E00883 IFRS
当第1四半期連結累計期間における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、経営成績等)の状況の概要及び経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、以下のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当社グループが当四半期連結会計期間の末日現在において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の結果とは様々な要因により大きく異なる可能性があります。
注:以下、「実質」とは為替変動の影響を除く増減率を表示しています。また、数量等には製品構成差を含んでいます。
世界経済は着実に回復傾向にあるものの、その足取りは国や地域によって異なる様相を呈しています。日本経済は緩やかな回復基調にあります。一方で、中国経済の減速、欧州や中東での地政学リスク、さらには原材料価格上昇等により、先行きは不透明な状況にあります。
当社グループの主要市場である日本のコンシューマープロダクツ(トイレタリー及び化粧品)市場は、小売店の販売実績や消費者購入調査データによると、2024年1月から3月において前年同期を上回りました。
当社グループは、2023年8月3日に発表した花王グループ中期経営計画「K27」をスタートさせ、顧客の重大なニーズに、エッジの効いたソリューションで世界No.1の貢献をする「グローバル・シャープトップ戦略」を推進しています。
売上高は、前年同期に対して5.2%増の3,658億円(為替4.8%増、実質0.4%増(内訳:数量等0.2%増、価格0.2%増))となりました。営業利益は220億円(対前年同期147億円増)となり、税引前四半期利益は248億円(対前年同期163億円増)となりました。四半期利益は173億円(対前年同期120億円増)となりました。
当第1四半期の海外連結子会社等の財務諸表項目(収益及び費用)の主な為替の換算レートは、次のとおりです。
注:[ ]内は前年同期の換算レート
セグメントの業績
販売実績
(億円、増減率%)
注:コンシューマープロダクツ事業は、外部顧客への売上高を記載しており、ケミカル事業では、コンシューマープロダクツ事業に対する売上高を含めています。地域別の売上高は、販売元の所在地に基づき分類しています。
売上高 対前年同期比分析
注:ケミカル事業の売上高は、セグメント間取引を含んでいます。
売上高に占める海外に所在する顧客への売上高の割合は、前年同期の48.2%から47.4%となりました。
コンシューマープロダクツ事業
売上高は、前年同期に対して6.0%増の2,812億円(為替3.8%増、実質2.2%増(内訳:数量等0.5%減、価格2.6%増))となりました。
世界では、インフレ基調が続く中、個人消費は回復傾向にあります。日本市場では消費の持ち直しやインバウンド需要に回復の動きが見られた一方で、中国市場では、景況感の悪化やALPS処理水の影響を受けました。このような中、高付加価値製品の提案による価格改定やブランドロイヤリティ強化の取り組み等により収益性が向上しました。
日本の売上高は、前年同期に対して6.2%増の1,731億円となりました。
アジアでは、売上高は2.8%減の541億円(実質10.1%減)となりました。
米州の売上高は、11.3%増の330億円(実質0.4%減)となり、欧州の売上高は、24.2%増の210億円(実質8.5%増)となりました。
営業利益は、価格改定を含む構造改革効果が寄与し148億円(対前年同期114億円増)となりました。
〔ハイジーン&リビングケア事業〕
売上高は、前年同期に対し4.9%増の1,194億円(為替2.3%増、実質2.6%増(内訳:数量等2.5%減、価格5.1%増))となりました。
ファブリック&ホームケア製品の売上高は、前年同期に対して10.5%増の784億円(為替1.3%増、実質9.2%増(内訳:数量等3.9%増、価格5.3%増))となりました。
ファブリックケア製品では、日本の衣料用洗剤で高付加価値化による価格改定の効果が継続したこと等により、売り上げは市場伸長を上回り、シェアも拡大しました。柔軟仕上げ剤は「ハミング 消臭実感」の改良品が好調で、シェアも回復傾向にあります。
ホームケア製品の売り上げは、前年同期を上回りました。日本では、食器用洗剤「キュキュット」が売り上げ、シェアを伸ばしたほか、バスクリーナーやトイレクリーナーの高付加価値製品が好調を維持しています。
ファブリック&ホームケア製品の営業利益は、126億円(対前年同期70億円増)となりました。
サニタリー製品の売上高は、前年同期に対して4.2%減の410億円(為替4.0%増、実質8.3%減(内訳:数量等13.2%減、価格4.9%増))となりました。
生理用品「ロリエ」は、日本では共感型コミュニケーションによりブランドロイヤリティが向上したことで、売り上げは好調に推移しました。中国ではALPS処理水の影響を受けました。ベビー用紙おむつ「メリーズ」の売り上げは、前年同期を下回りました。
サニタリー製品の営業利益は、ベビー用紙おむつ事業の構造改革効果等により6億円(対前年同期35億円増)となりました。
ハイジーン&リビングケア事業の営業利益は、131億円(対前年同期105億円増)となりました。
〔ヘルス&ビューティケア事業〕
売上高は、前年同期に対して9.1%増の948億円(為替6.2%増、実質2.9%増(内訳:数量等3.2%増、価格0.3%減))となりました。
スキンケア製品の売り上げは、前年同期を上回りました。日本では、高付加価値製品が貢献し、売り上げ、シェアともに伸長しました。また、2023年11月に買収した「Bondi Sands」の売り上げも寄与しています。
ヘアケア製品の売り上げは、前年同期を上回りました。日本では厳しい競争環境の中、新ヘアケアブランド「melt」を発売し、新プレミアム戦略を本格的にスタートさせました。米州では、「JOHN FRIEDA」の新製品が好調に推移し、売り上げは前年同期を上回りました。欧米のヘアサロン向け製品は、前年同期を下回りました。
パーソナルヘルス製品の売り上げは、前年同期を下回りました。「めぐりズム」は好調に推移しましたが、入浴剤が市場縮小の影響を受けました。
営業利益は、66億円(対前年同期8億円増)となりました。
〔ライフケア事業〕
売上高は、前年同期に対して3.1%減の124億円(為替3.0%増、実質6.1%減(内訳:数量等9.3%減、価格3.2%増))となりました。
業務用衛生製品の売り上げは、前年同期を下回りました。日本では、外食産業や宿泊施設等で厨房用洗浄剤や客室消耗品の需要が引き続き高まりましたが、消毒剤は市場縮小の影響を受けました。米国の売り上げは、ほぼ横ばいでした。
営業利益は、3億円(対前年同期3億円増)の損失となりました。
〔化粧品事業〕
売上高は、前年同期に対して5.4%増の546億円(為替3.4%増、実質2.0%増(内訳:数量等0.1%増、価格1.9%増))となりました。
日本では市場が回復する中、「KANEBO」や「ALLIE」等のグローバル戦略ブランド「G11」が好調を維持し、売り上げは前年同期を上回りました。中国では、ALPS処理水等の影響により「キュレル」が苦戦し、売り上げは減少しました。欧州では「SENSAI」の新製品が寄与しシェアが拡大しました。さらに、「MOLTON BROWN」が好調で、売り上げは前年同期を上回りました。
営業利益は、47億円(対前年同期1億円減)の損失となりました。
ケミカル事業
売上高は、前年同期に対して1.4%増の945億円(為替7.1%増、実質5.8%減(内訳:数量等0.9%増、価格6.7%減))となりました。
油脂製品では、顧客の需要は回復基調に入りましたが、天然油脂価格の下落に伴う販売価格改定の影響があり、売り上げは減少しました。
機能材料製品は、国内の自動車関連分野等の一部対象市場の減速と海外での競争激化の影響を受けて、売り上げは減少しました。
情報材料製品では、ハードディスクや半導体関連分野の需要が回復傾向で、その着実な取込みを通じて、売り上げは伸長しました。
営業利益は、油脂製品を中心とした利幅の改善に加え、需要の回復を捉えて伸長した分野の貢献で、81億円(対前年同期40億円増)となりました。
資産合計は、前連結会計年度末に比べ19億円増加し、1兆7,717億円となりました。主な増加は、棚卸資産130億円であり、主な減少は、現金及び現金同等物381億円です。
負債合計は、前連結会計年度末に比べ129億円減少し、7,448億円となりました。主な減少は、未払法人所得税等68億円です。
資本合計は、前連結会計年度末に比べ148億円増加し、1兆268億円となりました。主な増加は、在外営業活動体の換算差額317億円、四半期利益173億円であり、主な減少は、配当金353億円です。
なお、親会社所有者帰属持分比率は、前連結会計年度末の55.6%から56.3%となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、△38億円となりました。主な増加は、税引前四半期利益248億円、減価償却費及び償却費221億円、主な減少は、法人所得税等の支払額140億円、営業債務及びその他の債務の増減額128億円です。
投資活動によるキャッシュ・フローは、△130億円となりました。主な内訳は、有形固定資産の取得による支出104億円です。
営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローを合計したフリー・キャッシュ・フローは、△168億円となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、△313億円となりました。主な内訳は、非支配持分への支払いを含めた支払配当金342億円です。
当第1四半期末の現金及び現金同等物の残高は、為替変動による影響を含めて前連結会計年度末に比べ381億円減少し、2,535億円となりました。
当第1四半期連結累計期間における研究開発費は、162億円です。
中国経済の減速、欧州や中東での地政学リスク、さらには、原材料価格の上昇等の不透明な事業環境を想定しています。このような中、花王グループ中期経営計画「K27」を達成するため「グローバル・シャープトップ戦略」を推進し、戦略ブランドへの集中投資やROIC(投下資本利益率)のより一層の改善を進めながら公表数値の達成を目指していきます。
連結業績予想の数値については、2024年5月9日公表の「2024年12月期 第1四半期決算短信」を参照ください。