売上高

利益

資産

キャッシュフロー

セグメント別売上

セグメント別利益

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率


最終更新:

E00883 IFRS

売上高

1.53兆 円

前期

1.55兆 円

前期比

98.8%

時価総額

2.92兆 円

株価

6,273 (04/19)

発行済株式数

465,900,000

EPS(実績)

99.07 円

PER(実績)

63.32 倍

平均給与

802.4万 円

前期

787.2万 円

前期比

101.9%

平均年齢(勤続年数)

41.1歳(17.6年)

従業員数

8,199人(連結:34,257人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

 

3 【事業の内容】

当社及び関係会社(子会社113社、関連会社5社により構成)は、コンシューマープロダクツ事業製品、ケミカル事業製品の製造、販売を主な事業としているほか、これらに附帯するサービス業務等を営んでおります。

事業の内容と当社及び関係会社の当該事業における位置付けは、以下のとおりであります。

なお、下記の事業は「その他」を除き、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表に関する注記事項 6.セグメント情報」に掲げるセグメントの区分と同一であります。

 

事業区分

主要な会社

コンシューマー

プロダクツ事業

ハイジーン&

リビングケア事業

 

ヘルス&

ビューティケア事業

 

ライフケア事業

 

化粧品事業

国内

当社、花王グループカスタマーマーケティング㈱、

花王プロフェッショナル・サービス㈱、ニベア花王㈱、

㈱カネボウ化粧品、㈱エキップ、

その他 9社                     (計15社)

海外

花王(中国)投資有限公司、上海花王有限公司、

花王(合肥)有限公司、花王(上海)産品服務有限公司、

佳麗宝化粧品(中国)有限公司、

Kao(Taiwan)Corporation、Kao Industrial(Thailand)Co., Ltd.、

PT Kao Indonesia、Kao USA Inc.、Oribe Hair Care, LLC、

Bondi Sands (USA) Inc.、Washing Systems, LLC、

Bondi Sands Australia Pty Ltd、Kao Germany GmbH、

Kao Manufacturing Germany GmbH、Molton Brown Limited、

その他 49社                      (計65社)

ケミカル事業

国内

当社、花王クエーカー㈱、昭和興産㈱

                                    (計3社)

海外

花王(上海)化工有限公司、Kao(Taiwan)Corporation、

Pilipinas Kao,Inc.、Kao Industrial(Thailand)Co., Ltd.、

Fatty Chemical(Malaysia)Sdn. Bhd.、Kao America Inc.、

Kao Specialties Americas LLC、Kao Chemicals GmbH、

Kao Chemicals Europe, S.L.、Kao Corporation, S.A.、

その他 15社                      (計25社)

そ  の  他

国内

花王ロジスティクス㈱、

その他 4社                       (計5社)

海外

Misamis Oriental Land Development Corporation、

その他 9社                       (計10社)

 

(注)1.各事業区分の主要製品は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表に関する注記事項 6.セグメント情報 (1) 報告セグメントの概要」のとおりであります。

2.「その他」に区分されたサービス業務等については、セグメント情報において、そのサービス内容に応じて、コンシューマープロダクツ事業、ケミカル事業に振り分けております。

3.各事業毎の会社数は、複数の事業を営んでいる場合にはそれぞれに含めて数えております。

 

 

以上の状況について事業系統図を示すと、以下のとおりであります。

 

※画像省略しています。

 

24/03/22

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、経営成績等)の状況の概要及び経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりです。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものです。

 

(1)経営成績の分析

注:以下、「実質」とは為替変動の影響を除く増減率を表示しています。また、数量等には製品構成差を含んでいます。

  業績の評価及び、将来の予測に有用な情報を提供するため、非定常的な要因により一時的に発生した損益(事業撤退・縮小や資産の除売却から生じる損益等)を除いた利益を「コア利益」として、さらに化粧品のブランド統廃合による返品引当金は売上控除対象となるため、その影響を除いた売上高を「コア売上高」として表示します。なお、下記表内の営業利益以下の下段数値は、「コア利益」に基づいて算出しています。

 

売上高

(億円)

営業利益

(億円)

営業利益率

(%)

税引前利益

(億円)

当期利益

(億円)

親会社の
所有者に
帰属する
当期利益

(億円)

基本的
1株当たり
当期利益

(円)

2023年12月

15,326

600

3.9

638

462

439

94.37

1,147

7.5

1,185

883

860

184.95

2022年12月

15,511

1,101

7.1

1,158

877

860

183.28

増減率

(1.2)%

(45.5)%

(44.9)%

(47.4)%

(49.0)%

(48.5)%

実質(3.8)%

4.2 %

2.3 %

0.6 %

(0.1)%

0.9 %

 

 

当期は、世界中に様々な影響をもたらした新型コロナウイルス感染症が収束し、日常の生活を取り戻しましたが、一方で、成長が続いていた中国市場の減速、欧州や中東での地政学リスクやインフレによるコストの高止まり等、経営環境は不透明な状況が続きました。

 

当社グループの主要市場である日本のコンシューマープロダクツ(トイレタリー及び化粧品)市場は、小売店の販売実績や消費者購入調査データによると前期を上回りました。

このような中、花王グループは人々の生活様式や消費行動、販売チャネル構造の変化、さらには世界的な原材料価格の上昇等への対応に努めました。売上高は、前期に対して1.2%減1兆5,326億円(為替2.6%増、実質3.8%減(内訳:数量等3.6%減、価格0.1%減))となりましたコア売上高は、前期に対して0.7%減の1兆5,409億円(実質3.2%減)となりました。営業利益は、構造改革費用を547億円計上したことにより、600億円(対前期500億円減)、営業利益率は3.9%となりました。コア営業利益は、1,147億円(対前期46億円増)となりました。税引前利益は638億円(対前期520億円減)、当期利益は、462億円(対前期416億円減)となりました。

基本的1株当たり当期利益は94.37円となり、前期の183.28円より88.91円減少(前期比48.5%減)しました。基本的1株当たりコア当期利益は184.95円となり、前期の183.28円より1.67円増加(前期比0.9%増)しました。

当社グループが経営指標としているROIC(投下資本利益率)は4.1%となり、EVA(経済的付加価値)は、NOPAT(税引後営業利益)が増加する中、資本コストが増加し、前期を3億円上回り149億円となりました。

 

当期の海外連結子会社等の財務諸表項目(収益及び費用)の主な為替の換算レートは、次のとおりです。

 

第1四半期

(1-3月)

第2四半期

(4-6月)

第3四半期

(7-9月)

第4四半期

(10-12月)

米ドル

132.29

円[

116.30円]

137.30

円[

129.69円]

144.49

円[

138.27円]

147.84

円[

141.47円]

ユーロ

141.98

円[

130.45円]

149.50

円[

138.14円]

157.23

円[

139.25円]

159.01

円[

144.22円]

中国元

19.33

円[

18.32円]

19.58

円[

19.63円]

19.94

円[

20.20円]

20.45

円[

19.88円]

 

注:[ ]内は前期の換算レート

 

〔セグメント別の概況〕
セグメントの業績

 

売上高

営業利益(上段)

コア営業利益(下段)

通期

増減率

通期

増減

(億円)

2022年
12月期
(億円)

2023年
12月期
(億円)

(%)

実質
(%)

2022年

12月期

2023年

12月期

(億円)

利益率
(%)

(億円)

利益率
(%)

 

 

ファブリック&ホームケア製品

3,421

3,491

2.1

1.3

400

11.7

507

14.5

106

 

 

510

14.6

109

 

 

サニタリー製品

1,745

1,734

(0.6)

(2.6)

(94)

(5.4)

(306)

(17.6)

(212)

 

 

(91)

(5.2)

3

 

ハイジーン&リビングケア事業

5,165

5,225

1.2

0.0

307

5.9

201

3.9

(105)

 

419

8.0

112

 

ヘルス&ビューティケア事業

3,695

3,929

6.3

3.1

346

9.4

405

10.3

59

 

428

10.9

82

 

ライフケア事業

557

563

1.0

(0.6)

(0)

(0.0)

(53)

(9.4)

(53)

 

(13)

(2.3)

(13)

 

化粧品事業

2,515

2,386

(5.1)

(6.7)

141

5.6

(54)

(2.3)

(195)

 

53

2.2

(88)

コンシューマープロダクツ事業

11,933

12,103

1.4

(0.5)

793

6.6

499

4.1

(294)

887

7.3

94

ケミカル事業

4,025

3,661

(9.0)

(13.4)

295

7.3

236

6.4

(60)

248

6.8

(48)

小  計

15,958

15,764

(1.2)

(3.7)

1,089

735

(354)

1,135

46

セグメント間消去又は調整

(447)

(439)

12

(134)

注 (146)

12

0

合  計

15,511

15,326

(1.2)

(3.8)

1,101

7.1

600

3.9

(500)

1,147

7.5

46

 

注:全社共通の構造改革費用

 

 

販売実績

(億円、増減率%)

通期

日本

アジア

米州

欧州

合計

 

 

ファブリック&ホームケア製品

2022年

2,929

455

37

3,421

2023年

3,003

451

38

3,491

増減率

2.5

(0.9)

3.4

2.1

実質

2.5

(6.2)

0.9

1.3

サニタリー製品

2022年

774

970

1

1,745

2023年

804

929

1

1,734

増減率

3.9

(4.2)

(22.2)

(0.6)

実質

3.9

(7.7)

(23.9)

(2.6)

ハイジーン&リビングケア事業

2022年

3,703

1,425

37

5,165

2023年

3,807

1,380

38

5,225

増減率

2.8

(3.2)

2.9

1.2

実質

2.8

(7.2)

0.4

0.0

ヘルス&ビューティケア事業

2022年

2,002

339

906

449

3,695

2023年

2,053

345

1,012

519

3,929

増減率

2.5

2.0

11.6

15.7

6.3

実質

2.5

(2.3)

4.9

5.9

3.1

ライフケア事業

2022年

437

0

118

2

557

2023年

421

1

139

1

563

増減率

(3.7)

67.7

18.2

(11.3)

1.0

実質

(3.7)

64.4

11.0

(18.0)

(0.6)

化粧品事業

2022年

1,607

596

68

244

2,515

2023年

1,535

500

77

274

2,386

増減率

(4.5)

(16.0)

12.9

12.2

(5.1)

実質

(4.5)

(17.9)

5.9

2.5

(6.7)

コンシューマープロダクツ事業

2022年

7,750

2,360

1,129

694

11,933

2023年

7,817

2,226

1,266

794

12,103

増減率

0.9

(5.6)

12.1

14.4

1.4

実質

0.9

(9.2)

5.4

4.7

(0.5)

ケミカル事業

2022年

1,401

982

705

937

4,025

2023年

1,339

867

611

844

3,661

増減率

(4.5)

(11.7)

(13.3)

(9.9)

(9.0)

実質

(4.5)

(15.8)

(21.7)

(18.1)

(13.4)

セグメント間売上高の消去

2022年

(385)

(39)

(2)

(21)

(447)

2023年

(388)

(32)

(1)

(19)

(439)

売上高

2022年

8,766

3,302

1,833

1,610

15,511

2023年

8,768

3,062

1,877

1,620

15,326

増減率

0.0

(7.3)

2.4

0.6

(1.2)

実質

0.0

(11.0)

(5.0)

(8.3)

(3.8)

 

注:コンシューマープロダクツ事業は、外部顧客への売上高を記載しており、ケミカル事業ではコンシューマープロダクツ事業に対する売上高を含めています。地域別の売上高は、販売元の所在地に基づき分類しています。

 

売上高 対前年同期比分析

 

増減率

(%)

 

為替

(%)

実質

(%)

 

数量等
(%)

価格
(%)

 

 

ファブリック&ホームケア製品

2.1

0.7

1.3

(4.0)

5.3

 

 

サニタリー製品

(0.6)

2.0

(2.6)

(7.1)

4.5

 

ハイジーン&リビングケア事業

1.2

1.1

0.0

(5.0)

5.0

 

ヘルス&ビューティケア事業

6.3

3.2

3.1

1.1

2.0

 

ライフケア事業

1.0

1.5

(0.6)

(3.2)

2.6

 

化粧品事業

(5.1)

1.6

(6.7)

(7.3)

0.6

コンシューマープロダクツ事業

1.4

1.9

(0.5)

(3.5)

3.0

ケミカル事業

(9.0)

4.4

(13.4)

(3.8)

(9.6)

合  計

(1.2)

2.6

(3.8)

(3.6)

(0.1)

 

注:ケミカル事業の売上高は、セグメント間取引を含んでいます。

 

売上高に占める海外に所在する顧客への売上高の割合は、前期の45.4%から44.3%となりました。

 

 

コンシューマープロダクツ事業

売上高は、前期に対して1.4%増1兆2,103億円(為替1.9%増、実質0.5%減(内訳:数量等3.5%減、価格3.0%増))となりました。コア売上高は、前期に対して2.1%増の1兆2,187億円(実質0.2%増)となりました。

世界の市場は、新型コロナウイルス感染症の収束に伴い需要は回復傾向にありますが、これまで成長をけん引してきた中国市場は、景況感の悪化やALPS処理水の影響を受け減速しました。このような中、原材料価格の上昇に対応した戦略的値上げを継続的に推進したほか、高付加価値製品の提案やブランドロイヤリティ強化の取り組みにより収益性が向上しました。

以上の結果、日本の売上高は、前期に対して、0.9%増7,817億円となりました。コア売上高は、前期に対して1.9%増の7,900億円となりました。

アジアの売上高は、5.6%減2,226億円(実質9.2%減)となりました。米州の売上高は、12.1%増1,266億円(実質5.4%増)となり、欧州の売上高は、14.4%増794億円(実質4.7%増)となりました。

営業利益は、減損損失を含む構造改革費用388億円の計上の影響等により、499億円(対前期294億円減)となりました。コア営業利益は、戦略的値上げを実施し原材料価格の上昇を吸収したこと等により、887億円(対前期94億円増)となりました。

 

当社は、〔ハイジーン&リビングケア事業〕、〔ヘルス&ビューティケア事業〕、〔ライフケア事業〕、〔化粧品事業〕を総称して、コンシューマープロダクツ事業としております。

 

〔ハイジーン&リビングケア事業〕

売上高は、前期に対し1.2%増5,225億円(為替1.1%増、実質0.0%増(内訳:数量等5.0%減、価格5.0%増))となりました。

ファブリック&ホームケア製品の売上高は、前期に対して2.1%増3,491億円(為替0.7%増、実質1.3%増(内訳:数量等4.0%減、価格5.3%増)となりました。

ファブリックケア製品では、日本では、衣料用洗剤で戦略的値上げの実施と新製品・改良品の発売が寄与し、売り上げは市場伸長を上回り、シェアも拡大しました。また、下期に改良と値上げを実施した衣料用漂白剤「ワイドハイター」が好調に推移し、柔軟仕上げ剤は回復傾向にあります。

ホームケア製品の売り上げは、ほぼ前期並みでした。日本では、食器用洗剤「キュキュット」の改良等により、売り上げ、シェアを伸ばしたほか、新しいトイレ掃除を提案した「トイレマジックリン」の新製品が好調に推移しました。

ファブリック&ホームケア製品のコア営業利益は、510億円(対前期109億円増)となりました。

サニタリー製品の売上高は、前期に対して0.6%減1,734億円(為替2.0%増、実質2.6%減(内訳:数量等7.1%減、価格4.5%増)となりました。

生理用品「ロリエ」は、日本では共感型コミュニケーションによりロイヤルユーザーが増加すること等でブランド力が向上し、売り上げ、シェアが伸長しました。中国ではALPS処理水の影響で販売促進活動を抑制したことの影響を受けました。ベビー用紙おむつ「メリーズ」の売り上げは前期を下回りました。日本では、戦略的値上げを実施しましたが、中国向けの越境ECが苦戦し、売り上げは前期を下回りました。中国では市場縮小や厳しい競争環境により、売り上げは前期を下回りました。インドネシアは好調に推移しました。

また、2023年12月11日にエステー株式会社と猫用システムトイレ「ニャンとも清潔トイレ」に関する事業の譲渡契約を締結しました。

サニタリー製品のコア営業利益は、91億円(対前期3億円増)の損失となりました。

ハイジーン&リビングケア事業の営業利益は、ベビー用紙おむつ事業等で減損損失を含む構造改革費用を218億円計上し201億円(対前期105億円減)となり、コア営業利益は、ファブリック&ホームケア製品で、原材料価格の上昇に対して戦略的値上げを積極的に実施し、収益性が改善し419億円(対前期112億円増)となりました。

 

〔ヘルス&ビューティケア事業〕

売上高は、前期に対して6.3%増3,929億円(為替3.2%増、実質3.1%増(内訳:数量等1.1%増、価格2.0%増))となりました。

スキンケア製品の売り上げは前期を上回りました。日本では人流の回復に加え、猛暑に対応した「ビオレ」のUVケア製品等のシーズン品やメイク落としの新製品が貢献し、売り上げ、シェアともに伸長しました。米州では、売り上げは前期を上回りました。

なお、2023年11月にプレミアムスキンケアブランド「Bondi Sands(ボンダイサンズ)」を有するBondi Sands Australia Pty Ltdの買収を完了し、連結子会社としました。

ヘアケア製品の売り上げは伸長しました。日本では厳しい競争環境の中、「エッセンシャル」の新製品・改良品が順調に推移したほか、11月に発売した「ケープ」の新製品が貢献し、売り上げ、シェアともに伸ばしました。欧州では、売り上げは前期を上回りました。ヘアサロン向け製品は、米国の「ORIBE」が、Eコマースを中心に好調に推移しました。

パーソナルヘルス製品は、売り上げは前期並みでした。日本では、新しいマーケティング施策により「めぐりズム」の売り上げは伸長しましたが、入浴剤は市場縮小の影響を受けました。

営業利益は、構造改革費用を23億円計上し、405億円(対前期59億円増)となりました。コア営業利益は、428億円(対前期82億円増)となりました。

 

 

〔ライフケア事業〕

売上高は、前期に対して1.0%増563億円(為替1.5%増、実質0.6%減(内訳:数量等3.2%減、価格2.6%増))となりました。

業務用衛生製品の売り上げは、前期を上回りました。日本では外食産業や宿泊施設等で厨房用洗浄剤や客室消耗品の需要が高まりましたが、消毒剤の市場縮小により売り上げはほぼ横ばいでした。米国では対象業界の回復、新規顧客の獲得等で売り上げは前期を上回りました。

健康飲料は、特定保健用食品「ヘルシア」の売り上げは減少しました。

営業利益は、構造改革で原材料の評価減等を40億円計上したことにより、53億円(対前期53億円減)の損失となりました。コア営業利益は、13億円(対前期13億円減)の損失となりました。

 

〔化粧品事業〕

売上高は、前期に対して5.1%減2,386億円(為替1.6%増、実質6.7%減(内訳:数量等7.3%減、価格0.6%増))となりました。コア売上高は、前期に対して1.8%減の2,469億円(実質3.4%減)となりました。

日本では、構造改革による返品の計上や韓国のトラベルリテールにおける代理購買抑制等の影響を受け、売り上げは前期を下回りました。コア売上高は、「KANEBO」や「KATE」等のグローバル戦略ブランド「G11」が好調を維持し、前期を上回りました。中国の売り上げは、ALPS処理水の影響によりKOL(キー・オピニオン・リーダー)の活動自粛や販売促進活動の抑制等により大幅に前期を下回りました。欧州では、市場が低迷する中、「MOLTON BROWN」の新製品が順調に推移するとともに、「SENSAI」はリニューアルした新製品や既存品のプロモーションが奏功し、売り上げは前期を上回りました。

営業利益は、構造改革で返品引当金や原材料の処分等を107億円計上したことにより、54億円(対前期195億円減)の損失となりました。コア営業利益は、53億円(対前期88億円減)となりました。

 

ケミカル事業

売上高は、前期に対して9.0%減3,661億円(為替4.4%増、実質13.4%減(内訳:数量等3.8%減、価格9.6%減))となりました。

油脂製品では、天然油脂価格の下落に伴う販売価格の改定と海外における顧客の在庫調整の長期化が影響し、売り上げは減少しました。

機能材料製品は、コスト増に対する販売価格の改定が寄与しましたが、需要低迷の影響を受けた分野があり、売り上げは前期を下回りました。

情報材料製品では、ハードディスクや半導体関連分野の需要の低迷が続き、売り上げは減少しました。

営業利益は、景気回復の遅れに伴う需要の減少と油脂製品の利幅の縮小が影響、さらに構造改革費用を12億円計上したことにより236億円(対前期60億円減)となりました。コア営業利益は、248億円(対前期48億円減)となりました。

 

(2)財政状態の分析

(連結財政状態)

 

前連結会計年度

2022年12月末

当連結会計年度

2023年12月末

増減

資産合計(億円)

17,264

17,697

434

負債合計(億円)

7,310

7,577

267

資本合計(億円)

9,954

10,120

167

親会社所有者帰属持分比率

56.3%

55.6%

-

1株当たり親会社所有者帰属持分(円)

2,091.20

2,116.01

24.81

社債及び借入金(億円)

1,278

1,385

106

 

 

資産合計は、前期末に比べ434億円増加し、1兆7,697億円となりました。主な増加は、のれん270億円現金及び現金同等物234億円無形資産216億円であり、主な減少は、有形固定資産188億円棚卸資産146億円です。

負債合計は、前期末に比べ267億円増加し、7,577億円となりました。主な増加は、契約負債等128億円、引当金127億円、社債及び借入金106億円であり、主な減少は、リース負債125億円です。

資本合計は、前期末に比べ167億円増加し、1兆120億円となりました。主な増加は、当期利益462億円在外営業活動体の換算差額402億円であり、主な減少は、配当金702億円です。

なお、親会社所有者帰属持分比率は、前期末の56.3%から55.6%となりました。親会社所有者帰属持分当期利益率(ROE)は4.5%となりました。

 

 

(3)キャッシュ・フローの分析

(連結キャッシュ・フローの状況)

 

通期

増減

(億円)

2022年12月期

(億円)

2023年12月期

(億円)

営業活動によるキャッシュ・フロー

1,309

2,025

716

投資活動によるキャッシュ・フロー

(749)

(1,093)

(344)

フリー・キャッシュ・フロー(営業活動+投資活動)

560

932

372

財務活動によるキャッシュ・フロー

(1,393)

(800)

593

 

 

営業活動によるキャッシュ・フローは、2,025億円となりました。主な増加は、減価償却費及び償却費896億円税引前利益638億円、棚卸資産の増減額294億円減損損失217億円、営業債権及びその他の債権の増減額205億円、引当金の増減額125億円であり、主な減少は、法人所得税等の支払額246億円、営業債務及びその他の債務の増減額194億円です。

投資活動によるキャッシュ・フローは、△1,093億円となりました。主な内訳は、有形固定資産の取得による支出542億円企業結合による支出408億円無形資産の取得による支出123億円です。

営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合計したフリー・キャッシュ・フローは、932億円となりました。

財務活動によるキャッシュ・フローは、△800億円となりました。安定的かつ継続的な配当を重視しており、またEVA及びROIC視点から資本効率の向上を目的として、自己株式の取得及び消却も弾力的に行っています。当期の主な内訳は、非支配持分への支払いを含めた支払配当金703億円、リース負債の返済による支出214億円です。なお、2023年3月に借入金400億円を返済し、適正な資本コスト率の維持及び成長投資のための財務基盤の強化を目的に、同額の借り入れを行いました。その借り入れのうち200億円については、SPTs(サステナビリティ・パフォーマンス・ターゲット)の達成状況に応じて金利が変動するサステナビリティ・リンク・ローンを利用しています。また、社債の発行と償還を行い、その内訳は、社債の発行による収入249億円社債の償還による支出250億円です。発行した社債は、SPTsの達成状況に応じて利率が変動する、サステナビリティ・リンク・ボンドです。

当期末の現金及び現金同等物の残高は、為替変動による影響を含めて前期末に比べ234億円増加し、2,917億円となりました。

なお、構造改革に係る営業利益への影響額547億円のうち、当期支出した金額は25億円であり、次期以降、135億円の支出を見込んでいます。

 

(4)重要な会計方針及び見積り

当社の連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(昭和51年大蔵省令第28号。以下、「連結財務諸表規則」)第93条の規定により、国際会計基準(以下、「IFRS」)に準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、採用している重要な会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表に関する注記事項 3.重要性がある会計方針」及び「4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載のとおりであります。

 

(5)資本の財源及び資金の流動性についての分析

使用権資産を含む重要な資本的支出の2024年度の予定額は、約900億円であり、主に当社グループ内の資金を有効活用する予定であります。なお、計画については「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりであります。

 

(6)生産、受注及び販売の実績

当社グループの生産・販売品目は、産業界向けのケミカル製品から一般消費者向けのコンシューマー製品まで極めて多種多様であり、それら製品の在庫をほぼ一定の必要水準に保つように、主として見込み生産を行っております。従って、生産実績は販売実績に類似しております。生産及び販売の実績については、「(1) 経営成績の分析」に記載のとおりであります。

 

(7)経営成績に重要な影響を与える要因

経営成績に重要な影響を与える要因については、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

(8)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」、達成状況は、「(1) 経営成績の分析」に記載のとおりであります。