E05228 Japan GAAP
前期
10.4億 円
前期比
153.3%
株価
402 (05/17)
発行済株式数
3,235,000
EPS(実績)
47.91 円
PER(実績)
8.39 倍
前期
587.0万 円
前期比
94.6%
平均年齢(勤続年数)
41.6歳(10.2年)
従業員数
71人(連結:74人)
当社は、多種多様なモバイル端末へソフトとサービスの提供をすることを事業ドメインとしております。
当社は、利用者が自宅から駅などを経由して勤務先などの外出先に移動する動線に着目し、その際に利用する鉄道などの社会インフラと携帯電話等の情報端末とを結びつけ、利便性を向上させる仕組み・サービスを企画し開発・提供しております。また、通勤・通学手段としての鉄道会社、コンビニ・レストラン等を通して無線LANスポットの構築やコンテンツ配信を行うなどの仕組み・サービスも企画し開発・提供しております。
当社は、コンテンツインフラ及びそれを活用したコンテンツの企画・開発・運営・販売から構成されるモバイルシステムインテグレーション事業を行っております。
当社の各部門における事業内容は次のとおりであります。各部門は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一であります。
なお、従来のナビゲーション事業分野につきましては、交通に関わるシステム、サービス全般に取り組んでいく分野として充実させる観点から「モビリティ・イノベーション事業分野」に名称変更しております。
また当社は、上記システムインテグレーションによるクライアントからの収益を、受託開発の対価のみでなく、コンテンツの内容及び仕様決定による「企画収入」、プログラム開発による「開発収入」、データ更新及びサーバー・ネットワークの保守・管理による「運用収入」、当社ソフトウエアの使用による「ライセンス収入」等の、様々な付加価値提供により獲得しています。
当社の事業系統図は次の通りであります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度(2022年4月1日から2023年3月31日まで)におけるわが国経済は、withコロナでの経済活動の回復に向けた動きへと徐々に移行し、持ち直しの兆しがみられる中、ウクライナ情勢など地政学的リスクの長期化、原材料・食料の供給不安と高騰、急激な円安進行の影響等、わが国経済の先行きは依然として不透明な状況が続いております。
当社グループの主な事業領域でありますIT関連業界におきましては、前期からの継続案件を中心に需要は維持され、半導体の供給減に伴う情報通信機器の製造・流通停滞の懸念は徐々に解消されてまいりましたが、今後不景気の影響を受けることが予想されるとともに、人手不足の深刻化や受注獲得競争の激化が生じております。インバウンド需要につきましては、入国制限が解除され、全般的な人流が回復しつつあります。
当連結会計年度におきましては、ワイヤレス・イノベーション事業、ソリューション事業において、売上高は前期を上回ったものの、ワイヤレス・イノベーション事業については、大型案件を積み上げることができず計画には届きませんでした。モビリティ・イノベーション事業は、立て直しに取り組んでおりますが成果を出すには至らず、売上高は前期・計画とも下回りました。
大型の開発・構築案件が減少したことによる開発効率の低下と、半導体需給の逼迫を受けて厚めに確保した販売用ハードウェア(棚卸資産)の滞留を受けた評価損の実施により、製造原価が増加いたしました。また、空き工数・販売活動等の労務費増による販売費および一般管理費が増加したことも重なり、全体の売上高が微増したものの営業損失が悪化いたしました。
また、集合住宅向けクラウド型Wi-Fiサービス「アパらくWi-Fi」の提供開始に向けた準備を進めておりましたが、当初見通しより開始が遅れ、当初見込んでいた収益の確保には至りませんでした。
上記に加え、投資有価証券の一部について、直近の事業進捗等を踏まえたレビューを行った結果、投資有価証券評価損として43,087千円を計上することといたしました。
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ69,281千円増加し、1,010,729千円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ243,706千円増加し、432,600千円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ174,424千円減少し、578,129千円となりました。
当連結会計年度の経営成績は、売上高1,042,444千円(前年比2.1%増)、営業損失181,244千円(前期は営業損失144,632千円)、経常損失188,487千円(前期は経常損失148,478千円)、親会社株主に帰属する当期純損失224,718千円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失155,872千円)となりました。
セグメント別の状況は以下のとおりであります。
また、各事業分野のセグメント利益又は損失(営業利益又は損失、以下同)は、全社費用105,238千円を含まない額であります。
(モビリティ・イノベーション事業分野)
モビリティ・イノベーション事業分野においては、鉄道など社会インフラ提供事業者向けのシステム開発・サービス提供を行っております。
当事業分野においては、前期よりMaaS(Mobirity as a Service)のひとつとして鉄道会社数社との間で新しい創客モデルを構築すべく準備に取り組んでおりますが、事業化が遅れており、当連結会計年度においては、交通系ICカードに関わるサービス(transit manager)や私鉄系のアプリ運用などの小規模案件に留まりました。
この結果、当事業分野の売上高は75,991千円(前年同期比28.4%減)、セグメント損失は30,644千円(前年同期はセグメント損失40,612千円)となりました。
(ワイヤレス・イノベーション事業分野)
ワイヤレス・イノベーション事業分野においては、主に通信事業者向けに無線LAN等の社会インフラ間のハブとなるシステム開発・サービス提供を行っております。
無線LANの各種システム・サービスについては、エヌ・ティ・ティ・ブロードバンドプラットフォーム株式会社(NTTBP)との協力により、通信・鉄道・流通や自治体をはじめとする無線LANスポット提供事業者に対して事業展開を進めております。保守運用案件については予定通り進捗したものの、新規構築案件(特に大型案件)については停滞いたしました。当社独自の新商品・サービスであるAir Compass Media(車載サーバ) やEdgecore(旧IgniteNet)製品及びクラウド管理システム、ミリ波を活用したTerragraph等の無線システムの販売は、引き合いは活発に推移いたしましたが、大規模な受注には至りませんでした。前期より、案件の一部において、新会計基準である収益認識基準の適用の影響を受けております。
この結果、当事業分野の売上高は645,660千円(前年同期比2.4%増)、セグメント利益は35,472千円(前年同期比77.6%増)となりました。
(ソリューション事業分野)
ソリューション事業分野においては、上記以外の映像配信システム事業、TVメタデータのASP事業、コンテンツプリント事業、O2O2O事業・MMS事業、一般事業者向けの通信システム販売等を行っております。
その中でもO2O2O事業・MMS事業等の新規事業を当事業分野の主要な柱とすべく重点的に取り組んでおり、各案件に取り組みました。当連結会計年度においては、自治体・一般事業者向けのEdgecoreなどハードウェア販売が伸長いたしました。また、新規の取り組みとして集合住宅向けクラウド型Wi-Fiサービス「アパらくWi-Fi」の提供開始に向けた準備を進めておりましたが、当初見通しより開始が遅れ、大きな実績を獲得することはできませんでした。当事業分野においては、採算の低い案件も含まれている一方、将来に向けた投資として取り組んでいるものも含まれており、慎重に取捨選択のうえ利益率の改善に取り組んでおります。
この結果、当事業分野の売上高は320,792千円(前年同期比12.8%増)、セグメント損失は80,834千円(前年同期はセグメント損失20,874千円)となりました。
<新型コロナウイルス感染症の影響について>
各事業共通して新型コロナウイルス感染症の影響を受けておりますが、特に、モビリティ・イノベーション事業分野においては、鉄道利用者の減少を受けて、顧客の事業投資動向が不透明な状況となり、ソリューション事業分野においても、主要顧客である流通業界において商業施設の閉鎖・営業の縮小など直撃を受けました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、396,994千円となり、前連結会計年度末と比べ、131,625千円増加いたしました。なお、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりです。
営業活動の結果減少した資金は、177,495千円となりました。これは主に、株式報酬費用17,779千円、投資有価証券評価損43,087千円、棚卸資産の減少33,004千円、仕入債務の増加17,811千円、その他28,160千円などによる資金の増加と税金等調整前当期純損失226,432千円、売上債権の増加118,690千円などによる資金の減少によるものであります。
投資活動の結果増加した資金は、309,113千円となりました。これは主に定期預金の払戻による収入100,000千円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による収入206,392千円などの資金の増加によるものであります。
財務活動によって増加した資金は、7千円となりました。これは新株予約権の行使による株式の発行による収入7千円によるものであります。
(参考) キャッシュ・フロー関連指標の推移
(注)1 各指標の計算方法は、次のとおりであります。
2 株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
3 キャッシュ・フローは、キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを利用しております。
4 有利子負債は、貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としています。また、利払いについては、キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
5 2023年3月期のキャッシュ・フロー対有利子負債比率及びインタレスト・カバレッジ・レシオについては、営業キャッシュ・フローがマイナスのため記載しておりません。
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 金額は製造原価によっております。
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
当連結会計年度の受注残高をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたり、当社が採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。
財政状況
(資産合計)
当連結会計年度末の資産総額は1,010,729千円となり、前連結会計年度末に比べて69,281千円増加いたしました。流動資産は894,825千円となり、136,233千円増加いたしました。主な原因は、現金及び預金31,625千円、売掛金134,048千円、前渡金25,371千円の増加と原材料23,734千円の減少などです。固定資産は115,904千円となり、66,951千円減少いたしました。主な原因は、投資有価証券66,312千円の減少などです。
(負債合計)
当連結会計年度末の負債合計は432,600千円となり、前連結会計年度末に比べて243,706千円増加いたしました。流動負債は309,888千円となり、148,526千円増加いたしました。主な原因は、買掛金97,873千円、契約負債31,825千円、その他15,530千円の増加などです。固定負債は122,711千円となり95,179千円増加いたしました。主な原因は、長期借入金96,427千円の増加などです。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産は578,129千円となり、前連結会計年度末に比べて174,424千円減少いたしました。主な原因は、新株予約権の増加13,780千円、非支配株主持分32,506千円の増加と利益剰余金224,718千円の減少などです。この結果、自己資本比率は、前連結会計年度末65.0%から38.7%となりました。
経営成績
(売上高)
売上高は、1,042,444千円(前年比2.1%増)となりました。
(営業利益)
売上原価は前連結会計年度に比べ16,076千円増加の572,195千円となりました。販売費及び一般管理費は前連結会計年度に比べ41,774千円増加の651,493千円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純損失は、224,718千円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失155,872千円)となりました。
キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの主な事業領域でありますIT関連業界におきましては、IT需要は堅調に推移しましたが、人手不足の深刻化や受注獲得競争の激化の懸念が生じております。また、売上高の大きい有力顧客上位1社に占める割合は50.1%と、依存度が非常に高い状況となっております。
有力顧客とは、すでに複数年にわたる安定的な取引をいただいておりますが、ビジネスの継続性が確保されているわけではありません。また、有力顧客において、そのニーズ飽和や景気変動などの原因で、当社への発注が急減する可能性があります。このため、顧客ニーズの深耕を通して、より強固な関係を構築するため、多様なサービスの提案営業や人的交流に取り組んでいます。更に、当社は、独自事業の開発・提供に注力し、2020年東京オリンピック/パラリンピックに向けて本格化する設備投資・インバウンド需要等の取り込みやテレビ放送から実店舗への送客を図るO2O2Oサービス、鉄道広告をはじめとするメディアから実店舗への送客を図るMMSサービスなど、これまでに築き上げた経験・技術・人脈を最大限に活用し、事業転換に取り組むこととしております。
また、人材不足に対しては、新卒採用と育成に重点を置いて確保に努めるとともに、協力会社との緊密な関係を構築することで、機会損失の無いように取り組んでまいります。
当社グループの資金状況は、営業活動によるキャッシュ・フローが前年同期に比べ243,711千円の支出増加、投資活動によるキャッシュ・フローは前年同期に比べ354,978千円の収入増加、財務活動によるキャッシュ・フローは前年同期に比べ200,006千円の収入増加となりました。その結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末より131,625千円増加し、396,994千円となりました。