E01020 Japan GAAP
前期
760.9億 円
前期比
124.2%
株価
893 (04/26)
発行済株式数
26,080,396
EPS(実績)
33.93 円
PER(実績)
26.32 倍
前期
786.2万 円
前期比
92.4%
平均年齢(勤続年数)
46.3歳(15.4年)
従業員数
119人(連結:1,710人)
当社グループ(当社および当社の関係会社)は、当社、子会社35社および関連会社4社で構成され、以下のような事業活動を展開しております。
当グループの事業に関わる位置づけは次のとおりであります。
樹脂化成品事業
建築物や船舶などを保護する塗料に使用される塗料用樹脂、商業用印刷や新聞の印刷に使用される印刷インキ用樹脂、自動車用タイヤなどのスチレンブタジエンゴムを製造する際に活用される合成ゴム用乳化剤、宛名用ラベルやシールなどの粘着剤に活用される粘接着剤用樹脂をはじめ、トールロジンやトール脂肪酸などのトール油製品を主な製品として製造・販売しております。
製紙用薬品事業
段ボールなどの紙に強度を付与する紙力増強剤、紙に耐水性や印刷適性を与え、インキのにじみを防ぐサイズ剤、その他紙を製造する工程で使われる表面塗工剤などを主な製品として製造・販売しております。
電子材料事業
自動車用電子機器や家電製品の電子部品を接合するはんだ付け材料、自動車のエアコンやラジエターなどの熱交換器用アルミろう付け材料、パソコンや5G通信に使用される半導体用機能性樹脂などを主な製品として製造・販売しております。
ローター事業
世界7か国に拠点があるローター社が展開するもので、主に粘接着剤用樹脂、印刷インキ用樹脂を製造・販売しております。
その他事業
作州武蔵カントリー倶楽部、ホテル作州武蔵の運営およびグループの不動産を管理するハリマ化成商事株式会社、業務用洗剤を中心に製造販売する株式会社セブンリバー、業務用食品を中心に製造販売するハリマ食品株式会社などであります。
事業の系統図は、次のとおりになります。
なお、当社は特定上場会社等に該当し、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準のうち、上場会社の規模との対比で定められる数値基準については連結ベースの計数に基づいて判断することとなります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績および
キャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
その結果、当社グループの当連結会計年度の連結業績は、売上高は945億1千万円となり、前期に比べ184億1千7百万円(24.2%)の増収となりました。
利益面では、営業利益は17億6百万円となり、原材料価格高騰の影響を受け、前期に比べ15億4千4百万円(△47.5%)の減益となりました。経常利益は25億4千1百万円となり、持分法投資利益が10億4千2百万円ありましたが、為替差損が2億7百万円あったため、前期に比べ8億9千2百万円(△26.0%)の減益となりました。
また、親会社株主に帰属する当期純利益は8億8千5百万円となり、投資有価証券売却益1億9千3百万円、負ののれん発生益1億8千6百万円がありましたが、訴訟損失引当金繰入4億9千2百万円、固定資産解体撤去費1億5百万円があったため、前期に比べ8億6千万円(△49.3%)の減益となりました。
当社グループのセグメント別経営成績の概況は次のとおりであります。
売上高は、原材料価格高騰に対する販売価格への転嫁が一定程度進んだことにより192億5千1百万円と、前期に比べ16億8千5百万円(9.6%)の増収となりました。営業利益は、3千5百万円と原材料価格など製造原価増加の影響を受け、前期に比べ5千5百万円(△61.5%)の減益となりました。
塗料用樹脂は、物価高騰の影響で一般家庭や工場などの塗替え需要が低迷し建築関連の需要が減少したことから、販売数量は前期比で減少となりました。売上高は原材料価格高騰に対する販売価格への転嫁が進み、増加しました。
印刷インキ用樹脂は、商業印刷や新聞などに使用されるインキの需要が前期を下回り、販売数量は前期比で減少となりました。売上高は原材料価格高騰に対する販売価格への転嫁が進み、増加しました。
合成ゴム用乳化剤は、タイヤ生産量が前期比で微減となり、合成ゴムの在庫調整の影響もあり販売数量は前期比で減少しました。売上高は原材料価格高騰に対する販売価格への転嫁が進み、増加しました。
b.製紙用薬品
売上高は、原材料価格高騰に対する販売価格への一部転嫁、および円安の影響により、249億3千3百万円と前期に比べ37億5千9百万円(17.8%)の増収となりました。営業利益は15億3千4百万円となり、原材料価格など製造原価増加の影響を受け、前期に比べ1億1千6百万円(△7.0%)の減益となりました。
紙力増強剤は、国内では、段ボール需要は前期並みとなりましたが、原材料価格高騰に対する販売価格への一部転嫁、東南アジアでの需要拡大により、売上高は増加しました。中国では、紙、板紙の生産量が前期に比べ減少しましたが、円安の影響により、売上高は増加しました。
サイズ剤は、国内では、原材料価格高騰に対する販売価格への転嫁が一定程度進んだことにより売上高は増加しました。米国では、紙、板紙の生産量が前期に比べ減少しましたが、原材料価格の高騰により市場価格が上昇したことから、売上高は増加しました。
(単位:百万円)
c.電子材料
売上高は、買収したはんだ材料事業の立ち上げにより、92億4千1百万円となり、前期に比べ29億3千7百万円(46.6%)の増収となりました。営業利益は1億6千3百万円となり、原材料価格高騰およびはんだ材料事業の償却費増加で、前期に比べ4億9千4百万円(△75.1%)の減益となりました。
はんだ付け材料は、はんだ材料事業の買収と原材料価格高騰に対する販売価格への転嫁により、売上高は増加しました。
熱交換器用ろう付け材料は、原材料価格高騰に対する販売価格への転嫁により、売上高は増加しました。
半導体用機能性樹脂は、5G通信インフラなどの需要拡大により、売上高は増加しました。
(単位:百万円)
d.ローター
売上高は、世界的な景気後退懸念に伴う需要減少の兆しは見られるものの、原材料価格高騰に対して販売価格への転嫁が進んだことにより、387億9千7百万円となり、前期に比べ92億7千9百万円(31.4%)の増収となりました。営業利益は、13億1千5百万円となり、エネルギー価格の高騰や世界的なインフレの影響で製造原価が上昇したことにより、前期に比べ4億5百万円(△23.6%)の減益となりました。
粘接着剤用樹脂の分野では、南米、オセアニア地域で物流の混乱に伴い販売数量は減少しましたが、全体としては通販市場の拡大に伴い宛名用ラベルシールに使用される粘着剤用樹脂の需要が世界的に増加し、また、路面標示塗料用樹脂の需要も北米を中心に堅調に推移したことから売上高は増加しました。
印刷インキ用樹脂の分野では、情報のデジタル化を背景に需要の低迷は継続しているものの、コロナ禍からの経済回復に伴って全地域で需要が回復し、販売数量は増加しました。また、原材料価格高騰に対する販売価格への転嫁により、売上高は増加しました。
(単位:百万円)
当連結会計年度末の総資産は前期末に比べ135億3千4百万円増加し、924億3千9百万円となりました。増減の主な内容は以下のとおりとなりました。
(流動資産)受取手形及び売掛金が21億6千6百万円増加し、商品及び製品が12億9百万円増加し、原材料及び貯蔵品
が23億3千9百万円増加しました。
(固定資産)ヘンケル社資産譲受により顧客基盤が40億4千6百万円増加しました。
(流動負債)支払手形及び買掛金が2億9千2百万円減少しましたが、短期借入金が106億2千4百万円増加しました。
(固定負債)長期借入金が64億7千6百万円減少しました。
(純資産) 為替換算調整勘定が14億3千7百万円増加したことにより純資産は増加しましたが、総資産も増加し
たことにより、自己資本比率は40.1%となりました。
(単位:百万円)
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は62億1千8百万円となり、前連結会計年度末と比べ8億7千9百万円増加しました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は、次のとおりであります。
a.営業活動によるキャッシュ・フローでは、4億6千6百万円の支出となりました。
これは主として、税金等調整前当期純利益が23億2千3百万円、減価償却費24億6千9百万円等があったものの、棚卸資産の増加額が20億4千3百万円、仕入債務の減少額が11億9千万円、持分法による投資利益10億4千2百万円等により、資金の支出が収入を上回ったことによるものであります。
b.投資活動によるキャッシュ・フローでは、66億4千9百万円の支出となりました。
これは主として、顧客基盤の取得による支出が40億6千万円、有形固定資産の取得による支出が35億2千3百万円、資金の支出が収入を上回ったことによるものであります。
c.財務活動によるキャッシュ・フローでは、76億5千7百万円の収入となりました。
これは主として、配当金の支払額9億9千8百万円、自己株式の取得による支出8億6千7百万円等があったものの、短期借入れによる収入101億3千万円等により、資金の収入が支出を上回ったことによるものであります。
③生産、受注および販売の状況
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は販売価格によっております。
当社グループは見込生産を行っており、該当事項はありません。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1. セグメント間取引については、相殺消去しております。
2. 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合は、当該割合が100分の10未満のため、記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりでありま す。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①当連結会計年度の財政状態および経営成績の状況に関する認識および分析・検討内容
(資産)
当連結会計年度末の資産合計は924億3千9百万円となり、前連結会計年度末に比べ135億3千4百万円増加しております。これは主として、流動資産では増収に伴い、受取手形及び売掛金が21億6千6百万円増加しました。固定資産では設備投資の増加に伴い、有形固定資産が37億1千6百万円増加し、無形固定資産が45億1千4百万円増加したためであります。
(負債)
当連結会計年度末の負債合計は516億1千8百万円となり、前連結会計年度末に比べ128億1千8百万円増加しております。これは主として、流動負債では支払手形及び買掛金が2億9千2百万円減少し、短期借入金が106億2千4百万円増加しました。固定負債では長期借入金(一年内返済予定長期借入金を含む)が3億1千万円増加したためであります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産合計は408億2千万円となり、前連結会計年度末に比べ7億1千5百万円増加しております。これは主として、為替換算調整勘定が14億3千7百万円増加し、自己株式が8億2千9百万円増加したことによるものです。
(自己資本比率)
自己資本比率は前連結会計年度末の46.6%から40.1%へと6.5ポイントの減少となりました。連結会計年度末の発行済株式総数に基づく1株当たり純資産額は前連結会計年度末1,459.97円から1,533.01円と73.04円の増加となりました。
(売上高)
当連結会計年度の売上高は945億1千万円となり、前連結会計年度に比べ184億1千7百万円の増収となりました。これは主として、買収したはんだ材料事業立ち上げと、原材料価格高騰に対する販売価格への転嫁が進んだことによるものです。
(売上原価、販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度の売上原価は753億円となり、原材料価格の高騰の影響等により売上原価率が3.3ポイント増加し79.7%となりました。
当連結会計年度の販売費及び一般管理費の合計は175億4百万円となり、販売の増加に伴う運搬費の増加や、旅費交通費等の増加等により27億7千7百万円増加しております。売上高比率は前連結会計年度に比べ0.8ポイント減少の18.5%となりました。
この結果、当連結会計年度の営業利益は17億6百万円となり、前連結会計年度に比べ15億4千4百万円の減益となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
当連結会計年度の営業外収益は14億9千7百万円、営業外費用は6億6千2百万円で、持分法による投資利益が増加したため、営業外利益は8億3千5百万円となりました(前連結会計年度の営業外利益は1億8千3百万円)。
この結果、当連結会計年度の経常利益は、25億4千1百万円となり前連結会計年度に比べ8億9千2百万円の減益となりました。
(特別利益、特別損失)
当連結会計年度の特別利益は3億7千9百万円となり、投資有価証券売却益として1億9千3百万円、負ののれん発生益として1億8千6百万円計上しております。特別損失は5億9千8百万円となり、訴訟損失引当金繰入額として4億9千2百万円、固定資産解体撤去費として1億5百万円計上しております。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
上記の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は8億8千5百万円となり、前連結会計年度に比べ8億6千万円の減益となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容ならびに資本の財源および資金の流動性に係る情報
当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、主に営業活動によるキャッシュ・フローの支出が4億6千6百万円、投資活動によるキャッシュ・フローの支出が66億4千9百万円、財務活動によるキャッシュ・フローの収入が76億5千7百万円あったことにより、前連結会計年度に比べ8億7千9百万円(16.5%)の増加となりました。
当社グループの資金の財源につきましては、短期借入金の残高が183億4千9百万円、長期借入金(一年内返済予定長期借入金を含む)の残高が132億8千4百万円となっております。
また、当社グループの資金の流動性については、当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローの支出が4億6千6百万円であり、当連結会計年度末において現金及び現金同等物を62億1千8百万円保有しております。さらには、金融機関との間にコミットメントライン契約を締結しているので、国内・海外で必要なタイミングで資金調達を行える体制になっております。将来の予測可能な資金需要に対して不足が生じる事態に直面する懸念は少ないと認識しております。
③重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。特に以下の重要な会計方針が、当社グループの連結財務諸表作成において使用される当社グループの重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと考えております。
a.貸倒引当金
当社グループは、顧客の支払不能時に発生する債権の貸倒による損失見積額について、貸倒引当金を計上しております。顧客の財務状態が悪化しその支払能力が低下した場合、追加計上が必要になる可能性があります。
b.投資の減損
当社グループは、長期的な取引関係維持のために、特定の顧客および金融機関の株式を保有しております。これらの株式には、公開会社株式と非公開会社株式が含まれます。当社グループは、投資価値の下落が一時的ではないと判断した場合、投資に対する減損額を計上しております。公開会社株式への投資の場合、通常決算期末時点で株価が取得価額に対して50%以上下落した場合に減損額を計上しております。また、取得価額に対して30%以上50%未満の範囲で下落した場合には、過去における時価の推移等を勘案し、回復可能性がないと判断した銘柄については、減損額を計上しております。非公開会社株式への投資の場合、その会社の純資産額が、投資額に対して50%程度以上、下回る場合に減損額を計上しております。将来、市況悪化または投資先の業績不振により、現在の帳簿価額に反映されていない損失または帳簿価額の回収不能が発生した場合、評価損の計上が必要になる可能性があります。
c.繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産について、回収可能性が高いと考えられる金額を計上しております。繰延税金資産を評価するにあたっては、将来の課税所得および過去の業績等を基準に検討しております。しかし、繰延税金資産の全部または一部を将来回収できないと判断した場合、および計上された繰延税金資産を上回る金額を今後回収できると判断した場合、当該判断を行った各々の期間に繰延税金資産の調整額を費用および収益として計上させることになります。
d.固定資産の減損
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識および測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ、将来キャッシュ・フローの総額が減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。