売上高

利益

資産

キャッシュフロー

配当

ROE 自己資本利益率

EPS BPS

バランスシート

損益計算書

労働生産性

ROA 総資産利益率

総資本回転率

棚卸資産回転率

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最終更新:

E35516 Japan GAAP

売上高

61.7億 円

前期

57.3億 円

前期比

107.6%

時価総額

146.2億 円

株価

1,805 (03/27)

発行済株式数

8,099,000

EPS(実績)

89.54 円

PER(実績)

20.16 倍

平均給与

721.5万 円

前期

704.5万 円

前期比

102.4%

平均年齢(勤続年数)

40.5歳(8.9年)

従業員数

230人(連結:270人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

当社グループ(当社及び当社の子会社及び関連会社)は、当社と連結子会社3社及び持分法適用関連会社2社で構成されており、「トラストサービス事業」を主たる業務としております。

トラストサービスとは、さまざまなモノがインターネットに繋がりあらゆるプロセスがデジタル化される社会において、「ヒト」「モノ」「コト」の正当性・完全性・真正性などを証明しデジタル社会の信頼を支えるサービスです。

 

「トラストサービス事業」を構成する主要なサービスの内容は、下記のとおりです。

セグメント

サービス区分

主なサービスの内容

報告

セグメント

トラストサービス事業

認証・

セキュリティ

公開鍵基盤(PKI)技術(*1)によって以下を実現

●EV SSL/TLS証明書(*2)(*3)により、Webサイトの運営組織が実在することを証明

●デバイス証明書管理サービスにより、信頼できるデバイスであることを証明

●本人確認サービス、電子署名(*4)用証明書、リモート署名サービスにより、本人が実在し同一であることや電子文書が改ざんされていないこと、署名が真正に成立していることを証明

Linux/OSS

(*5)(*6)

ベンダーフリーでオープンスタンダードな技術と長期サポートにより以下を実現

●LinuxOSに代表されるオープンソースを活用したエンタープライズ向けサービスでは、OS(*7)からシステム監視、システムバックアップ等の製品を提供し、ITインフラが正しく動作することを支援

IoT(*8)

組込みLinuxと電子認証の技術を融合し以下を実現

●IoT機器の脆弱性の低減や脅威への対策、更新ソフトウエアを安全に配信できる仕組みなど、IoT機器のライフサイクルを通して、安心・安全に利用できる仕組みを提供

●組込み向けのOSS技術についても、システムが安定して正しく動作することを支援

それぞれのサービスには3つのサービス提供分類があります。

・ライセンス

主に自社の製品(Linux/OSS製品など)を提供

・プロフェッショナルサービス

製品のカスタマイズや導入支援、セキュリティコンサルティングなどを提供

・リカーリングサービス(契約が更新されることで継続した収益が見込まれるもの)

電子証明書サービスや自社製品のサポートサービスなどを提供

 

<トラストサービス事業の特長>

(1) 認証・セキュリティサービス

①パブリック証明書サービス

当社グループは、電子認証局(*9)を国内に持つ電子認証事業者として、SSL/TLS証明書「SureServer」を提供しています。当社グループが提供する「SureServer」は、SSL/TLS証明書として3種の認証レベルが存在するうち、EV証明書とOV証明書を提供しています。EV証明書は、審査レベルが最も高く、ドメインの所有組織確認と対象組織の実在性審査を実施するEV証明書で、ブラウザ上で安全なWebサイトであることを視覚的に確認可能にします。

②デバイス証明書管理サービス

当社グループが提供しているデバイス証明書管理サービス「サイバートラスト デバイスID」は、デバイス証明書を使い、あらかじめシステム担当者が許可したPCやスマートフォンなどのデバイスだけを社内ネットワークにアクセスできるようにするサービスです。

昨今のワークスタイル変革に伴って、スマートデバイスやクラウドを利用するテレワークが一般化し、いつでもどこからでも情報資産にアクセスでき業務を遂行できる環境が必須の要件になっています。同時に、リモートアクセス環境の安全を担保して業務データの情報流出を防ぎ不正アクセスから守るためのセキュリティ対策は、企業のシステム担当者にとっての重要な課題になっています。当社グループでは、「ユーザー認証」に「デバイス認証」を加えることで、強固な多要素認証環境を作り上げ、また、システム担当者が遠隔から管理、運用できるサービスにより、管理の負担や人的コストの削減を可能にします。

③電子認証サービス

当社グループは、電子取引の信頼性を高めるための電子署名、eシール(*10)、タイムスタンプ(*11)などを含む包括的な電子認証サービスを提供しています。

当社グループは、世の中の大きな流れであるデジタルトランスフォーメーションの中でもビジネスプロセスのデジタル化において特に重要となる本人確認のデジタル完結、契約の電子化を含む電子文書の真正性確保を実現するための「iTrust」を提供します。

「iTrust」は、犯収法(*12)などで求められる本人確認をデジタル完結する「iTrust本人確認サービス」、電子契約(*13)などでの電子署名で用いる「iTrust電子署名用証明書」、契約や書面の電子化で求められる真正性を保証する「iTrustリモート署名サービス」から構成されています。

サービス

内容

iTrust本人確認サービス

主務大臣認定を取得し、犯収法に対応したオンラインでの本人確認や現況確認を実現するクラウドサービスです。

iTrust電子署名用証明書

WebTrust監査に合格した書面の電子化や電子契約のための信頼性の高い電子署名用証明書です。

iTrustリモート署名サービス

書面の電子化や電子契約で求められる長期にわたる真正性を保証する長期署名に対応したクラウドサービスです。日本情報経済社会推進協会の審査に合格し、JIPDECトラステッド・サービスに登録されています。

 

(2) Linux/OSSサービス

サーバーOS

当社グループは、Linux OS「MIRACLE LINUX」を、企業向けLinuxサーバー用途に加え、産業用コンピューター(*14)、各種アプライアンス製品(*15)など特定業務用機器への組込み用途で提供しております。Linux OS「MIRACLE LINUX」というソフトウエアの提供に加え、国内のエンジニアによる10年にわたる長期サポートも提供しており、基幹サーバーに求められる安定運用や、特定業務用機器への組込みに必須となる柔軟なカスタマイズまで対応しています。

「MIRACLE LINUX8.4」のバージョン8.4以降は、企業CentOSユーザーの受け皿になるべく、CentOS8.4の互換性を維持したものをライセンス無償で提供しております。

CentOSはRHEL(*16)の代表的なクローンで、Linuxの普及とともにRHELクローンとしての安定した実績から日本国内でも多数の企業が利用しています。開発元のCentOS Projectより、CentOS 8の開発を2021年12月末に終了し、CentOS 9はリリースせず、今後の開発はCentOS Streamへフォーカスすることが発表されました。これを受けて当社は、CentOSを利用している企業ユーザーのシステムの運用継続を支援する方針のもと「MIRACLE LINUX 8.4」を公開し、安定して長期利用できるOSへの移行を推進しております。

なお、各OSSの分野ではコミュニティ(*17)と呼ばれる、世界中に散在している利用者、開発者、企業などからなる組織によって、メンバー間でソースコードを共有し、共同開発や関連情報の発信、勉強会開催などを非営利目的で運営しています。当社グループが主に参加しているLinuxなどのOSSは、大手企業が積極的にコミュニティ活動に参加し、相互に協力しております。また、OSSはソースコードが広く公開されているため、いかなる企業・団体や個人も当社グループと類似の開発を行うことが可能である点がOSSの特徴であります。当社グループは、企業としてカーネル(*18)レベルの技術に精通したエンジニアによりOSSをパッケージ化してライセンス提供すること、迅速なサポートサービスを提供すること、さらに、製品導入時に導入支援及びカスタマイズなどが必要なお客様とは密にコミュニケーションをとりながらコンサルティングサービスを提供すること、これらが当社グループの優位性につながっております。

 

(3) IoTサービス

①EMLinux

IoTなどの組込み機器向けのLinux OS「EMLinux」を提供しています。かつて組込みOSの主流であったリアルタイムOS(RTOS)(*19)と比較して組込みLinuxの不利な点とされていた、リアルタイム性、起動の高速化、省リソース(*20)などの課題をLinuxのチューニングによって解決し、また、IoT・組込み機器の開発において今や必ず対策しなければならないデバイスレベルからのセキュリティソリューションも備えています。

組込み機器がインターネットにつながりIoT化することによって、乗っ取りやデータの改ざん、盗聴などのサイバーセキュリティリスクが高まり、また国際的な経済活動や社会インフラのリスクが高まってきたことから、米国連邦政府が国防調達の基準としているサイバーセキュリティガイドライン SP800シリーズや、国際電気標準会議が標準化を行っている産業システム向けの制御システムセキュリティガイドラインIEC62443の対応が活発化し、自動車分野では国連法規としてWP29で型式認証基準が制定、2022年より施行されるなど、国際的にIoT機器のサイバーセキュリティ対策の強化及び、ソフトウエア更新機能などを義務化する法規制も進み、産業界でも継続的なサポートが求められています。IoT機器の耐用年数は15年に及ぶものもあり、PCなどに比べて長期のサポートが必要となりますが、個々のメーカーが長期サポートを提供するには莫大なコストがかかるため、関連する企業が協力して、OSSコミュニティが中心となり、CIP(Civil Infrastructure Platform)(*21)などで長期サポートの実現に取り組み、ユーザーが安心安全に利用できるよう支援しています。

当社グループは、カーネルレベルの技術に精通した技術力を持つエンジニアを擁し、CIPなどのコミュニティと共同歩調をとることで、IoT・組込み機器には必須の長期サポートを実現します。組込みLinux OS「EMLinux」によって、お客様が組込みアプリケーションの開発に注力し、開発期間を短縮し開発コストを削減すると共にIoT機器の出荷後も長期にわたって安心・安全に使い続けることを可能にします。

②セキュアIoTプラットフォーム

当社グループは、公開鍵基盤(PKI)と多角的な認証によるIoT機器や利用者の真正性の確保と、暗号化による機密性の保持、電子署名による改ざん防止・安全性確保等の機能を備え、OSやソフトウエアをセキュアに更新する仕組みを一括して提供するシステム基盤を提供しています。「セキュアIoTプラットフォーム」は、半導体設計時から廃棄処分工程まで、ライフサイクルを通じてIoT機器のセキュリティ状態を一気通貫で管理できます。

 

 

※画像省略しています。

「セキュアIoTプラットフォーム」の特長は、以下のとおりです。

特長

内容

製品ライフサイクルのあらゆる段階でトラストチェーンを担保

 

 IoT機器を特定する識別情報が埋め込まれたセキュアエレメントと、国際基準の電子認証局から発行される電子証明書を組み合わせることで多段階の認証を行い、製造時から廃棄まで製品の一貫してトラストチェーンを維持しデータの改ざんやなりすましを防ぎます。

 信頼の基点(Root of Trust)(*22)となるセキュアエレメントは、SIOTPと連携した ICチップベンダーが製造する耐タンパー性に優れたハードウェアセキュアエレメントを利用でき、物理的な攻撃を受けてもトラストチェーンを破られることなく運用が可能です。

リモートアップデート(OTA)など IoT機器の運用に必要なサービスを提供

 

①認証情報の保護・管理

 機器の本物性を担保する認証情報(トラストアンカー)をICチップの製造時から書き込み、電子証明書を用いた個体識別を行うことで、クラウドサービスとの安全なアクセスを担保します。

②IoT機器の一元管理

 IoT管理サービス「Device Management Console」でWeb UIの管理画面から、IoT機器の状態(接続状況・FWバージョン等)を一元管理できます。システムへの機器の登録や更新・停止・再登録が設定可能です。

③ソフトウェアアップデート

長期間運用するIoT機器では、出荷後に脆弱性が顕在化します。アップデートは、脆弱性を狙う攻撃に対処するのに必要な手段です。セキュアIoTプラットフォームのリモートアップデート機能(OTA)は、IoT機器の製造から出荷後まで不正なマルウェアの混入を防ぎ、安全なアップデートを提供します。

③LINEOWarp!!

当社グループ会社のリネオソリューションズ社によりIoT機器向けの高速起動製品を提供しています。組込み機器では自動車やスマート家電製品などバッテリーを使用している製品や、業務用コピー機など省エネの観点で待機電力の極小化を求められる製品が多く、電源投入時、あるいは待機状態からシステムが正常起動するまでの起動時間の短縮が課題になっています。「LINEOWarp!!」により、LinuxやAndroid OSで構成されているシステムを最短、1秒から数秒の高速での起動を実現します。コンシューマ機器や車載機器、産業機器などすでに、100種を超える製品での採用実績があります。

 

(*1)公開鍵基盤(PKI)技術

Public Key Infrastructureの略で、公開鍵と秘密鍵の2つの鍵を使用したデータ暗号化技術、及び電子証明書と組み合せて、認証や電子署名を行う技術の総称。

(*2)SSL/TLS証明書

Webサーバーを運営する組織の実在性を証明するもので、フィッシング詐欺等の対策となる証明書。また、通信の暗号化により盗聴や改ざんを防ぐ効果もあり、インターネットの利用者が安心してWebを利用できるようになる。“SSLサーバー証明書”や“サーバー証明書”とも呼ばれる。

(*3)EV証明書

EVとはExtended Validationの略称で、最も信頼性の高いSSL/TLS証明書。厳格な審査により、組織の実在性が確認される。

(*4)電子署名

電磁的に記録された情報について、作成者の意思に基づいて作成されたこと、その内容が改ざんされていないことを証明する仕組み。書面へのサインや押印に相当する電子的措置。

(*5)Linux

無償でソースコードが公開され、誰もが利用・複製・改変・再配できるオペレーティングシステム。必要な機能を選択して再構築できることから、サーバーや組込みシステムとして電化製品などの幅広い用途に利用されている。

(*6)OSS(オープンソースソフトウエア)

ソフトウエアの設計図にあたるソースコードが無償で公開されており、誰でも使用及び改良や再配布ができるソフトウエア。

(*7)OS

オペレーティングシステムの略称。コンピューターのシステム全体を管理し、種々のアプリケーションソフトに共通する利用環境を提供する基本的なプログラム。

(*8)IoT

Internet of Thingsの頭文字で、「モノのインターネット」とも呼ばれる。日常で利用されているさまざまな機器(モノ)がネットワーク上で相互接続し、それらの機器に搭載された内蔵センサーからデータを収集し、そのデータがさまざまなサービスに活用されること。

(*9)電子認証局

規程に基づいて電子証明書の発行や失効などを行う第三者機関。登録局(審査を実施)と発行局(発行や失効などを実施)により構成される。

(*10)eシール

電子データや文書の起源とその完全性を証明する仕組み。eシールは、法人が発行した文書を認証できる他、ソフトウエアコードなどの法人のデジタル資産の認証にも利用できる。

(*11)タイムスタンプ

ある時刻にその電子データが存在していたことと、それ以降改ざんされていないことを証明する仕組み。

(*12)犯収法

犯罪収益移転防止法(正式名称:「犯罪による収益の移転防止に関する法律」)。犯罪によって得られた不当な収益を洗浄する行為を防止するための法律。金融機関などの取引時に顧客が本人と一致しているかを確認する方法などを定めている。

(*13)電子契約

従来、紙で行っていた契約書の締結や管理をインターネット上で行うシステム。電子署名やタイムスタンプを付与した電子ファイルを利用して合意成立の証拠とする。

(*14)産業用コンピューター

産業業務用途に特化した性能を持つPC製品。設備の制御装置や製造現場、さまざまな産業機器への組込みなどの長時間の安定稼働を前提としたシビアな用途向けに設計されている。一般向けのパソコンと異なる特長として「耐環境性」「長期安定供給」などが求められる。

 

(*15)アプライアンス製品

特定の機能や用途に特化して最適化して設計・開発された専用機器。サーバー機器本体に、特定の目的に必要なソフトウエアをあらかじめインストールして、容易に導入や管理ができるよう工夫した製品。

(*16)RHEL

Red Hat Enterprise Linuxの略称、レッドハット社によって開発、販売されている業務向けのLinuxディストリビューションのこと。

(*17)コミュニティ

オープンソースソフトウエア(OSS)の開発や改善、情報交換などを主な目的として、利用者、開発者、愛好者らによって構成され非営利目的で運営される団体。世界中に散在するメンバー間でソースコードを共有し、共同開発や関連情報の発信、勉強会の開催などを行っている。

(*18)カーネル

階層型に設計されているOSの核となる部分のプログラム。ソフトウエアとハードウエアがやり取りするための基本的な機能を処理し、コンピューターを動作させるための基幹となるサービスを提供する。

(*19)リアルタイムOS(RTOS)

一般的な汎用OSと違い、リアルタイム性を重視した、組込みシステムで多く用いられるOS。

(*20)省リソース

組込みシステムにおいて、プロセッサーの処理能力やメモリ容量などの計算リソースに対して、処理能力の低いプロセッサーを使うことや使用するメモリ量を少なくすることなどが求められること。

(*21)CIP(Civil Infrastructure Platform)

社会インフラシステム向けに、プラットフォームとしてLinuxやオープンソースの実装を進めていくことを目指すプロジェクト。The Linux Foundationが運営する。

(*22)RoT(Root of Trust : 信頼の基点)

ハードウエアやソフトウエアに関するセキュリティにおいて、信頼性を実現する根幹となる部分。

 

[事業系統図]

※画像省略しています。

 

23/06/27

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

①財政状態の状況

                       (単位:百万円)

 

2022年3月期

2023年3月期

総資産

7,222

7,868

純資産

4,874

5,625

自己資本比率

67.5%

71.5%

 

(資産)

 当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末より645百万円増加して7,868百万円となりました。

 流動資産は、前連結会計年度末より788百万円増加して5,401百万円となりました。これは主として売上の入金などにより現金及び預金が788百万円増加したことによります。固定資産は、前連結会計年度末より141百万円減少して2,465百万円となりました。これは主としてソフトウエアが97百万円、繰延税金資産が16百万円、のれんが12百万円それぞれ減少したことによります。

 

(負債)

 当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末より105百万円減少して2,243百万円となりました。

 流動負債は、前連結会計年度末より80百万円減少して1,705百万円となりました。これは主として買掛金が96百万円減少したことによります。固定負債は、前連結会計年度末より24百万円減少して538百万円となりました。これは主としてリース債務が13百万円、契約負債が12百万円それぞれ減少したことによります。

 

(純資産)

 当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末より750百万円増加して5,625百万円となりました。

 これは主として前連結会計年度末より利益剰余金が725百万円増加したことによるものです。この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の67.5%から71.5%となりました。

 

 

②経営成績の状況

 

売上高

(百万円)

営業利益

及び営業利益率

(百万円、%)

経常利益

(百万円)

親会社株主に帰属する

当期純利益

(百万円)

1株当たり

当期純利益金額

(円)

2023年3月期

6,167

1,053(17.1)

1,065

725

90.40

2022年3月期

5,731

868(15.2)

872

530

66.74

増減率(%)

7.6

21.3

22.1

36.8

35.5

 

 

当社グループは、さまざまなモノがインターネットに繋がり、あらゆるプロセスがデジタル化される社会において「ヒト」「モノ」「コト」の正当性、完全性、真正性などを証明し、デジタル社会の信頼を支えるトラストサービス事業を推進しております。

 当連結会計年度(2022年4月1日から2023年3月31日まで)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が緩和されつつあるものの、ロシア・ウクライナ情勢、世界的な金融引締め等を背景とした物価上昇や為替相場の変動等から先行きが不透明な状況が継続しております。

 当社を取り巻く環境は、テレワークの定着、脱ハンコ、オンライン化、非対面化など新たな生活様式への対応に関するDX推進の流れが加速しております。

 このような環境の下、認証・セキュリティサービスではDX市場の拡大によるセキュリティニーズを捉え、(1)デバイス証明書管理サービス「デバイスID」では企業向けのクラウド認証サービス・リモートアクセスを展開する各パートナー、(2)電子認証サービス「iTrust」では金融機関向けにeKYCサービスや電子契約サービスを展開する各パートナー、(3)SSL/TLSサーバー証明書「SureServer」の各パートナーとの取引増加により伸長した結果、売上高は3,543百万円(前期比5.5%増)となりました。

 Linux/OSSサービスでは、企業向けLinuxサポートLinux OS「MIRACLE LINUX」に大型の既存顧客の一部契約の見直し(縮小)があった一方で、前期CentOS延長サポート駆け込み需要の解約を上回るLinuxサポート新規案件獲得が継続した結果、売上高は1,447百万円(前期比1.7%減)となりました。

 IoTサービスでは、前期に半導体供給不足の影響を受けた案件が戻り車載機器・産業機器・農業機械・業務用プリンタなどの「EMLinux」ベースの製品実装に向けた受託開発案件、車載機器などのセキュリティコンサル案件の獲得、子会社のリネオソリューションズ株式会社で組込み受託開発が大きく伸長した結果、売上高は1,176百万円(前期比30.8%増)となりました。

 なお、当社グループはトラストサービス事業の単一セグメントのため、セグメント情報の記載を省略しております。

 

以上の結果、売上高は6,167百万円(前期比7.6%増)、人員増加に伴う人件費の増加、無形・有形固定資産取得に伴う償却費の増加により費用全体は増加傾向にありますが、売上高が堅調に推移したことによる結果、営業利益1,053百万円(同21.3%増)、持分法による投資利益等の営業外収益により経常利益1,065百万円(同22.1%増)、税効果会計の影響により親会社株主に帰属する当期純利益725百万円(同36.8%増)となりました。

 

 

 

<主なサービス内容>

・認証・セキュリティサービス

 SSL/TLSサーバー証明書「SureServer」、デバイス証明書管理サービス「デバイスID」等のクライアント証明書、電子的本人確認や電子署名などの電子認証サービス「iTrust」、ウェブセキュリティサービス、脆弱性診断サービス等を提供しています。

・Linux/OSSサービス

 Linux OS「MIRACLE LINUX」や統合システム監視ソリューション「MIRACLE ZBX」、バックアップソフトやカーネル技術を活かしたLinuxソリューションなど、オープンソースソフトウエアに関わるサービスを提供しています。

・IoTサービス

 組込みLinuxと電子認証の技術を融合し、機器の開発、製造段階から脆弱性の低減や脅威への対策を考慮して長期の運用とセキュリティを実装する仕組みや、更新ソフトウエアが安全に配信される仕組みなど、IoTデバイスの安全・安心な利用を実現するための開発支援サービスとして、長期利用可能な IoT・組込み用Linux

OS「EMLinux」、認証基盤「Secure IoT Platform」などを提供しています。連結子会社のリネオソリューションズ社はLinuxを中心とした組込み/IoT向け受託開発、及び高速起動製品「LINEOWarp!!」、開発環境サービス等の販売を行っております。

 

<取引形態>

・ライセンス

 主に自社の製品(Linux/OSS製品など)を提供

・プロフェッショナルサービス

 製品のカスタマイズや導入支援、セキュリティコンサルティングなどを提供

・リカーリングサービス(契約が更新されることで継続した収益が見込まれるもの)

 電子認証サービスや自社製品のサポートサービスなどを提供

 

    なお、各サービスにおける取引形態別の売上高は下表のとおりです。          (単位:百万円)

サービス

取引形態

前連結会計年度

当連結会計年度

増減

増減率

(%)

認証・セキュリティ

サービス

ライセンス

203

155

△47

△23.6

プロフェッショナルサービス

567

448

△118

△20.9

リカーリングサービス

2,588

2,939

350

13.5

小計

3,359

3,543

184

5.5

Linux/OSSサービス

ライセンス

334

336

2

0.8

プロフェッショナルサービス

164

124

△40

△24.3

リカーリングサービス

973

985

12

1.2

小計

1,472

1,447

△25

△1.7

IoTサービス

ライセンス

108

115

7

6.6

プロフェッショナルサービス

752

981

228

30.4

リカーリングサービス

38

80

41

107.9

小計

899

1,176

277

30.8

売上合計

5,731

6,167

436

7.6

全社

ライセンス

645

607

△38

△5.9

プロフェッショナルサービス

1,485

1,555

70

4.7

リカーリングサービス

3,600

4,005

404

11.2

 

 

③キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末より788百万円増加して4,345百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と、それらの要因は次のとおりであります。

 

(単位:百万円)

 

2023年3月期

(参考)

2022年3月期

営業活動によるキャッシュ・フロー

1,213

1,604

投資活動によるキャッシュ・フロー

△434

△477

財務活動によるキャッシュ・フロー

6

486

現金及び現金同等物の期末残高

4,345

3,556

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果、得られた資金は1,213百万円となりました。主として、税金等調整前当期純利益が1,065百万円あったことに加え、減価償却費が556百万円発生し、法人税等の支払額が232百万円生じたことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果、使用した資金は434百万円となりました。主として、有形固定資産の取得による支出101百万円、自社開発ソフトウエアなどの無形固定資産の取得による支出339百万円によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果、得られた資金は6百万円となりました。主として、株式の発行による収入24百万円、リース債務の返済による支出17百万円によるものです。

 

 

 

④生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社グループの生産は、完成後ただちに顧客に引き渡しており、生産実績は販売実績とほぼ一致しているため、記載を省略しております。

 

b.受注実績

当連結会計年度の受注実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(百万円)

前期比(%)

受注残高(百万円)

前期比(%)

トラストサービス事業

6,120

102.6

1,075

95.8

合計

6,120

102.6

1,075

95.8

(注)当社グループはトラストサービス事業の単一セグメントのため、セグメント情報の記載を省略しております。

 

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前期比(%)

トラストサービス事業(百万円)

6,167

7.6

合計(百万円)

6,167

7.6

(注)1.当社グループはトラストサービス事業の単一セグメントのため、セグメント情報の記載を省略しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先がいないため記載を省略しております。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営者の視点による当社グルプの経営成績等の状況に関する認識及び分析検討内容は以下のとおりであります。

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 当社グループの連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態の分析

前述の「(1)経営成績等の状況の概要①財政状態の状況」に記載のとおりであります。

b.経営成績の分析

前述の「(1)経営成績等の状況の概要②経営成績の状況」に記載のとおりであります。

c.キャッシュ・フローの分析

前述の「(1)経営成績等の状況の概要③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

③資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループの主な資金需要となる、運転資金及び設備投資資金につきましては、金利コスト等を勘案しながら、自己資金又は増資により資金調達することを基本としております。

なお、当社は短期的な支払いに支障が生じないよう流動比率を150%以上に保つことを目標としており、当連結会計年度末において流動比率が316.7%とその水準を上回っていることから資金の流動性に問題はないと認識しております。

 

④経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおり、「売上高」、「営業利益及び営業利益率」、EBITDA、リカーリング売上及びリカーリング売上比率を重要指標としております。

当連結会計年度における売上高は前期比で7.6%増加し6,167百万円となりました。

営業利益については前期比で21.3%増加し1,053百万円となっております。また営業利益率については17.1%となっており、前連結会計年度より1.9ポイント改善しております。この原因としては、主に、認証・セキュリティサービス及びLinux/OSSサービスにおけるリカーリング売上が伸長したことにより利益体質が飛躍的に向上したためとなります。なお、リカーリング売上については前期比で11.2%増加し4,005百万円、リカーリング売上比率については前期比で2.1ポイント改善しております。

EBITDAについては、営業利益の増加に加え、リカーリングサービスの継続的成長に必要な設備投資により償却費が増加したため、前期比で17.3%増加し1,623百万円となっております。

 

⑤経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3 事業等のリスク」をご参照下さい。

 

⑥経営者の問題意識と今後の方針について

経営者の問題意識と今後の方針については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照下さい。