株式会社コアコンセプト・テクノロジー

上場日 (2021-09-22)  情報・通信業ITコンサルグロース

売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率

ニュース

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最終更新:

E36897 

売上高

159.2億 円

前期

121.1億 円

前期比

131.4%

時価総額

395.2億 円

株価

2,268 (05/01)

発行済株式数

17,425,200

EPS(実績)

74.79 円

PER(実績)

30.33 倍

平均給与

687.1万 円

前期

679.4万 円

前期比

101.1%

平均年齢(勤続年数)

34.9歳(3.2年)

従業員数

348人(連結:441人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

 

3 【事業の内容】

当社グループは、「テクノロジーと人の力で産業のサステナブルな発展に貢献します」をパーパスに、DX支援とIT人材調達支援という2つの事業を展開しております。DX支援は、主に製造業・建設業・物流業向けに、形状認識、3Dグラフィクス、AIを中心とした技術力と、ものづくりへの深い知見を活かし、作業効率性・労働生産性の向上や、ベテランが有するノウハウの仕組み化等を実現します。また、IT人材調達支援は、広範なビジネスパートナーネットワーク「Ohgi」を活用し、顧客の案件に最適なIT人材を見つけ出し、迅速にデリバリー体制を構築します。

 

 1. 当社グループが目指すIT産業の姿

(1) 国内システムインテグレーション業界における課題

国内の民間企業IT市場のうち大半を大手SIer(システムインテグレーター)が1次請けとして受注し、その下に2次請け、3次請けと連なるピラミッド型の多重請負構造となっております。中小IT企業の多くはシステム開発の一部を担う人材供給元としての役割に留まり、結果として中間マージンの介在による非経済性やIT人材調達の非効率性(手間や時間がかかる)、大手SIerと中小IT企業間のエンジニアの所得格差等の課題が生じています。所得格差の課題については大手と中小間だけでなく、東京とその他地域間でも生じております。

また、あらゆる産業において競争力維持・強化のためにDXを推進することが喫緊の課題となっている中、DXを推進できる人材が事業会社ではなく大手SIerやコンサルティングファームに集中しているため、事業会社が自らDXを自立的かつ継続的に実現することができず外部のITベンダーに依存せざるを得ないという深刻な経営課題が生じています。また、IT人材が2030年に約45万人不足することが試算されている状況で(経済産業省 2019年4月  「IT人材需給に関する調査」)、ITベンダーにとってはもちろん、事業会社においてもエンジニアの調達力が競争力を大きく左右する状況となっております。

 

(2) 当社グループが目指す姿

当社グループは、このような国内システムインテグレーション業界の構造問題を打開し、新しい価値を提供するITベンダーを目指しております。

具体的には、①事業会社が自立的かつ継続的にDXを実践できる状況にすること。そのために、DX後のあるべき姿の策定から技術検証、システム構築、運用・保守、内製化のための技術支援まで一気通貫で伴走します。②多重請負構造を縮小し、事業会社が直接的にIT人材調達を行える状況にすること。③それによって中間マージンが介在せず、指揮命令系統の明確化により全国の中小IT企業のエンジニアの活躍の場が広がりスキル・待遇が向上すること。これらの施策を同時に行うことで、当社グループの顧客企業やビジネスパートナー企業の競争力、ひいては我が国全体の産業競争力の向上を実現したいと考えております。

 

2.ビジネスモデル

当社グループは、DX関連事業の単一セグメントですが、サービス区分別に記載しております。DX支援とIT人材調達支援を顧客に提供しています。

 

(1) 事業概要

 ① DX支援

当社グループは、主に製造業・建設業・物流業向けにDX支援を行っております。当社グループ独自のDX支援メソドロジー「CCT DXMethod」や、仕組みの構築・運用を効率化するDX開発基盤かつIoT/AIソリューション「Orizuru」を活用し、顧客企業のDXを支援しています。DX後のあるべき姿の策定から技術検証、システム構築、運用・保守、内製化まで一気通貫で伴走支援します。外注のビジネスパートナーと積極的に協業してデリバリー体制を構築して案件に取り組んでいます。製造業・建設業から横展開がしやすい物流業へDX支援の主軸となる対象領域を拡大しております。

 

 ② IT人材調達支援

当社グループは、大手SIer・コンサルティングファーム・事業会社向けに顧客が必要とする技術を持ったIT人材の調達支援を行っています。当社グループのプロジェクト推進やチームマネジメントに関するノウハウ、創業以来取引関係を構築してきた中小IT企業との広範なビジネスパートナーネットワーク「Ohgi」活用によるIT人材調達力を活かし、顧客のシステム開発の各フェーズに必要な人材の調達をワンストップでスピーディーに支援しています。顧客からの案件を当社グループが受注し、当社グループが主体となって「Ohgi」を活用してビジネスパートナーの調達を行います。

 

[事業系統図]

※画像省略しています。

 

(2) ビジネスモデル図

当社グループのビジネスモデルを表現したものが以下の図です。

 

※画像省略しています。

 

図中央下の「顧客満足、取引継続」が起点かつ終点であり、当社グループの事業成長の源泉です。既存顧客との取引拡大と新規顧客獲得により高単価の良質案件が増加すると、当社グループの下請けとして案件を受注したい協力会社数(IT人材数)が増加します。

これにより最適なデリバリー体制でプロジェクトに取り組むことができ顧客満足、取引継続に繋がります。このループが案件も人材も増大して事業が成長するという好循環を創出しています。

この好循環に加え、事業成長による利益が「Orizuru」及び「Ohgi」の機能拡張を可能にし、顧客の満足度の向上につながっています。この顧客満足につながる2つのループが当社グループが成長していく仕組みとなっています。

 

(3) 案件の受注経路とビジネス規模の拡大

当社グループの受注経路は、DX支援については事業会社から受注する1次請け案件が約6割であり、その他約4割はIT人材調達として大手SIerやコンサルティングファームから受注する2次請け案件を中心とした構成となっております。当社グループはものづくりの現場に関する知見とスマートファクトリー(注1)及びBIM/CIM(注2)関連のIT技術の蓄積が強みであるため、製造業・建設業についてはDX支援案件を受注することが多く1次請けが中心となっておりますが、競合優位性がないその他の産業についても事業領域を広げ安定的な受注を確保するために、2次請け案件にもIT人材調達支援という形で積極的に対応しております。大手SIerやコンサルティングファームとはDX支援案件受注で競合することもありますが、当社グループの技術力や人材調達力を評価いただくことも多いため、「競合ではなく協業」を意識して、協力しながら顧客企業のDX推進に取り組んでおります。

当社グループは中小IT企業と広範なビジネスパートナーネットワーク「Ohgi」を構築しているため、案件の規模やスケジュールに柔軟に対応することができます。DX支援、IT人材調達支援のいずれにおいても外注を積極的に活用することでレバレッジを利かせてビジネスの規模を拡大させることができます。

新規顧客の獲得手法はデジタルマーケティングによって行っています。定期的にウェビナーを開催し、そこで得られた情報から見込顧客に対してアプローチを行っております。

顧客企業の規模別売上高構成比は売上高500億円以上が約5割程度と、大企業・中堅企業が中心となっており、エンドユーザーの業種別では製造業・建設業・運輸倉庫業・情報通信業・金融業・卸売業で約8割を占めております。

 

プロジェクト期間は1カ月~数年単位まで様々ですが、大規模なプロジェクトについてはリスク低減のため案件を細分化し(契約期間1カ月~3カ月が大半)、準委任契約(約9割)で受注するよう努めております。当社グループの事業はいわゆるストック型ビジネスではありませんが、売上高に占める既存顧客の比率が割程度となっており、既存顧客からの継続的なリピート受注が安定的な高成長のベースとなっております。

 

3.当社グループの特徴

(1) ものづくりに関する知見と先端IT技術

当社グループは、創業時から有する製造業の現場におけるものづくりに関する知見、形状認識や3Dグラフィックス(注3)、解析・シミュレーション、AI(注4)、IoT(注5)、CAD(注6)、CAM(注7)、PLM(注8)、BIM/CIM等の技術を深化させるとともに、理系大学院で高度な数学(線形代数、幾何学等)を修めた技術者を中心に採用・育成し、ものづくりに関する知見と先端IT技術を有するエンジニアの増員に努めてきました。

製造現場において発生する(システム以外の)さまざまな物理的な事象やオペレーションを理解していない状態で、机上の理論だけで高度なAIやIoT等の技術を組み込んだシステムを開発・導入しようとしても、製造現場のオペレーションに馴染まなかったり、かえって無駄な工数が発生したりする等の問題が生じます。また、いわゆるインダストリー4.0(注9)で先行した欧州企業が提供するスマートファクトリーソリューションはカスタマイズの範囲が限定されているため、日本の多くの製造工場に存在する既存の古い設備との自動連携対応(レトロフィット)が不可能であったり、システムに合わせる形でのオペレーションの大幅変更が必要であったり、ベテラン技術者が有する各企業独自のノウハウが活かせない等の課題があります。

当社グループは、先端IT技術を使うことはDXの目的ではなく手段であると考えており、また製造業の現場に精通したITエンジニアを多数有しているため、「AIを活用すべき業務と活用しない方が良い業務の峻別ができること」「各企業が独自に進化させてきた長年のノウハウをどのようにAIによって活用するかを経験則から熟知していること」「各企業が持つ多様なメーカー設備へのカスタマイズについても、知見者をアサインして柔軟に対応できること」が当社グループの強みだと考えております。こうした「ものづくりに関する知見×AI/IoTの技術力×各設備等へのカスタマイズ対応力」によって、「各企業独自のノウハウを継承しつつ現場ですぐに使える実効性が高いスマートファクトリーソリューション」を提供することが可能となっております。

こうした製造業に関する優位性がそのまま当てはまる建設業向けのBIM/CIM構築も当社グループの得意分野となっております。

 

(2) 製造業・建設業のDX開発基盤「Orizuru」

「Orizuru」は製造業・建設業向けの仕組みの構築・運用を効率化するDX開発基盤かつIoT/AIソリューションであり、2つの特徴的な機能群「Orizuru 3D」と「Orizuru MES」で構成されています。

「Orizuru 3D」は標準的なPCのブラウザ上でも3次元CADデータを軽量表示することが可能です。過去の設計データやベテラン技術者のノウハウ(見積、製造、不具合情報)等の膨大なデータの中からAIによって類似性を高精度で検索し活用することにより、業務効率化や製造原価の自動見積を属人性を排して実現することが可能です。

「Orizuru MES」はDX実現のために必要となる元データの収集や各種工程の自動化を実現する通信基盤であり、工作機械・検査機・ロボット・センサー等のハードウェアに対してハブとなり、データ取得・制御することを可能にします。これにより、基幹システムや現場の設備・装置と連携し、製造ラインの自動化を実現する役割を果たします。また、「Orizuru 3D」と連携することでBIツールでは実現できない3D可視化も可能であり、加工精度向上やモニタリングの効率化に貢献します。

こうした「設備・装置からのデータ収集と指示伝達の自動化」「3Dモデルによる可視化」「類似検索」という「Orizuru」の標準機能をベースとして、顧客企業のニーズに応じたカスタマイズを行うことで、顧客企業のDXをスピーディかつ低コストで実現することが可能です。

今後は、製造業・建設業以外の物流・倉庫等の他産業においても標準的に必要な機能を順次拡張していく予定です。

 

 [Orizuruの機能と対象DX領域]

 

※画像省略しています。

 

 (3) 独自のDX実現手法「CCT-DX Method」

当社グループはDX実現を一気通貫で伴走支援するための独自手法である「CCT-DX Method」を活用し、顧客企業のDX実現を支援しております。「CCT-DX Method」は、①DX実現後の全体構想を「DX-ToBeダイジェスト」という形式で示す「目指す姿の策定」、②DX実現後の業務が最初から最後まで実現できるか、そしてスムーズに流れるかを検証する「技術検証」、③段階的にアジャイル形式でシステム開発を進める「仕組み構築」、④顧客企業が自立的かつ継続的にDXを実践できる体制を構築する「運用・内製化支援」という一連のプロセスと手法です。

それぞれのプロセスの特徴は以下のとおりです。

① DX実現後に事業はどういう姿になるか、現場業務はどう変わるか、どの程度効果があるか等をわかりやすいビジュアルで示します。

② 机上やツールで部分的に概念検証をするのが一般的ですが、当社グループでは実システムを組み上げ実データで検証します。

③ 顧客企業と一体となり短期間での開発サイクルを繰り返すため、その後の内製化を見据えた顧客企業のIT人材育成にも寄与します。

④ 一連のプロセスを通して顧客企業のDX人材の育成を行い、内製化後に必要なITエンジニア調達業務もサポートします。

顧客企業が内製化に成功すると当社グループの直接的なDX支援はなくなり、「運用・保守によって顧客企業を囲い込む」という従来型ITベンダーの発想と一線を画しています。しかし、ITが経営戦略の重要な位置を占める現在では自社のDX推進を内製化して企業の競争力を高めることを望む顧客も多く、事業会社によるDX内製化を目的とする当社グループの方針は他社との差別化要因となっております。また、内製化完了後も、一時的に不足するITエンジニアを確保するために当社グループの「Ohgi」を利用していただきますので、当社グループの支援内容はDX支援からIT人材調達支援にシフトしますが、取引は継続するものと考えております。

 

[CCT-DX Method概念図]

 

※画像省略しています。

 

(4) IT人材調達力

当社グループはDX支援、IT人材調達支援のいずれにおいても外注を積極的に活用しています。自前で構築した広範なビジネスパートナーネットワーク「Ohgi」を活用することで、売上高に占める外注費比率は約6割と比較的高水準となっております。外部リソースの活用によって事業レバレッジを実現するとともに、事業環境が悪化した場合の財務レジリエンス(売上高が減少した場合にも外注費を削減することによって赤字となるリスクを回避できる)を保持しております。

 

[Ohgiを活用したIT人材調達支援概略図]

 

※画像省略しています。

 

(注記)

番号

用語

解説

スマートファクトリー

AIやIoTなどのデジタル技術を活用した、生産性が高く効率的な工場のこと。

BIM/CIM

 コンピューター上に現実と同じ建造物の3次元モデルを再現し、建築・建設のライフサイクル全体(企画・開発設計、生産準備・生産技術、生産、調達、物流、施工、維持管理)に渡って発生する様々な技術情報を集約してエンジニアリングチェーンを繋ぎ、建築・建設業務の効率化・高度化を実現し、企業競争力を強化すること。

BIMは「Building Information Modeling」の略で建築分野を対象とし、CIMは「Construction Information Modeling」の略で土木・建設分野を対象とするが、内容は同一であることから、建築物や地形などの3次元モデル管理をまとめて「BIM/CIM」と呼ぶ。

3Dグラフィックス

縦、横、奥行きの3次元のデータを使い、平面上においても立体感のある画像を作る手法。

AI

「Artificial Intelligence」の略。

人工知能。識別や推論、問題解決などの知的行動を人間に代わってコンピューターに行わせる技術。

IoT

「Internet of Thing」の略。

今までインターネット繋がっていなかったモノをインターネットで繋ぐこと。

CAD

「Computer Aided Design」の略。

手作業ではなくコンピューターを用いて設計や製図を行う支援ツール。

CAM

「Computer Aided Manufacturing」の略。

CADで設計・製図した図面を基に、加工を行う工作機械のプログラムを作成するシステム。

PLM

「Product Lifecycle Managementの略。

製品ライフサイクル全体(企画・開発設計、生産準備・生産技術、生産、調達、物流、販売、保守)に渡って発生する様々な技術情報を集約してエンジニアリングチェーンを繋ぎ、製品開発力や企業競争力を強化すること。

インダストリー4.0

ドイツ政府が提唱した「第4次産業革命」のこと。

人間、機械、その他の企業資源が互いに通信することで、製造プロセスを円滑にするスマートファクトリーを実現し、既存のバリューチェーンの変革や新たなビジネスモデルの構築をもたらすこと。現在では「製造業のDX」とほぼ同義。

 

 

 

24/03/28

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当社グループは、当連結会計年度より連結財務諸表を作成しておりますが、参考として、当連結会計年度の連結経営成績と前事業年度の個別経営成績の比較及び当連結会計年度末の連結財政状態と前事業年度末の個別財政状態の比較情報を記載しております。

 

(1) 経営成績等の状況の概要

当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりです。

 

① 経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国の経済は、コロナ禍明け後の経済活動の正常化による需要回復や、雇用情勢の改善、賃上げが進み、景気は緩やかに回復しています。一方でロシア・ウクライナ情勢の長期化による資源・エネルギーの供給抑制に伴う急速な物価の上昇や、世界的な金融引き締めを背景とした景気後退懸念等、景気の先行きについては依然として不透明な状況が継続しております。

このような経済環境の中、当社グループが属する情報サービス業界においては、中長期的にシステムインテグレーション(SI)市場規模に緩やかな拡大が見込まれ、その中でも当社グループがサービスを提供しているデジタルトランスフォーメーション(DX)市場が占める割合は拡大が見込まれます。当社グループが注力する製造業・建設業・物流業では人手不足への対策、ベテランノウハウの継承、脱炭素への取組みが重要な経営課題となっており、これまでの一部の業務のデジタル化に留まらず、大企業を中心に全社横断的なDX投資が加速し、市場の拡大をけん引しています。

また、DXの市場規模拡大に伴い、IT産業における外部委託(BPO)市場規模も拡大しています。他方で、DXを推進するためのITエンジニアは不足しており、人材の需給は逼迫している状況です。

このような市場環境に対して、当社グループでは広範なビジネスパートナーネットワーク「Ohgi」を有しており、顧客のIT人材の需要に対して迅速に適切な人材を見つけられる体制を築いております。中小IT企業とそこに所属する従業員のデータベースである「Ohgi」は、顧客の人材ニーズに応えられるよう現在もネットワークを拡大中です。また、「Ohgi」を活用してプロジェクト体制を組むことで従業員数以上のDX案件受注が可能になり、この点も当社グループの強みとなっています。

このような状況のもと、当社グループの経営状況は、DX支援については、支援実績の増加等により製造業・建設業を中心としたDXを手掛ける会社としての評価は徐々に高まり、新規案件の引き合いは増加傾向にあります。既存顧客のフォロー及び新規顧客の獲得に注力した結果、売上高は7,606,451千円(前年同期比28.1%増)となりました。

IT人材調達支援については、既存大手SIerとの着実な取引拡大と新規顧客開拓に引き続き注力しております。営業人員を増員し継続的に体制強化を図っていることで受注は順調に増加しており、ビジネスパートナーネットワーク「Ohgi」の拡大により供給力も増加傾向にあります。なお、当連結会計年度において新たに株式会社ピージーシステム及び株式会社電創を完全子会社化し連結しております。その結果、売上高は8,314,848千円(前年同期比34.7%増)となりました。

当連結会計年度の経営成績は、売上高15,921,300千円(前年同期比31.4%増)、営業利益1,744,420千円(前年同期比55.6%増)、経常利益1,765,217千円(前年同期比54.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,303,214千円(前年同期比55.7%増)となりました。

なお、当社グループはDX関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載はしておりません。

 

(売上高)

当連結会計年度における売上高は、前事業年度と比べ3,808,097千円増加し、15,921,300千円(前年同期比31.4%増)となりました。DX支援においては、製造業・建設業への支援実績の増加等によりDXにおける当社の認知度も高まり、新規顧客への拡販や、既存顧客との継続的な取引拡大により売上高は7,606,451千円(前年同期比28.1%増)となりました。IT人材調達支援においては、引続き大手SIerとの継続的な取引拡大と新規顧客開拓に注力し、営業人員の増員や外注先パートナーの拡大を図ったことにより売上高は8,314,848千円(前年同期比34.7%増)となりました。

 

(売上原価、売上総利益)

当連結会計年度における売上原価は、前事業年度と比べ2,222,628千円増加し、11,605,941千円(同23.7%増)となりました。これは主に売上増加に伴う外注費の増加によるもので、DX支援においては509,130千円(同12.2%増)、IT人材調達支援においては1,713,498千円(同32.9%増)増加しました。

この結果、当連結会計年度における売上総利益は、DX支援においては2,924,428千円(同65.5%増)、IT人材調達支援においては1,390,930千円(同44.4%増)となり、前事業年度と比べ1,585,469千円増加し、4,315,359千円(同58.1%増)となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、前事業年度と比べ962,021千円増加し、2,570,938千円(同59.8%増)となりました。これは主に、新卒・経験者採用による人件費、決算賞与に係る賞与引当金繰入額の増加によるものです。

この結果、当連結会計年度における営業利益は、前事業年度と比べ623,448千円増加し、1,744,420千円(同55.6%増)となり、売上高営業利益率は11.0%(前事業年度末は9.3%)となりました。

 

(営業外損益、経常利益)

当連結会計年度の営業外収益は、主に持分法による投資利益の増加により、前事業年度と比べ16,748千円増加し、49,161千円(同51.7%増)となりました。営業外費用は主に自己株式の取得に伴う費用の発生により、前事業年度と比べ14,455千円増加し、28,364千円(同103.9%増)となりました。

この結果、当連結会計年度における経常利益は、前事業年度と比べ625,740千円増加し、1,765,217千円(同54.9%増)となりました。

 

(特別損益、法人税等、当期純利益)

当連結会計年度の法人税等は、前事業年度と比べ159,352千円増加し、462,002千円(同52.7%増)となりました。

この結果、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、前事業年度と比べ466,388千円増加し、1,303,214千円(同55.7%増)となりました。

 

② 財政状態の状況

(資産)

当連結会計年度末における資産合計は6,111,420千円となり、前事業年度末と比べ997,025千円増加いたしました。これは主に、売上の増加に伴い売掛金及び契約資産が744,663千円、企業結合によるのれんが204,641千円、顧客関連資産が94,206千円、基幹システムのリプレイス費用によるソフトウェア仮勘定が120,312千円増加した一方、関係会社株式の取得等により現金及び預金が379,287千円減少したことによるものです。

 

(負債)

当連結会計年度末における負債合計は2,902,923千円となり、前事業年度末と比べ634,561千円増加いたしました。これは主に、外注費の増加に伴い買掛金が113,220千円、所得の増加に伴い未払法人税等が191,411千円、定期及び決算賞与に係る賞与引当金が218,950千円増加したことによるものです。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産合計は3,208,497千円となり、前事業年度末と比べ362,464千円増加いたしました。これは主に、ストック・オプションの行使により資本金及び資本準備金がそれぞれ28,636千円、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が1,303,214千円増加した一方、自己株式の取得を999,786千円実施したことによるものです。この結果、自己資本比率は52.5%(前事業年度末は55.6%)となりました。

 

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末と比べ379,287千円減少し、1,819,899千円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動による資金の増加は、業績が順調に拡大した結果、1,162,674千円(前年同期は883,678千円の収入)となりました。

収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益1,765,217千円、引当金の増加額212,022千円、仕入債務の増加額92,471千円、支出の主な内訳は、売上債権の増加額666,788千円、契約負債の減少額68,309千円、法人税等の支払額353,951千円です。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動による資金の減少は、429,123千円(前年同期は118,549千円の支出)となりました。

支出の主な内訳は、主にPCの購入に伴う有形固定資産の取得による支出68,851千円、オフィスのレイアウト変更に伴う有形固定資産の取得による支出49,889千円、基幹システムのリプレイスに伴う無形固定資産の取得による支出115,390千円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出156,068千円です。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動による資金の減少は、1,112,838千円(前年同期は92,377千円の増加)となりました。

主な内訳は、ストック・オプション行使に伴う株式発行による収入57,272千円、各金融機関への長期借入金の返済による支出143,087千円、約定に伴う社債の定期償還による支出26,000千円、自己株式の取得による支出999,786千円です。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a 生産実績

当社グループで行う事業は、提供するサービスの性質上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

b 受注実績

当社グループで行う事業は、提供するサービスの性質上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

c 販売実績

当連結会計年度における販売実績は、次のとおりです。

 

セグメントの名称

販売高(千円)

前期比(%)

DX関連事業

15,921,300

131.4

 

(注) 1.当社グループの事業セグメントは、DX関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の販売実績の記載はしておりません。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、当連結会計年度における割合が100分の10以上の相手先がないため、当該記載を省略しております。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には経営者により会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりです。

 

(インプット法による収益認識)

当社グループは受注制作のソフトウエアに係る収益の計上基準は、一定の金額を超える案件について、将来の発生原価を合理的に見積ってプロジェクト採算管理を実施しており、発生原価と見積総原価との比率で進捗度を見積り、それを契約金額に乗ずることで売上金額を算定しております。ただし、工期がごく短い案件については、顧客の検収を受けた一時点で収益を認識しております。

進捗度の見積りの基礎となる見積総原価は、ソフトウエア開発人員の人件費や外注費等を見積ることによって算定され、見積りの不確実性を伴います。

見積総原価に関して、開発の進捗状況は月次でモニタリングしておりますが、計画どおりに進捗せず、プロジェクトの期間が延長されたり、想定より工数が増加することにより、期中において原価の著しい増加が見込まれる場合には、見積総原価の見直しを行います。また、連結会計年度末では、インプット法により収益を認識している全てのプロジェクトについて、見積総原価の見直しを行います。

見積総原価を見直した場合には、財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」及び「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載のとおりです。

なお、主な経営指標として売上高成長率及び営業利益率を重視しており、各指標の推移は以下のとおりです。

売上高成長率について、前事業年度は株式上場などによる認知度の向上、大企業における積極的なDX投資により受注が好調であった一方、当連結会計年度は既存顧客との取引を継続的に拡大し、巡航速度での水準となりました。

営業利益率について、外注費率の適正化により売上総利益率が改善し、それに伴い営業利益率は向上しております。

 

 

前事業年度

当連結会計年度

売上高成長率

55.3%

31.4%

営業利益率

9.3%

11.0%

 

 

③ キャッシュ・フローの状況の分析

「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

 

④ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループは、事業活動に必要な資金を安定的に確保するため、主として内部資金を活用し、不足分は金融機関からの借入により資金調達を行います。M&A等により多額の資金が必要になる場合には、エクイティファイナンスも検討する方針です。

当社グループの資金需要のうち主なものは、人件費及び外注費、M&Aです。この資金需要に対する主な財源は、営業活動で得られる自己資金と、銀行との当座貸越契約による短期借入金です。

また、当連結会計年度末における手元資金1,819,899千円に加え、取引銀行8行と当座貸越契約を締結して資金調達手段を確保することにより、資金の流動性をコントロールしております。

 

⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について

「第2 事業の状況3 事業等のリスク」に記載のとおりです。

 

⑥ 経営者の問題意識と今後の方針について

「第2 事業の状況1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりです。