「精密貼合技術」を活用し、液晶ディスプレイ用部材、タッチパネルセンサー基板に関する製品の製造・販売を行っております。
液晶ディスプレイ用部材については、素材メーカー等からガラスや各種機能性フィルム等を購入し、カット、精密貼合による加工等を行い、パネルメーカーに納入しております。
タッチパネルセンサー基板についても、クリーンルーム内において、精密貼合、官能検査等を行っております。
② 環境住空間及びエンジニアリング部門
「太陽電池モジュール製造技術」を活用した太陽電池モジュールの製造・販売を行っております。
また、住宅やビルの窓に使用する断熱用・飛散防止用のフィルムラミネートガラスの製造・施工・販売を行っております。
更に、「機械装置の製造技術」を活用したファクトリーオートメーションのインテグレーター事業展開、半導体関連向け装置の製造・販売を行っております。
(注)1.精密貼合技術
「精密貼合」とは当社グループ固有の表現で、大小様々なサイズの光学機能性フィルム等をミクロレベルの貼合精度で貼り合わせる技術であり、自社で構築した生産ライン、官能検査及び多能工教育等の社内体制により構築され、現在、液晶テレビ等のディスプレイやタッチパネルに使用される部材の製造に活用されております。当社グループの生産工程はこの「精密貼合技術」を中心に構築されており、競合他社との差別化を図るうえで重要な位置付けにあります。
ディスプレイ関連製品の需要の増加とともに、商品ラインナップの切替サイクルの短縮化や多機能商品開発の熾烈化が生じており、パネルメーカーはより高度な貼合精度を求める傾向にあります。当社グループは、その要望に応えるべく、随時、生産設備の改造や研究開発による対応を行っております。
(1)生産ラインの自社構築
当社グループでは、生産技術開発部門において築いた基礎技術をもとに、事業の早期立上げや日々の改善・改良を目的に、各事業部において製品特性に応じた生産ラインの構築を図っております。
(2)官能検査技術
官能検査とは、人が目で見て良否を判断する検査のことであります。
各種製品は、顧客毎に異なる品質基準に沿って、欠点の位置や大きさから良否判断を行う必要があります。これは、欠点となる要素の種類が多く、品種によってその見え方や判断の方法が変わるためであり、機械検査では対応が困難なためであります。
当社グループでは、検査工程に官能検査を導入することで、顧客の多種多様なニーズへの対応を図るとともに官能検査技術の向上に努めております。
(3)多能工教育
当社グループでは、生産面、品質面の向上及び労務費の低減を図ることを目的として、従業員一人一人の総合的な生産能力の付加価値を高め、各事業部のあらゆる工程を担当できるよう、多能工教育を行っております。
2.タッチパネルセンサー基板
タッチパネルの主要部材で主に、カバーガラス・センサーガラス・センサーフィルム等で構成されており、これらをOCA(光学用透明接着材)を使って貼合して生産しております。
[事業系統図]
以上に述べた事項を事業系統図によって示すと以下のとおりであります。
※画像省略しています。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症ワクチン接種等の対策が進み、行動制限の緩和により経済社会活動も正常化に向かいました。一方、ウクライナ情勢の長期化による原材料価格の上昇、欧米でのインフレ抑制に向けた金利引き上げ政策に起因する円安の進行、それに伴う燃料価格の高騰による物価上昇懸念等、依然として予断を許さない状況が続いております。
このような環境の中、精密貼合及び高機能複合材部門におきましては、自動車業界及びエレクトロニクス業界でのディスプレイ化、タッチパネル化ニーズを取込み、当社の精密貼合技術を活用した加工ビジネスを拡大してまいりました。車載用途市場での受注は順調に推移してまいりましたが、世界的に半導体をはじめとする電子部品の不安定な供給状況が依然として続いていることから、当社の受注にも影響を及ぼす結果となっております。環境住空間及びエンジニアリング部門におきましては、太陽光発電事業は引き続きOEM供給を中心とした生産を実施、エンジニアリング部門では、機械製造販売子会社のプレマテック株式会社との協業が順調に推移し、半導体不足に起因する半導体関連設備の需要増にも対応することで好調を維持しております。
この結果、当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ671百万円減少し、16,834百万円となりました。当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ1,225百万円減少し、7,295百万円となりました。当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ554百万円増加し、9,539百万円となりました。
また、当連結会計年度における経営成績は、売上高16,419百万円(前年同期比14.6%減)、営業利益854百万円(同21.3%増)、経常利益874百万円(同22.5%増)を計上し、親会社株主に帰属する当期純利益は707百万円(同59.3%増)となりました。
セグメントの経営成績は以下のとおりであります。
精密貼合及び高機能複合材部門
国内外におけるディスプレイ・タッチパネル市場は、引き続き各分野でデジタル化が進むことにより、市場規模は拡大基調となっております。一方で、半導体あるいは各種部品の供給問題が継続しており、納期の長期化問題等が各方面に影響を与えています。車載用途市場では、部品供給不足等の影響により完成車メーカーの生産計画に影響を及ぼしており、当社受注もその影響を受ける状況となっています。今後もセンターインフォメーションディスプレイ、メータークラスターパネル、各種スイッチ類等自動車の電子化・ディスプレイ化は確実に進み、当社の商機は増加しておりますが、一方で市場参入者も増加し激しい受注競争となってきております。スマートフォンの高度化、ディスプレイサイズの大型化など市場が変化する中で、当社は精密貼合技術により一層磨きを掛け、最先端生産設備の開発・導入による生産の高度化を実施することにより、難易度の高い技術を求められる用途製品の受注・開発に取組んでおります。
この結果、売上高11,401百万円(前年同期比23.2%減)、セグメント利益(営業利益)258百万円(同35.4%減)となりました。
環境住空間及びエンジニアリング部門
太陽電池の国内市場は、国内制度の変更あるいは海外メーカーの台頭により、国内メーカーにとっては厳しい状況が続いております。そのため当社グループも、コスト削減を進めながら、OEM供給を主軸とし、その中でも製品開発・用途開拓等の開発要素が大きいものに注力してまいりました。また、エンジニアリング部門においてはプレマテック株式会社の半導体関連向け装置の受注が順調に推移し、好調を維持しております。装置製造用部品の長納期化は解消しておりませんが、早期手配を進めることで、装置製造を受注どおりに進めております。また当社のメカトロニクス技術を活用した省人化あるいは省エネルギー化ビジネスにも引き続き注力しております。
この結果、売上高5,018百万円(前年同期比14.5%増)、セグメント利益(営業利益)591百万円(同97.6%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、3,696百万円(前期末比399百万円増)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は、1,166百万円(前連結会計年度は1,188百万円の獲得)となりました。
これは主として、法人税等の支払額264百万円があったものの、減価償却費573百万円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、69百万円(前連結会計年度は35百万円の獲得)となりました。
これは主として、定期預金の払戻による収入178百万円があったものの、有形固定資産の取得による支出170百万円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、703百万円(前連結会計年度は996百万円の使用)となりました。
これは主として、長期借入金の返済による支出1,172百万円があったことによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
イ.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 令和4年4月1日 至 令和5年3月31日) |
前年同期比(%) |
精密貼合及び高機能複合材部門(千円) |
10,563,352 |
△23.8 |
環境住空間及びエンジニアリング部門(千円) |
3,842,450 |
10.5 |
合計(千円) |
14,405,803 |
△17.0 |
(注)金額は製造原価によっております。なお、セグメント間の取引については相殺消去しております。
ロ.受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。
セグメントの名称 |
受注高 (千円) |
前年同期比 (%) |
受注残高 (千円) |
前年同期比 (%) |
精密貼合及び高機能複合材部門 |
11,401,827 |
△23.2 |
- |
- |
環境住空間及びエンジニアリング部門 |
5,317,897 |
0.0 |
1,504,317 |
22.1 |
合計 |
16,719,724 |
△17.1 |
1,504,317 |
22.1 |
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
ハ.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 令和4年4月1日 至 令和5年3月31日) |
前年同期比(%) |
精密貼合及び高機能複合材部門(千円) |
11,401,827 |
△23.2 |
環境住空間及びエンジニアリング部門(千円) |
5,018,060 |
14.5 |
合計(千円) |
16,419,888 |
△14.6 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 (自 令和3年4月1日 至 令和4年3月31日) |
当連結会計年度 (自 令和4年4月1日 至 令和5年3月31日) |
||
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
AGC株式会社 |
6,379,998 |
33.2 |
4,376,173 |
26.7 |
株式会社リョーサン |
4,959,959 |
25.8 |
2,752,741 |
16.8 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
イ.財政状態の分析
(資産)
流動資産は8,045百万円となり、前連結会計年度末に比べ274百万円の減少となりました。これは主に現金及び預金の増加220百万円があったものの、受取手形、売掛金及び契約資産の減少345百万円があったことによるものであります。
固定資産は8,789百万円となり、前連結会計年度末に比べ396百万円の減少となりました。これは主に建設仮勘定の減少235百万円、建物及び構築物の減少204百万円があったことによるものであります。
この結果、総資産は16,834百万円となり、前連結会計年度末に比べ671百万円の減少となりました。
(負債)
負債は7,295百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,225百万円の減少となりました。これは主に支払手形及び買掛金の減少533百万円、1年内返済予定の長期借入金の減少526百万円があったことによるものであります。
(純資産)
純資産は9,539百万円となり、前連結会計年度末に比べ554百万円の増加となりました。これは主に利益剰余金の増加535百万円があったことによるものであります。
ロ.経営成績の分析
当連結会計年度における当社グループの経営成績等は、売上高16,419百万円(前年同期比14.6%減)となりました。販売費及び一般管理費は1,159百万円(同1.1%減)となり、営業利益は854百万円(同21.3%増)となりました。また、売上高営業利益率は前連結会計年度に比べ1.5ポイント増加の5.2%となりました。営業外収益は40百万円(同0.9%増)、営業外費用は20百万円(同32.9%減)となり、経常利益は874百万円(同22.5%増)となりました。また、売上高経常利益率は前連結会計年度に比べ1.6ポイント増加の5.3%となりました。
減損損失12百万円を特別損失に計上した結果、税金等調整前当期純利益は862百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は707百万円(同59.3%増)となりました。なお、1株当たり当期純利益は24.75円となりました。
当社グループの主力事業である精密貼合及び高機能複合材部門におきましては、半導体あるいは各種部品等の供給不足の影響を受けています。一方、自動車業界あるいは医療機器業界等の高付加価値マーケットでのディスプレイ化が進展しているため、市場は拡大傾向にあります。自動車業界における車載用途市場では受注競争が激しいことから価格競争が激化する中、精密貼合技術やメカトロニクス技術を複合的に活用し、新規生産設備の導入による生産の高度化を実施することにより、難易度の高い技術を求められる用途製品の開発に取組んでおります。
この結果、売上高11,401百万円(前年同期比23.2%減)、営業利益258百万円(同35.4%減)となりました。
また、環境住空間及びエンジニアリング部門におきましては、半導体製造装置関連の受注が順調に推移しており、更に経営として強化を図るべく、エンジニアリング本部を立ち上げ、今後の業務展開を拡大してまいります。環境住空間ビジネスについては堅実な受注が継続しており、製品開発・用途開拓等の開発要素が大きいものに注力してきたことが奏功し、引き続き安定的な推移を見込みます。
この結果、売上高5,018百万円(前年同期比14.5%増)、営業利益591百万円(同97.6%増)となりました。
なお、新型コロナウイルス感染症については、当社の経営成績に影響を及ぼす可能性を慎重に判断しておりましたが、幸い、当社販売先又は仕入先等での重大な事象も発生しなかったため、当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローは特段の影響を受けることはなかったと判断しております。また、今後影響を及ぼす事象があれば、その内容につき財政状況等を見直すべきと勘案しますが、現時点で当社に具体的な影響を及ぼす事象はございません。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
イ.キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は3,696百万円となり、前連結会計年度末に比べ399百万円増加いたしました。これは投資活動の結果得使用した資金及び財務活動の結果使用した資金がそれぞれ69百万円及び703百万円あったものの、営業活動の結果得られた資金が1,166百万円あったことによるものであります。
上記の他、各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
ロ.資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、製造費、人件費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資、研究開発投資等であります。当社グループは、営業活動により得られるキャッシュ・フローを基本に、将来必要な運転資金及び設備投資資金を調達していく考えであります。
なお、当連結会計年度末における長短借入金及び社債の残高は、それぞれ4,752百万円及び388百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は3,696百万円となっております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。なお、当社グループの連結財務諸表作成において採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。また、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
④ 経営上の目標の達成・進捗状況
当社グループは、収益性の向上を重視しており、生産性の向上、新製品開発及び営業力の強化を徹底し、経常利益率7%以上を確保することを経営指標としております。当連結会計年度における経常利益率は5.3%(前年同期比1.6ポイント増)となりました。また、当社グループは自己資本比率を財務の健全性の指標と認識しております。当連結会計年度における自己資本比率は56.0%となりました。引き続き、これらの指標について改善されるよう取組んでまいります。