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最終更新:

E05363 Japan GAAP

売上高

11.3億 円

前期

11.5億 円

前期比

98.4%

時価総額

39.2億 円

株価

18 (04/25)

発行済株式数

217,643,700

EPS(実績)

-5.14 円

PER(実績)

--- 倍

平均給与

579.9万 円

前期

538.8万 円

前期比

107.6%

平均年齢(勤続年数)

43.0歳(8.2年)

従業員数

28人(連結:60人)

株価

by 株価チャート「ストチャ」

3【事業の内容】

 当社の企業集団は、当社、連結子会社2社により構成されており、医薬品の研究及び開発、がん遺伝子の大規模解析検査及びがん免疫療法の研究開発を主たる事業としております。

(1)当社の設立経緯について

 当社は、元東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター長(現 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所理事長、東京大学名誉教授、シカゴ大学名誉教授)中村祐輔教授の研究成果(シーズ)を事業化することを目的として2001年4月に設立した研究開発型ベンチャー企業です。

(2)当社事業の背景について

① ゲノム研究の進展について

 1990年代より欧米を中心としてゲノム(※1)研究が活発に進められており、2000年6月には、いわゆる「ヒトゲノム・プロジェクト(※2)」等によってヒトゲノム解読完了が宣言されております。現在では、30億塩基対からなるヒトゲノム遺伝暗号の読み取りがほぼ終了し、現在ヒトの遺伝子総数は約23,000種類程度であると予測されております。これと前後した様々なバイオテクノロジーの進歩等により、「ゲノム創薬」への応用が現実のものとなりつつあります。

 「ゲノム創薬」とは、遺伝子及び遺伝子が作り出すタンパク質等の情報に基づき、疾患の原因である新規創薬ターゲットの発見とそれらを標的とする治療薬の有効性や安全性の検討等を行い、医薬品を論理的・効率的に作り出すものであります。近年において、がん、糖尿病、高血圧や、慢性関節リウマチなど、多くの疾患に遺伝子が関係することが明らかになっており、疾患に関係する遺伝子を同定し、それを標的とすることで、疾患の症状を軽減させる対症療法ではなく、疾患の原因を除去する効果的な医薬品開発が可能となるものと考えられております。

 また、バイオテクノロジーの進歩に伴い、疾患関連遺伝子探索、遺伝子機能解析に加えて、SNPs(※3)、プロテオミクス(※4)、バイオインフォマティクス(※5)等の各研究分野も急速に進展しており、多くのベンチャー企業が創設される等、ゲノム研究分野はその市場規模の拡大が見込まれております。

 なお、こうした技術及び研究の進歩への対応として、欧米の大手製薬企業等は、多大な研究開発費を確保するためのM&A戦略を実施する一方で、自社での研究開発活動に加えて、特に、基礎研究分野や、より専門性の高い分野等においては、ベンチャー企業、大学や社外の研究機関等との提携による外部リソースの活用を積極的に行う事が近年一般的になっております。

② 抗がん剤分野について

 従来のがん治療法は、一般に、がん細胞を除去し、又は死滅させることに重点が置かれ、その主流は、外科的切除、放射線療法及び抗がん剤投与による化学療法並びにこれらの組み合わせによるものであります。しかし、これらの治療法は、いずれも患者に対する強い侵襲作用があり、特に化学療法は、抗がん剤を生体内に投与して分裂をつづける細胞に対して無差別な攻撃を行うものであり、がん細胞だけでなく正常細胞にも強い毒性を発揮する欠点があります。その結果、患者により個人差はあるものの、骨髄抑制、脱毛、吐き気、嘔吐又は下痢等の副作用によりがん患者に相応の負担を強いることとなり、抗がん剤の使用範囲は限られたものとなり、また、抗腫瘍活性も期待された程得られない状況で、従来のがん治療法に代わる、より有効で患者に対して負担の少ない治療法の開発が望まれておりました。

 近年、分子生物学(※6)及びヒトゲノム研究の進展等に伴い、特定の分子のみを標的としたいわゆる分子標的治療薬(※7)と呼ばれる医薬品開発が進められており、乳がん、白血病、肺がん、大腸がん等に対する新たな抗がん剤が登場しております。これらの抗がん剤は、従来の化学療法と比較して効果が高くかつ副作用が抑えられ、より長期間の投薬が可能となるものであります。現在、このような新たな抗がん剤の開発が世界各国で進められており、今後のがん治療に高い効果を発揮するものと期待されております。

 また、ヒトにおける腫瘍に対する免疫システムの関与の機序が明らかになりつつあり、がん治療において、従来の手術療法、放射線療法、薬物療法に加え、免疫療法があらたな機序を有する第4のがん治療法として期待が高まりつつあります。2009年9月、米国医薬食品局(FDA)は、世界の免疫療法の開発の状況を踏まえ、「治療用がんワクチンについての臨床的考察」を公表し、2010年4月、前立腺がんに対する免疫細胞療法を承認し、2011年3月には、悪性黒色腫に対してリンパ球の活性化を維持する抗体医薬を承認しました。さらに免疫チェックポイント阻害剤という新たな免疫治療薬が承認されるなど、がんに対する免疫療法は、今や次世代の新たながん治療法として確立し、がん治療薬の概念は大きく変わりつつあります。

 このように、分子標的治療薬の登場に加え、既存の抗がん剤より効果が高くかつ副作用の少ない薬剤の登場により患者の生存期間が長くなることによる治療の長期化、製薬会社による更なる分子標的治療薬の研究開発推進、高齢化の進行、がん診断による早期発見の増加、及びがんプレシジョン医療の進展等の動向から、当社は、抗がん剤の市場は今後も拡大していくものと予測しております。

 

(3)事業内容について

 当社グループは、元東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター長(現 国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所理事長、東京大学名誉教授、シカゴ大学名誉教授)中村祐輔教授と共同で、ほぼすべてのがんを対象とした網羅的な遺伝子発現解析等を実施し、既にがん治療薬開発に適した多くの標的分子を同定しております。また、それらの標的に対し、低分子医薬、がんペプチドワクチン、抗体医薬等の、各領域における創薬研究を積極的に展開し、これら創薬研究の成果を基にした複数の臨床試験を実施しており、臨床試験準備中の医薬品候補物質も複数有しております。

 このような、「医薬品の研究及び開発」並びにこれらに関連する事業に加えて、がんプレシジョン医療関連事業を実施しております。

 がんは遺伝子の異常により引き起こされる病気です。がん細胞での遺伝子の網羅的な解析は、がんの診断及びがん治療薬・治療法を選択するために非常に重要です。この解析を利用して、がんの早期診断や、がん患者さん一人ひとりの遺伝子情報に基づいた治療薬・治療法の選択をすることや新規の免疫療法につなげていくことをがんプレシジョン医療といい、近年、より効果的ながん治療をがん患者さんに提供できる手段として注目されています。

 当社は、グローバルなゲノム・トランスクリプトム・エピゲノム等の次世代シーケンス解析サービスを行っているTheragen Bio Co., Ltd.(本社:韓国、以下「TB社」という。旧Theragen Etex Co., Ltd.)との資本・業務提携により、がん遺伝子の大規模解析検査及びがん免疫療法の研究開発を行う子会社として、株式会社Cancer Precision Medicine(以下「CPM社」という)を設立し、がんプレシジョン医療関連事業を実施しております。

① 医薬品開発における事業領域について

 当社グループの研究開発は、2001年4月からの当社と東京大学医科学研究所との共同研究により出発いたしました。当該研究は抗がん剤開発のためのがん特異的タンパク質の同定とその機能解析を目的としており、主に基礎研究領域に重点を置いたものとなっています。

 その後、基礎研究の継続的な実施による進展とともに、当社グループの事業領域は、より医薬品の開発に近い創薬研究へと拡大し、低分子医薬、がんペプチドワクチン、抗体医薬等の各領域において、臨床応用を目指した創薬研究を実施しております。

 さらに、国内外において、各提携先製薬企業と共同で、又は当社グループ独自で複数の臨床試験を実施しております。

② 医薬品の研究開発について

 当社グループでは、主に下記の医薬品の研究開発を実施しております。

低分子医薬

 低分子医薬は、がん関連遺伝子由来のタンパク質(がん関連遺伝子産物)に結合し、その機能を阻害する低分子化合物(※8)を利用した医薬品です。当社グループは網羅的遺伝子解析によって同定したがん関連遺伝子産物に対し、独自に医薬品となり得る低分子化合物を設計し、医薬品開発を行っております。

ペプチドワクチン

 がん特異的ペプチドワクチンは、がん細胞にのみ反応する細胞傷害性T細胞(※9)を活性化させるなど、人間の体が持つ免疫機構を利用して、がん細胞を攻撃させるがん治療用医薬品です。当社グループは、がん特異的ペプチドワクチンの医薬品候補物質となるペプチドを多数同定し、医薬品開発を行っております。また、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染制御及び重症化の抑制を目指したペプチドワクチンの研究開発に着手し、特許出願を完了しております。

抗体医薬

 抗体医薬は、抗体が細胞膜(がん細胞の表面)に存在する特定のタンパク質(抗原)に対して特異的に反応し、それらを異物として排除する特性を利用した医薬品です。当社グループは、がん関連遺伝子産物を標的とした抗体を作成することで、医薬品開発を行っております。

 なお、各事業領域の詳細につきましては、「第2 事業の状況 6研究開発活動 (2)研究開発活動(a)「医薬品の研究及び開発」及びこれらに関連する事業」をご覧ください。

③ がんプレシジョン医療への取組み

 2017年7月、CPM社を設立し、その後当社の事業部門であり、オンコアンチゲンをはじめとしたがん免疫療法の研究開発、及び次世代シーケンサーを用いてT細胞/B細胞受容体の解析サービスを行う腫瘍免疫解析部については、会社分割(簡易分割)を行い、当社の連結子会社であるCPM社が事業を承継いたしました。これにより、CPM社においてはがん遺伝子の大規模解析検査及びがん免疫療法の研究開発を実施することとなりました。

 なお、がんプレシジョン医療への取組みにつきましては、「第2 事業の状況 6研究開発活動 (2)研究開発活動(b)がんプレシジョン医療関連事業」をご覧ください。

 

④ 医薬品の研究開発に係る提携による収益について

 医薬品の研究開発を行うバイオベンチャー企業と製薬企業等との契約については、一般に、契約一時金、研究・開発の進捗に応じたマイルストーン及び医薬品上市後の売上等に応じたロイヤリティ等といった段階的に対価を収受する契約形態が採用されております。これは、製薬企業等において医薬品開発には多大な研究開発費が必要であり、かつリスクも高いものであることに起因するものであります。当社グループが現在締結する契約も同様であり、また、今後締結する契約においても同様の形態が想定されます。

 契約一時金は、契約時に医薬品の開発・製造・販売権などを付与することで受け取ることができる収益であり、マイルストーンは、契約に基づき、あらかじめ設定された研究開発に関する進捗等イベントの達成に応じて受け取ることができる収益であります。契約一時金及びマイルストーンに係る収入については、履行義務が一時点で充足される場合には、開発権・販売権等を付与した時点、又は契約上定められたマイルストーンが達成された時点で契約上の履行義務が充足されたと判断し、当該時点で事業収益として認識しております。

 ロイヤリティは、医薬品の上市後に販売額の一定料率を受け取ることができる収益であり、その発生時点を考慮して事業収益として認識しております。

 一般的に医薬品の開発期間は基礎研究開始から上市までに通常10年以上の長期間に及ぶものでもあります。事業収益の発生については、その多くが契約締結先の製薬企業等の研究開発の進捗及び医薬品発売・販売の状況等に依存するもので、これらが事業収益として計上されるにはかなりの長期間を要する可能性があり、またこれらの事業収益が計上されない可能性もあります。

 さらに、製薬企業等との契約締結の可否、契約締結時期及び収益の発生時期によって当社グループの業績は大きく変動する傾向にあり、これによる業績の上期若しくは下期への偏重が生じる可能性、又は場合によっては決算期ごとの業績変動要因となる可能性があります。

 

 

[用語解説]

(※1)ゲノム

生物の体を構成する一つ一つの細胞の中に、遺伝情報を乗せた染色体があります。染色体は、4種類の塩基と呼ばれる分子から成るDNAで構成され、DNAの塩基の並び方によって遺伝子の情報が決められています。ゲノムとは、1つの生物がもつ染色体に含まれるすべての遺伝情報を指します。

(※2)ヒトゲノム・プロジェクト

ヒトの遺伝情報の総体であるヒトゲノム(染色体23本に分配されている30億塩基対DNA)をすべて解読しようという国際的なプロジェクトの総称。1988年に、有力な科学者主導でヒトゲノムの解析を実施すべく、ヒトゲノム機構(HUGO)が設立され、こののち1990年10月に、同機構の指揮のもとで正式に国際的なプロジェクトが開始されました。日本でも、1991年から解読が本格化されました。計画開始当初、2005年をメドに全長配列決定をする予定でしたが、シーケンス技術の急速な進歩、及びゲノムの大量解読を行うベンチャー企業の追いあげにともない、当初の計画は大幅に前倒しされることになり、2000年6月には、解読結果の概略が発表されております。

(※3)SNPs

Single Nucleotide Polymorphism(=1塩基多型)の略語。DNAの塩基配列は、同じヒトであっても個人によって僅かずつ異なっていることがわかっており、これが全ゲノム中の約1%、数百万箇所あるとされております。こういった遺伝子の相違の中で最も頻繁に見られるのが、塩基配列のある箇所でA-TとG-Cの塩基ペアが1箇所だけ置き換わっているSNPであり、疾患の罹りやすさ、薬の効きやすさ、副作用の出やすさなどが個人で異なることもSNPに関連すると思われることから、ゲノム創薬においても重要視されている研究テーマの一つとなっております。

(※4)プロテオミクス

ゲノム情報とそれによって作られるタンパク質との関連を生命活動に照らし合わせて包括的に行う研究のこと。具体的には、発見された遺伝子の機能解析、作られるタンパク質の調節機構の解析、タンパク質同士の相互作用の研究、疾患・病態とタンパク質の働きとの関連性などが課題とされております。

(※5)バイオインフォマティクス

バイオ研究において、情報科学と生命科学の融合領域で生命情報科学をさします。ゲノムの塩基配列情報やタンパク質の構造情報などをコンピューター処理して活用する技術。コンピューターを用いた遺伝子及びタンパク質の構造・機能解析に始まり、それらの分子の生体内での作用や発現レベル、相互作用、病態との関わりなどの情報を含んだ生体情報解析又はデータベース化するようなシステムの総称であります。

(※6)分子生物学

もともと生物学は、生物の形態・分類・進化・行動や遺伝に法則性を見いだし、そこから生命の本質を探ろうとする学問でした。1950年代にワトソンとクリックにより遺伝物質DNAの分子構造が提唱されたとき、初めて生物学者が、生物を分子のレベルで解明する可能性を認識し、ここに分子生物学が生まれました。現在、分子生物学は医学・薬学・農学・バイオテクノロジーの領域の最も重要な基礎分野として、その成果は、様々な応用技術の基盤となっております。

(※7)分子標的治療薬

ある分子に作用することがわかっている低分子化合物や抗体などを選択することによって作られ、疾患に関係がある細胞だけに働きかける機能を持った新しいタイプの治療薬のこと。従来の治療薬に比べて効果が高くかつ副作用が少ないとされ、近年、がん治療などで注目されております。

(※8)低分子化合物

抗がん剤をふくめ、医薬品には分子量の大きい高分子物質、たとえば抗体のようなタンパク質などの高分子物質と、相対的に分子量の小さい低分子物質があります。概ね分子量が1,000前後のものまでが、一般に低分子とされており、低分子物質は低分子化合物ともよばれております。医薬品となる低分子化合物の大半は、有機合成化学の手法で人工的に作られております。製薬企業では一般に、化合物ライブラリ(あらかじめ合成されて集積されている多数の化合物の集合)の中から一定の効果をもつ化合物を選び出すスクリーニングが行われ、それに続いて、化合物の効果を個々の目的に応じて最適化させるための新規化合物の設計と合成が行われております。

(※9)細胞傷害性T細胞

細胞傷害性T細胞は、抗体とともに私たちの体の免疫反応を担う細胞であります。抗体は、血液や分泌液などの中に通常存在することから体液性免疫ともよばれるのに対し、細胞傷害性T細胞は、細胞が作用の中心なので、細胞性免疫ともよばれております。細胞傷害性T細胞のがん細胞に対する機能は、がん抗原を認識し、そのがん抗原が提示されている細胞を殺傷するものであります。

23/06/27

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社および連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

①財政状態及び経営成績の状況

 当社グループは、低分子医薬、がんペプチドワクチン、抗体医薬等の創薬研究を進展させるとともに、後期臨床開発を目指したがん幹細胞維持に重要なリン酸化酵素(キナーゼ)であるMELKを標的としたOTS167の臨床試験を米国並びに日本国内で、がん治療用抗体医薬OTSA101の臨床試験を日本国内で実施する等、当社グループ独自で実施している臨床開発の推進に加え、提携先製薬企業との戦略的対話をより促進し、提携先が実施する臨床開発の側面支援、後方支援を強力に推し進めて参りました。さらにはがんプレシジョン医療関連事業として、がん細胞の詳細な遺伝子解析サービス(全エクソームシーケンス解析、RNAシーケンス解析、ネオアンチゲン解析等)、血中のがん細胞を早期検出するためのリキッドバイオプシーといったがん遺伝子の大規模解析検査及びTCR/BCRレパトア解析、免疫反応解析等の解析サービスの共同研究及び事業化を進めて参りました。また、新規がん遺伝子パネル検査の開発やネオアンチゲン樹状細胞療法及びTCR遺伝子導入T細胞療法等の新しい個別化がん免疫療法の研究も行っております。

 これらの結果、当連結会計年度の総資産は、1,511百万円(前連結会計年度末比1,173百万円減少)となりました。内訳としては、流動資産は1,422百万円(同 1,178百万円減少)、これは現金及び預金が719百万円減少、売掛金が276百万円減少したことが主な要因となっております。投資その他の資産は89百万円(同 4百万円増加)となりました。

 負債の合計は656百万円(前連結会計年度末比48百万円減少)となりました。内訳としては、流動負債は609百万円(同 4百万円増加)となりました。これは、未払金が173百万円減少、契約負債が123百万円増加、預り金が95百万円増加、未払法人税等が67百万円減少したことが主な要因となっております。固定負債は47百万円(同 52百万円減少)となりました。これは、資産除去債務が52百万円減少したことが主な要因となっております。

 純資産は、855百万円(前連結会計年度末比1,125百万円減少)となりました。これは、利益剰余金が1,118百万円減少したことが主な要因となっております。

 当連結会計年度における連結事業収益につきましては、受託検査サービスによる収入等の受領により、1,134百万円(前期比18百万円の減少)となりました。

 また、医薬品候補物質の基礎研究、創薬研究の継続的な実施による研究開発費用の計上に加え、低分子医薬、がんペプチドワクチン、抗体医薬の3つの領域についての臨床開発進展による費用計上、がんプレシジョン医療関連事業に関する研究開発費用の計上を主な要因として、連結営業損失は1,106百万円(前期は2,052百万円の損失)、連結経常損失は1,133百万円(前期は2,071百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純損失は1,118百万円(前期は2,571百万円の損失)となりました。

 セグメント別経営成績は、次のとおりであります。

a. 「医薬品の研究及び開発」並びにこれらに関連する事業

 提携先製薬企業から契約一時金等の受領により、事業収益は9百万円(前期比2百万円の増加)となりました。また、医薬品候補物質の基礎研究、創薬研究の継続的な実施による研究開発費用の計上に加え、低分子医薬、がんペプチドワクチン、抗体医薬の3つの領域についての臨床開発進展による研究開発費用の計上を主な要因として、営業損失は690百万円(前期は1,635百万円の損失)となりました。

 なお、研究開発の状況の詳細につきましては、「第2 事業の状況 6研究開発活動 (2)研究開発活動 (a)「医薬品の研究及び開発」並びにこれらに関連する事業」をご覧ください。

b. がんプレシジョン医療関連事業

 受託検査サービスによる収入等の受領により、事業収益は1,125百万円(前期比29百万円の減少)となりました。また、遺伝子解析サービス(全エクソームシーケンス解析、RNAシーケンス解析、ネオアンチゲン解析等)、リキッドバイオプシー、TCR/BCRレパトア解析、免疫反応解析等の解析サービスに関する研究開発費用及び売上原価の計上を主な要因として、営業損失は34百万円(前期は48百万円の損失)となりました。

 なお、研究開発の状況の詳細につきましては、「第2 事業の状況 6研究開発活動 (2)研究開発活動 (b)がんプレシジョン医療関連事業」をご覧ください。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、1,117百万円(前連結会計年度比719百万円減少)となりました。

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの概況は以下のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、794百万円の資金の減少(前連結会計年度は2,073百万円の減少)となりました。これは、税金等調整前当期純損失1,116百万円を計上したことが主な要因となっております。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、20百万円の資金の減少(同 467百万円の減少)となりました。これは、主に有形固定資産の取得による支出5百万円、敷金及び保証金の差入による支出5百万円によるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、95百万円の資金の増加(同 1,478百万円の増加)となりました。これは全て預り金の受入による収入によるものです。

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社の業務は、業務の性格上、生産として把握することが困難であるため、記載を省略しております。

b.受注実績

 当社の「医薬品の研究及び開発」並びにこれらに関連する事業については、事業の性質上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。また、がんプレシジョン医療関連事業については、受注から納品までの期間が短いため、受注実績に関する記載を省略しております。

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

前年同期比(%)

「医薬品の研究及び開発」並びにこれらに関連する事業(千円)

9,134

27.5

がんプレシジョン医療関連事業(千円)

1,125,769

△1.8

合計

1,134,903

△1.6

(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しております。

2 主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は、以下のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

当連結会計年度

(自 2022年4月1日

至 2023年3月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

公益財団法人 がん研究会

751,146

65.1

572,707

50.5

アンジェス株式会社

196,868

17.3

(注)当該割合が100分の10未満については記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、本項に記載した将来に関する事項は本書提出日現在において判断したものであり、不確実性を内包しており、あるいはリスクを含んでいるため、将来生じる実際の結果と大きく異なる可能性があります。

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。また、連結財務諸表作成にあたっては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に基づき作成しておりますが、採用する会計基準には、当社グループの判断及び見積りを伴うものが含まれています。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、見積りが必要な場合には合理的な方法で算出しております。

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討等

A. 収益面の特徴

a.「医薬品の研究及び開発」並びにこれらに関連する事業

 製薬企業との契約により、その対価については、契約一時金、マイルストーンおよびロイヤリティ等を段階的に受領することとしております。契約一時金は、契約時に医薬品の開発・製造・販売権などを付与することで受け取ることができる収益であり、マイルストーンは、契約に基づき、予め設定された研究開発に関する進捗等イベントの達成に応じて受け取ることができる収益であります。契約一時金及びマイルストーンに係る収入については、履行義務が一時点で充足される場合には、開発権・販売権等を付与した時点、又は契約上定められたマイルストーンが達成された時点で契約上の履行義務が充足されたと判断し、当該時点で事業収益として認識しております。ロイヤリティは、医薬品の上市後に販売額の一定料率を受け取ることができる収益であり、その発生時点を考慮して事業収益として認識しております。一般的に医薬品の開発期間は基礎研究開始から上市までに通常10年以上の長期間に及ぶものでもあります。事業収益の発生については、その多くが契約締結先の製薬企業等の研究開発の進捗および医薬品発売・販売の状況等に依存するもので、これらが事業収益として計上されるにはかなりの長期間を要する可能性があり、またこれらの事業収益が計上されない可能性もあります。さらに、製薬企業等との契約締結の可否、契約締結時期および収益の発生時期によって当社グループの業績は大きく変動する傾向にあり、これによる業績の上期または下期への偏重が生じる可能性、または場合によっては決算期ごとの業績変動要因となる可能性があります。

b.がんプレシジョン医療関連事業

 がんプレシジョン医療関連事業の収益は、がん細胞の詳細な遺伝子解析サービス(全エクソームシーケンス解析、RNAシーケンス解析、ネオアンチゲン解析等)、血中のがん細胞を早期検出するためのリキッドバイオプシーといったがん遺伝子の大規模解析検査及びTCR/BCRレパトア解析、免疫反応解析等の解析サービスを、医療機関、研究機関および製薬企業等から受託した収益であり、当該財又はサービスの支配が顧客に移転したことにより履行義務が充足される時に認識することとなりますが、当社グループにおける解析サービス等の国内の販売において、出荷時から当該財又はサービスの支配が顧客に移転される時までの期間が通常の期間である場合には、収益認識に関する会計基準の適用指針第98項を適用して出荷時に収益を認識しております。

B. 費用面の特徴

当社グループは研究開発型企業として、当連結会計年度においては研究開発費716百万円を計上しております。

a.「医薬品の研究及び開発」並びにこれらに関連する事業

 当社グループは提携先との共同開発に加えて、当社グループ独自での臨床開発に積極的に取り組んでいく方針であります。そのため、今後は、臨床試験を実施する開発パイプラインの進展や拡大、積極的な自社の創薬研究等により、多額の研究開発費が必要となると想定されます。しかしながら、他の製薬企業との契約締結が進まない場合や既存の提携先との契約解消等が生じた場合は、当社グループの業績の圧迫要因として業績に悪影響が生じる可能性があります。

b.がんプレシジョン医療関連事業

 がんプレシジョン医療関連事業においては、医療機関、研究機関および製薬企業等から受託または受託する予定の、がん細胞の詳細な遺伝子解析サービス(全エクソームシーケンス解析、RNAシーケンス解析、ネオアンチゲン解析等)、血中のがん細胞を早期検出するためのリキッドバイオプシーといったがん遺伝子の大規模解析検査及びTCR/BCRレパトア解析、免疫反応解析等の解析サービスについて受託件数増加に伴う費用の増加のほか、これらサービスに関連する共同研究及び事業化や、新規がん遺伝子パネル検査の開発、ネオアンチゲン樹状細胞療法及びTCR導入T細胞療法等の新しい個別化免疫療法の研究も行っており今後も継続的に研究開発費が必要となると想定されます。

(当社グループの当連結会計年度の経営成績等)

「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりとなっております。

 

(当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因)

「第2 事業の状況 3事業等のリスク」に記載のとおりとなっております。

 

(当社グループの資本の財源及び資金の流動性)

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は、「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりとなっております。また、キャッシュ・フロー関連指標の推移は、次のとおりとなっております。

(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移

 

2019年3月期

2020年3月期

2021年3月期

2022年3月期

2023年3月期

自己資本比率(%)

85.6

89.5

88.8

70.6

51.5

時価ベースの自己資本比率

(%)

381.2

214.9

643.9

495.0

599.0

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(%)

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

(注1)いずれも連結ベースの財務数値により計算しています。

(注2)株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しています。

(注3)キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しています。

(注4)有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としています。

(注5)「キャッシュ・フロー対有利子負債比率」、「インタレスト・カバレッジ・レシオ」については有利子負債がないため記載しておりません。

 

 当社グループが現在計画している資金計画については、主として、資金を創薬研究領域ならびに医薬開発領域における研究開発費とがんプレシジョン医療関連事業における経費及び研究開発費、具体的には外注費及び人件費をはじめとした研究開発資金と経費、その他研究・検査に係るラボや解析検査設備等の設備資金に充当する方針であり、具体的な資金需要の発生までは、安全性の高い金融商品で運用していく計画であります。バイオ・テクノロジー業界等の当社グループを取り巻く外部環境については変化が速いことや、新規参入等により当社グループの事業環境に劇的な変動が生じる可能性があること等から、当社の経営判断として資金について、上記の対象以外に振り向けられる可能性も否定できません。また、当社グループ事業の性質上、研究開発資金等の多額な資金を必要とするものでありますが、急速な成長、技術変化、市場の発展等環境の変化に伴い、当社は新たな戦略を実行し、その事業を展開するための必要資金は、現時点における想定以上に拡大する可能性があります。

 

(経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等)

 「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営戦略及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりとなっております。当連結会計年度の達成状況につきまして、連結事業収益につきましては、受託検査サービスによる収入等の受領により、1,134百万円(前期比18百万円の減少)となりました。また、研究開発費については、716百万円となりました。当期の経営成績ならびに研究開発活動の詳細につきましては「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」ならびに「第2 事業の状況 6研究開発活動 (2)研究開発活動」をご覧ください。