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最終更新:

E31946 Japan GAAP

売上高

109.9億 円

前期

175.8億 円

前期比

62.5%

時価総額

316.2億 円

株価

3,320 (04/25)

発行済株式数

9,525,600

EPS(実績)

396.22 円

PER(実績)

8.38 倍

平均給与

756.3万 円

前期

738.8万 円

前期比

102.4%

平均年齢(勤続年数)

43.9歳(11.7年)

従業員数

180人

株価

by 株価チャート「ストチャ」

 

3 【事業の内容】

(1) 事業の特徴

当社は、主に体外診断用医薬品に関して、特許権利取得を視野に独自の研究開発及び産学官共同研究を実施するとともに、ISO13485品質マネジメントを骨格とした企画開発、製造、販売組織による自社一貫体制を構築し、各組織において有能で経験豊富なスタッフを配備のうえ事業活動を行っております。また、これらのプロセスを一連の業務執行会議のもと遂行することで、医療現場のニーズに対して優れた品質の製品を提供するとともに、万全のアフターフォローでお客様への安定供給を行っております。なお、当社は、体外診断用医薬品事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しておりますが、市場分野の区分は「病院・開業医分野」、「OTC・その他分野」としております。

病院・開業医分野では、国内外の医療機関向けに患者の健康状態、疾患の有無、治療の経過等を診断するための免疫血清検査薬※1を主に製造販売しており、2018年10月からは新たに微生物を対象とした遺伝子検査薬※2及び専用装置の製造販売を開始しております。

OTC・その他分野では、主に一般消費者の自己検査として厚生労働省の承認を得ている一般用医薬品※3を薬局・薬店へ販売しております。その他には、農作物の苗木などのウイルス病を見つけるため、免疫血清検査薬の技術を応用した果樹ウイルス検査薬を農業試験場等へ販売しております。

 

(2) 主な製品

① 病院・開業医分野

医療機関において使用されている体外診断用医薬品は、初診時、入院時のスクリーニング検査、疾患の確定診断、モニタリング、健康診断、院内感染防御などに用いられており、大学や大病院の検査室、検査センターにおいて大量の検体が検査されております。体外診断用医薬品は、診断分野の面から生化学検査薬、免疫血清検査薬、尿糞便検査薬、微生物検査薬、遺伝子検査薬、血液検査薬や病理検査薬などその他の検査薬に分類されます。

当社の主力製品は、設立時は生化学検査薬でしたが2023年に製造販売を終了し、現在は診断分野の中でも最も市場規模が大きい免疫血清検査薬となっております。免疫血清検査薬のなかでも、インフルエンザウイルスやアデノウイルス※4などの感染症の検査薬は、中小病院や開業医を中心として市場が形成すると共にシェアが拡大し、さらに新型コロナウイルスの発生によりさらに増大しており、迅速で簡易な検査技術であるイムノクロマト法を用いた多くの製品を販売しております。これに加え、微生物検査の分野において確定診断となる遺伝子検査を当社独自の検出技術により1ステップで測定可能とした遺伝子POCT検査システム機器・試薬を開発し、2018年10月よりマイコプラズマ・ニューモニエ遺伝子を簡易・迅速に検出するキットの販売を開始し、2020年8月には新たに流行し始めた新型コロナウイルス遺伝子を1時間程度で検出可能なキットの販売を開始いたしました。

 

イ.免疫血清検査薬POCT

当社は、それまで妊娠検査薬など尿中ホルモンの分野でしか用いられていなかったイムノクロマト法を、国内で初めて感染症の検査薬に応用し、血中ウイルス検査薬としてB型肝炎検出用キット「クイックチェイサー HBsAg」を製品化いたしました。本製品は、免疫検査機器を必要とせず簡易迅速に判定が行えることから、免疫検査機器を所有していない中小医療機関に普及いたしました。

その後も、感染症分野での開発に継続して取り組んでおり、血中ウイルス検査薬として、C型肝炎や梅毒の検査薬の製品化を実現するとともに、呼吸器感染症検査薬として、鼻咽頭分泌液を検査対象としたインフルエンザウイルス抗原検出用キット「クイックチェイサー Flu A,B」、アデノウイルス抗原検出用キット「クイックチェイサー Adeno」、RSウイルス抗原検出用キット「クイックチェイサー RSV」、A群β溶血連鎖球菌検出用キット「クイックチェイサー Strep A※5」、「クイックチェイサー Dip Strep A」、尿中の肺炎球菌莢膜抗原検出用キット「クイックチェイサー 肺炎球菌」、RSウイルス及びhMPV抗原同時検出用キット「クイックチェイサー RSV/hMPV」、マイコプラズマ抗原検出用キット「クイックチェイサー Myco」、肺炎疑い患者の排泄尿を検査対象とした肺炎球菌莢膜抗原及びレジオネラニューモフィラ血清型1LPS抗原検出用キット「クイックチェイサー 肺炎球菌/レジオネラ」、新型コロナウイルス抗原検出用キット「クイックチェイサーSARS-CoV-2」、新型コロナウイルス抗原及びインフルエンザウイルス抗原検出用キット「クイックチェイサー SARS-CoV-2/Flu(Flu A,B)」、また、消化器感染症検査薬として、ヘリコバクター・ピロリ抗原検出用キット「クイックチェイサー H.ピロリ」、クロストリジウム(クロストリディオイデス)ディフィシル抗原検出用キット「クイックチェイサー CD GDH/TOX」の検査薬の製品化を実現いたしました。

 

2021年4月、これら迅速診断キットについて、小型で持ち運びのできる機器の使用により機能の強化を図った、デンシトメトリー分析装置「スマート QC リーダー」を発売し、本装置の適応キットを順次リニューアルいたしました。検査結果を自動で判定し、その結果をモニター表示及びプリントアウトするため、測定環境や判定者に依存しない客観的かつ安定した精度の高い判定結果を得られ、また、効率的かつ正確な診断結果の提供が可能となります。

 

このほか、富士フイルム株式会社との共同開発により、競合するPOCT検査薬企業に先駆けて、銀増幅イムノクロマト法を用いた機器試薬システム※6の製品化を実現いたしました。当該機器試薬システムは、感染症診断では最も重要な性能である高感度を実現しているため、感染初期においても判定が可能であり、また、自動検出と判定結果のプリントアウト機能を備えているため、迅速かつ客観的な判定が可能なものとなっております。機器試薬システムのうち、機器は「クイックチェイサー Immuno Reader」及び「クイックチェイサーImmuno ReaderⅡ」を、試薬はインフルエンザウイルス、アデノウイルス、A群β溶血連鎖球菌、RSウイルス及びマイコプラズマ抗原を対象とするクイックチェイサーAutoシリーズを販売しております。そして、高感度新型コロナウイルス抗原検出用キットとしても、2021年3月、新型コロナウイルス抗原検出用キット「クイックチェイサー Auto SARS-CoV-2」、2023年1月、新型コロナウイルス及びインフルエンザウイルス抗原検出用キット「クイックチェイサー Auto SARS-CoV-2/Flu」を販売開始し、さらに品揃えが充実いたしました。

なお、本システムに用いる機器は富士フイルム株式会社から当社へ供給され、試薬は当社から富士フイルム株式会社へ供給されており、機器試薬システムとしてそれぞれのブランドで販売されております。

 

ロ.尿糞便検査薬

尿糞便検査薬は、一般検査では尿中のタンパクや糖、大腸がん検診では便中のヘモグロビン(下部消化管出血マーカー)を検出する検査などに用いられています。

当社は、消化器内科向けに、便中のヘモグロビンとトランスフェリン(上部消化管出血マーカー)を同時に検出する当社独自の迅速検査薬「クイックチェイサー 便潜血」を販売しております。また、産婦人科向けに、尿中hCGを迅速に測定する妊娠検査薬「HCG クイックチェッカー Dip」や、当社の特許技術により妊娠しやすい排卵時期を予測する排卵日検査薬「LHクイックチェッカー・S」を販売しております。

 

ハ.微生物遺伝子検査薬

微生物遺伝子検査薬は、感染症における適切な抗菌薬の選択を目的として原因微生物の検出や薬剤耐性の鑑別に用いられています。

これまでの微生物検査では、採取した検体を数日間分離培養し原因微生物を同定する検査、また、薬剤耐性の鑑別には培養後のコロニーを用いて各種薬剤が実際に抗菌作用を示すかを検査する感受性試験が主流でした。しかし、これら増菌培養を要する方法は、菌が増殖するまでに数日の期間を要することや、培養や菌の同定には技術や知識・経験を要することから、微生物検査専門の設備や技師による検査が必要でした。

感染症に対する治療は、早期に適切な抗菌薬を投与する必要があることからも、より迅速かつ確実に診療の場で原因微生物を捕えることができるPOCT遺伝子検査が注目されております。さらに、近年の技術革新により抗菌薬に対する耐性変異を検出することが可能となることから、抗菌薬の選定に貢献することも期待されています。

 

このようななか、当社は、かねてより研究開発に取り組んでおりました遺伝子POCT検査の国内製造販売承認を2018年2月に取得し、同年10月に遺伝子解析装置「全自動遺伝子解析装置 Smart Gene」及びマイコプラズマ核酸キット「スマートジーン Myco」の発売を開始いたしました。2020年8月には、感染拡大が続いていた新型コロナウイルス感染症の検査体制の拡充に寄与し感染拡大防止に貢献すべく、早期開発に取り組み、公的医療保険適用の研究用試薬として、新型コロナウイルス遺伝子POCT検査用キット「スマートジーン 新型コロナウイルス検出試薬」の発売を開始いたしました。2021年4月、体外診断用医薬品として許認可を取得した「スマートジーン SARS-CoV-2」の販売へ切り替えております。このほか、スマートジーンシリーズの新たな検査項目として、2022年1月、インフルエンザウイルス核酸キット「スマートジーン Flu A,B」、同年2月、クロストリジウム・ディフィシル核酸キット「スマートジーン CD トキシンB」の発売を開始いたしました。また、2021年12月に体外診断用医薬品として製造販売承認を取得したヘリコバクター・ピロリ核酸キット「スマートジーン H.pylori G」を、2022年11月に国内で初めて「ヘリコバクター・ピロリ核酸及びクラリスロマイシン耐性遺伝子検出」として、ヘリコバクター・ピロリ菌の遺伝子検査と共にクラリスロマイシン耐性遺伝子を検出する検査を保険収載のうえ、同年12月に発売開始いたしました。

本装置及びこれらのキットは、当社独自の遺伝子抽出技術とPCR増幅産物をリアルタイムに検出する技術を原理とし、小型の装置を用いて、遺伝子の抽出・増幅・検出の全ての工程を1つのカートリッジ内で1ステップかつ短時間(判定時間:30~60分)で行うことを可能とした、遺伝子POCT検査システムです。基幹病院のみならず開業医・診療所など患者に近い診療現場において、簡易迅速かつ高感度に実施することができるため、早期の確定診断が可能となり、投薬や治療方針の決定、院内感染の予防等に大いに貢献するものと期待しております。これらのキットに加え、本装置を用いる各種感染症検査キットの開発に取り組み、スマートジーンシリーズとして検査項目のさらなる充実を図ってまいります。

 

② OTC・その他分野

一般用医薬品として薬局・薬店で販売されているOTC検査薬は、ドラッグストアでの販売が始まった2003年頃から市場規模が拡大し、特に妊娠検査薬は妊娠の早期判定の補助として広く普及しております。当社は、OTC検査薬として最も市場が拡大した妊娠検査薬を、厚生労働省の製造販売に関する許認可制度が開始された1992年から販売しております。その後は、妊娠しやすい時期がわかる排卵日検査薬とともに、全国の薬局・薬店、ドラッグストア等に販売しており、昨今の少子化対策に貢献しております。

 

イ.一般用医薬品

当社は、1992年に一般用医薬品としての販売が解禁されると同時に妊娠検査薬の製造を開始し、製薬メーカーを通じて全国の薬局・薬店への販売を開始しました。その後、1997年に、当社から直接全国の薬局・薬店への販売を開始し、現在では、妊娠検査薬「P-チェック・S」を自社ブランド製品として販売するとともに、チェーン展開を行うドラッグストアのプライベートブランド製品としても「S-チェッカー※7」や「プレセルフ※8」などの製品名で販売しております。

排卵日検査薬については、政府による規制緩和方針に基づき、2016年に一般用検査薬としての承認申請及び審査体制が構築され、当社は、同年に製造販売承認を取得いたしました。現在では、OTC市場において販売提携を行ったアリナミン製薬株式会社(旧社名 武田コンシューマーヘルスケア株式会社)を通じて、排卵日予測検査薬「ハイテスター※9H」及び妊娠検査薬「ハイテスターN」を「ハイテスター」シリーズとして販売しております。

 

ロ.薬局における排卵日検査薬

薬局でのみ取り扱うことができる排卵日検査薬「P-チェック・LH」につきましても、引き続き販売を継続しております。

 

 

当社の病院・開業医分野における主な製品は、以下のとおりであります。

製品名

一般的名称

使用目的

クイックチェイサー
Flu A,B

インフルエンザウイルスキット

鼻腔ぬぐい液、鼻腔吸引液、咽頭ぬぐい液又は鼻汁鼻かみ液中のインフルエンザAウイルス抗原及びインフルエンザBウイルス抗原の検出

(インフルエンザウイルス感染の診断の補助)

クイックチェイサー
Adeno

アデノウイルスキット

咽頭粘膜上皮細胞、鼻腔ぬぐい液、鼻腔吸引液又は角結膜上皮細胞中のアデノウイルス抗原の検出

(アデノウイルス感染の診断の補助)

クイックチェイサー
Adeno 眼

アデノウイルスキット

結膜滲出液を含む涙液、又は角結膜上皮細胞中のアデノウイルス抗原の検出
(アデノウイルス感染の診断の補助)

クイックチェイサー
RSV

RSウイルスキット

鼻腔ぬぐい液、鼻腔吸引液又は鼻腔洗浄液中のRSウイルス抗原の検出

(RSウイルス感染の診断の補助)

クイックチェイサー
Strep A

A群ベータ溶血連鎖球菌抗原キット

咽頭検体中のA群β溶血連鎖球菌抗原の検出

(A群連鎖球菌感染の診断の補助)

クイックチェイサー
Dip Strep A

A群ベータ溶血連鎖球菌抗原キット

咽頭検体中のA群β溶血連鎖球菌抗原の検出

(A群連鎖球菌感染の診断の補助)

クイックチェイサー
肺炎球菌Ⅱ

脳脊髄膜炎起炎菌莢膜多糖抗原キット

尿中又は髄液中の肺炎球菌莢膜抗原の検出

(肺炎球菌感染の診断の補助)

クイックチェイサー
肺炎球菌/レジオネラ

脳脊髄膜炎起炎菌莢膜多糖抗原キット・
レジオネラキット

尿中又は髄液中の肺炎球菌莢膜抗原の検出

(肺炎球菌感染の診断の補助)

尿中のレジオネラニューモフィラ血清型1LPS抗原の検出

(レジオネラ症の診断の補助)

クイックチェイサー
RSV/hMPV

RSウイルスキット・
ヒトメタニューモウイルスキット

鼻腔ぬぐい液又は鼻腔吸引液中のRSウイルス抗原の検出

(RSウイルス感染の診断の補助)

鼻腔ぬぐい液、鼻腔吸引液又は咽頭ぬぐい液中のヒトメタニューモウイルス抗原の検出

(ヒトメタニューモウイルス感染の診断の補助)

クイックチェイサー
Myco

マイコプラズマ抗原キット

咽頭ぬぐい液中のマイコプラズマ・ニューモニエ抗原の検出

(マイコプラズマ感染の診断の補助)

クイックチェイサー
SARS-CoV-2

SARSコロナウイルス抗原キット

鼻咽頭ぬぐい液又は鼻腔ぬぐい液中のSARS-CoV-2抗原の検出

(SARS-CoV-2感染の診断の補助)

クイックチェイサー
SARS-CoV-2/Flu(Flu A,B)

SARSコロナウイルス抗原キット・インフルエンザウイルスキット

鼻咽頭ぬぐい液又は鼻腔ぬぐい液中のSARS-CoV-2抗原,A型インフルエンザウイルス抗原及びB型インフルエンザウイルス抗原の検出

(SARS-CoV-2感染又はインフルエンザウイルス感染の診断の補助)

クイックチェイサー
Auto Flu A,B

インフルエンザウイルスキット

鼻腔ぬぐい液、鼻腔吸引液、咽頭ぬぐい液又は鼻汁鼻かみ液中のインフルエンザAウイルス抗原及びインフルエンザBウイルス抗原の検出

(インフルエンザウイルス感染の診断の補助)

クイックチェイサー
Auto Adeno

アデノウイルスキット

咽頭粘膜上皮細胞又は角結膜上皮細胞中のアデノウイルス抗原の検出

(アデノウイルス感染の診断の補助)

クイックチェイサー
Auto Adeno 眼

アデノウイルスキット

結膜滲出液を含む涙液、又は角結膜上皮細胞中のアデノウイルス抗原の検出
(アデノウイルス感染の診断の補助)

クイックチェイサー
Auto Strep A

A群ベータ溶血連鎖球菌抗原キット

咽頭検体中のA群β溶血連鎖球菌抗原の検出

(A群連鎖球菌感染の診断の補助)

クイックチェイサー
Auto RSV/Adeno

RSウイルスキット

アデノウイルスキット

鼻腔ぬぐい液、鼻腔吸引液又は咽頭ぬぐい液中のRSウイルス抗原及びアデノウイルス抗原の検出

(RSウイルス感染及びアデノウイルス感染症の診断の補助)

クイックチェイサー
Auto Myco

マイコプラズマ抗原キット

咽頭ぬぐい液中のマイコプラズマ・ニューモニエ抗原の検出

(マイコプラズマ感染の診断の補助)

 

 

製品名

一般的名称

使用目的

クイックチェイサー
Auto SARS-CoV-2

SARSコロナウイルス抗原キット

鼻咽頭ぬぐい液、鼻腔ぬぐい液又は唾液中のSARS-CoV-2抗原の検出

(SARS-CoV-2感染の診断の補助)

クイックチェイサー
Auto SARS-CoV-2/Flu

SARSコロナウイルス抗原キット・インフルエンザウイルスキット

鼻咽頭ぬぐい液又は鼻腔ぬぐい液中のSARS-CoV-2抗原・A型インフルエンザウイルス抗原及びB型インフルエンザウイルス抗原の検出

(SARS-CoV-2感染又はインフルエンザウイルス感染の診断の補助)

クイックチェイサー
Noro

ノロウイルス抗原キット

糞便中のノロウイルス抗原の検出

(ノロウイルス感染の診断の補助)

クイックチェイサー
Rota/Adeno

ロタウイルスキット

アデノウイルスキット

糞便中のロタウイルス抗原及びアデノウイルス抗原の検出

(ロタウイルス感染及びアデノウイルス感染の診断の補助)

クイックチェイサー
便潜血

ヘモグロビン/トランスフェリンキット

糞便中ヒトヘモグロビン、ヒトトランスフェリンの検出

クイックチェイサー
H.ピロリ

ヘリコバクター・ピロリ抗原キット

糞便中のヘリコバクター・ピロリ抗原の検出

(ヘリコバクター・ピロリ感染の診断の補助)

クイックチェイサー
CD GDH/TOX

クロストリジウムディフィシルキット

糞便中のクロストリディオイデス(クロストリジウム)・ディフィシル抗原及びトキシン(トキシンA及びトキシンB)の検出

(クロストリディオイデス(クロストリジウム)・ディフィシル感染の診断の補助)

スマートジーン Myco

マイコプラズマ核酸キット

咽頭ぬぐい液中のマイコプラズマ・ニューモニエDNAの検出(マイコプラズマ感染の診断の補助)

スマートジーン
SARS-CoV-2

SARSコロナウイルス核酸キット

生体試料中のSARS-CoV-2 RNAの検出

(SARS-CoV-2感染の診断の補助)

スマートジーン Flu A,B

インフルエンザウイルス核酸キット

鼻咽頭ぬぐい液又は鼻腔ぬぐい液中のA型及びB型インフルエンザウイルスRNAの検出

(インフルエンザウイルス感染の診断の補助)

スマートジーン
CD トキシンB

クロストリジウム・ディフィシル核酸キット

糞便中のクロストリディオイデス・ディフィシル トキシンBのDNAの検出

(クロストリディオイデス・ディフィシル感染の診断の補助)

スマートジーン
H.pylori G

ヘリコバクターピロリ核酸キット

胃内視鏡廃液中のヘリコバクター・ピロリDNA及び23S rRNA遺伝子ドメインV領域の変異の検出

(ヘリコバクター・ピロリ感染及びクラリスロマイシン低感受性のヘリコバクター・ピロリ感染の診断補助)

HCG クイックチェッカー
Dip

ヒト絨毛性性腺刺激ホルモンキット

尿中のヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)の検出

LH クイックチェッカー・S

自己検査用黄体形成ホルモンキット

尿中の黄体形成ホルモン(LH)の検出

 

 

当社のOTC・その他分野における主な製品は、以下のとおりであります。

製品名

一般的名称

使用目的

P-チェック・S

一般用ヒト絨毛性性腺刺激ホルモンキット

尿中のヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)の検出

(妊娠の検査)

P-チェック・LH

自己検査用黄体形成ホルモンキット

尿中の黄体形成ホルモン(LH)の検出

ハイテスターN

一般用ヒト絨毛性性腺刺激ホルモンキット

尿中のヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)の検出

(妊娠の検査)

ハイテスターH

一般用黄体形成ホルモンキット

尿中の黄体形成ホルモン(LH)の検出
(排卵日予測の補助)

 

 

 

(3) 当社の販売形態

当社は体外診断用医薬品の原材料を国内外から仕入れ、当社で製造を行い、国内外の医薬品卸、代理店を通じて販売しております。当社の事業を事業系統図として示すと下記のとおりであります。

 

[事業系統図]

 

※画像省略しています。

 

 

[用語集]

※1 免疫とは、外部から侵入してくる細菌やウイルスに対して体内が抵抗する働きのことで、この免疫反応が引き起こされると作られる抵抗物質が抗体です。免疫血清検査薬は、この抗体及び細菌、ウイルスの有無や量を調べる検査薬で、B型肝炎やC型肝炎の感染の診断や、輸血の際の適合不適合判断などに使用されます。

※2 微生物を対象とした遺伝子検査薬とは、検体から検査対象となる微生物の遺伝子を増幅・検出することで感染微生物の特定や薬剤に対する耐性変異遺伝子の検出を自動化機器により実施する検査です。感染症を引き起こす微生物には、細菌,真菌やウイルスなどがあります。微生物の検査においては、原因微生物の推定には塗抹検査や培養が行われ、さらに培養後のコロニーを用いた同定検査と薬剤感受性検査にて微生物の菌名の確定と効能がある薬の選定が行われていますが、染色や培養した菌の観察など特殊な技能を有し、また培養や感受性試験については、1週間程度の時間を要します。遺伝子検査は当日中にそれらの結果が得られ、感染症の診断と治療を迅速に実施することができます。

※3 一般用医薬品とは、「一般の人が、薬剤師などから提供された適切な情報に基づき、自らの判断で購入し、自らの責任で使用する医薬品であって、軽度な疾病に伴う症状の改善、生活習慣病などの疾病に伴う症状発現の予防、生活の質の改善・向上、健康状態の自己検査、健康の維持・増進、その他保健衛生を目的とするもの」と定義されています。十分な説明や情報を示した上で、消費者が自ら簡単な治療を行うというセルフメディケーションが推進されており、厚生労働省が認可を与えた医薬品のみ薬局やドラッグストアにおいて販売されています。

※4 アデノウイルスとは、扁桃腺やリンパ節で増殖するウイルスです。アデノウイルスに感染すると、軽い風邪程度から重症の扁桃腺炎や肺炎を発症します。

※5 Strep A(A群β溶血連鎖球菌)とは、のどや皮膚にみられる細菌です。一般に、咽頭炎や扁桃炎を発症し、気管支炎を起こすことも多い細菌です。

※6 装置を用いて検査を行う試薬は、複数の機器メーカーが販売する汎用の装置に適用する検査薬と、専用の機器でのみ使用可能な検査薬に分類されます。機器試薬システムは後者をいい、1つのメーカーが装置と検査薬をセットで販売し、かつ、同じ装置に適用できる各種測定項目の検査薬を供給する販売形態です。

※7 「S-チェッカー」は、ドラッグストアや薬局など営む法人または個人を加盟社として構成したチェーン組織である日本ドラッグチェーン会(株式会社ニッド)のプライベートブランド商品の名称です。

※8 「プレセルフ」は、株式会社マツモトキヨシのプライベートブランド商品の名称です。

※9 「ハイテスター」は、武田薬品工業株式会社の登録商標です。

24/03/29

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

当事業年度(2023年1月1日~2023年12月31日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが5類に移行され、行動制限や海外からの入国制限の緩和等により社会経済活動は正常化が進みました。一方、ウクライナ情勢の長期化、欧米を中心としたインフレ抑制のための金融引締めの長期化、中東地域をめぐる情勢、中国経済の内外需要の低迷など、世界経済の景気後退が懸念される状況となっております。わが国経済におきましても、雇用・所得環境は改善しているものの、急速な円安進行がインフレに拍車をかけ、物価上昇による景気の下振れが懸念されるなど、先行きは依然として不透明な状況が続いております。

 

体外診断用医薬品業界におきましては、2019年末に発生した新型コロナウイルス感染症は、その後3年以上にわたり新たな変異株による感染拡大を繰り返すなかで、感染拡大防止を目的とした遺伝子検査や抗原検査等の検査需要が急激に高まりました。一方、インフルエンザをはじめとした既存の感染症は、新型コロナウイルス感染症に対する感染防御の効果の波及や受診控え等により、検査需要が減少するという影響を受けました。

現在主流のオミクロン変異株は、感染力は高いものの重症化リスクは低減しているといわれており、行動制限の緩和に伴い社会経済活動は正常化に向かいました。さらに本年5月に新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが5類へ移行され、新型コロナウイルス感染症と共生する社会へと大きくかじが切られました。この大きな社会環境の変化に伴い、過去3年程の間に免疫獲得の機会を十分に持てなかった様々な既存の感染症(インフルエンザ、RSウイルス、アデノウイルス、A群β溶血連鎖球菌等)が急激な増加傾向を示しております。また、新型コロナウイルス感染症につきましても、足元では患者報告数は増加傾向が継続し第10波到来の指摘もあるなど、感染症全般にわたり今後の動向を注視する必要があります。

 

このようななか、当社は、新型コロナウイルス検査薬(遺伝子検査キット及び抗原キット)をはじめ、5類移行後、3年ぶりに流行が拡大したインフルエンザ検査薬や様々なその他感染症項目の検査薬の増産に取り組み、安定供給の維持に尽力いたしました。他方では、クイックチェイサー Immuno ReaderⅡ等を用いる高感度検出キット(銀増幅イムノクロマト法)として、新型コロナウイルス抗原とインフルエンザウイルス抗原を同時に検出する「クイックチェイサー Auto SARS-CoV-2/Flu」を発売するなど、クイックチェイサー Auto シリーズの検査項目の拡充を図りました。また、遺伝子POCT検査機器試薬システムにつきましては、スマートジーンシリーズの新たな検査項目の開発に注力するとともに、次世代の遺伝子POCT検査装置として、測定時間のさらなる迅速化や遺伝子マルチ検査システムの開発にも取り組んでおります。

 

このような環境下におきまして、当事業年度の売上高は、109億89百万円(前期比37.5%減)となりました。

当社は、体外診断用医薬品事業の単一セグメントでありますが、市場分野別の売上高は、以下のとおりであります。

 

(単位:百万円、%)

 市場分野の名称

2023年12月

2022年12月

 

対売上高

構成比

対前期

増減率

 

対売上高

構成比

病院・開業医分野

10,636

96.8

△38.3

17,236

98.0

OTC・その他分野

352

3.2

2.0

345

2.0

合計

10,989

100.0

△37.5

17,581

100.0

 

 

 

病院・開業医分野におきましては、新型コロナウイルス感染症は、感染症法上の位置づけが5類に移行し、この影響により、遺伝子検査キット「スマートジーン SARS-CoV-2」の出荷数は、約66万テスト(前期は215万テスト)と大幅に減少しました。一方、新型コロナウイルス抗原キット(銀増幅イムノクロマト法による抗原キット含む)につきましては、インフルエンザの同時流行を背景として、主に新型コロナウイルス・インフルエンザウイルス抗原同時検出キットの需要が増加し、出荷数は約445万テスト(前期は448万テスト)となりました。これらの結果、新型コロナウイルス検査薬全体の売上高は、76億17百万円(前期比49.8%減)と大幅な減収となりました。

インフルエンザ検査薬につきましては、3年ぶりに流行入りし、異例の夏場の流行以降も流行拡大が継続したため、インフルエンザ単独検査薬全体の売上高は、9億49百万円(前期比128.2%増)と大幅な増加となりました。

その他感染症項目の検査薬につきましては、新型コロナウイルス感染症の発生以降、長らく流行が抑えられていましたが、5類移行という社会環境の変化に伴い、多くの感染症が流行し、RSウイルス/ヒトメタニューモウイルスをはじめ、アデノウイルス(咽頭結膜熱)、A群β溶血連鎖球菌(Strep A)、ノロウイルス及びアデノ眼(流行性角結膜炎)など、ほぼ全ての項目において前期比で増収となりました。「全自動遺伝子解析装置 Smart Gene」につきましては、当事業年度は約200台を出荷し、累計販売台数は約5,200台となりました。これらの結果、その他感染症項目の検査薬を含むその他の検査薬及び機器全体の売上高は、その他感染症項目の需要回復に伴い、20億70百万円(前期比26.2%増)となりました。

以上により、病院・開業医分野全体の売上高は、106億36百万円(前期比38.3%減)となりました。

 

OTC・その他分野におきましては、妊娠検査薬及び排卵日検査薬は、新型コロナウイルス感染症の影響から脱しつつありますが、OTC・その他分野全体の売上高は、3億52百万円(前期比2.0%増)とほぼ横ばいとなりました。

 

利益面につきましては、主に新型コロナウイルス遺伝子検査キットの減収や、これに伴う売上構成比の変化による売上原価率の上昇に加え、研究開発費及び人件費の増加により、営業利益は51億51百万円(前期比53.6%減)となりました。なお、外国為替相場の急激な変動に伴い、為替差益91百万円を営業外収益に計上しております。これは主に当社が保有する外貨建資産を期末為替レートで換算したことにより発生したものであります。これらの結果、経常利益は52億92百万円(前期比52.2%減)、当期純利益は37億74百万円(前期比51.8%減)となりました。

 

当事業年度末の財政状態につきましては、以下のとおりであります。

当事業年度末における資産の残高は、前事業年度末に比べ1億53百万円減少し、189億48百万円となりました。これは主に、現金及び預金の増加14億32百万円、棚卸資産の増加3億29百万円及び機械及び装置の増加1億75百万円があったものの、売掛金の減少16億99百万円及び電子記録債権の減少2億88百万円があったことによるものであります。

当事業年度末における負債の残高は、前事業年度末に比べ15億47百万円減少し、32億72百万円となりました。これは主に、未払法人税等の減少12億84百万円、買掛金の減少1億73百万円及び未払消費税等の減少1億42百万円があったことによるものであります。

当事業年度末における純資産の残高は、前事業年度末に比べ13億93百万円増加し、156億75百万円となりました。これは主に、利益剰余金の増加13億93百万円によるものであります。

 

 

② キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ13億41百万円増加し、87億16百万円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度における営業活動により増加した資金は、39億91百万円(前期は61億72百万円の増加)となりました。これは主に、法人税等の支払27億18百万円、棚卸資産の増加3億29百万円、仕入債務の減少2億36百万円及び未払消費税等の減少1億42百万円によるキャッシュ・フローの減少があったものの、税引前当期純利益52億92百万円、売上債権の減少19億88百万円及び減価償却費1億95百万円によるキャッシュ・フローの増加があったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度における投資活動により減少した資金は、2億70百万円(前期は15億53百万円の減少)となりました。これは主に、定期預金の払戻27億11百万円によるキャッシュ・フローの増加があったものの、定期預金の預入27億11百万円及び有形固定資産の取得2億62百万円によるキャッシュ・フローの減少があったことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度における財務活動により減少した資金は、23億81百万円(前期は15億70百万円の減少)となりました。これは主に、配当金の支払23億80百万円によるキャッシュ・フローの減少があったことによるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の状況

当社は、体外診断用医薬品事業の単一セグメントであるため、生産、受注及び販売の状況については市場分野別に記載しております。

 

イ.生産実績

当事業年度の生産実績を市場分野別に示すと、次のとおりであります。

市場分野の名称

生産高(千円)

前年同期比(%)

病院・開業医分野

11,723,628

58.7

OTC・その他分野

385,973

114.1

合計

12,109,601

59.6

 

(注) 1.金額は販売価格によっております。

2.当事業年度において、生産実績に著しい変動がありました。これは、病院・開業医分野におきまして、主に、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の規模が徐々に抑えられていくなか、感染症法上の分類5類への移行により、インフルエンザ等の既存の感染症の検査需要が大幅に回復したものの、急激に高まっていた新型コロナウイルス感染症の遺伝子検査需要の減少の影響が大きかったため、生産実績が大幅に減少しております。

 

ロ.受注状況

当社は見込み生産を行っているため、該当事項はありません。

 

 

ハ.販売実績

当事業年度の販売実績を市場分野別に示すと、次のとおりであります。

市場分野の名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

病院・開業医分野

10,636,862

61.7

OTC・その他分野

352,873

102.0

合計

10,989,735

62.5

 

(注)1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前事業年度

(自 2022年1月1日

至 2022年12月31日

当事業年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

株式会社メディセオ

2,884,801

16.4

1,958,327

17.8

東邦薬品株式会社

2,123,390

12.1

1,495,612

13.6

株式会社スズケン

2,421,177

13.8

1,226,631

11.2

 

2.当事業年度において、販売実績に著しい変動がありました。これは、病院・開業医分野におきまして、主に、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の規模が徐々に抑えられていくなか、感染症法上の分類5類への移行により、インフルエンザ等の既存の感染症の検査需要が大幅に回復したものの、急激に高まっていた新型コロナウイルス感染症の遺伝子検査需要の減少の影響が大きかったため、販売実績が大幅に減少しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

① 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

イ.経営成績の分析

(売上高)

売上高は、109億89百万円(前期比37.5%減)となりました。市場分野別の売上高の状況の認識及び分析等は以下のとおりであります。

病院・開業医分野におきましては、新型コロナウイルス感染症は、感染症法上の位置づけが5類に移行し、この影響により、遺伝子検査キット「スマートジーン SARS-CoV-2」の出荷数は、約66万テスト(前期は215万テスト)と大幅に減少しました。一方、新型コロナウイルス抗原キット(銀増幅イムノクロマト法による抗原キット含む)につきましては、インフルエンザの同時流行を背景として、主に新型コロナウイルス・インフルエンザウイルス抗原同時検出キットの需要が増加し、出荷数は約445万テスト(前期は448万テスト)となりました。これらの結果、新型コロナウイルス検査薬全体の売上高は、76億17百万円(前期比49.8%減)と大幅な減収となりました。

インフルエンザ検査薬につきましては、3年ぶりに流行入りし、異例の夏場の流行以降も流行拡大が継続したため、インフルエンザ単独検査薬全体の売上高は、9億49百万円(前期比128.2%増)と大幅な増加となりました。

その他感染症項目の検査薬につきましては、新型コロナウイルス感染症の発生以降、長らく流行が抑えられていましたが、5類移行という社会環境の変化に伴い、多くの感染症が流行し、RSウイルス/ヒトメタニューモウイルスをはじめ、アデノウイルス(咽頭結膜熱)、A群β溶血連鎖球菌(Strep A)、ノロウイルス及びアデノ眼(流行性角結膜炎)など、ほぼ全ての項目において前期比で増収となりました。「全自動遺伝子解析装置 Smart Gene」につきましては、当事業年度は約200台を出荷し、累計販売台数は約5,200台となりました。これらの結果、その他感染症項目の検査薬を含むその他の検査薬及び機器全体の売上高は、その他感染症項目の需要回復に伴い、20億70百万円(前期比26.2%増)となりました。

以上により、病院・開業医分野全体の売上高は、106億36百万円(前期比38.3%減)となりました。

 

 

OTC・その他分野におきましては、妊娠検査薬及び排卵日検査薬は、新型コロナウイルス感染症の影響から脱しつつありますが、OTC・その他分野全体の売上高は、3億52百万円(前期比2.0%増)とほぼ横ばいとなりました。

 

(売上原価、販売費及び一般管理費)

売上原価は、29億15百万円(前期比16.3%減)、売上原価率は26.5%(前期から6.7ポイント上昇)となりました。これは主に、売上構成比が変化したこと及び新型コロナウイルス検査薬関連の廃棄損が増加したことによるものであります。

販売費及び一般管理費は、29億22百万円(前期比2.5%減)となりました。これは主に、遺伝子POCTをはじめとした新製品に係る研究開発費の増加や人件費の増加があったものの、販売に係る支払手数料及び運賃が減少したことによるものであります。

 

(営業利益)

営業利益は、前事業年度に比べ59億52百万円減少して51億51百万円となりました。

 

(営業外収益、営業外費用)

営業外収益は、前事業年度に比べ1億23百万円増加して1億40百万円となりました。これは主に、外国為替相場の急激な変動のなか、当社が保有する外貨建資産を期末為替レートで評価替えしたことにより発生した為替差益91百万円並びに受取利息及び配当金の増加によるものであります。

営業外費用の計上はありませんでした。

 

(経常利益)

経常利益は、前事業年度に比べ57億78百万円減少して52億92百万円となりました。また、売上高経常利益率は48.2%となり、前事業年度に比べ14.8ポイント低下し、収益性は低下しております。

 

(特別利益、特別損失)

特別利益及び特別損失の計上はありませんでした。

 

(当期純利益)

当期純利益は、前事業年度に比べ40億63百万円減少して37億74百万円となりました。

 

インフルエンザ検査薬は、過去7年(2013年~2019年)ほどにわたり、当社の売上高の約50%を占める主力製品でありましたが、2019年末に発生した新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により、インフルエンザの流行は世界的に著しく低い水準に抑えられ、2020年よりインフルエンザ検査薬の売上高は大幅に減少しております。

一方、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、遺伝子検査の需要が急激に高まるなか、2020年より発売を開始した遺伝子検査キット「スマートジーン SARS-CoV-2」の売上高が急激に増加しました。また、5類移行後は各種抗原キットの需要も高まり、新型コロナウイルス検査薬全体の売上高が大幅に増加しております。結果として、2020年以降はインフルエンザ検査薬への依存度が低下し、新型コロナウイルス検査薬への依存度が高まる状況となっております。

今後につきましては、新型コロナウイルス検査薬は、感染拡大の動向や医療・検査体制の変化などによって、本検査薬の需要や売上高は大きく左右される可能性があります。また、3年ぶりに流行入りしたインフルエンザは、夏場の流行など異例の推移をたどっており、今後の動向についても注視する必要があり、これらの事業環境の変化に伴い特定製品への依存度がさらに変化する可能性があります。

当事業年度(第47期)の四半期会計期間ごとの売上高及び営業利益は、以下のとおりであります。

 

 

第47期(2023年12月期)の四半期会計期間ごとの売上高及び営業利益

 

 (単位:百万円)

 

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

第47期 合計

売上高

2,391

2,183

3,414

2,999

10,989

 内 新型コロナウイルス検査薬

1,829

1,354

2,594

1,838

7,617

 内 インフルエンザ検査薬

147

116

194

490

949

営業利益

1,027

875

1,885

1,362

5,151

 

 

(ご参考) 直近2事業年度の四半期会計期間ごとの売上高及び営業利益

第46期(2022年12月期)

 

 (単位:百万円)

 

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

第46期 合計

売上高

4,188

3,125

5,967

4,300

17,581

 内 新型コロナウイルス検査薬

3,684

2,730

5,383

3,381

15,179

 内 インフルエンザ検査薬

107

30

78

198

416

営業利益

2,743

1,832

4,120

2,407

11,104

 

 

第45期(2021年12月期)

 

 (単位:百万円)

 

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

第45期 合計

売上高

2,443

3,910

4,222

2,561

13,137

 内 新型コロナウイルス検査薬

1,557

3,118

3,303

1,815

9,794

 内 インフルエンザ検査薬(注)3

38

37

56

106

239

営業利益

877

2,246

2,544

1,029

6,698

 

(注)1.新型コロナウイルス検査薬には、「スマートジーン SARS-CoV-2」、「クイックチェイサー Auto SARS-CoV-2」、「クイックチェイサー Auto SARS-CoV-2/Flu」、富士フイルム株式会社向け機器試薬システムの試薬、「クイックチェイサー SARS-CoV-2」及び「クイックチェイサー SARS-CoV-2/Flu(Flu A,B)」が含まれております。

2.インフルエンザ検査薬には、「クイックチェイサー Flu A,B」、「クイックチェイサー Auto Flu A,B」、富士フイルム株式会社向け機器試薬システムの試薬及び「スマートジーン Flu A,B」が含まれております。

3.返品分を除いた金額を記載しております。

 

ロ.財政状態の分析

当事業年度末における資産の残高は、前事業年度末に比べ1億53百万円減少し、189億48百万円となりました。これは主に、現金及び預金の増加14億32百万円、棚卸資産の増加3億29百万円及び機械及び装置の増加1億75百万円があったものの、売掛金の減少16億99百万円及び電子記録債権の減少2億88百万円があったことによるものであります。

当事業年度末における負債の残高は、前事業年度末に比べ15億47百万円減少し、32億72百万円となりました。これは主に、未払法人税等の減少12億84百万円、買掛金の減少1億73百万円及び未払消費税等の減少1億42百万円があったことによるものであります。

当事業年度末における純資産の残高は、前事業年度末に比べ13億93百万円増加し、156億75百万円となりました。これは主に、利益剰余金の増加13億93百万円によるものであります。

 

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

キャッシュ・フローの分析につきましては「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

当社の資金需要につきまして、運転資金として主なものは、原材料購入等の製造費用、商品の仕入のほか、研究開発費や人件費を含む販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また、設備資金として主なものは、製造または研究開発のための設備の新設または更新であります。

運転資金及び設備資金につきましては、営業活動によるキャッシュ・フローからの充当を基本とし、手元資金、回収期間及びリスク等を勘案したうえで、必要に応じて金融機関からの短期借入または長期借入による調達を行う方針であります。また、機動的かつ安定的に資金の調達が行えるよう、取引銀行と当座貸越契約(総額16億円)を締結しており、緊急の資金需要や不測の事態にも備えております。

株主の皆様への利益還元につきましては、当社は、業績に対応した配当を行うことを基本としつつ、配当性向、企業体質の一層の強化及び今後の事業展開に備えるための内部留保の充実などを総合的に勘案して決定する方針を採っております。この方針に基づき、配当性向30%を目標として配当を実施するよう努めておりましたが、当事業年度におきましては、株主の皆様の日ごろのご支援にお応えするため特別配当を加え、配当性向50.5%としたうえで、2024年2月9日に公表いたしました「配当方針の変更に関するお知らせ」のとおり、翌事業年度(2024年12月期)より目標とする配当性向を50%に変更しております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や会社の状況・経営環境等に応じ、合理的だと想定される様々な仮定に基づき、見積り及び判断を行っておりますが、将来の不確実性により、最善の見積りを行った結果としての見積られた金額と事後的な結果との間に乖離が生じる可能性があります。

会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおり、該当事項はありません。

また、新型コロナウイルス感染症の拡大による影響については「第5 経理の状況 1 財務諸表等 注記事項 (追加情報)」に記載のとおりであります。