ラクスル株式会社

上場日 (2018-05-31) 
ブランドなど:ラクスルノバセル
情報・通信業ネット通販プライムTOPIX Small 1

売上高

利益

資産

キャッシュフロー

セグメント別売上

セグメント別利益

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率

ニュース

  • ニュースリリースデータがありません。


最終更新:

E33966 Japan GAAP

売上高

410.2億 円

前期

339.8億 円

前期比

120.7%

時価総額

536.8億 円

株価

913 (04/24)

発行済株式数

58,796,910

EPS(実績)

22.60 円

PER(実績)

40.39 倍

平均給与

703.0万 円

前期

631.1万 円

前期比

111.4%

平均年齢(勤続年数)

34.5歳(2.8年)

従業員数

269人(連結:384人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

当社グループは「仕組みを変えれば、世界はもっと良くなる」というビジョンの下、デジタル化が進んでいない伝統的な業界にインターネットを用いて新しい仕組みを創り、既存のビジネス慣習を変えていくことで、当社グループの主な顧客である国内の企業・個人事業主の経営をより良くすることを目指し、事業を展開しております。

その主たる事業内容は、「ラクスル」(印刷・集客支援のシェアリングプラットフォーム)及び「ノバセル」(広告のプラットフォーム)であります。なお、当連結会計年度において、ハコベル株式会社を新たに設立し、株式譲渡及び第三者割当増資を実施し、関連会社化したことにより「ハコベル」をセグメントから除外しております。

インターネットの普及及び技術革新により、既存産業におけるサプライヤー(当社グループの場合、印刷事業における提携印刷会社や配布会社)を統合するコストが大幅に低下しました。当社グループは、産業ごとにプラットフォームを創出することで、1社が全ての製造及び販売機能を持つのではなく、サプライヤーと顧客の需給を効率良く結び付ける産業形態の在り方を提示したいと考えております。

 

当社グループの各セグメントの事業内容は以下のとおりであります。なお、以下に示す事業区分は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に掲げるセグメントの区分と同一であります。

 

(1) ラクスルセグメント

[事業系統図]

※画像省略しています。

印刷業界全体の市場規模は4.8兆円(注1)と大きなものでありますが、市場に約1万社弱(注2)もの中小印刷会社が存在しており、供給過多になっているため、印刷機の実際の稼働率は低い水準にあると考えております。また、印刷機によって印刷できる印刷物が異なるため、自社で刷れないものは他の印刷会社に依頼するという“まわし仕事”が発生するといった非効率が残っているのが現状であります。

インターネットを使って全国の顧客から印刷の注文を集め、その注文をネットワークとして築いている印刷会社に発注し、印刷機の非稼働時間を使って印刷をする仕組みを開発、提供しております。具体的には、まず、顧客が「ラクスル」のウェブサイト上で印刷物の部数や納期等を選び、印刷データをアップロードします。その後、印刷データを印刷に適したデータに加工し、提携印刷会社へ印刷を委託します。印刷会社は受領した印刷データを印刷後、直接顧客へ品物をお届けします。取引を通して、提携印刷会社の印刷機の稼働率の向上を図り、印刷会社の経営にも資する形での事業展開を実施しております。

また、ネット印刷の事業を基軸に、印刷物のデザインサービスや、印刷したチラシの新聞折込・ポスティングといった、狭商圏内での“集客支援(広告)のワンストップサービス”を提供しております。新聞折込やポスティングは、ウェブサイト上で、オンラインの地図上からチラシを配布したい地域と配布希望日を選択すると、自動的に配布枚数と料金が算出され注文することが可能となっております。既存の広告代理店では数百枚程度の小ロットのチラシの配布の場合、単価が低すぎるために営業のコストを回収できず、対応は難しいとされてきました。当社グループはほとんどのプロセスをEC化することで人件費を中心とした営業費用をなくし、小ロットでも低単価で配布できる体制を築いております。結果として、これまで予算が足りず新聞折込やポスティングを使えなかった中小企業・個人事業主のマーケティング活動を可能にしました。

 

(受発注形態)

商品の仕入販売に関しては、店舗・営業所・印刷工場を保有せず、顧客からの受注機能、受注商品の提携印刷会社への発注機能、及びコールセンターにおける顧客サポート機能のみを保有しており、受発注管理のほぼ全てがインターネットを通じて行われております。商品・仕様・納期に応じて設定した価格で顧客に印刷物や配布サービスを販売し、印刷会社・配布会社へは事前に合意した仕入価格で委託を行っております。仕入価格は随時見直しを行っており、販売価格と仕入価格は直接的な連動はしておりません。また、自社ホームページを通じて商品を購買する顧客の情報をデータベース化し、顧客ごとの購買特性を販売活動に反映させることを可能にする仕組みを構築しております。

顧客に対するアプローチは、電子メールによるダイレクトメールの送信、インターネットを通じた広告の掲載及びテレビ等のマス媒体広告を利用しており、各手法を組み合わせることにより新規獲得、追加販売並びに離脱防止に努めております。

 

(取扱商品)

取扱商品は、チラシや冊子といった商業印刷の各種商品、名刺、封筒といった事務用印刷の各種商品を中心に、Tシャツやボールペンといったノベルティ商品の印刷、梱包資材まで多岐に亘っております。また、集客支援サービスにおいては、新聞折込、ポスティングやダイレクトメール等を取り扱っております。

 

「ラクスル」の累計ユーザー数の推移は以下のとおりであります。

 

累計ユーザー数(ユーザー)(注)3

2019年7月期

 

第1四半期(10月末)

720,031

第2四半期(1月末)

783,755

第3四半期(4月末)

864,029

第4四半期(7月末)

933,227

2020年7月期

 

第1四半期(10月末)

1,001,504

第2四半期(1月末)

1,081,147

第3四半期(4月末)

1,147,583

第4四半期(7月末)

1,203,726

2021年7月期

 

第1四半期(10月末)

1,280,177

第2四半期(1月末)

1,363,265

第3四半期(4月末)

1,451,614

第4四半期(7月末)

1,532,172

2022年7月期

 

第1四半期(10月末)

1,604,347

第2四半期(1月末)

1,693,002

第3四半期(4月末)

1,788,319

第4四半期(7月末)

1,879,442

2023年7月期

 

第1四半期(10月末)

1,979,281

第2四半期(1月末)

2,085,619

第3四半期(4月末)

2,208,913

第4四半期(7月末)

2,317,165

「ラクスル」は2013年3月にサービスを開始し、累計ユーザー数は231万ユーザー(2023年7月末現在)を超えております。

 

(注)1.経済産業省「工業統計調査 2020年確報 産業別統計表」(計測時点は2019年)

2.上記1.における「印刷・同関連業」の事業所数を記載しております(計測時点は2019年)

3.累計ユーザー数は、「ラクスル」に会員登録したユーザーの累計数であります。また、一度も発注を行ったことのない非アクティブなユーザーも含まれております。

 

(2) ノバセルセグメント

[事業系統図]

※画像省略しています。

顧客が小ロットからテレビCMの枠や動画を購入できる広告プラットフォームの「ノバセル」を運営しております。「ラクスル」の集客支援サービスを利用されるような広告予算を持っている顧客に対し、低コストで手軽にテレビCMを購入できるサービスとして提供を開始いたしました。

テレビCMはわが国でもっともリーチコストが安く多くの人々に情報を届けることが可能な媒体であります。しかし多くの企業にとっては、その価格帯の高さから気軽に導入できる広告手段であるとは言い難いのが実態であります。「テレビCMは大手企業だけが使える広告手段」という概念を覆し、「テレビCMを民主化する」というビジョンの下、より多くの顧客がテレビCMを活用できるプラットフォームを提供しております。

具体的には地方局や広告代理店と連携し1県、1エリアの放映、あるいは特定番組のテレビ放映枠をピンポイントで1枠から購入可能なサービスも提供しております。また放映枠のみならず当社グループの持つクリエイティブノウハウや制作会社のネットワークを活用し、費用対効果の高い動画の制作サービスも提供しております。これらは全てWEBサイト上から申し込みも可能であり、安価な価格を実現しております。

また当社グループがこれまでテレビCMへの広告宣伝投資を実施して事業成長を実現してきたノウハウを活用し、科学的な分析で「効果の視える化」をサポートしております。具体的には「ノバセルアナリティクス」というSaaSサービス(注)を開始しており、これはテレビCMの放映後のサイト訪問数やアプリダウンロード数をクリエイティブや番組毎に測定し、従来「視聴率」という指標でしか計測できなかったテレビCM放映による効果について、WEB広告と同様の検証を可能とするサービスであります。

顧客が「ノバセル」のプラットフォームを活用してテレビCMを発注することで、小ロットから購入でき、かつ効率的な効果分析が可能となるため、コストパフォーマンスの高い広告投資が実現できます。

(注)SaaSとはSoftware as a Serviceの略であり、インターネットを通じて顧客にソフトウェアを提供することを指します。

 

 

23/10/27

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。

 

①経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限が緩和され経済活動の正常化に向け緩やかな持ち直しの動きがみられました。一方で、ウクライナ情勢に起因する資源価格の高騰、世界的な物価上昇及び円安方向への為替変動による国内の物価上昇がみられ、景気の先行きは不透明な状況となっております。このような状況の中、「仕組みを変えれば、世界はもっと良くなる」というビジョンの下、主に印刷・集客支援のシェアリングプラットフォーム「ラクスル」、テレビCM・動画の広告プラットフォーム「ノバセル」を運営してまいりました。

「ラクスル」では、新規立ち上げしたアパレル等の事業が順調に成長しており、事業の伸長に貢献しております。また、ユーザーインターフェースを見直すなど顧客の利便性向上にも努めております。「ノバセル」ではテレビCMの効果分析ツールである「ノバセルアナリティクス」の機能を拡充するとともに、Web広告にも裾野を広げており顧客に多くの選択肢を提供できるようになりました。さらに、いずれの事業でも将来を見据え、登録ユーザー数増加や認知度向上に向けた広告宣伝投資を行っております。なお、当連結会計年度において、ハコベル株式会社を新たに設立し、株式譲渡及び第三者割当増資を実施し関連会社化したことにより「ハコベル」をセグメントから除外しております。

また、2023年7月20日開催の取締役会において、代表取締役の異動及び新経営執行体制への移行を決定し、2023年8月1日から新経営体制への移行が完了しております。第二創業期として、複数事業を運営・最適化しながら、内製の事業立ち上げだけではなく、連続的なM&Aによる拡張を通して事業のさらなる成長へとつなげてまいります。本件の詳細につきましては、2023年7月20日に公表いたしました、「代表取締役の異動及び新経営執行体制に関するお知らせ」をご参照ください。

以上の結果、当連結会計年度の売上高は41,018百万円(前年同期比20.7%増)、営業利益は1,765百万円(前年同期比281.3%増)、経常利益は1,168百万円(前年同期は経常損失167百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,329百万円(前年同期比30.1%増)となりました。

セグメント毎の状況は、次のとおりであります。

 

ラクスルセグメント

「ラクスル」においては、国内経済活動の正常化への動きを受け、堅調に拡大しており、取扱商品や法人向けサービスの拡大等、継続的にサービスの拡充に努め、大企業を中心とした顧客の拡充を図っております。また、広告施策の更なる見直しを実施したことで、セグメント利益の拡大につながりました。株式会社ダンボールワンも堅調に売上高が伸長しており事業の拡大に寄与しております。

この結果、売上高は37,751百万円(前年同期比38.2%増)、セグメント利益は3,701百万円(前年同期比23.3%増)となりました。なお、2023年8月1日に当社は株式会社ダンボールワンを吸収合併しております。

 

ノバセルセグメント

「ノバセル」においては、大企業への顧客層シフト及びSaaS事業の拡大により、業績の持ち直しを図りました。引き続き顧客の新規開拓や継続利用の促進に注力するとともに、効果分析ツールの新商品のローンチ等、顧客にとって価値のあるサービスの提供を続けてまいります。

この結果、売上高は2,652百万円(前年同期比6.1%減)、セグメント損失は15百万円(前年同期はセグメント損失131百万円)となりました。

 

②当期の財政状態の概況

a.流動資産

当連結会計年度末における流動資産は20,589百万円となり、前連結会計年度末に比べ929百万円増加いたしました。これは主に現金及び預金が962百万円、売上拡大により商品及び製品が80百万円増加、会社分割による資産の移転等により受取手形及び売掛金が184百万円減少したことによるものであります。

 

b.固定資産

当連結会計年度末における固定資産は12,076百万円となり、前連結会計年度末に比べ3,102百万円増加いたしました。これは主に投資有価証券の時価評価により投資有価証券が4,391百万円増加、のれんの償却によりのれんが495百万円、繰延税金負債との相殺等により繰延税金資産が773百万円減少したことによるものであります。

 

c.流動負債

当連結会計年度末における流動負債は8,292百万円となり、前連結会計年度末に比べ518百万円増加いたしました。これは主に売上及び利益の増加により未払法人税等が466百万円、未払消費税等が80百万円、買掛金が65百万円それぞれ増加したことによるものであります。

 

d.固定負債

当連結会計年度末における固定負債は10,463百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,083百万円減少いたしました。これは主に長期借入金が1年内返済予定の長期借入金へ振替わったことにより1,965百万円減少、投資有価証券の時価評価により繰延税金負債が892百万円増加したことによるものであります。

 

e.純資産

当連結会計年度末における純資産合計は13,909百万円となり、前連結会計年度末に比べ4,596百万円増加いたしました。これは主に自己株式の取得により299百万円減少した一方、投資有価証券の時価評価によりその他有価証券評価差額金が3,014百万円増加、株式報酬費用の計上により新株予約権が411百万円増加、さらに親会社株主に帰属する当期純利益を1,329百万円計上したことによるものであります。

この結果、自己資本比率は38.5%(前連結会計年度末は29.3%)となりました。

 

③当期のキャッシュ・フローの概況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ962百万円増加し、当連結会計年度末には14,644百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は2,902百万円(前連結会計年度は837百万円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益を2,502百万円、子会社株式売却益を1,588百万円、減価償却費を231百万円、株式報酬費用を652百万円計上したことに加え、売上債権が418百万円、仕入債務が442百万円それぞれ増加したことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果得られた資金は297百万円(前連結会計年度は2,808百万円の使用)となりました。これは主に、連結範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入685百万円、投資有価証券の取得による支出155百万円、敷金の差入による支出275百万円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は2,238百万円(前連結会計年度は2,206百万円の獲得)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出2,013百万円、自己株式の取得による支出299百万円があったことによるものであります。

 

(2) 生産、受注及び販売の実績

①生産実績

当社グループで行う事業は、インターネットを利用して、顧客と提携先の印刷会社や広告代理店を繋ぐプラットフォーム事業であり、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

 

②受注実績

当社グループで行う事業は、インターネットを利用して、顧客と提携先の印刷会社や広告代理店を繋ぐプラットフォーム事業であり、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

 

③販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年8月1日

至 2023年7月31日)

販売高(百万円)

前年同期比

増減額(百万円)

増減率(%)

ラクスル

37,751

10,425

38.2

ノバセル

2,652

△171

△6.1

ハコベル

△3,478

△100.0

報告セグメント計

40,403

6,774

20.1

その他

614

262

74.6

合計

41,018

7,037

20.7

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績は、総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先がいないため、記載を省略しております。

 

(3) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この財務諸表の作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者はこれらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積りによる不確実性のためこれらの見積りと異なる場合があります。

当社グループが財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.売上高

当連結会計年度の売上高は、41,018百万円(前年同期比20.7%増)となりました。国内経済活動の正常化への動きを受け、各事業は堅調に拡大しております。

 

b.売上原価、売上総利益

当連結会計年度の売上原価は、28,722百万円(前年同期比18.8%増)となりました。この結果、売上総利益は12,295百万円(前年同期比25.4%増)となりました。当社グループは、売上総利益を「プラットフォームの価値を示す、付加価値の総和」として最重要の指標と位置付けております。セグメント毎に利益率が異なるため全社合計での絶対額の増加及び対前年同期比の増加率を重視しております。

「ラクスル」においては、プライシングの最適化を実施し、サプライヤーの生産性や原価改善支援、資材の共同調達による原価改善を行いました。「ノバセル」においては、SaaS事業が拡大をしております。これらの要因により売上総利益率の改善及び増加に寄与しました。

 

c.販売費及び一般管理費、営業利益

当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、10,529百万円(前年同期比12.7%増)となりました。これは主に、「ラクスル」において登録ユーザー数増加に向けた広告宣伝投資をコントロールしながら行ったことによるものであります。この結果、営業利益は1,765百万円(前年同期比281.3%増)となりました。

 

③キャッシュ・フローの分析・検討内容ならびに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

キャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1) 経営成績等の状況の概要」をご参照ください。

当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。

当社グループは、継続的な成長のため、認知度の向上及びユーザー数の拡大に努めてまいりました。今後も広告宣伝投資を実施することにより新規ユーザーを獲得するとともに、高い定着性を有する顧客基盤を構築すべく、システム開発を継続して行う方針であります。また、連続的なM&Aによる拡張を通して事業のさらなる成長へとつなげていく所存です。これらの資金需要につきましては、必要な資金を自己資金、金融機関からの借入、社債の発行及びエクイティファイナンス等で資金調達していくことを基本方針としております。

なお、当連結会計年度末においては14,644百万円の現金及び預金を有しており、自己資本比率も38.5%と適正水準を維持しており財務健全性は高い状態にあります。

 

④経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境の変化、シェアリングによる生産体制、人材の確保・育成、法的規制、自然災害等のリスク、情報システムリスク、訴訟に係るリスク等、様々な要因が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。

また、新型コロナウイルス感染症による行動制限が緩和され経済活動の正常化に向け緩やかな持ち直しの動きがみられました。一方で、ウクライナ情勢に起因する資源価格の高騰、世界的な物価上昇及び円安方向への為替変動による国内の物価上昇がみられ、景気の先行きは不透明な状況が続いております。当社グループにおいては2024年7月期においても引き続き不透明な状況にあると仮定しておりますが、今後状況が変化した場合には、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因であると認識しております。

そのため、当社グループは、外部環境の変化に留意しつつ、内部管理体制を強化し、優秀な人材を確保することで、経営成績に重要な影響を与える可能性のあるリスク要因を分散、低減し、適切に対応を行ってまいります。