E00878 Japan GAAP
前期
3,612.3億 円
前期比
111.7%
株価
3,182 (03/28)
発行済株式数
103,768,142
EPS(実績)
161.69 円
PER(実績)
19.68 倍
前期
715.7万 円
前期比
100.9%
平均年齢(勤続年数)
39.6歳(16.5年)
従業員数
1,796人(連結:5,494人)
当社及び当社の関係会社(当社、子会社57社及び関連会社20社(2023年3月31日現在)により構成)においては、化学品、食品、ライフサイエンス及びその他の4事業を主として行っており、その製品はあらゆる種類にわたっています。各事業における当社及び関係会社の位置付け等は以下のとおりです。
当事業は、大きく3種類の製品に分類しています。
(4) その他
当事業においては、設備プラントの設計、工事及び工事管理、設備メンテナンス、物流業、倉庫業、車輌等リース、不動産業、保険代理業等を行っています。
以上の結果、主な事業の系統図は以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものです。
(1) 業績等の概要
当期における世界経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限の緩和に伴い、社会経済活動の正常化が進んだものの、ウクライナ情勢をはじめとする地政学リスクの高まりに加え、原燃料価格高騰や世界的なインフレ進行等を受け、緩慢な景気回復に留まりました。
当社グループ事業の主要対象分野である自動車関連分野は、第3四半期以降、半導体等の供給制約が解消に向かいましたが、地域によるばらつきがあり、自動車生産は僅かな回復に留まりました。ICT・家電分野は、巣ごもり需要の一巡やインフレ進行に伴う消費者の買い控えにより、スマートフォンやパソコンの販売が減少しました。食品分野は、行動制限の緩和により土産物や外食の需要が回復基調にあるものの、原材料価格高騰に伴う物価上昇により、消費者の生活防衛意識が高まり、業界として厳しい状況が続きました。農業分野は、欧州で干ばつ等の天候不順の影響から需要が弱含んだものの、北米で大豆や棉の作付面積が拡大し、需要が増加したほか、世界最大の農薬市場であるブラジルで主要作物の作付面積が拡大していること等から、農薬需要は総じて堅調に推移しました。
このような状況のなか、中期経営計画『ADX 2023』の2年目となる2022年度は、社会価値と経済価値の追求による企業価値向上に向けて、引き続き「収益構造の変革」「新規事業領域の拡大による持続的な成長」「グループ経営基盤の強化」の3つの基本戦略のもと施策を推し進めました。樹脂添加剤では、UAEでワンパック顆粒添加剤の設備を増強し、2022年12月から営業運転を開始しました。情報・電子化学品では、先端半導体メモリ向け高誘電材料「アデカオルセラ」シリーズの新製品について、韓国での一貫生産を本格的に開始しました。また、2022年7月に同シリーズの韓国での増産投資、2023年2月に研究開発機能の大幅な拡充を図るため、「アデカコリア研究開発センター」の移転をそれぞれ決定しました。食品事業では、2022年4月からプラントベースフードの新ブランド「デリプランツ」シリーズの販売を開始し、2023年3月には伊勢丹新宿店で「デリプランツ」シリーズを使用した限定メニューに採用される等、新たな領域での市場開拓とお客様への提案を進めました。ライフサイエンス事業では、インドで水稲用殺虫剤ベンズピリモキサンの本格販売を開始し、製造設備の増強も進めています。CSRの取り組みでは、カーボンニュートラルの実現とSDGs(持続可能な開発目標)の達成に向けた新たな組織体制の構築・強化、D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)の実現を目指した女性活躍の推進、健康経営の推進に取り組みました。社名認知度向上に向けた取り組みでは、年末年始にテレビCMを放映しました。
なお、当連結会計年度より、一部の在外子会社等の収益及び費用は、決算日の直物為替相場により円貨に換算する方法から、期中平均為替相場により円貨に換算する方法に変更し、遡及適用後の数値で前年同期比較を行っています。
売上高は前連結会計年度に比べ、421億8百万円(前連結会計年度比+11.7%)増収の4,033億43百万円となりました。
売上原価は前連結会計年度に比べ、391億2百万円(同比+14.7%)増加し、3,051億24百万円となりました。
販売費及び一般管理費は前連結会計年度に比べ、46億68百万円(同比+7.6%)増加し、658億48百万円となりました。
営業利益は前連結会計年度に比べ、16億62百万円(同比△4.9%)減益の323億69百万円となりました。
営業外収益から営業外費用を控除した営業外損益は、前連結会計年度の利益(純額)16億25百万円に比べ、14億16百万円利益額が減少し、2億9百万円の利益(純額)となりました。
経常利益は前連結会計年度に比べ、30億79百万円(同比△8.6%)減益の325億79百万円となりました。
特別利益から特別損失を控除した特別損益は前連結会計年度の利益(純額)12億72百万円に比べ、46億59百万円損失額が増加し、33億86百万円の損失(純額)となりました。
これは、主に食品事業に係る減損損失を計上したことによるものです。
この結果、税金等調整前当期純利益は前連結会計年度に比べ、77億38百万円(同比△21.0%)減益の291億92百万円となりました。
法人税等は前連結会計年度に比べ、14億30百万円(同比△14.8%)減少し、82億31百万円となりました。
非支配株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ、6億円(同比+16.8%)増加し、41億82百万円となりました。
上記要因の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ、69億9百万円(同比△29.2%)減益の167億78百万円となりました。
セグメントの状況は、以下のとおりです。
自動車向けでは、半導体不足等による減産の影響を受け、国内で核剤等が、また中国を含むアジア圏においてはゴム用可塑剤等の販売数量が減少しました。
建材向けでは、北米で住宅内装材の需要が減少し、塩ビ用安定剤の販売が低調でした。
食品包装向けでは、テイクアウトやデリバリーといった中食需要の拡大を捉え、北米を中心に透明化剤の販売が好調に推移しました。
ポリオレフィン樹脂に使用されるワンパック顆粒添加剤や酸化防止剤は、欧州等での需要低迷により販売数量が減少しました。
難燃剤は、家電やパソコン等の需要の落ち込みにより、筐体等に使用されるエンジニアリングプラスチック向けの販売が低調でした。一方、ポリオレフィン樹脂向けは大型家電向けを中心に販売が堅調に推移しました。
樹脂添加剤全体では、原料価格高騰に対する販売価格の改定や為替の影響により、前期に比べ増収となりました。一方、利益面は、販売数量の減少により減益となりました。
半導体向けでは、第3四半期後半より足元にかけて、需要の落ち込みやメモリ価格の下落を背景とした半導体メーカーの減産の影響を受け、一部製品群で販売が減少しました。一方、最先端のDRAMに使用される高誘電材料及びEUVやArF等の最先端のフォトレジストに使用される光酸発生剤の販売が好調に推移しました。また、NAND向け製品の販売も堅調でした。
ディスプレイ向けでは、パネルメーカーの大幅な在庫調整の影響を受け、光学フィルム向け光硬化樹脂、カラーフィルター向け光重合開始剤、ブラックマトリクスレジスト及びエッチング薬液の販売が低調に推移しました。
情報・電子化学品全体では、半導体材料は先端世代向け製品を中心に好調に推移しましたが、ディスプレイ関連材料の落ち込みをカバーするには至らず、前期に比べ減収減益となりました。
自動車向けでは、国内中心に半導体不足等による減産の影響を受けましたが、エンジンオイル用潤滑油添加剤の販売が、海外での新規採用や新エンジンオイル規格の市場浸透により好調に推移しました。また、海外を中心に構造接着用特殊エポキシ樹脂の販売も好調でした。
建築塗料向けでは、反応性乳化剤の販売がアジア地域を中心に堅調に推移しました。また、化粧品向け特殊界面活性剤は、国内外で市況が緩やかに持ち直し、販売が堅調でした。
一方、工業用途で使用されるプロピレングリコール類は市況悪化の影響を受け低調に推移しました。また、過酸化製品はディスプレイ向けを中心に需要落ち込みの影響を受け低調でした。
機能化学品全体では、海外での潤滑油添加剤等の販売拡大や販売価格の改定により、前期に比べ増収となりました。一方、利益面は、原燃料価格の高騰に対し、販売価格の改定を推し進めましたが、一部製品での販売数量の減少や価格改定のタイムラグがあり、減益となりました。
以上の結果、当事業の売上高は前連結会計年度に比べ116億円(前連結会計年度比+5.8%)増収の2,117億20百万円となり、営業利益は前連結会計年度に比べ30億86百万円(同△10.5%)減益の262億60百万円となりました。
製パン、製菓用のマーガリン、ショートニング類は、国内消費の減退に加え、最終商品のダウンサイジングに伴い販売が減少しましたが、機能性マーガリン「マーベラス」シリーズは、パン等のおいしさの持続と消費期限延長に寄与する機能性が評価され、採用が拡大しました。また、行動制限の緩和により人流が増加し、土産菓子に使用されるフィリング類の販売が好調に推移しました。一方、洋菓子・デザート用のホイップクリーム類は採用が減少し、販売が低調でした。新製品のプラントベースフード「デリプランツ」シリーズは、おいしさと使いやすさが評価され採用内定件数が増加しました。食品ロス削減に向けた品種統合は、2023年3月に全製品(約1,000品種)の4割程度を削減する目標に対し、320品種の削減となりました。
食品事業全体では、前期から取り組む販売価格の改定により増収となりました。一方、利益面は、パーム油等の原料価格高騰に対し、販売価格の改定を推し進めましたが、用役・副原料・包装材・物流費のさらなるコスト増をカバーするには至らず、営業損失となりました。
以上の結果、当事業の売上高は前連結会計年度に比べ91億87百万円(同比+12.5%)増収の825億25百万円となり、営業損失は前連結会計年度に比べ17億17百万円減益の24億3百万円(前年同期は6億86百万円の営業損失)となりました。
(ライフサイエンス事業)
国内では、2021年10月から開始したコルテバ社製品の販売が通年にわたり寄与したこと等から、農薬販売は前期を上回りました。海外では、ブラジルの農薬需要が拡大基調にあるなか、同国での農薬販売が好調に推移しました。また、欧州で主にばれいしょ向けで除草剤の販売が好調でした。
医薬品は、一部案件において前倒し受注があったことから、外用抗真菌剤「ルリコナゾール」の販売が堅調に推移しました。
ライフサイエンス事業全体では、海外での農薬販売の拡大により前期に比べ増収増益となりました。
以上の結果、当事業の売上高は前連結会計年度に比べ219億82百万円(同比+27.4%)増収の1,020億82百万円となり、営業利益は前連結会計年度に比べ29億92百万円(同比+62.3%)増益の77億93百万円となりました。
③ 財政状態の状況
当連結会計年度末の総資産は前連結会計年度末に比べ、247億63百万円(前連結会計年度末比+5.2%)増加の5,000億68百万円となりました。
主な要因は、以下のとおりです。
流動資産は前連結会計年度末に比べ、215億34百万円(同比+7.3%)増加の3,154億1百万円となりました。
これは、主に棚卸資産の増加によるものです。
固定資産は前連結会計年度末に比べ、32億29百万円(同比+1.8%)増加の1,846億66百万円となりました。
有形固定資産は前連結会計年度末に比べ、1億70百万円(同比+0.1%)増加の1,194億88百万円となりました。
無形固定資産は前連結会計年度末に比べ、12億1百万円(同比+7.1%)増加の180億44百万円となりました。
これは、主にソフトウェア仮勘定の増加によるものです。
投資その他の資産は前連結会計年度末に比べ、18億57百万円(同比+4.1%)増加の471億33百万円となりました。
これは、主に退職給付に係る資産の増加によるものです。
当連結会計年度末の負債は前連結会計年度末に比べ、99億25百万円(同比+5.6%)増加の1,883億58百万円となりました。
主な要因は、以下のとおりです。
流動負債は前連結会計年度末に比べ、146億35百万円(同比+12.7%)増加の1,294億88百万円となりました。
これは、主に1年内償還社債の増加によるものです。
固定負債は前連結会計年度末に比べ、47億10百万円(同比△7.4%)減少の588億70百万円となりました。
これは、主に社債の減少によるものです。
有利子負債の詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 ⑤ 連結附属明細表」に記載しています。
当連結会計年度末の純資産は前連結会計年度末に比べ、148億38百万円(同比+5.0%)増加の3,117億9百万円となりました。
これは、主に親会社株主に帰属する当期純利益の増加による利益剰余金の増加によるものです。
その結果、自己資本比率は前連結会計年度末52.6%に比べ、0.4ポイント減少の52.2%となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末の資金残高に比べ32億61百万円(前連結会計年度末比△3.9%)減少し、795億37百万円となりました。
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりです。
営業活動による資金収入は、前連結会計年度に比べ38億19百万円(前連結会計年度比△18.1%)減少し、172億53百万円となりました。
これは、主に仕入債務の減少によるものです。
投資活動による資金支出は、前連結会計年度に比べ81億89百万円(同比+72.3%)増加し、195億20百万円となりました。
これは、主に有価証券の取得による支出の増加によるものです。
財務活動による資金支出は、前連結会計年度に比べ91億86百万円(同比△77.8%)減少し、26億18百万円となりました。
これは、主に長期借入金の返済による支出の減少によるものです。
(注) 1.自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
2.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しています。
3.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数により算出しています。
営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しています。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としています。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しています。
4.2023年3月期より、一部の在外子会社等の収益及び費用は、在外子会社等の決算日の直物為替相場により円貨に換算する方法から、期中平均為替相場により円貨に換算する方法に変更し、2022年3月期のキャッシュ・フロー関連指標について、遡及処理後の数値を記載しています。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 1.金額は、販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっています。
2.その他については、生産は行っていません。
その他の一部で受注生産を行っていますが、金額僅少のため省略しています。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 1.セグメント間の取引については、相殺消去しています。
2.販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10以上である販売先はありません。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。また、この連結財務諸表を作成するにあたっては、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積りを用いています。これら繰延税金資産の回収可能性や固定資産の減損等の見積りは、過去の実績やその他の様々な要因を勘案し、合理的に判断していますが、見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果と異なる可能性があります。
なお、固定資産の減損に係る会計上の見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」及び「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。
当連結グループは、事業活動のための適切な資金確保、流動性の維持、並びに健全な財政状態を常に目指し、安定的な資金調達手段の確保に努めています。当連結グループの成長を維持するために将来必要な運転資金及び設備投資・投融資資金は、主に手元のキャッシュと営業活動からのキャッシュ・フローに加え、借入及び社債により調達しています。
当連結会計年度末現在において、当連結グループの流動性は十分な水準にあり、資金調達手段は分散されていることから、財務の柔軟性は高いと考えています。
当連結会計年度末の現金及び現金同等物の総額は795億37百万円となっています。
経営成績に重要な影響を与える要因については、「3 事業等のリスク」に記載のとおりです。