株式会社ハイブリッドテクノロジーズ

上場日 (2021-12-23)  情報・通信業システムグロース

売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率

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最終更新:

E37192 

売上高

29.1億 円

前期

24.1億 円

前期比

120.7%

時価総額

58.6億 円

株価

515 (05/08)

発行済株式数

11,374,548

EPS(実績)

14.10 円

PER(実績)

36.54 倍

平均給与

572.8万 円

前期

570.4万 円

前期比

100.4%

平均年齢(勤続年数)

35.1歳(2.5年)

従業員数

65人(連結:568人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

(1)ミッション

 当社グループの起源であるベトナムは、かつて急速な発展を遂げた日本と同じように、より豊かな暮らし、新しい景色への渇望をエネルギー源にして大きな成長の最中にあります。当社グループは、その成長し続けることへの熱量が、今の日本企業が抱えている様々な課題を解決し、新たな景色を生み出す原動力になると考えております。

 当社グループは、「私たちは常に発展途上であり、顧客と共に成長し続けます。」をミッションに掲げ、株主、従業員、顧客をはじめとした全てのステークホルダーと共に新しい景色を創造する、という意味を込めた「New View With You」をビジョンとして、日本とベトナムを融合させ、ビジネスとテクノロジーの側面から顧客のデジタルトランスフォーメーション(以下、DX)(注1)を推進するためのソフトウェア開発を軸とする『ハイブリッド型サービス』を提供しております。

 

(2)事業コンセプト

 当社グループは、日本のIT人材不足に対して、ベトナムのエンジニアリソースを活用することで、様々な業界から社会の変革に挑む顧客のDX化を推進し、顧客の競争優位性を高め、新たな景色を創造することを自社のビジネスと定義しております。

 現在の日本社会は、従来からのIT人材不足による、ビジネスの変革や、社内システムのアップデート等、デジタル化、DX化の遅れが大きな社会問題となっております。これについての詳細は、「第2 事業の状況 1.経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営環境」に記載しております。

 このような状況を打開するための取組として、経済産業省は2018年からDXを「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と定義し、その推進を呼びかけています。当社グループは顧客がこの定義に基づき、DXを推進するには、基盤となる開発力だけでなく、開発リソースや設計の構想、開発後の検証等を包括的に管理するプロジェクトマネジメント力が必要と考えております。これを実現するため、従来のオフショア開発サービスが、サービス設計や開発要件の設定を日本の顧客に依存し、開発と実装のみをサービス会社が請け負う形態が一般的であったのに対して、当社グループは、当社が中心となり顧客のサービス設計、システム設計の上流工程を担い、ベトナム子会社の擁するエンジニアリソースと連携することで、上流から下流にいたる一連の工程を一気通貫で行う「ハイブリッド型サービス」を提供しております。

 当社グループは、日本法人である当社、多数のエンジニアを有するベトナム子会社Hybrid Technologies Vietnam Co., Ltd.、2023年4月に子会社化した、日本人プロジェクトマネージャー(以下、PM)(注2)を中心とした人材派遣事業を展開する株式会社ハイブリッドテックエージェント、ベトナム子会社Hybrid Techno Camp Co., Ltd.(2021年6月末をもって事業活動を停止し現地の法律に従い、必要な手続きが完了次第、清算結了となる予定です。)の計4社から構成されていますが、事業はハイブリッド型サービスの単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。また、2023年5月に子会社化した株式会社イクシアスは、2023年8月7日開催の当社取締役会において、2023年10月1日付で吸収合併することを決議し、同日付で、吸収合併いたしました。

 なお、当社は、有価証券の取引等の規制に関する内閣府令第49条第2項に規定する特定上場会社等に該当しており、これにより、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準については、連結ベースの数値に基づいて判断することとなります。

 

(3)サービスラインアップ

 当社の事業は、日本とベトナムのリソースを活用した、ソフトウェア開発を中心とする、「ハイブリッド型サービス」の提供であります。顧客の上流工程を担う日本人のPM、実装工程を担うベトナムの豊富なIT人材、日本に常駐し双方の橋渡し役となるベトナム人のブリッジエンジニア(以下、BSE)(注3)を柱に、顧客のプロダクト開発を一気通貫で行う体制を最大の特徴としております。

 

[図1:当社の事業内容]

※画像省略しています。

 ハイブリッド型サービスは、市場や顧客のニーズに応じて、『ストックサービス(準委任型)』と『フローサービス(請負型)』の2つのサービス内容で提供しております。中でも主要サービスはストックサービスであり、売上収益に占める割合は、2022年9月期で94%、2023年9月期で93%となっております。なお、ハイブリッド型サービスの特徴や強みの詳細については、後述の「3 事業の内容(4)当社グループの特徴・強み」にて記載させていただきます。

 

[図2:サービス内容]

※画像省略しています。

※2023年9月期の総売上収益のうち、ストックサービス、フローサービスそれぞれの売上収益が占める割合

 

a.ストックサービス

 ストックサービスは、アジャイルスクラム型開発手法(注4)を用いて、市場環境の変化に合わせた顧客からのシステム要件に柔軟に対応するために、準委任契約でサービスを提供しております。

 顧客の開発要件に適したPMやシステムエンジニア(以下、SE)(注5)等の開発リソースを、顧客専属のチームとして提供し、その稼働に応じて料金を申し受けるサービス形態であります。納品物ではなく、チームの稼働に応じて料金が確定するため、顧客市場のニーズの動向や顧客予算に合わせて、開発体制を柔軟に調整することができる点に特徴があります。

 このストックサービスは、『長期型』と『短期型』の2つに分類されており、『長期型』は6ヶ月以上の契約期間、『短期型』は6ヶ月未満の契約期間が見込める、または実績がある案件と定義しております。

 『長期型』は、安定的にビジネスやプロダクトを成長させるために開発リソースを必要とする顧客向けのサービスです。プロダクトの開発や運用保守などのノウハウ継承が必要な顧客に適した運用形態で、原則として6ヶ月以上の契約となります。

 『短期型』は、特定の案件でのリソースの確保が必要な顧客や、『長期型』を活用する前のトライアルを希望する顧客向けのサービス形態です。『長期型』に比べ、特定のプロダクトの開発期間に合わせた契約期間となり、6ヶ月未満の契約期間となります。また、『短期型』終了後はプロダクト公開後の保守等を主目的に『長期型』への移行を提案しております。

 

b.フローサービス

 フローサービスは、顧客プロジェクトの明確な要件のもと、あらかじめ決められた予算と期間で定められたプロダクトの開発を受注する請負契約形態で、設計から実装までの仕様変更が少ないウォーターフォール型開発手法(注6)を主軸に開発を進めるサービス形態です。

 

当社グループの事業系統図は、以下の通りであります。

[図3:事業系統図]

※画像省略しています。

 顧客へのサービス提供主体は、ベトナム子会社のHybrid Technologies Vietnam Co., Ltd.でありますが、日本国内で顧客と直接かかわる業務(企画、提案、要件定義、顧客とのコミュニケーション及び代金回収等)は、親会社である当社ハイブリッドテクノロジーズが行っています。そのため、顧客、Hybrid Technologies Vietnam Co., Ltd.及び当社の3社が契約当事者となる3社間契約を締結しております。

 

(4)当社グループの特徴・強み

 当社グループは、ハイブリッド型サービスの特徴・強みを、以下のように定義しております。

 

1)日本とベトナムのシナジー

 当社が開発拠点を置くベトナムは、日本のDXを推進するパートナーとして高い適性があり、当社グループの事業を市場環境の側面から支える優位性があります。

 

a.人口構成

 少子高齢化問題が顕在化している日本の人口構成とは対照的に、ベトナムは20代から40代を中心とした厚い労働人口の基盤があり、全体の人口も引き続き増加すると見られています。日本の労働人口の不足を起因とする社会問題に対し、ベトナムは有効なパートナーになり得ると考えられます。

 

[図4:日本とベトナムの人口ピラミッドの比較(左:日本、右:ベトナム)]

※画像省略しています。

出典:United Nations, Department of Economic and Social Affairs, Population Division (2019).World Population Prospects 2019, Online

 

b.IT人材の需給

 IT人材市場に注目しても、ベトナムは日本のリソース不足を解消する有力な要素を備えています。

 日本のDX市場は2030年までに6.5兆円規模にまで成長すると予想される一方(※1)、その需要に対応するIT人材は16~79万人不足するとした調査結果(※2)が報告されています。

 これに対しベトナムは、同じく2030年までにIT人材を150万人輩出する方針をベトナム政府が打ち出し(※4)、その達成に向けてIT人材の育成に注力しています。2020年時点で、国内の大学に設置されているIT学部数は153学部、そこから輩出される新卒人材は年間約5.7万人(※6)とも言われ、政府方針の達成に向けて今後もこの取り組みを推進していくと見られます。

 日本国内の人材のみでは対応できないDXの需要と、ベトナムの国策に後押しされた豊かなIT人材の供給の合致が、ITの分野における日本とベトナムのシナジーであると考えております。

 

 

[図5:日本とベトナムのIT市場]

※画像省略しています。

出典:※1…富士キメラ総研「2023デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望 市場編/ベンダー戦略編」

※2…経済産業省委託によるみずほ総研の2019年3月調査報告書において、生産性の上昇率を最大の0.7%で試算した場合の、2030年度予想

※3…独立行政法人情報処理推進機構社会基盤センター、IT人材白書2020(従業員300名以下の企業においては、約50%もの企業が自社内にITのスキルを蓄積、内製化する取り組みが進んでおらず、70%近くの企業はDXに取り組んでいない、分からないと回答した調査結果)

※4…LP(2020). Chien luoc quoc gia ve phát trien doanh nghiep cong nghe so Viet Nam. Hanoi: Socialist Republic of Viet Nam government News.

※5…WIPO (2021). Global Innovation Index 2021: Tracking Innovation through the COVID-19 Crisis. Geneva: World Intellectual Property Organization.

※6…TopDev(2022). Viet Nam IT Market Report Tech Hiring 2022. Ho Chi Minh City: TopDev.

 

c.DX推進パートナーとしてのベトナムの優位性

 日本の人口構成、DX市場の需給の合致以外にも、ベトナムは日本のビジネスパートナーとしての利点が考えられます。

 

①友好的な国際関係

 ベトナムは親日国として認知されております。令和3年度ASEANにおける海外対日世論調査では、調査対象となったベトナム人300名において、「とても友好関係にある」または「どちらかというと友好関係にある」と回答した割合が90%を超える等、日本とベトナムはビジネスパートナーとして良好な関係を築いています。

 

②高い経済成長率

 ベトナム経済は成長を続けております。ベトナム統計局が発表した2023年第3四半期(7~9月)の実質GDP成長率は、5.3%と推計されており、今後も高い成長率が見込まれています。

 

③優れた理数・科学リテラシー

 ベトナムは国内のSTEM教育(科学、技術、工学、数学)を促進しており、OECDが実施した学習到達度調査では、理数系科目で第8位にランクインする等、高い教育水準を持っております。今後もベトナムからIT人材が安定的に供給されると推測できます。

 

④活発な人材の受入

 日本とベトナムは人の往来が盛んであり、他の国籍と比較して日本国内で接する機会が多い国と考えられます。出入国在留管理庁が発表した、2022年12月末現在における在留外国人数についての調査では、留学生や技能実習生を含め、日本国内の在留外国人数では中国人に次いで2位となっております。

⑤小さい時差

 ベトナムと日本の時差は、-2時間です。日本の就業時間との時間差はほとんどなく、日本顧客と足並みを揃えた迅速な対応が可能です。

 

[図6:DX推進パートナーとしてのベトナムの優位性]

※画像省略しています。

 

 以上の人口構成、およびIT人材の需給バランス、DX推進パートナーとしての優位性から、当社が開発拠点を置いているベトナムは、日本のDXパートナーとして高い適性があり、当社事業が成長する市場環境を形作っている点が、当社グループの事業の1つ目の強みであります。

 

2)ビジネスモデル

 2つ目の強みは、当社が提供するハイブリッド型サービスのビジネスモデルの特徴であります。

 前段に記載した通り、当社は日本人PM、ベトナムのSE、それらの橋渡しとなる、日本に常駐するベトナム人BSEの3つを柱として、顧客のプロダクト開発を一気通貫で担うことができる点が特徴であります。この体制には、以下のような強みがあります。

 

a.日本人PMが在籍していることによる、上流工程から一気通貫の開発体制

 当社の日本法人には、コンサルティング会社やSE等、様々な背景を持つ経験豊富な日本人PMが在籍しており、顧客プロダクト開発における上流工程の専門的なコンサルティングから担うことができます。上流工程のコンサルティング、開発、テスト等の各工程を専門に行なっている会社の場合、工程ごとに別会社への引き継ぎや二次発注が発生し、コストや開発期間が冗長になるケースがあります。一方で、当社はベトナムに豊富な開発リソースを保持しながら、上流工程の専門人材を日本法人に持つことで、顧客のプロダクト開発を上流工程から担うことが可能になっております。

 

b.母国語を用いた円滑なコミュニケーション体制

 従来のオフショア開発は、言語や商習慣の違いから、国を跨ぐ際のコミュニケーションが不十分になり、結果として顧客の要件を満たす品質を実現できないことが課題とされてきました。これに対して当社は、日本法人で日本人PMとベトナム人BSEが協働することで、この課題を解決しております。顧客は日本国内で日本人PMと日本語で会話が完結し、ベトナム法人で実装を担うベトナム人SEは、日本に常駐して日本語や日本の商習慣を理解するベトナム人BSEとの間で、ベトナム語での密なコミュニケーションが可能です。顧客からベトナム人SEまで母国語で意思伝達ができることで、従来のオフショア開発最大の課題であったコミュニケーションロスを抑制し、高品質なサービスを提供しております。

 

c.ベトナムの豊富なIT人材を活用した、機動性とコストメリットの両立

 前段に記載の通り、ベトナムは国策によってIT人材の輩出を促しており、様々な専門性を持つIT人材を擁しております。これにより、日本国内では実現が難しい機動性とコストメリットを備えたリソース確保が可能となっております。

3)リソース供給能力

 日本とベトナムの連携体制を基盤とする事業モデルを担う優秀な人材を確保するため、当社グループは日本とベトナムで、以下のような採用、育成の体制を築いております。

 

a.日本における施策

 当社は日本国内において、ベトナムの優秀な人材にアクセスできる体制を確保しております。具体的には、日本で学ぶベトナム人留学生ネットワークから、日本の文化やビジネスに深い理解を持つ日本での就業経験のあるベトナム人PM、SEや、日本人PMの社内推薦・紹介経由での採用を促進しております。

 日本に配属されているベトナム人PM、SEは日本語能力だけでなく、日本の市場や商習慣を理解する必要があり、入社後の言語教育やプロジェクト単位でのスキル向上を図るとともに、全社でノウハウ共有の場を設け、組織力向上に努めております。

 

b.ベトナムにおける施策

 当社グループはベトナム国内で高い認知度を獲得しており、特に2021年12月の東証マザーズ市場(現 グロース市場)への上場は、ベトナム人が代表を務める企業が初めて日本市場に上場したことで、様々なベトナム国内メディアに掲載されました。

 ベトナム国内での知名度向上は、採用候補者の獲得において追い風となっております。当社のリクルートシステムに登録されている採用候補者リストは、2023年9月期末時点で開発経験者は32,000人以上、新卒人材は2,700人以上の規模に成長し、顧客のニーズに合わせた柔軟な採用を可能としております。

 

[図7:ベトナム法人における採用候補者リスト]

※画像省略しています。

※過去当社へ応募頂いた採用候補者が登録されている、当社のリクルートシステムにおける人数

 

 開発経験者の採用の他にも、当社はベトナム国内の大学との産学連携によって、優秀な新卒人材の育成、採用網の獲得に注力しております。2023年9月時点で、国立大学を含む10校と産学連携体制を持ち、インターンの受入や教育カリキュラムの共同設計等を通して、ベトナム国内の大学を卒業する若いIT人材の獲得経路を強化しております。

 更に、採用したエンジニアには、入社後に自社内の組織「Talent Academy」にて体系的な教育を施しております。ここでは、顧客の動向を反映した教育カリキュラムや、対日本顧客を意識した語学やビジネスマナー等の研修も行われ、採用と育成の両側面から優秀な人材の育成、提供に努めております。

 

 

[図8:ベトナム国内の提携大学]

※画像省略しています。

 

4)品質管理体制

 当社の開発現場を管掌する取締役CTOの衣笠と、執行役員のハイは、それぞれプロジェクトマネジメント、インフラ設計/運用の幅広いノウハウと、日越を跨ぐソフトウェア開発業務に関する知見を有しており、当社の特徴的な開発体制にあっても実効的な監督と、開発品質の向上が可能であります。

 また、ベトナムの国家サイバーセキュリティセンターと連携したセキュリティ施策や、ISO9001:2015(注7)、ISMS(ISO/IEC 27001:2013)(注8)、ISTQB/Platinum Partner Program(注9)等の資格認定に準拠した管理体制の下で、人材教育と、社内システムの両面から、品質の保証、向上に取り組んでおります。

 

 

補足(用語説明)

1)DX デジタルトランスフォーメーション

2004年に「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させること」という理念で提唱された、デジタル技術を用いたビジネスの変革の総称。

日本においては、2018年に経済産業省によって「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と定義、推進されている取組。

『アナログ・物理データのデジタルデータ化による業務改革』を行うデジタイゼーションや、『新しい事業の立ち上げ』を行うデジタライゼーション等、段階毎に細分化される場合がある。

2)PM(プロジェクトマネージャー)

プロジェクトのスコープ管理、進行管理、予算、品質、納期管理など全体管理責任を持つ人材。

3)BSE(ブリッジエンジニア)

言語や文化の異なるメンバーで構成されたプロジェクトを円滑に進行するための橋渡し役となる人材。

単なる通訳に留まらず、プロダクトの仕様や、開発手法、納期管理等、専門性の高いコミュニケーションを、誤差が生じないよう正確に遂行するため、コミュニケーションや言語のスキル、開発に関する知識を求められる。

4)アジャイルスクラム型開発手法

ビジネス機能に対して開発機能を分解し、機能単位での要件定義・設計・実装・テストを行う「アジャイル開発」の中の代表的な手法の一つ。「達成すべき目標」や「実現すべき機能」をチーム内で共有を行い、チーム全体で開発を進める手法。

5)SE(システムエンジニア)

要求に従い、機能仕様から実装に至るまでの業務に従事する人材。

6)ウォーターフォール型開発手法

コンピュータソフトウェアのシステムの開発手法。要件に従い、要件定義・設計・実装・テストを一連の流れで行う手法。主に、前工程での変更が少ない業務系のコンピュータシステム向けの開発で用いられる。

7)ISO9001:2015(品質マネジメントシステム)

DAS Certification Limited(DAS)による品質マネジメントシステム(ISO)適合性評価制度の認定。

8)ISO/IEC 27001:2013(情報セキュリティマネジメントシステム)

DAS Certification Limited(DAS)による情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)適合性評価制度。

9)ISTQB/Platinum Partner Program(国際ソフトウェアテスト資格認定Platinumパートナー)

ISTQB(International Software Testing Qualifications Board)はソフトウェアテスト技術者の国際資格認定団体であり、同団体によるパートナープログラムは、会社や組織に属するISTQB認定技術者の技術を通してその会社や組織を4段階(Global、Platinum、Gold、Silver 上位ランク順)で認定するパートーナシップスキーム。

 

23/12/26

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りであります。

 

①経営成績の状況

 当連結会計年度における日本経済は新型コロナウイルス感染症による経済活動の制限が緩和される中景気は緩やかに回復の兆しが見られました一方地政学的リスクの高まりに起因した物価上昇や米国金利上昇の影響世界的な金融引き締め等経済的リスクも高まり続けており依然として経済の見通しは不透明な状況にありますこうした経済環境の中当社グループが属する情報サービス産業の市場におきましては富士キメラ総研2023デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望における予想によりますと日本企業のデジタルトランスフォーメーション(以下DX)市場は2030年には6.5兆円規模への成長が見込まれており継続した市場の拡大が期待されております

 このような状況の下当社グループでは市場や顧客のニーズに応じて、『ストックサービス(準委任型)フローサービス(請負型)の2つの内容でクライアントへサービス提供しておりますが主要サービスであるストックサービスの売上収益は2021年9月期で1,511,490千円2022年9月期で2,262,680千円2023年9月期では2,705,849千円とグループ全体として前年同期を上回る水準で推移しております

 また2023年4月に株式会社ハイブリッドテックエージェント2023年5月に株式会社イクシアスを連結子会社としておりシステム開発やコンサルティングにおける受注機会の拡大日本人エンジニアの採用育成強化をしてまいりましたさらに2022年9月期に参入したサイバーセキュリティサービスに関してはシステム開発から脆弱性評価社内体制構築までを一体的に提供するサービスを展開し2023年9月期は11案件に対してセキュリティテストサービスを提供するなど順調な立ち上がりとなっております

 DX支援と事業拡大を担うスタートアップ支援プログラムHybrid Technologies Capitalにおいては累計20件の投資を実行しており投資開発を多様な業界事業領域に展開することで事業成長シナジーが見込まれる幅広いパートナーを支援しつつ既存事業の成長及び拡大を進めてまいりました

 この結果当社グループの当連結会計年度の売上収益は2,905,837千円(前年同期比20.7%増)営業利益は256,760千円(前年同期比10.8%減)税引前利益は189,270千円(前年同期比39.0%減)親会社の所有者に帰属する当期利益は160,328千円(前年同期比35.8%減)となりました

 なお当社はハイブリッド型サービスの単一セグメントのためセグメントごとの記載はしておりません

 

②財政状態の状況

(資産)

 当連結会計年度末における資産合計は前連結会計年度末に比べ882,398千円増加し3,847,463千円となりました

 流動資産は前連結会計年度末に比べ436,407千円減少し1,857,692千円となりましたこれは主に営業債権及びその他の債権が103,489千円増加した一方で現金及び現金同等物が512,264千円減少したことによるものです

 非流動資産は前連結会計年度末に比べ1,318,805千円増加し1,989,772千円になりましたこれは主に使用権資産が546,573千円のれんが376,648千円増加したことによるものです

 

(負債)

 当連結会計年度末における負債合計は前連結会計年度末に比べ674,641千円増加し1,514,233千円となりました

 流動負債は前連結会計年度末に比べ83,900千円増加し611,481千円となりましたこれは主にその他の流動負債が47,739千円増加したことによるものです

 非流動負債は前連結会計年度末に比べ590,740千円増加し902,752千円になりましたこれは主にリース負債が525,619千円増加したことによるものです

 

(資本)

 当連結会計年度末における資本合計は前連結会計年度末に比べ207,758千円増加し2,333,231千円となりましたこれは主に利益剰余金が160,328千円増加したことによるものです

 

③キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金という)の残高は前連結会計年度末より512,264千円減少し1,296,698千円となりました各キャッシュ・フローの状況とその要因は以下の通りです

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動により獲得した資金は260,835千円となりました(前年同期は344,804千円の獲得)これは主に税引前利益を189,270千円減価償却費及び償却費を145,758千円計上したこと及び営業債権及びその他の債権の増加額△79,052千円によるものです

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動により使用した資金は694,562千円となりました(前年同期は247,791千円の使用)これは主に投資有価証券の取得による支出192,219千円連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出472,624千円によるものです

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動により使用した資金は85,083千円となりました(前年同期は1,183,913千円の獲得)これは主にリース負債の返済による支出104,431千円によるものです

 

④生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社グループのサービス提供は、生産実績の記載になじまないため、生産実績に関する記載は省略しております。

 

b.受注実績

 当社グループの行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績は、次の通りであります。

(単位:千円)

売上収益の区分

当連結会計年度

(自 2022年10月1日

至 2023年9月30日)

前年同期比(%)

ストックサービス

2,705,849

119.6

フローサービス

199,988

137.7

合計

2,905,837

120.7

(注)1.当社グループの事業セグメントは、「ハイブリッド型サービス」を単一の報告セグメントとしているため、サービス別の販売実績を記載しております。

2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次の通りであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2021年10月1日

至 2022年9月30日)

当連結会計年度

(自 2022年10月1日

至 2023年9月30日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

クロスクラウド株式会社

249,291

10.4

335,157

11.5

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たっては、経営者による会計方針の選択と適用を前提とし、資産・負債及び収益・費用の金額に影響を与える見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて過去の実績や将来における発生の可能性等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積りの不確実性により実際の結果が、これらの見積りと異なる可能性があります。

 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針、4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しておりますが、重要なものは以下の通りであります。

 

(収益認識)

 当社グループでは、フローサービスの新規受注案件のうち、進捗部分について成果の確実性が認められる案件については工事進行基準(進捗率の見積りは原価比例法)を適用しております。適用にあたっては、受注総額、総製造原価及び当連結会計年度における進捗率を合理的に見積る必要がありますが、予想し得ない工数の大幅な増加等により当該見積りが変更された場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(受注損失引当金)

 受注契約に係る将来の損失に備えるため、当連結会計年度末における受注契約に係る損失見込額を計上しております。受注契約時に予想し得ない事象の発生やプロジェクトの進捗状況等によって損失額が大きく変動する可能性があります。

 

(投資有価証券)

 当社グループの投資有価証券は非上場株式で構成されております。活発な市場における公表価格が入手できない非上場株式の公正価値は、合理的に入手可能なインプットにより、主に割引キャッシュ・フロー法を使用して測定しております。公正価値の評価は、評価する時点において入手可能な情報に基づく最善の見積りと判断に基づき実施しておりますが、将来の事業環境の変化等の影響により見積りの見直しが必要となった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(のれん)

 当社グループは経営戦略に基づく事業拡大のため、株式取得による企業結合を行っております。当該企業結合により認識されたのれんについては、減損の兆候の有無にかかわらず年に一度、又は減損の兆候がある場合はその都度、減損テストを実施しております。この減損テストにおいては、評価時点で入手可能な経営者の最善の見積りと判断による将来キャッシュ・フロー予測に基づいて実施されておりますが、将来の事業環境の変化等の影響によりこれらの見積もりが変更された場合は、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態の分析

 財政状態の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載の通りであります。

 

b.経営成績の分析

(売上収益)

 当連結会計年度の売上収益は、2,905,837千円(前期比20.7%増)となりました。これは主に、主要サービスであるストックサービス件数の増加による売上収益の増加、当連結会計年度中に取得した連結子会社の株式会社ハイブリッドテックエージェント、株式会社イクシアスによるシステム開発やコンサルティングの受注機会の拡大、及び前連結会計年度に参入したサイバーセキュリティサービスの順調な立ち上がり等によるものであります。

 

(売上原価、売上総利益)

 当連結会計年度の売上原価は、1,858,449千円(前期比26.9%増)となりました。これは主に、売上規模に応じてエンジニアの稼働が増加したことによるものであります。

 以上の結果、当連結会計年度の売上総利益は、1,047,388千円(前期比11.0%増)となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

 当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、798,850千円(前期比21.1%増)となりました。これは主に、売上規模に応じた人件費及び管理費等の増加、マーケティング活動費用の増加、当連結会計年度に取得した連結子会社2社のM&A関連の一時費用計上によるものであります。

 以上の結果、当連結会計年度の営業利益は、256,760千円(前期比10.8%減)となりました。

 

(金融収益、金融費用、税引前利益)

 当連結会計年度の金融収益は、2,764千円(前期比92.1%減)となりました。これは主に、受取利息によるものであります。一方で金融費用は、70,253千円(前期比454.0%増)となりました。これは主に、為替差損によるものであります。

 以上の結果、当連結会計年度の税引前利益は、189,270千円(前期比39.0%減)となり、法人所得税費用を28,943千円(前期比52.1%減)計上したことにより親会社の所有者に帰属する当期利益は、160,328千円(前期比35.8%減)となりました。

 

c.キャッシュ・フローの分析

 キャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

③資本の財源及び資金の流動性

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性について、事業活動のための適切な水準の流動性の維持及び市場から理解を得られる株主価値向上を目指した明確な資金調達戦略の提示と実行を基本方針としております。ハイブリッド型サービスにおいて技術者の採用は重要であり、これらの資金需要は内部資金または資金調達の実施により賄うことを基本としております。

 

④目標とする客観的な指標等の推移

 当社グループは、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標」に記載の通り、売上高の継続的かつ累積的な増加の実現のため、ストックサービス件数とストックサービス単価を重要指標としております。

 2023年9月期は、上期には為替市場の円安動向が、当社のUSドル建て契約の向かい風となり、新規案件の獲得や小規模な既存案件の離脱等に影響したものの、下期には大手顧客や紹介経由の引合の案件化、出資先との連携等による案件の獲得チャネルの多様化等が貢献し、2023年9月期のストックサービス件数は、2022年9月期末時点の49件から20件増加して69件(前期比40.8%増)と大幅に進捗しました。

 ストックサービス単価においては、既存案件の開発体制の拡大が進捗したものの、小規模な開発体制から始まる傾向がある新規案件の獲得が下期にかけて進捗した結果、2022年9月期末時点の4,349千円から592千円減少して3,757千円(前期比13.6%減)となりました。

※画像省略しています。

 

⑤経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因は「第2 事業の状況 3事業等のリスク」をご参照ください。