E00884 Japan GAAP
前期
1,625.3億 円
前期比
107.7%
株価
4,150 (04/23)
発行済株式数
23,534,752
EPS(実績)
241.52 円
PER(実績)
17.18 倍
前期
762.0万 円
前期比
100.0%
平均年齢(勤続年数)
41.1歳(17.0年)
従業員数
1,325人(連結:2,089人)
当社グループは、当社、子会社20社及び関連会社5社で構成され、生活・健康産業関連分野、石油・輸送機産業関連分野、プラスチック・繊維産業関連分野、情報・電気電子産業関連分野、環境・住設産業関連分野他の各産業関連製品の製造・販売、技術供与を主な内容とし、さらに関連する物流、その他のサービス等の事業活動を展開しております。
当社グループの事業内容及び当社と関係会社の当該事業に係る位置付けは次のとおりであります。
なお、次の5分野は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」に掲げるセグメントの区分と同一であります。
[化学品事業]
生活・健康産業関連 分野 |
洗剤やヘアケア製品用の界面活性剤および殺菌・抗菌剤などを当社およびサンヨーカセイ(タイランド)リミテッドが製造・販売しているほか、ポリエチレングリコール等をサンケミカル㈱が製造し、当社が全量引き取り販売しております。また、紙パルプ用薬剤等をサンノプコ㈱が、高吸水性樹脂をSDPグローバル㈱、三大雅精細化学品(南通)有限公司、SDPグローバル(マレーシア)SDN.BHD.が製造・販売しております。
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石油・輸送機産業 関連分野 |
ポリウレタンフォーム原料等を当社およびサンケミカル㈱が製造し、自動車等のシート用原料として当社が販売しております。サンケミカル㈱が製造した製品は当社が全量引き取り販売しております。自動車内装表皮材用ウレタンビーズを当社が製造・販売しているほか、サンヨーケミカル・テキサス・インダストリーズLLCが製造し、サンナム・コーポレーション(現・サンヨーケミカル・アメリカInc.)が全量引き取り販売しております。変速機用やエンジン用オイルの潤滑油に添加する薬剤を、当社が製造・販売しているほか、三洋化成精細化学品(南通)有限公司が製造し、三洋化成(上海)貿易有限公司が全量引き取り販売しております。また、韓国三洋化成製造㈱が製造し、当社および韓国三洋化成㈱が全量引き取り販売しております。
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プラスチック・繊維 産業関連分野 |
永久帯電防止剤や顔料分散剤を当社およびサンヨーカセイ(タイランド)リミテッドが、樹脂改質剤等を当社が製造・販売しているほか、塗料用薬剤をサンノプコ㈱が製造・販売しております。
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情報・電気電子産業 関連分野 |
複写機やプリンター用トナーバインダー及び重合トナー中間体を当社が製造・販売しています。
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環境・住設産業関連 分野他 |
廃水処理用高分子凝集剤などを当社が販売しているほか、ポリウレタン断熱材の原料を当社およびサンケミカル㈱が製造し、当社が販売しております。 |
[その他事業]
物流 |
三洋化成ロジスティクス㈱が保管・出荷業務・工場内荷役作業及び運送、塩浜ケミカル倉庫㈱が保管・荷役・運送取扱いを行っております。
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当社グループの主な会社の事業系統図は次のとおりであります。
※画像省略しています。
(注)
1.2022年4月1日付でサンナム・コーポレーションはサンヨーケミカル・アメリカInc.に商号を変更しております。
2.韓国三洋化成(株)は重要性が増したため当連結会計年度より連結子会社にしております。
3.セグメント別には区分しておりません。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響による経済活動の制限が緩和され、個人消費や輸出に持ち直しの動きが見られましたが、サプライチェーンの混乱や原材料・部品の供給制約が続くなど依然として厳しい状況となりました。世界経済は、米欧は金融引き締めを通じた景気減速懸念があり、中国は行動制限による景気下振れからの回復に力強さを欠いている中、ロシア・ウクライナ情勢の長期化による資源エネルギー価格の高止まり・物価上昇など、先行き不透明な状況にあります。
化学業界におきましては、為替相場は米欧の利上げなどによる急激な円安進行後、米欧の景気減速懸念や日銀の金融緩和策の修正などから一転して円高方向に推移し、また原油価格は世界的な景気減速懸念と供給不安から価格上昇下落双方の思惑が交錯し方向感のない動きになるなど、事業環境は予断を許さない状況にあります。
このような環境下における当連結会計年度の売上高は、原料価格上昇に伴う販売価格の改定などにより1,749億7千3百万円(前期比7.7%増)となりました。利益面では、販売量の減少、販売費および一般管理費の増加などにより営業利益は84億5百万円(前期比29.2%減)、経常利益は99億1千8百万円(前期比22.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は56億8千4百万円(前期比15.2%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントに帰属しない新規事業にかかる研究開発費の配賦方法の見直しをしております。前年同期の数値を変更後の配賦方法で算出した数値で比較しております。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(セグメント情報等)」をご参照ください。
<生活・健康産業関連分野>
生活産業関連分野は、ポリエチレングリコールが中国・上海市でのロックダウンの影響により需要が減少したものの、製紙関連薬剤が堅調であったことにより、売上高は順調に推移しました。
健康産業関連分野は、高吸水性樹脂が全拠点で販売数量を減らし、原料価格上昇に伴う販売価格の改定により売上高は微増となったものの営業利益は大幅に減少しました。
以上の結果、当セグメントの売上高は570億6千8百万円(前期比3.9%増)、営業利益は1億1千3百万円(前期比94.2%減)となりました。
<石油・輸送機産業関連分野>
石油・輸送機産業関連分野は、自動車シートなどに使われるポリウレタンフォーム用原料、自動車内装表皮材用ウレタンビーズおよび潤滑油添加剤が自動車生産調整により需要が減少したものの、原料価格高騰による価格改定により売上高は増加しました。
以上の結果、当セグメントの売上高は482億7千9百万円(前期比13.5%増)、販売量の減少などにより営業利益は29億8千8百万円(前期比20.5%減)となりました。
<プラスチック・繊維産業関連分野>
プラスチック産業関連分野は、永久帯電防止剤が低調でしたが、塗料コーティング用薬剤・添加剤が海外向けに売り上げを伸ばし、好調に推移しました。
繊維産業関連分野は、炭素繊維用薬剤が順調に売り上げを伸ばし、また合成皮革・弾性繊維用ウレタン樹脂の販売も好調に推移し、売上高は大幅に増加しました。
以上の結果、当セグメントの売上高は281億7千7百万円(前期比10.6%増)、販売量の減少などにより営業利益は28億3千7百万円(前期比23.6%減)となりました。
<情報・電気電子産業関連分野>
情報産業関連分野は、コロナ禍で落ち込んだオフィスでの印刷需要が回復し、重合トナー用ポリエステルビーズの原料、粉砕トナー用バインダーの販売がともに好調に推移したため、売上高は大幅に増加しました。
電気電子産業関連分野は、半導体市場の減速に伴い、汎用レジスト用材料の需要は減少しましたが、先端レジスト用材料の感光材が売り上げを伸ばし、またアルミ電解コンデンサ用電解液も大幅に売り上げが増加したため、売上高は好調に推移しました。
以上の結果、当セグメントの売上高は231億6千3百万円(前期比10.4%増)、営業利益は25億5千8百万円(前期比1.9%増)となりました。
<環境・住設産業関連分野他>
環境産業関連分野は、海外向け高分子凝集剤用のカチオンモノマーの需要が低迷しましたが、原料価格高騰による価格改定により売上高は増加しました。
住設産業関連分野は、家具・断熱材などに用いられるポリウレタンフォーム用原料の販売が巣ごもり需要の一巡により低調となりました。
以上の結果、当セグメントの売上高は182億8千4百万円(前期比1.7%減)、営業利益は14億8百万円(前期比11.3%減)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
|
前連結会計年度 (百万円) |
当連結会計年度 (百万円) |
増減 (百万円) |
営業活動によるキャッシュ・フロー |
11,328 |
10,852 |
△476 |
投資活動によるキャッシュ・フロー |
△11,704 |
△10,172 |
1,531 |
財務活動によるキャッシュ・フロー |
△5,979 |
△2,336 |
3,642 |
現金及び現金同等物に係る換算差額 |
878 |
193 |
△685 |
現金及び現金同等物の増減額 |
△5,475 |
△1,462 |
4,012 |
現金及び現金同等物の期末残高 |
18,171 |
17,042 |
△1,129 |
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末残高と比較し11億2千9百万円減少し、170億4千2百万円となりました。
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金の増加は、108億5千2百万円(前期は113億2千8百万円の増加)となりました。これは、税金等調整前当期純利益94億1千4百万円、減価償却費102億3千9百万円などによる資金の増加が、棚卸資産の増加43億5千1百万円、法人税等の支払額38億3千9百万円などによる資金の減少を上回ったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の減少は、101億7千2百万円(前期は117億4百万円の減少)となりました。これは、固定資産の取得に93億8千2百万円を支出したことなどによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の減少は、23億3千6百万円(前期は59億7千9百万円の減少)となりました。これは、配当金の支払額37億4千3百万円、長期借入金の返済による支出8億5千万円による資金の減少が、長期借入れによる収入21億8千8百万円による資金の増加を上回ったことなどによるものです。
③生産、受注及び販売の実績
(a)生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
前期比 (%) |
金額(百万円) |
||
生活・健康産業関連分野 |
60,549 |
12.9 |
石油・輸送機産業関連分野 |
44,140 |
5.1 |
プラスチック・繊維産業関連分野 |
28,126 |
7.4 |
情報・電気電子産業関連分野 |
26,031 |
6.9 |
環境・住設産業関連分野他 |
18,894 |
3.2 |
合計 |
177,742 |
8.1 |
(注)1.生産金額は、平均販売価格により計算しており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2.生産実績には委託生産品(商品仕入高)を含んでおりません。
(b)受注実績
当社グループ(当社及び連結子会社)は、受注生産方式ではなく、主として見込生産を行っております。
(c)販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
前期比 (%) |
金額(百万円) |
||
生活・健康産業関連分野 |
57,068 |
3.9 |
石油・輸送機産業関連分野 |
48,279 |
13.5 |
プラスチック・繊維産業関連分野 |
28,177 |
10.6 |
情報・電気電子産業関連分野 |
23,163 |
10.4 |
環境・住設産業関連分野他 |
18,284 |
△1.7 |
合計 |
174,973 |
7.7 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及びその総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 (自 2021年4月1日 至 2022年3月31日) |
当連結会計年度 (自 2022年4月1日 至 2023年3月31日) |
||
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
豊通ケミプラス㈱ |
15,465 |
9.5 |
17,016 |
9.7 |
豊田通商㈱ |
14,875 |
9.2 |
14,902 |
8.5 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
①経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、原料価格上昇に伴う販売価格の改定などにより、1,749億7千3百万円(前期比7.7%増)となりました。
(売上原価、販売費及び一般管理費)
売上原価は、前期比146億8千7百万円増加し、売上原価率も前連結会計年度の78.6%から81.4%へ2.8ポイント増加しました。
販売費及び一般管理費は、前期比12億2千2百万円増加し、対売上高比率は前連結会計年度の14.1%から13.8%へ0.3ポイント減少しました。
研究開発費は、前期比4千1百万円増加し、対売上高比率は前連結会計年度の3.5%から3.3%へ0.2ポイント減少しました。
(営業利益、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益)
営業利益は、84億5百万円(前期比29.2%減)となりました。また、売上高営業利益率は前連結会計年度の7.3%から4.8%へ2.5ポイント減少しました。
経常利益は、99億1千8百万円(前期比22.3%減)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、56億8千4百万円(前期比15.2%減)となりました。
②財政状態の分析
(流動資産)
流動資産は、現金及び預金が10億5千7百万円減少しましたが、商品及び製品が35億6千1百万円、原材料及び貯蔵品が11億1千8百万円増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べて35億6千万円増加し、973億2千4百万円となりました。
(固定資産)
固定資産は、無形固定資産が26億2千8百万円増加しましたが、有形固定資産が15億9千7百万円、投資有価証券が16億9千8百万円減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べて15億7千1百万円減少し、1,048億5千7百万円となりました。
(流動負債)
流動負債は、短期借入金が9億6千万円増加しましたが、1年内返済予定の長期借入金が3億7千5百万円、未払法人税等が5億7千万円、賞与引当金が3億4百万円、買掛金が2億6千8百万円減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べて9億6千6百万円減少し、469億3千8百万円となりました。
(固定負債)
固定負債は、繰延税金負債が5億7千8百万円減少しましたが、長期借入金が17億5千9百万円増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べて9億9千2百万円増加し、62億4千9百万円となりました。
流動資産から流動負債を差し引いた運転資本は503億8千6百万円、流動比率は207.3%となりました。
(純資産)
純資産は、前連結会計年度末に比べ19億6千2百万円増加し、1,489億9千4百万円となりました。自己資本比率は、前連結会計年度末と変わらず72.2%となりました。また、1株当たり純資産は、前連結会計年度末の6,549.60円から6,617.11円と67.51円増加しました。
③資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループは付加価値の高いパフォーマンス・ケミカルス(=機能化学品)の製造・販売を通じて、一定水準の営業キャッシュ・フローを毎期、安定して計上しています。
パフォーマンス・ケミカルスは、新興国の生活水準向上等による海外需要が増加しており、当社グループでは「グローバル化」を重要施策と位置付け、最近では東南アジアにおける製造拠点新設や設備増強を図っています。
グループ会社の資金については当社にて一元管理しており、必要に応じて当社より資金を融通しております。また、投資資金については、営業活動により得られたキャッシュ・フローや金融機関からの借入による調達を基本としており、今後についても同様の方針で取組む予定です。
当社では、グループ内の資金効率化を図るとともに、投資計画の妥当性を考慮した資金活用を判断することで、財務体質の改善や企業価値向上に繋げていく所存です。
④経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、2022年度当初の目標として連結売上高2,060億円、連結営業利益125億円、連結経常利益130億円、親会社株主に帰属する当期純利益85億円を掲げておりました。
当連結会計年度の売上高は、原料価格上昇に伴う販売価格の改定などにより1,749億7千3百万円(前期比7.7%増)、営業利益は84億5百万円(前期比29.2%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、56億8千4百万円(前期比15.2%減)となり、ROEは3.9%(前期比0.8ポイント減)になりました。
2024年3月期は社会・経済活動の正常化による景気回復が期待されますが、地政学リスクの顕在化により、原料価格動向や為替動向などは益々予断を許さない状況が続くと予想されます。
このような状況のもと、当社グループの2024年3月期の連結業績については、高付加価値製品の拡販等により、売上高1,800億円、営業利益100億円、経常利益110億円、親会社株主に帰属する当期純利益65億円を見込んでおります。
⑤重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表及び財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行っております。当社が採用しております会計方針の内、重要となる事項につきましては、「第5 経理の状況」の 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載しておりますのでご参照ください。