株式会社チームスピリット

上場日 (2018-08-22) 
ブランドなど:TeamSpirit
情報・通信業システムグロース

売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率

ニュース

  • ニュースリリースデータがありません。


最終更新:

E34225 Japan GAAP

売上高

38.1億 円

前期

32.6億 円

前期比

116.8%

時価総額

61.9億 円

株価

376 (05/02)

発行済株式数

16,451,600

EPS(実績)

-11.50 円

PER(実績)

--- 倍

平均給与

727.6万 円

前期

741.9万 円

前期比

98.1%

平均年齢(勤続年数)

36.3歳(2.8年)

従業員数

175人(連結:196人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

(1)事業の概要

 当社グループは「すべての人を、創造する人に。」というミッションのもと、「個を強く。チームを強く。」をビジョンに掲げ、ERP(注1)のフロントウェア「チームスピリット」の提供を主としたSaaS (Software as a Service)(注2)事業を行っております。また「チームスピリット」の導入や運用に関してユーザー企業を有償で支援するプロフェッショナルサービスも展開しております。

 ERPのフロントウェアとは、すべての従業員が日常的に利用する業務システムの内、ERPのフロント側(従業員側)でデータの登録機能を担う勤怠管理、就業管理、工数管理、経費精算、電子稟議、カレンダー、SNSといったシステムを総称した当社による造語です。従来このフロントウェアの領域は、ERPと組み合わせて一から開発するか、ERPのオプション機能として提供されたシステムを個社仕様にカスタマイズして使用されていましたが、「チームスピリット」は、これらの様々な利用者機能(データの登録機能)を一つのサービスに纏めSaaSとして独立させました。異なる分野の利用者機能が一つのデータベース及びワークフローで展開されることで、それぞれのデータをかけ合わせて分析することや、各種決裁フローをデジタル化することが可能となり、企業に求められる高度な内部統制を実現することができます。

 このERPのフロントウェアが、独立したSaaSとして提供されることにより、利用企業が法制度改正に伴うシステム改造や情報セキュリティ対策の手間から解放されるだけでなく、使い慣れた利用者機能を変更することなく企業のステージに合わせたERPのリプレイス(システムの置き換え)を実施できるようになります。

 日本は少子高齢化による労働力人口の減少という社会課題に直面しており、多くの日本企業にとって生産性の改善や多様な人材が活躍できる労働環境の整備が重要な経営課題となっています。とりわけ、日本はOECD加盟国の中で労働生産性が最も低いとされています。こうした環境下で企業が成長し続けるためには、既存の組織及びビジネスモデルの根本的な構造改革に挑戦することに加えて、イノベーションを実現することが必要不可欠であり、多くの日本企業にとって、「デジタルトランスフォーメーション」(以下、「DX」という)(注3)による生産性の向上は避けては通れない重要な課題となっています。

 「チームスピリット」は、業務の効率化や可視化を通じ、個人やチームの生産性向上を実現するためのサービスです。足下では、“場所や時間にとらわれない新しい働き方”が急速に広まりを見せており、働き方そのものに対するパラダイムシフトが起きています。そのような事業環境の中で、「チームスピリット」の需要は着実に高まっており、2023年8月末時点で「チームスピリット」の契約ライセンス数は456,716ライセンス、契約社数は1,800社となりました。なお、当社グループはSaaS事業の単一事業となります。

 

(2)当社グループのサービスについて

<当社グループが提供する主なサービス>

 

種別

サービス名称

サービス内容

ライセンス

「チームスピリット」サービス

勤怠管理、工数管理、経費精算の基本機能を単独もしくは複数組み合わせて利用が可能なSaaS(電子稟議、カレンダー、SNS等の機能も利用可能)

アドオンサービス

プロジェクト原価管理

プロジェクト原価管理サービス

アサイン管理

アサインメントを最適化するサービス

プロフェッショナルサービス

スポットサポート

プレミアサポート

顧客の本番稼働や着実な運用のために、担当コンサルタントが実施する有償支援業務

 

 

a.「チームスピリット」

 当社グループの中核サービスで、勤怠管理、工数管理、経費精算、電子稟議、カレンダー、SNSなど従業員が日々利用するシステムを統合し、ユーザー企業のニーズに応じてひとつにまとめたクラウドサービスです。インターネット経由で必要な期間に応じて単独または複数機能を組み合わせて利用でき、ハイブリッドワークやフレックスタイム等の多様なワークスタイルをサポートします。2023年9月にサービスラインナップを刷新し、「TeamSpirit」と「TeamSpirit EX」のサービス名称を「チームスピリット」に統一しています。

 

 「勤怠管理」の機能においては、単なる出退社時刻の記録だけでなく、残業時間の推移・36協定の順守状況・インターバル時間・有給休暇の取得状況・必要な休日確保の状況など、近年特にニーズの高い長時間労働の抑制や健康確保措置としての労働時間管理を実現します。

 また「工数管理」の機能では、「勤怠管理」と組み合わせることでリアルタイムに従業員の働き方を可視化し、トップパフォーマーの時間や経費の使い方などのワークログ(業務における活動記録)を分析する等して、従業員が生産性高く働くための質の高いコーチングを提供するといったような生産性向上の実現をサポートします。

 「チームスピリット」の各機能を使って働き方を可視化することで、従業員一人ひとりの間接業務を効率化してタイムマネジメントの質を向上させ、アウトプットの増大を実現します。

 

 

「チームスピリット」の契約ライセンス数の推移は以下のとおりです。

 

契約ライセンス数

(ライセンス)

契約社数(社)

2012年8月

2,811

34

2013年8月

11,736

116

2014年8月

23,691

250

2015年8月

46,335

423

2016年8月

71,593

616

2017年8月

98,900

795

2018年8月

139,171

973

2019年8月

208,615

1,232

2020年8月

277,714

1,409

2021年8月

321,534

1,531

2022年8月

382,046

1,644

2023年8月

456,716

1,800

 

 

b.プロジェクト原価管理(アドオンサービス)

 「チームスピリット」のアドオンサービスのひとつで、「チームスピリット」と組み合わせて使用するプロジェクト原価管理サービスです。主に人の作業時間が原価となるプロジェクト型のビジネスにおいて、見積りを作成するための工数計画を作成することができ、計画後は「チームスピリット」で登録された工数実績との比較により原価の予実管理を行うことができます。

 

c.アサイン管理(アドオンサービス)

 「チームスピリット」と連携してタレントアサインメントを最適化するサービスです。個人のスキルや経験に基づいた最適なアサインや、勤怠管理と連動することでメンバーの負荷状況を考慮したアサインが可能となります。また、過重労働の防止や納期の正確な予測も可能となります。

 

d. プロフェッショナルサービス

 「チームスピリット」は、原則としてユーザー企業自らで、導入から運用までを実施いただけるようデザインされておりますが、導入目標日に確実な本稼働を迎えたい、導入に係わる担当者の負荷を極力抑えたい、運用段階のシステム設定や新規帳票のレイアウト作成の人材が不足しているなどのお客様の課題に対して、高度なIT及び業務スキルをもったコンサルタントがユーザー企業を有償で支援するサービスを提供しております。

 

なお、販売体制については、ユーザー企業から直接受注する直販ビジネスを中心としておりますが、一部大企業のお客様向けの販売を目的として、パートナーにサービスを卸しユーザー企業に再販でご利用いただく再販パートナーや、既存で取引のある顧客を紹介いただく紹介パートナーとの協業があります。

 

(3)ビジネスモデルについて

《サブスクリプション型リカーリングレベニューモデル(注4)による安定性と成長性》
 「チームスピリット」は顧客企業に対し、使用した期間に応じたサービス料をユーザー人数分のサブスクリプション(定期購入)として課金するビジネスモデルを採用しています。サブスクリプションが複数年にわたり継続して利用されることで、新規・追加の契約数を解約・削減数が上回らない限り、収益が前年度を上回るという安定性がありながら、高い成長を目指すことが可能です。当連結会計年度での当社グループの売上におけるリカーリングレベニュー(継続収益:ライセンス売上+プレミアサポート売上)の比率は約9割となっています。

 収益の安定に重要な契約の継続のために定期的なバージョンアップを実施しており、顧客満足度の向上を実現することで高い継続率を維持しています。また当社グループでは既存のお客様に対する活用促進を行う営業体制を構築しており、「チームスピリット」の追加導入などにも注力し継続的なリカーリングレベニューの成長を目指しております。

 成長性の実現に重要な新規の受注に関しては、標準化されたサービスを月額料金ですぐに提供できることから、受託開発型のサービスや高価なソフトウエアを売り切り型で販売するサービスに比べて、受注までの平均商談期間を短縮でき企業規模に関わらず契約数の拡大が可能になります。無償トライアル利用の機会を提供し導入前に効果を確認していただくことで、ユーザー企業は安心して導入の意思決定ができ、定着率の増加にも寄与しています。

 サブスクリプション型リカーリングレベニューモデルの単一事業であることから、経営の安定性と成長性が両立できることに加え、年間の契約金額を一括前払いで回収しているため経常的な運転資金は発生しません。キャッシュ・フローの面でも非常に安定していることが当社グループのビジネスモデルの特徴です。

 

《シングルソース・マルチテナント形式(注5)による顧客価値の最大化とコストダウン》
 「チームスピリット」は、インターネット経由で必要な機能を必要な分だけ利用できるSaaSという形態で提供しており、「チームスピリット」をご契約いただいたすべてのお客様が、それぞれ共通のソースコードで作られた1種類のアプリケーションを使用しています。これを、シングルソース・マルチテナント形式と言います。日々増加するお客様からの要望にお応えして、年間複数回の定期メジャーバージョンアップを提供するなど、常に機能を強化・拡大させることができるので、お客様にとっての価値を継続的に向上させることができます。さらに開発者は特定のソースの開発に集中できるので比較的少ないリソース(コスト)で高機能なサービスを開発することが可能です。

 さらに「チームスピリット」は従業員1,000名以上のエンタープライズ企業(注6)にもご利用いただいておりますが、仕様が複雑な大規模なお客様であってもアプリケーション本体の改造をせずにシングルソース・マルチテナントで提供できる充実した機能性や優れたサポート体制がビジネス上の大きな優位点であると考えています。

 

《エンタープライズ企業に選ばれるSaaS》

 「チームスピリット」は、パブリッククラウド(注7)で利用できるPaaS (Platform as a Service)(注8)である、Salesforce,Inc.(注9)が運営しているLightning Platform上に構築されております。基盤となるサーバーなどのシステム機器の提供・情報セキュリティ対策・バックアップなどの運用は、すべてSalesforce,Inc.が実施します。そのため株式会社セールスフォース・ジャパンとのOEMパートナー契約(注10)を基に1ライセンス当たり月額課金の仕入が発生する以外、サービス提供に関わる設備投資や運用投資を抑制することができます。その上、ワークフローやSNS及びデータ連携機能、レポート・ダッシュボードなどの分析機能、さらにはAI(機械学習・ディープラーニング)機能やIoTとの接続機能など、システムで使う共通機能もPaaSに実装されています。そのため開発リソースをすべて業務アプリケーションに投下できるメリットがあります。そのことによりサービス改善サイクルを高速化し、SaaSビジネスで最も重要な持続的な顧客体験価値の向上が可能になると考えています。

 また、世界中で利用されているSalesforce,Inc.が提供するクラウドプラットフォームにより、金融機関からグローバルに活動するエンタープライズ企業まで、安心して「チームスピリット」をご利用いただける環境を提供できているものと考えています。

 

(注)1ERPとは、企業内の経営資源を有効活用するために、生産、販売、物流、会計、人事などの情報を統合的に管理するための情報システムのことです。

SaaSとは、Software as a Serviceの略称で、ソフトウエアをインターネット経由のサービスとして提供することです。

デジタルトランスフォーメーションとは、情報システムによる業務効率化の域を超え、人工知能(AI)やIoT(Internet of Things)などデジタル技術を活用して新たなビジネスを生み出し、人々の生活をあらゆる面でより良くするという概念のことです。

サブスクリプション型リカーリングレベニューモデルとは、使用した期間に応じたサービス料をユーザー人数分のサブスクリプション(定期購入)として課金するリカーリングレベニュー(継続収益)型ビジネスモデルのことです。

シングルソース・マルチテナント形式とは、ひとつのシステム環境を複数企業で共同利用することです。

企業(市場)規模の定義は以下のとおりです。

名称

定義

エンタープライズ企業(市場)

従業員が1,000名以上の企業(又はその企業を対象とした市場)

ミッド企業(市場)

従業員が100~999名の企業(又はその企業を対象とした市場)

スモール企業(市場)

従業員が99名以下の企業(又はその企業を対象とした市場)

パブリッククラウドとは、クラウド上のサービスのうち不特定多数の利用者を対象に広く提供されている形態のことです。特定の利用者を対象として提供される「プライベートクラウド」との対比で用いられます。

PaaSとは、Platform as a Serviceの略称で、ソフトウエアを稼動させるための土台となるプラットフォームを、インターネット経由のサービスとして提供することです。

Salesforce,Inc.とは、米国カリフォルニア州に本社を置く、クラウドコンピューティング・サービスの提供企業です。株式会社セールスフォース・ジャパンは、Salesforce,Inc.の子会社です。

10OEMパートナー契約とは、Lightning Platformを仕入れ当社グループ商品に結合して販売することができる契約のことです。

 

[事業系統図]

※画像省略しています。

 

23/11/28

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。

 

①経営成績の状況

 当社グループは、「すべての人を、創造する人に。」のミッションのもと、勤怠管理、工数管理、経費精算、電子稟議など、従業員が毎日使う社内業務システムを一元化したクラウドサービス「チームスピリット(注1)」を提供しております。

 

 当社グループが提供するサービス領域における短期的な事業環境といたしましては、新型コロナウイルスの感染拡大を契機にして、フルリモートワークやハイブリッドワーク等の多様な働き方への対応が求められるようになったことで、高度な「勤怠管理」への需要は継続的に高い関心を集めております。また、最近では、労働時間の正確な把握だけでなく、仕事の見える化によるチームの活性化や非対面でのマネジメントの最適化を可能にする「工数管理」への需要も高まっています。

 

 中長期的な事業環境といたしましては、人的資本経営に対する関心の高まりを背景に、多様で生産性の高い働き方の実現や、従業員エンゲージメントの向上に注力する企業がますます増加することが予想されます。また、特にエンタープライズ企業(注2)では、2000年頃に一斉導入されたERP並びに、それに付随したデータのエントリー機能を担う「勤怠管理システム」や「経費精算システム」といったERPのフロントウェアシステムのリプレイス需要が高まっています。従来、エンタープライズ企業では、これらのシステムは各社独自の仕様で構築されるケースが一般的でしたが、昨今は更新投資やシステム保守費をかけることなく最先端のサービスを利用することができるSaaS(注3)への関心が高まっています。

 

 このような事業環境の下で、当社グループは、「エンタープライズ市場開拓(注4)」を成長戦略の柱に据えて、製品開発、セールス&マーケティング、サポートの各領域に積極的な投資を行い、エンタープライズ企業を中心に幅広い企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)ニーズに応えてまいりました。最近では、「勤怠」や「工数」データといった「ワークログ(業務における活動ログ)」を収集・分析し、それらを人的資本経営に生かすソリューションについても関心が高まってきております。

 また、2023年9月1日よりサービスブランドを「TeamSpirit」から「チームスピリット」に一新し、さらにサービスラインナップについても、従来から提供している勤怠管理、工数管理、経費精算などの複数機能を統合した「パッケージプラン」に加えて、ユーザー企業のニーズに合わせて利用機能を選択できる「単機能プラン」を新設しました。エンタープライズ企業を中心に、単機能から利用を開始して段階的に機能拡張をしたいといったニーズが増加傾向にあり、ユーザー企業が自社の状況にあわせてプランを選択できるようにいたしました。

 

 2023年8月期の経営成績は以下のとおりです。

 

 ライセンスの受注状況に関して、エンタープライズセグメント及びミッドセグメント(注5)において、新規受注及び追加受注が堅調に推移したことで、契約ライセンス数の純増は74,670ライセンスとなり、累計の契約ライセンス数は456,716ライセンス(前連結会計年度末比19.5%増)となりました。これに伴い、ARR(注6)の純増は456百万円となり、累計では3,356百万円(同15.7%増)となりました。また、契約社数の増加は156社となり、累計で1,800社となりました。

 

 以上の結果、当連結会計年度における売上高は3,809百万円(前連結会計年度末比16.8%増)となりました。売上高の内訳で見ると、ライセンス売上高は3,109百万円(同14.9%増)、プロフェッショナルサービス売上高は699百万円(同26.1%増)となりました。営業損失は本社移転に伴う有形固定資産の加速償却による減価償却費の増加や、原状回復に伴う資産除去債務費用の増加に加え、採用加速に伴う採用費、人件費の増加により219百万円(前連結会計年度は営業損失118百万円)となりました。なお、セールスを中心とした重点ポジションの採用やパイプライン増強のためのマーケティング投資等、成長投資は計画どおり進捗しております。親会社株主に帰属する当期純損失は、新規事業の共同開発目的で投資をしたスタートアップ企業との資本関係解消に伴う投資有価証券評価損の計上及び、2023年9月1日以降に発生する現本社の地代家賃について、賃貸借契約期間が終了するまでの期間に対応する地代家賃を特別損失に計上したことにより189百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失90百万円)となりました。

 なお、当社グループはSaaS事業の単一事業であるため、事業セグメント別の記載を省略しております。

 

(注1)チームスピリット:大企業向けの「TeamSpirit EX」及び、幅広い企業規模で利用可能な「TeamSpirit」の2つの製品で構成。

 

(注2)企業規模毎の定義は以下のとおり。

名称

定義

エンタープライズ企業

従業員が1,000名以上の企業

ミッド企業

従業員が200~999名の企業

スモール企業

従業員が199名以下の企業

 

(注3)SaaS:Software as a Serviceの略称で、サービスとしてのソフトウェアを指す。クラウドサーバーにあるソフトウェアを、インターネットを経由して利用できるサービス。

 

(注4)エンタープライズ市場開拓:エンタープライズ企業におけるERPのフロントウェア(勤怠管理、工数管理、経費精算、ワークフロー等)は、手組みのスクラッチシステムやオンプレ型のパッケージシステムなどの利用が大半であり、それらのシステムをリプレイスしていく戦略。

 

(注5)ユーザーセグメントの定義は以下のとおり。

セグメント名称

定義

エンタープライズ

1社あたりの契約ライセンス数が1,000ライセンス以上の企業

ミッド

1社あたりの契約ライセンス数が200~999ライセンスの企業

 スモール

1社あたりの契約ライセンス数が199ライセンス以下の企業

 

(注6)ARR:Annual Recurring Revenueの略で、集計基準日時点の「TeamSpirit」(関連製品を含む)及び「TeamSpirit EX」(関連製品を含む)のライセンス収入から得られる月間収益の合計を12倍したもの。

 

②財政状態の状況

 当連結会計年度末における総資産は3,516百万円となり、前連結会計年度末から152百万円増加しました。

 

(流動資産)

 当連結会計年度末における流動資産は2,875百万円となり、前連結会計年度末から54百万円増加しました。これは主に、前渡金の増加によるものです。

 

(固定資産)

 当連結会計年度末における固定資産は641百万円となり、前連結会計年度末から97百万円増加しました。これは主に、本社移転の意思決定に伴い減価償却費が増加したことにより有形固定資産が減少したこと、資産除去債務が増加したこと、及び投資有価証券の減損損失の計上により減少したものの、敷金の差し入れや繰延税金資産の増加により、結果として増加したものです。

 

(流動負債)

 当連結会計年度末における流動負債は2,124百万円となり、前連結会計年度末から294百万円増加しました。これは主に、繰延収益の増加によるものです。

 

(固定負債)

 当連結会計年度末における固定負債はありません。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産は1,392百万円となり、前連結会計年度末から142百万円減少しました。これは主に、譲渡制限付株式報酬としての新株発行により増加したものの、当期純損失を計上したことにより利益剰余金が減少し、結果として減少したものです。

 

 

③キャッシュ・フローの状況
 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は2,364百万円となり、前連結会計年度末に比べ44百万円減少(前連結会計年度比1.8%減)しました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果使用した資金は6百万円(前連結会計年度は4百万円の支出)となりました。これは主に、受注拡大に伴い繰延収益を150百万円、主に本社移転の意思決定による減価償却費を56百万円、投資有価証券の減損損失を49万円計上した一方で、税金等調整前当期純損失295百万円を計上したことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は49百万円(前連結会計年度は55百万円の支出)となりました。これは主に、敷金の差し入れによる支出49百万円によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は0百万円(前連結会計年度は6百万円の収入)となりました。これは主に、譲渡制限付株式の発行手数料によるものです。

 

(2)生産、受注及び販売の実績

① 生産実績

 当社グループは生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

② 受注実績

 当社グループは受注生産を行っておりませんので、受注実績に関する記載はしておりません。

 

③ 販売実績

 当連結会計年度における販売実績をサービス別に示すと次のとおりであります。

サービスの名称

当連結会計年度

(自 2022年9月1日

至 2023年8月31日)

販売高(千円)

前年同期比(%)

ライセンス

3,109,619

14.9

プロフェッショナルサービス

699,932

26.1

合計

3,809,551

16.8

(注)1.当社グループはSaaS事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。上記ではサービス別の販売実績を記載しております。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、その割合が100分の10以上に該当する相手先がないため記載を省略しております。

 

(3)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び重要な見積り

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては過去の実績や現状等を勘案し、合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる可能性があります。
 当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要」に含めて 記載しています。

 

③ キャッシュ・フローの状況の分析

 キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要」に含めて 記載しています。

 当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。

 資金需要及び資金調達につきましては、当社グループの事業規模の拡大を進めるために、次世代プロダクト開発に取り組んでいく考えであります。これらの資金需要は手元資金で補うことを基本として必要に応じて資金調達を実施します。

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりと認識しており、これらのリスクについては発生の回避及び発生した場合の対応に努める所存であります。

 

⑤ 経営戦略の現状と見通し

 当社グループは「すべての人を、創造する人に。」というミッションのもと、事業を展開してまいりました。

 働き方改革プラットフォームとしての「TeamSpirit」シリーズを中心に置きながら、幅広い規模や業種の企業に対して適応できるように、商品開発、営業活動の強化などの事業施策に取り組んでまいります。

 

⑥ 経営者の問題意識と今後の方針について

 当社グループの経営者は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社グループが今後さらなる成長を遂げるためには、さまざまな課題に対処することが必要であると認識しております。

 それらの課題に対応するために、経営者は常に事業環境の変化に関する情報の入手及び分析を行い、次世代商品開発による競合との差別化を推進し、さらなる事業拡大を図ってまいります。